de la Vallée-Poussinの判定法(de la Vallée-Poussin criterion)とは、測度有限な空間上の可積分関数の族 $F$ が一様可積分であるための必要十分条件は、$G(t)/t\to\infty$ となる単調非減少な凸関数 $G\colon[0,\infty)\to[0,\infty)$ で $\sup_{f\in F}\int G(|f|)\,d\mu<\infty$ となるものが存在することである、という判定法である。$L^p$($p>1$)での有界性などから一様可積分性が従うことを含む。$G$ は族に応じて選ぶ必要があり、$(0,1)$ 上の Lebesgue 測度ではすべての可積分関数に通用する $G$ はない。σ-有限な測度では、測度有限な集合の外の積分が一様に小さいという条件を加えれば同じ特徴づけが成り立つ。
測度有限な空間の上で、$p>1$ について $L^p$ で有界な関数の族は一様可積分である。Hölderの不等式 から、測度の小さい集合の上の積分が $\|f\|_p\,\mu(E)^{1-1/p}$ で一様に抑えられるからである。$|f|^p$ のかわりに $|f|\log(1+|f|)$ の積分が一様に有界な族も一様可積分になる。どちらも「$|f|$ より少しだけ速く増える関数 $G$ で測った積分 $\int G(|f|)$ が一様に有界」という形をしている。
de la Vallée-Poussinの判定法(de la Vallée-Poussin criterion)は、測度有限な空間では一様可積分な族がすべてこの形で得られることを述べる。一様可積分性という $\varepsilon$–$\delta$ の条件が、1 つの凸関数 $G$ による積分の有界性という 1 つの不等式に置き換わる。ただし $G$ は族ごとに選ぶ必要があり、たとえば $(0,1)$ 上の Lebesgue 測度では、すべての可積分関数に通用する $G$ はない(ex-dvp-no-universal)。
$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ を測度空間とし、関数は実数値、$L^1:=L^1(\Omega,\mu)$ と書く。主定理では $\mu(\Omega)<\infty$ を仮定する。
$\mu(\Omega)<\infty$ とする。$F\subset L^1$ が一様可積分であるとは、$\sup_{f\in F}\|f\|_1<\infty$ であり、かつ任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があって、$\mu(E)<\delta$ となるすべての可測集合 $E$ とすべての $f\in F$ について $\int_E|f|\,d\mu<\varepsilon$ となることをいう。
σ-有限な測度空間では、これに「測度有限な集合の外の積分が一様に小さい」という条件を加えたものが一様可積分性の定義であり(一様可積分性 の定義「一様可積分性」)、$\mu(\Omega)<\infty$ ならその条件は自動的に成り立つので、上の定義と一致する。
Borel 可測な関数 $G\colon[0,\infty)\to[0,\infty)$ が無限遠で超線形であるとは、$\displaystyle\lim_{t\to\infty}\frac{G(t)}{t}=\infty$ となることをいう。
$G(t)=t^p$($p>1$)、$G(t)=t\log(1+t)$、$G(t)=e^t-1$ はどれも無限遠で超線形な凸関数である。$G(t)=Ct$ は超線形でない。$G$ は Borel 可測なので、可測関数 $f$ について $G(|f|)$ は可測であり、$\int G(|f|)\,d\mu\in[0,\infty]$ が定まる。
関数 $G\colon[0,\infty)\to[0,\infty)$ が凸な超線形関数であるとは、$G$ が凸かつ単調非減少で $G(0)=0$ であり、$G(t)/t$ が $t>0$ について単調非減少で、$t\to\infty$ のとき $\infty$ に発散することをいう。
主定理は、測度の有限性を使わない次の補題から導かれる。条件 (d) は「大きな値をとる部分の積分が一様に小さい」ことを述べる。
$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ を任意の測度空間とし、$F\subset L^1$ とする。次は同値である。
(G') ⇒ (G) は明らかである(単調関数は Borel 可測である)。
(G) ⇒ (d)。 $C:=\sup_{f\in F}\int G(|f|)\,d\mu$ とする。$k>0$ を与えると、超線形性から、$s\ge T$ ならば $G(s)\ge ks$ となる $T>0$ がある。$t\ge T$ と $f\in F$ について、集合 $\{|f|>t\}$ の上では $|f|\le G(|f|)/k$ なので
$$
\int_{\{|f|>t\}}|f|\,d\mu\le\frac1k\int_{\{|f|>t\}}G(|f|)\,d\mu\le\frac Ck
$$
である。$k$ は任意なので (d) が成り立つ。
(d) ⇒ (G')。 関数 $t\mapsto\sup_{f\in F}\int_{\{|f|>t\}}|f|$ は $t$ について単調非増加なので、(d) から、狭義増加列 $0< T_1< T_2<\cdots$ で $T_k\ge k$ かつ
$$
\sup_{f\in F}\int_{\{|f|>T_k\}}|f|\,d\mu\le2^{-k}\qquad(k\ge1)
$$
となるものがとれる。
$$
G(t):=\sum_{k\ge1}(t-T_k)^+\qquad(t\ge0)
$$
とおく。$t$ を固定すると $T_k< t$ となる $k$ は有限個なので、$G(t)$ は有限である。各有界区間 $[0,R]$ の上で $G$ は凸で単調非減少な関数 $(t-T_k)^+$ の有限和なので、$G$ は凸で単調非減少であり、$T_k>0$ から $G(0)=0$ である。
$G(t)/t$ の単調性:$0< s< t$ について $s=\frac st\,t+\bigl(1-\frac st\bigr)\cdot0$ なので、凸性と $G(0)=0$ から $G(s)\le\frac stG(t)$、すなわち $G(s)/s\le G(t)/t$ である。発散:正の整数 $m$ と $t\ge2T_m$ について、$k\le m$ なら $t-T_k\ge t-T_m\ge t/2$ なので $G(t)\ge mt/2$ である。よって $G(t)/t\to\infty$ である。
積分:$T_k\ge0$ なので $(|f|-T_k)^+\le|f|\,1_{\{|f|>T_k\}}$ である。単調収束定理 により項別に積分できて、すべての $f\in F$ について
$$
\int G(|f|)\,d\mu=\sum_{k\ge1}\int(|f|-T_k)^+\,d\mu\le\sum_{k\ge1}\int_{\{|f|>T_k\}}|f|\,d\mu\le\sum_{k\ge1}2^{-k}=1
$$
である。$\square$
$\mu(\Omega)<\infty$ とし、$F\subset L^1$ とする。次は同値である。
lem-dvp-tail により、2 と 3 はどちらも (d) と同値である。そこで、$\mu(\Omega)<\infty$ のもとで 1 と (d) が同値であることを示せばよい。これは 一様可積分性 の定理「裾による言い換え」の最後の主張であり、次のように直接確かめられる。
可測集合 $E$、$t>0$、$f\in L^1$ について、$E$ を $\{|f|\le t\}$ と $\{|f|>t\}$ に分けると
$$
\int_E|f|\,d\mu\le t\,\mu(E)+\int_{\{|f|>t\}}|f|\,d\mu \qquad(1)
$$
である。
1 ⇒ (d):$C:=\sup_{f\in F}\|f\|_1$ とし、$\varepsilon>0$ に対する $\delta$ をとる。$t\,1_{\{|f|>t\}}\le|f|$ を積分すると $\mu(\{|f|>t\})\le C/t$ なので、$t>C/\delta$ ならすべての $f\in F$ について $\int_{\{|f|>t\}}|f|<\varepsilon$ である。
(d) ⇒ 1:$\varepsilon>0$ に対し $\sup_{f\in F}\int_{\{|f|>t\}}|f|<\varepsilon/2$ となる $t>0$ をとり、$\delta:=\varepsilon/(2t)$ とすれば、(1) から $\mu(E)<\delta$ のとき $\int_E|f|<\varepsilon$ である。(1) を $E=\Omega$ に使うと $\|f\|_1\le t\,\mu(\Omega)+\varepsilon/2$ なので、ノルムも一様に有界である。$\square$
ノルムの有界性を導くところでだけ $\mu(\Omega)<\infty$ を使っている。$G$ を凸にとれることは 2 ⇒ 1 には不要だが、cor-dvp-weakly-compact のように、$G$ で定まる集合が凸になる点で効く。
Bre11 Problem 23 の D(pp. 468–469)は、測度有限な空間で、連続で無限遠で超線形な $G$ について 2 ⇒ 1 を、一様可積分な族について凸で単調増加な $G$ の存在を、問題として述べている。上の証明は、測度の有限性を使わない lem-dvp-tail を経由して組み立てたものである。
測度が無限のときは、2 ⇒ 1 は一般には成り立たない(ex-dvp-counter の 1)。足りないのは無限遠へ質量が逃げないという条件だけである。
$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ を σ-有限な測度空間とし、$F\subset L^1$ とする。$F$ が一様可積分であるための必要十分条件は、次の 2 つが成り立つことである。
一様可積分性 の定理「裾による言い換え」により、$F$ が一様可積分であることは、(c) と lem-dvp-tail の (d) がともに成り立つことと同値である。lem-dvp-tail は任意の測度空間で (d) と (G)、(G') が同値であることを述べている。$\square$
$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ を任意の測度空間とする。$f\in L^1$ ならば、凸な超線形関数 $G$ で $\int G(|f|)\,d\mu\le1$ となるものがある。
$|f|$ はほとんど至る所有限なので、$t\to\infty$ のとき $|f|1_{\{|f|>t\}}\to0$ がほとんど至る所で成り立つ。$|f|$ で抑えられるので 優収束定理 により $\int_{\{|f|>t\}}|f|\to0$ であり、$\{f\}$ は lem-dvp-tail の (d) を満たす。$\square$
どの可積分関数も、$|f|$ より少しだけ速く増える $G$ について $G(|f|)$ が可積分になる。しかし $G$ は一般には $f$ に応じて選ばなければならない。
$G\colon[0,\infty)\to[0,\infty)$ を無限遠で超線形な Borel 可測関数とする。$(0,1)$ 上の Lebesgue 測度について、$f\in L^1(0,1)$ で $\int_0^1G(|f|)\,dx=\infty$ となるものがある。
確かめる。超線形性から、$1\le t_1< t_2<\cdots$ で $G(t_k)\ge2^kt_k$ となるものがとれる。$a_k:=2^{-k}/t_k$ とおくと $\sum_ka_k\le\sum_k2^{-k}=1$ なので、$(0,1)$ の中に長さ $a_k$ の互いに交わらない区間 $E_k$ がとれる。$f:=\sum_kt_k1_{E_k}$ とおくと、
$$
\int_0^1f\,dx=\sum_kt_ka_k=\sum_k2^{-k}=1,\qquad\int_0^1G(f)\,dx\ge\sum_kG(t_k)\,a_k\ge\sum_k2^kt_k\cdot\frac{2^{-k}}{t_k}=\infty
$$
である。とくに、可積分関数の全体は、1 つの $G$ についての $\{f\mid\int G(|f|)<\infty\}$ には収まらない。
$G$ の凸性を使うと、一様可積分な族を、扱いやすい凸集合の中に入れられる。
$\mu(\Omega)<\infty$ とし、$G$ を凸な超線形関数(def-dvp-convex)とする。
$$
K_G:=\Bigl\{f\in L^1\Bigm|\int_\Omega G(|f|)\,d\mu\le1\Bigr\}
$$
は凸で、弱位相 $\sigma(L^1,L^\infty)$ でコンパクトである。さらに、$F\subset L^1$ が弱コンパクトな集合に含まれるための必要十分条件は、ある $G$ について $F\subset K_G$ となることである。
要点:凸性は $G$ の単調性と凸性から、ノルム位相での閉性は Fatou の補題から従う。閉凸集合は弱閉で、$K_G$ は主定理により一様可積分なので、Dunford–Pettis の定理から弱コンパクトになる。
凸性:$f,g\in K_G$、$0\le\lambda\le1$ なら、$|\lambda f+(1-\lambda)g|\le\lambda|f|+(1-\lambda)|g|$ と $G$ の単調性・凸性から $G(|\lambda f+(1-\lambda)g|)\le\lambda G(|f|)+(1-\lambda)G(|g|)$ であり、積分すると $1$ 以下である。
閉性:$G$ は $(0,\infty)$ 上で凸なので連続であり、$0< s< t$ について $0\le G(s)\le\frac stG(t)$ なので $0$ でも連続である。$h_k\in K_G$、$L^1$ で $h_k\to h$ とする。Lp空間 の系「各点収束する部分列」により、部分列 $h_{k_j}$ はほとんど至る所 $h$ に収束し、$G(|h_{k_j}|)\to G(|h|)$ がほとんど至る所で成り立つ。Fatouの補題 から $\int G(|h|)\le\liminf_j\int G(|h_{k_j}|)\le1$ なので $h\in K_G$ である。
弱コンパクト性:$K_G$ はノルム位相で閉じた凸集合なので、Mazurの補題 の定理「凸集合の強閉と弱閉」により弱閉である。$K_G$ は thm-dvp-main の 3 ⇒ 1 により一様可積分なので、Dunford–Pettisの定理 の定理「Dunford–Pettisの定理」により弱コンパクトな集合 $K$ に含まれる。$K_G$ は $K$ の弱閉部分集合なので弱コンパクトである。
後半:$F\subset K_G$ なら $F$ は弱コンパクトな $K_G$ に含まれる。逆に $F$ が弱コンパクトな集合に含まれるなら、Dunford–Pettis の定理により $F$ は一様可積分であり、thm-dvp-main の 1 ⇒ 3 により $F\subset K_G$ となる $G$ がある。$\square$
$\mu(\Omega)<\infty$ とする。
thm-dvp-main の 2 ⇒ 1 の仮定を 1 つずつ外す。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\mu(\Omega)<\infty$ | $\mathbb{R}$ 上の $f_n=1_{(n,n+1)}$ と $G(t)=t^2$ | 2 ⇒ 1(2 は成り立つが一様可積分でない) |
| $G$ の超線形性 | $(0,1)$ 上の $f_n=n1_{(0,1/n)}$ と $G(t)=t$ | 2 ⇒ 1($\int G(f_n)=1$ だが一様可積分でない) |
| 積分の一様な有界性(各 $f$ ごとの有限性にする) | $(0,1)$ 上の $f_n=n1_{(0,1/n)}$ と $G(t)=t^2$ | 2 ⇒ 1($\int G(f_n)=n<\infty$ だが一様可積分でない) |
de la Vallée-Poussin の名は、素数定理 の証明など別の結果にも付いている。この記事の判定法は一様可積分性の特徴づけであり、それらとは別の結果である。
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