全有界

同義語:totally boundedプレコンパクトprecompact

概要

全有界(totally bounded)とは、距離空間 $(X,d)$ が任意の $\varepsilon>0$ に対して有限個の点 $a_1,\dots,a_m$ をもち、半径 $\varepsilon$ の開球 $B(a_i,\varepsilon)$ の和集合が $X$ 全体になる(有限な $\varepsilon$-網をもつ)という性質であり、Bourbaki の流儀ではプレコンパクトとも呼ばれる。一つの大きな球に収まるだけの有界性より強く、有限次元 Euclid 空間では両者は一致するが、無限離散距離空間や無限次元 Hilbert 空間の単位球は有界だが全有界でない。全有界性は任意の点列が Cauchy 部分列をもつことと同値であり、距離空間がコンパクトであることは完備かつ全有界であることと同値である。部分集合と閉包に遺伝し、一様連続像で保たれるが、同相写像では保たれない。

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前提知識: 距離空間, 開球, 有界, 点列, Cauchy列

定義

全有界な距離空間

$(X,d)$ を距離空間とし、$x\in X$ と $r>0$ に対して開球を $B(x,r):=\{y\in X\mid d(x,y)< r\}$ と書く。$\varepsilon>0$ に対し、$X$ の有限部分集合 $F$ が $X$ の $\varepsilon$-網($\varepsilon$-net)であるとは、
$$ X=\bigcup_{a\in F}B(a,\varepsilon), $$
すなわち $X$ の各点 $x$ に対して $d(x,a)<\varepsilon$ となる $a\in F$ が存在することをいう。
$X$ が全有界(totally bounded)であるとは、任意の $\varepsilon>0$ に対して $X$ の $\varepsilon$-網が存在することをいう。$X$ の部分集合 $A$ が全有界であるとは、$d$ を $A$ に制限した距離空間 $(A,d|_{A\times A})$ が全有界であることをいう。
比較のため、$X$ が有界であるとは、$X=\emptyset$ であるか、またはある $x_0\in X$ と $R>0$ について $X\subset B(x_0,R)$ となることをいう(有界)。空でない $X$ については、これは直径 $\operatorname{diam}X:=\sup\{d(x,y)\mid x,y\in X\}$ が有限であることと同値である。

空集合は全有界である($F=\emptyset$ が $\varepsilon$-網)。全有界性は、Bourbaki の流儀ではプレコンパクト(precompact)とも呼ばれる(Bou98 Chapter II §4)。ただし「プレコンパクト」を「閉包がコンパクト」の意味で使う文献もあるので注意を要する。二つの意味の関係は cor-totally-bounded-relatively-compact で述べる。

直感

有界性は「空間全体が一つの大きな球に収まる」ことであり、全有界性は「どんなに小さい半径を指定しても、その半径の有限個の球で空間全体を覆える」ことである。画素の大きさをどれだけ細かくしても有限個の画素で全体を描ける、というのが全有界性の像である。有限次元の Euclid空間では有界集合はすべて全有界だが(ex-totally-bounded-euclid)、無限個の点が互いに一定距離以上離れていられる空間(無限離散空間、無限次元のHilbert空間の単位球)では有界でも全有界にならない。全有界性はコンパクト空間の性質のうち「無限遠へ逃げない」部分を切り出したものであり、「極限が空間内に存在する」部分である完備性(完備距離空間)と合わせるとコンパクト性に戻る(thm-totally-bounded-compact)。全有界性は位相だけでは決まらず、距離(より一般には一様構造)に依存する性質である(rem-totally-bounded-not-topological)。

例と反例

Euclid空間の有界集合

$\mathbb{R}^n$ の有界な部分集合 $A$ は全有界である。実際、$A\subset[-M,M]^n$ となる $M>0$ をとり、$\varepsilon>0$ に対して $h:=\varepsilon/\sqrt{n}$ とおく。格子点の集合
$$ G:=\{(j_1h,\dots,j_nh)\mid j_i\in\mathbb{Z},\ |j_ih|\le M+h\ (i=1,\dots,n)\} $$
は有限集合である。$x\in[-M,M]^n$ に対し、各座標で $|x_i-j_ih|\le h/2$ となる整数 $j_i$ をとると $g:=(j_1h,\dots,j_nh)\in G$ であり、$\|x-g\|\le\sqrt{n}\cdot h/2<\varepsilon$ である。よって $A\subset\bigcup_{g\in G}B(g,\varepsilon)$ であり、prop-totally-bounded-basic の 2 により $A$ は全有界である。特に閉区間 $[a,b]$、開区間 $(a,b)$、$\mathbb{Q}\cap[0,1]$ はいずれも全有界である。逆に全有界な部分集合は有界なので(prop-totally-bounded-basic の 1)、$\mathbb{R}^n$ の部分集合については有界と全有界は同値である。

反例:無限離散距離空間

無限集合 $X$ に離散距離 $d(x,y)=1$($x\neq y$)、$d(x,x)=0$ を入れる。$X$ は有界である(直径は $1$ で、任意の $x_0$ について $X=B(x_0,2)$)。しかし $\varepsilon=1/2$ に対して $B(x,1/2)=\{x\}$ なので、有限集合 $F$ について $\bigcup_{a\in F}B(a,1/2)=F\neq X$ となり、$1/2$-網は存在しない。よって $X$ は全有界でない。$X$ は完備でもある(Cauchy 列は $\varepsilon=1/2$ に対応する番号から先が一定なので収束する)。
満たす性質:有界、完備。満たさない性質:全有界、コンパクト。破る含意:「有界ならば全有界」「有界かつ完備ならばコンパクト」。

反例:Hilbert空間の単位球

二乗和が収束する実数列の空間 $\ell^2$ に $\|x\|:=(\sum_{i}x_i^2)^{1/2}$ から定まる距離 $d(x,y)=\|x-y\|$ を入れ、閉単位球 $B:=\{x\in\ell^2\mid\|x\|\le1\}$ を考える。$B$ は有界であり、ノルムが連続なので $\ell^2$ の閉集合である。第 $i$ 成分だけが $1$ の点を $e_i$ とすると $e_i\in B$ で、$i\neq j$ について $\|e_i-e_j\|=\sqrt{2}$ である。半径 $\varepsilon:=\sqrt{2}/2$ の開球に属する二点の距離は三角不等式により $\sqrt{2}$ 未満なので、一つの開球は $e_0,e_1,\dots$ のうち高々一つしか含まない。したがって有限個の開球 $B(a,\sqrt2/2)$ では無限個の $e_i$ を覆えず、$B$ は全有界でない。thm-totally-bounded-compact により $B$ はコンパクトでもない(コンパクト空間 も同じ例を扱う)。
満たす性質:有界、閉集合。満たさない性質:全有界、コンパクト。破る含意:「距離空間の有界閉集合は全有界」。有限次元では成り立つこの含意(ex-totally-bounded-euclid)が無限次元では崩れる。

反例:全有界だが完備でない空間

開区間 $X=(0,1)$ は $\mathbb{R}$ の有界集合なので全有界である(ex-totally-bounded-euclid)。しかし点列 $x_n:=1/(n+2)$($n\in\mathbb{N}$)は Cauchy 列であるのに $X$ の点に収束しない($\mathbb{R}$ での極限 $0$ が $X$ に属さない)ので、$X$ は完備でなく、thm-totally-bounded-compact によりコンパクトでもない。$\mathbb{Q}\cap[0,1]$ も同様に全有界だが完備でない。
満たす性質:全有界、有界。満たさない性質:完備、コンパクト。破る含意:「全有界ならばコンパクト」。

性質

有界性・部分集合・閉包・一様連続像

$(X,d)$ を距離空間とする。

  1. 空でない全有界な距離空間は有界である。
  2. 部分集合 $A\subset X$ が全有界であることは、任意の $\varepsilon>0$ に対して $X$ の有限個の点 $x_1,\dots,x_m$ で $A\subset\bigcup_{i=1}^mB(x_i,\varepsilon)$ となるものが存在することと同値である(網の中心を $A$ の外にとってもよい)。
  3. 全有界な集合の部分集合は全有界であり、有限個の全有界な部分集合の和集合は全有界である。
  4. 部分集合 $A\subset X$ が全有界であることと、その閉包 $\overline{A}$ が全有界であることは同値である。
  5. $f\colon X\to Y$ を距離空間の間の一様連続写像とする。$X$ が全有界ならば像 $f(X)$ は全有界である。
  1. $1$-網 $\{a_1,\dots,a_m\}$ をとる($X\neq\emptyset$ なので $m\ge1$)。$R:=1+\max_id(a_1,a_i)$ とおくと、任意の $x\in X$ はある $a_i$ について $d(x,a_i)<1$ を満たすので $d(x,a_1)< R$、すなわち $X=B(a_1,R)$ である。
  2. $A$ が全有界なら、$A$ の $\varepsilon$-網の点は $X$ の点でもあるので条件は満たされる。逆に条件を仮定し、$\varepsilon>0$ に対して $A\subset\bigcup_{i=1}^mB(x_i,\varepsilon/2)$ となる $x_1,\dots,x_m\in X$ をとる。$B(x_i,\varepsilon/2)\cap A\neq\emptyset$ となる各 $i$ について $a_i\in B(x_i,\varepsilon/2)\cap A$ を選ぶ(有限回の選択)。$a\in A$ に対し $a\in B(x_i,\varepsilon/2)$ となる $i$ をとると $a_i$ が定まっており、$d(a,a_i)\le d(a,x_i)+d(x_i,a_i)<\varepsilon$ である。よって選んだ $a_i$ たちは $A$ の $\varepsilon$-網である。
  3. $A$ が全有界で $A'\subset A$ なら、$A$ の $\varepsilon$-網は 2 の条件を $A'$ について満たすので $A'$ は全有界である。$A_1,\dots,A_k$ が全有界なら、各 $A_j$ の $\varepsilon$-網の和集合は有限集合で、$A_1\cup\cdots\cup A_k$ を半径 $\varepsilon$ の開球で覆うので、2 により和集合は全有界である。
  4. $A$ が全有界なら、$\varepsilon>0$ に対し $A$ の $\varepsilon/2$-網 $F$ をとる。$x\in\overline{A}$ に対し $d(x,a)<\varepsilon/2$ となる $a\in A$ があり、$a$ に対し $d(a,b)<\varepsilon/2$ となる $b\in F$ があるので $d(x,b)<\varepsilon$ である。よって $\overline{A}\subset\bigcup_{b\in F}B(b,\varepsilon)$ となり、2 により $\overline{A}$ は全有界である。逆は 3 による。
  5. $\varepsilon>0$ に対し、一様連続性により $d_X(x,x')<\delta$ ならば $d_Y(f(x),f(x'))<\varepsilon$ となる $\delta>0$ をとる。$X$ の $\delta$-網 $F$ に対し、$f(x)\in f(X)$ は $d_X(x,a)<\delta$ となる $a\in F$ をもち、$d_Y(f(x),f(a))<\varepsilon$ である。よって $f(F)$ は $f(X)$ の $\varepsilon$-網である。$\square$
Cauchy部分列による特徴づけ

距離空間 $(X,d)$ について、次は同値である。

  1. $X$ は全有界である。
  2. $X$ の任意の点列は Cauchy列である部分列をもつ。

1 ⇒ 2:$(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ を $X$ の点列とする。無限集合の減少列 $\mathbb{N}\supset S_0\supset S_1\supset\cdots$ を次のように定める。$S_{-1}:=\mathbb{N}$ とおく。$S_{k-1}$ が無限集合として定まったとき、$X$ の $2^{-k}$-網 $F_k$ をとると、$S_{k-1}=\bigcup_{a\in F_k}\{n\in S_{k-1}\mid x_n\in B(a,2^{-k})\}$ は有限個の集合の和なので、そのうち少なくとも一つは無限集合である。それを $S_k$ とし、対応する中心を $a_k$ とする。この可算回の選択には従属選択公理を用いる。番号を $n_0:=\min S_0$、$n_k:=\min\{n\in S_k\mid n>n_{k-1}\}$ で定めると $n_0< n_1<\cdots$ であり、$k\ge j$ ならば $n_k\in S_k\subset S_j$、すなわち $x_{n_k}\in B(a_j,2^{-j})$ である。よって $k,l\ge j$ ならば $d(x_{n_k},x_{n_l})\le d(x_{n_k},a_j)+d(a_j,x_{n_l})<2^{1-j}$ であり、$(x_{n_k})$ は Cauchy 列である。
2 ⇒ 1:対偶を示す。$X$ が全有界でないとすると、ある $\varepsilon>0$ について $\varepsilon$-網が存在しない。特に $X\neq\emptyset$ である。$x_0\in X$ を任意にとり、$x_0,\dots,x_n$ が定まったとき、有限集合 $\{x_0,\dots,x_n\}$ は $\varepsilon$-網でないので $x_{n+1}\in X\setminus\bigcup_{i=0}^nB(x_i,\varepsilon)$ がとれる(従属選択公理)。こうして得た点列は $m\neq n$ について $d(x_m,x_n)\ge\varepsilon$ を満たすので、どの部分列も Cauchy 列でない。$\square$

コンパクト性との関係

距離空間 $(X,d)$ について、次は同値である。

  1. $X$ はコンパクトである。
  2. $X$ は完備かつ全有界である。

1 ⇒ 2:$\varepsilon>0$ に対し、開球の族 $\{B(x,\varepsilon)\mid x\in X\}$ は $X$ の開被覆である(開球が開集合であることは 距離空間 が扱う)。コンパクト性により有限部分被覆 $B(a_1,\varepsilon),\dots,B(a_m,\varepsilon)$ がとれ、$\{a_1,\dots,a_m\}$ は $\varepsilon$-網である。よって $X$ は全有界である。完備性を示す。コンパクトな距離空間は点列コンパクトである(点列コンパクト が証明をもつ)。$(x_n)$ を Cauchy 列とし、$X$ のある点 $x$ に収束する部分列 $(x_{n_k})$ をとる。$\varepsilon>0$ に対し、$m,n\ge N$ ならば $d(x_m,x_n)<\varepsilon/2$ となる $N$ をとり、さらに $n_k\ge N$ かつ $d(x_{n_k},x)<\varepsilon/2$ となる $k$ をとる。$n\ge N$ ならば $d(x_n,x)\le d(x_n,x_{n_k})+d(x_{n_k},x)<\varepsilon$ なので、$(x_n)$ は $x$ に収束する。
2 ⇒ 1:$X$ の任意の点列は、thm-totally-bounded-cauchy により Cauchy 部分列をもち、完備性によりその部分列は $X$ の点に収束する。よって $X$ は点列コンパクトであり、点列コンパクトな距離空間はコンパクトである(点列コンパクト が証明をもつ)。$\square$

完備距離空間の中の全有界集合

$(X,d)$ を完備距離空間、$A\subset X$ とする。$A$ が全有界であることと、閉包 $\overline{A}$ がコンパクトであることは同値である。

$\overline{A}$ は完備である。実際、$\overline{A}$ の Cauchy 列は $X$ の Cauchy 列なので $X$ の点 $x$ に収束し、$\overline{A}$ は閉集合なので $x\in\overline{A}$ である。したがって thm-totally-bounded-compact により $\overline{A}$ がコンパクトであることは $\overline{A}$ が全有界であることと同値であり、これは prop-totally-bounded-basic の 4 により $A$ が全有界であることと同値である。$\square$

この系により、完備距離空間の中では「全有界」と「閉包がコンパクト(相対コンパクト)」は一致する。「プレコンパクト」の二つの用法が食い違わないのはこの状況である。一方、ex-totally-bounded-open-interval の $(0,1)$ は自分自身の中では全有界だが、閉包(自分自身)はコンパクトでない。全有界性は距離空間そのものの性質であり、どの空間に埋め込まれているかによらないのに対し、相対コンパクト性は周囲の空間に依存する。特に、全有界な距離空間の完備化はコンパクトである(完備化の中で元の空間の像は稠密かつ全有界であり、その閉包=完備化が上の系によりコンパクト)。

全有界な距離空間は可分

全有界な距離空間 $X$ は可分である(可分空間)。すなわち $X$ は高々可算な稠密部分集合をもつ。

各 $k\in\mathbb{N}$ について $X$ の $1/(k+1)$-網 $F_k$ を一つ選ぶ(可算選択公理)。$D:=\bigcup_{k\in\mathbb{N}}F_k$ は有限集合の可算和なので高々可算である。$x\in X$ と $\varepsilon>0$ に対し、$1/(k+1)<\varepsilon$ となる $k$ をとると、$d(x,a)<1/(k+1)<\varepsilon$ となる $a\in F_k\subset D$ がある。よって $D$ は稠密である。$\square$

補足

全有界性は位相的性質でない

$\mathbb{R}$ に通常の距離 $d(x,y)=|x-y|$ を入れた空間は有界でないので全有界でない(prop-totally-bounded-basic の 1)。一方、$\rho(x,y):=|\arctan x-\arctan y|$ とおくと $\rho$ も $\mathbb{R}$ 上の距離であり($\arctan$ は単射)、$(\mathbb{R},\rho)$ は全有界である。実際、$\arctan\colon(\mathbb{R},\rho)\to\mathbb{R}$ は距離を保つ写像で、像 $(-\pi/2,\pi/2)$ は $\mathbb{R}$ の有界集合なので全有界であり(ex-totally-bounded-euclid)、距離を保つ全単射で全有界性は移るので $(\mathbb{R},\rho)$ も全有界である。ところが恒等写像 $(\mathbb{R},d)\to(\mathbb{R},\rho)$ は同相写像である($\arctan$ とその逆写像 $\tan$ は連続で狭義単調なので、$d$ の開区間と $\rho$ の開球が互いに含み合う)。したがって、同じ位相を定める二つの距離の一方だけが全有界になりうる。
満たす性質:$(\mathbb{R},\rho)$ は全有界、$(\mathbb{R},d)$ と同相。満たさない性質:$(\mathbb{R},d)$ は全有界でない。破る含意:「全有界性は同相写像で保たれる」。prop-totally-bounded-basic の 5 が示すように、全有界性を保つのは一様連続な全単射で逆も一様連続なもの(一様同型)であり、全有界性は位相的性質ではなく一様的性質である。同じ例で $(\mathbb{R},\rho)$ が完備でないことも分かる(thm-totally-bounded-compact:もし完備なら全有界と合わせてコンパクトになるが、$(\mathbb{R},d)$ はコンパクトでなく、コンパクト性は位相的性質だからである)。

一様空間への一般化

全有界性は距離を使わずに一様空間の言葉で定義できる。一様空間 $(X,\mathcal{U})$ が全有界(Bourbaki の用語ではプレコンパクト)であるとは、任意の近縁 $V\in\mathcal{U}$ に対して有限集合 $F\subset X$ で $X=\bigcup_{a\in F}V[a]$($V[a]:=\{y\mid(a,y)\in V\}$)となるものが存在することをいう。距離空間の距離から定まる一様構造については、近縁 $V_\varepsilon=\{(x,y)\mid d(x,y)<\varepsilon\}$ に対して $V_\varepsilon[a]=B(a,\varepsilon)$ なので、この定義は def-totally-bounded と一致する。一様空間でも、Hausdorff な一様空間がコンパクトであることは完備かつ全有界であることと同値であり、全有界性は「任意の超フィルターがCauchy フィルターである」ことと同値である。これらの証明は Bou98 Chapter II §4 に譲る。距離空間の場合の thm-totally-bounded-cauchy と thm-totally-bounded-compact は、この一般論の点列による特殊形である。標準的な扱いは Mun00 §45 と Engelking89 §4.3 にもある。

関連項目

参考文献

[1]
James R. Munkres, Topology, Prentice Hall, 2000, §45(全有界性、距離空間のコンパクト性と完備性・全有界性の同値)
[2]
Ryszard Engelking, General Topology, Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, 1989, §4.3(完備距離空間と全有界な距離空間、コンパクト距離空間の特徴づけ)
[3]
Nicolas Bourbaki, General Topology: Chapters 1–4, Elements of Mathematics, Springer-Verlag, 1998, Chapter II §4(プレコンパクト空間:一様空間における全有界性、超フィルターによる特徴づけ、コンパクト性との関係)

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