完全数

同義語:perfect number

概要

完全数(perfect number)とは、自分自身を除く正の約数の和が自分自身に等しい正の整数、すなわち約数の和 $\sigma(N)$ が $\sigma(N)=2N$ を満たす $N$ のことである。$6=1+2+3$、$28$、$496$、$8128$ がその最初の四つである。偶数の完全数は Euclid–Euler の定理により $2^p-1$ が素数(Mersenne 素数)となる $p$ に対する $2^{p-1}(2^p-1)$ に限られ、Mersenne 素数と 1 対 1 に対応する。奇数の完全数は一つも知られておらず存在しないことも証明されていないが、存在すれば $N=p^{\alpha}M^2$($p\equiv\alpha\equiv1\pmod 4$)の形をもち、$10^{1500}$ より大きいなど多くの必要条件が知られている。

$$\newcommand{AA}[0]{\mathscr{A}} \newcommand{abs}[1]{\left\lvert#1\right\rvert} \newcommand{Arg}[0]{\operatorname{Arg}} \newcommand{BB}[0]{\mathscr{B}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{CC}[0]{\mathscr{C}} \newcommand{floor}[1]{\left\lfloor#1\right\rfloor} \newcommand{ind}[0]{\operatorname{ind}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{mmod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{Mod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{ord}[0]{\operatorname{ord}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rank}[0]{\mathrm{rank}} \newcommand{SS}[0]{\mathscr{S}} \newcommand{TT}[0]{\mathscr{T}} \newcommand{UU}[0]{\mathscr{U}} \newcommand{wenvert}[1]{\left\lvert\left\lvert#1\right\rvert\right\rvert} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 整数, 素数, 素因数分解, 約数関数

定義

完全数

正の整数 $N$ に対し、$N$ の正の約数すべての和を $\sigma(N):=\sum_{d\mid N}d$ と書く(約数関数)。$N$ 自身を除く正の約数を $N$ の真の約数といい、真の約数の和は $\sigma(N)-N$ である。
正の整数 $N$ が完全数(perfect number)であるとは、真の約数の和が $N$ 自身に等しいこと、すなわち
$$\sigma(N)=2N$$
が成り立つことをいう。

過剰数・不足数との比較

真の約数の和と $N$ の大小で正の整数は三つに分かれる。$\sigma(N)>2N$ のとき $N$ を過剰数、$\sigma(N)<2N$ のとき不足数といい、完全数はその境目 $\sigma(N)=2N$ にある数である。$1$ は真の約数をもたず $\sigma(1)=1<2$ なので不足数であり、素数 $p$ は $\sigma(p)=p+1<2p$ なので不足数である。完全数と過剰数・不足数の区別は $\sigma(N)/N$ の値が $2$ に等しいか、$2$ より大きいか、小さいかの区別であり、prop-perfect-number-product-criterion のように素因数分解から読み取れる。

直感

完全数は「自分自身を除く約数を全部足すと自分に戻る」数であり、$6=1+2+3$、$28=1+2+4+7+14$ がその最初の二つである。約数の和 $\sigma(N)$ は乗法的関数なので、$\sigma(N)=2N$ という条件は素因数分解を通して各素因数の寄与の積 $\prod\sigma(p^{e})/p^{e}=2$ に書き直せる。偶数の完全数についてはこの条件が完全に解けており、$2^p-1$ が素数となる $p$ ごとに完全数 $2^{p-1}(2^p-1)$ がちょうど一つ対応する(Euclid–Euler の定理)。一方、奇数の完全数は一つも見つかっておらず、存在しないことも証明されていない。奇数の完全数が満たすべき必要条件(形・法 $4$ や $12$ での剰余・素因数の個数・大きさ)は多数知られており、それらが本記事の後半の主題である。

例と反例

小さい完全数

$6$, $28$, $496$, $8128$ は完全数である。実際、

  • $6=2\cdot3$ の真の約数は $1,2,3$ で、和は $6$ である。
  • $28=2^2\cdot7$ の真の約数は $1,2,4,7,14$ で、和は $28$ である。
  • $496=2^4\cdot31$ について、$\sigma(496)=\sigma(2^4)\sigma(31)=31\cdot32=992=2\cdot496$ である。
  • $8128=2^6\cdot127$ について、$\sigma(8128)=\sigma(2^6)\sigma(127)=127\cdot128=16256=2\cdot8128$ である。
    これらはそれぞれ $p=2,3,5,7$ に対する $2^{p-1}(2^p-1)$ であり、$2^p-1=3,7,31,127$ はいずれも素数(Mersenne素数)である。次の完全数は $p=13$ に対する $2^{12}(2^{13}-1)=33550336$ である。ここで $\sigma(2^4)=31$ などの計算には prop-perfect-number-product-criterion の等比数列の和の公式を用いた。
反例:完全数でない数
  1. $12=2^2\cdot3$ は $\sigma(12)=7\cdot4=28>24$ なので過剰数であり、完全数でない。真の約数の和は $1+2+3+4+6=16\neq12$ である。
  2. $8=2^3$ は $\sigma(8)=15<16$ なので不足数である。一般に素数冪 $p^e$ は $\sigma(p^e)=(p^{e+1}-1)/(p-1)<2p^e$ なので完全数でない(prop-perfect-number-product-criterion の証明を参照)。したがって完全数は少なくとも二つの相異なる素因数をもつ。
  3. $2^p-1$ が素数でないときの $2^{p-1}(2^p-1)$ は完全数でない。たとえば $p=11$ のとき $2^{11}-1=2047=23\cdot89$ であり、$N=2^{10}\cdot2047$ について
    $$\sigma(N)=\sigma(2^{10})\,\sigma(23)\,\sigma(89)=2047\cdot24\cdot90=2047\cdot2160>2047\cdot2048=2N$$
    なので $N$ は過剰数である。この反例は、thm-perfect-number-euclid-euler の「$2^p-1$ が素数」という仮定を「$p$ が素数」に弱めることができないこと($p=11$ は素数)を示している。

性質

約数の和と素因数分解

約数の和の乗法性

正の整数 $m,n$ が互いに素ならば $\sigma(mn)=\sigma(m)\sigma(n)$ である。

$d$ が $mn$ の正の約数であるとき、$d_1:=\gcd(d,m)$、$d_2:=\gcd(d,n)$ とおく。$m$ と $n$ が互いに素なので $d_1$ と $d_2$ も互いに素であり、$d_1d_2$ は $d$ を割る。また $d$ の任意の素因数 $q$ は $m$ または $n$ の一方だけを割り、たとえば $q\mid m$ なら $q\nmid n$ と $d\mid mn$ から $d$ における $q$ の指数は $m$ における指数以下なので、$d_1=\gcd(d,m)$ における $q$ の指数は $d$ における指数に等しい($q\mid n$ のときは $d_2$ について同様)。よって $d=d_1d_2$ である。逆に $m$ の約数 $d_1$ と $n$ の約数 $d_2$ に対し $d_1d_2$ は $mn$ の約数であり、$\gcd(d_1d_2,m)=d_1$、$\gcd(d_1d_2,n)=d_2$ である。よって $d\mapsto(d_1,d_2)$ は $mn$ の正の約数の集合から $m$ の正の約数と $n$ の正の約数の組の集合への全単射であり、
$$\sigma(mn)=\sum_{d\mid mn}d=\sum_{d_1\mid m}\sum_{d_2\mid n}d_1d_2=\sigma(m)\sigma(n)$$
となる。$\square$

素因数分解による完全数の判定

素数 $p$ と正の整数 $e$ に対し
$$\sigma(p^e)=1+p+\cdots+p^e=\frac{p^{e+1}-1}{p-1}$$
であり、$N=p_1^{e_1}\cdots p_r^{e_r}$($p_i$ は相異なる素数、$e_i\ge1$)と素因数分解するとき
$$\frac{\sigma(N)}{N}=\prod_{i=1}^r\frac{1-p_i^{-(e_i+1)}}{1-p_i^{-1}}$$
が成り立つ。したがって $N$ が完全数であることは
$$\prod_{i=1}^r\frac{1-p_i^{-(e_i+1)}}{1-p_i^{-1}}=2$$
と同値である。また各因子は $1<\dfrac{1-p_i^{-(e_i+1)}}{1-p_i^{-1}}<\dfrac{p_i}{p_i-1}$ を満たす。

$p^e$ の正の約数は $1,p,\dots,p^e$ に限るので、$\sigma(p^e)$ は等比数列の和であり、$(p-1)(1+p+\cdots+p^e)=p^{e+1}-1$ から第 1 の等式を得る。lem-perfect-number-sigma-multiplicative を繰り返し用いると $\sigma(N)=\prod_i\sigma(p_i^{e_i})$ であり、
$$\frac{\sigma(p^e)}{p^e}=\frac{p^{e+1}-1}{p^e(p-1)}=\frac{1-p^{-(e+1)}}{1-p^{-1}}$$
から第 2 の等式を得る。完全数の条件 $\sigma(N)=2N$ は $\sigma(N)/N=2$ と同値である。最後に、$1-p^{-(e+1)}$ は $1-p^{-1}$ より大きく $1$ より小さいので、因子は $1$ より大きく $1/(1-p^{-1})=p/(p-1)$ より小さい。$\square$

偶数の完全数

Mersenne 数の指数

正の整数 $n\ge2$ について、$2^n-1$ が素数ならば $n$ は素数である。

$n=ab$($a,b\ge2$)と分解できたとすると、$x^b-1=(x-1)(x^{b-1}+\cdots+x+1)$ に $x=2^a$ を代入して $2^n-1=(2^a-1)(2^{a(b-1)}+\cdots+2^a+1)$ となる。$a\ge2$ より $2^a-1\ge3$ であり、第 2 因子は $2^a+1\ge5$ 以上なので、$2^n-1$ は $1$ でも自身でもない約数 $2^a-1$ をもち、素数でない。$\square$

$p$ が素数で $2^p-1$ も素数であるとき、$2^p-1$ を Mersenne素数 という。lem-perfect-number-mersenne-exponent の逆は成り立たない($2^{11}-1=23\cdot89$)。

Euclid–Euler の定理

正の整数 $N$ について、次は同値である。

  1. $N$ は偶数の完全数である。
  2. $2^p-1$ が素数となる素数 $p$ が存在して $N=2^{p-1}(2^p-1)$ である。
    さらに、条件 2 の $p$ は $N$ から一意に定まる。

(2 ⇒ 1) $q:=2^p-1$ が素数であるとする。$q$ は奇数なので $2^{p-1}$ と $q$ は互いに素であり、lem-perfect-number-sigma-multiplicative と prop-perfect-number-product-criterion により
$$\sigma(N)=\sigma(2^{p-1})\sigma(q)=(2^p-1)(q+1)=(2^p-1)2^p=2\cdot2^{p-1}(2^p-1)=2N$$
となる。$p\ge2$ なので $N$ は偶数である。
(1 ⇒ 2) $N$ を偶数の完全数とし、$N=2^{k}M$($k\ge1$、$M$ は奇数)と書く。$2^k$ と $M$ は互いに素なので
$$2^{k+1}M=2N=\sigma(N)=\sigma(2^k)\sigma(M)=(2^{k+1}-1)\sigma(M)$$
である。$2^{k+1}-1$ は奇数なので $2^{k+1}$ と互いに素であり、$2^{k+1}-1$ は $M$ を割る。$M=(2^{k+1}-1)M'$ とおくと、両辺を $2^{k+1}-1$ で割って $\sigma(M)=2^{k+1}M'$ を得る。ここで $M'$ と $M$ は $M$ の相異なる正の約数であり($2^{k+1}-1\ge3$ なので $M'< M$)、
$$M+M'=(2^{k+1}-1)M'+M'=2^{k+1}M'=\sigma(M)$$
である。$\sigma(M)$ は $M$ の正の約数すべての和であり、その中の二つ $M$ と $M'$ だけで和全体に達しているので、$M$ の正の約数は $M$ と $M'$ の二つしかない。正の約数が二つしかない数は素数であり、その約数は $1$ と自身なので $M'=1$、$M=2^{k+1}-1$ は素数である。$p:=k+1$ とおくと lem-perfect-number-mersenne-exponent により $p$ は素数であり、$N=2^{p-1}(2^p-1)$ となる。
一意性:$N=2^{p-1}(2^p-1)$ において $2^p-1$ は奇数なので、$p-1$ は $N$ の素因数分解における $2$ の指数であり、$N$ から定まる。$\square$

偶数の完全数と Mersenne 素数の対応

$p\mapsto2^{p-1}(2^p-1)$ は、Mersenne 素数 $2^p-1$ を与える素数 $p$ の集合から偶数の完全数の集合への全単射である。特に、偶数の完全数が無限に存在することと Mersenne 素数が無限に存在することとは同値である。

thm-perfect-number-euclid-euler により写像は偶数の完全数の集合への全射であり、一意性の主張により単射である。$\square$

Mersenne 素数が無限に存在するかどうかは未解決である。$2^p-1$ が素数となる $p$ は小さい順に $2,3,5,7,13,17,19,31,\dots$ であり、Great Internet Mersenne Prime Search(GIMPS)の報告によれば、2024 年 10 月の $2^{136279841}-1$ の発見時点で 52 個の Mersenne 素数が知られている(GIMPS24)。したがって同じ個数の偶数の完全数が知られている。偶数の完全数が $2^{p-1}(2^p-1)$ の形をもつことは Euclid『原論』第 9 巻命題 36 にあり、逆にすべての偶数の完全数がこの形であることは Euler が示した(HW08 §16.8、Dic19 Chapter I)。

奇数の完全数

奇数の完全数は本記事執筆時点(2026 年)で一つも知られておらず、存在しないことも証明されていない(HW08 §16.8、OchemRao2012)。以下は、奇数の完全数が存在するとすれば満たさなければならない条件である。最初のものは Euler による(Dic19 Chapter I)。

Euler の定理(奇数の完全数の形)

$N$ が奇数の完全数ならば、素数 $p$、正の整数 $\alpha$、$p$ で割り切れない正の整数 $M$ により
$$N=p^{\alpha}M^2,\qquad p\equiv\alpha\equiv1\pmod 4$$
と書ける。すなわち、$N$ の素因数分解 $N=p^{\alpha}q_1^{2b_1}\cdots q_s^{2b_s}$ において、指数が奇数の素因数 $p$ はちょうど一つであり、その指数 $\alpha$ と $p$ はともに $4$ を法として $1$ に合同(合同式)である。

$N=p_1^{a_1}\cdots p_r^{a_r}$ と素因数分解する。$N$ は奇数なので各 $p_i$ は奇素数であり、$2N\equiv2\pmod 4$ である。prop-perfect-number-product-criterion により $2N=\sigma(N)=\prod_i\sigma(p_i^{a_i})$ である。
$\sigma(p^a)=1+p+\cdots+p^a$ は $a+1$ 個の奇数の和なので、$a$ が偶数のとき奇数、$a$ が奇数のとき偶数である。積 $\prod_i\sigma(p_i^{a_i})$ は偶数なので、$a_i$ が奇数となる $i$ が少なくとも一つある。もし二つ以上あれば積は $4$ で割り切れ、$2N\equiv2\pmod 4$ に反する。よって指数が奇数の素因数はちょうど一つであり、それを $p=p_1$、$\alpha=a_1$ とおくと、残りの指数はすべて偶数なので $N=p^{\alpha}M^2$($M:=\prod_{i\ge2}p_i^{a_i/2}$、$p\nmid M$)と書ける。さらに $\sigma(p^{\alpha})\cdot(\text{奇数})=2N\equiv2\pmod 4$ であるから、$\sigma(p^{\alpha})$ は $4$ で割り切れず、$\sigma(p^{\alpha})\equiv2\pmod 4$ である。
$p\equiv3\pmod 4$ と仮定すると $p^k\equiv(-1)^k\pmod 4$ なので、$\sigma(p^{\alpha})\equiv\sum_{k=0}^{\alpha}(-1)^k\pmod 4$ となる。$\alpha+1$ は偶数なので右辺は $0$ であり、$\sigma(p^{\alpha})\equiv0\pmod 4$ となって矛盾する。よって $p\equiv1\pmod 4$ である。このとき $p^k\equiv1\pmod 4$ なので $\sigma(p^{\alpha})\equiv\alpha+1\pmod 4$ であり、$\alpha+1\equiv2\pmod 4$、すなわち $\alpha\equiv1\pmod 4$ を得る。$\square$

奇数の完全数の約数

$N=p^{\alpha}q_1^{2b_1}\cdots q_s^{2b_s}$ を thm-perfect-number-euler-odd-form の形の奇数の完全数とする。このとき $\sigma(p^{\alpha})/2$ は整数であり、$\sigma(p^{\alpha})/2$ および各 $\sigma(q_i^{2b_i})$ はいずれも $N$ を割り切る。さらに $N\equiv1\pmod 4$ である。

prf-perfect-number-euler-odd-form で見たように $\sigma(p^{\alpha})\equiv2\pmod 4$ なので $\sigma(p^{\alpha})/2$ は整数であり、$\sigma(q_i^{2b_i})$ は奇数である。乗法性により
$$N=\frac{\sigma(N)}{2}=\frac{\sigma(p^{\alpha})}{2}\prod_{i=1}^s\sigma(q_i^{2b_i})$$
であり、右辺の各因子は $N$ を割り切る。最後に、$p\equiv1\pmod 4$ より $p^{\alpha}\equiv1\pmod 4$ であり、$M=q_1^{b_1}\cdots q_s^{b_s}$ は奇数なので $M^2\equiv1\pmod 4$ である。よって $N=p^{\alpha}M^2\equiv1\pmod 4$ である。$\square$

$N\equiv1\pmod 4$ は Stern による(Stern1886)。より強い合同条件は Touchard が Jacobi のtheta関数の理論を用いて証明し(Touchard1953)、その後 Satyanarayana(Satyanarayana1959)、Raghavachari(Raghavachari1966)、Holdener(Holdener2002)がそれぞれ独立に初等的な証明を与えた。

Touchard の定理

$N$ が奇数の完全数ならば $N\equiv1\pmod{12}$ または $N\equiv9\pmod{36}$ である。やや強く、$N\equiv1\pmod{12}$、$N\equiv81\pmod{324}$、$N\equiv117\pmod{468}$ のいずれかが成り立つ。

Touchard の定理の出典

前半の証明は Holdener2002 に短い初等的証明がある(原証明は Touchard1953)。後半の精密化は Roberts による(Roberts2008)。

奇数の完全数の素因数の個数

$N$ を奇数の完全数とし、$\omega(N)$ を $N$ の相異なる素因数の個数、$\Omega(N)$ を重複を込めた素因数の個数(素因数の個数)とする。

  1. $\omega(N)\ge10$ である。$3\nmid N$ ならば $\omega(N)\ge12$ である。
  2. $\Omega(N)\ge101$ である。
  3. $\Omega(N)\ge\max\{(18\omega(N)-31)/7,\ 2\omega(N)+51\}$ である。
  4. $3\nmid N$ ならば $\Omega(N)\ge(51\omega(N)-46)/19$、$3\mid N$ ならば $\Omega(N)\ge(99\omega(N)-187)/37$ である。
素因数の個数に関する結果の出典

1 の $\omega(N)\ge10$ は Nielsen2015、$3\nmid N$ のときの $\omega(N)\ge12$ は Nielsen2007 による。2 は OchemRao2012、3 は OchemRao2014 による。4 は Clayton–Hansen(ClaytonHansen2023)によるもので、Zelinsky による $3\nmid N$ のとき $\Omega(N)\ge(8\omega(N)-7)/3$、$3\mid N$ のとき $\Omega(N)\ge(21\omega(N)-39)/8$(Zelinsky2018)、および $3\nmid N$ のとき $\Omega(N)\ge(302\omega(N)-286)/113$、$3\mid N$ のとき $\Omega(N)\ge(66/25)\omega(N)-5$(Zelinsky2021)を改良したものである。いずれも証明は各論文に譲る。

奇数の完全数の大きさと有限性
  1. $N$ が奇数の完全数ならば $N>10^{1500}$ である。
  2. 各正の整数 $k$ に対し、相異なる素因数をちょうど $k$ 個もつ奇数の完全数は有限個しかない。
大きさと有限性の出典

1 は Ochem–Rao による計算機を用いた結果である(OchemRao2012)。2 は Dickson の定理であり、証明は Dickson1913 に譲る。奇数の完全数が有限個か無限個かは(そもそも存在するかを含めて)未解決である。

補足

完全数の研究は古代ギリシアに遡り、$6,28,496,8128$ は古くから知られていた(Dic19 Chapter I)。完全数の条件 $\sigma(N)=2N$ を $\sigma(N)=kN$ に一般化した数はk倍完全数と呼ばれ、また二つの数が互いに他方の真の約数の和になっているものは友愛数と呼ばれる。

関連項目

参考文献

[1]
Jacques Touchard, On prime numbers and perfect numbers, Scripta Math., 1953, 35--39
[2]
M. Satyanarayana, Odd perfect numbers, Math. Student, 1959, 17--18
[3]
M. Raghavachari, On the form of odd perfect numbers, Math. Student, 1966, 85--86
[5]
T. S. Roberts, On the form of an odd perfect number, Austral. Math. Soc. Gaz., 2008, 244
[6]
M. M. Stern, Sur les nombres parfaits, Mathesis, 1886, 248--250
[12]
G. Clayton and C. Hansen, On inequalities involving counts of the prime factors of an odd perfect numbers, INTEGERS, 2023, A79

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