Boole代数(Boolean algebra)とは、最小元 $0$ と最大元 $1$ をもつ分配束であって、各元 $x$ が $x\wedge x'=0$、$x\vee x'=1$ を満たす補元 $x'$ をもつもののことである。集合の和集合・共通部分・補集合や、命題の「または」「かつ」「でない」に共通する計算規則を取り出した代数系で、集合 $X$ の冪集合や、平方因子をもたない $n$ の約数全体(最大公約数・最小公倍数・$d\mapsto n/d$)がその例である。補元は一意で De Morgan の法則が成り立ち、有限な Boole 代数は原子全体の冪集合と同型なので元の個数は $2$ の冪である。無限の場合は冪集合と同型とは限らないが、Stone の表現定理により、ある冪集合の部分 Boole 代数と同型になる。
$30$ の約数 $1,2,3,5,6,10,15,30$ を考える。2 つの約数からは最大公約数と最小公倍数が作れ、どちらもまた $30$ の約数である。さらに約数 $d$ には「相方」$30/d$ があり、$d$ と $30/d$ の最大公約数は $1$、最小公倍数は $30$ になる。たとえば $6$ の相方は $5$ で、$\gcd(6,5)=1$、$\operatorname{lcm}(6,5)=30$ である。これは集合 $\{2,3,5\}$ の部分集合の世界とそっくりで、約数を「割り切る素数の集合」に置き換えると、最大公約数は共通部分、最小公倍数は和集合、相方は補集合になる。一方、$12$ の約数 $1,2,3,4,6,12$ では、$2$ に相方がない。$\gcd(2,c)=1$ となる約数 $c$ は $1$ と $3$ だけで、どちらも $\operatorname{lcm}(2,c)$ が $12$ にならないからである。このように「結び」「交わり」「補元」をもち、集合の演算と同じ計算規則に従う代数系を Boole 代数 という。有限な Boole 代数は必ずある有限集合の冪集合と同じ形をしていて、元の個数は $2$ の冪になる(thm-boolean-algebra-finite)。$30$ の約数が $8=2^3$ 個なのはその例である。
以下、束の演算を $\vee$(結び、上限)、$\wedge$(交わり、下限)と書き、束の順序は $x\le y\iff x\wedge y=x$ で与えられるものとする(束 の記事の命題「順序と二項演算の対応」)。
集合 $B$ と、2 つの二項演算 $\vee,\wedge$、1 つの単項演算 $x\mapsto x'$、2 つの元 $0,1\in B$ の組 $(B,\vee,\wedge,{}',0,1)$ が Boole 代数(Boolean algebra)であるとは、次を満たすことをいう。
条件 2 は「$0\le x\le1$」の言い換えである($x\wedge0=0$ は $0\le x$、$x\vee1=1$ は $x\le1$ と同値)。分配律の双対 $x\vee(y\wedge z)=(x\vee y)\wedge(x\vee z)$ は 1 から従う(prop-boolean-algebra-distributive-dual)。この定義は BS12 Chapter IV の Definition 1.1(pp. 116–117)と同じであり、条件がすべて等式で書けていることに注意する。$0=1$ となる 1 元の Boole 代数も定義からは除かれない。これを 自明な Boole 代数という。
Boole 代数は、「または」「かつ」「でない」の計算規則を取り出した代数系である。集合なら和集合・共通部分・補集合、命題なら論理和・論理積・否定、スイッチ回路なら並列接続・直列接続・反転がこの 3 つの演算にあたる。どの場面でも同じ法則(分配律、De Morgan の法則、$x\vee x'=1$ など)が成り立つので、1 つの場面で確かめた計算は他の場面にもそのまま使える。有限の場合、Boole 代数は「いくつかの原子(それ以上分けられない元)を好きなだけ集めたもの」に尽きる(thm-boolean-algebra-finite)。無限の場合はこの描像が崩れ、原子をもたない Boole 代数もある(ex-boolean-algebra-atomless)。
$n$ を相異なる素数 $p_1,\dots,p_k$ の積(平方因子をもたない正の整数)とし、$n$ の正の約数全体を $D(n)$ とする。$d\vee e:=\operatorname{lcm}(d,e)$、$d\wedge e:=\gcd(d,e)$、$d':=n/d$、$0:=1$、$1:=n$ とすると、$D(n)$ は Boole 代数であり、$S=\{p_1,\dots,p_k\}$ の冪集合と同型である。
実際、素因数分解の一意性により、$n$ の約数 $d$ は $S$ のある部分集合 $T$ の元の積としてただ一通りに書け、$\psi(d):=T$($d$ を割り切る素数の集合)とおくと $\psi\colon D(n)\to\mathcal{P}(S)$ は全単射である。$d\mid e$ と $\psi(d)\subset\psi(e)$ は同値なので、整除の順序での最大下界・最小上界である $\gcd$・$\operatorname{lcm}$ は $\cap$・$\cup$ に対応する:$\psi(\gcd(d,e))=\psi(d)\cap\psi(e)$、$\psi(\operatorname{lcm}(d,e))=\psi(d)\cup\psi(e)$。また $\psi(n/d)=S\setminus\psi(d)$、$\psi(1)=\emptyset$、$\psi(n)=S$ である。よって $D(n)$ の演算は $\mathcal{P}(S)$ の演算を $\psi$ で写したものであり、Boole 代数の条件は $\mathcal{P}(S)$ から移る。$n=30$ なら $S=\{2,3,5\}$ で、$6\mapsto\{2,3\}$、$6'=5\mapsto\{5\}$ である。
$D(12)=\{1,2,3,4,6,12\}$ に $\gcd$・$\operatorname{lcm}$ を入れた束は、最小元 $1$ と最大元 $12$ をもつ分配束だが、Boole 代数ではない。分配律は、約数 $2^a3^b$ を指数の組 $(a,b)$($0\le a\le2$、$0\le b\le1$)で表すと $\gcd$・$\operatorname{lcm}$ が成分ごとの $\min$・$\max$ になり、全順序集合の上では $\min\{x,\max\{y,z\}\}=\max\{\min\{x,y\},\min\{x,z\}\}$ が($y,z$ の大小で場合を分ければ)成り立つことから従う。しかし $2$ には補元がない。$\gcd(2,c)=1$ となる約数は $c=1,3$ だけで、$\operatorname{lcm}(2,1)=2$、$\operatorname{lcm}(2,3)=6$ はどちらも $12$ でない。$6$ についても $\gcd(6,c)=1$ となるのは $c=1$ だけで、$\operatorname{lcm}(6,1)=6\neq12$ である。満たす性質:最小元・最大元をもつ分配束。満たさない性質:すべての元が補元をもつ。破る含意:「有界な分配束 $\Rightarrow$ Boole 代数」は成り立たない。$12$ が平方因子 $4$ をもつことが原因で、元の個数 $6$ が $2$ の冪でないことからも(thm-boolean-algebra-finite により)Boole 代数でないと分かる。
束 の記事の注意「非分配束」の $M_3$(最小元 $0$、最大元 $1$ と、その間の互いに比較できない 3 元 $a,b,c$)では、$a\wedge b=0$、$a\vee b=1$、$a\wedge c=0$、$a\vee c=1$ なので、$b$ も $c$ も $a$ の補元の条件を満たす。すなわち補元が一意でない。満たす性質:最小元・最大元をもち、各元が補元の条件を満たす元をもつ。満たさない性質:分配律。この例は、次の prop-boolean-algebra-complement で補元が一意になるのに分配律が効いていることを示す。
自然数全体 $\mathbb{N}$ の部分集合のうち、有限集合であるか、補集合が有限であるもの全体を $\mathcal{F}$ とする。$\mathcal{F}$ は $\cup,\cap$ と補集合で閉じ、$\emptyset,\mathbb{N}$ を含む(Boole環 の記事の例「有限または補有限な部分集合の環」と同じ集合族)。有限集合どうし・補有限集合どうし・有限と補有限の和や共通部分を場合分けすれば確かめられる。したがって $\mathcal{F}$ は $\mathcal{P}(\mathbb{N})$ の演算を制限した Boole 代数である。$\mathcal{F}$ は無限集合だが可算集合である(有限部分集合は可算個であり、補有限集合は有限集合の補集合として可算個ある)。一方、ある集合 $X$ の冪集合 $\mathcal{P}(X)$ が可算無限集合と全単射で対応したとすると、$x\mapsto\{x\}$ は $X$ から $\mathcal{P}(X)$ への単射なので、$X$ は有限か可算無限である。$X$ が有限なら $\mathcal{P}(X)$ は有限であり、$X$ が可算無限なら $\mathcal{P}(X)$ は $\mathcal{P}(\mathbb{N})$ と全単射で対応し、冪集合 の記事の定理「Cantorの定理」により可算でない。どちらも矛盾なので、可算無限な冪集合はない。よって $\mathcal{F}$ はどの集合の冪集合とも同型でない。満たす性質:Boole 代数であり、各 $\{n\}$ が原子である。満たさない性質:冪集合と同型。破る含意:「Boole 代数 $\Rightarrow$ ある冪集合と同型」は無限の場合に成り立たない(有限の場合は thm-boolean-algebra-finite)。
区間 $[0,1)$ の部分集合で、有理数 $a< b$ を端点とする半開区間 $[a,b)$($0\le a< b\le1$)の有限個の和集合として書けるもの全体に $\emptyset$ を加えた族を $\mathcal{I}$ とする。$[a,b)$ の補集合 $[0,a)\cup[b,1)$ は(空でない部分について)また同じ形であり、2 つの半開区間の共通部分は空か半開区間なので、分配律と De Morgan の法則により $\mathcal{I}$ は和・共通部分・補集合で閉じ、$\mathcal{P}([0,1))$ の演算を制限した Boole 代数になる。$\mathcal{I}$ の $0$ でない元 $U$ は、ある $[a,b)$ を含み、$\emptyset\subsetneq[a,\tfrac{a+b}{2})\subsetneq U$ である。よって $\mathcal{I}$ には原子が 1 つもない。満たす性質:自明でない Boole 代数。満たさない性質:$0$ でない元の下に原子がある。破る含意:有限の場合に成り立つ lem-boolean-algebra-atoms-below は無限の場合に成り立たない。
条件を 1 つ外した反例を表にまとめる。各行の確認は上の例と反例の箱にある。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| すべての元が補元をもつ | $D(12)$($\gcd$・$\operatorname{lcm}$) | 有界な分配束は Boole 代数である |
| 分配律(prop-boolean-algebra-complement の 1) | $M_3$ | 補元は一意である |
| 有限(thm-boolean-algebra-finite) | $\mathbb{N}$ の有限または補有限な部分集合の族 $\mathcal{F}$ | ある冪集合と同型である |
| 有限(lem-boolean-algebra-atoms-below) | 有理数の端点をもつ半開区間の有限和の族 $\mathcal{I}$ | $0$ でない元の下に原子がある |
命題を論理的に同値なものどうしでまとめると、論理和・論理積・否定によって Boole 代数ができる。これは 命題論理 の記事で扱う。位相空間の開かつ閉集合全体も $\cup,\cap$ と補集合で Boole 代数になり、正則開集合全体は完備な Boole 代数になる(正則開集合 の記事の定理「正則開集合のなす完備 Boole 代数」)。
束 $L$ の任意の元で $x\wedge(y\vee z)=(x\wedge y)\vee(x\wedge z)$ が成り立つなら、任意の元で $x\vee(y\wedge z)=(x\vee y)\wedge(x\vee z)$ も成り立つ。
仮定の分配律を 2 回と、束 の吸収律 $(x\vee y)\wedge x=x$、$x\vee(z\wedge x)=x$、交換律・結合律を使う。
$$
\begin{aligned}
(x\vee y)\wedge(x\vee z)&=\bigl((x\vee y)\wedge x\bigr)\vee\bigl((x\vee y)\wedge z\bigr)=x\vee\bigl(z\wedge(x\vee y)\bigr)\\
&=x\vee\bigl((z\wedge x)\vee(z\wedge y)\bigr)=\bigl(x\vee(z\wedge x)\bigr)\vee(z\wedge y)=x\vee(y\wedge z).
\end{aligned}
$$
$\square$
$B$ を Boole 代数とし、$x,y\in B$ とする。
1:$b,c$ がともに $a$ の補元の条件($a\wedge b=0$、$a\vee b=1$ など)を満たすとすると、分配律により
$$
b=b\wedge1=b\wedge(a\vee c)=(b\wedge a)\vee(b\wedge c)=0\vee(b\wedge c)=b\wedge c,
$$
すなわち $b\le c$ である。$b,c$ を入れ替えて $c\le b$ も得られるので $b=c$ である。
2:$x'\wedge x=0$、$x'\vee x=1$ なので、$x$ は $x'$ の補元の条件を満たし、1 により $x''=x$ である。$0\wedge1=0$、$0\vee1=1$ から $0'=1$、$1'=0$ である。
3:$x\le y$ なら $x\wedge y'\le y\wedge y'=0$ である。逆に $x\wedge y'=0$ なら
$$
x=x\wedge1=x\wedge(y\vee y')=(x\wedge y)\vee(x\wedge y')=x\wedge y
$$
なので $x\le y$ である。
4:3 と 2 により、$x\le y\iff x\wedge y'=0\iff y'\wedge x''=0\iff y'\le x'$(最後は 3 を $y',x'$ に使った)。
5:De Morganの法則 の記事の命題「Boolean代数における補元の公式」である(同記事は $x'\wedge y'$ が $x\vee y$ の補元の条件を満たすことを確かめ、1 の一意性を使っている)。$\square$
4 により $x\mapsto x'$ は順序を逆にする全単射($x''=x$)であり、$\vee$ と $\wedge$、$0$ と $1$ を入れ替える。したがって Boole 代数で成り立つ等式から、$\vee$ と $\wedge$、$0$ と $1$ を入れ替えた等式も成り立つ(双対原理)。
$a$ を Boole 代数 $B$ の原子とする。
1:$0\le a\wedge x\le a$ なので、$a\wedge x$ は $0$ か $a$ である。$a\wedge x=a$ なら $a\le x$ である。$a\wedge x=0$ なら、prop-boolean-algebra-complement の 3 と 2 により $a\wedge x''=0$ から $a\le x'$ である。両方が成り立てば $a\le x\wedge x'=0$ となり $a\neq0$ に反する。
2:$m$ に関する帰納法で、$m=2$ の場合を示せば十分である。$a\le x\vee y$ なら、分配律により $a=a\wedge(x\vee y)=(a\wedge x)\vee(a\wedge y)$ である。$a\wedge x$ と $a\wedge y$ はそれぞれ $0$ か $a$ なので、両方 $0$ なら $a=0$ となって矛盾する。よってどちらかが $a$、すなわち $a\le x$ または $a\le y$ である。
3:$0\le a\le b$ で $b$ は原子なので $a\in\{0,b\}$ であり、$a\neq0$ から $a=b$ である。$\square$
$B$ を有限な Boole 代数とする。$0$ でない任意の $x\in B$ について $a\le x$ となる原子 $a$ があり、任意の $x\in B$ は $x$ 以下の原子全体の結びに等しい($x=0$ のときは空の結び $0$ と約束する)。
$x\neq0$ とする。$\{b\in B\mid 0< b\le x\}$ は $x$ を含む空でない有限集合なので、半順序集合として極小元 $a$ をもつ。$0\le c\le a$ で $c\neq0$ なら $0< c\le x$ なので、$a$ の極小性から $c=a$ である。よって $a$ は原子である。
次に、$x$ 以下の原子全体(有限個)の結びを $s$ とする。各原子が $x$ 以下なので $s\le x$ である。もし $x\wedge s'\neq0$ なら、前半により原子 $a\le x\wedge s'$ がある。$a\le x$ なので $a$ は $s$ の結びに加わっていて $a\le s$ であり、また $a\le s'$ なので $a\le s\wedge s'=0$ となって矛盾する。よって $x\wedge s'=0$、すなわち prop-boolean-algebra-complement の 3 により $x\le s$ であり、$x=s$ である。$\square$
$B$ を有限な Boole 代数とし、その原子全体の集合を $A$ とする。写像
$$
\varphi\colon B\to\mathcal{P}(A),\qquad \varphi(x):=\{a\in A\mid a\le x\}
$$
は Boole 代数の同型である。したがって、$A$ の元の個数を $n$ とすると $B$ の元の個数は $2^n$ であり、元の個数が等しい有限 Boole 代数どうしは同型である。
準同型であること:$a\le x\wedge y$ は「$a\le x$ かつ $a\le y$」と同値なので $\varphi(x\wedge y)=\varphi(x)\cap\varphi(y)$ である。$a\le x\vee y$ は、lem-boolean-algebra-atom の 2 と $x,y\le x\vee y$ により「$a\le x$ または $a\le y$」と同値なので、$\varphi(x\vee y)=\varphi(x)\cup\varphi(y)$ である。lem-boolean-algebra-atom の 1 により $\varphi(x')=A\setminus\varphi(x)$ である。原子は $0$ でないので $\varphi(0)=\emptyset$、どの原子も $1$ 以下なので $\varphi(1)=A$ である。
単射であること:lem-boolean-algebra-atoms-below により $x$ は $\varphi(x)$ の元の結びに等しいので、$\varphi(x)=\varphi(y)$ なら $x=y$ である。
全射であること:$S\subset A$ をとり、$x$ を $S$ の元の結び($S=\emptyset$ なら $0$)とする。$a\in S$ なら $a\le x$ なので $S\subset\varphi(x)$ である。逆に原子 $a\le x$ なら、lem-boolean-algebra-atom の 2 によりある $s\in S$ で $a\le s$ であり、同じ補題の 3 により $a=s\in S$ である。よって $\varphi(x)=S$ である。
以上より $\varphi$ は全単射な準同型、すなわち同型である。$\mathcal{P}(A)$ の元の個数は $2^n$(冪集合 の記事の命題「有限集合の冪集合の濃度」)である。元の個数が $2^n$ に等しい 2 つの有限 Boole 代数はどちらも原子を $n$ 個もち、原子の集合の間の全単射が冪集合の同型を与えるので、互いに同型である。$\square$
$30$ の約数の Boole 代数(ex-boolean-algebra-squarefree)では原子は $2,3,5$ であり、$\varphi(6)=\{2,3\}$ となって冒頭の対応が再現される。同じ結論は BS12 Chapter IV の Corollary 1.10(p. 120)にもあり、同書は直積分解を使う別の証明を与えている。有限な Boole環 が $\mathbb{F}_2^n$ に同型であること(Boole環 の記事の定理「有限Boole環の構造」)は、次の対応を通してこの定理と同じ内容になる。
Boole 代数 $B$ に $x+y:=(x\wedge y')\vee(x'\wedge y)$(対称差にあたる)、$xy:=x\wedge y$ を入れると、すべての元が $x^2=x$ を満たす環(Boole環)になり、逆に Boole 環から $x\vee y:=x+y+xy$、$x\wedge y:=xy$、$x':=1+x$ で Boole 代数が得られる。2 つの構成は互いに逆である(Boole環 の記事の命題「Boole環からBoole代数へ」と定理「Boole環とBoole代数の対応」、BS12 Chapter IV の Theorem 2.3、p. 123)。冪集合では $+$ は対称差 $(X\setminus Y)\cup(Y\setminus X)$ である。
任意の Boole 代数は、ある集合 $X$ の冪集合 $\mathcal{P}(X)$ の部分 Boole 代数($\cup,\cap$、補集合で閉じ、$\emptyset,X$ を含む部分集合族)に同型である。
証明は BS12 Chapter IV の Corollary 1.12(p. 121)に譲る。$X$ としては $B$ から $\mathbf{2}$ への準同型全体(または超フィルター全体)をとり、$x$ に $\{h\mid h(x)=1\}$ を対応させる。$0$ でない元を $1$ に送る準同型の存在にZornの補題の類いの議論が要る。さらに $X$ に適当な位相を入れると、$B$ はコンパクトで開かつ閉集合からなる開基をもつ Hausdorff空間 の開かつ閉集合全体に同型になる(Stone の双対性、BS12 Chapter IV §4 の Theorem 4.6、p. 136)。ex-boolean-algebra-cofinite と ex-boolean-algebra-atomless が示すように、「部分 Boole 代数」を「冪集合全体」に強めることはできない。
名前は G. Boole が 1847 年と 1854 年の著書で論理の法則を代数として定式化したことによる(BS12 Chapter IV の冒頭、p. 116)。「Boole 代数」は Boolean algebra の訳で、「Boolean 代数」「ブール代数」とも書く。デジタル回路の設計などでは、特定の構造ではなく $\{0,1\}$ の上の論理演算の計算規則の体系を指して「ブール代数」と呼ぶことも多い。これは本記事の $\mathbf{2}$(ex-boolean-algebra-powerset)で計算することにあたる。補元に加えて「相対擬補元」をもつ一般化が Heyting代数 であり、直観主義論理の意味論に使われる。
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