2円の位置関係と共通接線

同義語:two circles and their common tangents

概要

2円の位置関係と共通接線(two circles and their common tangents)とは、半径 $r_1\ge r_2$ の 2 円の中心間の距離 $d>0$ によって、互いに外部($d>r_1+r_2$)、外接($d=r_1+r_2$)、2 点で交わる($r_1-r_2<d<r_1+r_2$)、内接($d=r_1-r_2$)、内部($d<r_1-r_2$)の 5 つに分かれ、共通接線がそれぞれ 4, 3, 2, 1, 0 本になることである。接する 2 円の接点は中心線上にある。両中心が同じ側にある共通接線は中心間を $r_1:r_2$ に外分する点($r_1\ne r_2$ のとき)を、反対側のものは内分点を通り、これらが相似の中心である。共通接線の長さは $\sqrt{d^2-(r_1-r_2)^2}$ と $\sqrt{d^2-(r_1+r_2)^2}$ である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 円と直線の位置関係, 直線の方程式と点と直線の距離, 内分点・外分点の座標, 直径に対する円周角

高校での出発点:中心間の距離で分ける

2 つの円の位置関係は、中心間の距離 $d$ と 2 つの半径 $r_1,r_2$ の大小で決まる、と教科書で習う。まず、半径 $3$ の円と半径 $1$ の円で、中心間の距離を変えて共有点を計算してみる。

半径 $3$ と半径 $1$ の 2 円の共有点

円 $C_1\colon x^2+y^2=9$(中心 $O_1(0,0)$、半径 $3$)と円 $C_2\colon (x-d)^2+y^2=1$(中心 $O_2(d,0)$、半径 $1$)の共有点を求める。2 つの方程式を引くと、2 次の項が消えて
$$ x^2+y^2-\bigl((x-d)^2+y^2\bigr)=9-1,\qquad 2dx-d^2=8,\qquad x=\frac{d^2+8}{2d} $$
となる。これを $x^2+y^2=9$ に代入して $y^2=9-x^2$ を調べる。

  • $d=5$:$x=\dfrac{33}{10}$、$y^2=9-\dfrac{1089}{100}=-\dfrac{189}{100}<0$。共有点はない。
  • $d=4$:$x=3$、$y^2=0$。共有点は $(3,0)$ の 1 つだけである。
  • $d=3$:$x=\dfrac{17}6$、$y^2=9-\dfrac{289}{36}=\dfrac{35}{36}>0$。共有点は $\left(\dfrac{17}6,\pm\dfrac{\sqrt{35}}6\right)$ の 2 つである。
  • $d=2$:$x=3$、$y^2=0$。共有点は $(3,0)$ の 1 つだけである。
  • $d=1$:$x=\dfrac92$、$y^2=9-\dfrac{81}4<0$。共有点はない。
    半径の和は $3+1=4$、差は $3-1=2$ である。共有点が 1 つになったのは、$d$ が和 $4$ か差 $2$ に等しいときである。$d=5$ と $d=1$ はどちらも共有点がないが、$d=5$ では 2 円が互いの外にあり、$d=1$ では $C_2$ が $C_1$ の内部にある。

引き算で出た 1 次式 $x=\dfrac{d^2+8}{2d}$ は、2 円が交わるときは 2 つの共有点を通る直線(共通弦を含む直線)であり、根軸と根心 で扱う根軸である。
C₁: x²+y²=9 と C₂: (x−d)²+y²=1 を d = 5, 4, 3, 2, 1 で並べた図。共通接線(オレンジは 2 円が同じ側、赤は反対側にあるもの)は 4, 3, 2, 1, 0 本 C₁: x²+y²=9 と C₂: (x−d)²+y²=1 を d = 5, 4, 3, 2, 1 で並べた図。共通接線(オレンジは 2 円が同じ側、赤は反対側にあるもの)は 4, 3, 2, 1, 0 本
図 1 には、2 つの円に同時に接する直線(共通接線)も描いた。本数は $d$ が小さくなるにつれて 4, 3, 2, 1, 0 と減る。まとめると次の表になる($r_1\ge r_2$、$d>0$)。

位置関係$d$ の条件共有点共通接線
互いに外部にある$d>r_1+r_2$0 個4 本
外接する$d=r_1+r_2$1 個3 本
2 点で交わる$r_1-r_2< d< r_1+r_2$2 個2 本
内接する$d=r_1-r_2$1 個1 本
一方が他方の内部にある$d< r_1-r_2$0 個0 本

この記事で答える問いは次の 4 つである。

  1. 2 円の位置関係は、なぜ $d$ と $r_1\pm r_2$ の大小で決まるか。接する 2 円の接点はどこにあるか。→ thm-tct-position、cor-tct-contact
  2. 共通接線の本数は、なぜ 4, 3, 2, 1, 0 本か。→ thm-tct-count
  3. 共通接線の長さはいくつか。→ prop-tct-length
  4. 共通接線が必ず通る点(相似の中心)は何か。→ lem-tct-through-center、prop-tct-homothety
    高校の事実この記事の言葉大学の言葉
    $d$ と $r_1\pm r_2$ で位置関係を分類中心から他方の円の点までの距離の範囲三角不等式
    共通接線の本数相似の中心から引いた接線の本数相似変換で動かない直線
    共通接線の長さ中心を結ぶ線分の、接線方向と法線方向への分解直交分解(三平方の定理)
    外分点・内分点外相似の中心・内相似の中心相似変換の不動点

主定理 1:位置関係は距離と半径で決まる

円 $C_1$ の中心を $O_1$、半径を $r_1$、円 $C_2$ の中心を $O_2$、半径を $r_2$ とし、$d:=O_1O_2$ とする。以下、名前を付け替えて $r_1\ge r_2$ とする。$d=0$(同心円)の場合は最後に述べ、しばらく $d>0$ とする。鍵になるのは、$O_1$ から $C_2$ の点までの距離がどの範囲を動くかである。

中心から他方の円までの距離

$d>0$ とし、座標を $O_1(0,0)$、$O_2(d,0)$ となるようにとる。$C_2$ の点を $X_t=(d+r_2\cos t,\ r_2\sin t)$($0^\circ\le t<360^\circ$)と表すと
$$ O_1X_t^2=d^2+r_2^2+2dr_2\cos t $$
である。したがって $O_1X_t$ は、$t=180^\circ$ で最小値 $\lvert d-r_2\rvert$、$t=0^\circ$ で最大値 $d+r_2$ をとり、その間のすべての値をとる。

成分で計算する

方針:$O_1X_t^2$ を展開し、$\cos t$ の 1 次式として見る。
段 1(展開)。$O_1X_t^2=(d+r_2\cos t)^2+(r_2\sin t)^2=d^2+2dr_2\cos t+r_2^2(\cos^2t+\sin^2t)=d^2+r_2^2+2dr_2\cos t$ である。
段 2(範囲)。$d>0$、$r_2>0$ なので、右辺は $\cos t$ について増加する 1 次式である。$\cos t$ は $-1$ から $1$ までのすべての値をとり、$-1$ になるのは $t=180^\circ$、$1$ になるのは $t=0^\circ$ だけである。$\cos t=-1$ のとき $O_1X_t^2=(d-r_2)^2$、$\cos t=1$ のとき $(d+r_2)^2$ なので、$O_1X_t$ は $\lvert d-r_2\rvert$ から $d+r_2$ までの値をとる。$\square$

$\lvert d-r_2\rvert\le O_1X\le d+r_2$ は、三角形 $O_1O_2X$ の三角不等式(絶対値と三角不等式)そのものである。等号は $X$ が直線 $O_1O_2$ の上にあるときに成り立つ。

2 円の位置関係

$r_1\ge r_2>0$、$d>0$ とする。

  1. $d>r_1+r_2$ なら、共有点はなく、$C_1$ と $C_2$ はそれぞれ他方の外部にある。
  2. $d=r_1+r_2$ なら、共有点はただ 1 つで、線分 $O_1O_2$ の上にある(外接する)。それ以外の点は、それぞれ他方の外部にある。
  3. $r_1-r_2< d< r_1+r_2$ なら、共有点はちょうど 2 つで、直線 $O_1O_2$ について対称な位置にある。
  4. $d=r_1-r_2$ なら、共有点はただ 1 つで、直線 $O_1O_2$ の上にある(内接する)。$C_2$ のそれ以外の点は $C_1$ の内部にある。
  5. $d< r_1-r_2$ なら、共有点はなく、$C_2$ は $C_1$ の内部にある。
余弦の値の個数で数える

方針:lem-tct-distance の記号で、$X_t$ が $C_1$ の上にある条件 $O_1X_t^2=r_1^2$ を $\cos t$ の方程式にし、解の個数を数える。
段 1(方程式)。$O_1X_t^2=r_1^2$ は $d^2+r_2^2+2dr_2\cos t=r_1^2$、つまり
$$ \cos t=c,\qquad c:=\frac{r_1^2-d^2-r_2^2}{2dr_2} $$
である。$0^\circ\le t<360^\circ$ の範囲で、$\cos t=c$ の解は、$-1< c<1$ なら 2 つ($t$ と $360^\circ-t$)、$c=1$ なら $t=0^\circ$ の 1 つ、$c=-1$ なら $t=180^\circ$ の 1 つ、$\lvert c\rvert>1$ なら 0 個である。異なる $t$ は $C_2$ の異なる点を表すので、これが共有点の個数である。
段 2($c$ と $1$ の比較)。分母 $2dr_2$ は正なので、$c<1$ は $r_1^2-d^2-r_2^2<2dr_2$、つまり $r_1^2<(d+r_2)^2$ と同じであり、両辺が正の数の 2 乗なので $r_1< d+r_2$、つまり $d>r_1-r_2$ と同じである。同じく $c=1\iff d=r_1-r_2$、$c>1\iff d< r_1-r_2$ である。
段 3($c$ と $-1$ の比較)。$c>-1$ は $r_1^2-d^2-r_2^2>-2dr_2$、つまり $r_1^2>(d-r_2)^2$、つまり $r_1>\lvert d-r_2\rvert$ と同じである。$r_1>\lvert d-r_2\rvert$ は「$d-r_2< r_1$ かつ $r_2-d< r_1$」で、$r_1\ge r_2$、$d>0$ なので 2 つ目はいつも成り立つ。よって $c>-1\iff d< r_1+r_2$、$c=-1\iff d=r_1+r_2$、$c<-1\iff d>r_1+r_2$ である。
段 4(個数)。段 2・段 3 から、$d>r_1+r_2$ なら $c<-1$ で 0 個、$d=r_1+r_2$ なら $c=-1$ で 1 個、$r_1-r_2< d< r_1+r_2$ なら $-1< c<1$ で 2 個、$d=r_1-r_2$ なら $c=1$ で 1 個、$d< r_1-r_2$ なら $c>1$ で 0 個である。2 個の場合、$t$ と $360^\circ-t$ の点は $y$ 座標の符号だけが違い、直線 $O_1O_2$($x$ 軸)について対称である。
段 5(接点の位置)。$c=-1$($d=r_1+r_2$)の共有点は $t=180^\circ$ の $X=(d-r_2,0)=(r_1,0)$ で、$0< r_1< d$ なので線分 $O_1O_2$ の上にある。$c=1$($d=r_1-r_2$)の共有点は $t=0^\circ$ の $X=(d+r_2,0)=(r_1,0)$ で、直線 $O_1O_2$ の上($O_2$ の先)にある。
段 6(内部か外部か)。lem-tct-distance により、$C_2$ の点の $O_1$ からの距離は $\lvert d-r_2\rvert$ 以上 $d+r_2$ 以下で、端の値をとるのは直線 $O_1O_2$ の上の点だけである。1 では $d-r_2>r_1$ なので $C_2$ の点はすべて $C_1$ の外部にあり、$O_1$ と $O_2$ の役を入れ替えると($d-r_1>r_2$)$C_1$ の点もすべて $C_2$ の外部にある。2 では $d-r_2=r_1$ で、等号は接点だけなので、それ以外の $C_2$ の点は $C_1$ の外部にある。役を入れ替えても同じである。4 では $d+r_2=r_1$ で、等号は接点だけなので、それ以外の $C_2$ の点は $C_1$ の内部にある。5 では $d+r_2< r_1$ なので、$C_2$ の点はすべて $C_1$ の内部にある。$\square$

余弦の値 $c$ で 5 つの場合を確かめる

ex-tct-start の $r_1=3$、$r_2=1$ では $c=\dfrac{9-d^2-1}{2d}=\dfrac{8-d^2}{2d}$ である。

$d$$5$$4$$3$$2$$1$
$c$$-\dfrac{17}{10}$$-1$$-\dfrac16$$1$$\dfrac72$
共有点0 個1 個2 個1 個0 個

$d=4$ の接点は $(3,0)$ で線分 $O_1O_2$($0\le x\le4$)の上にあり、$d=2$ の接点 $(3,0)$ は $O_2(2,0)$ の先にある。ex-tct-start の引き算による計算と一致する。

引き算による方法でも同じ結論が出る。共有点の $x$ 座標は $x_0=\dfrac{d^2+r_1^2-r_2^2}{2d}$ で、$y^2=r_1^2-x_0^2$ を因数分解すると
$$ r_1^2-x_0^2=\frac{\bigl((r_1+r_2)^2-d^2\bigr)\bigl(d^2-(r_1-r_2)^2\bigr)}{4d^2} $$
となる。分子の 2 つの因数の符号から、同じ 5 つの場合が出る。
$d=0$(同心円)のときは、$r_1>r_2$ なら $C_2$ は $C_1$ の内部にあって共有点はなく、$r_1=r_2$ なら 2 円は一致する。$r_1>r_2$ の同心円は、表の 5 番目($d< r_1-r_2$)に含めてよい。

接する 2 円の接点

2 円が接する($d=r_1+r_2$ または $d=r_1-r_2>0$)とき、接点 $T$ は直線 $O_1O_2$ の上にある。$T$ を通り $O_1O_2$ に垂直な直線は、$T$ における両方の円の接線であり、2 円の共通接線になる。

接点が中心線の上にあることから

thm-tct-position の 2 と 4 により、$T$ は直線 $O_1O_2$ の上にある。したがって半径 $O_1T$ と $O_2T$ はどちらも直線 $O_1O_2$ に沿っている。$T$ を通り $O_1O_2$ に垂直な直線 $m$ は、$O_1T$ にも $O_2T$ にも垂直なので、$T$ における $C_1$ の接線であり、$C_2$ の接線でもある($O_1$ から $m$ に下ろした垂線の足は $T$ なので、$O_1$ と $m$ の距離は $O_1T=r_1$ で、$m$ は $C_1$ に接する。$C_2$ についても同じである。円と直線の位置関係)。$\square$

根軸と根心 では、接する 2 円の根軸がこの共通接線 $m$ であることを、この系を使って示している。
接する 2 円の中心を結ぶ直線が接点を通ることは、Euclid『原論』第 III 巻の命題 11(内側から接する場合)と命題 12(外側から接する場合)にあたる。Heath は命題 12 への注で、共有点の個数と位置を中心間の距離と半径の大小で分けて調べる、近代の教科書に多い扱いを紹介し、5 つの場合を順に証明している(Hea56)。thm-tct-position は、その 5 つの場合を座標で示したものである。

主定理 2:共通接線の本数

準備:符号つきの距離と、相似の中心

直線 $\ell$ が円に接することは、中心と $\ell$ の距離が半径に等しいことと同じである(円と直線の位置関係)。距離は 直線の方程式と点と直線の距離 の公式で計算できる。ここでは符号も残しておく。

符号つきの距離

直線 $\ell$ を $ax+by+e=0$($a^2+b^2=1$)と書く(係数全体を $\sqrt{a^2+b^2}$ で割れば、いつでもこの形にできる)。点 $X(x,y)$ に対して $f(X):=ax+by+e$ とおく。$\lvert f(X)\rvert$ は $X$ と $\ell$ の距離であり、$f(X)$ の符号は $X$ が $\ell$ のどちら側にあるかを表す。

円 $C_1$、$C_2$ の両方に接する直線を 共通接線 という。共通接線 $\ell$ では $\lvert f(O_1)\rvert=r_1$、$\lvert f(O_2)\rvert=r_2$ である。$f(O_1)$ と $f(O_2)$ が同じ符号(2 つの中心が $\ell$ の同じ側)のものを 共通外接線、反対の符号のものを 共通内接線 という。

外相似の中心と内相似の中心

中心が異なる 2 円 $C_1$、$C_2$ について、線分 $O_1O_2$ を $r_1:r_2$ に内分する点を 内相似の中心 $I$、$r_1\ne r_2$ のとき $r_1:r_2$ に外分する点を 外相似の中心 $E$ という。位置ベクトルで書くと
$$ \vec\imath=\frac{r_2\vec o_1+r_1\vec o_2}{r_1+r_2},\qquad \vec e=\frac{-r_2\vec o_1+r_1\vec o_2}{r_1-r_2} $$
である(内分点・外分点の座標)。

相似の中心を求める

$O_1(0,0)$、$r_1=3$、$O_2(5,0)$、$r_2=1$ では
$$ I=\frac{1\cdot(0,0)+3\cdot(5,0)}{4}=\left(\frac{15}4,0\right),\qquad E=\frac{-1\cdot(0,0)+3\cdot(5,0)}{2}=\left(\frac{15}2,0\right) $$
である。$O_1I:IO_2=\dfrac{15}4:\dfrac54=3:1$、$O_1E:EO_2=\dfrac{15}2:\dfrac52=3:1$ で、確かに半径の比になっている。一般に $d=O_1O_2$ とすると $O_1I=\dfrac{r_1d}{r_1+r_2}$、$O_1E=\dfrac{r_1d}{r_1-r_2}$ である。

共通接線がこれらの点を通ることは、$f$ が直線 $O_1O_2$ の上で 1 次関数になることから分かる。

共通接線は相似の中心を通る

中心が異なる 2 円 $C_1$、$C_2$ について、次が成り立つ。

  1. $r_1\ne r_2$ なら、共通外接線はすべて外相似の中心 $E$ を通る。$r_1=r_2$ なら、共通外接線はすべて直線 $O_1O_2$ に平行である。
  2. 共通内接線はすべて内相似の中心 $I$ を通る。
  3. 逆に、$E$ を通り $C_1$ に接する直線は共通外接線であり、$I$ を通り $C_1$ に接する直線は共通内接線である。
直線 $O_1O_2$ の上で $f$ は 1 次関数

要点:直線 $O_1O_2$ の点を $\vec x(s)=\vec o_1+s(\vec o_2-\vec o_1)$($s$ は実数)と書くと、共通接線 $\ell$ の符号つきの距離 $f$ は $s$ の 1 次関数 $(1-s)f(O_1)+sf(O_2)$ になる。共通外接線では $f(O_2)=\dfrac{r_2}{r_1}f(O_1)$、共通内接線では $f(O_2)=-\dfrac{r_2}{r_1}f(O_1)$ なので、この 1 次関数が $0$ になる点、つまり $\ell$ と直線 $O_1O_2$ の交点は、それぞれ $E$($r_1\ne r_2$ のとき)、$I$ になる。逆(主張の 3)も、同じ 1 次関数から $f(O_2)$ と $f(O_1)$ の比を読み取って示す。

詳しい証明を開く

$f_1:=f(O_1)$、$f_2:=f(O_2)$ とおく。

段 1(1 次関数)。$f(X)=ax+by+e$ は座標の 1 次式なので、$f(\vec x(s))=(1-s)f_1+sf_2$ である($\vec x(s)=(1-s)\vec o_1+s\vec o_2$ を代入して、$e=(1-s)e+se$ と書けばよい)。

段 2(1 の証明)。共通外接線では $f_1,f_2$ が同じ符号で $\lvert f_1\rvert=r_1$、$\lvert f_2\rvert=r_2$ なので、$f_2=\dfrac{r_2}{r_1}f_1$ である。$r_1=r_2$ なら $f_1=f_2$ で、$f(\vec x(s))$ は $s$ によらず一定の値 $f_1\ne0$ である。直線 $O_1O_2$ の点はすべて $\ell$ から同じ距離にあり、同じ側にあるので、直線 $O_1O_2$ は $\ell$ に平行である。$r_1\ne r_2$ なら、$f(\vec x(s))=0$ となるのは $s_0=\dfrac{f_1}{f_1-f_2}=\dfrac{r_1}{r_1-r_2}$ のときで、その点は

$$\vec o_1+\frac{r_1}{r_1-r_2}(\vec o_2-\vec o_1)=\frac{(r_1-r_2)\vec o_1+r_1\vec o_2-r_1\vec o_1}{r_1-r_2}=\frac{-r_2\vec o_1+r_1\vec o_2}{r_1-r_2}=\vec e$$

である。$f(E)=0$ なので、$E$ は $\ell$ の上にある。

段 3(2 の証明)。共通内接線では $f_2=-\dfrac{r_2}{r_1}f_1$ なので、$f(\vec x(s))=0$ となるのは $s_0=\dfrac{f_1}{f_1-f_2}=\dfrac{r_1}{r_1+r_2}$ のときで、段 2 と同じ計算でその点は $I$ である。

段 4(3 の証明)。$\ell$ が $E$ を通り、$C_1$ に接するとする。$\lvert f_1\rvert=r_1>0$ である。段 1 の 1 次関数 $f(\vec x(s))$ は $s_0=\dfrac{r_1}{r_1-r_2}$ で $0$ になるので、定数 $k$ を用いて $f(\vec x(s))=k(s-s_0)$ と書ける。$f_1=-ks_0$、$f_2=k(1-s_0)$ で、$f_1\ne0$ なので $k\ne0$ であり

$$\frac{f_2}{f_1}=\frac{s_0-1}{s_0}=\frac{r_2/(r_1-r_2)}{r_1/(r_1-r_2)}=\frac{r_2}{r_1}$$

である。よって $f_2=\dfrac{r_2}{r_1}f_1$ で、$\lvert f_2\rvert=r_2$、$f_1$ と $f_2$ は同じ符号である。$\ell$ は $C_2$ にも接し、共通外接線である。$I$ の場合は $s_0=\dfrac{r_1}{r_1+r_2}$ で $\dfrac{s_0-1}{s_0}=-\dfrac{r_2}{r_1}$ となり、共通内接線である。$\square$

あとは、1 点から円に引ける接線の本数が分かればよい。これは 直径に対する円周角 と thm-tct-position から出る。

1 点から引ける接線の本数

中心 $O$、半径 $r$ の円と点 $Q$ について、$Q$ を通る接線の本数は、$OQ>r$ なら 2 本、$OQ=r$ なら 1 本、$OQ< r$ なら 0 本である。

接点は $OQ$ を直径とする円の上

要点:$OQ< r$ なら $Q$ を通る直線はどれも $O$ からの距離が $r$ より小さく、$OQ=r$ なら $Q$ における接線だけである。$OQ>r$ のとき、接点 $T$ は $\angle OTQ=90^\circ$ を満たすので $OQ$ を直径とする円 $K$ の上にあり、接線はもとの円と $K$ の共有点と 1 対 1 に対応する。2 円 $K$ ともとの円は thm-tct-position の 3 の条件を満たすので、共有点は 2 つである。

詳しい証明を開く

段 1($OQ< r$)。$Q$ を通る直線と $O$ の距離は $OQ$ 以下($O$ から下ろした垂線の長さは、$O$ と直線上の点 $Q$ の距離以下)なので $r$ より小さく、接線にはならない。

段 2($OQ=r$)。$Q$ は円周上にある。$Q$ を通る直線 $\ell$ が接線なら、$O$ から $\ell$ に下ろした垂線の足 $H$ について $OH=r=OQ$ である。三角形 $OHQ$ で $H\ne Q$ とすると、$H$ を直角とする直角三角形の斜辺 $OQ$ が $OH$ より長くなり矛盾する。よって $H=Q$ で、$\ell$ は $Q$ を通り $OQ$ に垂直な直線、つまり $Q$ における接線ただ 1 本である。

段 3($OQ>r$、接点の条件)。$Q$ を通る直線が円に $T$ で接するとき、接点 $T$ は中心 $O$ から接線に下ろした垂線の足である(円と直線の位置関係)。よって $QT\perp OT$ なので $\angle OTQ=90^\circ$ である。$T\ne O$、$T\ne Q$ なので、直径に対する円周角 の逆により $T$ は $OQ$ を直径とする円 $K$ の上にある。逆に、もとの円と $K$ の共有点 $T$ では $\angle OTQ=90^\circ$ で、直線 $QT$ は $T$ における接線である。したがって、接線はもとの円と $K$ の共有点と 1 対 1 に対応する(異なる接点をもつ 2 本の接線が同じ直線なら、その直線は円と 2 点を共有し、接線でなくなる)。

段 4($OQ>r$、共有点の個数)。$K$ の中心は $OQ$ の中点、半径は $\dfrac{OQ}2$ で、2 円の中心間の距離は $\dfrac{OQ}2$ である。2 つの半径 $r$ と $\dfrac{OQ}2$ の大きい方から小さい方を引いた差は $\left\lvert r-\dfrac{OQ}2\right\rvert$ なので、thm-tct-position の 3 の条件は

$$\left\lvert r-\frac{OQ}2\right\rvert<\frac{OQ}2< r+\frac{OQ}2$$

である。右の不等号は $r>0$ からいつも成り立つ。左の不等号は $-\dfrac{OQ}2< r-\dfrac{OQ}2<\dfrac{OQ}2$、つまり $0< r< OQ$ と同じで、仮定 $OQ>r$ から成り立つ。よって共有点はちょうど 2 つで、接線はちょうど 2 本である。$\square$

共通接線の本数

共通接線の本数

$r_1\ge r_2>0$、$d>0$ とする。2 円の共通接線の本数は次のとおりである。

$d$ の条件共通外接線共通内接線合計
$d>r_1+r_2$2 本2 本4 本
$d=r_1+r_2$2 本1 本3 本
$r_1-r_2< d< r_1+r_2$2 本0 本2 本
$d=r_1-r_2$1 本0 本1 本
$d< r_1-r_2$0 本0 本0 本
相似の中心から $C_1$ に引く接線を数える

方針:lem-tct-through-center により、共通外接線は「$E$ から $C_1$ に引いた接線」、共通内接線は「$I$ から $C_1$ に引いた接線」とちょうど一致する。その本数を lem-tct-from-point で数える。
段 1(共通外接線、$r_1>r_2$)。lem-tct-through-center の 1 と 3 により、共通外接線は $E$ を通り $C_1$ に接する直線と一致する。ex-tct-centers のとおり $O_1E=\dfrac{r_1d}{r_1-r_2}$ なので
$$ O_1E>r_1\iff d>r_1-r_2,\qquad O_1E=r_1\iff d=r_1-r_2,\qquad O_1E< r_1\iff d< r_1-r_2 $$
である(両辺を正の数 $\dfrac{r_1}{r_1-r_2}$ で割った形)。lem-tct-from-point により、本数はそれぞれ 2 本、1 本、0 本である。
段 2(共通外接線、$r_1=r_2$)。lem-tct-through-center の 1 により、共通外接線は直線 $O_1O_2$ に平行で $O_1$ からの距離が $r_1$ の直線である。そのような直線は直線 $O_1O_2$ の両側に 1 本ずつあり、どちらも $O_2$ からの距離も $r_1=r_2$ で、同じ側に 2 つの中心がある。よって 2 本である。$r_1-r_2=0< d$ なので、表の「2 本」と合っている。
段 3(共通内接線)。lem-tct-through-center の 2 と 3 により、共通内接線は $I$ を通り $C_1$ に接する直線と一致する。$O_1I=\dfrac{r_1d}{r_1+r_2}$ なので、$O_1I>r_1\iff d>r_1+r_2$、$O_1I=r_1\iff d=r_1+r_2$、$O_1I< r_1\iff d< r_1+r_2$ である。本数はそれぞれ 2 本、1 本、0 本である。
段 4(合計)。共通外接線と共通内接線は、2 つの中心が同じ側か反対側かで区別されるので、同じ直線になることはない。$r_2>0$ なので $r_1-r_2< r_1+r_2$ であり、段 1〜段 3 を $d$ の範囲ごとに足すと表のとおりになる。$\square$

$d=r_1+r_2$(外接)のとき $O_1I=r_1$ で、$I$ は接点そのものである。$d=r_1-r_2$(内接)のとき $O_1E=r_1$ で、$E$ が接点である。どちらの場合も、接点で引いた 1 本の共通接線は cor-tct-contact の直線 $m$ である。

4 本の共通接線を求める

$C_1\colon x^2+y^2=9$、$C_2\colon (x-5)^2+y^2=1$($d=5>4=r_1+r_2$)の共通接線を求める。ex-tct-centers により $E\left(\dfrac{15}2,0\right)$、$I\left(\dfrac{15}4,0\right)$ である。
段 1(共通内接線)。$I$ を通る直線を $y=m\left(x-\dfrac{15}4\right)$ とおく($y$ 軸に平行な直線 $x=\dfrac{15}4$ は $O_1$ からの距離が $\dfrac{15}4\ne3$ なので接線でない)。$O_1$ からの距離が $3$ である条件は $\dfrac{\frac{15}4\lvert m\rvert}{\sqrt{1+m^2}}=3$ で、2 乗して $\dfrac{225}{16}m^2=9(1+m^2)$、つまり $81m^2=144$、$m=\pm\dfrac43$ である。直線は $4x-3y-15=0$ と $4x+3y-15=0$ である。$4x-3y-15=0$ の $O_2(5,0)$ からの距離は $\dfrac{\lvert20-15\rvert}{5}=1$ で、確かに $C_2$ にも接する。$f(O_1)=\dfrac{-15}5=-3$、$f(O_2)=\dfrac55=1$ で符号が反対なので、共通内接線である。
段 2(共通外接線)。$E$ を通る直線 $y=m\left(x-\dfrac{15}2\right)$ で同じ計算をすると $\dfrac{225}4m^2=9(1+m^2)$、つまり $189m^2=36$、$m=\pm\dfrac2{\sqrt{21}}$ である。直線は $2x-\sqrt{21}\,y-15=0$ と $2x+\sqrt{21}\,y-15=0$ である。$2x-\sqrt{21}\,y-15=0$ の係数を $\sqrt{4+21}=5$ で割ると、$f(O_1)=-3$、$f(O_2)=\dfrac{10-15}5=-1$ で、同じ符号の共通外接線である。
段 3(接点)。$2x-\sqrt{21}\,y-15=0$ の接点は、$C_1$ 側が $T_1\left(\dfrac65,-\dfrac{3\sqrt{21}}5\right)$、$C_2$ 側が $T_2\left(\dfrac{27}5,-\dfrac{\sqrt{21}}5\right)$ である(中心から直線に下ろした垂線の足)。$4x-3y-15=0$ の接点は $\left(\dfrac{12}5,-\dfrac95\right)$ と $\left(\dfrac{21}5,\dfrac35\right)$ である。

d = 5 の 2 円と 4 本の共通接線。共通外接線(オレンジ)は外相似の中心 E(15/2, 0) を、共通内接線(赤)は内相似の中心 I(15/4, 0) を通る d = 5 の 2 円と 4 本の共通接線。共通外接線(オレンジ)は外相似の中心 E(15/2, 0) を、共通内接線(赤)は内相似の中心 I(15/4, 0) を通る

3 本と 2 本の場合
  1. $d=4$($C_2\colon (x-4)^2+y^2=1$、外接)。$I=(3,0)$ は接点で、共通内接線は $x=3$ の 1 本である。$E=(6,0)$ から $C_1$ への接線は、$\dfrac{6\lvert m\rvert}{\sqrt{1+m^2}}=3$ から $m=\pm\dfrac1{\sqrt3}$ で、$x-\sqrt3\,y-6=0$ と $x+\sqrt3\,y-6=0$ である。$x-\sqrt3\,y-6=0$ の $O_2(4,0)$ からの距離は $\dfrac{\lvert4-6\rvert}2=1$ である。合計 3 本である。
  2. $d=3$(2 点で交わる)。$I=\left(\dfrac94,0\right)$ は $O_1I=\dfrac94<3$ で $C_1$ の内部にあり、共通内接線はない。$E=\left(\dfrac92,0\right)$ からの接線は $m=\pm\dfrac2{\sqrt5}$ で、$2x-\sqrt5\,y-9=0$ と $2x+\sqrt5\,y-9=0$ である。$2x-\sqrt5\,y-9=0$ の $O_1$、$O_2(3,0)$ からの距離は $\dfrac93=3$、$\dfrac{\lvert6-9\rvert}3=1$ である。合計 2 本である。

共通接線の長さ

共通接線が $C_1$ と $T_1$ で、$C_2$ と $T_2$ で接するとき、線分 $T_1T_2$ の長さを 共通接線の長さ という。

共通接線の長さ

中心間の距離を $d$ とする。共通外接線があるとき($d\ge r_1-r_2$)、その長さは $\sqrt{d^2-(r_1-r_2)^2}$ である。共通内接線があるとき($d\ge r_1+r_2$)、その長さは $\sqrt{d^2-(r_1+r_2)^2}$ である。

中心を結ぶベクトルを接線の向きと法線の向きに分ける

方針:$\overrightarrow{O_1O_2}$ を、接線に平行な部分 $\overrightarrow{T_1T_2}$ と、接線に垂直な部分に分け、三平方の定理を使う。
段 1(分ける)。def-tct-signed の記号で、$\vec n:=(a,b)$ は $\ell$ に垂直な長さ $1$ のベクトルである。$T_1$ は $O_1$ から $\ell$ に下ろした垂線の足なので $\overrightarrow{T_1O_1}=f(O_1)\vec n$、同じく $\overrightarrow{T_2O_2}=f(O_2)\vec n$ である($f$ の値が符号つきの距離であることによる)。よって
$$ \overrightarrow{O_1O_2}=\overrightarrow{O_1T_1}+\overrightarrow{T_1T_2}+\overrightarrow{T_2O_2}=\overrightarrow{T_1T_2}+\bigl(f(O_2)-f(O_1)\bigr)\vec n $$
である。
段 2(三平方の定理)。$\overrightarrow{T_1T_2}$ は $\ell$ に平行なので $\vec n$ に垂直で、内積は $0$ である。2 乗して展開すると
$$ d^2=T_1T_2^2+\bigl(f(O_2)-f(O_1)\bigr)^2 $$
である。
段 3(まとめ)。共通外接線では $f(O_1)$、$f(O_2)$ が同じ符号で絶対値が $r_1$、$r_2$ なので $\lvert f(O_2)-f(O_1)\rvert=r_1-r_2$($r_1\ge r_2$)、共通内接線では反対の符号なので $\lvert f(O_2)-f(O_1)\rvert=r_1+r_2$ である。段 2 に代入して主張を得る。$\square$

教科書では、$O_2$ から直線 $O_1T_1$ に垂線 $O_2H$ を下ろし、長方形 $HT_1T_2O_2$ と直角三角形 $O_1HO_2$ をつくって同じ式を出す(図 3)。段 1 のベクトルの分解は、この長方形を式で書いたものである。
共通外接線の長さ。O₂ から O₁T₁ に垂線 O₂H を下ろすと、HT₁T₂O₂ は長方形で O₁H = r₁ − r₂。直角三角形 O₁HO₂ に三平方の定理を使うと T₁T₂² = d² − (r₁ − r₂)² 共通外接線の長さ。O₂ から O₁T₁ に垂線 O₂H を下ろすと、HT₁T₂O₂ は長方形で O₁H = r₁ − r₂。直角三角形 O₁HO₂ に三平方の定理を使うと T₁T₂² = d² − (r₁ − r₂)²

長さを接点から確かめる

ex-tct-four の $d=5$、$r_1=3$、$r_2=1$ では、prop-tct-length により共通外接線の長さは $\sqrt{25-4}=\sqrt{21}$、共通内接線の長さは $\sqrt{25-16}=3$ である。
接点から直接計算すると、共通外接線では $\overrightarrow{T_1T_2}=\left(\dfrac{21}5,\dfrac{2\sqrt{21}}5\right)$ で、長さの 2 乗は $\dfrac{441}{25}+\dfrac{84}{25}=\dfrac{525}{25}=21$ である。共通内接線では接点の差が $\left(\dfrac95,\dfrac{12}5\right)$ で、長さは $\sqrt{\dfrac{81+144}{25}}=\dfrac{15}5=3$ である。どちらも公式と一致する。

2 つの滑車にかけたベルトの長さ

半径 $3$ と半径 $1$ の 2 つの車輪(円)の中心を距離 $4$ だけ離して置き、外側からぴんと張ったベルトをかける($C_1\colon x^2+y^2=9$、$C_2\colon (x-4)^2+y^2=1$)。ベルトは 2 本の共通外接線の部分と、2 つの円の弧の部分からなる。
段 1(まっすぐな部分)。prop-tct-length により 1 本の長さは $\sqrt{16-4}=2\sqrt3$ で、2 本で $4\sqrt3$ である。
段 2(接点の位置)。ex-tct-three-two (1) の共通外接線 $x-\sqrt3\,y-6=0$ の単位法線は $\vec n=\left(\dfrac12,-\dfrac{\sqrt3}2\right)$ で、接点は $T_1=3\vec n=\left(\dfrac32,-\dfrac{3\sqrt3}2\right)$、$T_2=O_2+\vec n=\left(\dfrac92,-\dfrac{\sqrt3}2\right)$ である。どちらも中心から見て $x$ 軸の正の向きから $-60^\circ$ の方向にある。もう 1 本の接線の接点は $x$ 軸について対称で、$+60^\circ$ の方向にある。
段 3(弧の部分)。ベルトは $C_1$ では $O_2$ から遠い側の弧、つまり $60^\circ$ から $300^\circ$ までの $240^\circ$ の弧に沿い、長さは $3\cdot\dfrac{240}{360}\cdot2\pi=4\pi$ である。$C_2$ では $O_1$ から遠い側の $-60^\circ$ から $60^\circ$ までの $120^\circ$ の弧に沿い、長さは $1\cdot\dfrac{120}{360}\cdot2\pi=\dfrac{2\pi}3$ である。
合計は $4\sqrt3+4\pi+\dfrac{2\pi}3=4\sqrt3+\dfrac{14\pi}3\approx21.59$ である。

相似の中心:2 つの円は相似の位置にある

$E$、$I$ を「相似の中心」とよぶ理由を述べる。点 $Z$ と $0$ でない実数 $k$ について、点 $X$ を
$$ h(X)=Z+k(X-Z)\qquad(\text{位置ベクトルで } \vec z+k(\vec x-\vec z)) $$
に移す変換を、$Z$ を中心とする比 $k$ の 相似拡大 という。$k>0$ なら $X$ と $h(X)$ は $Z$ から見て同じ向きに、$k<0$ なら反対の向きにある。

相似の中心で $C_1$ を $C_2$ に移す

中心が異なる 2 円 $C_1$、$C_2$ について、内相似の中心 $I$ を中心とする比 $-\dfrac{r_2}{r_1}$ の相似拡大は $C_1$ を $C_2$ に移す。$r_1\ne r_2$ なら、外相似の中心 $E$ を中心とする比 $\dfrac{r_2}{r_1}$ の相似拡大も $C_1$ を $C_2$ に移す。さらに、相似拡大は直線をそれと平行な直線に移し、円の接線を像の円の接線に移す。

中心が中心に移ることを確かめる

要点:相似拡大 $h(X)=Z+k(X-Z)$ は 2 点の距離を $\lvert k\rvert$ 倍し、直線を平行な直線に移す。中心を $E$、比を $\dfrac{r_2}{r_1}$(または中心を $I$、比を $-\dfrac{r_2}{r_1}$)にとると $O_1$ が $O_2$ に移るので、$O_1$ から距離 $r_1$ の点は $O_2$ から距離 $r_2$ の点に移り、半径に垂直な接線は半径に垂直な接線に移る。

詳しい証明を開く

段 1(中心の像)。$E$ の場合、$k=\dfrac{r_2}{r_1}$ として

$$\vec e+k(\vec o_1-\vec e)=(1-k)\vec e+k\vec o_1=\frac{r_1-r_2}{r_1}\cdot\frac{-r_2\vec o_1+r_1\vec o_2}{r_1-r_2}+\frac{r_2}{r_1}\vec o_1=\vec o_2$$

である。$I$ の場合も、$k=-\dfrac{r_2}{r_1}$ として $(1-k)\vec\imath+k\vec o_1=\dfrac{r_1+r_2}{r_1}\cdot\dfrac{r_2\vec o_1+r_1\vec o_2}{r_1+r_2}-\dfrac{r_2}{r_1}\vec o_1=\vec o_2$ である。

段 2(距離)。$h(X)-h(Y)=k(X-Y)$ なので、$h$ は 2 点の距離を $\lvert k\rvert$ 倍し、線分をそれと平行な線分に移す($k<0$ なら向きは逆になる)。$X$ が $C_1$ の上にあれば $h(X)O_2=h(X)h(O_1)=\lvert k\rvert\cdot XO_1=\dfrac{r_2}{r_1}r_1=r_2$ で、$h(X)$ は $C_2$ の上にある。逆に $C_2$ の点 $Y$ は、比 $\dfrac1k$ の相似拡大(同じ中心)で $C_1$ の点 $X$ に移り、$h(X)=Y$ である。よって $h$ は $C_1$ を $C_2$ にちょうど移す。

段 3(直線と接線)。直線 $\ell$ の上の 2 点 $X,Y$ の像を結ぶベクトルは $k(Y-X)$ なので、$\ell$ の像は $\ell$ に平行な直線である。$\ell$ が $C_1$ に $T$ で接するとき、$\ell\perp O_1T$ である。像の直線は $\ell$ に平行、$O_2h(T)$ は $O_1T$ に平行なので、像の直線は $O_2h(T)$ に垂直で $h(T)$ を通る。つまり $h(T)$ における $C_2$ の接線である。$\square$

点の像を計算する
  1. $C_1\colon x^2+y^2=9$、$C_2\colon (x-5)^2+y^2=1$ で、$E\left(\dfrac{15}2,0\right)$ を中心とする比 $\dfrac13$ の相似拡大は、$C_1$ の点 $X(0,3)$ を
    $$ \left(\frac{15}2,0\right)+\frac13\left(-\frac{15}2,3\right)=\left(\frac{15}2-\frac52,\ 1\right)=(5,1) $$
    に移す。$(5-5)^2+1^2=1$ で、確かに $C_2$ の上にある。$I\left(\dfrac{15}4,0\right)$ を中心とする比 $-\dfrac13$ の相似拡大は $X$ を $\left(\dfrac{15}4,0\right)-\dfrac13\left(-\dfrac{15}4,3\right)=(5,-1)$ に移し、これも $C_2$ の上にある。
  2. 接弦定理 の例「接点を通る直線と、平行な 2 本の接線」の 2 円 $x^2+y^2=4$ と $(x-3)^2+y^2=1$ は外接し、内相似の中心は $\dfrac{1\cdot(0,0)+2\cdot(3,0)}3=(2,0)$、つまり接点 $T$ である。$T$ を中心とする比 $-\dfrac12$ の相似拡大は、$A(0,-2)$ を $(2,0)-\dfrac12(-2,-2)=(3,1)=B$ に移す。prop-tct-homothety により、$A$ における $C_1$ の接線は $B$ における $C_2$ の接線に移り、2 本は平行である。接点を通るどの直線でも同じことが成り立つ。

E を中心とする比 1/3 の相似拡大は C₁ の点 X(0, 3) を C₂ の点 (5, 1) に、I を中心とする比 −1/3 の相似拡大は (5, −1) に移す。点線は EI を直径とする円 E を中心とする比 1/3 の相似拡大は C₁ の点 X(0, 3) を C₂ の点 (5, 1) に、I を中心とする比 −1/3 の相似拡大は (5, −1) に移す。点線は EI を直径とする円
prop-tct-homothety から、共通接線が相似の中心を通る理由がもう一度見える。$E$ を通り $C_1$ に接する直線 $\ell$ は、$E$ を中心とする相似拡大で $\ell$ に平行で $E$ を通る直線、つまり $\ell$ 自身に移る。接線は接線に移るので、$\ell$ は $C_2$ にも接する。lem-tct-through-center の 3 は、この事実を式で確かめたものである。

大学数学で見る:相似変換と相似の円

ここから先は、大学で学ぶ内容の紹介である。

  • 平面を複素数平面とみると、相似拡大は $z\mapsto kz+b$($k$ は $0$ でない実数)で、$k\ne1$ なら中心はただ 1 つの不動点 $\dfrac b{1-k}$ である。回転も許して $z\mapsto\alpha z+b$($\alpha$ は $0$ でない複素数)を考えると、向きを保つ相似変換の全体になり、これは合成について群をなす(相似変換と相似の中心)。
  • 中心 $c_1$、半径 $r_1$ の円を中心 $c_2$、半径 $r_2$ の円に移す向きを保つ相似変換は、$z\mapsto c_2+\dfrac{r_2}{r_1}e^{i\theta}(z-c_1)$($\theta$ は任意の角)の全体である。不動点 $z_0$ は $z_0-c_2=\dfrac{r_2}{r_1}e^{i\theta}(z_0-c_1)$ を満たすので、$\dfrac{\lvert z_0-c_2\rvert}{\lvert z_0-c_1\rvert}=\dfrac{r_2}{r_1}$ である。$r_1\ne r_2$ のとき、不動点はいつもただ 1 つあり、2 つの中心からの距離の比が $r_1:r_2$ の点の集合、$E$ と $I$ を直径の両端とする Apollonius の円(Apolloniusの円)の上にある。$\theta=0^\circ$ のときが $E$、$\theta=180^\circ$ のときが $I$ である。この円は 2 円の 相似の円 とよばれる。たとえば $c_1=0$、$c_2=5$、$r_1=3$、$r_2=1$、$\theta=90^\circ$ では $z\mapsto5+\dfrac i3z$ の不動点は $\dfrac92+\dfrac32i$ で、相似の円(中心 $\dfrac{45}8$、半径 $\dfrac{15}8$)の上にある。
  • 3 つの円から 2 つずつ選んでできる 3 つの外相似の中心は 1 本の直線の上にある。これが Mongeの定理 で、相似拡大の合成が相似拡大になることからも示せる。

2 円の方程式を引いて得られる 1 次式(ex-tct-start)の表す直線は根軸で、2 円に関する方べきが等しい点の集まりである。根軸の上の点のうち 2 円の外部にあるものからは、2 円に引いた接線の長さが等しい。共通接線 $T_1T_2$ の中点が根軸の上にあることなど、根軸の性質は 根軸と根心 で扱う。

例と反例

外した仮定崩れる主張ボックス
$r_1\ne r_2$共通外接線は外相似の中心 $E$ を通るex-tct-equal-radii
$d>r_1-r_2$$d< r_1+r_2$ なら 2 円は 2 点で交わるex-tct-one-inequality
$d\ge r_1+r_2$共通内接線があり、その長さは $\sqrt{d^2-(r_1+r_2)^2}$ex-tct-no-internal
反例:半径が等しい 2 円

$x^2+y^2=4$ と $(x-6)^2+y^2=4$($r_1=r_2=2$、$d=6$)では、線分 $O_1O_2$ を $2:2$ に外分する点は存在しない。共通外接線は $y=2$ と $y=-2$ で、直線 $O_1O_2$($x$ 軸)に平行であり、どの点も「共通外接線がすべて通る点」にならない。共通内接線は内相似の中心 $I=(3,0)$ を通り、$\dfrac{3\lvert m\rvert}{\sqrt{1+m^2}}=2$ から $m=\pm\dfrac2{\sqrt5}$ で、$2x-\sqrt5\,y-6=0$ と $2x+\sqrt5\,y-6=0$ である($O_1$、$O_2$ からの距離はどちらも $\dfrac63=2$)。共通接線は合計 4 本で、thm-tct-count の $d>r_1+r_2$ の場合と合っている。

反例:半径の和より近いだけでは足りない

ex-tct-start の $d=1$($r_1=3$、$r_2=1$)では $d< r_1+r_2=4$ であるが、共有点はない。$d>r_1-r_2=2$ が成り立たず、$C_2$ は $C_1$ の内部にある($C_2$ の点の $O_1$ からの距離は最大でも $d+r_2=2<3$)。2 点で交わるには、$d< r_1+r_2$ と $d>r_1-r_2$ の両方が必要である。

反例:交わる 2 円には共通内接線がない

ex-tct-three-two (2) の $d=3$($r_1=3$、$r_2=1$)では $d< r_1+r_2$ で、$d^2-(r_1+r_2)^2=9-16=-7<0$ なので、長さの式 $\sqrt{d^2-(r_1+r_2)^2}$ は実数にならない。実際、内相似の中心 $I\left(\dfrac94,0\right)$ は $C_1$ の内部にあり、$I$ を通る直線はどれも $C_1$ と 2 点で交わるので、共通内接線は 1 本もない。prf-tct-length は共通内接線が存在することを前提にしている。

さらに先へ

  • 3 つの円の相似の中心の並び方は Mongeの定理 で扱う。そこでは円を球に替えて空間で考える証明もある。
  • 2 円の根軸と、3 円の根軸が 1 点で交わること(根心)は 根軸と根心 で扱う。1 点から引いた接線の長さは 方べきの定理(高校数学) の方べきで表せる。
  • 接点を通る直線の性質(ex-tct-homothety (2))は、接弦定理 では角の計算で確かめた。接線を引く作図で使った「$OQ$ を直径とする円」は 直径に対する円周角 の使い方の例である。
  • 共有点をもたない 2 円は、うまく選んだ円に関する反転(円に関する反転)で同心円に移せることが知られている(この記事では証明しない)。同心円では位置関係が最も簡単になる。

関連項目

参考文献

[1]
Euclid, translated with introduction and commentary by Thomas L. Heath, The Thirteen Books of Euclid's Elements, translated with introduction and commentary by T. L. Heath, Vol. II (Books III–IX), Dover Publications, 1956, Vol. II:『原論』第 III 巻 命題 11・12(pp. 24–28。接する 2 円の中心を結ぶ直線は接点を通る)、命題 12 への注(pp. 30–32。中心間の距離と半径による 5 つの場合)

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