擬柱体の公式(prismatoid formula)とは、すべての頂点が平行な 2 平面のどちらかの上にある凸多面体(擬柱体)の体積 $V$ が、高さ $h$、2 つの底面の面積 $A_1,A_2$、高さの中央の断面の面積 $M$ から $V=\frac h6(A_1+4M+A_2)$ と求まるという公式である。擬柱体では断面の頂点が側辺の上を高さの 1 次式で動くので、断面積は高さの 2 次以下の多項式になり、2 次式の積分が両端と中点の 3 つの値で決まることから公式が従う。角柱・角錐・角錐台・楔・面を下にした正八面体に使え、断面積が 3 次以下の多項式の立体(球など)でも正しい。頂点を下にして立てた正八面体や、$y=e^x$ を回した回転体では正しくない。
前提知識: 体積と回転体, 台形公式とSimpsonの公式(高校数学), 靴ひも公式, 錐体の体積とHilbertの第3問題
底面が 1 辺 $4$ の正方形、上面が 1 辺 $2$ の正方形で、高さが $3$ の正四角錐台を考える。正四角錐の上の部分を、底面に平行な平面で切り落とした立体である。体積を 2 通りに求め、3 つ目の式と比べる。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| 断面の頂点が高さとともに一定の割合で動く | 側面の辺の上の点 | 1 次式で動く点 |
| 靴ひも公式で断面積を出す | 断面積は高さの 2 次式 | 1 次式どうしの積の和 |
| 底・上・中央の断面積の重みつきの和 | 擬柱体の公式 | Simpson の公式が 3 次式まで正確なこと |
左から正四角錐台、楔、上下の正方形の向きが 45° ずれた立体で、どれも高さの中央の断面を色で塗ってある
角錐台では、すべての頂点が底面か上面の上にあった。この性質をもつ立体に名前をつける。立体の面がすべて平面の多角形で、どの 2 点を結ぶ線分も立体からはみ出さないものを 凸多面体 という(正多面体 で扱う立体はどれも凸多面体である)。
凸多面体 $K$ のすべての頂点が、平行な 2 平面 $\alpha$、$\beta$ のどちらかの上にあるとき、$K$ を $\alpha$、$\beta$ を底とする 擬柱体 という。ここで $\alpha$ にも $\beta$ にも $K$ の頂点があるとする。
側面 $F$ は次のどちらかである。
$F$ は凸多角形である。$F$ の頂点がすべて $\alpha$ 上にあれば $F$ は $\alpha$ に含まれ、下の底面になってしまうので、$F$ には $\alpha$ 上の頂点と $\beta$ 上の頂点がどちらもある。$F$ を含む平面は $\alpha$、$\beta$ と平行な 2 直線 $\ell_1$、$\ell_2$ で交わり、$F$ の頂点はこの 2 直線の上にある。凸多角形は 1 直線の上に頂点を 3 つ以上もたない(3 つ並べば真ん中の点は両隣を結ぶ辺の途中の点で、頂点ではない)。よって $F$ の頂点は $\ell_1$ 上に 1 個か 2 個、$\ell_2$ 上に 1 個か 2 個である。合わせて 3 個なら三角形、4 個なら向かい合う 2 辺が平行な 2 直線 $\ell_1$、$\ell_2$ の上にある四角形、つまり台形である。
以下、$\alpha$ を $xy$ 平面($z=0$)、$\beta$ を平面 $z=h$ にとる。
(1) 角柱:上下の底面が合同で、$A_1=A_2=M$ である。
(2) 角錐:上の底面が 1 点(角錐の頂点)で、$A_2=0$ である。
(3) 角錐台:ex-pris-start の立体。
(4) 楔:下の底面が長方形、上の底面が 1 本の線分である立体。たとえば下の底面を 4 点 $(0,0,0)$、$(4,0,0)$、$(4,3,0)$、$(0,3,0)$ の長方形、上の底面を 2 点 $\left(\dfrac12,1,5\right)$、$\left(\dfrac52,1,5\right)$ を結ぶ長さ $2$ の線分とする。$h=5$ で、$A_1=12$、$A_2=0$ である。
(5) 上下の正方形の向きが $45^\circ$ ずれた立体:下の底面を 4 点 $(\pm1,\pm1,0)$ の正方形(1 辺 $2$)、上の底面を 4 点 $(1,0,2)$、$(0,1,2)$、$(-1,0,2)$、$(0,-1,2)$ の正方形(1 辺 $\sqrt2$)とし、この 8 点を頂点とする凸多面体をとる。$h=2$、$A_1=4$、$A_2=2$ で、側面は 8 つの三角形である。
(6) 正八面体を 1 つの面を下にして置いたもの:正八面体の向かい合う 2 つの面は平行で、6 つの頂点はすべてこの 2 つの面のどちらかの上にある。
同じ立体でも、どの 2 平面を底にとるかで擬柱体かどうかが変わる。正八面体を 1 つの頂点を下にして立てると、頂点は下の頂点・中央の正方形・上の頂点の 3 つの水平な平面の上に分かれるので、水平な 2 平面を底とする擬柱体ではない。この立体は ex-pris-cx-vertex で反例になる。
ex-pris-start の断面積は $z$ の 2 次式だった。角錐台では断面がいつも底面と相似なので、1 辺の長さが $z$ の 1 次式になり、面積はその 2 乗になる。しかし、ex-pris-examples (5) のように断面の形が高さとともに変わる立体でも、断面積は 2 次式になる。まず 2 つの例で確かめる。
ex-pris-examples (5) の立体を高さ $z$($0\le z\le2$)で切る。側辺は 8 本あり、下の頂点 $B$ と上の頂点 $T$ を結ぶ側辺の上で高さ $z$ にある点は
$$
\Bigl(1-\frac z2\Bigr)B+\frac z2\,T
$$
である(高さは $0$ から $2$ まで一定の割合で増えるので、$B$ から $T$ へ $\dfrac z2$ の割合だけ進んだ点)。たとえば $B(1,-1,0)$ と $T(1,0,2)$ を結ぶ側辺では、この点の $x$ 座標は $1$、$y$ 座標は $-1+\dfrac z2$ である。8 本の側辺について $x$、$y$ 座標を並べると、断面の頂点は
$$
\Bigl(1,-1+\frac z2\Bigr),\ \Bigl(1,1-\frac z2\Bigr),\ \Bigl(1-\frac z2,1\Bigr),\ \Bigl(-1+\frac z2,1\Bigr),\ \Bigl(-1,1-\frac z2\Bigr),\ \Bigl(-1,-1+\frac z2\Bigr),\ \Bigl(-1+\frac z2,-1\Bigr),\ \Bigl(1-\frac z2,-1\Bigr)
$$
の 8 点である。どの座標も $z$ の 1 次式である。この八角形は、1 辺 $2$ の正方形 $-1\le x\le1$、$-1\le y\le1$ から、4 つの角を直角をはさむ 2 辺が $\dfrac z2$ の直角二等辺三角形として切り落とした形である。よって
$$
A(z)=4-4\cdot\frac12\Bigl(\frac z2\Bigr)^2=4-\frac{z^2}2
$$
で、$z$ の 2 次式である。$A(0)=4=A_1$、$A(2)=2=A_2$、$M=A(1)=\dfrac72$ である。
上下の正方形がずれた立体を真上から見た図で、高さ 1 の断面は正方形の 4 つの角を切り落とした八角形になる
ex-pris-examples (4) の楔を高さ $z$($0\le z\le5$)で切る。$s=\dfrac z5$ とおくと、4 本の側辺の上の点の $x$、$y$ 座標は、ex-pris-octagon と同じく $(1-s)B+sT$ で計算して
$$
\Bigl(\frac s2,\ s\Bigr),\quad \Bigl(4-\frac{3s}2,\ s\Bigr),\quad \Bigl(4-\frac{3s}2,\ 3-2s\Bigr),\quad \Bigl(\frac s2,\ 3-2s\Bigr)
$$
である。たとえば 1 つ目は $B(0,0,0)$ と $T\left(\dfrac12,1,5\right)$ を結ぶ側辺の点で、$(1-s)\cdot(0,0)+s\left(\dfrac12,1\right)=\left(\dfrac s2,s\right)$ である。断面は横 $4-2s$、縦 $3-3s$ の長方形なので
$$
A(z)=(4-2s)(3-3s)=12-18s+6s^2=12-\frac{18}5z+\frac6{25}z^2
$$
である。$A(0)=12=A_1$、$A(5)=0=A_2$、$M=A\left(\dfrac52\right)=3\cdot\dfrac32=\dfrac92$ である。
どちらの例でも、断面の頂点は側辺の上を 1 次式で動き、面積は 2 次式になった。これが一般に成り立つ。
擬柱体の断面積 $A(z)$ は、$0\le z\le h$ で $z$ の 2 次以下の多項式である。つまり、定数 $a$、$b$、$c$ があって
$$
A(z)=a+bz+cz^2\qquad(0\le z\le h)
$$
と書ける。
方針:断面の頂点を側辺の上の点として $z$ の 1 次式で書き、靴ひも公式 で面積を計算する。
段 1(座標)。$\alpha$ を平面 $z=0$、$\beta$ を平面 $z=h$ にとる。$\gamma_z$ は平面 $z=\text{一定}$ である。
段 2(側辺の上の点)。側辺が $\alpha$ 上の点 $B(p_1,q_1,0)$ と $\beta$ 上の点 $T(p_2,q_2,h)$ を結ぶとする。この側辺の上で高さ $z$ にある点は $\left(1-\dfrac zh\right)B+\dfrac zh\,T$ で、その $x$、$y$ 座標は
$$
\Bigl(p_1+\frac{p_2-p_1}h\,z,\ \ q_1+\frac{q_2-q_1}h\,z\Bigr)
$$
である。どちらも $z$ の 1 次以下の式である。
段 3(断面の周)。$0< z< h$ とする。凸多面体を平面で切った断面は凸多角形で、その周は平面 $\gamma_z$ と $K$ の表面の共通部分である。$\gamma_z$ は底面とは交わらない。rem-pris-faces により、各側面 $F$ は底面の上にない辺をちょうど 2 本もち、どちらも側辺である。$\gamma_z$ はこの 2 本の側辺と 1 点ずつで交わるので、$\gamma_z$ と $F$ の共通部分は、その 2 点を結ぶ線分である。側辺はちょうど 2 つの側面の辺になっているので、側面をとなりどうしでたどると、側辺を $e_1,e_2,\ldots,e_n$ と一回りに並べられる($e_i$ と $e_{i+1}$ が 1 つの側面の 2 本の側辺。$e_{n+1}=e_1$ とする)。$e_i$ の上で高さ $z$ にある点を $X_i(z)$ とすると、断面の周は
$$
X_1(z)\to X_2(z)\to\cdots\to X_n(z)\to X_1(z)
$$
とたどる多角形の周である。真上から見て反時計回りになるように番号をつける。
段 4(靴ひも公式)。$X_i(z)$ の $x$、$y$ 座標を $x_i$、$y_i$ とする。凸多角形の頂点を反時計回りに並べると、面積は靴ひもの和になる(靴ひも公式 の定理「靴ひも公式(凸多角形)」。並べた点の中に、辺の途中の点が混じっていても和は変わらない)。
$$
A(z)=\frac12\sum_{i=1}^{n}\bigl(x_iy_{i+1}-x_{i+1}y_i\bigr)\qquad(x_{n+1}=x_1,\ y_{n+1}=y_1)
$$
段 2 により $x_i$、$y_{i+1}$ などはどれも $z$ の 1 次以下の式なので、各項 $x_iy_{i+1}$、$x_{i+1}y_i$ は $z$ の 2 次以下の式である。その和も $z$ の 2 次以下の式である。この式を $f(z)$ とおくと、$0< z< h$ で $A(z)=f(z)$ である。
段 5(両端)。$z=0$ のとき、$X_i(0)$ は側辺 $e_i$ の $\alpha$ 上の端 $B_i$ である。側面 $F$ の 2 本の側辺 $e_i$、$e_{i+1}$ について、$F$ の 1 辺が下の底面の上にあれば $B_iB_{i+1}$ はその辺であり、そうでなければ $B_i=B_{i+1}$ である。下の底面の各辺はちょうど 1 つの側面の辺なので、$B_1\to B_2\to\cdots\to B_n\to B_1$ は下の底面の周を 1 回りし、同じ点が続くところがあるだけである。同じ点が続いても靴ひもの和は変わらないので、$f(0)$ は下の底面の靴ひもの和、つまり $A_1$ である(下の底面が線分か 1 点なら、点がすべて 1 直線上にあるので和は $0=A_1$ である)。
同じ点 $P$ が 2 回続く列 $\ldots,U,P,P,W,\ldots$ の靴ひもの和では、$P$ から $P$ への項は $x_Py_P-x_Py_P=0$ で、残りの項は $U\to P$ と $P\to W$ の項なので、列 $\ldots,U,P,W,\ldots$ の和と同じである。1 直線上の点の列では、原点をその直線の上にとると(平行移動しても靴ひもの和は変わらない)、各項 $x_iy_{i+1}-x_{i+1}y_i$ は同じ直線の上の 2 つのベクトルでできる平行四辺形の符号つき面積で $0$ である。
ex-pris-octagon の八角形に、証明の段 4 の靴ひもの和を当てはめても、同じ $4-\dfrac{z^2}2$ が出る。
8 つの頂点を ex-pris-octagon の順(反時計回り)に靴ひもの和に入れると、$u=\dfrac z2$ として初めの 2 項は
$$(1)(1-u)-(1)(-1+u)=2-2u,\qquad (1)(1)-(1-u)(1-u)=2u-u^2$$
である。原点を中心とする $90^\circ$ の回転で八角形の頂点は 2 つずつ先へ移り、項の値は回転で変わらないので、同じ形の項が 4 つずつ出る。和は $4(2-2u)+4(2u-u^2)=8-4u^2$ で、その半分 $4-2u^2=4-\dfrac{z^2}2$ は ex-pris-octagon の値と一致する。
断面積が 2 次式なら、積分は 3 つの値だけで決まる。
高さ $h$、下の底面積 $A_1$、上の底面積 $A_2$、中央断面の面積 $M$ の擬柱体の体積 $V$ は
$$
V=\frac h6\bigl(A_1+4M+A_2\bigr)
$$
である。
方針:体積を断面積の積分で書き、thm-pris-quadratic の 2 次式を代入して両辺を計算する。
段 1(体積は断面積の積分)。体積と回転体 の定理「断面積の積分による体積」により、
$$
V=\int_0^hA(z)\,dz
$$
である($A(z)$ は多項式なので積分できる)。
段 2(左辺)。thm-pris-quadratic により $A(z)=a+bz+cz^2$ と書けるので
$$
V=\int_0^h\bigl(a+bz+cz^2\bigr)\,dz=\Bigl[az+\frac b2z^2+\frac c3z^3\Bigr]_0^h=ah+\frac b2h^2+\frac c3h^3
$$
である。
段 3(右辺)。$A_1=A(0)=a$、$M=A\left(\dfrac h2\right)=a+\dfrac b2h+\dfrac c4h^2$、$A_2=A(h)=a+bh+ch^2$ なので
$$
A_1+4M+A_2=a+\Bigl(4a+2bh+ch^2\Bigr)+\Bigl(a+bh+ch^2\Bigr)=6a+3bh+2ch^2
$$
である。$\dfrac h6$ を掛けると
$$
\frac h6\bigl(A_1+4M+A_2\bigr)=ah+\frac b2h^2+\frac c3h^3
$$
で、段 2 の $V$ と一致する。$\square$
段 3 の計算は、区間 $[0,h]$ を 2 等分した Simpson の公式が 2 次式でちょうど正しいことの確認そのものである(台形公式とSimpsonの公式(高校数学))。
底面積 $A_1$、上面積 $A_2$、高さ $h$ の角錐台を考える。角錐台はもとの角錐の上の部分を切り落とした立体なので、断面はどれも底面と相似で(錐体の体積とHilbertの第3問題 の補題「錐体の断面」)、相似比は $z$ の 1 次式である。面積は相似比の 2 乗に比例するので、$\sqrt{A(z)}$ が $z$ の 1 次式になり、$z=0$ で $\sqrt{A_1}$、$z=h$ で $\sqrt{A_2}$ だから
$$
\sqrt{A(z)}=\sqrt{A_1}+\bigl(\sqrt{A_2}-\sqrt{A_1}\bigr)\frac zh,\qquad M=\Bigl(\frac{\sqrt{A_1}+\sqrt{A_2}}2\Bigr)^2=\frac{A_1+2\sqrt{A_1A_2}+A_2}4
$$
である。thm-pris-formula に代入すると
$$
V=\frac h6\Bigl(A_1+\bigl(A_1+2\sqrt{A_1A_2}+A_2\bigr)+A_2\Bigr)=\frac h6\Bigl(2A_1+2\sqrt{A_1A_2}+2A_2\Bigr)=\frac h3\Bigl(A_1+\sqrt{A_1A_2}+A_2\Bigr)
$$
となる。これは角錐台の体積の公式として知られている式である(Wei26b)。ex-pris-start の値 $A_1=16$、$A_2=4$、$h=3$ では $\dfrac33(16+8+4)=28$ である。
下の底面が横 $a$、縦 $b$ の長方形で、上の底面が長さ $c$ の線分(長方形の横の辺に平行)である高さ $h$ の楔を考える。ex-pris-wedge-section と同じ計算で、$s=\dfrac zh$ のとき断面は横 $(1-s)a+sc$、縦 $(1-s)b$ の長方形になる(上の線分を真上から見て長方形の内側にあれば、その位置によらない)。$A_1=ab$、$A_2=0$、$M=\dfrac{a+c}2\cdot\dfrac b2$ なので
$$
V=\frac h6\Bigl(ab+4\cdot\frac{(a+c)b}4+0\Bigr)=\frac h6\bigl(2ab+bc\bigr)=\frac{bh(2a+c)}6
$$
である。ex-pris-wedge-section の $a=4$、$b=3$、$c=2$、$h=5$ では $\dfrac{3\cdot5\cdot10}6=25$ で、$A(z)$ を直接積分した値 $\displaystyle\int_0^5\Bigl(12-\frac{18}5z+\frac6{25}z^2\Bigr)dz=60-45+10=25$ と一致する。$c=a$ なら三角柱で $V=\dfrac{abh}2$、$c=0$ なら四角錐で $V=\dfrac{abh}3$ になる。
下の底面の 4 頂点を $(0,0)$、$(a,0)$、$(a,b)$、$(0,b)$、上の線分の端を $(u,v)$、$(u+c,v)$(高さ $h$)とする。4 本の側辺の上の点は、$(1-s)B+sT$ で計算して $(su,\ sv)$、$\bigl((1-s)a+s(u+c),\ sv\bigr)$、$\bigl((1-s)a+s(u+c),\ (1-s)b+sv\bigr)$、$\bigl(su,\ (1-s)b+sv\bigr)$ である。横の長さは $(1-s)a+sc$、縦の長さは $(1-s)b$ で、$u$、$v$ によらない。
1 辺 $a$ の正八面体を 1 つの面を下にして置く(ex-pris-examples (6))。上下の底面は 1 辺 $a$ の正三角形で $A_1=A_2=\dfrac{\sqrt3}4a^2$、高さは $h=\dfrac{\sqrt6}3a$ である。中央断面は 6 本の側辺の中点を頂点とする六角形で、各辺は側面の正三角形の中点連結線なので長さ $\dfrac a2$ であり、実は 1 辺 $\dfrac a2$ の正六角形である。よって $M=6\cdot\dfrac{\sqrt3}4\Bigl(\dfrac a2\Bigr)^2=\dfrac{3\sqrt3}8a^2$ で、
$$
V=\frac{\sqrt6a}{3\cdot6}\Bigl(\frac{\sqrt3}4a^2+4\cdot\frac{3\sqrt3}8a^2+\frac{\sqrt3}4a^2\Bigr)=\frac{\sqrt6a}{18}\cdot2\sqrt3a^2=\frac{2\sqrt{18}}{18}a^3=\frac{\sqrt2}3a^3
$$
である。正八面体を底面が 1 辺 $a$ の正方形で高さ $\dfrac a{\sqrt2}$ の 2 つの正四角錐に分けて求めた体積 $2\cdot\dfrac13a^2\cdot\dfrac a{\sqrt2}=\dfrac{\sqrt2}3a^3$ と一致する。
1 辺 $\sqrt2$ の正八面体の頂点を $(\pm1,0,0)$、$(0,\pm1,0)$、$(0,0,\pm1)$ にとる。面 $(1,0,0)$、$(0,1,0)$、$(0,0,1)$ は平面 $x+y+z=1$ の上に、向かいの面 $(-1,0,0)$、$(0,-1,0)$、$(0,0,-1)$ は平面 $x+y+z=-1$ の上にあり、2 平面は平行で距離は $\dfrac2{\sqrt3}=\dfrac{\sqrt6}3\cdot\sqrt2$ である。側辺は $(1,0,0)$ と $(0,-1,0)$ を結ぶ辺のように、2 つの面の頂点を結ぶ 6 本で、その中点は $\left(\dfrac12,-\dfrac12,0\right)$ とその座標を並べかえた 6 点である。どれも原点から距離 $\dfrac1{\sqrt2}$ の、平面 $x+y+z=0$ の上の点で、となりどうしの距離は $\dfrac1{\sqrt2}$ である(たとえば $\left(\dfrac12,-\dfrac12,0\right)$ と $\left(\dfrac12,0,-\dfrac12\right)$)。中心からの距離と 1 辺が等しい六角形なので、6 つの三角形はどれも正三角形で、六角形は正六角形である。1 辺は $\dfrac1{\sqrt2}=\dfrac{\sqrt2}2$ で、$a=\sqrt2$ の $\dfrac12$ である。
擬柱体の公式は、断面積が 2 次式であることだけを使った。証明をそのまま読むと、多面体でなくてもよく、さらに 1 つ上の 3 次式でも成り立つ。
高さ $h$ の立体の、底から高さ $z$ の断面積 $A(z)$ が $0\le z\le h$ で $z$ の 3 次以下の多項式ならば、$A_1=A(0)$、$M=A\left(\dfrac h2\right)$、$A_2=A(h)$ として、体積は $V=\dfrac h6\bigl(A_1+4M+A_2\bigr)$ である。
$A(z)=a+bz+cz^2+dz^3$ とする。$a+bz+cz^2$ の部分は prf-pris-formula の段 2・段 3 と同じ計算で両辺が一致する。$dz^3$ の部分は、左辺が $\displaystyle\int_0^hdz^3\,dz=\frac d4h^4$、右辺が
$$
\frac h6\Bigl(0+4d\Bigl(\frac h2\Bigr)^3+dh^3\Bigr)=\frac h6\cdot\frac32dh^3=\frac d4h^4
$$
で一致する。積分も $\dfrac h6(A_1+4M+A_2)$ も、$A$ を関数の和に分けるとそれぞれの和になるので、全体でも一致する。$\square$
これは 台形公式とSimpsonの公式(高校数学) の定理「Simpson の公式の 2 つの性質」(1) の、区間を 2 等分した場合である。
(2) 底面の半径 $r$、高さ $h$ の円錐では、断面の半径は $r\Bigl(1-\dfrac zh\Bigr)$ で、断面積は $z$ の 2 次式である。$A_1=\pi r^2$、$M=\dfrac{\pi r^2}4$、$A_2=0$ なので $V=\dfrac h6\bigl(\pi r^2+\pi r^2\bigr)=\dfrac13\pi r^2h$ となる。
ここまでの例を表にまとめる(楔・上下の正方形がずれた立体は ex-pris-examples の数値)。
| 立体 | $h$ | $A_1$ | $M$ | $A_2$ | $\frac h6(A_1+4M+A_2)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| 角柱(底面積 $S$) | $h$ | $S$ | $S$ | $S$ | $Sh$ |
| 正四角錐(底面の 1 辺 $3$) | $4$ | $9$ | $\frac94$ | $0$ | $12$ |
| 正四角錐台 | $3$ | $16$ | $9$ | $4$ | $28$ |
| 楔 | $5$ | $12$ | $\frac92$ | $0$ | $25$ |
| 上下の正方形がずれた立体 | $2$ | $4$ | $\frac72$ | $2$ | $\frac{20}3$ |
| 正八面体(面を下) | $\frac{\sqrt6}3a$ | $\frac{\sqrt3}4a^2$ | $\frac{3\sqrt3}8a^2$ | $\frac{\sqrt3}4a^2$ | $\frac{\sqrt2}3a^3$ |
| 球(半径 $2$) | $4$ | $0$ | $4\pi$ | $0$ | $\frac{32}3\pi$ |
どの行も、最後の列は立体の体積に等しい。上下の正方形がずれた立体の体積 $\dfrac{20}3$ は、ex-pris-octagon の $A(z)=4-\dfrac{z^2}2$ を積分した $\displaystyle\int_0^2\Bigl(4-\frac{z^2}2\Bigr)dz=8-\frac43=\frac{20}3$ と一致する。
5 つの立体の断面積を高さの割合 z/h の関数として描いたグラフで、どれも放物線になり、各曲線の 3 つの点が底・中央・上端の断面積を表す
thm-pris-formula と cor-pris-cubic の仮定を外すと、公式の値は体積からずれる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 頂点がすべて底の 2 平面の上にある | 正八面体を頂点を下にして立てる | $\frac h6(A_1+4M+A_2)=V$(公式は体積の 2 倍を与える) |
| 断面積が 3 次以下の多項式 | $y=x^2$($0\le x\le1$)を $x$ 軸の周りに回した立体(断面積は 4 次式) | $\frac h6(A_1+4M+A_2)=V$ |
| 断面積が多項式 | $y=e^x$($0\le x\le1$)を $x$ 軸の周りに回した立体 | $\frac h6(A_1+4M+A_2)=V$ |
1 辺 $a$ の正八面体を、1 つの頂点を下にして立てる。上下の頂点を結ぶ線分の長さ(高さ)は $h=\sqrt2\,a$ で、高さの中央で切った断面は 1 辺 $a$ の正方形である。底と上端は 1 点なので $A_1=A_2=0$、$M=a^2$ で、公式の値は
$$
\frac h6\bigl(0+4a^2+0\bigr)=\frac{\sqrt2a}6\cdot4a^2=\frac{2\sqrt2}3a^3
$$
である。正八面体の体積は $\dfrac{\sqrt2}3a^3$(ex-pris-octa)なので、公式は体積の 2 倍を与える。
断面積を見ると理由が分かる。下の頂点から高さ $z$ の断面は正方形で、$0\le z\le\dfrac h2$ では下半分の正四角錐の断面なので、1 辺は $z$ に比例し、$z=\dfrac h2=\dfrac a{\sqrt2}$ で $a$ になるから $\sqrt2\,z$ である。
$$
A(z)=\begin{cases}2z^2 & \Bigl(0\le z\le\dfrac h2\Bigr)\\[2mm] 2(h-z)^2 & \Bigl(\dfrac h2\le z\le h\Bigr)\end{cases}
$$
$A(z)$ は中央で折れ曲がり、$[0,h]$ 全体では 1 つの多項式で書けない。一方、下半分と上半分をそれぞれ高さ $\dfrac h2$ の擬柱体(正四角錐)と見て公式を使うと、下半分は $\dfrac{h/2}6\Bigl(0+4\cdot\dfrac{a^2}4+a^2\Bigr)=\dfrac a{6\sqrt2}\cdot2a^2=\dfrac{\sqrt2}6a^3$ で、2 倍して正しい体積 $\dfrac{\sqrt2}3a^3$ になる。同じ正八面体でも、ex-pris-octa のように面を下にして置けば擬柱体になり、公式は正しい値を与える。
面を下にして置いた正八面体で、上下の底面は正三角形、中央断面は正六角形になる
頂点を下にして立てた正八面体で、底と上端は 1 点、中央断面は正方形になる
$y=x^2$($0\le x\le1$)のグラフを $x$ 軸の周りに回した立体を考える。$x$ 軸に垂直な断面は半径 $x^2$ の円で、断面積は $A(x)=\pi x^4$(4 次式)である。体積は
$$
V=\int_0^1\pi x^4\,dx=\frac\pi5=0.6283\ldots
$$
で、公式の値は $A_1=0$、$M=\pi\Bigl(\dfrac12\Bigr)^4=\dfrac\pi{16}$、$A_2=\pi$ から
$$
\frac16\Bigl(0+4\cdot\frac\pi{16}+\pi\Bigr)=\frac16\cdot\frac{5\pi}4=\frac{5\pi}{24}=0.6544\ldots
$$
である。差は $\dfrac{5\pi}{24}-\dfrac\pi5=\dfrac{\pi}{120}\ne0$ である。4 次の項では、prf-pris-cubic の計算が合わない(台形公式とSimpsonの公式(高校数学) の例「4 次式ではちょうど正しくはならない」と同じ理由)。
$y=e^x$($0\le x\le1$)のグラフを $x$ 軸の周りに回した立体の断面積は $A(x)=\pi e^{2x}$ で、多項式ではない。体積は
$$
V=\int_0^1\pi e^{2x}\,dx=\frac\pi2\bigl(e^2-1\bigr)=10.0359\ldots
$$
で、公式の値は $A_1=\pi$、$M=\pi e$、$A_2=\pi e^2$ から
$$
\frac16\bigl(\pi+4\pi e+\pi e^2\bigr)=\frac\pi6\bigl(1+4e+e^2\bigr)=10.0856\ldots
$$
である。差は約 $0.0497$ で、体積の約 $0.5\%$ にあたる。公式の値は近似値としてはよいが、ちょうど正しくはない。区間を細かく分けて各部分に公式を使うのが、台形公式とSimpsonの公式(高校数学) の Simpson の公式である。
thm-pris-formula は 2 つの事実の組み合わせである。
平面の図形を、ある向きの直線で位置 $x$($0\le x\le h$)で切った切り口の長さ $w(x)$ が $x$ の 3 次以下の多項式なら、同じ計算で面積は $\dfrac h6\bigl(w(0)+4w\bigl(\tfrac h2\bigr)+w(h)\bigr)$ である。上底 $a$、下底 $b$、高さ $h$ の台形では $w$ が 1 次式で $w\bigl(\tfrac h2\bigr)=\dfrac{a+b}2$ なので、$\dfrac h6\bigl(a+2(a+b)+b\bigr)=\dfrac{(a+b)h}2$ となり、台形の面積の公式にもどる。
Wei26a は、この公式を「擬柱体の公式(prismatoid formula)」と呼び、「擬柱体の定理」と呼ばれることもあるが、その名は擬柱体の分解についての別の定理にも使われるので、公式を「定理」と呼ぶのは避けるのがよいと述べている。この記事もそれに合わせて「公式」と呼ぶ。
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