形式的Laurent級数

同義語:形式的ローラン級数formal Laurent series

概要

形式的Laurent級数(formal Laurent series)とは、有限個の負の冪を許した形式的な級数 $\sum_{n\ge n_0}a_nt^n$ のことで、係数が体 $K$ のときその全体 $K(\!(t)\!)$ は体になり、形式的冪級数環 $K[\![t]\!]$ の商体に一致する。$0$ でない係数をもつ最小の指数は離散付値を与え、付値環は $K[\![t]\!]$、剰余体は $K$ で、$K(\!(t)\!)$ はこの付値について完備であり、有理関数体 $K(t)$ の $t$ 進完備化になる。級数が有理関数であることは係数が最終的に線形漸化式をみたすことと同値で、有限体上では正標数の局所体の基本例を与える。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 形式的冪級数, 体, 離散付値環

形式的冪級数 $\sum_{n\ge0}a_nt^n$ に、有限個の負の冪を許したもの
$$ f=\sum_{n\ge n_0}a_nt^n=a_{n_0}t^{n_0}+a_{n_0+1}t^{n_0+1}+\cdots\qquad(n_0\in\mathbb{Z}) $$
を 形式的Laurent級数(formal Laurent series)という。係数が体 $K$ に属する形式的Laurent級数の全体 $K(\!(t)\!)$ は体であり、形式的冪級数環 $K[\![t]\!]$ の 商体 になる。$0$ でない係数をもつ最小の指数は離散付値を与え、$K(\!(t)\!)$ はこの付値について完備である。
$K(\!(t)\!)$ は、有理関数を $t=0$ のまわりで展開した結果を収める場所である。有理関数体 $K(t)$ は $K(\!(t)\!)$ の稠密な部分体で、$K(\!(t)\!)$ は $K(t)$ の $t$ 進付値に関する完備化になる。この関係は、有理数体 $\mathbb{Q}$ と $p$ 進数体 $\mathbb{Q}_p$ の関係と同じ形をしている。とくに有限体 $\mathbb{F}_q$ 上の $\mathbb{F}_q(\!(t)\!)$ は、$\mathbb{Q}_p$ と並ぶ 局所体 の基本例である。複素解析の Laurent展開 は収束する Laurent 級数を扱い、真性特異点のまわりでは負の冪が無限個現れる。極のまわりの展開は負の冪が有限個なので、その係数の計算だけを取り出したものがこの記事の対象にあたる。

定義

以下、$A$ は可換環、$K$ は体とする。

形式的Laurent級数

$A$ の元の列 $(a_n)_{n\in\mathbb{Z}}$ で、ある $n_0\in\mathbb{Z}$ について $n< n_0$ なら $a_n=0$ となるものを、$A$ 係数の 形式的Laurent級数 といい、$f=\sum_{n\in\mathbb{Z}}a_nt^n$ と書く。その全体を $A(\!(t)\!)$ と書き、和と積を
$$ f+g=\sum_n(a_n+b_n)t^n,\qquad fg=\sum_n\Bigl(\sum_{i+j=n}a_ib_j\Bigr)t^n\qquad\Bigl(g=\sum_nb_nt^n\Bigr) $$
で定める。$f\ne0$ について $v(f):=\min\{n\mid a_n\ne0\}$ を $f$ の 位数 といい、$v(0):=\infty$ とおく。$a_{-1}$ を $f$ の 留数 といい、$\operatorname{res}(f)$ と書く。

積の係数は有限和である。実際、$n< n_0$ で $a_n=0$、$n< m_0$ で $b_n=0$ なら、$a_ib_{n-i}\ne0$ となりうるのは $n_0\le i\le n-m_0$ の有限個の $i$ だけである。$n< n_0+m_0$ なら積の係数は $0$ なので、$fg$ も形式的Laurent級数である。負の冪が有限個という条件はこのために必要である(下の「条件を外した反例」の表の 1 行目)。

環としての構造
  1. $A(\!(t)\!)$ は可換環であり、形式的冪級数環 $A[\![t]\!]$($n< 0$ で $a_n=0$ となる元の全体)を部分環として含む。$t$ は $A(\!(t)\!)$ の単元で、逆元は $t^{-1}$ である。
  2. $A(\!(t)\!)$ の各元は、ある $m\ge0$ と $g\in A[\![t]\!]$ によって $t^{-m}g$ と書ける。
  3. $A$ が整域なら、$0$ でない $f,g$ について $v(fg)=v(f)+v(g)$ であり、$A(\!(t)\!)$ は整域である。

要点:係数の計算はすべて有限和なので、形式的冪級数 の命題「形式的冪級数環」と同じ計算で環の公理が確かめられる。

詳しい証明を開く

1:和の結合・可換性は係数ごとに明らかである。積の可換性は $\sum_{i+j=n}a_ib_j$ が $i,j$ について対称なことから、結合性は $(fg)h$ と $f(gh)$ の $t^n$ の係数がどちらも有限和 $\sum_{i+j+k=n}a_ib_jc_k$ に等しいことから、分配法則は係数ごとの計算から従う。単位元は $1=t^0$ である。$n< 0$ で係数が $0$ の元どうしの積はまた同じ形なので、$A[\![t]\!]$ は部分環である。$t\cdot t^{-1}=t^0=1$ である。

2:$n< -m$ で $a_n=0$ となる $m\ge0$ をとると、$g:=t^mf$ は $n< 0$ で係数が $0$ なので $A[\![t]\!]$ に属し、$f=t^{-m}g$ である。

3:$n_0=v(f)$、$m_0=v(g)$ とすると、$fg$ の $t^{n}$ の係数は $n< n_0+m_0$ で $0$、$n=n_0+m_0$ で $a_{n_0}b_{m_0}\ne0$ である。$\square$

体になること

形式的Laurent級数体

$K$ を体とする。

  1. $0$ でない $f\in K(\!(t)\!)$ は、$f=t^{v(f)}u$($u$ は $K[\![t]\!]$ の単元)とただ 1 通りに書ける。
  2. $K(\!(t)\!)$ は体である。
  3. $K(\!(t)\!)$ は $K[\![t]\!]$ の商体である。すなわち、$K[\![t]\!]$ の商体から $K(\!(t)\!)$ への、$K[\![t]\!]$ の上で恒等写像になる体の同型がある。
位数の分だけずらして冪級数の単元にする

1:$f=\sum_na_nt^n$、$v=v(f)$ とし、$u:=t^{-v}f=\sum_{n\ge0}a_{n+v}t^n$ とおく。$u\in K[\![t]\!]$ の定数項 $a_v$ は $0$ でないので、形式的冪級数 の命題「定数項による単元判定」により $u$ は $K[\![t]\!]$ の単元である。$f=t^wu'$($w\in\mathbb{Z}$、$u'$ は単元)とも書けたとすると、$u'$ の定数項は $0$ でないので $w=v(f)=v$ であり、$u'=t^{-v}f=u$ である。
2:$K(\!(t)\!)$ は可換環で $1\ne0$ である。$f\ne0$ なら 1 の表示により $f\cdot t^{-v(f)}u^{-1}=1$ なので、$f$ は可逆である。
3:包含写像 $K[\![t]\!]\to K(\!(t)\!)$ は単射な環準同型で、行き先は 2 により体なので、商体の普遍性(商体)により単射な体の準同型 $\iota\colon\operatorname{Frac}K[\![t]\!]\to K(\!(t)\!)$、$g/h\mapsto gh^{-1}$ が得られる。prop-fls-ring の 2 により $K(\!(t)\!)$ の各元は $g\cdot(t^m)^{-1}=\iota(g/t^m)$ と書けるので、$\iota$ は全射である。$\square$

有理関数の展開

$K[t]\subset K[\![t]\!]\subset K(\!(t)\!)$ で、$K(\!(t)\!)$ は体なので、有理関数体 $K(t)$ も $K(\!(t)\!)$ の部分体とみなせる(有理関数体)。たとえば
$$ \frac1{1-t}=\sum_{n\ge0}t^n,\qquad \frac1{t-t^2}=t^{-1}\cdot\frac1{1-t}=\sum_{n\ge-1}t^n $$
である。後者の位数は $-1$、留数は $1$ である。$t=0$ を極にもつ有理関数は、負の冪をもつ級数に展開される。

離散付値と完備性

離散付値と完備性

$K$ を体とする。

  1. 位数 $v\colon K(\!(t)\!)^\times\to\mathbb{Z}$ は離散付値である(離散付値環 の定義「体の離散付値」)。その付値環は $K[\![t]\!]$、極大イデアルは $tK[\![t]\!]$、一意化元は $t$、剰余体は $K$ である。
  2. $0< c< 1$ を実数とし、$\lvert f\rvert:=c^{v(f)}$($\lvert0\rvert:=0$)とおく。$K(\!(t)\!)$ はこの絶対値について完備である。すなわち、すべての Cauchy列 が収束する。
  3. $f=\sum_na_nt^n$ と $N\in\mathbb{Z}$ について、切り詰め $f_{< N}:=\sum_{n< N}a_nt^n$ は $t$ と $t^{-1}$ の多項式で、$\lvert f-f_{< N}\rvert\le c^N$ である。とくに $K(t)$ は $K(\!(t)\!)$ の中で稠密である。
係数が下から順に固まっていく

1:$v(fg)=v(f)+v(g)$ は prop-fls-ring の 3 である。$f+g\ne0$ なら、$n< \min\{v(f),v(g)\}$ で $f+g$ の係数は $0$ なので $v(f+g)\ge\min\{v(f),v(g)\}$ である。$v(t^n)=n$ なので $v$ は全射である。$v(f)\ge0$ と $f\in K[\![t]\!]$ は同値なので付値環は $K[\![t]\!]$ であり、$v(f)\ge1$ の元の全体は $tK[\![t]\!]$ である。定数項をとる写像 $K[\![t]\!]\to K$ は全射な環準同型で核は $tK[\![t]\!]$ なので、剰余体は $K$ である。
2:$(f_m)_{m\ge0}$ を Cauchy 列とする。各整数 $N$ について $M_N$ があって、$m,m'\ge M_N$ なら $\lvert f_m-f_{m'}\rvert\le c^N$、すなわち $f_m$ と $f_{m'}$ の $t^n$($n< N$)の係数が一致する。$N\le0$ では $M_N:=M_0$ としてよく、$M_N$ は $N$ について増加するようにとれる。$g$ の $t^n$ の係数を $f_{M_{n+1}}$ の $t^n$ の係数と定める。$n< 0$ ならこれは $f_{M_0}$ の $t^n$ の係数で、$n$ が十分小さければ $0$ なので、$g\in K(\!(t)\!)$ である。$m\ge M_N$ とし、$n< N$ とすると $M_{n+1}\le M_N\le m$ なので、$f_m$ と $f_{M_{n+1}}$ の $t^n$ の係数は一致し、それは $g$ の $t^n$ の係数である。よって $\lvert f_m-g\rvert\le c^N$ であり、$f_m\to g$ である。
3:$f-f_{< N}$ の $t^n$($n< N$)の係数は $0$ である。$f_{< N}$ は $t^{-m}h$($h\in K[t]$)の形なので $K(t)$ に属する。$\square$

$K(t)$ の元 $P/Q$ について $v(P/Q)=v(P)-v(Q)$ は、$t=0$ での零点の位数(負なら極の位数)である。thm-fls-valuation の 2 と 3 から、$K(\!(t)\!)$ は $K(t)$ のこの付値に関する完備化である(Neu99 Chapter II, §4, p. 127)。同様に、$a\in K$ での展開は $K(\!(t-a)\!)$ に、無限遠での展開は $K(\!(t^{-1})\!)$ に収まる。同じ有理関数でも展開する場所によって級数は異なり、たとえば $K(\!(t^{-1})\!)$ の中では
$$ \frac1{1-t}=\frac{-t^{-1}}{1-t^{-1}}=-\sum_{n\ge1}t^{-n} $$
である。

有理関数の判定

$K(t)$ は $K(\!(t)\!)$ の部分体である(ex-fls-expansion)。どの級数が有理関数かは、係数の漸化式で判定できる。

有理関数であるための条件

$K$ を体、$f=\sum_na_nt^n\in K(\!(t)\!)$ とする。$f\in K(t)$ であるための必要十分条件は、ある $s\ge0$、$c_1,\dots,c_s\in K$、$N\in\mathbb{Z}$ があって、$n\ge N$ のすべての $n$ について
$$ a_n=c_1a_{n-1}+c_2a_{n-2}+\dots+c_sa_{n-s} $$
が成り立つことである。

分母を掛けると有限の級数になる

$Q_0:=1-c_1t-\dots-c_st^s$ とおくと、$Q_0f$ の $t^n$ の係数は $a_n-\sum_{i=1}^sc_ia_{n-i}$ である。
十分性:仮定から $Q_0f$ の $t^n$ の係数は $n\ge N$ で $0$ であり、$n$ が十分小さいときも $0$ である。よって $R:=Q_0f$ は $t$ と $t^{-1}$ の多項式で、$K(t)$ に属する。$Q_0\ne0$ なので $f=R/Q_0\in K(t)$ である。
必要性:$f=P/Q$($P,Q\in K[t]$、$Q\ne0$)とする。$Q=t^kQ_1$、$Q_1(0)\ne0$ と書き、$P$ と $Q$ を同じ定数 $Q_1(0)$ で割って $Q_1(0)=1$ としておく。$Q_1=1-c_1t-\dots-c_st^s$ と書いて上の $Q_0$ を $Q_1$ とすると、$Q_0f=t^{-k}P$ は $t$ と $t^{-1}$ の多項式である。その現れる指数より大きい整数を $N$ とすれば、$n\ge N$ で $Q_0f$ の $t^n$ の係数は $0$、すなわち漸化式が成り立つ。$\square$

有理関数でない級数

どの体 $K$ についても、$f=\sum_{k\ge0}t^{k^2}$($a_n$ は $n$ が平方数なら $1$、そうでなければ $0$)は $K(t)$ に属さない。

確かめを開く

$s$、$c_i$、$N$ で漸化式が成り立つとする。$2k\ge s$ かつ $k^2\ge N$ となる $k$ をとる。$n=(k+1)^2$ に漸化式を当てると、右辺に現れる番号 $(k+1)^2-i$($1\le i\le s$)は $k^2+1$ 以上 $(k+1)^2-1$ 以下にあり($(k+1)^2-s\ge k^2+1$)、この範囲に平方数はないので右辺は $0$ である。左辺は $a_{(k+1)^2}=1$ なので矛盾する。


したがって $K(t)\subsetneq K(\!(t)\!)$ であり、thm-fls-valuation の 2 の完備性は $K(t)$ では成り立たない(部分和の列は $K(t)$ の中の Cauchy 列だが、極限 $f$ は $K(t)$ にない)。

係数が最終的に周期的な級数は、$c_s=1$、ほかの $c_i=0$ の漸化式をみたすので有理関数である。$K=\mathbb{F}_q$ では係数のとりうる値が有限個なので、逆に漸化式をみたす係数列は最終的に周期的になる(連続する $s$ 項の値の組が有限通りしかないため)。

微分と留数

微分と留数

$K$ を体とし、$f=\sum_na_nt^n$ の微分を $f':=\sum_nna_nt^{n-1}$ と定める。

  1. $f\mapsto f'$ は $K$ 線形で、$(fg)'=f'g+fg'$ をみたす。
  2. $\operatorname{res}(f')=0$ である。
  3. $f\ne0$ なら $\operatorname{res}(f'/f)=v(f)\cdot1_K$ である。

1:$(fg)'$ の $t^{n-1}$ の係数は $n\sum_{i+j=n}a_ib_j=\sum_{i+j=n}(ia_i)b_j+\sum_{i+j=n}a_i(jb_j)$ で、これは $f'g+fg'$ の $t^{n-1}$ の係数である。2:$f'$ の $t^{-1}$ の係数は $0\cdot a_0=0$ である。3:thm-fls-field の 1 により $f=t^vu$($v=v(f)$、$u\in K[\![t]\!]^\times$)と書くと、1 により $f'=vt^{v-1}u+t^vu'$ なので
$$ \frac{f'}{f}=\frac{v}{t}+\frac{u'}{u} $$
である。$u'/u\in K[\![t]\!]$ は負の冪をもたないので、留数は $v\cdot1_K$ である。$\square$

3 は、複素関数 $f$ の対数微分 $f'/f$ の留数が零点・極の位数を数えるという事実(留数、偏角の原理)の形式的な類似である。標数 $p$ では位数は $p$ を法としてしか読み取れない。たとえば $\mathbb{F}_p(\!(t)\!)$ で $f=t^p$ なら $f'=0$ である。

例

有限体上の局所体

$K=\mathbb{F}_q$ のとき、$\mathbb{F}_q(\!(t)\!)$ は付値環 $\mathbb{F}_q[\![t]\!]$、剰余体 $\mathbb{F}_q$ の完備離散付値体で、正標数の 局所体 の基本例である(局所体 の例「有限体上の形式的Laurent級数体」)。$\mathbb{F}_p(\!(t)\!)$ は完全体でない体の例でもある。$t$ は $p$ 乗元でない(完全体 の例「反例:形式的 Laurent 級数体」)。

平方根をもたない元

どの体 $K$ でも、$t$ は $K(\!(t)\!)$ に平方根をもたない。$g^2=t$ なら $2v(g)=v(t)=1$ となって矛盾するからである。したがって $K(\!(t)\!)$ は代数閉体でない。変数 $s$ の形式的Laurent級数体 $K(\!(s)\!)$ に $t=s^2$ として $K(\!(t)\!)$ を含めると、$K(\!(s)\!)$ の元は偶数冪と奇数冪の部分に分けて $g_0+s\,g_1$($g_0,g_1\in K(\!(t)\!)$)と書けるので、$K(\!(s)\!)$ は $K(\!(t)\!)$ に $t$ の平方根 $s$ を付け加えた 2 次拡大である。

条件を外した反例

外す条件反例成り立たなくなること
負の冪は有限個(def-fls)両側に無限に続く $h=\sum_{n\in\mathbb{Z}}t^n$$h\cdot h$ の $t^0$ の係数が無限和 $1+1+\cdots$ になり、積が定義できない
係数環が体(thm-fls-field の 2)$\mathbb{Z}(\!(t)\!)$ の $2$$2$ は逆元をもたず、$\mathbb{Z}(\!(t)\!)$ は体でない
係数環が整域(prop-fls-ring の 3)$(\mathbb{Z}/6\mathbb{Z})(\!(t)\!)$ の $2t$ と $3t$積が $0$ になり、$v(fg)=v(f)+v(g)$ が成り立たない
変数が 1 つ(thm-fls-field の 1, 3)$K[\![x,y]\!]$ の商体の元 $1/(x-y)$$x^{-a}y^{-b}g$($a,b\ge0$、$g\in K[\![x,y]\!]$)の形に書けない
表の各行の確かめ

各行の対象は、左の列の条件以外の仮定をみたしている。

確かめを開く

1 行目:$\sum_{i+j=0}1\cdot1$ は $i\in\mathbb{Z}$ 全体にわたる和で、有限和にならない。係数は体 $\mathbb{Q}$ などにとれる。

2 行目:$2g$ の係数はすべて偶数なので $2g=1$ とならない。$\mathbb{Z}$ は整域なので prop-fls-ring の 3 は成り立つ。

3 行目:$2t\cdot3t=6t^2=0$ である。

4 行目:$1/(x-y)=x^{-a}y^{-b}g$ なら $K[\![x,y]\!]$ で $x^ay^b=(x-y)g$ である。$y$ に $x$ を代入する写像 $K[\![x,y]\!]\to K[\![x]\!]$($x^n$ の係数は $\sum_{i+j=n}g_{ij}$ の有限和)は環準同型なので、$x^{a+b}=0$ となり矛盾する。1 変数では thm-fls-field の 1 によりどの元も $t^{v}u$ と書けるが、2 変数の冪級数環の商体ではこの形に収まらない元がある。

文献

$K(\!(t)\!)$ が体であることと、位数が離散付値でその付値環が $K[\![t]\!]$ であることは、DF04 §7.2 の演習 5(p. 238)に演習の形で挙げられ、§16.2 の例 (3)(p. 756)で離散付値環の例として使われている。

関連項目

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., John Wiley & Sons, 2004, §7.2 Exercise 5(形式的Laurent級数体、演習、p. 238)、§16.2 Example (3)(p. 756)
[2]
Jürgen Neukirch (translated by Norbert Schappacher), Algebraic Number Theory, Grundlehren der mathematischen Wissenschaften 322, Springer, 1999, Chapter II, §4(有理関数体の完備化としての形式的Laurent級数体、p. 127)

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