分類空間

同義語:classifying space

概要

分類空間(classifying space)とは、位相群 $G$ に対して定まる空間 $BG$ で、$X$ 上の主 $G$ 束の同型類がホモトピー類 $[X,BG]$ と一対一に対応するものである。対応は普遍 $G$ 束 $EG\to BG$ の引き戻しで与えられ、$EG$ は弱可縮(Milnor の構成では可縮)で、$BG$ はホモトピー同値を除いて一意で、任意の位相群に存在する。$B(\mathbb{Z}/2)\simeq\mathbb{RP}^\infty$、$BS^1\simeq\mathbb{CP}^\infty$、$BU(n)$ は無限 Grassmann 多様体、離散群では $K(G,1)$ である。$H^*(BG)$ の元が特性類で、$H^*(BU(n);\mathbb{Z})=\mathbb{Z}[c_1,\dots,c_n]$ の生成元が Chern 類である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 位相群, 主束, ホモトピー, 被覆空間, 基本群, ベクトル束, CW複体

定義

分類空間は、位相群 $G$ に対して定まる位相空間 $BG$ で、任意の空間 $X$ 上の主 $G$ 束の同型類が $X$ から $BG$ への連続写像のホモトピー類(ホモトピー)と一対一に対応するものである。対応は $BG$ 上に載っている 1 つの主 $G$ 束 $EG\to BG$(普遍束)の引き戻しで与えられる。記事を単独で読めるように、主束の定義から述べる。

主 $G$ 束と可算被覆性

$G$ を位相群とする。位相空間 $P$ への $G$ の右からの連続な作用(群の作用)$P\times G\to P$、$(y,g)\mapsto yg$ と、連続写像 $p\colon P\to X$ が与えられ、次を満たすとき、$p\colon P\to X$(または $P$)を $X$ 上の主 $G$ 束(principal $G$-bundle)という。

  1. 作用は $p$ のファイバー(ファイバー)を保つ。すなわち $p(yg)=p(y)$ である。
  2. 局所自明性:$X$ の各点は開近傍 $U$ で、$G$ 同変な同相写像 $\varphi_U\colon p^{-1}(U)\to U\times G$($U\times G$ には $(x,h)g=(x,hg)$ で作用させる)であって $\operatorname{pr}_1\circ\varphi_U=p$ を満たすものが存在するようなものをもつ。
    条件 2 の $U$ を自明化開集合という。主 $G$ 束 $P\to X$ が可算被覆的(numerable)であるとは、$X$ 上の局所有限な 1 の分割(1の分割)$(u_\lambda)_\lambda$ で、各 $\{u_\lambda>0\}$ が自明化開集合となるものが存在することをいう。$X$ 上の 2 つの主 $G$ 束 $P,P'$ の同型とは、$G$ 同変な同相写像 $P\to P'$ で $X$ 上の恒等写像を覆うものをいい、$X$ 上の可算被覆的主 $G$ 束の同型類の全体を $k_G(X)$ と書く。連続写像 $f\colon Y\to X$ と主 $G$ 束 $P\to X$ に対し、ファイバー積 $f^*P:=Y\times_XP=\{(y,z)\mid f(y)=p(z)\}$ は $Y$ 上の主 $G$ 束であり、$P$ が可算被覆的なら $f^*P$ も可算被覆的である。

$X$ がパラコンパクト(パラコンパクト空間)かつ Hausdorff(Hausdorff空間)なら任意の開被覆に従属する局所有限な 1 の分割が存在するので、$X$ 上の主 $G$ 束はすべて可算被覆的である。CW複体・多様体・距離空間(距離空間)はこの条件を満たす。「可算被覆的」という条件は、主束の理論をパラコンパクト性を仮定せずに述べるための技術的条件であり(Dol63)、以下の定理はすべてこの範囲で成り立つ。
主 $G$ 束の同型類は引き戻しに関して関手的である。すなわち $k_G$ は位相空間の圏から集合の圏への反変関手(関手)である。分類空間とは、この関手を表現する空間である。

主束の引き戻しのホモトピー不変性

$P\to X$ を可算被覆的主 $G$ 束とし、$f_0,f_1\colon Y\to X$ をホモトピックな連続写像とする。このとき $Y$ 上の主 $G$ 束 $f_0^*P$ と $f_1^*P$ は同型である。したがって $k_G$ はホモトピー類の上で定まる関手である。

ホモトピー不変性の出典

証明は Hus94 Chapter 4(Dol63 による)、または tD08 §14.3 に譲る。$Y\times[0,1]$ 上の束 $H^*P$ が $Y\times\{0\}$ 上への制限の引き戻しと同型であることを、1 の分割を用いて自明化を貼り合わせて示す。ベクトル束の記事の分類定理の 1 と同じ議論である。

普遍束と分類空間

$G$ を位相群とする。可算被覆的主 $G$ 束 $\omega\colon EG\to BG$ が普遍 $G$ 束(universal $G$-bundle)であるとは、任意の位相空間 $X$ に対して、写像
$$ [X,BG]\longrightarrow k_G(X),\qquad [f]\longmapsto[f^*EG] $$
が全単射(全単射)であることをいう。ここで $[X,BG]$ は連続写像 $X\to BG$ のホモトピー類の集合であり、thm-classifying-space-homotopy-invariance によりこの写像は矛盾なく定まる。普遍 $G$ 束の底空間 $BG$ を $G$ の分類空間(classifying space)といい、$EG$ を全空間という。$X$ 上の主 $G$ 束 $P$ に対し、$f^*EG\cong P$ を満たす連続写像 $f\colon X\to BG$(ホモトピー類は $P$ で決まる)を $P$ の分類写像という。

定義から、分類空間は「主 $G$ 束の同型類」という関手 $k_G$ を表現する対象であり、prop-classifying-space-uniqueness で示すようにホモトピー同値を除いて一意である。存在は次の Milnor の定理による。

普遍束の存在(Milnor)

任意の位相群 $G$ に対して普遍 $G$ 束 $EG\to BG$ が存在する。具体的には、def-classifying-space-milnor で構成する無限ジョイン $EG=G*G*G*\cdots$ とその $G$ による商 $BG=EG/G$ がそれである。

存在定理の出典と証明の筋

Mil56 による。証明は Hus94 Chapter 4、tD08 §14.4 に譲り、筋だけ述べる。(a) $X$ 上の可算被覆的主 $G$ 束 $P$ をとると、1 の分割は可算個 $(u_i)_{i\in\mathbb{N}}$ に取り直せる(Hus94 Chapter 4)。各 $U_i=\{u_i>0\}$ 上の自明化から $G$ 同変な連続写像 $\phi_i\colon p^{-1}(U_i)\to G$ が得られ、
$$ F\colon P\longrightarrow EG,\qquad F(y)=(u_0(p(y))\phi_0(y),\ u_1(p(y))\phi_1(y),\ \dots) $$
は $G$ 同変な連続写像である。同じ底空間上の主 $G$ 束の間の $G$ 同変な写像は同型であるから、$F$ が誘導する $f\colon X\to BG$ について $P\cong f^*EG$ となる。これで全射性が出る。(b) 単射性は、$P$ から $EG$ への 2 つの $G$ 同変写像 $F,F'$ が $G$ 同変にホモトピックであることに帰着する。座標を偶数番目の位置に写す $\alpha\colon EG\to EG$ と奇数番目の位置に写す $\beta$ をとると、$\alpha F$ と $\beta F'$ は同じ位置に非零の座標をもたないので、直線ホモトピー $(1-s)\alpha F+s\beta F'$ が $EG$ の中で意味をもつ。残る $\mathrm{id}\simeq\alpha$、$\mathrm{id}\simeq\beta$ は lem-classifying-space-shift の型の位置ずらしを繰り返して得られる。

Milnor の構成

$G$ を位相群とする。集合 $EG$ を、形式的な無限列
$$ x=(t_0g_0,\ t_1g_1,\ t_2g_2,\ \dots),\qquad t_i\in[0,1],\ g_i\in G,\ \sum_{i}t_i=1 $$
で、有限個の $i$ を除いて $t_i=0$ であるものの全体とする。ただし $t_i=0$ のとき $g_i$ は無視する($t_ig_i=0g_i=0g_i'$ と同一視する)。$x$ の第 $i$ 座標を $t_i(x):=t_i$、$g_i(x):=g_i$($t_i(x)>0$ のときだけ定義される)と書く。$EG$ には、すべての $t_i\colon EG\to[0,1]$ と $g_i\colon t_i^{-1}((0,1])\to G$ が連続になる最も粗い位相を入れる。したがって位相空間 $Y$ からの写像 $F\colon Y\to EG$ が連続であることと、各 $t_i\circ F$ が連続で、各 $g_i\circ F$ が開集合 $\{t_i\circ F>0\}$ 上で連続であることは同値である。これを $G$ の無限ジョイン(ジョイン)といい $G*G*G*\cdots$ とも書く。$G$ は $EG$ に右から
$$ (t_0g_0,t_1g_1,\dots)\cdot g:=(t_0(g_0g),\ t_1(g_1g),\ \dots) $$
で作用する。この作用 $EG\times G\to EG$ は連続である。実際 $t_i(xg)=t_i(x)$ は連続で、$g_i(xg)=g_i(x)g$ は開集合 $\{(x,g)\mid t_i(x)>0\}$ 上で連続だから、上の連続性の判定による。商空間(商空間)$BG:=EG/G$ と商写像 $\omega\colon EG\to BG$ を得る。

Milnor の構成は可算被覆的主束

$\omega\colon EG\to BG$ は可算被覆的主 $G$ 束である。

座標関数による自明化

$t_i$ は $G$ の作用で不変なので $BG$ 上の連続関数 $\bar t_i$ を誘導し、$U_i:=\{\bar t_i>0\}$ は $BG$ の開集合で、$\bigcup_iU_i=BG$ である。$\omega^{-1}(U_i)=\{t_i>0\}$ 上で
$$ \varphi_i\colon\omega^{-1}(U_i)\longrightarrow U_i\times G,\qquad \varphi_i(x)=(\omega(x),\,g_i(x)) $$
とおく。$\varphi_i$ は連続で、$g_i(xg)=g_i(x)g$ により $G$ 同変である。逆写像は、$b\in U_i$ の任意の代表 $x\in\omega^{-1}(b)$ をとって $(b,h)\mapsto x\cdot g_i(x)^{-1}h$ で与えられる。この値は代表の取り方によらない($x$ を $xg$ に替えると $xg\cdot(g_i(x)g)^{-1}h=x\cdot g_i(x)^{-1}h$)。連続性は、$\omega^{-1}(U_i)\times G\to\omega^{-1}(U_i)$、$(x,h)\mapsto x\cdot g_i(x)^{-1}h$ が連続で $G$ の作用に関して定数であること、および $\omega^{-1}(U_i)\times G\to U_i\times G$ が商写像であること(群の作用による商写像 $\omega$ は開写像である。実際 $V\subset EG$ が開なら $\omega^{-1}(\omega(V))=\bigcup_{g\in G}Vg$ は開である。開な全射と恒等写像の積は開な全射なので商写像である)から従う。よって $\varphi_i$ は $G$ 同変な同相写像であり、$\omega$ は主 $G$ 束である。
可算被覆性:$(\bar t_i)_i$ は $\sum_i\bar t_i=1$ を満たす連続関数の可算族で、各 $\{\bar t_i>0\}$ が自明化開集合である。この族は局所有限とは限らないが、$\bar t_i$ から局所有限な 1 の分割 $(v_i)_i$ で $\{v_i>0\}\subset\{\bar t_i>0\}$ を満たすものが作れる(Hus94 Chapter 4:$v_i$ を $\max\{0,\bar t_i-\sum_{j< i}\bar t_j\}$ の形に取り直して正規化する)。よって $\omega$ は可算被覆的である。$\square$

$EG$ の位相が「座標関数を連続にする最も粗い位相」であることが Milnor の構成の要である。有限ジョイン $G*\cdots*G$ の和集合に帰納極限の位相を入れる流儀もあるが、その場合 $G$ が局所コンパクトでないと $EG\times G$ の位相が $(G*\cdots*G)\times G$ の帰納極限の位相と一致するとは限らず(積と帰納極限は一般には交換しない)、作用の連続性が自動には保証されない。Milnor はこれを避けるため座標関数で定まる上の位相を採り、その位相のもとで主束であることと普遍性を示した(Mil56)。

直感

$X$ 上の主 $G$ 束は、$X$ の各点にファイバー $G$ を貼り付け、開集合ごとに自明化して貼り合わせたものである。貼り合わせのデータは $X$ の開被覆と $G$ に値をとる変換関数(変換関数)であり、束の同型類はその「ねじれ方」で決まる。分類空間 $BG$ は、考えうるすべてのねじれ方を 1 つの空間に詰め込んだものであり、$X$ 上の束は $X\to BG$ という 1 本の写像に翻訳される。束の同型類がホモトピー類にしか依存しないことは、束の局所自明性から従う剛性である。
Milnor の構成の全空間 $EG$ は可縮(可縮空間)である(thm-classifying-space-contractible)。逆に、可縮な全空間をもつ可算被覆的主 $G$ 束は普遍束であり、普遍束の全空間は一般にも弱可縮である(thm-classifying-space-criterion)。したがって $BG$ は「$G$ が自由に作用する可縮な空間を $G$ で割ったもの」であり、$G$ のホモトピー論的な情報を 1 段ずらして保持する($\pi_n(BG)\cong\pi_{n-1}(G)$、prop-classifying-space-homotopy-groups)。$G$ が離散群のときは $BG$ は基本群 $G$ をもち高次ホモトピー群が消える空間、すなわち Eilenberg–MacLane 空間 $K(G,1)$(Eilenberg–MacLane空間)である。

例と反例

位数 2 の群と無限次元実射影空間

$G=\mathbb{Z}/2=\{\pm1\}$ を離散位相(離散空間)をもつ群とする。$\mathbb{R}^\infty=\varinjlim\mathbb{R}^n$(有限個を除いて $0$ の実数列の全体に帰納極限の位相を入れたもの、帰納極限)の単位球面 $S^\infty=\varinjlim S^n$(n次元球面)に $\mathbb{Z}/2$ を $x\mapsto-x$ で作用させると、商は無限次元実射影空間 $\mathbb{RP}^\infty$(実射影空間)である。$q\colon S^\infty\to\mathbb{RP}^\infty$ は普遍 $\mathbb{Z}/2$ 束であり、したがって
$$ B(\mathbb{Z}/2)\simeq\mathbb{RP}^\infty $$
である。とくに、パラコンパクト Hausdorff 空間 $X$ 上の 2 重被覆(被覆空間)の同型類、および実直線束(直線束)の同型類は $[X,\mathbb{RP}^\infty]$ と一対一に対応する。

球面の可縮性と局所自明性

thm-classifying-space-criterion により、$q$ が可算被覆的主 $\mathbb{Z}/2$ 束で $S^\infty$ が可縮であることを示せばよい。
局所自明性:$U_i:=\{[x]\in\mathbb{RP}^\infty\mid x_i\ne0\}$ とおく。$q^{-1}(U_i)=\{x\in S^\infty\mid x_i\ne0\}$ は開集合なので $U_i$ は開集合であり、$\bigcup_iU_i=\mathbb{RP}^\infty$ である。$\varphi_i\colon q^{-1}(U_i)\to U_i\times\{\pm1\}$、$\varphi_i(x)=([x],\operatorname{sgn}x_i)$ は連続で $\mathbb{Z}/2$ 同変である。逆写像は $([x],\varepsilon)\mapsto\varepsilon\operatorname{sgn}(x_i)\,x$ で与えられる。$x\mapsto\operatorname{sgn}(x_i)x$ は $x\mapsto-x$ で不変なので $[x]$ の関数として矛盾なく定まり、$q$ が商写像で $q^{-1}(U_i)$ が開かつ飽和であることから $U_i$ 上の連続な切断(切断)$s_i\colon U_i\to q^{-1}(U_i)$ を定める。逆写像は $([x],\varepsilon)\mapsto\varepsilon s_i([x])$ なので連続である。よって $q$ は主 $\mathbb{Z}/2$ 束である。$\mathbb{RP}^\infty$ は各次元に 1 つずつ胞体をもつ CW 複体(Hat02 Chapter 0)であり、CW 複体はパラコンパクト Hausdorff である(Hat02 Appendix)から、$q$ は可算被覆的である。
可縮性:$\sigma\colon\mathbb{R}^\infty\to\mathbb{R}^\infty$、$\sigma(x_0,x_1,x_2,\dots)=(0,x_0,x_1,\dots)$ とおく。$x\in S^\infty$ と $\tau\in[0,1]$ に対し $v_\tau(x):=(1-\tau)x+\tau\sigma(x)$ とおくと $v_\tau(x)\ne0$ である。実際 $0<\tau<1$ で $v_\tau(x)=0$ なら、第 $0$ 成分から $(1-\tau)x_0=0$、第 $k$ 成分から $(1-\tau)x_k+\tau x_{k-1}=0$ が順に得られ、帰納的にすべての $x_k=0$ となって $x\in S^\infty$ に反する。よって $H_\tau(x):=v_\tau(x)/\|v_\tau(x)\|$ は $\mathrm{id}_{S^\infty}$ と $\sigma|_{S^\infty}$ を結ぶホモトピーである。次に $e_0=(1,0,0,\dots)$ とおき、$w_\tau(x):=(1-\tau)\sigma(x)+\tau e_0$ とおく。$\sigma(x)$ の第 $0$ 成分は $0$ なので $w_\tau(x)$ の第 $0$ 成分は $\tau$ であり、$\tau>0$ なら $w_\tau(x)\ne0$、$\tau=0$ なら $w_0(x)=\sigma(x)\ne0$ である。よって $K_\tau(x):=w_\tau(x)/\|w_\tau(x)\|$ は $\sigma|_{S^\infty}$ と定値写像 $e_0$ を結ぶホモトピーである。連続性について:$[0,1]$ はコンパクト Hausdorff なので $S^\infty\times[0,1]$ は $S^n\times[0,1]$ の帰納極限の位相をもち(Hat02 Appendix, Theorem A.6 の議論)、$H$、$K$ の $S^n\times[0,1]$ への制限は $S^{n+1}$ に値をとる有限次元の連続写像である。以上により $S^\infty$ は可縮である(Hat02 Example 1B.3 も参照)。$\square$

円周群と無限次元複素射影空間

$G=S^1=U(1)=\{\lambda\in\mathbb{C}\mid|\lambda|=1\}$ とする。$\mathbb{C}^\infty=\varinjlim\mathbb{C}^n$ の単位球面 $S^\infty$ に $S^1$ を $z\cdot\lambda=(z_0\lambda,z_1\lambda,\dots)$ で作用させると、商は無限次元複素射影空間 $\mathbb{CP}^\infty$(複素射影空間)であり、$q\colon S^\infty\to\mathbb{CP}^\infty$ は普遍 $S^1$ 束である。したがって
$$ BS^1\simeq\mathbb{CP}^\infty $$
である。同様に $G=SU(2)=S^3$(単位四元数の群、四元数)を $\mathbb{H}^\infty$ の単位球面に右から作用させると $BSU(2)\simeq\mathbb{HP}^\infty$ が得られる。$n=1$ の場合の Hopf 束(Hopfファイブレーション)$S^3\to S^2=\mathbb{CP}^1$ はこの普遍束の $\mathbb{CP}^1\subset\mathbb{CP}^\infty$ への制限である。

円周群の場合

prf-classifying-space-rp-infinity と同じ筋である。$U_i:=\{[z]\mid z_i\ne0\}$ 上で $\varphi_i(z):=([z],\,z_i/|z_i|)$ とおくと、$\varphi_i(z\lambda)=([z],\,(z_i/|z_i|)\lambda)$ なので $S^1$ 同変であり、逆写像は $[z]\mapsto z\cdot\overline{z_i}/|z_i|$($z$ を「第 $i$ 成分が正の実数」となる代表に取り替える写像。$z\lambda$ に対しても同じ値を返すので $[z]$ の関数として定まる)で与えられる連続な切断 $s_i$ を用いて $([z],\lambda)\mapsto s_i([z])\lambda$ である。$\mathbb{CP}^\infty$ は偶数次元に 1 つずつ胞体をもつ CW 複体なので $q$ は可算被覆的である。$\mathbb{C}^\infty\cong\mathbb{R}^\infty$ の単位球面は前の証明により可縮である。よって thm-classifying-space-criterion により $q$ は普遍 $S^1$ 束である。$\square$

$\mathbb{CP}^\infty$ は Eilenberg–MacLane 空間 $K(\mathbb{Z},2)$ であり、$[X,\mathbb{CP}^\infty]\cong H^2(X;\mathbb{Z})$ である(Hat02 Theorem 4.57)。これと ex-classifying-space-cp-infinity を合わせると、CW 複体 $X$ 上の複素直線束の同型類が $H^2(X;\mathbb{Z})$ と一対一に対応することがわかる。対応する類が第 1 Chern 類(第1Chern類)である。同様に $\mathbb{RP}^\infty=K(\mathbb{Z}/2,1)$ から、実直線束の同型類は $H^1(X;\mathbb{Z}/2)$ に対応し、対応する類が第 1 Stiefel–Whitney 類(Stiefel–Whitney類)である。

ユニタリ群とGrassmann多様体

$\mathbb{C}^\infty$ の $n$ 次元部分空間の全体 $G_n(\mathbb{C}^\infty)=\varinjlim_NG_n(\mathbb{C}^N)$(無限 Grassmann多様体)と、$\mathbb{C}^\infty$ の正規直交 $n$ 枠の全体 $V_n(\mathbb{C}^\infty)$(Stiefel多様体)をとる。枠にその張る部分空間を対応させる写像 $V_n(\mathbb{C}^\infty)\to G_n(\mathbb{C}^\infty)$ は、$U(n)$(ユニタリ群)が枠に右から作用する主 $U(n)$ 束であり、$V_n(\mathbb{C}^\infty)$ は可縮である。したがって
$$ BU(n)\simeq G_n(\mathbb{C}^\infty) $$
であり、$n=1$ のときは ex-classifying-space-cp-infinity に戻る。同様に $BO(n)\simeq G_n(\mathbb{R}^\infty)$(直交群)、$BSO(n)$ は向き付けられた $n$ 次元部分空間の Grassmann 多様体である。証明は MS74 §5($O(n)$ の場合。$U(n)$ も同様)、Hus94 Chapter 3–4 に譲る。$V_n(\mathbb{C}^\infty)$ の可縮性は prf-classifying-space-rp-infinity の直線ホモトピーに Gram–Schmidt の直交化を組み合わせて示される。
パラコンパクト Hausdorff 空間 $X$ 上の階数 $n$ の複素ベクトル束 $E$ に Hermite 計量(Hermite内積)を入れ、各点の正規直交枠の全体をとると主 $U(n)$ 束 $\mathrm{Fr}(E)\to X$(枠束)が得られ、逆に主 $U(n)$ 束 $P$ から $P\times_{U(n)}\mathbb{C}^n$ でベクトル束が得られる。この 2 つの操作は互いに逆で、$X$ 上の階数 $n$ の複素ベクトル束の同型類と $k_{U(n)}(X)$ は一対一に対応する(Hus94 Chapter 4–5、MS74 §5)。したがって、階数 $n$ の複素ベクトル束の同型類は $[X,BU(n)]$ と一対一に対応し、$E$ に対応する分類写像 $f_E$ について $E\cong f_E^*\gamma^n$($\gamma^n$ は $G_n(\mathbb{C}^\infty)$ 上のトートロジー束)が成り立つ。これはベクトル束の記事の分類定理の 2 である。
$BU(n)$ の整係数コホモロジー環(特異コホモロジー)は
$$ H^*(BU(n);\mathbb{Z})=\mathbb{Z}[c_1,\dots,c_n],\qquad \deg c_i=2i $$
であり、生成元 $c_i$ を分類写像で引き戻したもの $c_i(E):=f_E^*c_i\in H^{2i}(X;\mathbb{Z})$ が $E$ の Chern類である(MS74 §14)。極大トーラス $T^n\subset U(n)$ に対して $BT^n\simeq(\mathbb{CP}^\infty)^n$ であり、$H^*(BT^n;\mathbb{Z})=\mathbb{Z}[x_1,\dots,x_n]$($\deg x_i=2$)で、包含が誘導する $H^*(BU(n);\mathbb{Z})\to H^*(BT^n;\mathbb{Z})$ は単射で、その像は対称多項式(対称多項式)の全体、$c_i$ の像は基本対称式 $e_i(x_1,\dots,x_n)$ である(MS74 §14、BT82 §21、Hus94 Part III)。これが分裂原理の位相的な形である。実の場合は $H^*(BO(n);\mathbb{Z}/2)=\mathbb{Z}/2[w_1,\dots,w_n]$($\deg w_i=i$)であり、$w_i$ が Stiefel–Whitney 類である(MS74 §7)。これらの計算の証明は本記事の水準を超えるので出典に譲る。

離散群とEilenberg–MacLane空間

$G$ を離散群とする。$BG$ は弧状連結(弧状連結空間)で $\pi_1(BG)\cong G$、$\pi_n(BG)=0$($n\ge2$)を満たす。すなわち $BG$ は Eilenberg–MacLane 空間 $K(G,1)$ であり、$EG\to BG$ は $BG$ の普遍被覆(普遍被覆空間)である。証明は cor-classifying-space-discrete で与える。具体的な模型としては、$B\mathbb{Z}\simeq S^1$(普遍束 $\mathbb{R}\to S^1$)、$B\mathbb{Z}^n\simeq T^n$(トーラス)、$B(\mathbb{Z}/2)\simeq\mathbb{RP}^\infty$、$B(\mathbb{Z}/m)\simeq S^\infty/(\mathbb{Z}/m)$(無限次元のレンズ空間、レンズ空間)、$B F_n\simeq\bigvee^nS^1$(自由群、円周のウェッジ和)、種数 $g\ge1$ の閉曲面 $\Sigma_g$ について $B\pi_1(\Sigma_g)\simeq\Sigma_g$(普遍被覆が $\mathbb{R}^2$ または上半平面で可縮)がある。いずれも thm-classifying-space-criterion による。離散群 $G$ に対し、群コホモロジー(群コホモロジー)は $H^*(G;M)=H^*(BG;M)$ で与えられる(Bro82 Chapter II)。

反例:分類空間は多様体でないことが多い

$G=\mathbb{Z}/2$ の分類空間は、有限次元の CW 複体でも、有限次元の位相多様体でもない。すなわち、$B(\mathbb{Z}/2)$ のどのホモトピー型の代表も有限次元多様体にはならない。実際、Hat02 Theorem 3.19 により $H^*(\mathbb{RP}^\infty;\mathbb{Z}/2)=\mathbb{Z}/2[w]$($\deg w=1$)であり、すべての $n\ge0$ について $H^n(\mathbb{RP}^\infty;\mathbb{Z}/2)\ne0$ である。コホモロジーはホモトピー不変なので、$B(\mathbb{Z}/2)$ のどの模型 $B$ についても $H^n(B;\mathbb{Z}/2)\ne0$(すべての $n$)である。一方、次元 $d$ の CW 複体は胞体コホモロジー(胞体コホモロジー)により $n>d$ で $H^n=0$ である。次元 $d$ の位相多様体 $M$ についても $n>d$ で $H_n(M;\mathbb{Z}/2)=0$ であり(Hat02 Theorem 3.26・Proposition 3.29)、体 $\mathbb{Z}/2$ 上の普遍係数定理(普遍係数定理、Hat02 Theorem 3.2)により $H^n(M;\mathbb{Z}/2)=0$ である。よって $B(\mathbb{Z}/2)$ は有限次元の模型をもたない。同じ議論は $B(\mathbb{Z}/m)$(レンズ空間のコホモロジーが各次元で非零)、$BS^1=\mathbb{CP}^\infty$、$BU(n)$ にも通用し、一般に非自明な有限群や非自明なコンパクト Lie 群(Lie群)の分類空間は有限次元の模型をもたない。有限次元の模型をもつ例は $B\mathbb{Z}=S^1$、$B\mathbb{Z}^n=T^n$、$B\pi_1(\Sigma_g)=\Sigma_g$ などの、捩れのない離散群の場合である。この反例は「$BG$ は多様体である」という含意を破るが、「$BG$ は CW 複体のホモトピー型をもつ」ことは、$G$ が CW 複体のホモトピー型をもつとき Milnor の構成について成り立つことが知られている(Mil59 の方法による)。

反例:離散でない群の基本群

「$\pi_1(BG)\cong G$」は $G$ が離散群のときにしか成り立たない。$G=S^1$ では $BS^1\simeq\mathbb{CP}^\infty$ は単連結(単連結空間)であり、$\pi_1(BS^1)=0\ne S^1$ である。代わりに $\pi_2(BS^1)\cong\pi_1(S^1)\cong\mathbb{Z}$ が成り立つ。一般に prop-classifying-space-homotopy-groups により $\pi_1(BG)\cong\pi_0(G)$($G$ の弧状連結成分の群 $G/G_0$)であり、たとえば $\pi_1(BO(n))\cong\pi_0(O(n))\cong\mathbb{Z}/2$、$\pi_1(BU(n))=0$、$\pi_1(BGL_n(\mathbb{R}))\cong\mathbb{Z}/2$ である。また同じ群でも位相を変えると分類空間は変わる。加法群 $\mathbb{R}$ に通常の位相を入れると $\mathbb{R}$ は可縮なので $B\mathbb{R}$ のホモトピー群はすべて消える(prop-classifying-space-homotopy-groups)が、離散位相を入れた $\mathbb{R}^\delta$ については $B\mathbb{R}^\delta$ は $K(\mathbb{R}^\delta,1)$ であり、$H_1(B\mathbb{R}^\delta;\mathbb{Z})\cong\mathbb{R}$ で可縮でない。この反例は「$BG$ は群 $G$ の代数的構造だけで決まる」という含意を破る。

性質

全空間の可縮性

Milnor の構成の $EG$ が可縮であることを示す。座標を 1 つ右にずらす写像が恒等写像にホモトピックであることが鍵である。

位置ずらしのホモトピー

$EG$ を def-classifying-space-milnor の無限ジョインとする。整数 $m\ge0$ に対し、写像 $\sigma_m\colon EG\to EG$ を、$x=(t_0g_0,t_1g_1,\dots)$ に対して
$$ \sigma_m(x):=(t_0g_0,\ \dots,\ t_{m-1}g_{m-1},\ 0,\ t_mg_m,\ t_{m+1}g_{m+1},\ \dots) $$
(第 $m$ 位置に $0$ を挿入し、第 $m$ 座標以降を 1 つ右にずらす)で定める。このとき $G$ 同変な連続写像 $H\colon EG\times[0,1]\to EG$ で、$H(x,0)=\sigma_m(x)$、$H(x,1)=x$ を満たし、しかも $i< m$ について $t_i(H(x,\tau))=t_i(x)$、$g_i(H(x,\tau))=g_i(x)$ を満たすものが存在する。

隣り合う位置への滑りの無限連結

$n\ge m$ に対して $\sigma_n$ を上と同じ式で定める。$\sigma_n$ は連続である(座標関数で確かめられる)。$t_j(x)=0$(すべての $j\ge n$)なら $\sigma_n(x)=x$ である。$\sigma_n(x)$ と $\sigma_{n+1}(x)$ は第 $n$、第 $n+1$ 位置以外では一致する。実際、$i< n$ では両方とも $t_ig_i$、$i\ge n+2$ では両方とも $t_{i-1}g_{i-1}$ である。第 $n$、第 $n+1$ 位置は $\sigma_n(x)$ では $(0,\ t_ng_n)$、$\sigma_{n+1}(x)$ では $(t_ng_n,\ 0)$ である。そこで $K_n\colon EG\times[0,1]\to EG$ を、$K_n(x,s)$ の第 $n$ 位置を $(s\,t_n)g_n$、第 $n+1$ 位置を $((1-s)t_n)g_n$ とし、他の位置は $\sigma_n(x)$ と同じとする写像として定める($s\in[0,1]$)。重みの和は $1$ であり、座標関数 $t_i\circ K_n$ は連続、$g_i\circ K_n$ は $\{t_i\circ K_n>0\}$ 上で $g_n(x)$ または $g_i(x)$ または $g_{i-1}(x)$ に等しく連続なので、$K_n$ は連続である。$K_n(x,0)=\sigma_n(x)$、$K_n(x,1)=\sigma_{n+1}(x)$ であり、$K_n$ は $G$ 同変である。
$a_k:=1-2^{-k}$($k\ge0$)とおき、$H(x,\tau)$ を $\tau\in[a_k,a_{k+1}]$ に対して $K_{m+k}(x,\ (\tau-a_k)/(a_{k+1}-a_k))$、$\tau=1$ に対して $x$ と定める。$K_{m+k}(x,1)=\sigma_{m+k+1}(x)=K_{m+k+1}(x,0)$ なので継ぎ目で矛盾しない。$H(x,0)=K_m(x,0)=\sigma_m(x)$ である。
$H$ の連続性を座標関数で確かめる。位置 $i$ を固定し、$m+k\ge i+1$ となる $k$ をとる。$k'\ge k$ の段階で用いる $K_{m+k'}$ は第 $i$ 位置を動かさず、その値は $t_ig_i$ である。よって $EG\times[a_{k+1},1]$ 上で $t_i\circ H=t_i(x)$、$g_i\circ H=g_i(x)$ であり($\tau=1$ を含む)、これらは連続である。一方 $EG\times[0,a_{k+1}]$ は有限個の閉集合 $EG\times[a_{k'},a_{k'+1}]$($k'\le k$)で覆われ、各上で $t_i\circ H$ は連続な $t_i\circ K_{m+k'}$ に一致し、$g_i\circ H$ は開集合 $\{t_i\circ H>0\}$ との共通部分の上で連続な $g_i\circ K_{m+k'}$ に一致する。有限個の閉集合の上で連続な関数は全体で連続であるから、$t_i\circ H$ は $EG\times[0,1]$ 上で連続、$g_i\circ H$ は $\{t_i\circ H>0\}$ 上で連続である。よって def-classifying-space-milnor の連続性の判定により $H$ は連続である。$G$ 同変性と $i< m$ の座標の不変性は構成から明らかである。$\square$

無限ジョインの可縮性

任意の位相群 $G$ に対し、Milnor の構成の全空間 $EG=G*G*\cdots$ は可縮である。したがって、thm-classifying-space-criterion と合わせると、普遍 $G$ 束の全空間はすべて弱可縮(すべてのホモトピー群が消える)である。

錐への収縮

lem-classifying-space-shift を $m=0$ に適用すると、$\mathrm{id}_{EG}\simeq\sigma_0$ である。$\sigma_0$ の像は閉集合 $E_0:=\{x\in EG\mid t_0(x)=0\}$ に含まれる。$e$ を $G$ の単位元とし、$x_*:=(1e,0,0,\dots)\in EG$ とおく。$L\colon E_0\times[0,1]\to EG$ を、第 $0$ 位置を $s\,e$、第 $i\ge1$ 位置を $((1-s)t_i(y))g_i(y)$ とする写像として定める。$y\in E_0$ では第 $0$ 位置が空いているので、これは矛盾なく定まり、重みの和は $s+(1-s)=1$ である。座標関数は連続なので $L$ は連続であり、$L(y,0)=y$、$L(y,1)=x_*$ である。よって $\sigma_0=L(\sigma_0(\cdot),0)\simeq L(\sigma_0(\cdot),1)=\text{定値写像 }x_*$ であり、$\mathrm{id}_{EG}\simeq\sigma_0\simeq x_*$ となって $EG$ は可縮である。$\square$

$EG$ の可縮性は $G$ の構造を何も使わない。$G$ の位相と群構造はすべて商 $BG=EG/G$ の側に現れる。$G$ 同変なホモトピーで恒等写像を定値写像に結ぶことは($G$ が自明でない限り)できない。

普遍束の可縮性による判定

$p\colon E\to B$ を可算被覆的主 $G$ 束とする。

  1. $E$ が可縮ならば、$p$ は普遍 $G$ 束である。
  2. 逆に $p$ が普遍 $G$ 束ならば、$E$ のホモトピー群はすべて消える。
判定定理の出典と証明の筋

1 は Dol63 による(Hus94 Chapter 4、tD08 §14.4)。$X$ 上の可算被覆的主 $G$ 束 $P$ に対し、$G$ 同変写像 $P\to E$ は随伴束 $P\times_GE\to X$(ファイバー $E$)の切断と一対一に対応する。可算被覆的なファイバー束でファイバーが可縮なものは切断をもち、2 つの切断は縦のホモトピーで結ばれる(Dol63 の切断拡張定理)。切断の存在から $P\cong f^*E$ となる $f\colon X\to B$ が得られ(全射性)、切断の一意性から $f$ のホモトピー類の一意性(単射性)が従う。2 は、prop-classifying-space-uniqueness により $B$ と Milnor の $BG$ の間の分類写像が互いにホモトピー逆写像であること、分類写像を覆う $G$ 同変写像 $E\to EG$ が各ファイバーの間の同相写像($G$ の右移動)を誘導することから、ファイブレーションのホモトピー完全列(prop-classifying-space-homotopy-groups の証明を参照)と 5 項補題(五項補題)により $\pi_n(E)\cong\pi_n(EG)=0$ が従う。$E$ が CW 複体のホモトピー型をもてば Whitehead の定理(Whiteheadの定理)により可縮である。

分類空間の一意性と関手性

分類空間のホモトピー型の一意性

$\omega\colon EG\to BG$ と $\omega'\colon E'G\to B'G$ をともに普遍 $G$ 束とする。$E'G\cong f^*EG$ を満たす分類写像 $f\colon B'G\to BG$ はホモトピー同値であり、$EG\cong g^*E'G$ を満たす $g\colon BG\to B'G$ がそのホモトピー逆写像である。とくに $G$ の分類空間はホモトピー同値を除いて一意である。

表現可能関手の一意性

$f$ と $g$ は普遍性(def-classifying-space の全射性)により存在する。合成 $g\circ f\colon B'G\to B'G$ について、引き戻しの関手性から
$$ (g\circ f)^*E'G=f^*(g^*E'G)\cong f^*EG\cong E'G=\mathrm{id}_{B'G}^*E'G $$
である。普遍性($X=B'G$ に対する単射性)により $g\circ f\simeq\mathrm{id}_{B'G}$ である。同様に $(f\circ g)^*EG=g^*(f^*EG)\cong g^*E'G\cong EG$ から $f\circ g\simeq\mathrm{id}_{BG}$ である。よって $f$ はホモトピー同値で $g$ がそのホモトピー逆写像である。$\square$

この証明は、$BG$ が関手 $k_G$ を表現する対象であることの帰結であり、米田の補題(米田の補題)のホモトピー圏(ホモトピー圏)における形である。以下では特定の模型によらない主張を「$BG$」について述べる。
位相群の連続な準同型(群準同型)$\phi\colon G\to H$ に対し、Milnor の構成で座標ごとに $\phi$ を施す写像 $E\phi\colon EG\to EH$ は $\phi$ 同変な連続写像であり、$B\phi\colon BG\to BH$ を誘導する。$X$ 上の主 $G$ 束 $P$ に対して $B\phi\circ f_P$ は構造群を $H$ に拡大した束 $P\times_GH$ の分類写像である。また $EG\times EH\to BG\times BH$ は可算被覆的主 $G\times H$ 束(自明化開集合の積 $U_i\times V_j$ と 1 の分割 $u_iv_j$ をとる)で、全空間 $EG\times EH$ は可縮な空間の積だから可縮であり、thm-classifying-space-criterion により普遍 $G\times H$ 束である。よって prop-classifying-space-uniqueness により $B(G\times H)\simeq BG\times BH$ である。

ホモトピー群

分類空間のホモトピー群

$EG\to BG$ を普遍 $G$ 束とし、$b_0\in BG$、$x_0\in EG$ を $\omega(x_0)=b_0$ となる点、$G$ の基点を単位元 $e$ とする。$BG$ は弧状連結であり、すべての $n\ge1$ について
$$ \pi_n(BG,b_0)\cong\pi_{n-1}(G,e) $$
が成り立つ。ここで $n\ge2$ ではホモトピー群の同型、$n=1$ では $\pi_1(BG,b_0)$ から $G$ の弧状連結成分の集合 $\pi_0(G)=G/G_0$($G_0$ は単位元の弧状連結成分)への全単射であり、群の構造を込めても同型である。

ファイブレーションのホモトピー完全列

$EG$ は thm-classifying-space-contractible・thm-classifying-space-criterion により弱可縮である。主 $G$ 束はファイバー束(ファイバー束)なので、CW 対に関するホモトピー持ち上げ性質をもち(Hat02 Proposition 4.48)、ファイバー $F=\omega^{-1}(b_0)$ について長い完全列(Hat02 Theorem 4.41)
$$ \cdots\to\pi_n(F,x_0)\to\pi_n(EG,x_0)\to\pi_n(BG,b_0)\xrightarrow{\ \partial\ }\pi_{n-1}(F,x_0)\to\pi_{n-1}(EG,x_0)\to\cdots\to\pi_0(EG,x_0) $$
が成り立つ。局所自明性により $F\cong G$($x_0\leftrightarrow e$)である。$\pi_0(EG)$ は一点であり、$BG$ の任意の点はファイバーが空でないので $EG$ の点の像だから、$BG$ は弧状連結である。$n\ge2$ では $\pi_n(EG)=0=\pi_{n-1}(EG)$ により $\partial\colon\pi_n(BG)\to\pi_{n-1}(G)$ は同型である。
$n=1$ の場合を直接示す。ループ $\gamma\colon[0,1]\to BG$($\gamma(0)=\gamma(1)=b_0$)に対し、道の持ち上げ(一点に関するホモトピー持ち上げ性質)により $\tilde\gamma(0)=x_0$ を満たす持ち上げ $\tilde\gamma$ が存在し、$\partial[\gamma]$ は $\tilde\gamma(1)\in F$ の弧状連結成分である($\gamma$ のホモトピー類だけによることは Hat02 Theorem 4.41 の証明のとおり)。全射性:$F$ の任意の点 $y$ に対し、$EG$ が弧状連結なので $x_0$ から $y$ への道 $\delta$ があり、$\gamma:=\omega\circ\delta$ はループで $\tilde\gamma=\delta$ だから $\partial[\gamma]=[y]$ である。単射性:$\partial[\gamma]=\partial[\gamma']$ とすると、$\tilde\gamma(1)$ と $\tilde\gamma'(1)$ を結ぶ $F$ 内の道 $\delta$ があり、$\tilde\gamma\cdot\delta\cdot\overline{\tilde\gamma'}$ は $x_0$ を基点とする $EG$ のループである。$\pi_1(EG)=0$ なのでこれは定値ループにホモトピックであり、$\omega$ で写すと $\gamma\cdot c_{b_0}\cdot\overline{\gamma'}$ が定値ループにホモトピックとなる($\omega\circ\delta$ は定値)。よって $[\gamma]=[\gamma']$ である。
群構造について:$\tilde\gamma(1)=g$、$\tilde\gamma'(1)=g'$ とする。右移動 $y\mapsto yg$ は $\omega$ を保つ同相写像なので、$g$ から始まる $\gamma'$ の持ち上げは $\tilde\gamma'\cdot g$ であり、$\gamma\cdot\gamma'$ の $x_0$ から始まる持ち上げの終点は $g'g$ である。したがって $\partial([\gamma][\gamma'])=\partial[\gamma']\,\partial[\gamma]$ であり、$\partial$ は反同型、$[\gamma]\mapsto(\partial[\gamma])^{-1}$ が群の同型 $\pi_1(BG,b_0)\cong\pi_0(G)$ である。$\square$

離散群の分類空間

$G$ を離散群とする。$BG$ は弧状連結で $\pi_1(BG)\cong G$、$\pi_n(BG)=0$($n\ge2$)であり、$\omega\colon EG\to BG$ は $BG$ の普遍被覆である。したがって $BG$ は Eilenberg–MacLane 空間 $K(G,1)$ であり、逆に $K(G,1)$ の CW 複体の模型 $Y$ をとると、その普遍被覆 $\tilde Y\to Y$ は普遍 $G$ 束である。

ホモトピー群の計算と被覆空間の理論

$G$ が離散なら $\pi_0(G)=G$、$\pi_{n-1}(G)=0$($n\ge2$)なので、前半は prop-classifying-space-homotopy-groups から従う。ファイバー $G$ が離散な主 $G$ 束は局所自明性により被覆写像であり、$EG$ は弱可縮とくに単連結なので、$\omega$ は普遍被覆である。逆に、$K(G,1)$ の CW 模型 $Y$ の普遍被覆 $\tilde Y\to Y$ は、被覆変換群 $\cong\pi_1(Y)\cong G$ が自由に作用する主 $G$ 束であり(被覆空間の記事の分類定理)、$\tilde Y$ は CW 複体で $\pi_n(\tilde Y)\cong\pi_n(Y)=0$($n\ge2$、Hat02 Proposition 4.1)かつ単連結なので Whitehead の定理により可縮である。$Y$ はパラコンパクトなので束は可算被覆的であり、thm-classifying-space-criterion により普遍 $G$ 束である。$\square$

補足

特性類

$BG$ のコホモロジー類 $c\in H^k(BG;A)$ をとると、$X$ 上の可算被覆的主 $G$ 束 $P$ に対して $c(P):=f_P^*c\in H^k(X;A)$ が定まる。$f_P$ はホモトピー類まで一意なので $c(P)$ は $P$ の同型類の不変量であり、引き戻しと両立する($c(f^*P)=f^*c(P)$)。これが特性類(特性類)であり、逆に引き戻しと両立する束の不変量はすべてこの形である($X=BG$、$P=EG$ で評価すればよい)。すなわち $H^*(BG;A)$ は主 $G$ 束の $A$ 係数特性類の環である。$G=U(n)$ のときこれは ex-classifying-space-bun の Chern類、$G=O(n)$ で $A=\mathbb{Z}/2$ のときは Stiefel–Whitney 類、$G=SO(n)$ のときは Pontryagin 類(Pontryagin類)と Euler 類(Euler類)を含む(MS74)。コンパクト連結 Lie 群 $G$ と極大トーラス $T$、Weyl 群(Weyl群)$W$ について、有理係数では $H^*(BG;\mathbb{Q})\cong H^*(BT;\mathbb{Q})^W$ であり、$H^*(BT;\mathbb{Q})$ は $\operatorname{rank}G$ 個の 2 次の生成元をもつ多項式環である(Borel の定理、Hus94 Part III)。

随伴束と Borel 構成

$G$ が左から作用する空間 $F$ に対し、$EG\times_GF:=(EG\times F)/G$($(x,y)\sim(xg,g^{-1}y)$)を $BG$ 上の随伴束といい、これは $BG$ 上のファイバー $F$ のファイバー束である。$X$ 上のファイバー $F$ の $G$ 束(構造群 $G$)は、対応する主 $G$ 束の分類写像で $EG\times_GF$ を引き戻したものと同型であり、$EG\times_GF\to BG$ が「普遍 $F$ 束」の役割をする。$F=\mathbb{C}^n$、$G=U(n)$ ならこれは $BU(n)$ 上のトートロジー束 $\gamma^n$ である。$F=X$ を $G$ 空間とみたときの $X_G:=EG\times_GX$ を Borel 構成といい、$H^*_G(X):=H^*(X_G)$ を $X$ の同変コホモロジー(同変コホモロジー)という。$X$ が一点なら $X_G=BG$ で $H^*_G(\mathrm{pt})=H^*(BG)$、$X\to X/G$ が可算被覆的主 $G$ 束なら $X_G\simeq X/G$ である。実際、射影 $X_G=EG\times_GX\to X/G$ は $X\to X/G$ に随伴するファイバー $EG$ の可算被覆的ファイバー束であり、ファイバーが可縮な可算被覆的ファイバー束はホモトピー同値である(Dol63)。

単体的な構成と代数幾何の $BG$

$G$ を対象 1 つの圏(射が $G$ の元)とみなし、その脈体(脈体)$N G$ は $n$ 単体が $G^n$ である単体的空間(単体的対象、単体的集合)で、その幾何学的実現(幾何学的実現)$|NG|$ は、単位元 $e$ が $G$ の非退化な基点($(G,\{e\})$ が NDR 対。Lie 群や CW 複体の構造をもつ位相群はこれを満たす)であるとき $BG$ の模型である。$EG$ に対応するのは $G$ の作用つき圏(対象 $G$、$g$ から $g'$ への射が $g'g^{-1}$)の脈体の実現である。これは Milgram・Segal(Seg68)による bar 構成で、$B$ が位相群の圏から空間の圏への関手であること、$B(G\times H)\cong BG\times BH$(コンパクト生成空間の圏で)、および $G$ がアーベル群のとき $BG$ が再び位相アーベル群になること($B^nA=K(A,n)$)を与える。単体的対象の言葉では、$BG$ は単体的空間 $\Delta^{op}\to\mathbf{Top}$、$[n]\mapsto G^n$ の幾何学的実現として現れる。
代数幾何では、体 $k$ 上の代数群(群スキーム)$G$ に対して、$k$ スキーム $T$ に $T$ 上の $G$ トーサー(トーサー)の亜群を対応させる関手が $fppf$ 位相(fppf位相)の代数的スタック(代数的スタック、スタック)$BG=[\operatorname{Spec}k/G]$ を定める。これは「$G$ トーサーの同型類が $BG$ への射に対応する」という普遍性をスタックとして正確に実現したもので、位相的な $BG$ の代数幾何版である。$G$ が滑らかなら $BG$ は $\operatorname{Spec}k$ 上滑らかな次元 $-\dim G$ の代数的スタックであり、その Chow 環や $\ell$ 進コホモロジーが代数的な特性類(Chern類の代数版)を与える(Totaro の構成による近似 $BG\approx(V\setminus S)/G$ を用いる)。
本記事の記述は主に Hus94 Chapter 4(可算被覆的主束・Milnor の構成・普遍性)、tD08 §14.4、MS74 §5・§14、Hat02 §1.B・§4.2 に従う。

関連項目

参考文献

[1]
Dale Husemoller, Fibre Bundles, Graduate Texts in Mathematics 20, 3rd ed., Springer, 1994, Chapter 3–4(主束・可算被覆的束・ホモトピー不変性・Milnor の構成と普遍性・可縮性による判定)、Chapter 4–5(枠束と随伴束)、Part III(特性類、Borel の定理)
[2]
John W. Milnor, James D. Stasheff, Characteristic Classes, Annals of Mathematics Studies 76, Princeton University Press, 1974, §5(Grassmann 多様体と普遍束)、§7($H^*(BO(n);\mathbb{Z}/2)$)、§14($H^*(BU(n);\mathbb{Z})$ と Chern 類)、§15(Pontryagin 類)
[3]
Allen Hatcher, Algebraic Topology, Cambridge University Press, 2002, Chapter 0($\mathbb{RP}^\infty$・$\mathbb{CP}^\infty$ の胞体分割)、§1.B($K(G,1)$、Example 1B.3)、Theorem 3.2(普遍係数定理)、Theorem 3.19($\mathbb{RP}^\infty$・$\mathbb{CP}^\infty$ のコホモロジー環)、Theorem 3.26・Proposition 3.29(多様体のホモロジーの消滅)、Proposition 4.1(被覆写像とホモトピー群)、Theorem 4.41(ホモトピー完全列)、Proposition 4.48(ファイバー束の持ち上げ性質)、Theorem 4.57(Eilenberg–MacLane 空間)、Appendix(CW 複体のパラコンパクト性、Theorem A.6)
[4]
Tammo tom Dieck, Algebraic Topology, EMS Textbooks in Mathematics, European Mathematical Society, 2008, §14.3(主束のホモトピー定理)、§14.4(普遍束と Milnor の構成)
[6]
Kenneth S. Brown, Cohomology of Groups, Graduate Texts in Mathematics 87, Springer, 1982, Chapter II(群のコホモロジーと $K(G,1)$ のコホモロジー)

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