対数微分法

同義語:logarithmic differentiation

概要

対数微分法(logarithmic differentiation)とは、関数 $y=f(x)$ の両辺の絶対値の対数をとり、積・商・累乗を和・差・定数倍に直してから微分して、導関数を求める方法である。根拠は、$f$ が $x=a$ で微分可能で $f(a)\ne0$ なら $\log\lvert f(x)\rvert$ も $x=a$ で微分可能で、その微分係数が $\frac{f'(a)}{f(a)}$ になること($(\log\lvert x\rvert)'=\frac1x$ は $x<0$ でも成り立つ)である。$\frac{f'}{f}$ を対数導関数(相対変化率)といい、積の相対変化率は各因数の相対変化率の和になる。$x^x$ のように底と指数の両方に $x$ がある関数の微分に使える。$f(a)=0$ の点では使えず、そこで微分可能かどうかは別に調べる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 連鎖律(高校数学), 指数関数の微分, 積の微分とLeibnizの公式

高校での出発点:$x^x$ を微分する

数学 III で $y=x^x$($x>0$)を微分するとき、教科書では「両辺の対数をとってから微分する」方法を習う。この方法を対数微分法という。まず、この方法で $x^x$ を微分してみる。

例 1:$y=x^x$ の導関数

$x>0$ で $y=x^x$ とする。$y>0$ なので、両辺の自然対数をとれる。
$$ \log y=\log x^x=x\log x $$
両辺を $x$ で微分する。左辺は $\log y$ の中身 $y$ が $x$ の関数なので、連鎖律により $\dfrac{y'}{y}$ になる。右辺は積の微分により $1\cdot\log x+x\cdot\dfrac1x=\log x+1$ になる。よって
$$ \frac{y'}{y}=\log x+1,\qquad y'=y(\log x+1)=\boxed{x^x(\log x+1)} $$
である。
数値で確かめる。$x=2$ では $y'=4(\log2+1)=6.77258\ldots$ である。平均変化率 $\dfrac{(2+h)^{2+h}-4}{h}$ は

$h$$0.1$$0.01$$0.001$
平均変化率$7.49638\ldots$$6.84040\ldots$$6.77932\ldots$

となり、$6.77258\ldots$ に近づく。

例 2:たくさんの因数の積と商

$x>0$、$x\ne2$ で
$$ y=\frac{(x+1)^3}{(x-2)^2\sqrt x} $$
を微分する。商の微分をそのまま使うと、分子の微分に積の微分が要り、分母の 2 乗 $(x-2)^4x$ が出てきて計算が長くなる。
対数微分法では、先に対数で積と商を和と差に直す。$x-2$ は負のこともあるので、絶対値をつけて
$$ \log\lvert y\rvert=3\log(x+1)-2\log\lvert x-2\rvert-\frac12\log x $$
とする($x+1>0$、$x>0$ なので、その 2 つには絶対値が要らない)。両辺を微分すると
$$ \frac{y'}{y}=\frac{3}{x+1}-\frac{2}{x-2}-\frac{1}{2x} $$
となる。$x=1$ では $y=\dfrac{2^3}{(-1)^2\cdot1}=8$、$\dfrac{y'}{y}=\dfrac32+2-\dfrac12=3$ なので $y'=8\cdot3=24$ である。

2 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. 例 2 の $y$ そのものは正だが、因数 $x-2$ は $0< x<2$ で負になる。負の数の対数はとれないので絶対値をつけたが、$\log\lvert x-2\rvert$ の導関数が $\dfrac1{x-2}$ になるのはなぜか。→ lem-lgd-log-abs
  2. 左辺の $\log\lvert y\rvert$ を微分すると $\dfrac{y'}{y}$ になるのはなぜか。どんな仮定が要るのか。→ thm-lgd-main
  3. 積・商・累乗がいくつ重なっても、同じ手順で微分できるのはなぜか。→ cor-lgd-product
  4. $\dfrac{y'}{y}$ という量には、どんな意味があるのか。→ def-lgd-logderiv、prop-lgd-relative-rate
  5. $y=0$ になる点ではどうなるのか。→ ex-lgd-zero
    高校の計算この記事での見方ボックス
    両辺の対数をとって微分する$(\log\lvert f\rvert)'=\dfrac{f'}{f}$($f\ne0$ の点)thm-lgd-main
    $\log\lvert x\rvert$ の微分$x<0$ でも $\dfrac1x$lem-lgd-log-abs
    積・商・累乗の微分を和で計算する対数導関数は和・差・定数倍になるcor-lgd-product
    $\dfrac{y'}{y}$相対変化率(成長率)def-lgd-logderiv、prop-lgd-relative-rate
    $x^x$ の最小値対数導関数の符号で増減を調べるex-lgd-xx-graph

取り出す構造:対数導関数

例 1・例 2 で最後に出てきたのは、どちらも $\dfrac{y'}{y}$ という形の式だった。この量に名前をつける。

対数導関数

関数 $f$ が $x=a$ で微分可能で、$f(a)\ne0$ とする。このとき
$$ \frac{f'(a)}{f(a)} $$
を、$f$ の $x=a$ での対数導関数(logarithmic derivative)という。$f$ を時刻 $x$ での量とみるときは、これを相対変化率(成長率)ともいう。

名前の由来は、後の thm-lgd-main で示すとおり、これが $\log\lvert f(x)\rvert$ の導関数に等しいことにある。「相対」というのは、変化の速さ $f'$ を、そのときの量 $f$ に対する割合で測っているからである。

対数導関数の例
  1. $f(x)=x^3$($x\ne0$):$\dfrac{f'(x)}{f(x)}=\dfrac{3x^2}{x^3}=\dfrac3x$。$x=2$ では $\dfrac32$ である。
  2. $f(x)=5e^{2x}$:$\dfrac{f'(x)}{f(x)}=\dfrac{10e^{2x}}{5e^{2x}}=2$。係数 $5$ によらず、どの $x$ でも $2$ である。
  3. $f(x)=100\cdot1.05^x$:$f'(x)=100\cdot1.05^x\log1.05$ なので $\dfrac{f'(x)}{f(x)}=\log1.05=0.04879\ldots$。毎年 $5\%$ ずつ増える量の相対変化率は、ほぼ $0.05$ だが、ちょうど $0.05$ ではない。

2 では、定数倍 $5$ が対数導関数に効いていない。$(cf)'/(cf)=cf'/(cf)=f'/f$ だからである。対数導関数は「どれだけあるか」ではなく「何倍の速さで増えているか」を見る量である。

主定理と証明

$\log\lvert x\rvert$ の導関数

指数関数の微分 では、$x>0$ で $(\log x)'=\dfrac1x$ であることを示した。負の数の対数は(実数の範囲では)ないが、絶対値をつけた $\log\lvert x\rvert$ は $x<0$ でも定義される。

$\log\lvert x\rvert$ の導関数

$x\ne0$ で
$$ (\log\lvert x\rvert)'=\frac1x $$
である。

方針:$x>0$ と $x<0$ に分け、$x<0$ では $\lvert x\rvert=-x$ と書いて連鎖律を使う。
段 1($x>0$ のとき)。$\lvert x\rvert=x$ なので $\log\lvert x\rvert=\log x$ であり、指数関数の微分 で示した $(\log x)'=\dfrac1x$ そのものである。
段 2($x<0$ のとき)。$\lvert x\rvert=-x$ で、$-x>0$ である。$x$ を少し動かしても $x$ は負のままなので、$x<0$ の近くでは $\log\lvert x\rvert=\log(-x)$ と書ける。これは外側 $\log u$、中身 $u=-x$ の合成関数である。外側の導関数は $\dfrac1u$、中身の導関数は $-1$ なので、連鎖律(高校数学) により
$$ (\log(-x))'=\frac1{-x}\cdot(-1)=\frac1x $$
である。
段 1・段 2 より、$x\ne0$ のすべての $x$ で $(\log\lvert x\rvert)'=\dfrac1x$ である。$\square$

$\log\lvert x\rvert$ の導関数を数値で確かめる

$x=-2$ では、補題から $(\log\lvert x\rvert)'=-\dfrac12$ である。平均変化率は、$h=0.001$ で
$$ \frac{\log\lvert-2+0.001\rvert-\log\lvert-2\rvert}{0.001}=\frac{\log1.999-\log2}{0.001}=-0.50012\ldots $$
となり、$-\dfrac12$ に近い。$x$ を $-2$ から少し右($0$ の側)に動かすと $\lvert x\rvert$ は小さくなるので、$\log\lvert x\rvert$ は減る。導関数が負なのはこのためである。

グラフで見ると、$y=\log\lvert x\rvert$ は $y=\log x$ のグラフを $y$ 軸について折り返した形を $x<0$ の側にもつ。折り返すと接線の傾きの符号が変わるので、$x=-a$ での傾きは $-\dfrac1a=\dfrac1{-a}$ となり、$\dfrac1x$ の形にそろう。

主定理:$\log\lvert f\rvert$ の導関数は $\dfrac{f'}{f}$

対数導関数は $\log\lvert f\rvert$ の導関数

関数 $f$ が $x=a$ で微分可能で、$f(a)\ne0$ とする。このとき $\log\lvert f(x)\rvert$ は $x=a$ の近くで定義され、$x=a$ で微分可能で
$$ \bigl(\log\lvert f(x)\rvert\bigr)'\Big|_{x=a}=\frac{f'(a)}{f(a)} $$
である。$f$ が区間 $I$ の各点で微分可能で、$I$ 上で $f(x)\ne0$ なら、$I$ 上で $(\log\lvert f\rvert)'=\dfrac{f'}{f}$ である。

方針:$\log\lvert f(x)\rvert$ を、外側 $\log\lvert u\rvert$、中身 $u=f(x)$ の合成関数とみて、連鎖律と lem-lgd-log-abs を使う。
段 1($a$ の近くで $f\ne0$)。$f$ は $x=a$ で微分可能なので、$x=a$ で連続である(微分係数と導関数の定義(高校数学) の定理「微分可能な点では連続」)。$f(a)\ne0$ なので、$x$ が $a$ に十分近ければ $f(x)$ は $f(a)$ に近く、$f(x)\ne0$ である。たとえば $f(a)>0$ なら、$x$ が $a$ に十分近いとき $\lvert f(x)-f(a)\rvert< f(a)$ となり、$f(x)>0$ である($f(a)<0$ でも同じ)。よって $\log\lvert f(x)\rvert$ は $x=a$ の近くで定義される。
段 2(外側の関数)。外側の関数 $L(u)=\log\lvert u\rvert$ は、lem-lgd-log-abs により $u=f(a)\ne0$ で微分可能で、$L'(f(a))=\dfrac1{f(a)}$ である。
段 3(連鎖律)。中身 $f$ は $x=a$ で微分可能で、外側 $L$ は $u=f(a)$ で微分可能なので、連鎖律(高校数学) により合成関数 $L(f(x))=\log\lvert f(x)\rvert$ は $x=a$ で微分可能で
$$ \bigl(\log\lvert f(x)\rvert\bigr)'\Big|_{x=a}=L'(f(a))\cdot f'(a)=\frac1{f(a)}\cdot f'(a)=\frac{f'(a)}{f(a)} $$
である。
段 4(区間の場合)。区間 $I$ の各点で段 1〜段 3 を使えば、後半の主張になる。$\square$

この定理は、Leb26 の Proposition 5.4.1 (ii)($\log$ の導関数、p. 207)と Proposition 4.1.10(連鎖律、p. 159)を組み合わせたものである。
定理を逆向きに読むと、$f'=f\cdot(\log\lvert f\rvert)'$ となる。これが対数微分法の根拠である。$\log\lvert f\rvert$ の導関数を別の方法で(たとえば対数の性質で和に直してから)計算できれば、それに $f$ を掛けて $f'$ が求まる。

定理を確かめる

$f(x)=\sin x$、$a=\dfrac\pi4$ とする。定理から $(\log\lvert\sin x\rvert)'=\dfrac{\cos x}{\sin x}$ で、$x=\dfrac\pi4$ では $1$ である。$x=\dfrac{5\pi}4$($\sin x<0$)でも $\dfrac{\cos x}{\sin x}=\dfrac{-1/\sqrt2}{-1/\sqrt2}=1$ である。

多項式の例で確かめる

$f(x)=x^2-4$ とする。$x=1$ では $f(1)=-3<0$ で、$\log\lvert f(x)\rvert=\log(4-x^2)$($-2< x<2$)である。連鎖律で直接微分すると $\dfrac{-2x}{4-x^2}$ で、$x=1$ では $-\dfrac23$ である。定理の右辺は $\dfrac{f'(1)}{f(1)}=\dfrac{2}{-3}=-\dfrac23$ で、一致する。

この例を積分の向きに読むと、$\displaystyle\int\frac{\cos x}{\sin x}\,dx=\log\lvert\sin x\rvert+C$ となる。一般に $\displaystyle\int\frac{f'(x)}{f(x)}\,dx=\log\lvert f(x)\rvert+C$($f\ne0$ の区間で)であり、有理関数の積分 や 置換積分の使い方 で使う形である。

対数微分法:積・商・累乗を和に直す

積と累乗の対数導関数

積・商・累乗の対数導関数

関数 $f_1,f_2,\dots,f_n$ が $x=a$ で微分可能で、$f_1(a),\dots,f_n(a)$ がどれも $0$ でないとする。整数 $p_1,\dots,p_n$ について
$$ F(x)=f_1(x)^{p_1}f_2(x)^{p_2}\cdots f_n(x)^{p_n} $$
とおくと、$F$ は $x=a$ で微分可能で、$x=a$ で
$$ \frac{F'}{F}=p_1\frac{f_1'}{f_1}+p_2\frac{f_2'}{f_2}+\cdots+p_n\frac{f_n'}{f_n} $$
である。$f_i(a)>0$ となる $f_i$ については、指数 $p_i$ は整数でなく実数でもよい($f_i^{p_i}=e^{p_i\log f_i}$ と定める)。

指数が負の整数なら $f_i$ は分母にあり、商になる。たとえば $F=\dfrac{f_1^3}{f_2^2}$ は $p_1=3$、$p_2=-2$ の場合である。

方針:$\log\lvert F\rvert$ を対数の性質で和に直し、各項に thm-lgd-main を使う。最後に thm-lgd-main を $F$ にも使って、2 通りの計算を比べる。
段 1($F$ が微分可能で $F(a)\ne0$)。$f_i(a)\ne0$ なので $f_i^{p_i}$ は $x=a$ の近くで定義され(thm-lgd-main の証明の段 1 と同じ理由で、$a$ の近くで $f_i\ne0$)、$p_i$ が整数なら積と商の微分により、$p_i$ が実数で $f_i(a)>0$ なら $e^{p_i\log f_i}$ として連鎖律により、$x=a$ で微分可能である。積の微分により $F$ も $x=a$ で微分可能である。また $F(a)$ は $0$ でない数の積なので $F(a)\ne0$ である。
段 2(対数で和に直す)。$a$ の近くで $\lvert F\rvert=\lvert f_1\rvert^{p_1}\cdots\lvert f_n\rvert^{p_n}$ で、どの因数も正なので、対数の性質 $\log(st)=\log s+\log t$、$\log s^p=p\log s$($s,t>0$)により
$$ \log\lvert F(x)\rvert=p_1\log\lvert f_1(x)\rvert+\cdots+p_n\log\lvert f_n(x)\rvert $$
である。
段 3(両辺を微分する)。右辺の各項は、thm-lgd-main により $x=a$ で微分可能で、$(p_i\log\lvert f_i\rvert)'=p_i\dfrac{f_i'}{f_i}$ である。和の微分により、右辺の導関数は $\displaystyle\sum_{i=1}^n p_i\frac{f_i'}{f_i}$ である。左辺の導関数は、段 1 と thm-lgd-main により $\dfrac{F'}{F}$ である。
段 4(結論)。段 2 の等式は $a$ の近くのすべての $x$ で成り立つ関数の等式なので、両辺の導関数も等しい(1 点 $x=a$ だけで等しい 2 つの関数なら、導関数が等しいとは限らない)。段 3 の 2 つの結果を等しいとおけば、主張の式になる。$\square$

対数微分法の手順

$y=F(x)$ を対数微分法で微分するには、次のようにする。

  1. $y\ne0$ となる $x$ だけを考える($y=0$ の点は別に調べる。ex-lgd-zero)。
  2. 両辺の絶対値の対数をとり、対数の性質で積・商・累乗を和・差・定数倍に直す。
  3. 両辺を $x$ で微分する。左辺は $\dfrac{y'}{y}$(thm-lgd-main)。
  4. 両辺に $y$ を掛けて $y'$ を求める。
    すべての因数が正である範囲では、手順 2 の絶対値は省いてよい。

同じ手順は StH16 の §3.9 の小節「Logarithmic Differentiation」にもあり、そこでは $y=x^x$ も練習として挙がっている(Checkpoint 3.54)。

例 2 の答えを整理する

ex-lgd-start-quotient の $y=\dfrac{(x+1)^3}{(x-2)^2\sqrt x}$ は、cor-lgd-product で $f_1=x+1$、$f_2=x-2$、$f_3=x$、$p_1=3$、$p_2=-2$、$p_3=-\dfrac12$ とした場合である($f_3=x>0$ なので $p_3$ は整数でなくてよい)。$y'$ を 1 つの分数にまとめると
$$ \begin{aligned} y'&=\frac{(x+1)^3}{(x-2)^2\sqrt x}\left(\frac3{x+1}-\frac2{x-2}-\frac1{2x}\right)\\ &=\frac{(x+1)^3}{(x-2)^2\sqrt x}\cdot\frac{6x(x-2)-4x(x+1)-(x+1)(x-2)}{2x(x+1)(x-2)}\\ &=\frac{(x+1)^3}{(x-2)^2\sqrt x}\cdot\frac{x^2-15x+2}{2x(x+1)(x-2)}\\ &=\frac{(x+1)^2(x^2-15x+2)}{2x\sqrt x\,(x-2)^3} \end{aligned} $$
となる。2 行目の分子は $6x^2-12x-4x^2-4x-(x^2-x-2)=x^2-15x+2$ である。$x=1$ では $\dfrac{4\cdot(-12)}{2\cdot1\cdot(-1)}=24$ で、ex-lgd-start-quotient と一致する。$x=4$ では $y=\dfrac{125}{8}$、$\dfrac{y'}{y}=\dfrac35-1-\dfrac18=-\dfrac{21}{40}$ で、$y'=-\dfrac{525}{64}$ である。

指数にも $x$ があるとき

$x^x$ のように底と指数の両方に $x$ があると、$(x^n)'=nx^{n-1}$ も $(a^x)'=a^x\log a$ も使えない。前者は指数が定数のとき、後者は底が定数のときの公式だからである。このときは対数微分法が本領を発揮する。

$y=x^{\sin x}$($x>0$)

$y>0$ なので $\log y=\sin x\cdot\log x$ である。両辺を微分すると、右辺は積の微分で
$$ \frac{y'}{y}=\cos x\cdot\log x+\sin x\cdot\frac1x $$
となる。よって
$$ y'=x^{\sin x}\left(\cos x\log x+\frac{\sin x}{x}\right) $$
である。$x=\dfrac\pi2$ では $\sin x=1$、$\cos x=0$ なので、$y=\dfrac\pi2$、$y'=\dfrac\pi2\left(0+\dfrac{1}{\pi/2}\right)=1$ である。

公式を対数微分法で導き直す
  1. $a>0$ を定数として $y=a^x$。$\log y=x\log a$ を微分して $\dfrac{y'}{y}=\log a$、よって $y'=a^x\log a$。相対変化率 $\log a$ がちょうど $1$ になる底が $a=e$ である(eはなぜ特別か)。
    ほかの 2 つの例を開く
    • $r$ を実数として $y=x^r$($x>0$)。$\log y=r\log x$ を微分して $\dfrac{y'}{y}=\dfrac rx$、よって $y'=x^r\cdot\dfrac rx=rx^{r-1}$。連鎖律(高校数学) で $x^r=e^{r\log x}$ として求めた結果と同じである。
    • $y=f(x)g(x)$($f,g\ne0$)。$\dfrac{y'}{y}=\dfrac{f'}{f}+\dfrac{g'}{g}$ に $y=fg$ を掛けて $y'=f'g+fg'$。積の微分の公式が出る。ただしこれは $f,g\ne0$ の点だけでの導き方で、積の微分そのものの証明にはならない(積の微分とLeibnizの公式 は $0$ になる点も含めて証明している)。

$x^x$ のグラフ

$y=x^x$ の増減と最小値

ex-lgd-start-xx より、$x>0$ で $y'=x^x(\log x+1)$ である。$x^x>0$ なので、$y'$ の符号は $\log x+1$ の符号と同じである。$\log x+1=0$ となるのは $\log x=-1$、つまり $x=\dfrac1e$ のときで、$\log x$ は増加関数なので

$x$$0$$\cdots$$\dfrac1e$$\cdots$
$y'$$-$$0$$+$
$y$減少最小増加

となる。最小値は $\left(\dfrac1e\right)^{1/e}=e^{-1/e}=0.69220\ldots$ である。
$x\to+0$ のとき $x^x=e^{x\log x}$ で、$x\log x\to0$ なので $x^x\to e^0=1$ である。このように対数をとって指数の部分の極限を調べる方法は、1の∞乗型の極限 でも使う。数値では $0.1^{0.1}=0.79432\ldots$、$0.01^{0.01}=0.95499\ldots$、$0.001^{0.001}=0.99311\ldots$ となる。

詳細

$x\log x\to0$($x\to+0$)を示す。$t=-\log x$ とおくと、$x\to+0$ のとき $t\to+\infty$ で、$x=e^{-t}$、$x\log x=-te^{-t}=-\dfrac{t}{e^t}$ である。$t\ge0$ で $e^t\ge1+t+\dfrac{t^2}2$ が成り立つ($g(t)=e^t-1-t-\dfrac{t^2}2$ とおくと $g(0)=0$、$g'(t)=e^t-1-t$ で、$g'(0)=0$、$g''(t)=e^t-1\ge0$ から $g'\ge0$、よって $g\ge0$)。したがって $t>0$ で $0<\dfrac{t}{e^t}\le\dfrac{t}{t^2/2}=\dfrac2t$ であり、はさみうちにより $\dfrac t{e^t}\to0$ である。

y = x^x のグラフ。x = 1/e で最小値 e^(−1/e) ≈ 0.692 をとり、x → +0 で 1 に近づき、(1, 1) と (2, 4) を通ることを見る図 y = x^x のグラフ。x = 1/e で最小値 e^(−1/e) ≈ 0.692 をとり、x → +0 で 1 に近づき、(1, 1) と (2, 4) を通ることを見る図
図 1 のとおり、$y=x^x$ は $x=\dfrac1e$ まで減り、その後は増える。$x\to+0$ で $1$ に近づくが、$x=0$ では定義しない($0^0$ は定めない)。

直接の微分との比べ方

形直接微分する対数微分法
積 $f_1f_2\cdots f_n$積の微分を $n-1$ 回。項が $n$ 個できる$\dfrac{f_1'}{f_1}+\cdots+\dfrac{f_n'}{f_n}$ を足して $y$ を掛ける
商 $\dfrac{f}{g}$商の微分。分母が $g^2$$\dfrac{f'}{f}-\dfrac{g'}{g}$
累乗 $f^p$連鎖律 $pf^{p-1}f'$$p\dfrac{f'}{f}$
$f^g$(底と指数に $x$)$e^{g\log f}$ と書き直して連鎖律$g'\log f+g\dfrac{f'}{f}$
注意$f=0$ の点でも使える$f_i=0$ の点では使えない

因数が 2 つ程度なら、直接の微分で十分である。因数が多いときや、底と指数の両方に $x$ があるときに、対数微分法が役に立つ。

相対変化率として読む

def-lgd-logderiv で、$\dfrac{f'}{f}$ を相対変化率とも呼んだ。cor-lgd-product をこの言葉で言い直すと、次のようになる。

相対変化率の足し算

$f$、$g$ が $x=a$ で微分可能で、$f(a)\ne0$、$g(a)\ne0$ とする。$x=a$ で

  1. 積 $fg$ の相対変化率は、$f$ と $g$ の相対変化率の和である:$\dfrac{(fg)'}{fg}=\dfrac{f'}{f}+\dfrac{g'}{g}$。
  2. 商 $\dfrac fg$ の相対変化率は、相対変化率の差である:$\dfrac{(f/g)'}{f/g}=\dfrac{f'}{f}-\dfrac{g'}{g}$。
  3. 整数 $p$ について、$f^p$ の相対変化率は $f$ の相対変化率の $p$ 倍である:$\dfrac{(f^p)'}{f^p}=p\dfrac{f'}{f}$。$f(a)>0$ なら $p$ は実数でよい。

cor-lgd-product で、1 は $n=2$、$p_1=p_2=1$ の場合、2 は $n=2$、$p_1=1$、$p_2=-1$ の場合、3 は $n=1$、$p_1=p$ の場合である。$\square$

相対変化率を足す
  1. 長方形の横が毎秒 $2\%$、縦が毎秒 $3\%$ の相対変化率で伸びているとき、面積の相対変化率は
    $$ \frac{(\text{面積})'}{\text{面積}}=\underbrace{0.02}_{\text{横}}+\underbrace{0.03}_{\text{縦}}=0.05 $$
    で、毎秒 $5\%$ である。横と縦の長さそのもの(たとえば $10$ と $20$ か、$1$ と $100$ か)にはよらない。
    ほかの 2 つの例を開く
    • 円の半径 $r$ が相対変化率 $1\%$ で増えると、面積 $\pi r^2$ の相対変化率は $2\times1\%=2\%$、球の体積 $\dfrac43\pi r^3$ の相対変化率は $3\%$ である(3 で $p=2,3$。定数倍 $\pi$、$\dfrac43\pi$ は相対変化率に効かない)。
    • 物の値段が相対変化率 $3\%$ で上がり、売れる個数が相対変化率 $1\%$ で減るとき、売上(値段 $\times$ 個数)の相対変化率は $0.03+(-0.01)=0.02$、つまり $2\%$ である。

相対変化率は「瞬間の」割合である。1 秒後の実際の増え方で比べると、横と縦がそれぞれ $1.02$ 倍、$1.03$ 倍になれば面積は $1.02\times1.03=1.0506$ 倍で、増加の割合は $5\%$ ではなく $5.06\%$ である。ところが倍率の対数で比べると
$$ \log1.02+\log1.03=\log(1.02\times1.03)=\log1.0506 $$
で、ちょうど足し算になる。相対変化率が足し算になるのは、それが対数の変化の速さ $(\log\lvert f\rvert)'$ だからである。
相対変化率が一定の値 $k$ になる関数は、$f(x)=Ce^{kx}$ の形のものに限る。これは 微分方程式としての指数関数・三角関数 で示されていて、$\dfrac{y'}{y}=g(x)$ の形の方程式を解く方法は 変数分離形の微分方程式 で扱う。人口や細菌の数の相対変化率が一定だと仮定したものが指数モデルで、指数モデルとロジスティックモデル で扱う。

例と反例:どこで使えないか

外す条件反例成り立たなくなること
$f(a)\ne0$$y=x^2(x-1)^3$、$y=\sqrt[3]{x^2}$ の $x=0$$\dfrac{y'}{y}$ が定義されず、微分可能かどうかを判定できない
対数の中が正$y=(x-3)(x+1)^2$ で $\log y=\log(x-3)+2\log(x+1)$ と書く($x=1$)両辺の対数が定義されない(式として意味をもたない)
指数が定数・底が定数$x^x$ に $(x^n)'=nx^{n-1}$ や $(a^x)'=a^x\log a$ を使う導関数の値(正しい値と違う)
反例:$y=0$ となる点
  1. $y=x^2(x-1)^3$ とする。$x\ne0,1$ では cor-lgd-product により
    $$ y'=x^2(x-1)^3\left(\frac2x+\frac3{x-1}\right)=2x(x-1)^3+3x^2(x-1)^2 $$
    である。右辺の最後の式は $x=0$ でも値 $0$ をもち、実際 $y'(0)=0$ である。しかしこの結論は対数微分法からは出ない。$x=0$ で成り立つ理由は、積の微分(積の微分とLeibnizの公式)が $0$ になる点でも使えることにある。
  2. $y=\sqrt[3]{x^2}$(すべての実数 $x$ で、実数の 3 乗根をとる)とする。$x\ne0$ では $\log\lvert y\rvert=\dfrac23\log\lvert x\rvert$ なので $\dfrac{y'}{y}=\dfrac2{3x}$、$y'=\dfrac23\cdot\dfrac{\sqrt[3]{x^2}}{x}=\dfrac2{3\sqrt[3]x}$ である。この式は $x=0$ で値をもたない。実際、$x=0$ での平均変化率は $\dfrac{\sqrt[3]{h^2}}{h}=\dfrac1{\sqrt[3]h}$ で、$h=0.001$ で $10$、$h=-0.001$ で $-10$ となり、$h\to0$ で収束しない。$y$ は $x=0$ で微分可能でない。
    1 と 2 のどちらも、$x=0$ では $y=0$ で、$\dfrac{y'}{y}$ が作れない。$y=0$ の点で微分可能かどうかは、定義や積の微分に戻って別に調べる必要がある。
反例:絶対値を落とす

$y=(x-3)(x+1)^2$ の $x=1$ での微分係数を求める。$x=1$ では $x-3=-2<0$、$y=-8<0$ なので、$\log y$ も $\log(x-3)$ も定義されない。「$\log y=\log(x-3)+2\log(x+1)$ を微分する」という計算は、$-1< x<3$ では意味をもたない。
絶対値をつけて $\log\lvert y\rvert=\log\lvert x-3\rvert+2\log\lvert x+1\rvert$ とすれば、$-1< x<3$ でも正しい等式で、lem-lgd-log-abs により
$$ \frac{y'}{y}=\frac1{x-3}+\frac2{x+1} $$
である。$x=1$ では $\dfrac{y'}{y}=-\dfrac12+1=\dfrac12$、$y'=-8\cdot\dfrac12=-4$ となる。直接微分すると $y'=(x+1)^2+2(x-3)(x+1)$ で、$x=1$ では $4-8=-4$ と一致する。
絶対値を書き忘れても最後の式が同じになるのは、$\log\lvert u\rvert$ の導関数が $u$ の正負によらず $\dfrac{u'}{u}$ だからである。答えが合っていても、途中の式が意味をもつのは絶対値をつけたときだけである。

反例:底か指数を定数とみなす

$y=x^x$ の $x=2$ での微分係数を、次の 2 つの誤った方法で求めてみる。

  1. 指数を定数とみなして $(x^n)'=nx^{n-1}$ を使う:$x\cdot x^{x-1}=x^x$ で、$x=2$ では $4$。
  2. 底を定数とみなして $(a^x)'=a^x\log a$ を使う:$x^x\log x$ で、$x=2$ では $4\log2=2.77258\ldots$。
    正しい値は ex-lgd-start-xx の $4(\log2+1)=6.77258\ldots$ で、どちらとも違う。ところが、正しい値は 2 つの誤った値の和 $4+2.77258\ldots$ になっている。
    2 つの誤った値の和が正しい値になる理由

    これは偶然ではない。$u$、$v$ を微分可能な関数とし、$u>0$ とする。$y=u^v$ について $\log y=v\log u$ を微分すると $\dfrac{y'}{y}=v'\log u+v\dfrac{u'}{u}$ なので $\displaystyle (u^v)'=\underbrace{vu^{v-1}u'}_{\text{指数 }v\text{ を止めて微分}}+\underbrace{u^v\log u\cdot v'}_{\text{底 }u\text{ を止めて微分}}$ である。積の微分で「片方ずつ止めて微分して足す」のと同じ形である。

大学数学で見る:多項式の対数導関数と根

多項式 $f(x)=c(x-\alpha_1)(x-\alpha_2)\cdots(x-\alpha_n)$($c\ne0$、$\alpha_i$ は実数)に cor-lgd-product を使う。定数 $c$ の導関数は $0$ なので、$f(x)\ne0$ となる $x$ で
$$ \frac{f'(x)}{f(x)}=\frac1{x-\alpha_1}+\frac1{x-\alpha_2}+\cdots+\frac1{x-\alpha_n} $$
である。対数導関数は、根の位置だけで決まる。

$f(x)=x^3-x$

$f(x)=(x+1)x(x-1)$ なので $\dfrac{f'(x)}{f(x)}=\dfrac1{x+1}+\dfrac1x+\dfrac1{x-1}$ である。$x=2$ では $f(2)=6$、右辺は $\dfrac13+\dfrac12+1=\dfrac{11}6$ なので $f'(2)=6\cdot\dfrac{11}6=11$ となる。直接には $f'(x)=3x^2-1$ で、$f'(2)=11$ と一致する。

上は y = x³ − x のグラフで根 −1, 0, 1 と極値の点。下は f′/f のグラフで、根の位置で縦の漸近線をもち、隣り合う根の間で単調に減って 0 を 1 回だけ横切ることを見る図 上は y = x³ − x のグラフで根 −1, 0, 1 と極値の点。下は f′/f のグラフで、根の位置で縦の漸近線をもち、隣り合う根の間で単調に減って 0 を 1 回だけ横切ることを見る図
図 2 の下のグラフでは、$\dfrac{f'}{f}$ は隣り合う根の間で $+\infty$ から $-\infty$ へ減っていき、ちょうど 1 回だけ $0$ になる。その点が $f'$ の根、つまり $f$ の極値の点である。これは一般に成り立つ。

根がすべて実数で異なる多項式の導関数の根

$f(x)=c(x-\alpha_1)\cdots(x-\alpha_n)$($c\ne0$、$n\ge2$、$\alpha_1<\alpha_2<\cdots<\alpha_n$ は実数)とする。隣り合う 2 つの根の間の各区間 $(\alpha_i,\alpha_{i+1})$ に、$f'$ の根がちょうど 1 つある。$f'$ の根はこの $n-1$ 個ですべてである。

要点:$\dfrac{f'}{f}=\sum\dfrac1{x-\alpha_j}$ の導関数は $-\sum\dfrac1{(x-\alpha_j)^2}<0$ なので、区間 $(\alpha_i,\alpha_{i+1})$ で $\dfrac{f'}{f}$ は $+\infty$ から $-\infty$ へ狭い意味で減少し、中間値の定理によりちょうど 1 回 $0$ になる。$f'$ は $n-1$ 次なので、根はこれで全部である。

詳しい証明を開く

方針:区間 $(\alpha_i,\alpha_{i+1})$ で $\dfrac{f'}{f}$ が $+\infty$ から $-\infty$ へ単調に減ることを示し、中間値の定理を使う。

段 1(単調に減る)。区間 $(\alpha_i,\alpha_{i+1})$ では $f\ne0$ である。$\dfrac{f'}{f}=\displaystyle\sum_{j=1}^n\frac1{x-\alpha_j}$ を微分すると$$\left(\frac{f'}{f}\right)'=-\sum_{j=1}^n\frac1{(x-\alpha_j)^2}<0$$なので、$\dfrac{f'}{f}$ はこの区間で狭い意味で減少する(関数の増減と極値)。

段 2(両端での振る舞い)。$x\to\alpha_i+0$ のとき、項 $\dfrac1{x-\alpha_i}$ は $+\infty$ に発散し、ほかの項は有限の値 $\dfrac1{\alpha_i-\alpha_j}$ に近づく。よって $\dfrac{f'}{f}\to+\infty$ である。同じように $x\to\alpha_{i+1}-0$ では、項 $\dfrac1{x-\alpha_{i+1}}\to-\infty$ なので $\dfrac{f'}{f}\to-\infty$ である。

段 3(根がちょうど 1 つ)。段 2 より、区間の中に $\dfrac{f'}{f}>0$ となる点と $<0$ となる点がある。$\dfrac{f'}{f}$ は区間で連続なので、関数の連続性と中間値の定理(高校数学) の中間値の定理により $0$ になる点がある。段 1 より狭い意味で減少するので、$0$ になる点は 1 つだけである。区間では $f\ne0$ なので、$\dfrac{f'}{f}=0$ と $f'=0$ は同じことである。

段 4(ほかに根はない)。$f'$ は $n-1$ 次の多項式なので、根は重複を数えて $n-1$ 個以下である。段 3 で $n-1$ 個の区間から 1 つずつ、合わせて $n-1$ 個の根を見つけたので、これで全部である。$\square$

ex-lgd-cubic の $f=x^3-x$ では、$f'=3x^2-1$ の根 $\pm\dfrac1{\sqrt3}=\pm0.577\ldots$ が、区間 $(-1,0)$ と $(0,1)$ に 1 つずつある。

大学数学で見ると:偏角の原理

重複する根があるときは、$\alpha$ が $m$ 重の根なら $\dfrac{m}{x-\alpha}$ の項になり、対数導関数は根とその重複度を記録している。複素数の範囲では、この見方が 偏角の原理 に広がる(ここでは紹介だけで、証明しない)。

偏角の原理の概要を開く

複素数の関数 $f(z)$ が、自分と交わらない閉曲線 $C$ の上と内側で微分可能(正則)で、$C$ の上では $0$ にならないとする。このとき、$C$ を反時計回りに 1 周する積分 $\dfrac1{2\pi i}\displaystyle\oint_C\frac{f'(z)}{f(z)}\,dz$ は、$C$ の内側にある $f$ の根の個数(重複度を数える)に等しい。多項式なら、$\dfrac{f'}{f}=\sum\dfrac{m_j}{z-\alpha_j}$ の各項が、根 $\alpha_j$ が内側にあるときだけ $m_j$ を与える。$\log f$ の虚部が $f$ の偏角なので、この積分は「$z$ が $C$ を 1 周する間に、$f(z)$ の偏角が何周分変わるか」を数えている。詳しくは 対数微分 と 偏角の原理 を見よ。

さらに先へ

  • 積分の向き:$\displaystyle\int\frac{f'(x)}{f(x)}\,dx=\log\lvert f(x)\rvert+C$ は、thm-lgd-main を積分の向きに読んだものである。有理関数の積分で部分分数に分けたあと、各項をこの形で積分する(有理関数の積分)。
  • 微分方程式:$\dfrac{y'}{y}=g(x)$ の形の方程式は、両辺を積分して $\log\lvert y\rvert=\displaystyle\int g(x)\,dx$ と解ける。一般の $y'=f(x)g(y)$ の形は 変数分離形の微分方程式 で扱う。
  • 対数微分:大学では、$\dfrac{f'}{f}$ を $f$ の 対数微分 と呼び、ガンマ関数の対数微分(digamma 関数)や、複素関数の根を数える 偏角の原理 で使う。

関連項目

参考文献

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