J条件(J-condition)とは、Noether環 $A$ の正則点集合 $\operatorname{Reg}(A)$(局所環 $A_{\mathfrak p}$ が正則となる素イデアル全体)の開性に関する条件 J-0、J-1、J-2 の総称である。J-0は $\operatorname{Reg}(A)$ が空でない開集合を含むこと、J-1は $\operatorname{Reg}(A)$ 自身が開集合であること、J-2は任意の有限型 $A$ 代数 $B$ で $\operatorname{Reg}(B)$ が開集合であることを要求する。J-2はJ-1を導き、有限型代数と任意の局所化に保存され、基本開被覆 $D(f_i)$ 上で局所的に判定できる。J-1からJ-0を得るには正則点の存在が必要であり、J-2は$G$ 条件とともに準優秀環の定義をなす。
環は単位元を持つ可換環とし、環準同型は単位元を保つものとする。J条件は、環に特異点がないという条件ではなく、正則点をどの範囲の環について開集合として捉えられるかを指定する条件である。元の環の正則点だけを調べることと、そこから作る全有限型代数の正則点を調べることには量化の差がある。この差を省略すると、局所環や正則環で容易に確かめられる事実を、有限型代数すべてについての判定へ誤って拡張してしまう。
以下では Noether環を対象とする。局所環の次元は素イデアルの真の包含鎖の長さの上限であり、埋込次元は極大イデアルの余接空間の剰余体上の次元である。零環はスペクトルが空である環として扱い、非零局所環の剰余体を使う正則性の定義と区別する。
Noether環 $A$ の正則点集合を
$$\operatorname{Reg}(A)=\{\mathfrak p\in\operatorname{Spec}A:A_{\mathfrak p}\text{ は正則局所環}\}$$
と定める。非零Noether局所環 $(R,\mathfrak m,\kappa)$ が正則局所環であるとは
$$\dim R=\dim_\kappa(\mathfrak m/\mathfrak m^2)$$
となることである。全素点で局所環が正則であるNoether環を正則環という。
環そのものの被約性、各点の正則性、正則点集合の開性は別の性質である。被約だが特異な環があり、非被約な環でも正則点集合が開となる。正則点集合が空なら、その集合は開である。この最後の事実は、非空開集合の存在を要求する条件との比較で特に重要である。
Noether環 $A$ に対し、次の条件を定める。
J-2の有限型代数には、多項式環、任意のイデアルによる商、有限個の元の逆を付け加えた環が含まれる。たとえば一元の逆を付け加える環は $A[1/f]\simeq A[U]/(fU-1)$ と表示できる。任意の積閉集合による局所化を、この表示一つだけで有限型とみなすことはできない。
J-0は一部の正則点がまとまって存在することを要求する。一方J-1は全正則点を集めた集合の開性を要求し、その集合が空でもよい。J-2はこの開性を元の環だけでなくすべての有限型代数に要求する。番号を単なる強さの順序と解釈せず、非空性と量化をそれぞれ読み取る必要がある。定義の出典は MatCA §34。
J-1 は $A$ 自身の正則点集合が開であるという条件であり、J-2 はすべての有限型 $A$ 代数へその開性を要求する。J-0 は、正則点集合が空でない開集合を含むという条件である。たとえば正則環では $\operatorname{Reg}(A)=\operatorname{Spec}A$ なので J-1 は自動的だが、その事実だけから J-2 や優秀性は分からない。
Noether環 $A$ について J-2 なら J-1 である。J-1 かつ $\operatorname{Reg}(A)\ne\emptyset$ なら J-0 である。また J-2 環の有限型代数は J-2 であり、特に商環と一つの元による局所化は J-2 である。
$A$ 自身は新しい生成元を要しない有限型 $A$ 代数なので、J-2 の量化で $B=A$ とすれば J-1 を得る。J-1 で正則点集合が非空なら、その集合自身が非空開集合であるから J-0 である。
$C$ を有限型 $A$ 代数、$D$ を有限型 $C$ 代数とする。$C$ の有限個の $A$ 代数生成元と、$D$ の有限個の $C$ 代数生成元の像を合わせると、$D$ は有限型 $A$ 代数である。従って $A$ が J-2 なら $\operatorname{Reg}(D)$ は開であり、$C$ は J-2 となる。これらの環のNoether性は、Noether環上の有限変数多項式環とその商がNoetherであることによる。任意の商 $A/I$ は有限型 $A$ 代数であり、$A[1/f]\simeq A[U]/(fU-1)$ も有限型だから、二つの特殊例が従う。この証明は G 条件や普遍鎖状性の保存を用いない。$\square$
体 $k$ に対し $A=k[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ とする。冪零元 $\varepsilon$ は全素イデアルに入り、商 $A/(\varepsilon)=k$ は体なので、唯一の素イデアルは $(\varepsilon)$ である。その局所化は $A$ 自身で、次元は零だが極大イデアルの余接空間は $k\varepsilon$ という一次元空間である。従って正則でなく、$\operatorname{Reg}(A)=\emptyset$ である。空集合は開だから J-1 だが、非空開集合を含まないので J-0 でない。零環でもスペクトルが空であり、J-1 と J-2 は成立するが J-0 は成立しない。
任意の $f\in A$ について、$\operatorname{Spec}A[1/f]=D(f)$ の同定の下で
$$\operatorname{Reg}(A[1/f])=\operatorname{Reg}(A)\cap D(f).$$
従って J-1 環を一つの元で局所化すると J-1 である。逆に、基本開集合 $D(f_i)$ が $\operatorname{Spec}A$ を覆い、全 $A[1/f_i]$ が J-1 なら $A$ も J-1 である。
$\mathfrak p\in D(f)$ に対応する局所化環の素イデアルを $\mathfrak p'$ とすると、分数の普遍性から $(A[1/f])_{\mathfrak p'}\simeq A_{\mathfrak p}$ である。正則性を判定する局所環が同じだから集合の等式を得る。$\operatorname{Reg}(A)$ が開ならその $D(f)$ との交差も開である。逆に各 $\operatorname{Reg}(A)\cap D(f_i)$ が $D(f_i)$ 内で開なら、$D(f_i)$ 自体も全スペクトル内で開なので、その交差は全スペクトル内で開である。それらの和は $\operatorname{Reg}(A)$ となり、J-1 を得る。これは同一の局所環と開集合の比較であり、一般の正則点集合が常に開であるという主張ではない。$\square$
J-0 は正則点の一部を含む非空開集合の存在だけを求め、J-1 は正則点集合全体の開性を求める。そのため定義を読み替えて J-0 から J-1 を結論しない。J-2の有限型操作による保存と、下で示す任意の局所化による保存は、優秀環の三条件すべての保存とは別である。
$S\subset A$ を積閉集合、$B=S^{-1}A$ とする。$B$ の素イデアル $\mathfrak q$ の縮約を $\mathfrak p$ とすると、$S\cap\mathfrak p=\emptyset$ であり
$$B_{\mathfrak q}\simeq A_{\mathfrak p}.$$
従って $\operatorname{Reg}(B)$ は、$\operatorname{Spec}B$ の点に対応する $A$ の素点のうち、$A$ の正則点であるものの集合に等しい。
縮約の定義は $\mathfrak p=\{a\in A:a/1\in\mathfrak q\}$ である。$s\in S$ の像は単元なので素イデアルに入らず、$S$ は $\mathfrak p$ と交わらない。分数 $a/s$ が $\mathfrak q$ に入ることと $a/1$ が入ることは同値である。従って分母としてさらに逆にすべき元は、ちょうど分子が $\mathfrak p$ の外にある分数である。
具体的に
$$\frac{a/s}{b/t}\longmapsto\frac{at}{sb}$$
と定めると、$b/t\notin\mathfrak q$ から $b\notin\mathfrak p$、また $s\notin\mathfrak p$ なので右辺は $A_{\mathfrak p}$ の元である。逆方向は
$$\frac a b\longmapsto\frac{a/1}{b/1}$$
である。分数の等号はある分母を掛けると交叉積が一致することだから、いずれの写像も代表を変えても変わらない。二つの合成は元の分数に等しく、加法・乗法・単位元を保つ。よって環同型を得る。局所環の次元と余接空間の次元は環同型で保存され、正則性も同じである。$B=0$ なら素点がなく、この主張は空集合について成立する。$\square$
この補題は二つの用途を持つ。一つは正則点集合を基本開へ制限する計算であり、もう一つは正則環の局所化が正則環であることの確認である。後者では全素点で正則という定義をそのまま用いている。正則局所環の任意の素点での局所環が再び正則局所環であるという非自明な定理と、定義からのこの保存を区別する。
一般の $S$ でも、J-1なら局所化環の正則点集合は開である。実際、正則点集合はスペクトルの連続写像 $\operatorname{Spec}B\to\operatorname{Spec}A$ による $\operatorname{Reg}(A)$ の逆像だからである。ただし逆方向を得るには被覆や忠実性などの条件が要る。例えば特異点をすべて局所化で除いてしまえば、局所化後が正則でも元の環の特異点についての情報は残らない。
体 $k$ に対し $k[T]$ とその任意の局所化はNoether正則環であり、従ってJ-1である。
非零イデアル $I\subset k[T]$ に次数最小の非零多項式 $g$ を取る。任意の $f\in I$ を $g$ で割ると $f=qg+r$、$\deg r<\deg g$ である。$r\in I$ なので $r=0$、従って $I=(g)$ である。零イデアルも有限生成であり、環はNoetherである。非零素イデアルは既約多項式 $g$ によって生成され、商は体だから極大である。従って全素イデアルは $(0)$ と非零極大イデアルである。
$(0)$ での局所化は $k(T)$ という体で、次元も埋込次元も零となる。$\mathfrak p=(g)\ne0$ での局所化 $R=k[T]_{(g)}$ は極大イデアル $gR$ を持ち、素鎖は $(0)\subsetneq gR$ だけだから次元は1である。剰余体 $\kappa=k[T]/(g)$ に対する写像
$$\kappa\longrightarrow gR/g^2R,\qquad \bar a\longmapsto ag+g^2R$$
は全射である。$ag\in g^2R$ なら整域で $g$ を取消して $a\in gR$ となるので単射でもある。余接空間は一次元、従って $R$ は正則である。任意の局所化については、上の局所環同型で全素点の局所環がこの二種のどちらかとなる。Noether性も保存される。実際、局所化環のイデアル $J$ の縮約 $H=\{a:a/1\in J\}$ を取れば $J=S^{-1}H$、$H$ の有限生成元の像が $J$ を生成する。$\square$
任意の体 $k$ に対し
$$B=k[x,y]/(x^2,xy)$$
では正則点集合は $D(y)$ である。一方、原点での局所環は Cohen–Macaulay でない。
$B$ の素イデアルは冪零元 $x$ を含み、$B/(x)=k[y]$ なので $\operatorname{Spec}B$ の点は $k[y]$ の素イデアルと対応する。$y$ を逆にした環では $xy=0$ から $x=0$ となるため
$$B[1/y]=k[y,1/y].$$
その局所環は、体または一変数多項式環の高さ一の局所環であり正則である。
$y$ を含む点は $\mathfrak m=(x,y)$ だけである。$B_{\mathfrak m}$ の次元は $k[y]_{(y)}$ と同じ $1$。定義関係は $(x,y)^2$ に入るので $x,y$ の像は $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ の基底となり、埋込次元は $2$ である。従ってこの点は正則でない。
また $x$ の像はこの局所環で非零である。もし $s\notin(x,y)$ に対して $sx\in(x^2,xy)$ なら、多項式整域内で $x$ を約分して $s\in(x,y)$ となり矛盾する。極大イデアルの元はすべてこの非零元 $x$ を殺すので、極大イデアル内には非零因子がなく、深さは $0$。次元 $1$ と一致しない。
以上により $\operatorname{Reg}(B)=D(y)$ は開である。この計算は正則点開性と非CM性を同時に示すが、それだけで全有限型代数の正則点開性を検査したことにはならない。$\square$
Noether環 $A$ がJ-0であることは、ある $f\in A$ が存在して $D(f)\ne\emptyset$ かつ $A[1/f]$ が正則環であることと同値である。ここで $D(f)\ne\emptyset$ は $f$ が冪零でないことと同値である。
J-0なら正則点だけからなる非空開集合 $U$ がある。その点 $\mathfrak p$ を一つ取る。Zariski位相の基本開が基底なので $\mathfrak p\in D(f)\subset U$ となる $f$ を取れる。反復局所化の補題により $A[1/f]$ の全局所環が正則となり、局所化のNoether性と合わせて正則環である。逆にこのような $f$ があれば $D(f)$ の全点が正則だからJ-0である。
$f$ が冪零なら全素イデアルに入るので $D(f)$ は空である。逆に $f$ が冪零でないなら $S=\{1,f,f^2,\ldots\}$ は零を含まない。$S$ と交わらないイデアルの包含順序にZornの補題を適用する。鎖の合併も $S$ と交わらず、極大のそのようなイデアル $P$ がある。$a,b\notin P$ なら $P+(a)$ と $P+(b)$ はそれぞれ $S$ に会う。従って $f^r=u+ca$、$f^t=v+db$ と書ける。もし $ab\in P$ なら積 $f^{r+t}$ が $P$ に入って矛盾する。よって $P$ は素で $f\notin P$、$D(f)$ は空でない。これは非空性の判定であって、正則性についての追加定理ではない。$\square$
この記述で $f=0$ を許してはいけないわけではない。しかしその場合の基本開は空なので、J-0の証明には使えない。局所化環が零環になって全素点での正則性を空の全称として満たすことと、非空の正則開集合があることは異なる。J-1の空集合の例と同じく、空の枝を明示することで不要な含意を防げる。
J-1の局所判定に現れる被覆は、有限被覆として扱うこともできる。基本開 $D(f_i)$ が全スペクトルを覆うなら、イデアル $(f_i)$ が真イデアルであることはない。真ならZornで極大イデアルに含まれ、その点はどの $D(f_i)$ にも入らないからである。従って $1$ は有限個の $f_i$ の線形結合であり、その有限個の基本開だけで覆う。これにより全スペクトルのJ-1判定には有限個の局所的な判定資料を使える。ただしその有限個の資料を実際に得ることは、被覆を存在させる定理や、各環の正則点集合の計算に依存する。
Noether環 $A_1,A_2$ と $A=A_1\times A_2$ に対し、J-1およびJ-2は各成分がその条件を満たすことと同値である。J-0は少なくとも一方の成分がJ-0であることと同値である。
$e=(1,0)$、$f=(0,1)$ とすると $e+f=1$、$ef=0$ である。素イデアル $P$ は一方を含み他方を含まない。従って全素イデアルは $P_1\times A_2$ または $A_1\times P_2$ である。前者の局所環は $(A_1)_{P_1}$、後者は $(A_2)_{P_2}$ と同型である。二つの成分は互いに素な開かつ閉の部分集合であり、スペクトルはその位相的直和となる。イデアルも $eI\oplus fI=I_1\times I_2$ に分解するので、両成分がNoetherなら有限生成性は直積に保存される。正則点集合も二成分の正則点集合の直和となり、J-1の主張が従う。非空の正則開集合があれば少なくとも一方の成分との交差が非空なので、J-0の主張も従う。
有限型 $A$ 代数 $B$ は、$e,f$ の像を使って $B\simeq eB\times fB$ に分解する。両因子は有限型 $A_i$ 代数である。実際、$B$ の有限代数生成元の $e$ 倍または $f$ 倍が対応因子を生成する。両 $A_i$ がJ-2なら両因子の正則点集合が開となり、$B$ の正則点集合も開となる。逆に $A$ がJ-2なら、任意の有限型 $A_1$ 代数は射影 $A\to A_1$ を通じて有限型 $A$ 代数でもある。従ってその正則点集合は開であり $A_1$ はJ-2となる。$A_2$ も同様である。零因子環を含む場合にも、空成分はこの分解から消えるだけで同じ計算が成立する。$\square$
この命題から、J-0は全成分の一般点で正則性を要求する条件ではないと分かる。例えば $k\times k[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ では、第一成分の一点が非空の正則開集合を与える。第二成分の一点は正則でない。全体はJ-0かつJ-1だが正則環ではない。J-0を「各成分に正則点がある」と読み替えると、この二点の例を除いてしまう。
Noether環 $A$ の有限型代数はNoether環である。
まず $A[T]$ のイデアル $I$ を考える。$I=0$ は自明である。$J_n$ を、次数高々 $n$ の $I$ の多項式の $T^n$ 係数の集合とする。これはイデアルであり、$T$ 倍によって $J_n\subset J_{n+1}$ となる。Noether性からある $c$ 以降この列は一定である。各 $0\le n\le c$ で $J_n$ の有限生成元を取り、それぞれを次数高々 $n$ の $f_{ni}\in I$ の $T^n$ 係数として持ち上げる。零の $J_n$ では何も選ばない。
$g\in I$ の次数を $m$ とする。$m\le c$ なら最高次係数を $J_m$ の生成元で表し、対応する $f_{mi}$ の線形結合を引けば次数が下がる。$m>c$ なら $J_m=J_c$ を使い、$T^{m-c}f_{ci}$ の線形結合を引けば次数が下がる。この操作を有限回繰り返すと零になるので、選んだ有限個の多項式が $I$ を生成する。従って $A[T]$ はNoetherである。変数の数に関する帰納で有限変数多項式環もNoetherとなる。
任意の商 $R/K$ のイデアルの逆像は $R$ のイデアルであり、その有限生成元の像が商のイデアルを生成する。よって商もNoetherである。有限型代数は有限変数多項式環の商なので結論を得る。零環や零イデアルの枝では生成元の空族を使えばよく、最大次数を空集合から選ぶ必要はない。$\square$
$A$ がJ-2で $S\subset A$ が積閉集合なら $S^{-1}A$ もJ-2である。局所化写像が有限型であるとは仮定しない。
$C=S^{-1}A$、$D$ を有限型 $C$ 代数とし、$D\simeq C[X_1,\ldots,X_n]/K$ と表示する。$C$ はNoetherであり、上の係数イデアルの証明からその有限変数多項式環もNoetherである。従って $K$ は有限個の多項式 $h_1,\ldots,h_r$ で生成される。各 $h_i$ に現れる有限個の係数の分母の積 $s_i\in S$ を取れば、$s_i h_i$ は $A[X_1,\ldots,X_n]$ の多項式 $g_i$ の像である。$s_i$ の像は $C$ で単元だから、$h_i$ と $g_i$ は同じイデアルを生成する。
$D_0=A[X_1,\ldots,X_n]/(g_1,\ldots,g_r)$ と置く。局所化と多項式を作る操作は、係数の分母を一つに合わせることによって可換し、商についても可換する。具体的に $(a+(g_i))/s$ を $a/s+(g_i)$ へ送る写像とその逆は、ある $t\in S$ を掛けて分子が $(g_i)$ に入るという零の判定からwell-definedとなる。よって $D\simeq S^{-1}D_0$ である。$D_0$ は有限型 $A$ 代数なので、J-2より正則点集合が開となる。反復局所化の局所環同型により $\operatorname{Reg}(D)$ は $\operatorname{Reg}(D_0)$ の逆像であり、開である。任意の有限型 $D$ でこれが成立するので $C$ はJ-2となる。$0\in S$ の場合は $C=0$、単位的な $C$ 代数も零環のみであり、同じ結論が空スペクトルから従う。$\square$
有限型代数 $D$ が有限表示になるのは、係数環がNoetherであるためである。関係式を無限個のまま分母払いすると、一つの有限集合の係数に降ろすこの議論は成立しない。ここで使うのは有限表示の関係式であり、$D$ の加群としての有限性ではない。
Noether環 $A$ のスペクトルを基本開 $D(f_i)$ が覆うとする。$A$ がJ-2であることは、全 $A[1/f_i]$ がJ-2であることと同値である。
順方向は局所化保存から従う。逆方向では任意の有限型 $A$ 代数 $D$ を取る。環準同型に伴うスペクトル写像の逆像により $D(f_i)$ は $\operatorname{Spec}D$ も覆う。$D[1/f_i]$ は $A[1/f_i]$ 上有限型だから、その正則点集合は開である。すなわち全 $D[1/f_i]$ がJ-1である。J-1の基本開局所判定を $D$ に適用すると $D$ もJ-1となり、$A$ はJ-2である。被覆が無限族でも開集合の和の議論はそのまま成立し、有限被覆を追加仮定する必要はない。空スペクトルではJ-2の量化は零環のみとなる。$\square$
J-2は準優秀環の定義の一部である。Noether環が準優秀であるとは、J-2であり、さらに全素局所環の完成写像のファイバーが幾何学的に正則となるG条件を満たすことをいう。優秀環ではさらに普遍鎖状性を要求する。これらは異なる条件なので、J条件の記事の名称に準優秀環や優秀環を別名として含めることはできない。
一つの形式ファイバーが体になっても、その剰余体上の有限拡大後に正則であるとは限らない。一方、J-2が調べるのは元の環上の全有限型代数の正則点集合の位相である。完成写像のファイバーと、有限型代数の正則点集合は、対象も量化も異なる。完成後の環が正則という事実から、元の完成写像の幾何学的正則性を結論してはいけない。具体的なG条件の反例は 優秀環 にある。
体上有限型代数の正則点集合が開となる一般定理や、準優秀性の高度な保存定理には、ここで証明した初等的なJ条件の保存より多くの基礎が必要である。各条件の定義、非空性の境界、同一局所環による開性の比較、有限型の量化を用いる保存は上で直接証明した。任意のNoether環の正則点集合が開であるという主張はこれらの証明に含まれない。
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