Ehrlingの補題

同義語:Ehrling's lemmaEhrlingの不等式

概要

Ehrlingの補題(Ehrling's lemma)とは、Banach 空間 $X\subset Y\subset Z$ について、包含 $X\to Y$ がコンパクトで $Y\to Z$ が連続なら、任意の $\varepsilon>0$ に対して $\|x\|_Y\le\varepsilon\|x\|_X+C_\varepsilon\|x\|_Z$ となる定数 $C_\varepsilon$ があるという補題である。コンパクトな埋め込みから、強いノルムの一部を弱いノルムで置き換える不等式を導き、1 次元 Sobolev 空間の補間不等式や楕円型作用素の評価に使われる。弱いノルムが $X$ の上にしか与えられない形では反射性が必要で、$C([0,1])$ に反例がある。J.-L. Lions の補題とも呼ばれる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Banach空間, コンパクト作用素, Rellichの定理

偏微分方程式の評価では、「強いノルムの一部を、ずっと弱いノルムで置き換える」不等式がよく使われる。たとえば区間 $[0,1]$ 上の $C^1$ 級関数 $u$ について、どんなに小さな $\varepsilon>0$ をとっても、定数 $C_\varepsilon$ を大きくとれば
$$ \max_{[0,1]}|u|\le\varepsilon\max_{[0,1]}|u'|+C_\varepsilon\int_0^1|u|\,dx $$
が成り立つ。Ehrlingの補題(Ehrling's lemma)は、この種の不等式がコンパクトな埋め込みだけから従うことを述べる。Banach 空間 $X\subset Y\subset Z$ で $X\hookrightarrow Y$ がコンパクト、$Y\hookrightarrow Z$ が連続なら、$Y$ のノルムは「$X$ のノルムの $\varepsilon$ 倍」と「$Z$ のノルムの $C_\varepsilon$ 倍」で押さえられる。J.-L. Lions の補題とも呼ばれる。
この記事で示すことは次のとおりである。

  1. Ehrling の補題(thm-ehr-main)と、評価の吸収への使い方(cor-ehr-absorb)。
  2. 応用:$C^1$ 級関数、1 次元の Sobolev 空間、高階の補間不等式、有界開集合の上の零境界 Sobolev 空間での不等式(ex-ehr-c1〜ex-ehr-h10)。
  3. 弱いノルムが中間の空間 $Y$ の上で連続でないときの形(thm-ehr-reflexive)。そこでは反射性が必要で、反射性を外すと成り立たない(ex-ehr-nonreflexive)。

主張と証明

ノルム空間 $X,Y$ について、$X\subset Y$ が線形部分空間で包含写像 $X\to Y$ が コンパクト作用素 であるとき、すなわち $X$ の有界列が $Y$ のノルムで収束する部分列をもつとき、$X\subset Y$ はコンパクトな包含であるという。

Ehrlingの補題

$X,Y,Z$ を Banach 空間とし、$X\subset Y\subset Z$ はそれぞれ線形部分空間で、包含 $X\to Y$ はコンパクト、包含 $Y\to Z$ は連続であるとする。このとき、任意の $\varepsilon>0$ に対して定数 $C_\varepsilon\ge0$ があり、すべての $x\in X$ について
$$ \|x\|_Y\le\varepsilon\|x\|_X+C_\varepsilon\|x\|_Z $$
が成り立つ(Bre11 Exercise 6.12、p. 173 に演習として主張がある)。

ある $\varepsilon>0$ について結論が成り立たないとする。すると各 $k=1,2,\dots$ について $C_\varepsilon=k$ では不等式が破れ、$x_k\in X$ で
$$ \|x_k\|_Y>\varepsilon\|x_k\|_X+k\|x_k\|_Z $$
となるものがある。右辺は $0$ 以上なので $x_k\ne0$ であり、不等式は $x_k$ の正の定数倍で変わらないので、$\|x_k\|_Y=1$ と正規化してよい。すると $\|x_k\|_X<1/\varepsilon$、$\|x_k\|_Z<1/k$ である。
$(x_k)$ は $X$ で有界なので、包含 $X\to Y$ のコンパクト性から、部分列(同じ記号で書く)が $Y$ のノルムである $y\in Y$ に収束する。$\|x_k\|_Y=1$ なので $\|y\|_Y=1$ である。包含 $Y\to Z$ は連続なので、$Z$ のノルムでも $x_k\to y$ である。一方 $\|x_k\|_Z<1/k\to0$ なので、$Z$ の極限の一意性から $Z$ の元として $y=0$ である。$y$ は $Y$ の元としても $0$ であり、$\|y\|_Y=1$ に矛盾する。$\square$

証明で使ったのは、包含 $X\to Y$ のコンパクト性と、包含 $Y\to Z$ の連続性と単射性だけである。$X,Z$ の完備性は使っていない。包含の代わりに、コンパクトな線形写像 $X\to Y$ と単射で連続な線形写像 $Y\to Z$ を考えても同じ証明が通る。単射性は外せない(下の反例の表の 2 行目)。
トーラス上の Sobolev 空間でのこの補題の使われ方は、Rellichの定理 の節「コンパクト性から出る補間不等式」にある。

評価の吸収

thm-ehr-main の状況で、ノルム空間 $W$ への線形写像 $P\colon X\to W$ と定数 $A,B\ge0$ があり、すべての $x\in X$ について $\|x\|_X\le A\|Px\|_W+B\|x\|_Y$ が成り立つとする。このとき定数 $C$ があって、すべての $x\in X$ について
$$ \|x\|_X\le2A\|Px\|_W+C\|x\|_Z $$
である。

$B=0$ なら明らかである。$B>0$ なら thm-ehr-main を $\varepsilon:=1/(2B)$ で使うと $\|x\|_X\le A\|Px\|_W+\frac12\|x\|_X+BC_\varepsilon\|x\|_Z$ であり、$\frac12\|x\|_X$ を左辺へ移せばよい。$C:=2BC_\varepsilon$ である。$\square$

楕円型作用素の評価では、まず $\|u\|_{H^{m}}\le A\|Pu\|+B\|u\|_{H^{m-1}}$ のような不等式を得て、この系で $\|u\|_{H^{m-1}}$ を $\|u\|_{L^2}$ などのさらに弱いノルムに置き換える。Gårdingの不等式 と組み合わせて使われる形である。

応用

$C^1$ 級関数の最大値

任意の $\varepsilon>0$ に対して定数 $C$ があり、すべての $u\in C^1([0,1])$ について
$$ \max_{[0,1]}|u|\le\varepsilon\max_{[0,1]}|u'|+C\|u\|_{L^1(0,1)} $$
が成り立つ(Bre11 Exercise 6.12 の Application、p. 173)。

$X:=C^1([0,1])$ にノルム $\|u\|_X:=\max|u|+\max|u'|$、$Y:=C([0,1])$ に最大値ノルム、$Z:=L^1(0,1)$ とする。$X$ の有界集合は一様有界で共通の Lipschitz 定数をもつので、Arzelà–Ascoliの定理 により $Y$ で相対コンパクトである。$Y\to Z$ は $\|u\|_{L^1}\le\max|u|$ で連続であり、連続関数で積分が $0$ のものは $0$ なので単射である。$X$ は Banach 空間である($C^1$ 級関数の列 $u_k$ で $u_k$ と $u_k'$ がともに一様収束するなら、極限は $C^1$ 級で導関数は $u_k'$ の極限であるため)。
$\delta:=\varepsilon/(1+\varepsilon)$ として thm-ehr-main を使うと $\max|u|\le\delta(\max|u|+\max|u'|)+C_\delta\|u\|_{L^1}$ であり、$(1-\delta)\max|u|\le\delta\max|u'|+C_\delta\|u\|_{L^1}$ を $1-\delta$ で割れば、$\delta/(1-\delta)=\varepsilon$ なので結論を得る。$\square$

1次元 Sobolev 空間での不等式

$1< p\le\infty$ とする。任意の $\varepsilon>0$ に対して定数 $C$ があり、すべての $u\in W^{1,p}(0,1)$ について
$$ \|u\|_{L^\infty(0,1)}\le\varepsilon\|u'\|_{L^p(0,1)}+C\|u\|_{L^1(0,1)} $$
が成り立つ(Bre11 Exercise 8.5 の 1、p. 236)。$p=1$ では成り立たない。

$X:=W^{1,p}(0,1)$(ノルム $\|u\|_{L^p}+\|u'\|_{L^p}$)、$Y:=C([0,1])$、$Z:=L^1(0,1)$ とし、$X\to Y$ は $u$ にその連続な代表を対応させる写像とする(1次元Sobolev空間 の定理「連続な代表」)。これは単射で、1次元Sobolev空間 の定理「連続関数の空間へのコンパクトな埋め込み」により $1< p\le\infty$ でコンパクトである。$Y\to Z$ は ex-ehr-c1 と同じく連続で単射である。$\|u\|_{L^p(0,1)}\le\|u\|_{L^\infty(0,1)}$ なので、thm-ehr-main から $\|u\|_{L^\infty}\le\delta(\|u\|_{L^\infty}+\|u'\|_{L^p})+C_\delta\|u\|_{L^1}$ であり、prf-ex-ehr-c1 と同じく $\delta=\varepsilon/(1+\varepsilon)$ として結論を得る。
$p=1$ の場合:$u_k(x):=x^k$ とすると $\|u_k\|_{L^\infty}=1$、$\|u_k'\|_{L^1}=1$、$\|u_k\|_{L^1}=1/(k+1)$ である。$\varepsilon=1/2$ なら、不等式は $1\le1/2+C/(k+1)$ となり、$k$ が大きいと成り立たない。$\square$

$p=1$ で崩れるのは、$W^{1,1}(0,1)\to C([0,1])$ がコンパクトでないからである。実際、$(u_k)$ は $W^{1,1}(0,1)$ で有界だが、$u_k$ は $[0,1)$ の各点で $0$ に、$x=1$ で $1$ に収束するので、一様収束する部分列をもたない。

高階の補間不等式

$I$ を有界な開区間、$m\ge2$ を整数、$1\le p\le\infty$ とし、$W^{m,p}(I)$ のノルムを $\sum_{k=0}^m\|u^{(k)}\|_{L^p}$ とする。任意の $\varepsilon>0$ と $1\le j\le m-1$ に対して定数 $C$ があり、すべての $u\in W^{m,p}(I)$ について
$$ \|u^{(j)}\|_{L^p(I)}\le\varepsilon\|u^{(m)}\|_{L^p(I)}+C\|u\|_{L^p(I)} $$
が成り立つ(Bre11 p. 217 に主張がある)。とくに $\|u\|_{L^p}+\|u^{(m)}\|_{L^p}$ は $W^{m,p}(I)$ のノルムと同値である。

$X:=W^{m,p}(I)$、$Y:=W^{m-1,p}(I)$、$Z:=L^p(I)$ に thm-ehr-main を当てる。$Y\to Z$ の連続性と単射性は明らかである。
$X\to Y$ がコンパクトであること:$(u_k)$ を $X$ の有界列とする。各 $0\le j\le m-1$ について $(u_k^{(j)})$ は $W^{1,p}(I)$ で有界である。$1< p\le\infty$ なら 1次元Sobolev空間 の定理「連続関数の空間へのコンパクトな埋め込み」により、$p=1$ なら $W^{1,1}(I)\to L^1(I)$ のコンパクト性(Bre11 Theorem 8.8 の (7)、p. 213。この記事では証明しない)により、$j=0,1,\dots,m-1$ の順に部分列をとり直して、すべての $j$ について $u_k^{(j)}$ がある $g_j$ に $L^p(I)$ で収束するようにできる($I$ は有界なので一様収束は $L^p$ 収束を導く)。$\varphi\in C_c^\infty(I)$ について $\int u_k^{(j-1)}\varphi'=-\int u_k^{(j)}\varphi$ の極限をとると $g_{j-1}$ の弱微分は $g_j$ なので、$g_0\in W^{m-1,p}(I)$ で $u_k\to g_0$ が $Y$ で成り立つ。
$\varepsilon\le1/2$ として thm-ehr-main を使うと $\sum_{k\le m-1}\|u^{(k)}\|_{L^p}\le\varepsilon\sum_{k\le m}\|u^{(k)}\|_{L^p}+C_\varepsilon\|u\|_{L^p}$ であり、左辺の $\varepsilon$ 倍を移項すると $\|u^{(j)}\|_{L^p}\le2\varepsilon\|u^{(m)}\|_{L^p}+2C_\varepsilon\|u\|_{L^p}$ を得る。$\varepsilon$ は任意なので結論が従う。$\square$

有界開集合の上の零境界 Sobolev 空間

$\Omega\subset\mathbb R^n$ を有界な開集合とする。任意の $\varepsilon>0$ に対して定数 $C$ があり、すべての $u\in H^1_0(\Omega)$ について
$$ \|u\|_{L^2(\Omega)}\le\varepsilon\|\nabla u\|_{L^2(\Omega)}+C\|u\|_{L^1(\Omega)} $$
が成り立つ。境界の滑らかさは要らない。

$X:=H^1_0(\Omega)$(零境界Sobolev空間)、$Y:=L^2(\Omega)$、$Z:=L^1(\Omega)$ とする。$X\to Y$ は Rellichの定理 の定理「Rellichの定理(有界領域の零境界値Sobolev空間)」によりコンパクトであり、$Y\to Z$ は Cauchy–Schwarz の不等式 $\|u\|_{L^1}\le|\Omega|^{1/2}\|u\|_{L^2}$ により連続である。$\|u\|_{H^1}\le\|u\|_{L^2}+\|\nabla u\|_{L^2}$ なので、ex-ehr-higher の最後と同じく $\varepsilon\le1/2$ で吸収すればよい。$\square$

弱いノルムが中間の空間で連続でない場合

thm-ehr-main では、弱いノルム $\|\cdot\|_Z$ は $Y$ の上で連続であった。$Y$ を経由せず、$X$ の上の「$\|\cdot\|_X$ より弱いノルム」だけが与えられた場合には、反射性が必要になる。

反射的な空間での形

$E$ を反射的な Banach 空間、$F$ を Banach 空間、$T\colon E\to F$ をコンパクト作用素とする。$|\cdot|$ を $E$ の上のノルムで、ある定数 $C_0$ について $|u|\le C_0\|u\|_E$($u\in E$)をみたすものとする。このとき、任意の $\varepsilon>0$ に対して定数 $C_\varepsilon$ があり、すべての $u\in E$ について
$$ \|Tu\|_F\le\varepsilon\|u\|_E+C_\varepsilon|u| $$
が成り立つ(Bre11 Exercise 6.13、p. 174)。

ある $\varepsilon>0$ について成り立たないとすると、prf-ehr-main と同じく、$\|u_k\|_E=1$ かつ $\|Tu_k\|_F>\varepsilon+k|u_k|$ となる $u_k\in E$ がとれる。$\|Tu_k\|_F\le\|T\|$ なので $|u_k|<\|T\|/k\to0$ である。
$E$ は反射的なので、部分列(同じ記号で書く)が $E$ のある元 $u$ に弱収束する(Eberlein–Šmulianの定理 の系「反射性の点列による特徴づけ」)。$u=0$ を示す。$g$ をノルム $|\cdot|$ について連続な $E$ 上の線形汎関数とし、$|g(x)|\le A|x|$ とする。すると $|g(x)|\le AC_0\|x\|_E$ なので $g$ は $E$ の双対空間の元であり、弱収束から $g(u_k)\to g(u)$ である。一方 $|g(u_k)|\le A|u_k|\to0$ なので $g(u)=0$ である。$u\ne0$ なら、ノルム空間 $(E,|\cdot|)$ に Hahn–Banachの定理 の系「ノルムを保つ延長」を当てて $g(u)=|u|\ne0$ となる $g$ がとれるので、$u=0$ である。
$T$ はコンパクトなので、コンパクト作用素 の命題「弱収束する列をノルム収束する列へ写す」により $Tu_k\to Tu=0$ である。これは $\|Tu_k\|_F>\varepsilon$ に矛盾する。$\square$

$E=X$、$F=Y$、$T$ を包含、$|x|=\|x\|_Z$ とすると、この定理の結論は thm-ehr-main の結論と同じになる。thm-ehr-main では、弱いノルムが $Y$ の上で連続なので、$Y$ での極限 $y$ について $\|y\|_Z$ を考えられ、反射性は要らなかった。この定理では $|\cdot|$ は $E$ の上にしかないので、極限を $E$ の中でとる必要があり、そのために反射性を使う。

反射性を外すと成り立たない

$E:=C([0,1])$(最大値ノルム)、$F:=\mathbb R$、$Tu:=u(0)$、$|u|:=\|u\|_{L^1(0,1)}$ とする。$T$ は階数 $1$ の有界作用素なのでコンパクトで、$|\cdot|$ はノルムで $|u|\le\|u\|_E$ である。しかし $\varepsilon=1/2$ について thm-ehr-reflexive の不等式をみたす定数はない(Bre11 Exercise 6.13 のヒントの例)。

$u_k(x):=\max(1-kx,0)$ とすると $\|u_k\|_E=1$、$Tu_k=1$、$|u_k|=1/(2k)$ である。不等式は $1\le1/2+C/(2k)$ となり、$k$ が大きいと成り立たない。$\square$

この例と thm-ehr-reflexive を合わせると、$C([0,1])$ が反射的でないことも分かる。反射的なら thm-ehr-reflexive の不等式が成り立つはずだからである。

仮定を外したときの反例

外す条件反例成り立たなくなること
包含 $X\to Y$ のコンパクト性(thm-ehr-main)$X=Y=\ell^2$、$Z$ は $\sum_k\lvert x_k\rvert^2/k^2<\infty$ をみたす列の空間$\varepsilon< 1$ での不等式
$Y\to Z$ の単射性(写像で述べた形)$X=H^1_0(0,1)$、$Y=L^2(0,1)$、$Z=\mathbb R$、$Y\to Z$ は零写像小さい $\varepsilon$ での不等式
$E$ の反射性(thm-ehr-reflexive)ex-ehr-nonreflexive$\varepsilon=1/2$ での不等式
$p>1$(ex-ehr-sobolev-1d)$u_k(x)=x^k$、$p=1$$\varepsilon=1/2$ での不等式
表の反例の確かめ
詳細

1 行目:$Z$ にノルム $\|x\|_Z:=(\sum_k|x_k|^2/k^2)^{1/2}$ を入れると、$Z$ は重み付きの $\ell^2$ 空間として Banach 空間で、$\|x\|_Z\le\|x\|_{\ell^2}$ なので包含 $Y\to Z$ は連続である。恒等写像 $X\to Y$ は無限次元なのでコンパクトでない(コンパクト作用素 の例「無限次元の恒等作用素」)。標準基底 $e_k$ について $\|e_k\|_Y=\|e_k\|_X=1$、$\|e_k\|_Z=1/k$ なので、不等式は $1\le\varepsilon+C_\varepsilon/k$ となり、$\varepsilon< 1$ なら $k$ が大きいと成り立たない。

2 行目:包含 $H^1_0(0,1)\to L^2(0,1)$ はコンパクトである(Rellichの定理)。$u\ne0$ を 1 つ固定すると、不等式は $\|u\|_{L^2}\le\varepsilon\|u\|_{H^1}$ となり、$\varepsilon<\|u\|_{L^2}/\|u\|_{H^1}$ なら成り立たない。

3 行目・4 行目は prf-ex-ehr-nonreflexive・prf-ex-ehr-sobolev-1d のとおりである。4 行目は、$W^{1,1}(0,1)\to C([0,1])$ がコンパクトでないこと、すなわち 1 行目と同じくコンパクト性が崩れる場合にあたる。

関連項目

参考文献

[1]
Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, 2011, Exercise 6.12(p. 173)、Exercise 6.13(p. 174)、Theorem 8.8(pp. 212–213)、p. 217(高階の補間不等式)、Exercise 8.5(p. 236)

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