Lindelöf空間(Lindelöf space)とは、任意の開被覆が高々可算な部分被覆を持つ位相空間のことであり、コンパクト性の「有限個」を「可算個」に緩めた条件である。$\mathbb{R}^n$ とその任意の部分空間はLindelöfであり、より一般に第2可算空間や$\sigma$コンパクト空間はLindelöfである。Lindelöf性は閉部分空間には遺伝するが一般の部分空間には遺伝せず、二つのLindelöf空間の直積もLindelöfとは限らない(Sorgenfrey平面)。正則なLindelöf空間は正規である。距離空間に限れば第2可算・可分・Lindelöfは同値になるが、一般には同値でない。名称はフィンランドの数学者 Ernst Leonard Lindelöf にちなむ。
前提知識: 位相空間, 開被覆, コンパクト空間, 可算集合
位相空間のコンパクト性は「どの開被覆からも有限個を選んで全体を覆える」という条件である。この「有限個」を「高々可算個」に緩めたものがLindelöf性である。開被覆・部分被覆・被覆の有限性条件(有限・星状有限・局所有限・点有限)の定義は 開被覆 が所有する。
位相空間 $X$ が Lindelöf空間(Lindelöf space)であるとは、$X$ の任意の開被覆 $\mathcal{U}$ に対して、高々可算な部分族 $\mathcal{V}\subseteq\mathcal{U}$ で $X$ を覆うものが存在することをいう。この性質を Lindelöf性(Lindelöf property)という。ここで「高々可算」は有限の場合を含む。
名称はフィンランドの数学者 Ernst Leonard Lindelöf にちなむ(Engelking89)。
コンパクト性とLindelöf性の差は「有限」と「可算」の差であり、これは一度に扱えるか、順番に扱えるかの差である。
有限部分被覆が取れれば、被覆の元を一つずつ処理する操作は必ず止まるので、最大値・最小値のような「全部を見比べた結果」が得られる。可算部分被覆しか取れない場合、処理は止まらないが、被覆の元に $1,2,3,\dots$ と番号を振ることはできる。番号が振れれば、$n$ 番目までの結果を使って $n+1$ 番目を決めるという逐次的な構成ができる。実際、後述のprop-lindelof-regular-normalの証明は、可算個の開集合から前段までの閉集合を削り取るという逐次的な操作でできている。
したがってLindelöf性は「空間が可算個の情報で覆い尽くせる」という可算性の条件であり、$X$ の点の個数についての条件ではない。実際、$\mathbb{R}^n$ は非可算集合だがLindelöfである。
台集合が高々可算な位相空間は、どのような位相を入れてもLindelöf空間である。
実際、開被覆 $\mathcal{U}$ に対して各点 $x\in X$ について $x\in U_x$ となる $U_x\in\mathcal{U}$ を一つ選べば(高々可算個の選択なので可算選択公理を用いる)、$\{U_x\mid x\in X\}$ は高々可算な部分被覆である。
位相空間 $X$ が $\sigma$コンパクト($\sigma$-compact)であるとは、$X$ が高々可算個のコンパクト部分集合の合併として書けることをいう。
$\mathbb{R}^n$ は $\mathbb{R}^n=\bigcup_{m\ge1}[-m,m]^n$ と書け、各 $[-m,m]^n$ はコンパクトなので $\sigma$コンパクトである。有理数全体 $\mathbb{Q}$($\mathbb{R}$ の部分空間)は可算個の一点集合の合併なので $\sigma$コンパクトである。$\sigma$コンパクトな空間はLindelöfである(prop-lindelof-space-sigma-compact)。
$\mathbb{R}$ に半開区間 $[a,b)$ を開基として入れた空間(Sorgenfrey直線)はLindelöf空間であり、しかも第2可算公理を満たさない。この二つの事実は Sorgenfrey直線 が所有する(本記事は証明を持たない)。これはLindelöf性から第2可算性が従わないことを示す例であり、後述のthm-lindelof-manifold-equivや距離空間の場合と対比される。
非可算集合 $X$ に離散位相を入れた空間はLindelöf空間ではない。破れる条件はdef-lindelof-spaceの「高々可算な部分被覆が存在する」である。
$x\ne y$ のとき $d(x,y)=1$、$x=y$ のとき $d(x,y)=0$ とおく離散距離はこの位相を与えるので、この空間は距離空間である。また各点で $\{\{x\}\}$ が基本近傍系になるので第1可算公理を満たす。したがって破れる含意は「距離空間ならばLindelöf」および「第1可算ならばLindelöf」である。
$\mathcal{U}=\{\{x\}\mid x\in X\}$ は開被覆である。$\mathcal{V}\subseteq\mathcal{U}$ が $X$ を覆うならば、各 $x\in X$ について $x$ を含む $\mathcal{U}$ の元は $\{x\}$ しかないので $\{x\}\in\mathcal{V}$ でなければならず、$\mathcal{V}=\mathcal{U}$ である。$X$ は非可算だから $\mathcal{U}$ も非可算であり、高々可算な部分被覆は存在しない。$\square$
例と反例の位置づけを、満たす性質と破る性質の組で並べると次のようになる。
| 空間 | Lindelöf | 満たす他の性質 | 破る主張 |
|---|---|---|---|
| $\mathbb{R}^n$ とその部分空間 | はい | 第2可算・$\sigma$コンパクト | — |
| 台集合が高々可算な空間 | はい | — | — |
| Sorgenfrey直線 | はい | 第1可算・可分・正規 | Lindelöf $\implies$ 第2可算 |
| 非可算集合上の離散位相 | いいえ | 距離空間・第1可算 | 距離空間 $\implies$ Lindelöf |
| 一点Lindelöf化の離散部分空間 | いいえ | (全体はLindelöf) | Lindelöf性は部分空間に遺伝する |
| Sorgenfrey平面 | いいえ | 二つのLindelöf空間の直積 | Lindelöf性は直積で保たれる |
$\sigma$コンパクトな位相空間はLindelöf空間である。
$X=\bigcup_{n\ge1}K_n$(各 $K_n$ はコンパクト)とし、$\mathcal{U}$ を $X$ の開被覆とする。各 $n$ について $\{U\cap K_n\mid U\in\mathcal{U}\}$ は部分空間 $K_n$ の開被覆なので(開被覆の部分空間への制限は 開被覆 が所有する)、$K_n$ のコンパクト性から有限部分族 $\mathcal{F}_n\subseteq\mathcal{U}$ で $K_n\subseteq\bigcup\mathcal{F}_n$ となるものがとれる。$n$ ごとに一つ選ぶので可算選択公理を用いる。
$\mathcal{V}=\bigcup_{n\ge1}\mathcal{F}_n$ は可算個の有限集合の合併なので高々可算であり、$X=\bigcup_n K_n\subseteq\bigcup\mathcal{V}$ だから $X$ を覆う。$\square$
コンパクト空間がLindelöf空間であることは、有限部分被覆が高々可算な部分被覆でもあることから従う。この含意の主張と証明は 開被覆 が所有する(同記事の一つの命題が、第2可算空間とコンパクト空間の双方についてこれを述べている)。$\sigma$コンパクト性を経由して並べると
$$\text{コンパクト}\implies\sigma\text{コンパクト}\implies\text{Lindelöf}$$
という連鎖になる。逆向きはいずれも成り立たない。$\mathbb{R}$ は $\sigma$コンパクトだがコンパクトではなく(コンパクトでないことはHeine–Borelの定理から従う。定理は コンパクト空間 が所有する)、Sorgenfrey直線はLindelöfだが $\sigma$コンパクトではない(後者の事実は Sorgenfrey直線 が所有する)。
逆向きの含意を回復する条件として、Lindelöfかつ可算コンパクトな空間はコンパクトである。この主張と証明は 可算コンパクト空間 が所有する。また、任意の開被覆が可算細分を持つこととLindelöf性が同値であることは 細分 が所有する。
第2可算公理を満たす空間はLindelöf空間である。この含意の主張と証明は 第2可算公理 が命題「三つの帰結」として所有するので、本記事は証明を持たない。逆向きは成り立たない(ex-lindelof-space-sorgenfrey-line)。
$\mathbb{R}^n$(通常の位相)の任意の部分空間 $A\subseteq\mathbb{R}^n$ は、部分空間位相に関してLindelöf空間である。
距離空間に限れば、第2可算性・可分性(可分空間)・Lindelöf性の三条件は互いに同値になる。この同値定理の言明と証明は 第2可算公理 が定理「距離空間における同値性」として所有する。一般の位相空間ではこの三条件は互いに独立で、たとえばSorgenfrey直線は可分かつLindelöfだが第2可算ではない。可分性そのものの定義と性質は 可分空間 が所有し、可分かつパラコンパクト(パラコンパクト空間)な空間がLindelöfであることも 可分空間 が所有する。
Lindelöf空間 $X$ の閉集合 $A$ は、部分空間位相に関してLindelöf空間である。
$\mathcal{V}$ を部分空間 $A$ の開被覆とする。各 $V\in\mathcal{V}$ について $V=U_V\cap A$ となる $X$ の開集合 $U_V$ を一つ選ぶ($\mathcal{V}$ の濃度に制限がないので一般の選択公理を用いる)。
$A$ は閉なので $X\setminus A$ は開であり、$\{U_V\mid V\in\mathcal{V}\}\cup\{X\setminus A\}$ は $X$ の開被覆である。$X$ のLindelöf性から高々可算な部分被覆がとれる。そこから $X\setminus A$ を除いて残る族を $\{U_{V_1},U_{V_2},\dots\}$ とすると、$X\setminus A$ は $A$ の点を一つも覆わないので $A\subseteq\bigcup_i U_{V_i}$ であり、$\{V_1,V_2,\dots\}$ は $\mathcal{V}$ の高々可算な部分被覆である。$\square$
非可算集合 $D$ に一点 $\infty\notin D$ を付け加えた集合 $X=D\cup\{\infty\}$ に、次の族を開集合系とする位相を入れる。
まず上の族が位相であることを見る。$\emptyset$ は $D$ の部分集合、$X$ は $\infty$ を含み補集合が空なので、どちらも開である。合併について、族のどれかが $\infty$ を含むならば合併も $\infty$ を含み、その補集合はその一つの補集合に含まれるので高々可算である。どれも $\infty$ を含まないならば合併は $D$ の部分集合である。有限交叉について、二つとも $\infty$ を含むならば交叉の補集合は二つの補集合の合併なので高々可算であり、一方が $D$ の部分集合ならば交叉も $D$ の部分集合である。
$X$ がLindelöfであること:開被覆 $\mathcal{U}$ から $\infty\in U_0$ となる $U_0\in\mathcal{U}$ を一つとる。$U_0$ は $\infty$ を含む開集合なので $X\setminus U_0$ は高々可算である。その各点 $y$ について $y\in U_y\in\mathcal{U}$ を選ぶ(高々可算個の選択なので可算選択公理を用いる)。$\{U_0\}\cup\{U_y\mid y\in X\setminus U_0\}$ は高々可算な部分被覆である。
$D$ がLindelöfでないこと:$D$ の部分集合はすべて $X$ の開集合なので、$D$ の部分空間位相は離散位相である。$D$ は非可算だから、rem-lindelof-space-uncountable-discreteにより $D$ はLindelöf空間ではない。$\square$
Sorgenfrey直線 $\mathbb{R}_L$ はLindelöf空間である(この事実は Sorgenfrey直線 が所有する)。しかしその直積空間(直積位相)$\mathbb{R}_L\times\mathbb{R}_L$(Sorgenfrey平面)はLindelöf空間ではない。破れるのは「Lindelöf空間の二つの直積はLindelöf空間である」という主張であり、破れる含意は「Lindelöf $\implies$ 直積がLindelöf」である。コンパクト性が任意個の直積で保たれること(Tychonoffの定理、コンパクト空間が所有する)との違いがここに現れる。
$\mathbb{R}_L\times\mathbb{R}_L$ の基本開集合は $[a,a+\varepsilon)\times[b,b+\varepsilon)$($\varepsilon>0$)の形の集合である。反対角線を $L=\{(x,-x)\mid x\in\mathbb{R}\}$ とおく。
$L$ が閉であること:$(u,v)\notin L$ とすると $u+v\ne0$ である。$u+v>0$ のとき、$[u,u+1)\times[v,v+1)$ の点 $(s,t)$ は $s\ge u$、$t\ge v$ より $s+t\ge u+v>0$ なので $L$ と交わらない。$u+v<0$ のとき、$0<\varepsilon<-(u+v)/2$ をとれば $[u,u+\varepsilon)\times[v,v+\varepsilon)$ の点 $(s,t)$ は $s+t< u+v+2\varepsilon<0$ なので $L$ と交わらない。よって $L$ の補集合は開である。
Lindelöfでないこと:各 $x\in\mathbb{R}$ について $B_x=[x,x+1)\times[-x,-x+1)$ とおくと、$(s,t)\in B_x\cap L$ ならば $s\ge x$、$t\ge-x$ かつ $s+t=0$ なので $s=x$、$t=-x$ である。すなわち $B_x\cap L=\{(x,-x)\}$ である。
$\mathcal{U}=\{B_x\mid x\in\mathbb{R}\}\cup\{(\mathbb{R}_L\times\mathbb{R}_L)\setminus L\}$ は開被覆である。$\mathcal{V}\subseteq\mathcal{U}$ が全体を覆うとすると、各 $x$ について点 $(x,-x)$ を覆う $\mathcal{U}$ の元は $B_x$ に限るので $B_x\in\mathcal{V}$ でなければならない。$\mathbb{R}$ は非可算なので $\mathcal{V}$ は非可算であり、高々可算な部分被覆は存在しない。$\square$
以下で正則(regular)とは、点 $x$ とそれを含まない閉集合 $F$ に対して互いに素な開集合 $V\ni x$、$W\supseteq F$ が存在することをいい、正規(normal)とは、互いに素な二つの閉集合が互いに素な開近傍を持つことをいう。分離公理の体系そのものは 分離公理 が扱う。
正則性は「開近傍を閉包ごと縮められる」と言い換えられる。すなわち $x\in G$ かつ $G$ が開ならば $x\in V\subseteq\overline{V}\subseteq G$ となる開集合 $V$ がとれる。実際、$x$ と $X\setminus G$ を互いに素な開集合 $V,W$ で分離すれば $\overline{V}\subseteq X\setminus W\subseteq G$ となる。
正則なLindelöf空間は正規である。
$X$ を正則なLindelöf空間、$C,D\subseteq X$ を互いに素な閉集合とする。
$\mathcal{A}=\{V\subseteq X\mid V\text{ は開集合で }\overline{V}\cap D=\emptyset\}$ とおく。$x\in C$ ならば $x\in X\setminus D$ で $X\setminus D$ は開だから、正則性の言い換えにより $x\in V\subseteq\overline{V}\subseteq X\setminus D$ となる開集合 $V$ があり、この $V$ は $\mathcal{A}$ に属する。よって $\mathcal{A}\cup\{X\setminus C\}$ は $X$ の開被覆である。Lindelöf性から高々可算な部分被覆がとれるので、$\mathcal{A}$ の高々可算な部分族 $\{V_1,V_2,\dots\}$ で $C\subseteq\bigcup_n V_n$ となるものが得られる(族が有限のときは空集合を補って番号を無限に伸ばす。ここで選択は行っていない)。同様に $D\subseteq\bigcup_n W_n$、$\overline{W_n}\cap C=\emptyset$ となる開集合の列 $\{W_n\}$ をとる。
$$V_n'=V_n\setminus\bigcup_{k\le n}\overline{W_k},\qquad W_n'=W_n\setminus\bigcup_{k\le n}\overline{V_k}$$
とおく。有限個の閉集合の合併を除いているので $V_n',W_n'$ は開集合であり、$V'=\bigcup_n V_n'$、$W'=\bigcup_n W_n'$ も開集合である。
$C\subseteq V'$:$x\in C$ に対し $x\in V_n$ となる $n$ をとる。すべての $k$ で $\overline{W_k}\cap C=\emptyset$ だから $x\notin\overline{W_k}$ であり、$x\in V_n'\subseteq V'$。同様に $D\subseteq W'$。
$V'\cap W'=\emptyset$:$n,m$ を任意にとる。$n\le m$ のとき $W_m'=W_m\setminus\bigcup_{k\le m}\overline{V_k}$ は $k=n$ の項を除いているので $W_m'\cap\overline{V_n}=\emptyset$ であり、$V_n'\subseteq V_n\subseteq\overline{V_n}$ だから $V_n'\cap W_m'=\emptyset$。$m< n$ のときは対称に $V_n'\cap\overline{W_m}=\emptyset$ かつ $W_m'\subseteq W_m$ より $V_n'\cap W_m'=\emptyset$。よって $V'\cap W'=\emptyset$。
$V',W'$ は $C,D$ を分離する互いに素な開集合であり、$X$ は正規である。$\square$
prf-lindelof-regular-normalで使った「可算個の開集合の族から、前段までの閉包を削り取って互いに素にする」という構成は、可算性を分離性へ変換する定番の手筋である。有限個ならば削り取りは要らず、いきなり互いに素にできる。非可算個では番号が振れないのでこの構成ができない。ここがLindelöf性の効きどころである。
第2可算公理は、正則な第2可算空間の正規性をUrysohnの距離化定理の構成部品として使う。それはprop-lindelof-regular-normalの第2可算な場合にあたり、同記事は第2可算空間のLindelöf性を経由して本記事のこの命題を引用する形をとっている。削り取りの構成そのものは本記事が所有する。
正則なLindelöf空間は強パラコンパクト(strongly paracompact)である。すなわち、任意の開被覆が星状有限な開細分を持つ(Engelking89)。
この命題の証明は本記事では与えず、Engelking89に譲る。星状有限性の定義は 開被覆 が、細分の定義は 細分 が所有する。パラコンパクト空間との関係は パラコンパクト空間 を参照。
$2\implies1$:第2可算空間がLindelöfであることは 第2可算公理 が所有する。
$1\implies3$:$x\in M$ に対し、$x$ を含むチャート近傍 $U$ と同相写像 $\varphi\colon U\to\varphi(U)\subseteq\mathbb{R}^m$ をとり、$\overline{B}(\varphi(x),r)\subseteq\varphi(U)$ となる $r>0$ をとって $V_x=\varphi^{-1}(B(\varphi(x),r))$ とおく。$\varphi^{-1}(\overline{B}(\varphi(x),r))$ はコンパクト集合の連続像なのでコンパクトであり、$M$ はHausdorffだからこれは閉集合である(コンパクト集合の連続像とHausdorff空間でのコンパクト集合の閉性は コンパクト空間 が所有する)。したがって $M$ における閉包 $\overline{V_x}$ はこの閉集合に含まれ、コンパクト集合の閉部分集合としてコンパクトである。
$\{V_x\}_{x\in M}$ は $M$ の開被覆なので、Lindelöf性により高々可算な部分被覆 $\{V_{x_n}\}_{n\ge1}$ がとれる。$M=\bigcup_n V_{x_n}\subseteq\bigcup_n\overline{V_{x_n}}\subseteq M$ だから、$M$ は高々可算個のコンパクト集合の合併であり $\sigma$コンパクトである。
$3\implies2$:$M=\bigcup_{n\ge1}K_n$(各 $K_n$ はコンパクト)とする。チャート近傍の全体は $M$ の開被覆なので、各 $n$ について $K_n$ のコンパクト性から有限個のチャート近傍 $U_{n,1},\dots,U_{n,k_n}$ で $K_n\subseteq U_{n,1}\cup\dots\cup U_{n,k_n}$ となるものがとれる($n$ ごとに一つ選ぶので可算選択公理を用いる)。各 $U_{n,i}$ は $\mathbb{R}^m$ の開集合と同相であり、$\mathbb{R}^m$ は第2可算で第2可算性は部分空間に遺伝するので(いずれも 第2可算公理 が所有する)、$U_{n,i}$ は第2可算である。その可算な開基 $\mathcal{B}_{n,i}$ を一つずつ選ぶ(可算個の選択なので可算選択公理を用いる)。
$\mathcal{B}=\bigcup_{n,i}\mathcal{B}_{n,i}$ は可算個の可算族の合併なので高々可算である。$U_{n,i}$ は $M$ の開集合なので $\mathcal{B}$ の元はすべて $M$ の開集合である。$W$ を $M$ の開集合、$x\in W$ とすると、$x\in K_n$ となる $n$ と $x\in U_{n,i}$ となる $i$ があり、$W\cap U_{n,i}$ は $U_{n,i}$ の開集合だから $x\in B\subseteq W\cap U_{n,i}\subseteq W$ となる $B\in\mathcal{B}_{n,i}$ がある。よって $\mathcal{B}$ は $M$ の可算な開基であり、$M$ は第2可算である。$\square$
一般の位相空間ではこの三条件は同値でない。Sorgenfrey直線はLindelöfだが第2可算でも $\sigma$コンパクトでもなく、これは局所Euclid性が落ちているためである。
本記事の証明で選択公理を使うのは次の箇所であり、断りのない限り可算選択公理で足りる。ex-lindelof-space-countable-set(各点に対する被覆元の選択)、prf-lindelof-space-sigma-compact(各 $n$ に対する有限部分被覆の選択)、prf-lindelof-space-hereditary-counterexample($X\setminus U_0$ の各点に対する被覆元の選択)、prf-lindelof-manifold-equiv(各 $n$ に対する有限個のチャートの選択、および各チャートの可算開基の選択)。
prf-lindelof-space-closed-subspaceだけは一般の選択公理を使う。部分空間の開被覆の濃度に制限がなく、各相対開集合に対して元の空間の開集合を一つ選ぶからである。
一方、prf-lindelof-space-uncountable-discrete・prf-lindelof-space-product-counterexample・prf-lindelof-regular-normal・prf-lindelof-space-euclidean-subspaceは選択公理を使わない。とくにprf-lindelof-regular-normalでは、各点ごとに開近傍を選ぶ代わりに条件を満たす開集合の全体を被覆として使うことで選択を回避している。
本記事の記述はおおむね標準的な教科書 Mun00・Engelking89 に従う。
Lindelöf性は、コンパクト性を仮定できない場面でコンパクト性の代わりを務める。$\mathbb{R}^n$ や距離空間の可分な部分集合を扱う解析では、有界性がなくても可算部分被覆が取れることが、可算個の近似・可算和・単調収束といった議論を支えている。他方で、一般の部分空間にも直積にも受け継がれないので(受け継がれるのは閉部分空間の場合である)、「Lindelöfな空間から作った空間がまたLindelöfである」ことは毎回確かめる必要がある。
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