Lomonosovの不変部分空間定理

同義語:Lomonosov's invariant subspace theoremLomonosovの定理ロモノソフの定理

概要

Lomonosovの不変部分空間定理(Lomonosov's invariant subspace theorem)とは、無限次元の Banach 空間の上で、$0$ でないコンパクト作用素 $T$ と可換な有界作用素は $\{0\}$ でも全体でもない閉不変部分空間をもつ、という定理である。とくに $0$ でないコンパクト作用素自身がそのような部分空間をもち、複素 Banach 空間では $T$ と可換なすべての作用素に共通する閉不変部分空間がとれる。証明は、どの軌道も稠密だという仮定から作った非線形写像に Schauder の不動点定理を当て、不動点で係数を固定してできるコンパクト作用素の固有空間を使う。不変部分空間問題に、コンパクト作用素と可換という条件のもとで肯定的に答える。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: コンパクト作用素, Schauderの不動点定理, 不変部分空間, Banach空間

Lomonosov の不変部分空間定理(Lomonosov's invariant subspace theorem)は、無限次元の Banach 空間 $E$ の上で、$0$ でないコンパクト作用素 $T$ と可換な有界作用素 $R$ は、$\{0\}$ でも $E$ でもない閉不変部分空間をもつ、という定理である。$R=T$ とすれば、$0$ でないコンパクト作用素そのものが閉不変部分空間をもつことがわかる。複素 Banach 空間では、$T$ と可換なすべての作用素に共通する閉不変部分空間がとれる。
有限次元の複素ベクトル空間では、固有ベクトルの張る直線が不変部分空間になる。無限次元では固有ベクトルがあるとは限らない(Volterra作用素 には固有値がない)ので、別の方法が要る。Lomonosov の証明は意外な道をとる。不変部分空間がないと仮定すると、どの $0$ でないベクトルの軌道も空間全体で稠密になる。これを使って非線形の写像を作り、Schauderの不動点定理 で不動点 $\xi$ を得る。不動点での係数を固定すると、$\xi$ を固有ベクトルにもつコンパクトな線形作用素ができ、その固有空間が求める不変部分空間を与える。
この記事では、不変部分空間問題の簡単な場合を整理したあと、Lomonosov の補題を証明し、そこから主定理と可換子についての定理を導く。
以下 $\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$ とし、$E$ は $\mathbb K$ 上の Banach 空間、$L(E)$ は有界線形作用素の全体、$K(E)\subset L(E)$ はコンパクト作用素の全体とする。

不変部分空間問題

閉不変部分空間

$R\in L(E)$ とする。閉部分空間 $Z\subset E$ が $R(Z)\subset Z$ を満たすとき、$Z$ を $R$ の 閉不変部分空間 という。$Z\ne\{0\}$ かつ $Z\ne E$ のとき 非自明 という。作用素の集合 $\mathcal S\subset L(E)$ のすべての元で不変な閉部分空間を、$\mathcal S$ の閉不変部分空間という。

不変部分空間問題とは、$\dim E\ge2$ の Banach 空間の上の有界作用素が、つねに非自明な閉不変部分空間をもつかという問題である。次の場合は簡単に片づく。

簡単に片づく場合

$R\in L(E)$ とする。

  1. $\mathbb K=\mathbb C$ で $2\le\dim E<\infty$ なら、$R$ は非自明な不変部分空間をもつ。
  2. $\mathbb K=\mathbb R$ で $3\le\dim E<\infty$ なら、$R$ は非自明な不変部分空間をもつ。
  3. $E$ が可分でないなら、$R$ は非自明な閉不変部分空間をもつ。
  4. $E=\mathbb R^2$ の $90^\circ$ 回転 $J(x_1,x_2)=(-x_2,x_1)$ は、非自明な不変部分空間をもたない。
証明を開く

1・2:$R$ の最小多項式 $m$ を $\mathbb K$ 上で既約な因子に分け、その一つを $q$ とする($\mathbb C$ なら 1 次、$\mathbb R$ なら 2 次以下)。$m=qr$ と書くと $\deg r<\deg m$ なので $r(R)\ne0$ で、$r(R)w\ne0$ となる $w$ がある。$v:=r(R)w$ は $0$ でなく $q(R)v=m(R)w=0$ を満たすので、$\operatorname{span}\{v,Rv\}$($q$ が 1 次なら $\operatorname{span}\{v\}$)は $R$ で不変で、次元は $1$ 以上、$\deg q$ 以下である。これは仮定の次元より小さい。

3:$y\ne0$ をとり、$Z$ を $\{R^ny\}_{n\ge0}$ の張る部分空間の閉包とする。係数を有理数($\mathbb C$ では実部と虚部が有理数)に限った有限一次結合は可算個で $Z$ の中で稠密なので、$Z$ は可分であり、$Z\ne E$ である。$R(R^ny)=R^{n+1}y$ なので $R$ は $\{R^ny\}_{n\ge0}$ の張る部分空間をそれ自身に写し、$R$ の連続性から $R(Z)\subset Z$ である。

4:非自明な部分空間は直線 $\mathbb Rx$($x\ne0$)で、不変なら $Jx=\lambda x$ となる実数 $\lambda$ がある。$J^2=-I$ なので $-x=\lambda^2x$、$\lambda^2=-1$ となって矛盾する。$\square$

したがって問題が残るのは、可分な無限次元の Banach 空間である。$E$ が Hilbert空間 なら、閉部分空間 $Z$ が $R$ で不変であることと、直交補空間 $Z^\perp$ が随伴作用素 $R^*$ で不変であることは同値である($z\in Z$、$w\in Z^\perp$ について $\langle z,R^*w\rangle=\langle Rz,w\rangle$ を見ればよい)。したがって Hilbert 空間では、$R$ と $R^*$ の一方について答えれば他方についても答えたことになる。Lomonosov の定理は、$0$ でないコンパクト作用素と可換という条件のもとで、この問題に肯定的に答える。

主定理

Lomonosovの不変部分空間定理

$E$ を無限次元の Banach 空間、$T\in K(E)$、$T\ne0$ とする。$TR=RT$ を満たす $R\in L(E)$ は、非自明な閉不変部分空間をもつ。

証明の置き場所

証明は、lem-lomo を準備したあとの prf-lomo-main で与える。

コンパクト作用素の場合

$E$ を無限次元の Banach 空間とする。

  1. $0$ でないコンパクト作用素 $T$ は非自明な閉不変部分空間をもつ。
  2. $R\in L(E)$ について、ある多項式 $p$ で $p(R)$ が $0$ でないコンパクト作用素になるなら、$R$ は非自明な閉不変部分空間をもつ。

1 は thm-lomo-main を $R=T$ に当てたもの、2 は $T=p(R)$ に当てたものである($R$ は $p(R)$ と可換)。$\square$

複素 Banach 空間では、さらに強く、$T$ と可換なすべての作用素に共通する閉不変部分空間がとれる。

可換子の共通不変部分空間

$E$ を無限次元の複素 Banach 空間、$T\in K(E)$、$T\ne0$ とする。非自明な閉部分空間 $Z$ で、$TR=RT$ を満たすすべての $R\in L(E)$ について $R(Z)\subset Z$ となるものがある。

証明の置き場所

証明は prf-lomo-hyper で与える。

$\{R\in L(E)\mid TR=RT\}$ を $T$ の 可換子 といい、そのすべての元で不変な閉部分空間を $T$ の 超不変部分空間(hyperinvariant subspace)という。thm-lomo-hyper は、$0$ でないコンパクト作用素が非自明な超不変部分空間をもつことを述べている。

どこが難しいか

$T$ の核・像・固有空間は、$T$ と可換な作用素ですべて保たれる。そのため、次の場合には定理は直接わかる。

直接わかる場合

$E$ を無限次元の Banach 空間、$T\in K(E)$、$T\ne0$ とし、$\mathcal C:=\{R\in L(E)\mid TR=RT\}$ とする。次のどれかが成り立てば、$\mathcal C$ のすべての元で不変な非自明な閉部分空間がある。

  1. $T$ は単射でない。
  2. $T$ の像は稠密でない。
  3. $T$ は $0$ でない固有値 $\lambda$ をもつ。

$R\in\mathcal C$ とする。1:$Tx=0$ なら $T(Rx)=R(Tx)=0$ なので $\ker T$ は $R$ で不変である。$\ker T$ は閉じていて、$\{0\}$ でなく、$T\ne0$ なので $E$ でもない。2:$R(Tx)=T(Rx)$ なので $T$ の像は $R$ で不変で、連続性からその閉包も不変である。閉包は $\{0\}$ でなく、仮定から $E$ でもない。3:$Z:=\ker(T-\lambda I)$ について $Tz=\lambda z$ なら $T(Rz)=R(Tz)=\lambda Rz$ なので $R(Z)\subset Z$ である。コンパクト作用素 の定理「Riesz–Schauderの理論」の 1 により $Z$ は有限次元なので、$Z\ne E$ である。$\square$

$T$ が有限階なら 1 が成り立つ($E$ は無限次元)。したがって難しいのは、$T$ が単射で、像が稠密で、$0$ でない固有値をもたない場合である。複素 Banach 空間では、このとき コンパクト作用素 の定理「コンパクト作用素のスペクトル」の 1 と 3 により $\sigma(T)=\{0\}$、すなわち $T$ は準冪零である。$L^2(0,1)$ 上の Volterra作用素 はちょうどこの場合にあたる(単射で、像は稠密で、固有値をもたない)。Lomonosov の補題は、この場合にも働く。

Lomonosov の補題

主定理・系・可換子についての定理はどれも次の補題から従う。補題では $E$ の次元も、作用素どうしの可換性も仮定しない。

Lomonosovの補題

$\mathcal A\subset L(E)$ を恒等作用素 $I$ を含む部分代数(和・スカラー倍・合成で閉じた線形部分空間)とし、$\mathcal A$ は非自明な閉不変部分空間をもたないとする。$T\in K(E)$、$T\ne0$ なら、$S\in\mathcal A$ と $\xi\in E\setminus\{0\}$ で $ST\xi=\xi$ となるものがある。

段 1(軌道の稠密性).$y\ne0$ について $\mathcal Ay:=\{Sy\mid S\in\mathcal A\}$ は $y=Iy$ を含む部分空間で、$\mathcal A$ が合成で閉じているので $\mathcal A$ の各元で不変である。作用素の連続性からその閉包も $\mathcal A$ の閉不変部分空間で、$\{0\}$ でないから $E$ に等しい。すなわち、すべての $y\ne0$ について $\mathcal Ay$ は $E$ で稠密である。
段 2(球とその像).$Tx_0\ne0$ となる $x_0$ をとり、$0< r\le\|Tx_0\|/(2\|T\|)$ とする。$\|Tx_0\|\le\|T\|\|x_0\|$ なので $r\le\|x_0\|/2$ である。閉球 $C:=\{x\mid\|x-x_0\|\le r\}$ は空でない閉凸集合で、$x\in C$ なら $\|x\|\ge\|x_0\|-r>0$ なので $0\notin C$ である。また $\|Tx-Tx_0\|\le\|T\|r\le\|Tx_0\|/2$ から $\|Tx\|\ge\|Tx_0\|/2$ である。$T$ はコンパクトで $C$ は有界なので、$Q:=\overline{T(C)}$ はコンパクトで、ノルムの下界は閉包に引き継がれるので $0\notin Q$ である。
段 3(有限個の作用素で $Q$ を $C$ へ戻す).$y\in Q$ なら $y\ne0$ なので、段 1 により $\|S_yy-x_0\|< r$ となる $S_y\in\mathcal A$ がある。$U_y:=\{z\in E\mid\|S_yz-x_0\|< r\}$ は $y$ を含む開集合である。$Q$ はコンパクトなので、有限個の $y_1,\dots,y_m\in Q$ で $Q\subset U_1\cup\dots\cup U_m$($U_j:=U_{y_j}$、$S_j:=S_{y_j}$)となる。$\varphi_j(z):=\operatorname{dist}(z,E\setminus U_j)$($U_j=E$ なら $\varphi_j:=1$)は連続で、$U_j$ の上でだけ正である。$\varphi:=\sum_j\varphi_j$ は $Q$ の上で正である。
段 4(非線形の写像と不動点).$x\in C$ なら $Tx\in Q$ なので $\varphi(Tx)>0$ であり、
$$ F(x):=\sum_{j=1}^m\frac{\varphi_j(Tx)}{\varphi(Tx)}\,S_j(Tx)\qquad(x\in C) $$
は $C$ 上の連続写像である。係数は $0$ 以上で和が $1$ であり、係数が正の $j$ では $Tx\in U_j$、すなわち $\|S_j(Tx)-x_0\|< r$ なので、
$$ \|F(x)-x_0\|\le\sum_j\frac{\varphi_j(Tx)}{\varphi(Tx)}\|S_j(Tx)-x_0\|< r $$
となり、$F(C)\subset C$ である。さらに $F(C)$ は、コンパクト集合 $[0,1]^m\times Q^m$ の連続写像 $(t_j,q_j)_j\mapsto\sum_jt_jS_jq_j$ による像に含まれるので、相対コンパクトである。Schauderの不動点定理 の定理「Schauderの不動点定理」により、$F(\xi)=\xi$ となる $\xi\in C$ がある。$0\notin C$ なので $\xi\ne0$ である。
段 5(係数の固定).$c_j:=\varphi_j(T\xi)/\varphi(T\xi)$ とおき、$S:=\sum_jc_jS_j$ とすると、$\mathcal A$ は線形部分空間なので $S\in\mathcal A$ であり、$ST\xi=F(\xi)=\xi$ となる。$\square$

証明で非線形の写像 $F$ を経由するのは、$\mathcal A$ の 1 つの元だけでは球 $C$ を $C$ に戻せないからである。段 3 の $S_j$ は $Q$ の場所ごとに違う。それらを 1 の分割 $\varphi_j/\varphi$ で貼り合わせると、線形性は失われるが、$C$ を $C$ に写す連続写像になり、$T$ のコンパクト性を通じて Schauder の不動点定理が使える。不動点が見つかったあとで係数を数として固定すると線形性が戻り、1 つのコンパクト作用素 $ST$ の固有値 $1$ の固有ベクトル $\xi$ が得られる。Riesz–Schauder の理論によりその固有空間は有限次元なので、無限次元の問題が有限次元の部分空間 $\ker(I-ST)$ の問題に帰着する。

定理の証明

補題を多項式の代数に当てる

$R$ が非自明な閉不変部分空間をもたないとして矛盾を導く。$\mathcal A:=\{p(R)\mid p\text{ は }\mathbb K\text{ 係数の多項式}\}$ は $I$ を含む部分代数で、閉部分空間が $\mathcal A$ で不変であることと $R$ で不変であることは同値だから、$\mathcal A$ は非自明な閉不変部分空間をもたない。lem-lomo により $S\in\mathcal A$ と $\xi\ne0$ で $ST\xi=\xi$ となるものがある。$Z:=\ker(I-ST)$ とおく。

  • $ST$ はコンパクトなので(コンパクト作用素 の定理「コンパクト作用素の全体は閉じたイデアル」の 3)、同記事の定理「Riesz–Schauderの理論」の 1 により $Z$ は有限次元である。$E$ は無限次元なので $Z\ne E$ であり、$\xi\in Z$ から $Z\ne\{0\}$ である。$Z$ は連続写像の核なので閉じている。
  • $S$ は $R$ の多項式なので $R$ と可換であり、$R$ は $T$ とも可換なので $R(ST)=(ST)R$ である。$z\in Z$ なら $ST(Rz)=R(STz)=Rz$ なので $Rz\in Z$ である。
    よって $Z$ は $R$ の非自明な閉不変部分空間となり、仮定に反する。$\square$
準冪零性と補題を組み合わせる

$T$ が $0$ でない固有値をもつ場合は、prop-lomo-direct の 3 による。
$T$ が $0$ でない固有値をもたない場合:コンパクト作用素 の定理「コンパクト作用素のスペクトル」の 1 により $\sigma(T)\subset\{0\}$ であり、複素 Banach 代数 $L(E)$ でのスペクトル半径公式(Banach環とC*-環のスペクトル理論 の定理「スペクトルの非空性・コンパクト性とスペクトル半径公式」)から $\lim_n\|T^n\|^{1/n}=0$ である。$T$ の可換子 $\mathcal A$ は $I$ を含む部分代数である。$\mathcal A$ が非自明な閉不変部分空間をもたないとすると、lem-lomo により $S\in\mathcal A$ と $\xi\ne0$ で $ST\xi=\xi$ となるものがある。$ST=TS$ なので $(ST)^n=S^nT^n$ であり、
$$ \|\xi\|=\|(ST)^n\xi\|\le\|S\|^n\|T^n\|\|\xi\| $$
から $1\le\|S\|\,\|T^n\|^{1/n}\to0$ となって矛盾する。したがって $\mathcal A$ は非自明な閉不変部分空間 $Z$ をもち、これが求めるものである。$\square$

prf-lomo-hyper の後半は、$T$ が準冪零(スペクトル半径が $0$)なら $T$ の可換子の元 $S$ について $ST$ も準冪零で、$1$ を固有値にもてないことを使っている。前半は固有空間を、後半は補題を使っており、$\mathbb K=\mathbb C$ はスペクトル半径公式のところで必要になる。

例

Volterra作用素 $V$ は $L^2(0,1)$ 上の $0$ でないコンパクト作用素で、固有値をもたない。$V$ の非自明な閉不変部分空間は固有ベクトルからは作れないが、thm-lomo-main によって存在が保証され、実際に $M_a=\{u\mid(0,a)\text{ の上で }u=0\}$($0< a< 1$)がそうなっている(Volterra作用素 の節「不変部分空間」)。thm-lomo-main によれば、$V$ と可換な有界作用素、たとえば $V$ の多項式や $(\lambda I-V)^{-1}$($\lambda\ne0$)も、それぞれ非自明な閉不変部分空間をもつ。

仮定を外すと成り立たなくなること

外す条件反例成り立たなくなること
$E$ が無限次元($\mathbb K=\mathbb R$)$E=\mathbb R^2$、$T=I$、$R=J$($90^\circ$ 回転)thm-lomo-main($J$ は $0$ でないコンパクトな $I$ と可換だが、非自明な不変部分空間をもたない)
$R$ が $T$ と可換(thm-lomo-hyper)無限次元の複素 Banach 空間 $E$ で、$L(E)$ のすべての元共通の非自明な閉不変部分空間の存在
反例の表の確かめ
確かめを開く

1 行目:有限次元では有界作用素はすべてコンパクトなので、$I$ は $0$ でないコンパクト作用素で、すべての作用素と可換である。$J$ が非自明な不変部分空間をもたないことは prop-lomo-easy の 4 である。$T=J$ とすれば cor-lomo-compact の 1 も成り立たない。証明で無限次元を使ったのは、有限次元の $\ker(I-ST)$ が $E$ 全体でないことを言うところだけである。2 行目:$Z\ne\{0\}$ を $L(E)$ のすべての元で不変な閉部分空間とし、$0\ne y\in Z$ をとる。Hahn–Banachの定理 により $f(y)=1$ となる連続線形汎関数 $f$ がある。任意の $z\in E$ について $Px:=f(x)z$ は有界作用素で $Py=z$ なので、$z\in Z$ となり $Z=E$ である。

文献

thm-lomo-main とその $R=T$ の場合は、実 Banach 空間について Bre11 Problem 42(pp. 501–503)の B と A にあり、問題 A の 9 は $\mathbb R^2$ の回転の例を問う。そこでは誘導付きの問題として扱われ、B は A の各段を読み替えるよう指示されている。同書 §6.1 の Remark 1 の末尾(p. 159)は、Schauder の不動点定理と有限次元への近似を組み合わせる Lomonosov の方法に触れている。lem-lomo は、Problem 42 の段を、可換でない部分代数でも使える形にまとめ直したものであり、thm-lomo-hyper の証明はこの記事で与えた。

関連項目

参考文献

[1]
Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, 2011, §6.1 Remark 1 の末尾(p. 159)、Problem 42(pp. 501–503)

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