可分Banach空間(separable Banach space)とは、可算な稠密部分集合をもつ Banach 空間である。可算集合の一次結合が稠密であることと同値で、部分空間・商・完備化に受け継がれ、双対が可分なら空間も可分になる。$\ell^p$ と $L^p$($1\le p<\infty$)、コンパクト距離空間上の $C(K)$ は可分で、$\ell^\infty$ や $L^\infty$ は互いに離れた点の非可算族をもつので可分でない。可分な実 Banach 空間は $\ell^1$ の商と等長同型であり、可分なノルム空間は $\ell^\infty$ の部分空間と等長同型である。
可分Banach空間(separable Banach space)とは、可算な稠密部分集合をもつ Banach 空間である。$\ell^p$ と $L^p$($1\le p<\infty$)、コンパクト距離空間上の連続関数の空間 $C(K)$ など、解析学に現れる多くの空間は可分であり、$\ell^\infty$ や $L^\infty$ は可分でない。可分性は、点列による議論(対角線論法、弱スター位相の距離化)を使えるかどうかを分ける条件である。
位相空間としての可分性の一般論は 可分空間 にある。この記事では Banach 空間に固有のことを扱う。可算集合の一次結合による言い換え、部分空間・商・双対との関係、非可分性の判定法、代表的な空間の可分性、そしてすべての可分 Banach 空間が $\ell^1$ の商と $\ell^\infty$ の部分空間として実現されること、である。
以下、Banach 空間・ノルム空間は実数体上のものとし、$X^*$ は連続双対を表す。
Banach 空間 $X$ が可分であるとは、高々可算な部分集合 $D\subset X$ で $\overline D=X$ となるものが存在することをいう。
稠密な集合そのものを探すより、一次結合が稠密になる可算集合を探すほうが易しい。
ノルム空間 $X$ について、次は同値である。
1 ⇒ 2 は $D$ を稠密な集合にとればよい。2 ⇒ 1:$D$ の元の有理数係数の一次結合の全体を $D_{\mathbb Q}$ とする。$D_{\mathbb Q}$ は、各 $n$ について $\mathbb Q^n\times D^n$ の像になる集合の $n\ge1$ にわたる和なので、高々可算である。$y=\sum_{i=1}^na_id_i\in\operatorname{span}D$ と $\varepsilon>0$ について、有理数 $q_i$ を $|a_i-q_i|\,\|d_i\|<\varepsilon/n$ ととれば、$\|y-\sum_iq_id_i\|<\varepsilon$ である。よって $D_{\mathbb Q}$ は $\operatorname{span}D$ で稠密で、$\operatorname{span}D$ は $X$ で稠密なので、$D_{\mathbb Q}$ は $X$ で稠密である。$\square$
$X$ を可分なノルム空間とする。
1:$(u_n)$ を $X$ の稠密な列、$F\subset X$ とする。各 $n,m$ について $F\cap B(u_n,1/m)$ が空でなければ、その元 $a_{n,m}$ を一つ選ぶ。$x\in F$ と $m$ に対し $\|x-u_n\|<1/m$ となる $n$ をとると $a_{n,m}$ が定まり、$\|x-a_{n,m}\|<2/m$ である。よって $\{a_{n,m}\}$ は $F$ で稠密な可算集合である。
2:商写像 $q\colon X\to X/M$ は連続な全射である(開写像定理 の命題「商空間の完備性と商写像」)。稠密な集合の連続写像による像は像の中で稠密である(可分空間 の命題「連続写像による像」)。
3:$D_X\times D_Y$ が稠密である。4:$X$ は完備化の中で稠密なので、$X$ の稠密な可算集合は完備化でも稠密である。$\square$
双対との関係は一方向だけである。$X^*$ が可分なら $X$ も可分である(弱位相の距離化可能性 の補題「双対が可分なら空間も可分」)。逆は成り立たない。$\ell^1$ は可分だが(ℓp空間 の命題「有限列の稠密性」)、その双対と同一視される $\ell^\infty$ は可分でない(可分空間 の注意「反例:有界数列の空間」)。反射性を仮定すると、両者はそろう。
Banach 空間 $X$ について、「$X$ は反射的かつ可分」と「$X^*$ は反射的かつ可分」は同値である。
反射性の同値は 反射的Banach空間 の定理「双対空間の反射性」である。$X^*$ が可分なら、上に引いた補題で $X$ は可分である。逆に $X$ が反射的かつ可分なら、評価写像 $J\colon X\to X^{**}$ は等長な全単射なので $X^{**}=(X^*)^*$ は可分であり、同じ補題を $X^*$ に使って $X^*$ は可分である。$\square$
可分性は弱スター位相の距離化とも同値である。$X$ が可分であることは $X^*$ の閉単位球の上で弱スター位相が距離化できることと同値であり、$X^*$ が可分であることは $X$ の閉単位球の上で弱位相が距離化できることと同値である(弱位相の距離化可能性 の定理「双対の閉単位球の弱スター位相」と定理「閉単位球の弱位相」)。
距離空間が可分でないことは、互いに離れた点の非可算族で確かめられる。
($\mathsf{ZFC}$)距離空間 $M$ について、次は同値である。
2 ⇒ 3:$a\in A$ を中心とする半径 $\varepsilon/2$ の開球は、三角不等式により互いに交わらない。
3 ⇒ 1:$(O_i)_{i\in I}$ をその族とし、$M$ が稠密な列 $(u_n)$ をもつと仮定する。各 $i$ について $u_n\in O_i$ となる最小の $n$ を $n(i)$ とする。$i\ne j$ なら $O_i\cap O_j=\emptyset$ なので $n(i)\ne n(j)$ であり、$i\mapsto n(i)$ は $I$ から $\mathbb N$ への単射になる。これは $I$ が非可算であることに反する。
1 ⇒ 2:各 $m\ge1$ について、相異なる 2 点の距離がすべて $1/m$ 以上の部分集合を「$1/m$ 分離集合」と呼ぶ。$1/m$ 分離集合の全体を包含で順序づけると、鎖の和集合も $1/m$ 分離集合(どの 2 点も鎖の一つの元に入る)なので、Zornの補題 により極大な $1/m$ 分離集合 $A_m$ がある。$x\in M$ について、$x\notin A_m$ なら極大性から $A_m\cup\{x\}$ は $1/m$ 分離集合でないので、$d(x,a)<1/m$ となる $a\in A_m$ がある。よって $D=\bigcup_mA_m$ は $M$ で稠密である。$M$ が可分でないので $D$ は可算でなく、ある $A_m$ は非可算である。$\varepsilon=1/m$、$A=A_m$ とすればよい。$\square$
数列の空間 $\ell^p$($1\le p<\infty$)と $c_0$ が可分であることは ℓp空間 の命題「有限列の稠密性」による。$C([0,1])$ の可分性は多項式近似から従う(可分空間 の例「一様収束位相を入れた連続関数の空間」)。一般のコンパクト距離空間では、多項式の代わりに 1 の分割を使う。
$K$ を空でないコンパクト距離空間(距離 $d$)とする。最大値ノルムを入れた実数値連続関数の空間 $C(K)$ は可分である。
$\delta>0$ を固定する。$K$ はコンパクトなので、有限個の点 $a_1,\dots,a_J$ で $K=\bigcup_jB(a_j,\delta/2)$ となるものがある。$q_j(x)=\max\{0,\delta-d(x,a_j)\}$、$q=\sum_jq_j$ とおく。$q_j$ は連続であり、各 $x$ は $d(x,a_j)<\delta/2$ となる $j$ をもつので $q(x)\ge q_j(x)>\delta/2$ である。$\theta_j=q_j/q$ は連続で、$\theta_j\ge0$、$\sum_j\theta_j=1$、そして $\theta_j(x)\ne0$ なら $d(x,a_j)<\delta$ である。
$f\in C(K)$ に対し $\tilde f=\sum_jf(a_j)\theta_j$ とおくと、
$$
|f(x)-\tilde f(x)|=\Bigl|\sum_j\theta_j(x)\bigl(f(x)-f(a_j)\bigr)\Bigr|\le\sum_j\theta_j(x)\,\omega_f(\delta)=\omega_f(\delta)
$$
である。ここで $\omega_f(\delta)=\sup\{|f(x)-f(y)|:d(x,y)<\delta\}$ であり、和では $\theta_j(x)\ne0$ の項だけが残るので $d(x,a_j)<\delta$ が使える。$f$ はコンパクト集合の上で一様連続なので $\delta\to0$ で $\omega_f(\delta)\to0$ である。
$\delta=1/n$ として得られる有限個の関数 $\theta_j$ を $n\ge1$ についてすべて集めた可算集合を $D$ とすると、上の評価から $\operatorname{span}D$ は $C(K)$ で稠密である。lem-sbs-span により $C(K)$ は可分である。$\square$
距離化可能性はここで本質的である。コンパクト Hausdorff 空間 $K$ について、$C(K)$ が可分なら $K$ は距離化可能である。
$K$ をコンパクト Hausdorff 空間とする。$C(K)$ が可分なら $K$ は距離化可能である。
$x\in K$ に評価 $\delta_x(f)=f(x)$ を対応させる写像 $\Phi\colon K\to C(K)^*$ を考える。$|\delta_x(f)|\le\|f\|$ なので $\Phi$ の値は閉単位球 $B$ に入る。$B$ に弱スター位相を入れる。弱スター位相は各 $f\in C(K)$ での評価を連続にする最も弱い位相なので(弱スター位相 の定義「弱スター位相」)、$x\mapsto\delta_x(f)=f(x)$ が連続であることから $\Phi$ は連続である。$x\ne y$ なら、$K$ は正規なので(正規空間 の定理「コンパクト Hausdorff 空間は正規」)、Urysohnの補題 により $f(x)=0$、$f(y)=1$ となる $f\in C(K)$ があり、$\Phi$ は単射である。コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な単射は像への同相写像であり、$C(K)$ が可分なので $B$ の弱スター位相は距離化できる(弱位相の距離化可能性 の定理「双対の閉単位球の弱スター位相」)。距離化可能な空間の部分空間 $\Phi(K)$ は距離化可能なので、$K$ も距離化可能である。$\square$
$L^p$ 空間の可分性は、有理数を端点とする直方体から作る階段関数による。
$1\le p<\infty$ とし、$\Omega\subset\mathbb R^N$ を Lebesgue 可測集合とする。Lebesgue 測度についての $L^p(\Omega)$ は可分である。
要点:$\Omega=\mathbb R^N$ の場合に、端点が有理数の開直方体の指示関数の一次結合が稠密であることを示し、一般の $\Omega$ は $0$ 延長で $L^p(\mathbb R^N)$ の部分空間とみる。
$\mathcal R$ を端点がすべて有理数の開直方体 $\prod_{i=1}^N(a_i,b_i)$ の全体とする。$\mathcal R$ は可算である。$D=\{\mathbf 1_R:R\in\mathcal R\}$ とおき、$\operatorname{span}D$ が $L^p(\mathbb R^N)$ で稠密であることを示す。測度有限の集合の上の単関数は稠密なので(Lp空間 の命題「単関数の稠密性」)、測度有限の可測集合 $E$ について $\mathbf 1_E$ が $\operatorname{span}D$ の閉包に入ることを示せばよい。
$\varepsilon>0$ とする。$\mathbb R^N$ の Lebesgue 外測度は、直方体の可算族による被覆の体積の和の下限である。和が $|E|+\varepsilon/2$ 未満の被覆をとり、$k$ 番目の直方体を体積の増分が $\varepsilon/2^{k+1}$ 未満の開直方体に広げれば、開直方体の可算族 $(Q_k)$ で $E\subset\bigcup_kQ_k$ かつ $\sum_k|Q_k|<|E|+\varepsilon$ となるものが得られる($|\cdot|$ は体積・測度。直方体の外測度が体積に等しいことは Lebesgue測度 の注意「$\mathbb{R}^n$ の Lebesgue 測度の性質」)。$U=\bigcup_kQ_k$ について $|U\setminus E|=|U|-|E|<\varepsilon$ である。$\sum_{k>m}|Q_k|<\varepsilon$ となる $m$ をとり、各 $k\le m$ について $Q_k'\in\mathcal R$ を $|Q_k\triangle Q_k'|<\varepsilon/m$ となるように選ぶ(端点を有理数で近似する)。$V=\bigcup_{k\le m}Q_k'$ とおくと、$E\triangle V\subset(U\setminus E)\cup\bigcup_{k>m}Q_k\cup\bigcup_{k\le m}(Q_k\triangle Q_k')$ なので $|E\triangle V|<3\varepsilon$ である。したがって $\|\mathbf 1_E-\mathbf 1_V\|_p=|E\triangle V|^{1/p}<(3\varepsilon)^{1/p}$ である。包除原理により $\mathbf 1_V$ は $\mathbf 1_{Q'_{k_1}\cap\dots\cap Q'_{k_r}}$ の整数係数の一次結合であり、$\mathcal R$ の元の共通部分は空か $\mathcal R$ の元なので、$\mathbf 1_V\in\operatorname{span}D$ である。lem-sbs-span により $L^p(\mathbb R^N)$ は可分である。
一般の $\Omega$ については、$\Omega$ の外で $0$ とおく延長 $L^p(\Omega)\to L^p(\mathbb R^N)$ が線形な等長写像なので、$L^p(\Omega)$ は可分な距離空間の部分集合と等長であり、prop-sbs-hereditary の 1 により可分である。$\square$
$p=\infty$ では成り立たない(ex-sbs-nonseparable の 2)。また、この可分性は測度空間の σ-代数が可算個の集合で生成されることとは別の事情である。$\mathbb R$ の Lebesgue 可測集合の全体は、可算個の集合から生成される σ-代数ではない。
Lebesgue 可測集合の全体の濃度は $2^{2^{\aleph_0}}$ 以上である(Lebesgue測度 の命題「Borel集合でないLebesgue可測集合」の証明)。一方、可算族 $\mathcal E$ が生成する σ-代数の濃度は $2^{\aleph_0}$ 以下である。
$\mathcal S_0=\mathcal E\cup\{\emptyset\}$ とし、順序数 $\alpha$ について $\mathcal S_\alpha$ を、$\beta<\alpha$ の $\mathcal S_\beta$ の元の補集合と可算和の全体とする。最初の非可算順序数 $\omega_1$ について $\mathcal S=\bigcup_{\alpha<\omega_1}\mathcal S_\alpha$ とおく。$\mathcal S$ の元の可算族は、各元の段の上限(可算個の可算順序数の上限は $\omega_1$ より小さい)$\gamma$ について $\mathcal S_\gamma$ に入るので、その可算和と補集合は $\mathcal S_{\gamma+1}$ に入る。よって $\mathcal S$ は σ-代数で、$\mathcal E$ が生成する σ-代数に一致する(各 $\mathcal S_\alpha$ は生成される σ-代数に含まれる)。$|\mathcal S_\alpha|\le2^{\aleph_0}$ を $\alpha$ についての帰納法で示す:$\beta<\alpha$ の $\mathcal S_\beta$ の和は高々 $\aleph_1\cdot2^{\aleph_0}=2^{\aleph_0}$ 個の元をもち、その可算列の全体は $(2^{\aleph_0})^{\aleph_0}=2^{\aleph_0}$ 個である。したがって $|\mathcal S|\le\aleph_1\cdot2^{\aleph_0}=2^{\aleph_0}$ である。
Hilbert 空間では、可分性は正規直交系の大きさで決まる。可分な Hilbert 空間は有限または可算無限の完全正規直交系をもち、無限次元で可分な Hilbert 空間は $\ell^2$ と内積を保って同型である(Hilbert空間 の注意「完全正規直交系の存在」と系「数列空間との同一視」)。有限次元の場合は $\mathbb R^n$ と同型であり、$\ell^2$ とは同型でない。
すべての可分 Banach 空間は、$\ell^1$ から全射で写せる。
$X\ne\{0\}$ を可分な実 Banach 空間とし、単位球面 $S_X=\{x:\|x\|=1\}$ で稠密な列 $(x_n)_{n\ge1}$ をとる。$T\colon\ell^1\to X$ を $Ta=\sum_na_nx_n$ で定める。$U_Y$ でノルム空間 $Y$ の開単位球 $\{y:\|y\|<1\}$ を表す。
$S_X$ は空でなく、prop-sbs-hereditary の 1 により可分なので、列 $(x_n)$ はとれる。$\|a_nx_n\|=|a_n|$ なので級数は絶対収束し、$X$ の完備性から収束する(Banach空間 の定理「絶対収束する級数による完備性の特徴づけ」)。$T$ は線形で $\|Ta\|\le\|a\|_1$、$\|Te_n\|=\|x_n\|=1$ なので $\|T\|=1$ であり、$T(U_{\ell^1})\subset U_X$ である。
逆の包含を示す。$x=0$ は $T0$ である。$0<\|x\|<1$ とし、$\|x\|<1-\delta$ となる $\delta\in(0,1)$ を一つ固定する。$r_0=x$ から始めて、帰納的に番号 $n_k$ と数 $c_k\ge0$ を選ぶ。$r_{k-1}\ne0$ なら、$(x_n)$ が $S_X$ で稠密なので
$$
\Bigl\|x_{n_k}-\frac{r_{k-1}}{\|r_{k-1}\|}\Bigr\|<\delta
$$
となる $n_k$ をとり、$c_k=\|r_{k-1}\|$、$r_k=r_{k-1}-c_kx_{n_k}$ とおく。$r_{k-1}=0$ なら $n_k=1$、$c_k=0$、$r_k=0$ とおく。前者の場合 $\|r_k\|=c_k\|r_{k-1}/c_k-x_{n_k}\|<\delta\|r_{k-1}\|$ なので、いずれの場合も $\|r_k\|\le\delta^k\|x\|$、$c_k\le\delta^{k-1}\|x\|$ である。$a=\sum_kc_ke_{n_k}$ は $\ell^1$ で絶対収束し(同じ番号が繰り返し現れれば係数が足し合わされる)、
$$
\|a\|_1\le\sum_{k\ge1}c_k\le\frac{\|x\|}{1-\delta}<1
$$
である。$T$ は連続な線形写像なので、$Ta=\lim_K\sum_{k\le K}c_kx_{n_k}=\lim_K(x-r_K)=x$ となる。よって $x\in T(U_{\ell^1})$ である。
2:$N$ は閉部分空間で、$\overline T(a+N)=Ta$ は代表元によらない線形な全単射である(全射は 1 から)。商ノルム $\|a+N\|=\inf\{\|b\|_1:Tb=Ta\}$ が $\|Ta\|$ に等しいことを示す。$Tb=Ta$ なら $\|Ta\|=\|Tb\|\le\|b\|_1$ なので $\|Ta\|\le\|a+N\|$ である。逆に $y=Ta\ne0$ と $t>\|y\|$ について、$y/t\in U_X$ なので 1 により $Tb=y/t$、$\|b\|_1<1$ となる $b$ があり、$Ttb=y$、$\|tb\|_1< t$ である。$t\downarrow\|y\|$ として $\|a+N\|\le\|y\|$ を得る。$y=0$ なら $a\in N$ で両辺は $0$ である。
最後の同値:逆向きは、可分な $\ell^1$ の商が可分であること(prop-sbs-hereditary の 2)による。$X=\{0\}$ は $\ell^1/\ell^1$ である。$\square$
たとえば $\ell^2$ や $C([0,1])$ は $\ell^1$ の商と等長同型である。この全射の核は一般には補空間をもたない。$X$ が無限次元で $X^*$ が可分なら、$\ker T$ は $\ell^1$ の閉部分空間として補空間をもたないことが、$\ell^1$ の弱収束の性質から示される(Schur性)。
双対の側から見ると、可分な空間はすべて $\ell^\infty$ に埋め込まれる。
可分なノルム空間 $X$ は、$\ell^\infty$ のある部分空間と線形かつ等長に同型である。
$(x_n)$ を $X$ の稠密な列とする。各 $n$ について、$x_n\ne0$ なら $\|f_n\|=1$、$f_n(x_n)=\|x_n\|$ となる $f_n\in X^*$ をとり(連続双対空間 の定理「点でノルムを実現する汎関数」)、$x_n=0$ なら $f_n=0$ とする。$\Phi(x)=(f_n(x))_{n\ge1}$ とおくと、$|f_n(x)|\le\|x\|$ なので $\Phi\colon X\to\ell^\infty$ は線形で $\|\Phi(x)\|_\infty\le\|x\|$ である。$x\in X$ と $\varepsilon>0$ について $\|x-x_n\|<\varepsilon$ となる $n$ をとると、
$$
f_n(x)\ge f_n(x_n)-\|x-x_n\|>\|x_n\|-\varepsilon>\|x\|-2\varepsilon
$$
なので $\|\Phi(x)\|_\infty\ge\|x\|$ である。よって $\Phi$ は線形な等長写像であり、像の上への同型である。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $p<\infty$(thm-sbs-lp) | $L^\infty(0,1)$ | $L^p$ が可分であること |
| $K$ が距離化可能(thm-sbs-ck) | 非可算な離散空間 $\Gamma$ の 1 点コンパクト化 $K$ | $C(K)$ が可分であること |
| 反射性(cor-sbs-reflexive) | $\ell^1$ | $X$ が可分なら $X^*$ も可分であること |
| $X$ の完備性(thm-sbs-l1-quotient) | $c_{00}$(最大値ノルム) | $\ell^1$ の商と等長同型であること |
1 行目は ex-sbs-nonseparable の 2 である。
2 行目:$K=\Gamma\cup\{\infty\}$ で、$\Gamma$ の各点は孤立点である。$\{\gamma\}$ は開集合で、Hausdorff 空間の 1 点として閉集合でもあるので、指示関数 $\mathbf 1_{\{\gamma\}}$ は連続である。$\gamma\ne\gamma'$ なら $\|\mathbf 1_{\{\gamma\}}-\mathbf 1_{\{\gamma'\}}\|=1$ なので、thm-sbs-nonseparable により $C(K)$ は可分でない。
3 行目:$\ell^1$ は可分で、双対 $\ell^\infty$ は可分でない。$\ell^1$ は反射的でない(ℓp空間 の系「反射性」)。
4 行目:商ノルムを入れた Banach 空間の商は完備である(開写像定理 の命題「商空間の完備性と商写像」)。$c_{00}$ は完備でない(Hamel基底 の例「完備性は外せない」)ので、$\ell^1$ の商と等長同型にならない。
部分集合の可分性、双対が可分なら空間が可分であること、反射的な場合の同値は Bre11 §3.6 の Proposition 3.25、Theorem 3.26、Corollary 3.27(p. 73)にある。非可分性の判定(3 ⇒ 1)と $L^\infty$ の非可分性は同書 Remark 8 と Lemma 4.2(p. 103)、$L^p$ の可分性は Theorem 4.13(pp. 98–99。証明は $\Omega=\mathbb R^N$ の場合)にある。$C(K)$ の可分性は同書 Problem 24 の A(pp. 469–470)で 1 の分割による誘導問題として、$\ell^1$ からの全射は Exercise 3.26(pp. 85–86)で演習として問われている。同書は実 Banach 空間で述べている。
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