Minkowski汎関数(Minkowski functional)とは、原点を含む集合 $C$ に対し、点 $x$ を含むために $C$ を何倍に広げればよいかを $p_C(x)=\inf\{t>0\mid x\in tC\}$ で測る関数で、ゲージとも呼ばれる。$C$ が凸なら $p_C$ は正斉次で劣加法的であり、ノルム空間で原点を内点にもつ凸集合では $C$ の内部と閉包がそれぞれ $\{p_C<1\}$、$\{p_C\le1\}$ になる。原点を含む開凸集合は連続な非負の劣線形汎関数と 1 対 1 に対応し、対称で有界な凸集合の $p_C$ は同値なノルムになり、閉凸集合の $p_C$ は極集合の支持関数として表される。Hahn–Banach の分離定理や局所凸空間の理論で使われる。
平面の正方形 $C=[-1,1]\times[-1,1]$ を原点を中心に $t$ 倍に拡大・縮小すると $tC=[-t,t]\times[-t,t]$ になる。点 $(3,-2)$ が $tC$ に入るのは $t\ge3$ のときなので、「$(3,-2)$ を含むためには $C$ を $3$ 倍に広げればよい」。一般に点 $(x,y)$ を含むのに必要な倍率は $\max\{|x|,|y|\}$ であり、これは $\mathbb{R}^2$ の最大値ノルムである。正方形の代わりに楕円の内部 $\{x^2/a^2+y^2/b^2\le1\}$ をとれば、倍率は $\sqrt{x^2/a^2+y^2/b^2}$ になる。
このように、原点を含む集合 $C$ に対して「点 $x$ を含むために $C$ を何倍に広げればよいか」を測る関数を、$C$ の Minkowski 汎関数(ゲージ)という。$C$ が凸なら、この関数は正の斉次性と劣加法性(三角不等式)をもち、$C$ が原点を内点にもつ閉集合(開集合)なら、$C$ は「Minkowski 汎関数の値が $1$ 以下($1$ 未満)の点の集合」として復元される。凸集合という幾何的な対象と、ノルムに似た関数という解析的な対象を行き来する道具であり、Hahn–Banachの定理 の分離定理の証明、局所凸空間の半ノルムによる記述、凸体の幾何で使われる。
この記事では、Minkowski 汎関数を定義し、凸集合に対する代数的な性質を証明する。ノルム空間では、原点を内点にもつ凸集合の内部と閉包が Minkowski 汎関数で書けること、原点を含む開凸集合と連続な非負の劣線形汎関数が 1 対 1 に対応すること、対称で有界な凸集合の Minkowski 汎関数がノルムになること、原点を内点にもつ閉凸集合の Minkowski 汎関数が極集合の支持関数になることを証明する。
以下、$E$ を実数体上のベクトル空間とし、$C\subset E$、$t>0$ について $tC:=\{tc\mid c\in C\}$ と書く。下限は $[0,+\infty]$ で考え、空集合の下限は $+\infty$ とする。
$0\in C$ となる集合 $C\subset E$ に対し、
$$
p_C(x):=\inf\{t>0\mid x\in tC\}=\inf\Bigl\{t>0\ \Big|\ \frac xt\in C\Bigr\}\in[0,+\infty]\qquad(x\in E)
$$
を $C$ の Minkowski 汎関数(Minkowski functional)または ゲージ(gauge)という。すべての $x\in E$ に対してある $t>0$ で $x\in tC$ となるとき、$C$ は 吸収的(absorbing)であるという。
これは Bre11 Lemma 1.2 の式 (8)(p. 6)の定義と同じである。$p_C(x)$ は「$x$ を含むのに必要な $C$ の拡大率」であり、$p_C(x)=+\infty$ は、$C$ をどれだけ広げても $x$ を含まないことを表す。
凸集合では、拡大率の集合は区間になる。$C$ が凸で $0\in C$ のとき、$x\in tC$ かつ $s>t$ なら
$$
\frac xs=\frac ts\cdot\frac xt+\Bigl(1-\frac ts\Bigr)\cdot0\in C
$$
なので $x\in sC$ である。したがって $\{t>0\mid x\in tC\}$ は、$p_C(x)$ より大きいすべての実数を含む。
$C\subset E$ を凸集合で $0\in C$ とし、$p=p_C$ とする。$+\infty$ を含む演算は $a+(+\infty)=+\infty$、$t\cdot(+\infty)=+\infty$($t>0$)とする。
1:$0\in tC$ がすべての $t>0$ で成り立つので $p(0)=\inf(0,\infty)=0$ である。$\lambda>0$ なら、$\lambda x\in tC$ と $x\in(t/\lambda)C$ は同値なので、$\{t\mid\lambda x\in tC\}=\lambda\{s\mid x\in sC\}$ である。正の数を掛けることは下限と交換するので(空集合なら両辺 $+\infty$)、$p(\lambda x)=\lambda p(x)$ である。
2:$p(x)$、$p(y)$ の一方が $+\infty$ なら右辺は $+\infty$ で自明である。両方が有限とし、$\varepsilon>0$ をとる。$a:=p(x)+\varepsilon$、$b:=p(y)+\varepsilon$ は正の実数で、それぞれ下限より大きいので、定義の直後に述べたことから $x/a\in C$、$y/b\in C$ である。$C$ の凸性から
$$
\frac{x+y}{a+b}=\frac a{a+b}\cdot\frac xa+\frac b{a+b}\cdot\frac yb\in C
$$
であり、$p(x+y)\le a+b=p(x)+p(y)+2\varepsilon$ である。$\varepsilon>0$ は任意なので $p(x+y)\le p(x)+p(y)$ である。
3:$p(x)< 1$ なら、$p(x)< t< 1$ となる $t$ について $x\in tC$ であり、$x/t\in C$ と $0\in C$ から $x=t\cdot\frac xt+(1-t)\cdot0\in C$ である。$x\in C$ なら $x\in1\cdot C$ なので $p(x)\le1$ である。
4:$p(x)< +\infty$ は $\{t>0\mid x\in tC\}$ が空でないこと、すなわち $x$ がある $tC$ に入ることと同値である。
5:$-C=C$ なら $x\in tC$ と $-x\in tC$ は同値なので $p(-x)=p(x)$ である。1 と合わせて、$\lambda< 0$ でも $p(\lambda x)=|\lambda|p(-x)=|\lambda|p(x)$ となり、$\lambda=0$ は $p(0)=0$ である。2 と合わせると、有限値の $p$ は半ノルムの条件を満たす。$\square$
3 の包含はどちらも等号とは限らない。$\mathbb{R}$ の $C=(-1,1)$ でも $C=[-1,1]$ でも $p_C(x)=|x|$ であり、前者では $C=\{p< 1\}$、後者では $C=\{p\le1\}$ である。$C$ の端点を含めるかどうかは $p$ に現れない。ノルム空間では、この違いが内部と閉包の違いとして正確に表される(次の節)。
以下、$E$ を実ノルム空間とし、$B(0,r):=\{x\mid\|x\|< r\}$ と書く。$C$ の内部を $\operatorname{int}C$、閉包を $\overline C$ で表す。
$C\subset E$ を凸集合とし、$0\in\operatorname{int}C$、すなわちある $r>0$ で $B(0,r)\subset C$ とする。$p=p_C$ について次が成り立つ。
1:$x\in E$ と $t>\|x\|/r$ をとると $\|x/t\|< r$ なので $x/t\in B(0,r)\subset C$、すなわち $x\in tC$ である。よって $p(x)\le\|x\|/r$ である($x=0$ でも成り立つ)。prop-mk-basic の 2 から $p(x)\le p(x-y)+p(y)$ なので $p(x)-p(y)\le p(x-y)\le\|x-y\|/r$ であり、$x$ と $y$ を入れ替えて $|p(x)-p(y)|\le\|x-y\|/r$ を得る。
2:$x\in\operatorname{int}C$ とする。$x=0$ なら $p(x)=0< 1$ である。$x\neq0$ なら、ある $\delta>0$ で $x$ を中心とする半径 $\delta$ の開球が $C$ に含まれ、$0< \varepsilon< \delta/\|x\|$ について $(1+\varepsilon)x\in C$ である。よって $x\in\frac1{1+\varepsilon}C$ で、$p(x)\le\frac1{1+\varepsilon}< 1$ である。逆に、1 により $p$ は連続なので $\{p< 1\}$ は開集合であり、prop-mk-basic の 3 により $C$ に含まれる。$C$ に含まれる開集合は $\operatorname{int}C$ に含まれるので、$\{p< 1\}\subset\operatorname{int}C$ である。
3:$p$ は連続なので $\{p\le1\}$ は閉集合であり、prop-mk-basic の 3 により $C$ を含む。よって $\overline C\subset\{p\le1\}$ である。逆に $p(x)\le1$ とする。$0< t< 1$ について $p(tx)=tp(x)< 1$ なので、prop-mk-basic の 3 により $tx\in C$ である。$t\uparrow1$ で $tx\to x$ なので $x\in\overline C$ である。
最後の主張は、$C$ が開なら $\operatorname{int}C=C$、閉なら $\overline C=C$ であることによる。$\square$
$C$ が開凸集合の場合は Bre11 Lemma 1.2(pp. 5–6)である。この $p$ は、開凸集合と外の点を分離する連続線形汎関数を作るときの支配関数として使われる(Hahn–Banachの定理 の補題「点と開凸集合の分離」とその証明。Bre11 Lemma 1.3、p. 6)。
thm-mk-normed の性質を逆にたどると、開凸集合と Minkowski 汎関数は互いに相手を決める。
$E$ を実ノルム空間とする。次の 2 つの集合を考える。
$C\in\mathcal C$ なら、$C$ は開で $0$ を含むので $0\in\operatorname{int}C$ であり、thm-mk-normed の 1 と prop-mk-basic の 1・2 により $p_C\in\mathcal P$、thm-mk-normed の最後の主張により $\{p_C< 1\}=C$ である。
逆に $p\in\mathcal P$ とし、$C:=\{p< 1\}$ とおく。$p$ は連続なので $C$ は開集合で、$p(0)=0$($p(0)=p(2\cdot0)=2p(0)$ から)なので $0\in C$ である。$x,y\in C$、$0< t< 1$ なら $p((1-t)x+ty)\le(1-t)p(x)+tp(y)< 1$ なので $C$ は凸である。よって $C\in\mathcal C$ である。さらに $x\in E$ と $t>0$ について、$x\in tC$ は $p(x/t)< 1$、すなわち $p(x)< t$ と同値である。$p(x)\ge0$ なので $\{t>0\mid x\in tC\}=(p(x),\infty)$ であり、その下限は $p(x)$ である。よって $p_C=p$ である。
以上で、$C\mapsto p_C$ の後に $p\mapsto\{p< 1\}$ を施すと恒等写像になり、逆の順に施しても恒等写像になることが示された。$\square$
$\mathcal P$ の条件 $p\ge0$ は外せない。$\mathbb{R}$ 上の $p(x)=x$ は連続で正斉次かつ劣加法的だが、$\{p< 1\}=(-\infty,1)$ の Minkowski 汎関数は $\max\{x,0\}$ であり、$p$ に戻らない($x< 0$ では $x\in t(-\infty,1)$ がすべての $t>0$ で成り立つ)。
$E$ を実ノルム空間とし、$C\subset E$ を凸集合で、次の 3 条件を満たすとする:(a) $-C=C$、(b) ある $R>0$ ですべての $x\in C$ が $\|x\|\le R$ を満たす、(c) ある $r>0$ で $B(0,r)\subset C$。このとき $p_C$ は $E$ 上のノルムで、
$$
\frac{\|x\|}R\le p_C(x)\le\frac{\|x\|}r\qquad(x\in E)
$$
を満たす。とくに $p_C$ は元のノルムと同値であり、その開単位球は $\operatorname{int}C$、閉単位球は $\overline C$ である。逆に、$E$ 上のノルム $N$ について、閉単位球 $\{N\le1\}$ の Minkowski 汎関数は $N$ である。
(c) と thm-mk-normed の 1 から $p_C(x)\le\|x\|/r$ で $p_C$ は有限値である。$x\in tC$ なら $x/t\in C$ なので (b) より $\|x\|\le tR$、すなわち $t\ge\|x\|/R$ であり、下限をとって $p_C(x)\ge\|x\|/R$ である。とくに $x\neq0$ なら $p_C(x)>0$ である。prop-mk-basic の 5 により $p_C$ は半ノルムなので、正値性と合わせて $p_C$ はノルムである。単位球の主張は thm-mk-normed の 2・3 である。
逆の主張:$K:=\{N\le1\}$ とすると、$t>0$ について $x\in tK$ は $N(x/t)\le1$、すなわち $N(x)\le t$ と同値である。よって $\{t>0\mid x\in tK\}$ の下限は $N(x)$ である($N(x)=0$ なら $(0,\infty)$ で下限 $0$)。$\square$
この定理により、対称で有界な凸集合で原点を内点にもつものは、ある同値なノルムの単位球と見なせる。ノルムの三角不等式が閉単位球の凸性と同値であること(ノルム空間 の命題「閉単位球の凸性と三角不等式」)と合わせると、「元のノルムと同値なノルム」と「対称で有界な凸集合で原点を内点にもつ閉集合」は同じものの 2 つの見方である。有界性と内点は元のノルムについての条件なので、同値でないノルムの単位球はこの形にならないことがある。たとえば有限個を除いて $0$ である実数列全体に上限ノルムを入れ、$N(x)=\sum_n|x_n|$ とすると、$N$ はノルムだが、$\{N\le1\}$ は原点を内点にもたない($\varepsilon>0$ について $x=\frac\varepsilon2(e_1+\cdots+e_n)$ は上限ノルムが $\frac\varepsilon2$ で、$n>2/\varepsilon$ なら $N(x)=\frac{n\varepsilon}2>1$)。有限次元では、Minkowskiの凸体定理 で扱う原点対称な凸体がこの形の集合である。局所凸空間では、凸で対称な原点の近傍の Minkowski 汎関数が連続な半ノルムを与え、位相が半ノルムの族で記述される(位相ベクトル空間 の定理「局所凸性と半ノルム族」)。
$E^*$ を $E$ の連続双対とし、$f\in E^*$ の $x$ での値を $\langle f,x\rangle$ と書く。$C\subset E$ の 極集合 を
$$
C^\circ:=\{f\in E^*\mid\langle f,x\rangle\le1\ (x\in C)\}
$$
と定める。閉凸集合の Minkowski 汎関数は、極集合の元による値の上限として書ける。証明には、Hahn–Banachの定理 の系「閉凸集合と外の点の分離」を使う。
$E$ を実ノルム空間、$C\subset E$ を閉凸集合で $0\in\operatorname{int}C$ とする。このとき
$$
p_C(x)=\sup_{f\in C^\circ}\langle f,x\rangle\qquad(x\in E)
$$
であり、
$$
C=\{x\in E\mid\langle f,x\rangle\le1\ (f\in C^\circ)\}
$$
である。また $B(0,r)\subset C$ なら、すべての $f\in C^\circ$ が $\|f\|_*\le1/r$ を満たす。
$\sigma(x):=\sup_{f\in C^\circ}\langle f,x\rangle$ とおく。$0\in C^\circ$ なので $\sigma(x)\ge0$ である。
$\sigma\le p_C$:$f\in C^\circ$ とし、$x\in tC$($t>0$)とすると $x/t\in C$ なので $\langle f,x\rangle\le t$ である。$t$ について下限をとって $\langle f,x\rangle\le p_C(x)$ であり、$f$ について上限をとればよい。
$\sigma\ge p_C$:ある $x$ で $\sigma(x)< p_C(x)$ と仮定し、$\sigma(x)< c< p_C(x)$ となる実数 $c>0$ をとる($\sigma(x)\ge0$ なので $c>0$ にとれる)。$y:=x/c$ とおくと $p_C(y)=p_C(x)/c>1$ であり、$C$ は閉なので thm-mk-normed の 3 により $y\notin C$ である。Hahn–Banachの定理 の系「閉凸集合と外の点の分離」(実ノルム空間の空でない閉凸集合と外の点についての主張。Bre11 Theorem 1.7、p. 7。この記事では証明しない)により、$\sup_{z\in C}\langle g,z\rangle< \langle g,y\rangle$ となる $g\in E^*$ があり、$\alpha$ をこの 2 数の中点にとると
$$
\langle g,z\rangle< \alpha< \langle g,y\rangle\qquad(z\in C)
$$
となる。$0\in C$ なので $\alpha>0$ である。$f:=g/\alpha$ とおくと、$z\in C$ について $\langle f,z\rangle< 1$ なので $f\in C^\circ$ であり、$\langle f,y\rangle>1$ である。すると $\sigma(x)\ge\langle f,x\rangle=c\langle f,y\rangle>c$ となり、$c$ のとり方に反する。よって $\sigma=p_C$ である。
集合の等式:$x\in C$ なら定義から $\langle f,x\rangle\le1$($f\in C^\circ$)である。逆にすべての $f\in C^\circ$ で $\langle f,x\rangle\le1$ なら $p_C(x)=\sigma(x)\le1$ であり、thm-mk-normed の 3 により $x\in C$ である。
最後の主張:$f\in C^\circ$、$\|x\|< 1$ なら $rx\in B(0,r)\subset C$ なので $\langle f,x\rangle\le1/r$ である。$x$ について上限をとって $\|f\|_*\le1/r$ である。$\square$
$C$ が閉単位球 $\{\|x\|\le1\}$ なら $C^\circ$ は双対空間の閉単位球であり、定理は $\|x\|=\sup_{\|f\|_*\le1}\langle f,x\rangle$ を与える。原点を内点にもつとは限らない、$0$ を含む凸集合 $C$ 一般については、$\{x\mid\langle f,x\rangle\le1\ (f\in C^\circ)\}$ が閉包 $\overline C$ に等しい。これは 双極定理 の定理「双極定理」である。
この定理は Fenchel共役 と Fenchel–Moreauの定理 の言葉でも読める。$p_C$ の共役は $C^\circ$ の指示関数である:$f\in C^\circ$ なら $\langle f,x\rangle-p_C(x)\le0$ で $x=0$ のとき $0$、$f\notin C^\circ$ なら $\langle f,z\rangle>1\ge p_C(z)$ となる $z\in C$ があり、$tz$($t\to\infty$)で $\langle f,tz\rangle-p_C(tz)\to+\infty$ となる。$p_C$ は凸で連続な真の関数なので、Fenchel–Moreau の定理により $p_C=p_C^{**}=\sup_{f\in C^\circ}\langle f,\cdot\rangle$ であり、上の定理の最初の等式が再び得られる。$p_C$ は $C^\circ$ の 支持関数 である。
$C=[-1,2]\subset\mathbb{R}$ とする。$x\ge0$ では $x\in tC$ が $x\le2t$ と同値なので $p_C(x)=x/2$、$x< 0$ では $-x\le t$ と同値なので $p_C(x)=-x$ である。$\mathbb{R}^*$ を $\mathbb{R}$ と同一視すると、$s\in C^\circ$ は $sx\le1$($-1\le x\le2$)、すなわち $-1\le s\le\frac12$ と同値である。thm-mk-polar の右辺は $x\ge0$ で $\sup_{-1\le s\le1/2}sx=x/2$、$x< 0$ で $-x$ となり、$p_C$ に一致する。
thm-mk-normed と thm-mk-norm の仮定を 1 つずつ外すと、次のように結論が崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 原点が内点であること | $C=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2\mid y\ge x^2\}$ | 閉凸集合で $0\in C$ だが、$p_C((1,0))=+\infty$ で有限値でない |
| 凸性 | $C=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2\mid\lvert x\rvert< 1\text{ または }\lvert y\rvert< 1\}$ | 開集合で原点を内点にもつが、$p_C(x,y)=\min\{\lvert x\rvert,\lvert y\rvert\}$ は劣加法的でない |
| $C$ が開集合であること | 閉単位球 $\{\Vert x\Vert\le1\}$($E\neq\{0\}$) | $\{p_C< 1\}$ は開単位球で、$C$ と一致しない |
| 対称性 | $C=[-1,2]\subset\mathbb{R}$ | 有界で原点を内点にもつ凸集合だが、$p_C(-1)=1\neq\frac12=p_C(1)$ でノルムでない |
| 有界性 | $C=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2\mid\lvert y\rvert\le1\}$ | 対称で原点を内点にもつ凸集合だが、$p_C(x,y)=\lvert y\rvert$ は $(1,0)$ で $0$ になり、ノルムでない(半ノルムである) |
1 行目:$(1,0)\in tC$ は $(1/t,0)\in C$、すなわち $0\ge1/t^2$ を意味し、これはどの $t>0$ でも成り立たない。$C$ は吸収的でない(prop-mk-basic の 4)。
2 行目:$(x,y)\in tC$ は $|x|< t$ または $|y|< t$ と同値なので、拡大率の下限は $\min\{|x|,|y|\}$ である。$p_C((1,0))=p_C((0,1))=0$ だが $p_C((1,1))=1$ なので、$p_C((1,0)+(0,1))>p_C((1,0))+p_C((0,1))$ である。$C$ は凸でない($(2,0)$ と $(0,2)$ は $C$ に属するが中点 $(1,1)$ は属さない)。
3 行目:thm-mk-normed の 2 により $\{p_C< 1\}=\operatorname{int}C$ は開単位球であり、ノルムが $1$ の点は $C$ に属するが $\{p_C< 1\}$ に属さない。閉集合については thm-mk-normed の 3 により $C=\{p_C\le1\}$ が正しい形である。
4 行目は ex-mk-interval である。5 行目:$(x,y)\in tC$ は $|y|\le t$ と同値なので $p_C(x,y)=|y|$ である。
1 行目の $C$ は原点を内点にもたないが、$C$ を平行移動して内点 $(0,1)$ を原点に移せば thm-mk-normed が使える。分離定理の証明で開凸集合を平行移動して原点を含ませるのは、この理由による(Hahn–Banachの定理 の補題「点と開凸集合の分離」の証明、Bre11 Lemma 1.3 の証明、p. 6)。
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