Milnorの構成(Milnor construction)とは、位相群 $G$ の元に重みを付けた有限個の形式的な凸結合の全体である無限ジョイン $EG=G*G*\cdots$ に、重みとラベルの座標関数を連続にする最も粗い位相を入れ、$G$ の右作用で割って $BG=EG/G$ を得る構成である。$G$ に何の仮定も置かずに、$\omega\colon EG\to BG$ は可算被覆的な主 $G$ 束になり、座標を 1 つずつずらすホモトピーにより $EG$ は可縮である。$\omega$ は普遍 $G$ 束で $BG$ は $G$ の分類空間であり、連続な準同型は分類空間の間の写像を関手的に誘導する。$G=\mathbb{Z}/2$、$S^1$ の有限ジョインはそれぞれ球面 $S^n$、$S^{2n+1}$ である。
位相群(位相群)$G$ が与えられたとき、$G$ の元に重みを付けた形式的な凸結合の全体 $EG$ を作り、$G$ を右から掛ける作用で割って空間 $BG$ を得る。これが Milnor の構成であり、$\omega\colon EG\to BG$ は任意の位相群について可算被覆的な主 $G$ 束になり、全空間 $EG$ は可縮である。$G$ に局所コンパクト性などの仮定を何も置かずに普遍束を与えることが、この構成の要点である。$BG$ が $G$ の分類空間であること、すなわち $\omega$ の引き戻しが可算被覆的な主 $G$ 束をすべて分類することは 主束の分類定理 で証明する。主束の定義と記号は 分類空間 の記事にそろえる。なお、多面体の基本予想の反例を与える Milnor の構成(基本予想)とは別のものである。
$G$ を位相群とし、$e$ をその単位元とする。集合 $EG$ を、形式的な無限列
$$
x=(t_0g_0,\ t_1g_1,\ t_2g_2,\ \dots),\qquad t_i\in[0,1],\ g_i\in G,\ \sum_it_i=1
$$
で、有限個の $i$ を除いて $t_i=0$ であるものの全体とする。ただし $t_i=0$ の位置では $g_i$ を無視する($0g=0g'$ と同一視する)。$x$ の第 $i$ 位置の重みを $t_i(x):=t_i$、ラベルを $g_i(x):=g_i$($t_i(x)>0$ のときだけ定める)と書く。$EG$ には、すべての
$$
t_i\colon EG\to[0,1],\qquad g_i\colon\{t_i>0\}\to G\qquad(i\ge0)
$$
が連続になる最も粗い位相を入れる($\{t_i>0\}$ には部分空間の位相を入れる)。この空間 $EG$ を $G$ の無限ジョイン(ジョイン)といい、$G*G*G*\cdots$ とも書く。$G$ は $EG$ に右から
$$
(t_0g_0,\ t_1g_1,\ \dots)\cdot g:=(t_0(g_0g),\ t_1(g_1g),\ \dots)
$$
で作用する。商空間(商空間)$BG:=EG/G$ と商写像 $\omega\colon EG\to BG$ の組を $G$ の Milnor の構成(Milnor construction)という。
$n\ge0$ について、$i>n$ で $t_i=0$ となる点の全体を $E_n G$ と書き、$G$ の $(n+1)$ 個の有限ジョインという。$E_0G\subset E_1G\subset\cdots$ であり、$EG=\bigcup_nE_nG$ である。
$t_i=0$ の位置のラベルを無視するので、$g_i$ は $EG$ 全体では定まらず、開集合 $\{t_i>0\}$ の上の写像である。$G=\mathbb{Z}/2$ の場合、$E_1G$ は $4$ 本の線分 $(s\,a,\ (1-s)\,b)$($a,b\in\{\pm1\}$、$s\in[0,1]$)を端点で貼り合わせた四角形、すなわち円周である(ex-mc-z2)。
位相の定め方から、$EG$ への写像の連続性は座標ごとに確かめられる。以下の連続性の議論はすべてこの判定による。
位相空間 $Y$ からの写像 $F\colon Y\to EG$ が連続であるための必要十分条件は、すべての $i$ について、$t_i\circ F\colon Y\to[0,1]$ が連続で、$g_i\circ F$ が開集合 $\{t_i\circ F>0\}$ の上で連続であることである。
位相 $\mathcal{T}$ で $t_i$ が連続であることは、$[0,1]$ の開集合 $V$ について $t_i^{-1}(V)\in\mathcal{T}$ となることである。このとき $\{t_i>0\}\in\mathcal{T}$ なので、$g_i$ が部分空間 $\{t_i>0\}$ の上で連続であることは、$G$ の開集合 $W$ について $g_i^{-1}(W)\in\mathcal{T}$ となることと同値である。したがって $EG$ の位相は、族 $\{t_i^{-1}(V)\}\cup\{g_i^{-1}(W)\}$ を部分基とする位相である。
$F$ が連続なら、$t_i\circ F$ は連続写像の合成であり、$g_i\circ F$ は開集合 $F^{-1}(\{t_i>0\})=\{t_i\circ F>0\}$ の上の連続写像の合成である。逆に条件が成り立つとき、部分基の元の逆像 $F^{-1}(t_i^{-1}(V))=(t_i\circ F)^{-1}(V)$ は開である。$F^{-1}(g_i^{-1}(W))=(g_i\circ F)^{-1}(W)$ は開集合 $\{t_i\circ F>0\}$ の開部分集合なので $Y$ で開である。部分基の元の逆像がすべて開なので $F$ は連続である。$\square$
$EG\times G\to EG$、$(x,g)\mapsto xg$ は連続な自由作用(群の作用)であり、商写像 $\omega\colon EG\to BG$ は開写像である。各 $t_i$ は作用で不変なので、$BG$ 上の連続関数 $\bar t_i$ で $\bar t_i\circ\omega=t_i$ を満たすものが定まり、$\sum_i\bar t_i=1$ である。
$t_i(xg)=t_i(x)$ は連続であり、$g_i(xg)=g_i(x)g$ は開集合 $\{(x,g)\mid t_i(x)>0\}$ の上で連続な写像 $g_i$ と群の積の合成なので連続である。prop-mc-criterion により作用は連続である。$xg=x$ なら $t_i(x)>0$ となる $i$ をとると $g_i(x)g=g_i(x)$ なので $g=e$ であり、作用は自由である。$V\subset EG$ が開なら、右移動 $x\mapsto xg$ は逆写像 $x\mapsto xg^{-1}$ をもつ同相写像なので、$\omega^{-1}(\omega(V))=\bigcup_{g\in G}Vg$ は開であり、$\omega(V)$ は開である。$t_i$ は $G$ の軌道の上で一定なので、商写像の性質から $\bar t_i$ が連続に定まる。$\square$
有限ジョイン $E_nG$ は、$n+1$ 個の「頂点の箱」$0,1,\dots,n$ のそれぞれから $G$ の元を 1 つずつ選び、それらを重み $t_0,\dots,t_n$ で結んだ単体の全体である。箱が $n+1$ 個しかないと、$G=\mathbb{Z}/2$ では $E_nG$ は $n$ 次元球面になり、穴が残る(ex-mc-z2)。箱を無限個にすると、どの点も有限個の箱しか使わないので、重みを使っていない箱へ順に移しておけば(位置ずらし)、空いた箱 $0$ の頂点 $1e$ へ直線で縮められる。こうして $EG$ は可縮になる。
$G$ の位相と群構造は、ラベル $g_i$ を通じて右作用と商 $BG$ の側に現れる。座標の重み $t_i$ は作用で変わらないので $BG$ 上の関数 $\bar t_i$ になり、$\{\bar t_i>0\}$ の上ではラベル $g_i$ が「その点が軌道のどこにいるか」を指定する。これが局所自明化である。
任意の位相群 $G$ について、$\omega\colon EG\to BG$ は可算被覆的な主 $G$ 束である。より詳しく、$U_i:=\{\bar t_i>0\}$ とおくと、$U_i$ の上の連続な切断 $s_i\colon U_i\to EG$ で $g_i\circ s_i=e$ を満たすものがあり、$U_i\times G\to\omega^{-1}(U_i)$、$(b,h)\mapsto s_i(b)h$ は $G$ 同変な同相写像である。
$E_i:=\omega^{-1}(U_i)=\{t_i>0\}$ は開集合で、$G$ の作用で保たれる。$\omega$ は開写像(prop-mc-action)なので、その制限 $E_i\to U_i$ は開な連続全射であり、商写像である。
切断:$s_i'\colon E_i\to EG$、$s_i'(x):=x\cdot g_i(x)^{-1}$ は、$g_i$、逆元をとる写像、作用の合成なので連続である。$s_i'(xg)=xg\cdot(g_i(x)g)^{-1}=x\cdot g_i(x)^{-1}=s_i'(x)$ なので $s_i'$ は軌道の上で一定であり、商写像 $E_i\to U_i$ を通じて連続写像 $s_i\colon U_i\to EG$、$s_i(\omega(x))=x\cdot g_i(x)^{-1}$ が定まる。$\omega(s_i(b))=b$ であり、$g_i(s_i(\omega(x)))=g_i(x)g_i(x)^{-1}=e$ である。
局所自明化:$\psi_i\colon U_i\times G\to E_i$、$\psi_i(b,h):=s_i(b)h$ と $\varphi_i\colon E_i\to U_i\times G$、$\varphi_i(x):=(\omega(x),\,g_i(x))$ はともに連続で、$\psi_i(b,hg)=\psi_i(b,h)g$、$\varphi_i(xg)=\varphi_i(x)g$ を満たす。$t_i(s_i(b)h)=\bar t_i(b)>0$ なので $\psi_i$ の値は $E_i$ に入る。
$$
\varphi_i\psi_i(b,h)=\bigl(b,\ g_i(s_i(b))\,h\bigr)=(b,h),\qquad \psi_i\varphi_i(x)=x\cdot g_i(x)^{-1}g_i(x)=x
$$
なので、$\varphi_i$ は $G$ 同変な同相写像で $\mathrm{pr}_1\circ\varphi_i=\omega$ を満たす。$\bigcup_iU_i=BG$ なので $\omega$ は主 $G$ 束であり、各 $U_i$ とその開部分集合は自明化開集合である。
可算被覆性:族 $(\bar t_i)_i$ は和が $1$ だが局所有限とは限らないので、取り直す。
$$
w_i:=\max\Bigl\{0,\ \bar t_i-\sum_{j< i}\bar t_j\Bigr\}
$$
とおくと $w_i$ は連続で、$\{w_i>0\}\subset U_i$ である。$b\in BG$ をとる。$b$ の代表は有限個の位置しか使わないので、$i>n$ で $\bar t_i(b)=0$ となる $n$ があり、$\sum_{j\le n}\bar t_j(b)=1$ である。開近傍 $N:=\{\sum_{j\le n}\bar t_j>1/2\}$ の点 $y$ と $i>n$ について、和が $1$ であることから
$$
\bar t_i(y)\le1-\sum_{j\le n}\bar t_j(y)<\frac12<\sum_{j\le n}\bar t_j(y)\le\sum_{j< i}\bar t_j(y)
$$
なので $w_i(y)=0$ である。また $\bar t_m(b)>0$ となる最小の $m$ について $w_m(b)=\bar t_m(b)>0$ である。よって $W:=\sum_iw_i$ は局所的に有限和なので連続かつ正であり、$v_i:=w_i/W$ は局所有限な 1 の分割(1の分割)で、$\{v_i>0\}=\{w_i>0\}\subset U_i$ は自明化開集合である。したがって $\omega$ は可算被覆的である。$\square$
切断 $s_i$ は「ラベル $g_i$ が単位元になるように軌道の代表を選ぶ」写像である。1 の分割 $(v_i)$ について、$v_i$ の台($\{v_i>0\}$ の閉包)は $U_i$ に含まれるとは限らない。たとえば $G$ を自明な群とし、$b=(0,1,0,\dots)$ と $b_\varepsilon=(\varepsilon,1-\varepsilon,0,\dots)$ をとると、$\varepsilon\to0$ で $b_\varepsilon\to b$ であり、$v_0(b_\varepsilon)>0$ なので $b$ は $v_0$ の台に入るが、$\bar t_0(b)=0$ なので $b\notin U_0$ である。台を自明化開集合に含めたい場合は、主束の分類定理 の補題「閉じた台への取り直し」でさらに取り直せばよい。
座標を 1 つ右へずらす写像が恒等写像にホモトピック(ホモトピー)であることを示し、それを使って $EG$ を一点へ縮める。
整数 $m\ge0$ に対し、$\sigma_m\colon EG\to EG$ を
$$
\sigma_m(t_0g_0,\ t_1g_1,\ \dots):=(t_0g_0,\ \dots,\ t_{m-1}g_{m-1},\ 0,\ t_mg_m,\ t_{m+1}g_{m+1},\ \dots)
$$
(第 $m$ 位置に $0$ を挿入し、第 $m$ 座標以降を 1 つ右へずらす)で定める。このとき $G$ 同変な連続写像 $H\colon EG\times[0,1]\to EG$ で、$H(x,0)=\sigma_m(x)$、$H(x,1)=x$ を満たし、しかも $i< m$ について $t_i(H(x,\tau))=t_i(x)$、$g_i(H(x,\tau))=g_i(x)$ を満たすものが存在する。
$n\ge0$ について $\sigma_n$ を上の式で定める。$\sigma_n(x)$ と $\sigma_{n+1}(x)$ は第 $n$、第 $n+1$ 位置以外で一致し($i< n$ では $t_ig_i$、$i\ge n+2$ では $t_{i-1}g_{i-1}$)、その 2 つの位置は $\sigma_n(x)$ では $(0,\ t_ng_n)$、$\sigma_{n+1}(x)$ では $(t_ng_n,\ 0)$ である。そこで $K_n\colon EG\times[0,1]\to EG$ を、第 $n$ 位置を $(s\,t_n)g_n$、第 $n+1$ 位置を $((1-s)t_n)g_n$ とし、ほかの位置を $\sigma_n(x)$ と同じとする写像と定める。重みの和は $1$ であり、$K_n(x,0)=\sigma_n(x)$、$K_n(x,1)=\sigma_{n+1}(x)$ で、$K_n$ は $G$ 同変であり、第 $n$ 位置より前を動かさない。重みは $x$ と $s$ の連続関数で、重みが正の所のラベルは $g_n(x)$、$g_i(x)$、$g_{i-1}(x)$ のどれかなので、prop-mc-criterion により $K_n$ は連続である。
$a_k:=1-2^{-k}$($k\ge0$)とおく。$\tau\in[a_k,a_{k+1}]$ では
$$
H(x,\tau):=K_{m+k}\Bigl(x,\ \frac{\tau-a_k}{a_{k+1}-a_k}\Bigr),
$$
$\tau=1$ では $H(x,1):=x$ と定める。$K_{m+k}(x,1)=\sigma_{m+k+1}(x)=K_{m+k+1}(x,0)$ なので継ぎ目で値が一致し、$H(x,0)=\sigma_m(x)$ である。各 $K_{m+k}$ は第 $m$ 位置より前を動かさず $G$ 同変なので、$H$ も同じ性質をもつ。
残るのは連続性である。要点は、どの位置も有限回しか動かないことである。
位置 $i$ を固定し、$m+k\ge i+1$ となる $k$ をとる。$k'\ge k$ の段の $K_{m+k'}$ は第 $m+k'$、第 $m+k'+1$ 位置だけを動かし、$\sigma_{m+k'}(x)$ の第 $i$ 位置は $t_i(x)g_i(x)$ である。よって $EG\times[a_k,1]$ の上で $t_i\circ H=t_i(x)$、$g_i\circ H=g_i(x)$ であり($\tau=1$ を含む)、これらは連続である。$EG\times[a_{k'},a_{k'+1}]$($k'< k$)の上では、$t_i\circ H$ は連続な $t_i\circ K_{m+k'}$ と区間の一次変換の合成に一致する。$EG\times[0,1]$ はこれら有限個の閉集合で覆われるので、$t_i\circ H$ は連続である。開集合 $O:=\{t_i\circ H>0\}$ も、有限個の閉集合 $O\cap(EG\times[a_{k'},a_{k'+1}])$、$O\cap(EG\times[a_k,1])$ で覆われ、各上で $g_i\circ H$ は連続な写像に一致するので、$g_i\circ H$ は $O$ の上で連続である。prop-mc-criterion により $H$ は連続である。$\square$
任意の位相群 $G$ について、$EG=G*G*\cdots$ は可縮(可縮空間)である。すなわち、恒等写像 $\mathrm{id}_{EG}$ は定値写像とホモトピックである。
lem-mc-shift を $m=0$ に適用すると、$\mathrm{id}_{EG}$ と $\sigma_0$ はホモトピックである。$\sigma_0$ の像は $E':=\{y\in EG\mid t_0(y)=0\}$ に含まれる。$x_*:=(1e,\ 0,\ 0,\ \dots)$ とおき、$L\colon E'\times[0,1]\to EG$ を、第 $0$ 位置を $s\,e$、第 $i\ge1$ 位置を $((1-s)\,t_i(y))\,g_i(y)$ とする写像と定める。$y\in E'$ では第 $0$ 位置が空いているので、重みの和は $s+(1-s)\sum_{i\ge1}t_i(y)=1$ である。$t_0\circ L=s$ と、$\{s>0\}$ の上のラベル $g_0\circ L=e$ は連続であり、$i\ge1$ について $t_i\circ L=(1-s)t_i(y)$ は連続で、ラベル $g_i\circ L=g_i(y)$ は $\{(1-s)t_i(y)>0\}\subset\{t_i(y)>0\}$ の上で連続である。prop-mc-criterion により $L$ は連続であり、$L(y,0)=y$、$L(y,1)=x_*$ である。よって $(x,s)\mapsto L(\sigma_0(x),s)$ は $\sigma_0$ から定値写像 $x_*$ へのホモトピーであり、合わせて $\mathrm{id}_{EG}\simeq\sigma_0\simeq x_*$ となる。$\square$
位置ずらしのホモトピーは $G$ 同変だが、錐への収縮 $L$ は第 $0$ 位置のラベルを $e$ に固定するので $G$ 同変ではない。実際、$G$ が自明でなければ、恒等写像と定値写像を $G$ 同変なホモトピーで結ぶことはできない(節「反例:条件を外すと」の表の 2 行目)。可縮性は $G$ の位相も群構造も使わない。
prop-mc-bundle と thm-mc-contractible により、$\omega$ は可縮な全空間をもつ可算被覆的な主 $G$ 束である。$\omega$ が普遍 $G$ 束であること、すなわち任意の位相空間 $X$ について $[X,BG]\to k_G(X)$、$[f]\mapsto[f^*EG]$ が全単射であることは、主束の分類定理 の定理「Milnor の普遍束による分類」で証明される(その証明は可縮性ではなく、座標を偶数番目と奇数番目に振り分ける議論による)。したがって $BG$ は $G$ の分類空間である。$EG$ の可縮性は、分類空間 の命題「分類空間のホモトピー群」の $\pi_n(BG)\cong\pi_{n-1}(G)$ の計算に使われる。
$\phi\colon G\to H$ を位相群の連続な準同型(群準同型)とする。$E\phi\colon EG\to EH$、$E\phi(t_0g_0,\ t_1g_1,\ \dots):=(t_0\phi(g_0),\ t_1\phi(g_1),\ \dots)$ は連続で $E\phi(xg)=E\phi(x)\phi(g)$ を満たし、連続写像 $B\phi\colon BG\to BH$ で $\omega_H\circ E\phi=B\phi\circ\omega_G$ となるものを誘導する。さらに $E(\mathrm{id}_G)=\mathrm{id}$、$E(\psi\circ\phi)=E\psi\circ E\phi$ が等式として成り立ち、$B$ についても同じである。
$t_i\circ E\phi=t_i$ は連続で、$g_i\circ E\phi=\phi\circ g_i$ は $\{t_i>0\}$ の上で連続なので、prop-mc-criterion により $E\phi$ は連続である。$\phi(g_ig)=\phi(g_i)\phi(g)$ から同変性が従う。$\omega_H\circ E\phi$ は $G$ の軌道の上で一定なので、商写像 $\omega_G$ を通じて $B\phi$ が連続に定まる。関手性の等式は座標ごとの等式 $\psi(\phi(g_i))=(\psi\circ\phi)(g_i)$ による。$\square$
主 $G$ 束 $p\colon P\to X$ と連続な準同型 $\phi\colon G\to H$ について、$P\times H$ に $G$ を $(z,h)\cdot g:=(zg,\ \phi(g)^{-1}h)$ で右から作用させた商を $P\times_GH$ とし、その点を $[z,h]$ と書く。$H$ は $[z,h]k:=[z,hk]$ で右から作用し、$[z,h]\mapsto p(z)$ が $X$ への写像を与える。これを構造群の拡大という。
$p\colon P\to X$ を主 $G$ 束とし、$G$ 同変な連続写像 $F\colon P\to EG$ と連続写像 $f\colon X\to BG$ が $\omega_G\circ F=f\circ p$ を満たすとする。このとき $P\times_GH\to X$ は主 $H$ 束であり($P$ が可算被覆的なら可算被覆的であり)、$X$ 上の主 $H$ 束として
$$
P\times_GH\ \cong\ (B\phi\circ f)^*EH
$$
が成り立つ。とくに $f$ が $P$ の分類写像($f^*EG\cong P$)なら、$B\phi\circ f$ は $P\times_GH$ の分類写像である。
要点:$[z,h]\mapsto E\phi(F(z))h$ が $EH$ への $H$ 同変写像で $B\phi\circ f$ を覆うので、同じ底の上の射が得られる。
商写像 $q\colon P\times H\to P\times_GH$ は群の作用による商なので開写像であり(prop-mc-action の証明と同じ)、開で $G$ 不変な集合への制限も商写像である。
主束であること:$U\subset X$ を $P$ の自明化開集合とし、自明化 $p^{-1}(U)\to U\times G$ の第 2 成分を $\kappa$($\kappa(zg)=\kappa(z)g$)、$\sigma(x)$ を自明化で $(x,e)$ に対応する点とする。$\sigma$ は連続な切断で、$z=\sigma(p(z))\kappa(z)$ である。$q(p^{-1}(U)\times H)$ の上で $[z,h]\mapsto(p(z),\ \phi(\kappa(z))h)$ は、$(zg,\phi(g)^{-1}h)$ に対しても $\phi(\kappa(z)g)\phi(g)^{-1}h=\phi(\kappa(z))h$ を返すので矛盾なく定まり、$q$ の制限が商写像なので連続で、$H$ 同変である。$H$ の作用の連続性も、$q\times\mathrm{id}_H$ が開な全射で商写像であることから従う。逆写像は $(x,h)\mapsto[\sigma(x),h]$ である。実際 $[z,h]=[\sigma(p(z))\kappa(z),h]=[\sigma(p(z)),\phi(\kappa(z))h]$ であり、$\kappa(\sigma(x))=e$ である。よって $P\times_GH\to X$ は主 $H$ 束であり、$P$ の自明化開集合がそのまま自明化開集合になるので、$P$ が可算被覆的なら $P\times_GH$ も同じ 1 の分割で可算被覆的である。
同型:$\Theta[z,h]:=E\phi(F(z))h$ とおく。$(zg,\phi(g)^{-1}h)$ に対して $E\phi(F(z)g)\phi(g)^{-1}h=E\phi(F(z))h$ なので $\Theta$ は矛盾なく定まり、$\Theta\circ q$ が連続なので $\Theta$ は連続で、$H$ 同変である。$\omega_H\Theta[z,h]=B\phi(\omega_GF(z))=B\phi(f(p(z)))$ なので、$[z,h]\mapsto(p(z),\Theta[z,h])$ は $X$ 上の主 $H$ 束の射 $P\times_GH\to(B\phi\circ f)^*EH$ であり、主束の分類定理 の命題「同じ底の上の射と切断」により同型である。最後の主張では、同型 $P\cong f^*EG$ と射影 $f^*EG\to EG$ の合成を $F$ にとればよい。$\square$
$G=\mathbb{Z}/2=\{\pm1\}$(離散位相)とする。有限個を除いて $0$ の実数列 $z=(z_0,z_1,\dots)$ で $\sum_iz_i^2=1$ を満たすものの全体を $S$ とし、Euclid ノルム $\| z\|=(\sum_iz_i^2)^{1/2}$ の距離で位相を入れ、$\mathbb{Z}/2$ を $z\mapsto-z$ で作用させる。このとき
$$
\Psi\colon EG\to S,\qquad \Psi(x)_i:=\sqrt{t_i(x)}\;g_i(x)\quad(t_i(x)=0\text{ なら }0)
$$
は $\mathbb{Z}/2$ 同変な同相写像であり、$E_nG$ を $n$ 次元球面 $S^n=S\cap\mathbb{R}^{n+1}$ に写す。とくに $E_nG\cong S^n$ は可縮でない($n\ge1$ では $\tilde H_n(S^n)\cong\mathbb{Z}$、Hat02 Corollary 2.14, p. 114。$n=0$ では連結でない)。
要点:$\Psi$ の成分と $\|\Psi(y)-v\|$ が座標の連続関数で書け、逆写像は座標の平方と符号で書ける。
$\Psi_i:=\sqrt{t_i}\,g_i$ は開集合 $\{t_i>0\}$ の上で連続であり、$t_i(x)=0$ となる点 $x$ では、近傍 $\{t_i<\varepsilon^2\}$ の上で $\lvert\Psi_i\rvert<\varepsilon$ なので連続である。$v\in S$ の第 $N$ 位置より後が $0$ なら、$\|\Psi(y)-v\|^2=2-2\sum_{i\le N}v_i\Psi_i(y)$ は $y$ の連続関数なので、開球の逆像は開であり、$\Psi$ は連続である。逆写像は $t_i=z_i^2$、$g_i=z_i/\lvert z_i\rvert$($z_i\ne0$ の所)で与えられ、$\lvert z_i-w_i\rvert\le\| z-w\|$ なので $z_i^2$ は連続、$z_i/\lvert z_i\rvert$ は $\{z_i\ne0\}$ の上で連続であり、prop-mc-criterion により逆写像も連続である。$g_i\mapsto-g_i$ で $\Psi\mapsto-\Psi$ となるので同変である。$\square$
同様に $G=S^1=\{\lambda\in\mathbb{C}\mid\lvert\lambda\rvert=1\}$ では、$x\mapsto(\sqrt{t_i(x)}\,g_i(x))_i$ が $EG$ から $\mathbb{C}$ の有限列の単位球面(ノルムの位相)への $S^1$ 同変な同相写像を与え、$E_nG\cong S^{2n+1}$、$E_nG/S^1\cong\mathbb{CP}^n$ である(同変な同相写像は軌道空間の同相写像を誘導する)。証明は上と同じで、逆写像は $t_i=\lvert z_i\rvert^2$、$g_i=z_i/\lvert z_i\rvert$ である。
$S$ の位相は、球面 $S^n$ の増大列の帰納極限の位相(CW 複体としての無限次元球面の位相、無限次元球面)とは一致しない。点列 $z_m:=\sqrt{1-1/m}\,e_0+\sqrt{1/m}\,e_m$($e_i$ は第 $i$ 位置だけが $1$ の列)はノルムで $e_0$ に収束するが、帰納極限の位相では収束しない(理由は次の例と同じである)。どちらの位相の球面も可縮なので、$BG=S/\{\pm1\}$ と CW 複体の $\mathbb{RP}^\infty$ はホモトピー同値である(分類空間 の例「位数 2 の群と無限次元実射影空間」と命題「分類空間のホモトピー型の一意性」による)が、同相とは限らない。
$G$ を自明な群とする。$EG=BG$ は有限個を除いて $0$ の数列 $(t_i)$ で $t_i\ge0$、$\sum_it_i=1$ を満たすものの全体であり、その位相は直積 $[0,1]^{\mathbb{N}}$ の部分空間の位相である。$E_nG$ は標準 $n$ 単体である。点列 $x_m:=((1-\tfrac1m)e,\ 0,\ \dots,\ 0,\ \tfrac1m e,\ 0,\ \dots)$(第 $m$ 位置に $\tfrac1m$)は、各 $t_i$ が収束するので $EG$ で $x_*=(1e,0,0,\dots)$ に収束する。一方、$A\subset EG$ が閉であることを各 $A\cap E_nG$ が閉であることで定める位相(有限ジョインの帰納極限の位相)では、$A:=\{x_m\mid m\ge2\}$ は各 $E_nG$ と有限個の点でしか交わらないので閉であり、$x_*\notin A$ なので $EG\setminus A$ は $x_m$ を 1 つも含まない $x_*$ の開近傍である。よって 2 つの位相は異なる。
$G$ を $k\ge2$ 個の元からなる有限群(離散位相)とする。$E_1G$ の点は $(s\,a,\ (1-s)\,b)$($a,b\in G$、$s\in[0,1]$)であり、$E_1G$ は頂点 $(1a,0)$、$(0,1b)$ の $2k$ 個と、各組 $(a,b)$ を結ぶ $k^2$ 本の辺からなる完全 2 部グラフ $K_{k,k}$(完全2部グラフ)の幾何学的実現と同相である。連結なグラフ $K_{k,k}$ の基本群は自由群であり(Hat02 Proposition 1A.2, p. 84)、$E_1G$ は可縮でない。$k=2$ では四角形すなわち円周であり、ex-mc-z2 の $E_1G\cong S^1$ に一致する。
要点:コンパクトな実現から Hausdorff な $E_1G$ への連続な全単射を作る。
グラフの実現 $\lvert K_{k,k}\rvert$ は $k^2$ 本の閉区間を端点で貼り合わせたコンパクト空間で、辺 $(a,b)$ の点 $s$ を $(s\,a,(1-s)\,b)$ に送る写像は全単射である。各辺の上で $t_0=s$、$t_1=1-s$ は連続で、ラベル $g_0=a$、$g_1=b$ は定数なので、prop-mc-criterion によりこの写像は連続である。$E_1G$ は Hausdorff である(2 点の重みが異なれば $t_i$ で、重みが等しくラベルが異なれば開集合 $\{t_i>0\}$ の上の $g_i$ で分離される)。コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な全単射は同相写像である。
可縮でないこと:$a\ne a'$、$b\ne b'$ をとると、4 本の辺 $(a,b)$、$(a,b')$、$(a',b)$、$(a',b')$ は円周と同相な部分グラフ $C$ をなす。頂点 $(1c,0)$($c\ne a,a'$)を $(1a,0)$ へ、頂点 $(0,1d)$($d\ne b,b'$)を $(0,1b)$ へ送り、各辺を同じ $s$ のまま、行き先の 2 頂点を結ぶ $C$ の辺へ写すと、端点で値が合うので連続なレトラクション $r\colon\lvert K_{k,k}\rvert\to C$ が得られる。$\lvert K_{k,k}\rvert$ が可縮なら、包含 $\iota\colon C\to\lvert K_{k,k}\rvert$ について $\mathrm{id}_C=r\circ\iota$ も定値写像とホモトピックになり、$C$ は可縮になるが、円周は可縮でない(ex-mc-z2 の $n=1$)。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 位置を無限個とること(第 $n$ 位置までの有限ジョイン $E_nG$ に替える) | $G=\mathbb{Z}/2$ の $E_nG\cong S^n$(ex-mc-z2)、$k\ge2$ 個の元の有限群の $E_1G\cong\lvert K_{k,k}\rvert$(ex-mc-finite-group) | 全空間の可縮性(thm-mc-contractible) |
| ホモトピーが $G$ 同変でなくてよいこと($G$ 同変を求める) | 自明でない任意の位相群 $G$ | 恒等写像を定値写像に結ぶこと:定値写像 $c\equiv y$ が $G$ 同変なら $y=yg$(すべての $g$)となり、作用の自由性(prop-mc-action)に反する |
| 座標による位相(有限ジョインの帰納極限の位相に替える) | 自明な群 $G$ と点列 $x_m$(ex-mc-trivial-group) | 2 つの位相の一致と、点列 $x_m\to x_*$ の収束 |
3 行目について補足する。帰納極限の位相を入れた場合、各 $E_nG\times G\to E_nG$ が連続でも、積 $EG\times G$ の位相が $E_nG\times G$ の帰納極限の位相と一致する保証は $G$ が局所コンパクトでないとなく(積と帰納極限は一般には交換しない)、作用 $EG\times G\to EG$ の連続性は自動には従わない。座標で位相を定めると、prop-mc-action のとおり作用の連続性は $G$ に何の仮定もなく従う。
分類空間としての $BG$:prop-mc-bundle と 主束の分類定理 の定理「Milnor の普遍束による分類」により、$BG$ は $G$ の分類空間であり、分類空間 の命題「分類空間のホモトピー型の一意性」により、同じ $G$ のほかの普遍束の底空間($G=\mathbb{Z}/2$ なら $\mathbb{RP}^\infty$、$G=S^1$ なら $\mathbb{CP}^\infty$ など)とホモトピー同値である。prop-mc-functor の $B\phi$ は、prop-mc-extension により構造群の拡大を分類する写像であり、位相群の圏から位相空間の圏への関手を与える。
ほかの構成との比較:単体的な bar 構成(bar構成(分類空間))も可縮な全空間をもつ主束を与え、直積を($k$ 化した積について)同相写像で保つ。Milnor の構成は、直積については $B(G\times H)$ と $BG\times BH$ がホモトピー同値であることまでを与える(分類空間 の節「分類空間の一意性と関手性」)。
この構成は Milnor(1956)による。記号と設定は Hus94 Chapter 4 §11(pp. 54–56、定義 11.1・Theorem 11.2)と 12.5 Summary(p. 58)に従う。
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