導関数(derivative)とは、区間上の関数 $f$ の各点 $c$ での差分商 $\frac{f(x)-f(c)}{x-c}$ の $x\to c$ の極限 $f'(c)$(微分係数)を、$c$ の関数とみたものである。$f'(c)$ は点 $c$ でのグラフの接線の傾き、すなわち $f$ の瞬間の変化率を表し、たとえば $f(x)=x^2$ の導関数は $f'(x)=2x$ である。微分可能な関数は連続だが、逆は成り立たず、$|x|$ は $0$ で連続でも微分可能でない。また、至るところ微分可能でも導関数が連続とは限らない。和・積・商の微分法、$(x^n)'=nx^{n-1}$、区間の内部の極値で微分係数が $0$ になることなどの基本性質が、平均値の定理・Taylor の定理・積分の計算の土台になる。
物を静かに落とすと、落ち始めてから $t$ 秒後までに落ちる距離はおよそ $s(t)=4.9t^2$ メートルである。$t=2$ から $t=2+h$ までの平均の速さは
$$
\frac{s(2+h)-s(2)}{h}=\frac{4.9\bigl((2+h)^2-4\bigr)}{h}=19.6+4.9h
$$
メートル毎秒で、$h=0.1$ なら $20.09$、$h=0.01$ なら $19.649$、$h=0.001$ なら $19.6049$ となる。時間の幅 $h$ を $0$ に近づけると平均の速さは $19.6$ に近づき、これが「ちょうど 2 秒後の瞬間の速さ」である。
グラフで言えば次のようになる。$f(x)=x^2$ のグラフ上の 2 点 $(2,4)$ と $(2+h,(2+h)^2)$ を結ぶ直線の傾きは $\frac{(2+h)^2-4}{h}=4+h$ であり、$h\to0$ で $4$ に近づく。傾き $4$ で点 $(2,4)$ を通る直線 $y=4x-4$ が、この点での放物線の接線である。
一方、$f(x)=|x|$ の $x=0$ での傾き $\frac{|h|-0}{h}$ は、$h>0$ なら $1$、$h<0$ なら $-1$ であり、$h\to0$ で 1 つの値に近づかない。グラフは原点で折れ曲がっていて、接線が 1 本に定まらない。
このように、関数の変化の割合(差分商)の極限として各点での「瞬間の変化率」を定め、それを点の関数とみたものが導関数(derivative)である。導関数は速度・接線の傾き・限界費用など変化の速さを表し、関数の増減や極値の判定(平均値の定理)、関数の多項式による近似(Taylorの定理)、面積の計算(微分積分学の基本定理)の土台になる。
以下、区間 はつねに 2 点以上を含むものとする。極限は次の意味で使う。$S\subset\mathbb{R}$ と、$S\setminus\{c\}$ の点が $c$ のいくらでも近くにあるような実数 $c$ について、関数 $g\colon S\setminus\{c\}\to\mathbb{R}$ が $x\to c$ で $L$ に収束する($\lim_{x\to c}g(x)=L$)とは、任意の $\varepsilon>0$ に対して $\delta>0$ があり、$x\in S$、$0<|x-c|<\delta$ ならば $|g(x)-L|<\varepsilon$ となることをいう(関数の極限)。和・差・積の極限は極限の和・差・積であり、分母の極限が $0$ でなければ商の極限は極限の商である(Leb Corollary 3.1.12、p. 118)。以下ではこの計算規則を断らずに使う。
$I\subset\mathbb{R}$ を区間、$f\colon I\to\mathbb{R}$ を関数、$c\in I$ とする。$x\in I\setminus\{c\}$ についての差分商の極限
$$
f'(c):=\lim_{x\to c}\frac{f(x)-f(c)}{x-c}
$$
が実数として存在するとき、$f$ は $c$ で微分可能(differentiable)であるといい、$f'(c)$ を $f$ の $c$ における微分係数という。$c$ が $I$ の端点のときは、$I$ の側からの片側極限である。$x=c+h$ と書けば $f'(c)=\lim_{h\to0}\frac{f(c+h)-f(c)}{h}$($c+h\in I$、$h\ne0$)である。
区間 $I$ 上の関数 $f$ が $I$ のすべての点で微分可能なとき、$f$ は $I$ 上で微分可能であるといい、各点 $c$ にその微分係数 $f'(c)$ を対応させる関数 $f'\colon I\to\mathbb{R}$ を $f$ の導関数という。$f'$ を $\frac{df}{dx}$、$\frac{d}{dx}f(x)$ とも書く。導関数 $f'$ がさらに $I$ 上で微分可能なら、その導関数 $f'':=(f')'$ を 2 階導関数という。帰納的に $f^{(0)}:=f$、$f^{(n+1)}:=(f^{(n)})'$ と定め、$f^{(n)}$ が存在するとき $f$ は $n$ 回微分可能であるという。$f^{(n)}$ が存在して連続なとき $f$ は $C^n$ 級であるといい、すべての $n$ について $C^n$ 級なとき $C^\infty$ 級であるという。
この定義は Leb Definition 4.1.1(p. 155)と同じである。同書も端点での微分係数(片側極限)を許している。微分係数 $f'(c)$ は $c$ を固定したときの 1 つの実数であり、導関数 $f'$ は $c$ を動かしたときの関数である。両者を区別せずに「微分」と呼ぶことも多い。
$f$ が $c$ で微分可能なとき、点 $(c,f(c))$ を通る傾き $f'(c)$ の直線
$$
y=f(c)+f'(c)(x-c)
$$
を、$c$ における $f$ のグラフの接線という。次の命題は、接線が「$c$ の近くで $f$ を最もよく近似する 1 次関数」であることを述べる。
区間 $I$ 上の関数 $f$ と $c\in I$、実数 $a$ について、次は同値である。
$x\ne c$ では $\frac{r(x)}{x-c}=\frac{f(x)-f(c)}{x-c}-a$ なので、左辺が $0$ に収束することと差分商が $a$ に収束することは同値である。後半:$b$ と $b'$ がともに 2 の性質をもてば、差 $\frac{(b'-b)(x-c)}{x-c}=b'-b$ は $0$ に収束するので $b=b'$ である。
Landau記号 で書けば、2 は $f(c+h)=f(c)+f'(c)h+o(h)$($h\to0$)である(Landau記号 の記事の例「微分可能性の o 記号による表示」)。
微分係数は、グラフを $c$ の近くで拡大していったときに見える直線の傾きである。$x^2$ のグラフを点 $(2,4)$ の近くでどんどん拡大すると、曲がり具合は目立たなくなり、傾き $4$ の直線と見分けがつかなくなる(prop-derivative-linear-approximation の誤差 $r(x)=(x-2)^2$ は $x-2$ よりずっと速く小さくなる)。$|x|$ のグラフは原点の近くでいくら拡大しても折れ線のままで、1 本の直線には見えない。導関数は、この「拡大すると見える傾き」を各点で記録した関数であり、$f'>0$ の範囲では $f$ は増え、$f'<0$ の範囲では減る(平均値の定理 の記事の系「導関数の符号と増減」)。
どの点でも微分可能でない連続関数も存在する。Weierstrass が最初にその例を与え、Leb2 Example 11.2.15(p. 150)は折れ線関数 $\varphi$ を縮めて重ねた級数 $\sum_{n\geq0}(3/4)^n\varphi(4^nx)$(高木貞治による例と本質的に同じもの)が $\mathbb{R}$ 上で連続かつどの点でも微分可能でないことを証明している。連続性は一様収束によって保証され、微分可能でないことは各点で差分商が発散する列を作って示される。
$f(x):=x^2\sin\frac1x$($x\ne0$)、$f(0):=0$ とする。$0$ での差分商は $\left|\frac{f(x)-f(0)}{x}\right|=\left|x\sin\frac1x\right|\leq|x|$ なので $f'(0)=0$ である。$x\ne0$ では、積の微分法(thm-derivative-rules)、連鎖律、$\sin'=\cos$・$\cos'=-\sin$(三角関数)により
$$
f'(x)=2x\sin\frac1x-\cos\frac1x
$$
である。したがって $f$ は $\mathbb{R}$ 上で微分可能である。ところが正の整数 $k$ について $x_k:=\frac1{2k\pi}$ では $f'(x_k)=-1$、$y_k:=\frac1{(2k+1)\pi}$ では $f'(y_k)=1$ であり、$x_k,y_k\to0$ なので $\lim_{x\to0}f'(x)$ は存在しない。$f$ は「$\mathbb{R}$ 上で微分可能」を満たすが「導関数が連続($C^1$ 級)」を満たさず、「微分可能な関数の導関数は連続である」という含意を破る。
$f(x):=x|x|$ とする。$x>0$ では $f(x)=x^2$、$x<0$ では $f(x)=-x^2$ なので $f'(x)=2x$、$f'(x)=-2x$ であり、$0$ では差分商 $\frac{x|x|}{x}=|x|\to0$ より $f'(0)=0$ である。すなわち $f'(x)=2|x|$ で、$f$ は $C^1$ 級である。しかし $f'=2|x|$ は ex-derivative-absolute-value により $0$ で微分可能でないので、$f$ は 2 回微分可能でない。一般に $x^n|x|$ は $C^n$ 級だが $n+1$ 回微分可能でない(同じ議論の繰り返し)。
$f(x):=x^2$($x$ が有理数)、$f(x):=0$($x$ が無理数)とする。$0$ での差分商は $|f(x)/x|\leq|x|$ を満たすので $f'(0)=0$ であり、$f$ は $0$ で微分可能である。一方 $c\ne0$ では $f$ は連続でない($c$ に近づく有理数の列と無理数の列で $f$ の値の極限が $c^2\ne0$ と $0$ に分かれる)ので、prop-derivative-continuity により微分可能でない(Leb Exercise 4.1.5、p. 160)。微分可能性は 1 点ごとの性質であり、その点の近くでの振る舞いの良さは何も保証しない。
区間 $I$ 上の関数 $f$ が $c\in I$ で微分可能ならば、$f$ は $c$ で連続である。
$x\in I\setminus\{c\}$ について $f(x)-f(c)=\frac{f(x)-f(c)}{x-c}\cdot(x-c)$ であり、$x\to c$ で右辺の第 1 因子は $f'(c)$、第 2 因子は $0$ に収束する。よって $f(x)-f(c)\to f'(c)\cdot0=0$、すなわち $\lim_{x\to c}f(x)=f(c)$ である。
この命題は Leb Proposition 4.1.6(p. 157)である。逆が成り立たないことは ex-derivative-absolute-value が示している。
区間 $I$ 上の関数 $f,g$ が $c\in I$ で微分可能で、$\alpha,\beta$ を実数とする。
$x\in I\setminus\{c\}$ とする。
1:$\frac{(\alpha f+\beta g)(x)-(\alpha f+\beta g)(c)}{x-c}=\alpha\frac{f(x)-f(c)}{x-c}+\beta\frac{g(x)-g(c)}{x-c}$ であり、右辺は $\alpha f'(c)+\beta g'(c)$ に収束する。
2:$f(x)g(x)-f(c)g(c)=f(x)\bigl(g(x)-g(c)\bigr)+\bigl(f(x)-f(c)\bigr)g(c)$ なので
$$
\frac{f(x)g(x)-f(c)g(c)}{x-c}=f(x)\,\frac{g(x)-g(c)}{x-c}+\frac{f(x)-f(c)}{x-c}\,g(c)
$$
である。prop-derivative-continuity により $f(x)\to f(c)$ なので、右辺は $f(c)g'(c)+f'(c)g(c)$ に収束する。
3:まず $1/g$ を考える。
$$
\frac{1/g(x)-1/g(c)}{x-c}=-\frac{g(x)-g(c)}{x-c}\cdot\frac{1}{g(x)g(c)}
$$
であり、$g$ は $c$ で連続(prop-derivative-continuity)で $g(c)\ne0$ なので、右辺は $-\frac{g'(c)}{g(c)^2}$ に収束する。よって $1/g$ は $c$ で微分可能で $(1/g)'(c)=-g'(c)/g(c)^2$ である。$f/g=f\cdot(1/g)$ に 2 を使うと
$$
\left(\frac fg\right)'(c)=\frac{f'(c)}{g(c)}-\frac{f(c)g'(c)}{g(c)^2}=\frac{f'(c)g(c)-f(c)g'(c)}{g(c)^2}
$$
を得る。
これらは Leb Proposition 4.1.7(線形性)・4.1.8(積の微分法)・4.1.9(商の微分法)(pp. 157–159)であり、同書は積と商の証明を演習にしている。積の微分法は Leibniz の規則とも呼ばれる(同書 p. 158 の脚注)。積の微分係数は微分係数の積ではない。たとえば $f(x)=g(x)=x$ では $(fg)'(1)=(x^2)'|_{x=1}=2$ だが $f'(1)g'(1)=1$ である。
正の整数 $n$ について、$x^n$ は $\mathbb{R}$ 上で微分可能で $(x^n)'=nx^{n-1}$ である。負の整数 $n$ についても、$x\ne0$ の範囲($(0,\infty)$ または $(-\infty,0)$)で $(x^n)'=nx^{n-1}$ が成り立つ。したがって多項式 $p(x)=\sum_{k=0}^da_kx^k$ の導関数は $p'(x)=\sum_{k=1}^dk\,a_kx^{k-1}$ である。
$n=1$ では $x'=1$ である(ex-derivative-basic の 1)。$n$ で成り立つとすると、thm-derivative-rules の 2 により $(x^{n+1})'=(x\cdot x^n)'=1\cdot x^n+x\cdot nx^{n-1}=(n+1)x^n$ となり、数学的帰納法 により正の整数で成り立つ。$n=-m$($m$ は正の整数)のときは、$x\ne0$ で $x^n=1/x^m$ なので、thm-derivative-rules の 3 により
$$
(x^{-m})'=\frac{0\cdot x^m-1\cdot mx^{m-1}}{x^{2m}}=-m\,x^{-m-1}=n\,x^{n-1}
$$
である。多項式の場合は thm-derivative-rules の 1 を項ごとに使えばよい。
実数の指数 $r$ についても、$x>0$ で $x^r:=\exp(r\log x)$ と定めれば $(x^r)'=rx^{r-1}$ となる(連鎖律 の記事の例「対数関数と一般の冪」)。
高階導関数については、積の微分法が二項係数を用いた形に一般化される。
区間 $I$ 上の関数 $f,g$ がともに $n$ 回微分可能ならば、積 $fg$ も $n$ 回微分可能で
$$
(fg)^{(n)}=\sum_{k=0}^{n}\binom nk f^{(k)}g^{(n-k)}
$$
が成り立つ。
$n$ についての帰納法で示す。$n=0$ では両辺とも $fg$ である。$n-1$ で成り立つとし、$f,g$ を $n$ 回微分可能とする。右辺の各項 $f^{(k)}g^{(n-1-k)}$($0\leq k\leq n-1$)は微分可能な関数の積なので、thm-derivative-rules の 2 により
$$
(fg)^{(n)}=\sum_{k=0}^{n-1}\binom{n-1}{k}\Bigl(f^{(k+1)}g^{(n-1-k)}+f^{(k)}g^{(n-k)}\Bigr)
$$
である。第 1 項で $k+1$ を $k$ に置き換えてまとめると、$f^{(k)}g^{(n-k)}$ の係数は $\binom{n-1}{k-1}+\binom{n-1}{k}$(範囲外の二項係数は $0$)となり、これは Pascal の関係式により $\binom nk$ に等しい(二項係数 の記事の命題「Pascal の関係式」)。
たとえば $(x^2e^x)'''=\binom30x^2e^x+\binom31\cdot2x\,e^x+\binom32\cdot2\,e^x=(x^2+6x+6)e^x$ である($(e^x)'=e^x$ は 指数関数 の記事による)。
関数 $f\colon I\to\mathbb{R}$ が点 $c\in I$ で極大であるとは、ある $\delta>0$ について、$x\in I$、$|x-c|<\delta$ ならば $f(x)\leq f(c)$ となることをいう。不等号を逆にしたものを極小といい、両者をあわせて極値という。
区間 $I$ 上の関数 $f$ が、$I$ の端点でない点 $c$ で極大または極小であり、$c$ で微分可能ならば、$f'(c)=0$ である。
極大の場合を示す(極小の場合は $-f$ を考えればよい)。$c$ は端点でないので、$\delta>0$ を小さくとり直して $(c-\delta,c+\delta)\subset I$ かつ、この範囲で $f(x)\leq f(c)$ としてよい。$c< x< c+\delta$ では $f(x)-f(c)\leq0$、$x-c>0$ なので差分商は $0$ 以下であり、右からの極限をとると $f'(c)\leq0$ となる。$c-\delta< x< c$ では $x-c<0$ なので差分商は $0$ 以上であり、左からの極限をとると $f'(c)\geq0$ となる。$f$ は $c$ で微分可能なので左右の極限はともに $f'(c)$ であり、$f'(c)=0$ である。
この命題は Leb Lemma 4.2.2(p. 162)であり、平均値の定理 の記事の補題「内部の極値での微分係数」は開区間全体での最大・最小の場合を述べて Rolleの定理 の証明に使っている。
$f(x)=x^3-3x$ を $[-2,2]$ で考える。$[-2,2]$ はコンパクト空間であり、$f$ は連続なので最大値と最小値をもつ(コンパクト空間 の記事の定理「有界閉集合とコンパクト性の一致」「最大値・最小値の存在」)。最大・最小をとる点が内部にあれば、prop-derivative-extremum によりそこで $f'(x)=3x^2-3=0$、すなわち $x=\pm1$ である。候補の値は $f(-2)=-2$、$f(-1)=2$、$f(1)=-2$、$f(2)=2$ なので、最大値は $2$($x=-1,2$)、最小値は $-2$($x=-2,1$)である。端点での値を調べ忘れると、最大値をとる点 $x=2$ を見落とす。
区間 $I$ 上で微分可能な $f$ について、$I$ 上で $f'>0$ なら $f$ は狭義単調増加、$f'\geq0$ なら単調増加($x< y\Rightarrow f(x)\leq f(y)$)、$f'=0$ なら定数である。これらは 平均値の定理 から従う(同記事の系「導関数の符号と増減」「導関数が0なら定数」)。$1$ 点での $f'(c)>0$ だけでは、$c$ の近くで単調増加とは限らない。たとえば $f(x)=\frac x2+x^2\sin\frac1x$($f(0)=0$)は ex-derivative-oscillating と同じ計算で $f'(0)=\frac12>0$ だが、$f'(x_k)=\frac12-1<0$($x_k=\frac1{2k\pi}$)となる点が $0$ のいくらでも近くにあり、その点の近くで $f$ は減少する。
導関数は連続とは限らない(ex-derivative-oscillating)が、区間上で微分可能な関数の導関数は、2 つの値の間の値を必ずとる(Darboux の定理、Leb Theorem 4.2.11、p. 167)。したがって、$x<0$ で $-1$、$x\geq0$ で $1$ をとる関数のように跳びのある関数は、どんな関数の導関数にもならない。連続関数についての 中間値の定理 と同じ形の性質を、導関数は連続でなくてももつ。
$(e^x)'=e^x$ は 指数関数、$(\log x)'=\frac1x$($x>0$)は 連鎖律 の記事の例「対数関数と一般の冪」、$(\sin x)'=\cos x$ と $(\cos x)'=-\sin x$ は 三角関数 の記事で示される。これらと thm-derivative-rules、連鎖律 を組み合わせれば、初等的な関数の導関数はすべて計算できる。逆に、導関数から元の関数の値の差を求める操作が積分であり、その関係が 微分積分学の基本定理 である。積の微分法を積分の側から読んだものが 部分積分 の公式である。
複素数を変数とする関数についても差分商の極限で微分係数を定め、これを複素微分という(正則関数 の記事の定義「複素微分可能性」)。複数の変数の関数では、1 つの変数だけを動かした差分商の極限を偏微分といい、写像を 1 次写像(行列)で近似する全微分が prop-derivative-linear-approximation の一般化になる(連鎖律 の記事の定義「全微分可能性」)。偏微分がすべて存在しても全微分可能とは限らない(同記事の例「反例:偏微分係数だけがある場合」)。
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