最大値原理(楕円型偏微分方程式)(maximum principle for elliptic equations)とは、2 階の楕円型作用素 $L$ について $Lu\le0$ をみたす関数が内部に頂上をもてないことを述べる定理群である。有界な領域で $L$ が一様楕円型で係数が有界、$c\equiv0$ なら最大値は境界でとられる(弱最大値原理)。連結な領域で局所一様楕円型・係数が局所有界なら、0 階の係数 $c$ が $c\equiv0$、または $c\ge0$ で最大値が $0$ 以上、または最大値が $0$ のとき、内部で最大値をとる関数は定数である(Hopf の強最大値原理)。$-\Delta u+u=f$ の弱解 $u\in H^1\cap C(\overline\Omega)$ は境界の値と $f$ の本質的上限・下限で抑えられる。
前提知識: 楕円型偏微分方程式, Hopfの補題, Sobolev空間の基本事項
2 階の楕円型方程式の最大値原理は、方程式 $Lu\le0$ をみたす関数が「内部に山の頂上をもてない」ことを述べる一群の定理である。調和関数が平均値の性質から内部で最大値をとらないこと(調和関数 の定理「最大値原理」)を、平均値の性質をもたない一般の楕円型作用素に広げたものと言える。最大値原理には主に 3 つの形がある。
$\Omega\subset\mathbb{R}^n$ を空でない開集合とし、関数はすべて実数値とする。$\Omega$ 上の関数 $a^{ij}=a^{ji},b^i,c$ を係数とする非発散形の作用素
$$
Lu:=-\sum_{i,j=1}^na^{ij}\,\partial_i\partial_ju+\sum_{i=1}^nb^i\,\partial_iu+c\,u
$$
を考える(楕円型偏微分方程式 の定義「2 階の線形楕円型偏微分方程式」と同じ符号の約束)。$L=-\Delta$ が代表例である。
$u\in C^2(\Omega)$ が $\Omega$ で $Lu\le0$ をみたすとき $u$ を $L$ の劣解、$Lu\ge0$ をみたすとき優解という。
$L=-\Delta$ の劣解は $\Delta u\ge0$ をみたす $C^2$ 級の関数で、劣調和関数 の例になっている。$u$ が劣解なら $-u$ は優解なので、最大値についての主張は、符号を変えれば最小値についての主張になる。
各コンパクト集合 $K\subset\Omega$ について、定数 $\theta_K>0$ があって $\sum_{i,j}a^{ij}(x)\xi_i\xi_j\ge\theta_K|\xi|^2$($x\in K$、$\xi\in\mathbb{R}^n$)が成り立ち、$a^{ij},b^i,c$ が $K$ の上で有界であるとき、$L$ は $\Omega$ で局所一様楕円型で係数が局所有界であるという。定数 $\theta>0$ と係数の上界が $\Omega$ 全体で一つずつとれるときは、一様楕円型で係数が有界であるという。
係数が $\Omega$ 上で連続で、各点で係数行列が正定値なら、局所一様楕円型で係数が局所有界である(コンパクト集合の上で最小固有値の最小値をとればよい)。係数の連続性は以下で使わない。
楕円型偏微分方程式 の定理「弱最大値原理」は次のとおりである。$\Omega$ を有界とし、$L$ は一様楕円型で $\sup_\Omega|b|<\infty$ とする。$u\in C^2(\Omega)\cap C(\overline\Omega)$ が $Lu\le0$ をみたすなら、$c\equiv0$ のとき $\max_{\overline\Omega}u=\max_{\partial\Omega}u$、$c\ge0$ のとき $\max_{\overline\Omega}u\le\max_{\partial\Omega}u^+$($u^+:=\max(u,0)$)である。証明はその記事にある。$\varepsilon e^{\gamma x_1}$ を加えて $Lu<0$ に直し、内部の最大点では Hesse 行列が半負定値になることを使う。帰結として、同じ記事の系「比較原理と古典解の一意性」により、$c\ge0$ なら Dirichlet 問題の古典解は高々 1 つである。
弱最大値原理は連結性を仮定しないが、最大値が内部でもとられる可能性は排除しない。たとえば $c\equiv0$ で $u$ が定数なら、最大値は至るところでとられる。強最大値原理は、それが定数の場合に限ることを示す。
$\Omega$ を連結な開集合とし、$L$ は $\Omega$ で局所一様楕円型で係数が局所有界であるとする。$u\in C^2(\Omega)$ が $\Omega$ で $Lu\le0$ をみたし、$M:=\sup_\Omega u$ が $\Omega$ のある点でとられるとする。次のいずれかが成り立てば、$\Omega$ の上で $u\equiv M$ である。
$E:=\{x\in\Omega\mid u(x)=M\}$、$\Omega^-:=\{x\in\Omega\mid u(x)< M\}$ とおく。$E$ は仮定から空でなく、$u$ の連続性から $\Omega$ の中で閉じており、$\Omega^-=\Omega\setminus E$ は開集合である。$\Omega^-$ が空でないと仮定して矛盾を導く。
段 1($E$ に接する球).$\Omega$ は連結で、$E$ と $\Omega^-$ はどちらも空でないので、$E$ は $\Omega$ の中で開集合ではない。よって $E$ の点 $z$ で、どの近傍も $\Omega^-$ と交わるものがある。$d:=\operatorname{dist}(z,\mathbb{R}^n\setminus\Omega)\in(0,\infty]$ とし($\Omega=\mathbb{R}^n$ なら $d=\infty$)、$|y-z|< d/3$ となる $y\in\Omega^-$ をとり、$\rho:=|y-z|$ とおく。$|x-y|\le\rho$ なら $|x-z|\le2\rho< d$ なので、閉球 $D:=\overline B(y,\rho)$ は $\Omega$ に含まれるコンパクト集合である。$E\cap D$ は $z$ を含む空でないコンパクト集合で、$E$ の点で $D$ の外にあるものは $y$ からの距離が $\rho$ より大きいので、$R:=\operatorname{dist}(y,E)$ は $E\cap D$ の上の最小値として $R=|y-x_0|$($x_0\in E\cap D$)ととれる。$\Omega^-$ は開集合なので $y$ のある近傍は $E$ と交わらず、$R>0$ である。$B:=B(y,R)$ とおくと、$\overline B\subset D\subset\Omega$、$B$ は $E$ と交わらないので $B\subset\Omega^-$、そして $x_0\in\partial B$ である。
段 2(Hopf の補題).$\overline B$ は $\Omega$ のコンパクト部分集合なので、$L$ は $B$ の上で一様楕円型で係数が有界である。$u\in C^2(B)\cap C(\overline B)$、$B$ の上で $Lu\le0$ かつ $u< M=u(x_0)$ である。仮定 1・2・3 はそれぞれ Hopfの補題 の定理「Hopfの補題(球の場合)」の仮定 1・2・3 にあたる(仮定 2 では $u(x_0)=M\ge0$、仮定 3 では $u(x_0)=0$)。$\nu:=(x_0-y)/R$ とすると、同定理により
$$
\liminf_{t\downarrow0}\frac{u(x_0)-u(x_0-t\nu)}{t}>0
$$
である。一方、$x_0$ は $\Omega$ の内点で $u$ の最大点なので $\nabla u(x_0)=0$ であり、$u\in C^2(\Omega)$ から左辺の差分商は $\nabla u(x_0)\cdot\nu=0$ に収束する。これは矛盾である。よって $\Omega^-$ は空であり、$u\equiv M$ である。$\square$
証明の中心は、最大値をとる集合 $E$ に外から接する球を見つけ、その接点で Hopf の補題を使うことである。内部の最大点では勾配が $0$ になるが、Hopf の補題は接点での勾配が $0$ でないことを主張するので、両者が衝突する。強最大値原理は E. Hopf による(Hop52 p. 792、脚注 1 が引く 1927 年の論文)。連結・有界で正則な(同書の言う regular な)領域と、$a^{ij}\in C^1(\overline\Omega)$、0 階の係数が $0$ 以上の発散形の作用素について、最小値の形(優解が $0$ 以下の最小値を内部でとれば定数)で述べたものが Bre11 Theorem 9.36(p. 320)であり、最小値が $0$ 以下という仮定は 0 階の係数が $0$ なら要らないことが同頁の脚注 43 にある。
$-u$ に当てはめると最小値の形が得られる。$u\in C^2(\Omega)$ が $Lu\ge0$ をみたし、$m:=\inf_\Omega u$ が $\Omega$ のある点でとられ、$c\equiv0$、または「$c\ge0$ かつ $m\le0$」、または $m=0$ なら、$u\equiv m$ である。
強最大値原理の仮定 3 は 0 階の係数の符号を問わないので、2 つの関数を比べるときに力を発揮する。
$\Omega$ を連結な開集合、$L$ を thm-mpe-strong と同じ作用素とする($c$ の符号は問わない)。$u,v\in C^2(\Omega)$ が $\Omega$ で $Lu\le Lv$ かつ $u\le v$ をみたせば、$\Omega$ のすべての点で $u< v$ であるか、$\Omega$ の上で $u\equiv v$ であるかのどちらかである。
$w:=v-u$ は $\Omega$ で $w\ge0$、$Lw=Lv-Lu\ge0$ をみたす。ある点 $x_1\in\Omega$ で $w(x_1)=0$ なら、$w$ の下限 $0$ が $x_1$ でとられる。$-w$ は $L(-w)\le0$ をみたし、上限 $0$ を $x_1$ でとるので、thm-mpe-strong の仮定 3 により $-w\equiv0$、すなわち $u\equiv v$ である。そうでなければ $\Omega$ のすべての点で $w>0$ である。$\square$
境界の値と組み合わせると、優解の正値性が得られる。
$\Omega$ を有界な連結開集合とし、$L$ は $\Omega$ で一様楕円型で係数が有界、$c\ge0$ とする。$u\in C^2(\Omega)\cap C(\overline\Omega)$ が $\Omega$ で $Lu\ge0$、$\partial\Omega$ で $u\ge0$ をみたせば、$\Omega$ のすべての点で $u>0$ であるか、$\Omega$ の上で $u\equiv0$ であるかのどちらかである。
$-u$ は $L(-u)\le0$ をみたすので、弱最大値原理($c\ge0$ の場合)により $\max_{\overline\Omega}(-u)\le\max_{\partial\Omega}(-u)^+=0$、すなわち $\Omega$ で $u\ge0$ である。cor-mpe-strong-comparison を $0$ と $u$ に当てはめる($L0=0\le Lu$、$0\le u$)と、$\Omega$ で $u>0$ か $u\equiv0$ である。$\square$
たとえば $c\ge0$ で、$Lu=f$、$u|_{\partial\Omega}=g$ の古典解は、$f\ge0$、$g\ge0$ でどちらかが恒等的に $0$ でなければ $\Omega$ の内部で真に正である($u\equiv0$ なら $f=L0=0$、$g=0$ となるから)。境界で $0$ になる正の優解について、境界での法線方向の傾きの符号を与えるのが Hopfの補題 である。同じ主張は、発散形の作用素について Bre11 Corollary 9.37(p. 320)に述べられている。
弱解は 2 回微分できるとは限らないので、最大点で Hesse 行列を見る議論は使えない。代わりに、解から境界値を超えた部分だけを切り取った関数を試験関数に使う。これを Stampacchia の切り詰めの方法という。ここでは $-\Delta u+u=f$ の場合を扱う。$H^1(\Omega)$ と $H^1_0(\Omega)$ は Sobolev空間の基本事項 の定義「Sobolev空間」「零境界値Sobolev空間」の $p=2$ の場合である。
$\Omega\subset\mathbb{R}^n$ を任意の空でない開集合、$f\in L^2(\Omega)$ とし、$u\in H^1(\Omega)$ は $\overline\Omega$ 上の連続関数に延びて、
$$
\int_\Omega\bigl(\nabla u\cdot\nabla\varphi+u\varphi\bigr)\,dx=\int_\Omega f\varphi\,dx\qquad(\varphi\in H^1_0(\Omega))
$$
をみたすとする。このとき $\Omega$ のすべての点 $x$ で
$$
\min\Bigl\{\inf_{\partial\Omega}u,\ \operatorname{ess\,inf}_\Omega f\Bigr\}\le u(x)\le\max\Bigl\{\sup_{\partial\Omega}u,\ \operatorname{ess\,sup}_\Omega f\Bigr\}
$$
である。ここで $\partial\Omega$ の上の上限・下限は連続関数 $u$ の値の上限・下限で、$\partial\Omega$ が空なら $\sup_{\partial\Omega}u=-\infty$、$\inf_{\partial\Omega}u=+\infty$ と約束する。
証明には Sobolev 空間についての次の 2 つの事実を使う。いずれもこの記事では証明しない。
上側の不等式を示す。下側は $u,f$ を $-u,-f$ に替えればよい(同じ等式をみたす)。$K:=\max\{\sup_{\partial\Omega}u,\ \operatorname{ess\,sup}_\Omega f\}$ とおく。$K=+\infty$ なら示すことはない。$\Omega$ は空でない開集合なので正の測度をもち、$\operatorname{ess\,sup}f>-\infty$ だから、以下 $K$ は実数とする。
$G\in C^1(\mathbb{R})$ を、$s\le0$ で $G(s)=0$、$s>0$ で $G(s)=s^2/(1+s^2)$ と定める。$G'(s)=2s/(1+s^2)^2$($s>0$)は有界で $0$ 以上であり、$G$ は $(0,\infty)$ で狭義に増加し、$s>0$ なら $sG(s)>0$ である。
場合 (a):$\Omega$ の測度が有限.$v:=G(u-K)$ とおく。$H(t):=G(t-K)-G(-K)$ は $H(0)=0$、$|H'|\le\sup|G'|$ をみたすので $H(u)\in H^1(\Omega)$ であり、定数関数 $G(-K)$ も(測度が有限なので)$H^1(\Omega)$ に属するから、$v\in H^1(\Omega)$、$\nabla v=G'(u-K)\nabla u$ である。$v$ は $\overline\Omega$ 上で連続で、$\partial\Omega$ の上では $u\le K$ なので $v=0$ である。よって $v\in H^1_0(\Omega)$ であり、$\varphi=v$ を代入すると
$$
\int_\Omega G'(u-K)|\nabla u|^2\,dx+\int_\Omega uG(u-K)\,dx=\int_\Omega fG(u-K)\,dx
$$
である。$G(u-K)\ge0$、ほとんど至る所で $f\le K$ であり、$|G(u-K)|\le\sup|G'|\cdot|u-K|$ は(測度が有限なので)可積分だから、右辺は $K\int G(u-K)$ 以下である。移項すると
$$
\int_\Omega G'(u-K)|\nabla u|^2\,dx+\int_\Omega(u-K)G(u-K)\,dx\le0
$$
となる。どちらの被積分関数も $0$ 以上なので、ほとんど至る所 $(u-K)G(u-K)=0$、すなわち $u\le K$ である。$u$ は連続なので、開集合 $\{x\in\Omega\mid u(x)>K\}$ は測度 $0$ であり、空である。
場合 (b):$\Omega$ の測度が無限.このとき $K\ge0$ である。実際、ある $a>0$ についてほとんど至る所 $f\le-a$ なら $\int f^2=\infty$ となり $f\in L^2$ に反するので、$\operatorname{ess\,sup}f\ge0$ である。$K'>K$ を固定し、$v:=G(u-K')$ とおく。$K'>0$ なので $t\mapsto G(t-K')$ は $0$ で $0$ になり、$v\in H^1(\Omega)$、$\nabla v=G'(u-K')\nabla u$ である。(a) と同じく $v\in H^1_0(\Omega)$ である。また $0\le G(u-K')\le\sup|G'|\cdot|u|\,\mathbf 1_{\{u\ge K'\}}$ であり、$\int_{\{u\ge K'\}}|u|\,dx\le\frac1{K'}\int_\Omega u^2\,dx<\infty$ なので $G(u-K')$ は可積分である。$\varphi=v$ を代入して (a) と同じ変形をすると($fG(u-K')\le KG(u-K')\le K'G(u-K')$)、
$$
\int_\Omega G'(u-K')|\nabla u|^2\,dx+\int_\Omega(u-K')G(u-K')\,dx\le0
$$
となり、$\Omega$ で $u\le K'$ を得る。$K'\downarrow K$ として $u\le K$ である。$\square$
とくに、$\partial\Omega$ で $u\ge0$ かつ $f\ge0$ なら $u\ge0$ であり、$\sup_\Omega|u|\le\max\{\sup_{\partial\Omega}|u|,\ \|f\|_{L^\infty}\}$ である(Bre11 Corollary 9.28、pp. 308–309)。$\Omega$ が有界で $u$ が古典解なら、内部の最大点では $-\Delta u\ge0$ なので、方程式からその点で $u\le f$ が成り立ち、同じ結論がすぐに出る(同書 Remark 27、p. 309)。弱解の方法の利点は、$u$ の 2 階微分を使わないことである。係数が $L^\infty$ の一様楕円型の発散形の作用素 $-\sum\partial_j(a^{ij}\partial_iu)+\sum a^i\partial_iu+a^0u$($a^0\ge0$)についても、弱解 $u\in H^1(\Omega)\cap C(\overline\Omega)$ について「$\partial\Omega$ で $u\ge0$ かつ $f\ge0$ なら $u\ge0$」が成り立つ(Bre11 Proposition 9.29、pp. 309–310。この記事では証明しない)。Neumann 問題 $\int(\nabla u\cdot\nabla\varphi+u\varphi)=\int f\varphi$($\varphi\in H^1(\Omega)$)の弱解 $u\in H^1(\Omega)$ については、境界の値なしに $\operatorname{ess\,inf}f\le u\le\operatorname{ess\,sup}f$ がほとんど至る所成り立つ(同書 Proposition 9.30、pp. 310–311)。証明は上と同じで、試験関数が $H^1(\Omega)$ に属すれば足りるので境界の値を使わない。
| 形 | 解の仮定 | 領域の仮定 | 結論 | 証明の道具 |
|---|---|---|---|---|
| 弱最大値原理 | $C^2(\Omega)\cap C(\overline\Omega)$、$Lu\le0$ | 有界 | $\max_{\overline\Omega}u\le\max_{\partial\Omega}u^+$($c\ge0$) | 内部の最大点での Hesse 行列 |
| 強最大値原理 | $C^2(\Omega)$、$Lu\le0$ | 連結 | 内部で最大値をとれば定数 | Hopfの補題 |
| 弱解の最大値原理 | $H^1(\Omega)\cap C(\overline\Omega)$、弱い意味で $-\Delta u+u=f$ | 任意の開集合 | 境界の値と $f$ の値で上下から抑えられる | 切り詰め $G(u-K)$ を試験関数に |
thm-mpe-strong の仮定を 1 つずつ外す。各行で $u$ は $\Omega$ の内点で上限をとるが、定数ではない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\Omega$ の連結性 | $\Omega=B(-2e_1,1)\cup B(2e_1,1)$、$L=-\Delta$、$u$ は前の球で $0$、後の球で $-1$ | $u\equiv M$(仮定 1 の場合) |
| 一様楕円性 | $\Omega=B(0,1)\subset\mathbb{R}^2$、$Lu=-\partial_1^2u$、$u=-x_2^2$ | $u\equiv M$(仮定 1 の場合) |
| 仮定 2 の $c\ge0$ | $\Omega=B(0,1)$、$L=-\Delta-1$、$u=\cos x_1$ | $u\equiv M$ |
| 仮定 2 の $M\ge0$ | $\Omega=B(0,1)$、$L=-\Delta+1$、$u=-\cosh x_1$ | $u\equiv M$ |
1 行目:$u$ は各球の上で定数なので $Lu=0$ で、上限 $0$ を前の球の各点でとるが、$\Omega$ 全体では定数でない。
2 行目:係数行列 $\operatorname{diag}(1,0)$ は半正定値だが、一様楕円型ではない。$u$ は $x_1$ によらないので $Lu=0$ であり、上限 $0$ を $x_2=0$ の点でとる。
3 行目:$Lu=\cos x_1-\cos x_1=0$ で、$B(0,1)$ の点では $|x_1|<1$ なので上限 $M=1\ge0$ を $x_1=0$ の点でとる。$c=-1<0$ である。
4 行目:$Lu=\cosh x_1-\cosh x_1=0$ で、上限 $M=-1$ を $x_1=0$ の点でとる。$c=1\ge0$ だが $M<0$ である。
3 行目と 4 行目は、仮定 2 の 2 つの条件がどちらも外せないことを示している。4 行目では $u$ は内部で上限をとるが、それは負の値なので、$c\,u$ の項が $Lu\le0$ を助ける。弱最大値原理についての反例(係数行列が不定値の場合、領域が有界でない場合、$c\ge0$ を外した場合)は 楕円型偏微分方程式 の節「仮定を外したときの反例」にある。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する