指数方程式・対数方程式(exponential and logarithmic equations)とは、未知数が指数の位置や対数の真数の位置にある方程式である。$a>0$、$a\ne1$ のとき $a^{f(x)}=a^{g(x)}\iff f(x)=g(x)$、「$f(x)>0$、$g(x)>0$、$\log_af(x)=\log_ag(x)$」$\iff$「$f(x)=g(x)>0$」であり、不等式では $a>1$ なら向きを保ち、$0<a<1$ なら向きが逆になる(対数では真数が正の範囲で)。理由は指数関数と対数関数の狭義単調性である。$t=a^x$ とおくと、$a^{2x}+pa^x+q=0$ の実数解は $t^2+pt+q=0$ の正の解と 1 対 1 に対応する。真数条件を確かめないと余分な解が残り、$\log_ax^2=2\log_ax$ と書き換えると負の解を失う。
前提知識: 対数の底の変換, 指数関数・対数関数のグラフと逆関数, 2次不等式
未知数 $x$ が指数の位置にある方程式を 指数方程式、対数の真数(や底)の位置にある方程式を 対数方程式 という。解き方の基本は、「$2^{\square}=2^{\triangle}$ なら $\square=\triangle$」のように指数や対数を外して、ふつうの方程式に直すことである。3 つの例で、外すときに何に気をつけるかを見る。
$2^{x+1}=16$ を解く。$16=2^4$ なので、方程式は $2^{x+1}=2^4$ である。指数関数 $y=2^x$ は増加関数で、異なる $x$ に異なる値を対応させるので、$2^{x+1}=2^4$ なら $x+1=4$ である。よって $x=3$ である。確かめると $2^{3+1}=16$ である。
$4^x-3\cdot2^{x+1}+8=0$ を解く。$4^x=\left(2^2\right)^x=\left(2^x\right)^2$、$2^{x+1}=2\cdot2^x$ なので、$t=2^x$ とおくと
$$
t^2-6t+8=0,\qquad(t-2)(t-4)=0,\qquad t=2,\ 4
$$
である。$2^x=2$ から $x=1$、$2^x=4$ から $x=2$ である。確かめると、$x=1$ では $4-12+8=0$、$x=2$ では $16-24+8=0$ である。
$\log_2(x-1)+\log_2(x+1)=3$ を解く。左辺をまとめると $\log_2\{(x-1)(x+1)\}$、右辺は $3=\log_28$ なので、$(x-1)(x+1)=8$、$x^2=9$、$x=\pm3$ である。
ところが $x=-3$ を元の方程式に入れると $\log_2(-4)+\log_2(-2)$ となり、真数が負で対数が定まらない。$x=-3$ は元の方程式の解ではない。$x=3$ では $\log_22+\log_24=1+2=3$ で、確かに解である。答えは $x=3$ だけである。
ex-elq-start-log では、変形の途中で「元の方程式の解でない数」が紛れ込んだ。これは、左辺をまとめる変形 $\log_2(x-1)+\log_2(x+1)=\log_2\{(x-1)(x+1)\}$ が、$x-1>0$ かつ $x+1>0$ のときにしか成り立たないのに、まとめた後の式は $x<-1$ でも意味をもつからである。この記事で答える問いは次の 3 つである。
| 高校の計算 | この記事の言葉 | 大学の言葉 |
|---|---|---|
| $2^{\square}=2^{\triangle}$ なら $\square=\triangle$ | 同値変形の規則 | 単射な関数は外せる |
| 真数条件を確かめる | 定義域をそろえる | 関数の定義域 |
| 底が $1$ より小さいと不等号が逆 | 減少関数で不等式を外す | 順序を逆にする写像 |
| $t=2^x$ とおく($t>0$) | 置き換えと解の対応 | 全単射 $\mathbb{R}\to\mathbb{R}_{>0}$ |
以下、底 $a$ は $a>0$、$a\ne1$ を満たす実数とし、未知数 $x$ は実数とする。
$x$ についての 2 つの条件(方程式や不等式)$P(x)$、$Q(x)$ が 同値 であるとは、$P(x)$ を満たす実数 $x$ 全体と、$Q(x)$ を満たす実数 $x$ 全体が一致することをいう。$P(x)\iff Q(x)$ と書く。
式 $\log_af(x)$ は $f(x)>0$ のときにだけ定まる。対数方程式・不等式に現れるすべての真数が正であるという条件を、その方程式・不等式の 真数条件 という。対数方程式・不等式の解とは、真数条件を満たし、かつ等式・不等式を満たす $x$ のことである。
方程式を解くとは、同値な変形を重ねて、解がひと目で分かる形($x=3$ など)にすることである。変形が同値でなく「$P\Rightarrow Q$」の向きしか成り立たないときは、$Q$ の解の中に $P$ の解でないもの(余分な解)が混じりうるので、最後に $P$ に戻して確かめる。逆に「$Q\Rightarrow P$」しか成り立たないときは、解を失うおそれがある。
指数や対数を外してよい理由は、指数関数と対数関数が 狭義単調 であることにある。狭義単調増加とは $u< v\Rightarrow\varphi(u)<\varphi(v)$、狭義単調減少とは $u< v\Rightarrow\varphi(u)>\varphi(v)$ となることである。次の補題で、狭義単調な関数は等式も不等式も外せることを確かめる。
関数 $\varphi$ が集合 $D$ の上で狭義単調増加なら、$D$ の 2 数 $u,v$ について
$$
\varphi(u)=\varphi(v)\iff u=v,\qquad\varphi(u)<\varphi(v)\iff u< v
$$
である。狭義単調減少なら、$\varphi(u)=\varphi(v)\iff u=v$、$\varphi(u)<\varphi(v)\iff u>v$ である。
増加の場合を示す。「$\Leftarrow$」の向きは、等式では $u=v$ なら同じ数の値なので $\varphi(u)=\varphi(v)$、不等式では狭義単調増加の定義そのものである。
「$\Rightarrow$」の向き(不等式)。$\varphi(u)<\varphi(v)$ とし、$u< v$ でないと仮定する。すると $u=v$ か $u>v$ である。$u=v$ なら $\varphi(u)=\varphi(v)$、$u>v$ なら定義により $\varphi(u)>\varphi(v)$ で、どちらも $\varphi(u)<\varphi(v)$ に反する。よって $u< v$ である。
「$\Rightarrow$」の向き(等式)。$\varphi(u)=\varphi(v)$ とし、$u\ne v$ と仮定する。$u< v$ なら $\varphi(u)<\varphi(v)$、$u>v$ なら $\varphi(u)>\varphi(v)$ で、どちらも $\varphi(u)=\varphi(v)$ に反する。よって $u=v$ である。
減少の場合は、不等号の向きを入れ替えて同じように示せる。$\square$
指数関数 $y=a^x$ は、$a>1$ なら実数全体で狭義単調増加、$0< a<1$ なら狭義単調減少である(指数関数・対数関数のグラフと逆関数 の命題「指数関数の増減と値域」)。対数関数 $y=\log_ax$ も、正の実数全体で同じ向きに狭義単調である(同記事の命題「対数関数の増減」)。lem-elq-monotone をこの 2 つに当てはめると、次の規則になる。
$a>0$、$a\ne1$ とし、$f(x)$、$g(x)$ を $x$ の実数値の式とする。
(R1) $a^{f(x)}=a^{g(x)}\iff f(x)=g(x)$
(R2) 「$f(x)>0$ かつ $g(x)>0$ かつ $\log_af(x)=\log_ag(x)$」$\iff$「$f(x)=g(x)$ かつ $f(x)>0$」
(R3) $a>1$ なら、$a^{f(x)}< a^{g(x)}\iff f(x)< g(x)$ であり、「$f(x)>0$ かつ $g(x)>0$ かつ $\log_af(x)<\log_ag(x)$」$\iff0< f(x)< g(x)$
(R4) $0< a<1$ なら、$a^{f(x)}< a^{g(x)}\iff f(x)>g(x)$ であり、「$f(x)>0$ かつ $g(x)>0$ かつ $\log_af(x)<\log_ag(x)$」$\iff f(x)>g(x)>0$
$x$ を 1 つ固定し、$u=f(x)$、$v=g(x)$ とおく。
(i) $a>1$ でも $0< a<1$ でも、$\varphi(u)=a^u$ は実数全体 $D=\mathbb{R}$ の上で狭義単調である。lem-elq-monotone の等式の部分により $a^u=a^v\iff u=v$ である。
(ii) 左辺の条件のもとで $u,v$ は正の実数全体 $D=\mathbb{R}_{>0}$ に入り、$\varphi(u)=\log_au$ はその上で狭義単調である。lem-elq-monotone により、$u>0$、$v>0$ のもとで $\log_au=\log_av\iff u=v$ である。したがって左辺は「$u>0$ かつ $v>0$ かつ $u=v$」と同値で、$u=v$ なら $v>0$ は $u>0$ と同じなので、「$u=v$ かつ $u>0$」と同値である。
(iii) $a>1$ のとき $a^u$ と $\log_au$ は狭義単調増加なので、lem-elq-monotone の不等式の部分により $a^u< a^v\iff u< v$ である。対数の方は、$u>0$、$v>0$ のもとで $\log_au<\log_av\iff u< v$ なので、左辺は「$u>0$ かつ $v>0$ かつ $u< v$」、つまり $0< u< v$ と同値である($0< u< v$ なら $v>0$ は自動的に成り立つ)。
(iv) $0< a<1$ のときは狭義単調減少なので、(iii) と同じ議論で不等号の向きが逆になり、$a^u< a^v\iff u>v$、対数の方は $u>v>0$ と同値である。$\square$
等号付きの不等式 $\le$ は、「$<$ または $=$」なので、指数では (i) と (iii)・(iv)、対数では (ii) と (iii)・(iv) を組み合わせて同じように外せる。
ex-elq-start-subst では $t=2^x$ とおいて 2 次方程式に直した。このとき $t$ は正の数しかとらないので、$t$ の方程式の負の解は $x$ の解に対応しない。どの解がどれだけ対応するかを定理にする。
$a>0$、$a\ne1$ とし、$p,q$ を実数とする。$x$ の方程式
$$
a^{2x}+pa^x+q=0
$$
の解 $x$ に $t=a^x$ を対応させると、この方程式の実数解全体と、$t$ の 2 次方程式 $t^2+pt+q=0$ の 正の 解全体とが 1 対 1 に(もれなく、重なりなく)対応する。とくに、$x$ の方程式の異なる実数解の個数は、$t^2+pt+q=0$ の異なる正の解の個数に等しい。
段 1($x\mapsto a^x$ の性質)。$a^x$ の値はつねに正である。値域は正の実数全体なので、どの $t>0$ にも $a^x=t$ となる $x$ がある。thm-elq-rules の (i) により、そのような $x$ はただ 1 つで、それは $x=\log_at$ である。
段 2($x$ の解から $t$ の正の解へ)。$x$ が $a^{2x}+pa^x+q=0$ を満たすとし、$t=a^x$ とおく。指数法則により $a^{2x}=\left(a^x\right)^2=t^2$ なので、$t^2+pt+q=0$ である。段 1 により $t>0$ である。
段 3($t$ の正の解から $x$ の解へ)。$t>0$ が $t^2+pt+q=0$ を満たすとする。段 1 により $a^x=t$ となる $x$ がただ 1 つあり、その $x$ について $a^{2x}+pa^x+q=t^2+pt+q=0$ である。
段 4(1 対 1)。段 2 の対応で、異なる解 $x_1\ne x_2$ は、thm-elq-rules の (i) により異なる $t$ に移る。段 3 により、正の解 $t$ はどれもある解 $x$ から来る。よって解の全体どうしが 1 対 1 に対応し、個数も等しい。$\square$
図 1 と図 2 は、ex-elq-start-subst の方程式で、図 1 に $y=4^x-3\cdot2^{x+1}+8$ のグラフ、図 2 に $y=t^2-6t+8$($t>0$)のグラフを並べたものである。図 1 の $x$ 軸との交点 $x=1,2$ と、図 2 の $t$ 軸との交点 $t=2,4$ が、$t=2^x$ で対応している。図 2 のグラフの最小値 $-1$($t=3$)は、図 1 では $x=\log_23=1.58\ldots$ での値 $-1$ に当たる。
y = 4 の x 乗 − 3・2 の x+1 乗 + 8 のグラフで、x 軸と x = 1、2 で交わる
y = t² − 6t + 8 の t が正の部分のグラフで、t 軸と t = 2、4 で交わる
定数 $k$ を含む指数方程式の解の個数も、thm-elq-subst で $t$ の正の解の個数に移して数える。
$t=3^x$ とおくと $t^2-2t+k=0$ で、thm-elq-subst により、求める個数はこの 2 次方程式の異なる正の解の個数である。$k$ を右辺に移すと
$$
k=-t^2+2t=1-(t-1)^2
$$
なので、$t>0$ の範囲で曲線 $y=1-(t-1)^2$ と直線 $y=k$ の交点の個数を数えればよい(定数を分ける考え方)。曲線は $t=1$ で最大値 $1$ をとり、$t\to+0$ で $0$ に近づき($t=0$ は範囲に入らない)、$t=2$ で $0$、$t>2$ で負になる。図 3 から、交点の個数は次のとおりである。
| $k$ の範囲 | $t$ の正の解 | $x$ の実数解の個数 |
|---|---|---|
| $k>1$ | なし | $0$ |
| $k=1$ | $t=1$ | $1$($x=0$) |
| $0< k<1$ | $0< t<1$ と $1< t<2$ に 1 つずつ | $2$ |
| $k=0$ | $t=2$($t=0$ は正でない) | $1$($x=\log_32$) |
| $k<0$ | $t>2$ に 1 つ | $1$ |
たとえば $k=\dfrac34$ では $t^2-2t+\dfrac34=\left(t-\dfrac12\right)\left(t-\dfrac32\right)=0$ で、$x=\log_3\dfrac12$、$\log_3\dfrac32$ の 2 つである。$k=-3$ では $t=3,-1$ で、$x=1$ の 1 つだけである(ex-elq-subst の (1))。
t が正の範囲の曲線 y = 1 − (t − 1)² と、いくつかの水平な直線 y = k の交点で、k が 0 と 1 の間なら交点が 2 つある
「異なる 2 つの実数解をもつ」条件 $0< k<1$ は、2 次方程式 $t^2-2t+k=0$ が異なる 2 つの正の解をもつ条件である。これは、判別式 $\dfrac D4=1-k>0$、軸 $t=1>0$、$t=0$ での値 $k>0$ の 3 つからも求められる(解の配置 の定理「2 つの解がともに p より大きい条件」で $p=0$ とし、解が異なることを足したもの)。
対数の式を $s=\log_ax$ とおくときは、事情が違う。$x$ が正の実数全体を動くと、$s=\log_ax$ は 実数全体 を動き、$x\mapsto\log_ax$ は正の実数全体から実数全体への 1 対 1 の対応である(thm-elq-rules の (ii) と、$x=a^s$ で戻せること)。したがって $s$ の方程式の実数解は、どれも $x$ の解に対応し、捨てる解はない。ただし、元の方程式の真数条件で $x>0$ 以外の制限があれば、それも確かめる。
$\left(\log_2x\right)^2-\log_2x^3+2=0$ を解く。真数条件は $x>0$($x^3>0$ も $x>0$ と同値)である。$x>0$ のもとで $\log_2x^3=3\log_2x$ なので、$s=\log_2x$ とおくと $s^2-3s+2=(s-1)(s-2)=0$、$s=1,2$ である。$x=2^1=2$、$x=2^2=4$ で、どちらも $x>0$ を満たす。確かめると、$x=2$ では $1-3+2=0$、$x=4$ では $4-6+2=0$ である。
thm-elq-rules の (ii)〜(iv) は、両辺が「同じ底の対数 1 つ」になっている形にしか使えない。そこで、次の順に変形する。
(R1) 真数条件を書き出す(すべての真数が正、底に $x$ があれば底も正で $1$ でない)。
(R2) 底をそろえる。底が違えば 対数の底の変換 の定理「底の変換公式」で直す。
(R3) 真数条件のもとで、対数の和・定数倍を 1 つの対数にまとめ、thm-elq-rules で対数を外す。
(R4) 得られた解・範囲と、真数条件との共通部分をとる。
手順 (iii) の「まとめる」変形 $\log_au+\log_av=\log_a(uv)$ は $u>0$ かつ $v>0$ のときにだけ使える。手順 (i) で書き出した条件のもとで変形するので、最後に (iv) で条件と合わせれば、解は元の方程式の解と一致する。
$\log_4(x+2)=\log_2x$ を解く。
(i) 真数条件は $x+2>0$ かつ $x>0$、つまり $x>0$ である。
(ii) 対数の底の変換 の定理で底を $2$ にすると $\log_4(x+2)=\dfrac{\log_2(x+2)}{\log_24}=\dfrac12\log_2(x+2)$ である。方程式は $\dfrac12\log_2(x+2)=\log_2x$、つまり $\log_2(x+2)=2\log_2x$ である。
(iii) $x>0$ なので $2\log_2x=\log_2x^2$ である。thm-elq-rules の (ii) により $x+2=x^2$ かつ $x+2>0$ である。$x^2-x-2=(x-2)(x+1)=0$ から $x=2,-1$ である。
(iv) 真数条件 $x>0$ を満たすのは $x=2$ だけである。確かめると $\log_44=1=\log_22$ である。
指数不等式でも置き換えが使える。$t=a^x$ の範囲が $t>0$ であることを条件に加えて $t$ の不等式を解き、thm-elq-rules の (iii)・(iv) で $x$ に戻す。
$4^x-3\cdot2^x-4>0$ を解く。$t=2^x$($t>0$)とおくと $t^2-3t-4=(t-4)(t+1)>0$ である。$t>0$ では $t+1>0$ なので、両辺を $t+1$ で割って $t-4>0$、つまり $t>4$ である。$2^x>2^2$ で底 $2>1$ なので、$x>2$ である。確かめると、$x=3$ では $64-24-4=36>0$、$x=1$ では $4-6-4=-6<0$ である。
指数や対数を外す変形で、条件を確かめずに書き換えると何が起こるかを並べる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\log_ab^r=r\log_ab$ の $b>0$ | $\log_2x^2=2$ を $2\log_2x=2$ と書き換える | 解 $x=-2$ を失う |
| 真数条件 | $\log_2(x-1)+\log_2(x+1)=3$ | 余分な解 $x=-3$ が残る |
| 不等号の向きを保つ底 $a>1$ | $\left(\dfrac12\right)^x>\dfrac18$ を $x>3$ とする | 解の範囲が逆になる |
| 置き換えた $t$ の範囲 $t>0$ | $9^x-2\cdot3^x+k=0$ の解の個数 | $k\le0$ で解を 2 つと数え違える |
(2) ex-elq-start-log のとおり、$(x-1)(x+1)=8$ の解 $x=\pm3$ のうち、$x=-3$ は真数 $x-1=-4$、$x+1=-2$ が負で、元の方程式の解ではない。
(3) 底 $\dfrac12$ の指数関数は減少なので、thm-elq-rules の (iv) により正しくは $x<3$ である。$x=4$ では $\left(\dfrac12\right)^4=\dfrac1{16}<\dfrac18$ で、「$x>3$」の範囲の数が不等式を満たさない。
(4) $t^2-2t+k=0$ の実数解の個数だけを数えると、$k<1$ ならいつも 2 つである。しかし $k<0$ では 2 つの解の積が $k<0$ なので、一方は負で $x$ に対応しない。たとえば $k=-3$ では $t=3,-1$ で、$x$ の解は $x=1$ の 1 つだけである(ex-elq-count)。$k=0$ では $t=0$ が正でないので、$x$ の解は $t=2$ から出る $x=\log_32$ の 1 つだけである。
thm-elq-rules と thm-elq-subst で使った性質は、大学の言葉で 2 つに分けて整理できる。
関数 $\varphi\colon D\to\mathbb{R}$ が 単射 であるとは、$D$ の 2 数 $u,v$ について $\varphi(u)=\varphi(v)$ なら $u=v$ となることをいう(単射)。単射な関数については、$f(x),g(x)\in D$ のもとで
$$
\varphi(f(x))=\varphi(g(x))\iff f(x)=g(x)
$$
が成り立つ。したがって同値変形の注意は次の 2 つにまとまる。
(R1) 外す関数が単射か。$a^x$、$\log_ax$ は単射なので外せる。$u\mapsto u^2$ は実数全体では単射でない($(-2)^2=2^2$)ので、2 乗した式から戻すと余分な解が出る(ex-elq-equiv の (2))。
(R2) 定義域がそろっているか。$\log_a$ の定義域は $D=\mathbb{R}_{>0}$ なので、$f(x),g(x)\in D$(真数条件)を付けて初めて同値になる。$\log_2(x-1)+\log_2(x+1)$ と $\log_2\{(x-1)(x+1)\}$ は、$x>1$ では同じ値だが、定義される $x$ の範囲が違う式である(ex-elq-start-log)。
不等式を外すには単射より強い「狭義単調」が要り、減少関数では向きが逆になる(lem-elq-monotone)。置き換え $t=a^x$ は、実数全体から正の実数全体への全単射(単射で、正の実数のどの値もとる)であり、$t$ の方程式の解のうち像 $\mathbb{R}_{>0}$ に入るものだけが $x$ に戻る(thm-elq-subst)。
$2^{2x+3}-9\cdot2^x+1=0$ を解け。
$2^{2x+3}=8\cdot\left(2^x\right)^2$ なので、$t=2^x$($t>0$)とおくと $8t^2-9t+1=(8t-1)(t-1)=0$、$t=\dfrac18,1$ である。どちらも正なので、thm-elq-subst と同じ議論で解は 2 つあり、$2^x=\dfrac18=2^{-3}$ から $x=-3$、$2^x=1=2^0$ から $x=0$ である。確かめると、$x=-3$ では $2^{-3}-9\cdot2^{-3}+1=\dfrac18-\dfrac98+1=0$、$x=0$ では $8-9+1=0$ である。
$\log_3(x+1)+\log_3(x-1)\le1$ を解け。
真数条件は $x+1>0$ かつ $x-1>0$、つまり $x>1$ である。このもとで左辺は $\log_3(x^2-1)$、右辺は $\log_33$ である。底 $3>1$ なので $0< x^2-1\le3$ である。$x>1$ では $x^2-1>0$ なので、$x^2\le4$、$-2\le x\le2$ を解けばよい。真数条件と合わせて $1< x\le2$ である。
$k$ を実数の定数とする。$x$ の方程式 $4^x-2^{x+2}+k=0$ の異なる実数解の個数を、$k$ の値で分けて答えよ。
$t=2^x$ とおくと $t^2-4t+k=0$ で、求める個数はこの方程式の異なる正の解の個数である(thm-elq-subst)。$k=-t^2+4t=4-(t-2)^2$ と書くと、$t>0$ での曲線 $y=4-(t-2)^2$ は $t=2$ で最大値 $4$ をとり、$t\to+0$ で $0$ に近づき、$t=4$ で $0$、$t>4$ で負になる。直線 $y=k$ との交点を数えて、$k>4$ なら $0$ 個、$k=4$ なら $1$ 個($x=1$)、$0< k<4$ なら $2$ 個、$k\le0$ なら $1$ 個である($k=0$ では $t=4$、$x=2$ だけ)。
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