Kaprekarの操作(Kaprekar routine)とは、$k$ 桁の数(先頭の $0$ も桁として残す)の数字を大きい順に並べた数から小さい順に並べた数を引き、結果を再び $k$ 桁の数として同じ操作をくり返すことである。差は $9$ の倍数で、3 桁では $99(a-c)$、4 桁では $999(a-d)+90(b-c)$(数字を $a\ge b\ge c\ge d$ と並べたとき)となるので、1 回目の結果は 3 桁で 9 個、4 桁で 54 個に限られる。これを使うと、すべての数字が同じではない 3 桁の数は高々 6 回で $495$ に、4 桁の数は高々 7 回で $6174$ になり、そこから動かないことが示せる。2 桁や 5 桁では、動かない数に着かず周期に入る数がある。
4 桁の数を 1 つ選び、その数字を大きい順に並べた数から、小さい順に並べた数を引く。出てきた数に同じことをくり返す。たとえば 2026 から始めてみる。
2026 の数字は $2,0,2,6$ である。大きい順に並べると $6220$、小さい順に並べると $0226$(先頭の $0$ も 1 桁として残す。数としては $226$)なので
$$
6220-0226=5994
$$
である。くり返すと
$$
\begin{aligned}
9954-4599&=5355\\
5553-3555&=1998\\
9981-1899&=8082\\
8820-0288&=8532\\
8532-2358&=6174\\
7641-1467&=6174
\end{aligned}
$$
となる。6 回目で $6174$ に着き、そこからは $6174$ のまま動かない。
352 から始めると
$$
532-235=297,\quad 972-279=693,\quad 963-369=594,\quad 954-459=495,\quad 954-459=495
$$
で、4 回目で $495$ に着き、そこから動かない。
別の数から始めても、4 桁なら $6174$、3 桁なら $495$ に着く。本当にどの数から始めてもそうなるのか。何回で着くのか。調べる数は 4 桁でも 1 万個しかないので、全部を計算機で試すことはできる。しかし、この記事では、手で追える個数まで場合を減らす論法を示し、残った有限個を表で全部確かめる。この記事では次の問いに答える。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| 数字を並べ替えても各位の数字の和は同じ | 差は $9$ の倍数 | 法 $9$ での不変量 |
| $1000a+100b+10c+d$ と書く | 差 $999(a-d)+90(b-c)$ | 位取り記数法 |
| 起こりうる場合を書き出す | 1 回目の結果は 54 通り | 有限集合への帰着 |
| 同じ数がくり返し出てくる | 動かない数・周期 | 写像の不動点・周期軌道 |
2026 の例では、小さい順に並べた $0226$ を 4 桁の数として扱った。この扱いを先に決めておかないと、操作の結果が変わってしまう(ex-kap-convention)。この記事では、次の約束で考える。
正の整数 $k$ を決める。$0$ 以上 $10^k-1$ 以下の整数 $n$ を、先頭に必要なだけ $0$ を付けて、ちょうど $k$ 桁の数字の列で書く($k=4$ なら $226$ は $0226$、$5$ は $0005$)。この $k$ 桁の列を $k$ 桁の数 とよぶ。
$k$ 桁の数 $n$ の $k$ 個の数字(先頭の $0$ も含む)を、大きい順に並べた列が表す数を $n^{+}$、小さい順に並べた列が表す数を $n^{-}$ とし、
$$
K(n)=n^{+}-n^{-}
$$
とおく。$K(n)$ も $0$ 以上 $10^k-1$ 以下なので、再び先頭に $0$ を付けて $k$ 桁の数として書く。$n$ に $K$ を施して $K(n)$ を得る操作を Kaprekar の操作 という。
$k$ 個の数字がすべて同じ $k$ 桁の数($333$、$7777$、$0000$ など)を ぞろ目 という。
$K(n)=n$ となる数を、$K$ の 動かない数 という。$K$ を何回か施して動かない数 $m$ に着けば、その後はずっと $m$ のままである。「$n$ は $r$ 回で $m$ になる」とは、$K$ を $r$ 回施して初めて $m$ になることとする($n=m$ なら $0$ 回)。
$n^{+}$ と $n^{-}$ は同じ数字を並べ替えたものなので、各位の数字の和が等しい。倍数の判定法 の定理「各位の数字の和による判定」は、正の整数を 9 で割った余りが各位の数字の和を 9 で割った余りに等しいことを述べている。だから $n^{+}$ と $n^{-}$ は 9 で割った余りが等しく、差 $K(n)$ は 9 の倍数である。桁数が小さいときは、差をもっとはっきり書ける。
$k$ 桁の数 $n$ について、$K(n)$ は $9$ の倍数である。さらに、$n$ の数字を大きい順に並べたものを次のように書くと、$K(n)$ は次の式で表せる。
9 の倍数であること:$n^{+}$ と $n^{-}$ の各位の数字の和は同じ値 $S$ である。倍数の判定法 の定理「各位の数字の和による判定」により $n^{+}\equiv S$、$n^{-}\equiv S\pmod9$ なので($n^{-}$ や $n^{+}$ が $0$ のときも $0\equiv S=0$ で成り立つ)、$K(n)=n^{+}-n^{-}\equiv0\pmod9$ である。
式の形:位取りで書いて引き算する(n進法と記数法)。
数字を並べ替えても 9 で割った余りが変わらないことは、チェックディジット では弱点だった。数字の和だけを検査に使うと、入れ替えの誤りを見逃してしまうからである。この記事では、同じ性質が逆に強みになる。prop-kap-nine の式は、$K(n)$ が数字そのものではなく、数字の 差 $a-c$ や $a-d$、$b-c$ だけで決まることを示している。差のとりうる値は少ないので、1 回目の結果のとりうる値も少なくなる。
$k=2$ で、ぞろ目でない数 $n$ を考える。prop-kap-nine の 1 より $K(n)=9(a-b)$ で、$a-b$ は $1$ から $9$ のどれかなので、1 回目の結果は $09,18,27,36,45,54,63,72,81$ の 9 個のどれかである。それぞれに $K$ を施すと
| $n$ | $09$ | $18$ | $27$ | $36$ | $45$ | $54$ | $63$ | $72$ | $81$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $K(n)$ | $81$ | $63$ | $45$ | $27$ | $09$ | $09$ | $27$ | $45$ | $63$ |
となる。$09\to81\to63\to27\to45\to09$ と 5 個の数が輪になってくり返し、$18,36,54,72$ は 1 回でこの輪に入る。$K(n)=n$ となる数はこの 9 個の中になく、ぞろ目の $K$ は $00$ なので、2 桁では($00$ を除いて)動かない数がない。どの数から始めても、最後はこの 5 個の輪を回り続ける。
$k=3$ とする。ぞろ目でない 3 桁の数は、$K$ を高々 6 回施すと $495$ になる。$495$ は動かない数である。さらに、ちょうど 6 回かかるのは、最大の数字と最小の数字の差が $1$ である数($100$、$211$、$788$ など)に限る。
方針:1 回目の結果が $99p$($p=1,\dots,9$)の 9 個に限られることを prop-kap-nine で示し、$99p$ の数字を調べて、次の結果が $99g(p)$ の形になることを示す。あとは $p$ の動きを追えばよい。
段 1(1 回目の結果)。ぞろ目でない 3 桁の数 $n$ の数字を $a\ge b\ge c$ とする。ぞろ目でないので $a> c$ であり、$p=a-c$ は $1$ 以上 $9$ 以下である。prop-kap-nine の 2 より $K(n)=99p$ である。
段 2($99p$ の数字)。$p=1,\dots,9$ について
$$
99p=100p-p=100(p-1)+90+(10-p)
$$
で、$p-1$、$9$、$10-p$ はどれも $0$ 以上 $9$ 以下なので、$99p$ を 3 桁で書いたときの数字はこの 3 つである($p=1$ なら $0,9,9$ で $099$)。最大の数字は $9$、最小の数字は $p-1$ と $10-p$ の小さい方である。
段 3(次の結果)。段 2 と prop-kap-nine の 2 から、$K(99p)=99\,g(p)$、ただし
$$
g(p)=9-\min(p-1,\ 10-p)=\max(10-p,\ p-1)
$$
である。$p\le5$ なら $10-p\ge p-1$($2p\le11$ だから)で $g(p)=10-p$、$p\ge6$ なら $p-1>10-p$ で $g(p)=p-1$ である。
段 4($p$ の動き)。段 3 から、$p$ は次のように動く。
$$
1\to9\to8\to7\to6\to5\to5,\qquad 2\to8,\quad 3\to7,\quad 4\to6
$$
$g(5)=\max(5,4)=5$ なので $K(495)=495$ で、$495$ は動かない数である。$99p$ から $495$ までの回数は、$p=5,6,7,8,9$ でそれぞれ $0,1,2,3,4$、$p=4,3,2$ でそれぞれ $2,3,4$($6,7,8$ へ 1 回で移るから)、$p=1$ で $5$ である。最大は $p=1$ の $5$ 回である。
段 5(合わせる)。段 1 の 1 回目と段 4 を合わせると、$n$ から $495$ までは高々 $1+5=6$ 回である($n$ 自身が $495$ なら $0$ 回)。ちょうど 6 回かかるのは、1 回目の結果が $099$($p=1$)のとき、つまり $a-c=1$ のときに限る。逆に $a-c=1$ なら $n\ne495$ で、1 回目が $099$、そこから 5 回なので、ちょうど 6 回である。$\square$
段 4 の動きを、$99p$ の値で表にしておく(図 1)。
| $p=a-c$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | $7$ | $8$ | $9$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 回目の結果 $99p$ | $099$ | $198$ | $297$ | $396$ | $495$ | $594$ | $693$ | $792$ | $891$ |
| その次 $99g(p)$ | $891$ | $792$ | $693$ | $594$ | $495$ | $495$ | $594$ | $693$ | $792$ |
| $495$ までの回数 | $5$ | $4$ | $3$ | $2$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ |
3 桁の数の 1 回目の結果になりうる 9 個の数と、K で移る先を矢印で結んだ図。どの数も 495 に着き、495 は動かない
最大の数字と最小の数字の差が $1$ の 3 桁の数は、差が $1$ の 2 つの数字 $(0,1),(1,2),\dots,(8,9)$ の 9 組それぞれについて、3 桁にその 2 つの数字を両方使う並べ方が $2^3-2=6$ 通りずつあるので、$54$ 個ある($001$ や $010$ のように先頭が $0$ のものも含む)。
4 桁でも同じ考え方で場合を減らす。ただし今度は差が 2 つ($a-d$ と $b-c$)あるので、1 回目の結果は 9 個ではなく 54 個になる。
$k=4$ とする。ぞろ目でない 4 桁の数は、$K$ を高々 7 回施すと $6174$ になる。$6174$ は動かない数である。
方針:1 回目の結果が 54 個に限られることを prop-kap-nine で示し(段 1・段 2)、その 54 個から $6174$ までの回数がどれも 6 以下であることを表で確かめる(段 3)。
段 1(1 回目の結果の形)。ぞろ目でない 4 桁の数 $n$ の数字を $a\ge b\ge c\ge d$ とし、$p=a-d$、$q=b-c$ とおく。prop-kap-nine の 3 より
$$
K(n)=999p+90q
$$
である。
段 2($(p,q)$ の個数)。$a\ge b$ と $c\ge d$ から $p-q=(a-b)+(c-d)\ge0$ なので $q\le p$ である。$q\ge0$、$p\le9$ であり、ぞろ目でないので $a> d$、つまり $p\ge1$ である。よって $(p,q)$ は
$$
1\le p\le9,\qquad 0\le q\le p
$$
の範囲にあり、$p$ ごとに $q$ は $p+1$ 通りなので、全部で
$$
2+3+4+\cdots+10=\frac{(2+10)\cdot9}2=54
$$
通りである。したがって、1 回目の結果 $K(n)$ は、$999p+90q$ の形の 54 個の数のどれかである。
段 3(54 個から先)。54 個の数それぞれに $K$ をくり返し施した結果を、下の折りたたんだ表にすべて載せた。どの数も高々 6 回で $6174$ になる。また $7641-1467=6174$ なので $K(6174)=6174$ で、$6174$ は動かない数である。
段 4(合わせる)。段 2 の 1 回目と段 3 を合わせて、$n$ から $6174$ までは高々 $1+6=7$ 回である($n$ 自身が $6174$ なら $0$ 回)。$\square$
54 個の行き先の表を開くと、段 3 を 1 行ずつ確かめられる。表の数はすべて先頭の $0$ を残した 4 桁で書いた(def-kap-routine)。
| p | q | 999p+90q | K をくり返した結果 | 6174 までの回数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 0999 | 0999 → 8991 → 8082 → 8532 → 6174 | 4 |
| 1 | 1 | 1089 | 1089 → 9621 → 8352 → 6174 | 3 |
| 2 | 0 | 1998 | 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 3 |
| 2 | 1 | 2088 | 2088 → 8532 → 6174 | 2 |
| 2 | 2 | 2178 | 2178 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 3 | 0 | 2997 | 2997 → 7173 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 5 |
| 3 | 1 | 3087 | 3087 → 8352 → 6174 | 2 |
| 3 | 2 | 3177 | 3177 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 4 |
| 3 | 3 | 3267 | 3267 → 5265 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 4 | 0 | 3996 | 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 3 |
| 4 | 1 | 4086 | 4086 → 8172 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 6 |
| 4 | 2 | 4176 | 4176 → 6174 | 1 |
| 4 | 3 | 4266 | 4266 → 4176 → 6174 | 2 |
| 4 | 4 | 4356 | 4356 → 3087 → 8352 → 6174 | 3 |
| 5 | 0 | 4995 | 4995 → 5355 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 5 |
| 5 | 1 | 5085 | 5085 → 7992 → 7173 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 6 |
| 5 | 2 | 5175 | 5175 → 5994 → 5355 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 6 |
| 5 | 3 | 5265 | 5265 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 4 |
| 5 | 4 | 5355 | 5355 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 4 |
| 5 | 5 | 5445 | 5445 → 1089 → 9621 → 8352 → 6174 | 4 |
| 6 | 0 | 5994 | 5994 → 5355 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 5 |
| 6 | 1 | 6084 | 6084 → 8172 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 6 |
| 6 | 2 | 6174 | 6174 | 0 |
| 6 | 3 | 6264 | 6264 → 4176 → 6174 | 2 |
| 6 | 4 | 6354 | 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 3 |
| 6 | 5 | 6444 | 6444 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 4 |
| 6 | 6 | 6534 | 6534 → 3087 → 8352 → 6174 | 3 |
| 7 | 0 | 6993 | 6993 → 6264 → 4176 → 6174 | 3 |
| 7 | 1 | 7083 | 7083 → 8352 → 6174 | 2 |
| 7 | 2 | 7173 | 7173 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 4 |
| 7 | 3 | 7263 | 7263 → 5265 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 7 | 4 | 7353 | 7353 → 4176 → 6174 | 2 |
| 7 | 5 | 7443 | 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 4 |
| 7 | 6 | 7533 | 7533 → 4176 → 6174 | 2 |
| 7 | 7 | 7623 | 7623 → 5265 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 8 | 0 | 7992 | 7992 → 7173 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 5 |
| 8 | 1 | 8082 | 8082 → 8532 → 6174 | 2 |
| 8 | 2 | 8172 | 8172 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 8 | 3 | 8262 | 8262 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 4 |
| 8 | 4 | 8352 | 8352 → 6174 | 1 |
| 8 | 5 | 8442 | 8442 → 5994 → 5355 → 1998 → 8082 → 8532 → 6174 | 6 |
| 8 | 6 | 8532 | 8532 → 6174 | 1 |
| 8 | 7 | 8622 | 8622 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 4 |
| 8 | 8 | 8712 | 8712 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 5 |
| 9 | 0 | 8991 | 8991 → 8082 → 8532 → 6174 | 3 |
| 9 | 1 | 9081 | 9081 → 9621 → 8352 → 6174 | 3 |
| 9 | 2 | 9171 | 9171 → 8532 → 6174 | 2 |
| 9 | 3 | 9261 | 9261 → 8352 → 6174 | 2 |
| 9 | 4 | 9351 | 9351 → 8172 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 6 |
| 9 | 5 | 9441 | 9441 → 7992 → 7173 → 6354 → 3087 → 8352 → 6174 | 6 |
| 9 | 6 | 9531 | 9531 → 8172 → 7443 → 3996 → 6264 → 4176 → 6174 | 6 |
| 9 | 7 | 9621 | 9621 → 8352 → 6174 | 2 |
| 9 | 8 | 9711 | 9711 → 8532 → 6174 | 2 |
| 9 | 9 | 9801 | 9801 → 9621 → 8352 → 6174 | 3 |
| 6174 までの回数 | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 54 個のうちの個数 | $1$ | $3$ | $12$ | $10$ | $10$ | $10$ | $8$ | $54$ |
6 回かかるのは $4086$、$5085$、$5175$、$6084$、$8442$、$9351$、$9441$、$9531$ の 8 個である。図 2 は、54 個の数を「$6174$ まであと何回か」で段に分け、$K$ で移る先を線で結んだものである。どの道も、最後は $4176$、$8352$、$8532$ のどれかを通って $6174$ に着く。
4 桁の数の 1 回目の結果になりうる 54 個の数を、6174 まであと何回かで段に分けて並べ、K で移る先を線で結んだ図。一番上が 6174 で、一番下の段の 8 個は 6 回かかる
段 3 の表の数はすべて 54 個の中にある。54 個のどれに $K$ を施しても、それはある 4 桁の数の 1 回目の結果なので、段 1・段 2 から再び 54 個のどれかになるからである。だから、表は 54 個の数の中だけで閉じていて、表の外の数を調べる必要はない。
1004 の数字は $a=4$、$b=1$、$c=0$、$d=0$ で、$p=4$、$q=1$ なので、1 回目の結果は $999\cdot4+90\cdot1=4086$ である。表から $4086$ は 6 回かかる($4086\to8172\to7443\to3996\to6264\to4176\to6174$)ので、1004 はちょうど 7 回かかる。thm-kap-four の「高々 7 回」の 7 は、これ以上小さくできない。
0000 から 9999 までの 1 万個のうちぞろ目でない 9990 個について、6174 までの回数を数えると図 3 のようになる。これは計算機ですべての数を計算して数えた結果である(計算で確かめた)。thm-kap-four は 7 回以下であることを示しているが、それぞれの回数の個数までは示していない。
すべての数字が同じではない 9990 個の 4 桁の数字の列について、6174 になるまでの回数ごとの個数を表した棒グラフ。7 回かかる列が 2184 個ある
thm-kap-three と thm-kap-four には、「ぞろ目でない」と「桁数が 3 または 4」という仮定がある。どちらを外しても結論は崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| ぞろ目でない | $333$、$7777$(ex-kap-cx-repdigit) | 1 回で $000$・$0000$ になり、そこから動かない。$495$・$6174$ には着かない |
| 桁数が 3 または 4(2 桁にする) | $09\to81\to63\to27\to45\to09$(ex-kap-two) | ぞろ目でない数は動かない数に着かず、5 個の数の輪を回り続ける |
| 桁数が 3 または 4(5 桁にする) | $12345$(ex-kap-cx-five) | 動かない数に着かず、4 個の数の輪に入る |
$333$ では $n^{+}=n^{-}=333$ なので $K(333)=000$ である。$000$ もぞろ目で $K(000)=000$ なので、ずっと $000$ のままである。$7777$ も同じく $0000$ になって動かない。thm-kap-three の証明の段 1 で「ぞろ目でないので $a> c$」としたところが成り立たず、$p=a-c=0$ になって、1 回目の結果が $99p$($p\ge1$)の 9 個に入らない。ぞろ目は、3 桁なら $000,111,\dots,999$ の 10 個、4 桁なら 10 個だけで、それ以外はすべて定理のとおりになる。
$k=5$、$n=12345$ から始めると
$$
\begin{aligned}
54321-12345&=41976\\
97641-14679&=82962\\
98622-22689&=75933\\
97533-33579&=63954\\
96543-34569&=61974\\
97641-14679&=82962
\end{aligned}
$$
となり、$82962\to75933\to63954\to61974\to82962$ の 4 個の輪に入る。この数は、動かない数にいつまでも着かない。5 桁で動かない数は $00000$ だけで、ぞろ目でない 5 桁の数は、どれも次の 3 つの輪のどれかに入る。
$$
(53955,\ 59994),\qquad(61974,\ 82962,\ 75933,\ 63954),\qquad(62964,\ 71973,\ 83952,\ 74943)
$$
この 3 つの輪と、5 桁で動かない数が $00000$ だけであることは、計算機で 10 万個の数をすべて調べて確かめたもので、この記事では証明しない(計算で確かめた。同じ 3 つの輪は Wei26 にも挙げられている)。$12345$ の輪は、上の 6 行の引き算で手で確かめられる。
def-kap-routine では先頭の $0$ を桁として残した。これは定理の仮定ではなく操作の定義の一部なので、別の約束をとると、定理の主張そのものが別のものになる。
$K(n)$ を計算するたびに先頭の $0$ を捨て、桁数の減った数として次の計算をする約束を考える。
(1) $100$:$100-001=99$ である。$99$ を 2 桁の数とみなすと、次は $99-99=0$ になる。先頭の $0$ を残す約束(ex-kap-zeros の (2))では、$099$ として続けて 6 回で $495$ に着いた。
(2) $2111$:$2111-1112=999$ で、$999$ を 3 桁の数とみなすと $999-999=0$ になる。先頭の $0$ を残す約束では、$0999\to8991\to\cdots$ と続いて $6174$ に着いた。
この約束では、ぞろ目でない数でも $0$ になるものがある。100 から 999 までの 3 桁の数のうち $0$ になるのは 60 個(ぞろ目の 9 個を含む)、1000 から 9999 までの 4 桁の数のうち $0$ になるのは 77 個(ぞろ目の 9 個を含む)である(計算で確かめた。個数は Wei26 にも書かれている)。どちらの約束で考えているかで答えが変わるので、回数や個数を比べるときは約束をそろえる必要がある。
$k$ 桁の数は $10^k$ 個しかないので、$K$ は有限個の数の集まりから自分自身への写像である。このような写像をくり返すと、必ずどこかで同じ数が 2 回目に出てくる(鳩の巣原理:$10^k+1$ 個の数 $n,K(n),K(K(n)),\dots$ のうち 2 つは等しい)。同じ数が出てきた後は、同じ計算がくり返されるので、どの数から始めても、最後は動かない数か、いくつかの数の輪(周期)に入る。累乗の余りがくり返す理由(冪の余りの周期と元の位数)も同じ考え方である。
thm-kap-three と thm-kap-four は、3 桁・4 桁ではその行き先がただ 1 つの動かない数($495$、$6174$)だと述べている。2 桁・5 桁では、行き先は動かない数ではなく輪だった(ex-kap-two、ex-kap-cx-five)。
Wei26 によれば、この操作は 1949 年に D. R. Kaprekar が 4 桁の数について見つけたもので、$k$ 桁の数に一般化できる。10 進法で $K(n)=n$ となる数として $495$、$6174$、$549945$、$631764$ などが挙げられ、底(10 進法の 10)を変えると、行き先は $0$、動かない数、輪のどれかになり、その様子は底によって大きく変わる。6 桁の $549945$ と $631764$ が動かない数であることは、$995544-445599=549945$、$766431-134667=631764$ と、それぞれの数字を並べ替えて引けば確かめられる。
この記事の証明の要点は、「$K(n)$ が数字そのものではなく数字の差だけで決まる」ことで場合を減らし、残った有限個を全部調べることだった。桁数が増えると、差の組の個数も、そこから先を追う手間も増える。$k$ 桁の行き先を一般の $k$ について決める方法は、この記事では扱わない。
ぞろ目でない 2 桁の数から始めると、高々 5 回で $09$ になることを示せ。ちょうど 5 回かかる数の例を 1 つ挙げよ。
ex-kap-two より、1 回目の結果は $09,18,\dots,81$ のどれかである。表をたどると、$09$ までの回数は $09$ が $0$、$45$ が $1$、$54$ が $1$、$27$ が $2$、$72$ が $2$($72\to45\to09$)、$63$ が $3$、$36$ が $3$($36\to27\to45\to09$)、$81$ が $4$、$18$ が $4$($18\to63\to27\to45\to09$)である。最大は $4$ なので、1 回目と合わせて高々 $5$ 回である。ちょうど 5 回かかるのは、1 回目の結果が $81$ か $18$ になる数、つまり 2 つの数字の差が $9$ か $2$ の数である。たとえば $90$:$90-09=81$、$81-18=63$、$63-36=27$、$72-27=45$、$54-45=09$ で 5 回。
$495$ 以外の 3 桁の数で、$K$ を 1 回施すと $495$ になるのはどんな数か。
prop-kap-nine の 2 より、数字を $a\ge b\ge c$ とすると $K(n)=99(a-c)$ である。$99(a-c)=495$ となるのは $a-c=5$ のときに限る。よって、最大の数字と最小の数字の差がちょうど $5$ の数である($105$、$549$、$594$、$950$ など。$495$ 自身も差は $5$ だが、すでに $495$ なので除いた)。差が $6$ の数($106$、$600$ など)は 1 回目が $594$ で、2 回目に $495$ になる。
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