Fejérの定理(Fejér's theorem)とは、$2\pi$ 周期の積分可能な関数の Fourier 級数について、部分和 $s_0,\dots,s_N$ の平均 $\sigma_N$(Fejér 平均)が元の関数に収束することを述べる定理である。連続な周期関数では一様に、左右の極限が存在する点では左右の極限の平均に、$1\le p<\infty$ の $L^p$ 関数では $L^p$ ノルムで、ほとんどすべての点(Lebesgue 点)では各点で収束する。部分和そのものは連続関数でも収束するとは限らないが、平均の重みである Fejér 核は $0$ 以上で原点に集中するので収束がよくなる。系として、Fourier 係数が関数を決めることと、閉区間上の連続関数の多項式による一様近似が得られる。
前提知識: Fourier級数, Lebesgue積分, Lp空間, 一様連続
Fejérの定理(Fejér's theorem)は、周期関数の Fourier 級数の部分和そのものではなく、部分和を順に平均したもの(Fejér 平均)が元の関数に収束することを述べる定理である。連続な周期関数の Fourier 級数は、部分和が収束するとは限らない(一様有界性原理 の定理「$0$ で Fourier 級数が発散する連続関数の存在」)。ところが部分和の平均をとると、連続関数には一様に、左右の極限をもつ点では左右の極限の平均に、$L^p$ 関数には $L^p$ ノルムで、積分可能な関数にはほとんどすべての点で、それぞれ収束する。
平均をとると収束がよくなる理由は、部分和を表す Dirichlet 核が負の値をとるのに対し、その平均である Fejér 核 は $0$ 以上で、原点の近くに集中するからである。この記事では Fejér 核の性質を確かめ、主定理の 4 つの主張を証明する。系として、Fourier 係数が関数を決めること(一意性)と、閉区間上の連続関数の多項式近似(Weierstrassの近似定理)を導く。
最適化の Fejér単調列(点列の距離の単調性)や、$0$ 以上の三角多項式の分解についての Fejér–Riesz の定理は、名前が似ているが別の主題である。
以下、関数はすべて $2\pi$ 周期の複素数値関数とする。$1\le p<\infty$ について、$[-\pi,\pi]$ 上で $|f|^p$ が Lebesgue積分 の意味で積分可能な $2\pi$ 周期の可測関数の全体を $L^p(\mathbb T)$ と書き、
$$
\|f\|_p:=\Bigl(\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}|f(x)|^p\,dx\Bigr)^{1/p}
$$
とおく(ほとんど至るところ等しい関数は同じものとみなす。Lp空間)。区間 $[-\pi,\pi]$ が有限の測度をもつので $L^p(\mathbb T)\subset L^1(\mathbb T)$ である。$f\in L^1(\mathbb T)$ の Fourier 係数と 部分和を、Fourier級数 の定義「Fourier 係数と Fourier 級数」と同じ式
$$
\hat f(n):=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(x)e^{-inx}\,dx,\qquad s_N(f;x):=\sum_{n=-N}^{N}\hat f(n)e^{inx}
$$
で定める。Fourier級数 の記事は Riemann 積分可能な関数を扱うが、Riemann 積分可能な関数は Lebesgue 積分可能で積分の値も同じなので、この記事の主張はそのまま当てはまる。
$f\in L^1(\mathbb T)$ と $N=0,1,2,\dots$ に対し、部分和の平均
$$
\sigma_N(f;x):=\frac1{N+1}\sum_{k=0}^{N}s_k(f;x)=\sum_{n=-N}^{N}\Bigl(1-\frac{|n|}{N+1}\Bigr)\hat f(n)e^{inx}
$$
を $f$ の第 $N$ Fejér 平均という。Dirichlet 核 $D_k(t):=\sum_{|n|\le k}e^{int}$ の平均
$$
F_N(t):=\frac1{N+1}\sum_{k=0}^{N}D_k(t)=\sum_{n=-N}^{N}\Bigl(1-\frac{|n|}{N+1}\Bigr)e^{int}
$$
を Fejér 核という。
2 つ目の等号は、$e^{inx}$ の項が $s_k$($k=|n|,\dots,N$)のちょうど $N+1-|n|$ 個に現れることによる。$\sigma_N(f;\cdot)$ は次数 $N$ 以下の三角多項式である。$F_0=1$、$F_1(t)=\frac12(1+(1+2\cos t))=1+\cos t$ である。
要点:1 は係数の式を部分和に代入して和と積分を入れ替えたもの、2 は Dirichlet 核の閉じた形を平均して打ち消し合いを使ったもの、3 は $|\sin\frac t2|\ge\frac{|t|}\pi$ による。
1:$\hat f(n)e^{inx}=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(y)e^{in(x-y)}\,dy$ を $|n|\le k$ で足すと $s_k(f;x)=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(y)D_k(x-y)\,dy$ であり、$t=x-y$ と置いて周期性を使うと $s_k(f;x)=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}f(x-t)D_k(t)\,dt$ である。$k=0,\dots,N$ について平均すればよい。
2:Parsevalの等式 の補題「Fejér 核」の 2 と同じ計算である。$\sin\frac t2\ne0$ なら $D_k(t)=\sin\bigl(k+\frac12\bigr)t/\sin\frac t2$(Fourier級数 の命題「Dirichlet 核」)で、$2\sin\frac t2\sin\bigl(k+\frac12\bigr)t=\cos kt-\cos(k+1)t$ を $k=0,\dots,N$ で足すと $1-\cos(N+1)t=2\sin^2\frac{(N+1)t}2$ になる。よって $\sum_{k=0}^ND_k(t)=\sin^2\frac{(N+1)t}2/\sin^2\frac t2$ である。$F_N\ge0$ は $\sin\frac t2=0$ の点($F_N=N+1$)でも成り立つ。偶関数であることと積分の値は、$F_N(t)=\sum_{|n|\le N}(1-\frac{|n|}{N+1})e^{int}$ の係数が $n\leftrightarrow-n$ で対称で、$n\ne0$ の項の積分が $0$ になることによる。
3:$|D_k|\le2k+1$ から $F_N\le\frac1{N+1}\sum_{k=0}^N(2k+1)=N+1$ である。また $\sin$ は $[0,\frac\pi2]$ で上に凸なので $\sin u\ge\frac2\pi u$($0\le u\le\frac\pi2$)であり、$0<|t|\le\pi$ で $|\sin\frac t2|\ge\frac{|t|}\pi$ となる。2 の分子は $1$ 以下なので $F_N(t)\le\frac{\pi^2}{(N+1)t^2}$ である。$\square$
$F_N$ は $0$ 以上で平均が $1$ であり、原点から離れたところでは $N\to\infty$ で一様に $0$ に近づく。$\sigma_N(f;x)$ は、$x$ の近くの $f$ の値を重み $F_N$ で平均したものである。Dirichlet 核 $D_N$ も平均は $1$ だが負の値をとり、$\frac1{2\pi}\int|D_N|$ は $N\to\infty$ で無限大に発散する(一様有界性原理 の節「応用:連続関数の Fourier 級数の発散」)。この違いが、部分和と Fejér 平均の振る舞いを分ける。
点 $x$ が $f\in L^1(\mathbb T)$ の Lebesgue 点であるとは
$$
\lim_{h\to+0}\frac1{2h}\int_{-h}^{h}|f(x-t)-f(x)|\,dt=0
$$
が成り立つことをいう(Hardy–Littlewoodの極大関数 の定理「Lebesgue の微分定理」の後の定義と同じ。$y=x-t$ と置けばよい)。$f$ が $x$ で連続なら $x$ は Lebesgue 点である。
$f\in L^1(\mathbb T)$ とする。
4 つの主張はどれも、$F_N$ が「$0$ 以上、平均 $1$、原点から離れると小さい」ことだけから出る。証明では、lem-fj-kernel の 1 と、$F_N$ が偶関数であることから得られる次の式(以下「折り返しの式」と呼ぶ)を使う。
$$
\sigma_N(f;x)-c=\frac1{2\pi}\int_0^{\pi}\bigl(f(x+t)+f(x-t)-2c\bigr)F_N(t)\,dt\qquad(c\in\mathbb C)
$$
これは $\frac1{2\pi}\int_0^\pi F_N=\frac12$ による。
1。 $c:=\frac12(f(x+0)+f(x-0))$、$\varphi(t):=f(x+t)+f(x-t)-2c$ とおくと、$t\to+0$ で $\varphi(t)\to0$ である。$\varepsilon>0$ に対し、$0< t<\delta$ で $|\varphi(t)|<\varepsilon$ となる $0<\delta<\pi$ をとる。折り返しの式を $(0,\delta)$ と $[\delta,\pi]$ に分け、前者には $F_N\ge0$ と $\frac1{2\pi}\int_0^\pi F_N=\frac12$ を、後者には lem-fj-kernel の 3 を使うと
$$
|\sigma_N(f;x)-c|\le\frac\varepsilon2+\frac1{2\pi}\cdot\frac{\pi^2}{(N+1)\delta^2}\int_\delta^\pi|\varphi(t)|\,dt
$$
である。$\int_\delta^\pi|\varphi|\le2\int_{-\pi}^{\pi}|f|+2\pi|c|<\infty$ なので、右辺の第 2 項は $N\to\infty$ で $0$ に近づく。よって $\limsup_N|\sigma_N(f;x)-c|\le\varepsilon/2$ であり、$\varepsilon$ は任意である。
2。 $f$ は周期的で連続なので有界($|f|\le M$)かつ一様連続である($[-2\pi,2\pi]$ に 一様連続 の定理「Heine–Cantorの定理」を使い、周期性で $\mathbb R$ に広げる)。1 の証明で $c=f(x)$ とすると、$\delta$ は $x$ によらずにとれ、$\int_\delta^\pi|\varphi|\le4\pi M$ も $x$ によらない。よって評価は $x$ について一様である。
3。 測度 $\frac1{2\pi}F_N(t)\,dt$ は $[-\pi,\pi]$ 上の確率測度なので、Hölderの不等式 から $\bigl|\frac1{2\pi}\int g(t)F_N(t)\,dt\bigr|^p\le\frac1{2\pi}\int|g(t)|^pF_N(t)\,dt$ である。これを $g(t)=f(x-t)$ と $g(t)=f(x-t)-f(x)$ に使い、$x$ について積分して Tonelliの定理 で順序を入れ替えると
$$
\|\sigma_N(f;\cdot)\|_p^p\le\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}\|f\|_p^pF_N(t)\,dt=\|f\|_p^p,\qquad
\|\sigma_N(f;\cdot)-f\|_p^p\le\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}\omega(t)F_N(t)\,dt
$$
を得る。ここで $\omega(t):=\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}|f(x-t)-f(x)|^p\,dx$ で、$\omega\le2^p\|f\|_p^p$ である。$g:=f\,1_{[-2\pi,2\pi]}\in L^p(\mathbb R)$ とおくと、$|t|\le\pi$ では $\omega(t)\le\frac1{2\pi}\|g(\cdot-t)-g\|_{L^p(\mathbb R)}^p$ なので、軟化子 の補題「平行移動の連続性」により $t\to0$ で $\omega(t)\to0$ である。あとは 1 と同じく、積分を $|t|<\delta$ と $\delta\le|t|\le\pi$ に分ければよい。
4。 $\psi(t):=f(x+t)+f(x-t)-2f(x)$、$\Phi(h):=\int_0^h|\psi(t)|\,dt$ とおく。$\Phi(h)\le\int_{-h}^{h}|f(x-t)-f(x)|\,dt$ なので、仮定から $\Phi(h)/h\to0$ である。$\varepsilon>0$ に対し、$0< h\le2\delta$ で $\Phi(h)\le\varepsilon h$ となる $0<\delta\le\pi/2$ をとり、$a:=\frac1{N+1}<\delta$ となる $N$ を考える。折り返しの式の積分を $[0,a]$、$[a,\delta]$、$[\delta,\pi]$ に分ける。
主張 4 の証明で、区間 $[a,\delta]$ を 2 倍ずつの区間に分けたのは、$F_N(t)\le\frac{\pi^2}{(N+1)t^2}$ の評価と $\Phi(h)\le\varepsilon h$ を組み合わせるためである。各区間の寄与は $2^{-k}$ の割合で小さくなり、和は $N$ によらない定数で抑えられる。
$f,g\in L^1(\mathbb T)$ のすべての Fourier 係数が等しければ、ほとんど至るところ $f=g$ である。$f,g$ が連続なら、すべての点で $f=g$ である。
$h:=f-g$ の Fourier 係数はすべて $0$ なので、すべての $N$ で $\sigma_N(h;\cdot)=0$ である。thm-fj-main の 3($p=1$)から $\|h\|_1=\lim_N\|\sigma_N(h;\cdot)-h\|_1=0$ である。連続なら 2 から $h=\lim_N\sigma_N(h;\cdot)=0$ がすべての点で成り立つ。$\square$
$f\in L^1(\mathbb T)$ の Fourier 級数が点 $x$ で収束し、その和を $S$ とする。$x$ が $f$ の Lebesgue 点なら $S=f(x)$ であり、$x$ で左右の極限が存在すれば $S=\frac12\bigl(f(x+0)+f(x-0)\bigr)$ である。
収束する数列の平均は同じ極限に収束する(数列の平均の極限 の定理「平均の極限」)。$\sigma_N(f;x)$ は $s_0(f;x),\dots,s_N(f;x)$ の平均なので $S$ に収束する。一方 thm-fj-main の 4 または 1 から $\sigma_N(f;x)$ は $f(x)$ または左右の極限の平均に収束する。極限は一つなので両者は等しい。$\square$
この系は、Fourier 級数が「どこに収束するか」を、収束することさえ分かれば決めてしまう。収束するかどうかは別の問題で、Fourier級数 の定理「各点収束の定理(Dirichlet)」のように関数の滑らかさを使って調べる。
$f\colon[-1,1]\to\mathbb C$ が連続なら、多項式の列 $p_N$ で $\max_{-1\le x\le1}|f(x)-p_N(x)|\to0$ となるものがある。
$g(\theta):=f(\cos\theta)$ は $\mathbb R$ 上の連続な $2\pi$ 周期の偶関数である。偶関数なので $\hat g(-n)=\hat g(n)$ であり、$\sigma_N(g;\theta)=\sum_{k=0}^{N}a_k\cos k\theta$($a_0=\hat g(0)$、$a_k=2(1-\frac k{N+1})\hat g(k)$)と書ける。Chebyshev多項式 の定理「余弦の $n$ 倍角の公式」により $\cos k\theta=T_k(\cos\theta)$ となる $k$ 次多項式 $T_k$ があるので、$p_N(x):=\sum_{k=0}^{N}a_kT_k(x)$ とおくと $p_N(\cos\theta)=\sigma_N(g;\theta)$ である。$x=\cos\theta$ は $\theta\in[0,\pi]$ で $[-1,1]$ 全体を動くので、thm-fj-main の 2 から
$$
\max_{-1\le x\le1}|f(x)-p_N(x)|=\max_{0\le\theta\le\pi}|g(\theta)-\sigma_N(g;\theta)|\to0
$$
である。$\square$
一次変換で区間を移せば、任意の有界閉区間で同じことが言える。これは Weierstrassの近似定理 の別証明であり、近似する多項式を Fourier 係数から具体的に与えている。同様に、thm-fj-main の 2 は連続な周期関数が三角多項式で一様に近似できることを含む(Parsevalの等式 の命題「部分和の平均の一様収束」も同じ主張である)。
$-\pi< x<0$ で $f(x)=-1$、$0< x<\pi$ で $f(x)=1$ とし、$f(0)=f(\pi)=0$ として周期的に延長する(Fourier級数 の例「矩形波」)。$x=0$ では左右の極限 $-1$ と $1$ の平均が $0$ なので、thm-fj-main の 1 から $\sigma_N(f;0)\to0$ である。実際には奇関数なので $\sigma_N(f;0)=0$ がすべての $N$ で成り立つ。
さらに $F_N\ge0$ と平均 $1$ から、すべての $x$ で
$$
|\sigma_N(f;x)|\le\frac1{2\pi}\int_{-\pi}^{\pi}|f(x-t)|F_N(t)\,dt\le1
$$
である。部分和 $s_N(f;\cdot)$ は跳びのすぐ右で高さ $1.178\ldots$ ほどの山をもち、その山は $N\to\infty$ でも低くならない(Fourier級数 の例「反例:矩形波の Gibbs 現象」)。Fejér 平均にはこの行き過ぎがない。一般に、$m\le f\le M$(実数値)ならすべての $N$ で $m\le\sigma_N(f;\cdot)\le M$ である。
$f(0)=1$、$0<|x|\le\pi$ で $f(x)=0$ として周期的に延長する。$f$ はほとんど至るところ $0$ なので、すべての Fourier 係数が $0$ で、$\sigma_N(f;0)=0$ である。一方 $f(0)=1$ なので $\sigma_N(f;0)\not\to f(0)$ である。$0$ は $f$ の Lebesgue 点ではない($\frac1{2h}\int_{-h}^h|f(-t)-f(0)|\,dt=1$)。左右の極限はともに $0$ で、主張 1 の結論 $\sigma_N(f;0)\to0$ とは合っている。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 部分和を平均する($\sigma_N$ を $s_N$ に替える) | 一様有界性原理 の定理「$0$ で Fourier 級数が発散する連続関数の存在」の関数 | 連続関数での $x=0$ での収束(主張 1・2) |
| $f$ の連続性(主張 2) | ex-fj-square の矩形波 | 一様収束($\sigma_N(f;\cdot)$ は連続なので、一様収束すれば極限も連続になる。一様収束 の定理「連続関数の一様極限の連続性」) |
| $p<\infty$(主張 3) | ex-fj-square の矩形波($f\in L^\infty$) | $\operatorname{ess\,sup}\lvert\sigma_N(f;\cdot)-f\rvert\to0$($\sigma_N(f;0)=0$ と連続性から、$0$ の近くで $\lvert\sigma_N(f;\cdot)-f\rvert$ は $1$ に近い) |
| Lebesgue 点であること(主張 4) | ex-fj-point | $\sigma_N(f;0)\to f(0)$ |
1 行目では、Dirichlet 核 $D_N$ が負の値をとるために $\frac1{2\pi}\int|D_N|$ が有界でなくなることが原因である(一様有界性原理 の節「応用:連続関数の Fourier 級数の発散」)。Fejér 核は $0$ 以上なので $\frac1{2\pi}\int|F_N|=1$ であり、同じことは起こらない。
部分和の平均をとって級数に値を与える方法は、級数の Cesàro 総和法(1 次の算術平均による総和法)と呼ばれる。Fejér の定理は、Fourier 級数が Cesàro 総和法でよく振る舞うことを示している。収束する数列の平均が同じ極限に収束すること(数列の平均の極限)は、この総和法が通常の収束と矛盾しないことを意味する。
Fejér 核が満たす 3 つの性質($0$ 以上、平均 $1$、原点から離れると一様に小さい)をもつ関数の列は、畳み込み による近似の基本の道具である。実数直線の上では Gauss 関数を細くした列が同じ役割を果たし、Fourier 変換の反転公式の証明に使われる(Fourier変換 の補題「Gauss核による近似」)。
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