Gauss–Codazzi方程式(Gauss–Codazzi equations)とは、Riemann 多様体の部分多様体について、内在的な曲率テンソルと外の空間の曲率と第 2 基本形式を結ぶ 2 つの方程式である。Gauss の方程式によれば内在的な曲率は外の曲率の接成分と第 2 基本形式の 2 次式の和であり、Codazzi の方程式によれば外の曲率の法成分は第 2 基本形式の共変微分の反対称部分である。$\mathbb R^3$ の曲面では誘導計量の断面曲率が主曲率の積に等しくなり、Gauss の驚異の定理が従う。平面の長方形の上で方程式を満たす計量と対称 2 次形式の組は、それらを第 1・第 2 基本形式とする曲面片として実現され、合同を除いて一意である(Bonnet の基本定理)。
前提知識: 部分多様体, Riemann接続, Riemann曲率テンソル, 全測地的部分多様体, Gauss曲率
Riemann 多様体 $\bar M$ の中の部分多様体 $M$ には、2 種類の曲がり方がある。1 つは $M$ の上で測った長さだけで決まる内在的な曲率($M$ の誘導計量の Riemann曲率テンソル)で、もう 1 つは $M$ が $\bar M$ の中でどう曲がっているかを表す外在的な量(第 2 基本形式)である。Gauss の方程式は、内在的な曲率が、外の空間の曲率と第 2 基本形式の 2 次式の和に等しいことを述べる。Codazzi の方程式は、外の空間の曲率の法成分が、第 2 基本形式の共変微分の反対称部分に等しいことを述べる。2 つを合わせて Gauss–Codazzi 方程式(Gauss–Codazzi equations)という。
$\mathbb R^3$ の曲面では、Gauss の方程式から「誘導計量の断面曲率は主曲率の積に等しい」が出る。左辺は曲面の上の長さだけで決まるので、Gauss 曲率が内在的であるという Gaussの驚異の定理 がその系になる。逆に、平面の領域の上に計量 $g$ と対称 2 次形式 $h$ を与えたとき、それらが Gauss–Codazzi 方程式を満たしていれば、$g$ を第 1 基本形式、$h$ を第 2 基本形式とする曲面が局所的にあり、合同を除いて一意である(Bonnet の基本定理)。この記事では、2 つの方程式を一般の部分多様体について証明し、超曲面と $\mathbb R^3$ の曲面の場合に書き直し、Bonnet の基本定理を証明する。
| 方程式 | 内容 | $\mathbb R^{n+1}$ の超曲面での形($h$ はスカラー第 2 基本形式) |
|---|---|---|
| Gauss | 内在的な曲率 $=$ 外の曲率の接成分 $+$ $\mathrm{II}$ の 2 次式 | $\langle R(X,Y)Y,X\rangle=h(X,X)h(Y,Y)-h(X,Y)^2$ |
| Codazzi | 外の曲率の法成分 $=$ $\nabla\mathrm{II}$ の反対称部分 | $\nabla h$ は 3 つの変数について対称 |
$(\bar M,\bar g)$ を $m$ 次元の Riemann 多様体、$\bar\nabla$ をその Riemann 接続とし、$M\subset\bar M$ を $n$ 次元の埋め込まれた部分多様体、$g$ を誘導計量、$\nabla$ を $(M,g)$ の Riemann 接続とする。$\bar g$ を $\langle\ ,\ \rangle$ とも書く。曲率テンソルは
$$
R(X,Y)Z=\nabla_X\nabla_YZ-\nabla_Y\nabla_XZ-\nabla_{[X,Y]}Z
$$
で定め、$\bar M$ のものを $\bar R$ と書く。正規直交な $v,w$ の張る平面の断面曲率は $K(v,w)=\langle R(v,w)w,v\rangle$ である(断面曲率)。
全測地的部分多様体 の節「第 2 基本形式」に従い、$T_p\bar M=T_pM\oplus N_pM$ の接成分を $Z^\top$、法成分を $Z^\perp$ と書き、第 2 基本形式を $\mathrm{II}(X,Y)=(\bar\nabla_XY)^\perp$ とする。$\mathrm{II}$ は対称で $C^\infty(M)$ 双線形であり、Gauss の公式
$$
\bar\nabla_XY=\nabla_XY+\mathrm{II}(X,Y)
$$
が成り立つ(Lee18 Proposition 8.1・Theorem 8.2、pp. 227–228)。
法ベクトル場 $\xi$ について、$\langle W_\xi X,Y\rangle=\langle\xi,\mathrm{II}(X,Y)\rangle$ で定まる $TM$ の自己随伴な自己準同型 $W_\xi$ を $\xi$ の向きの Weingarten 写像という。また $\nabla^\perp_X\xi:=(\bar\nabla_X\xi)^\perp$ を法接続といい、これは法束の計量と両立する接続である(Lee18 Proposition 8.6、p. 231)。実際、$\bar\nabla$ の性質から $\nabla^\perp_X\xi$ は $X$ について $C^\infty(M)$ 線形で $\nabla^\perp_X(f\xi)=(Xf)\xi+f\nabla^\perp_X\xi$ を満たし、法ベクトル場 $\xi,\eta$ について $X\langle\xi,\eta\rangle=\langle\bar\nabla_X\xi,\eta\rangle+\langle\xi,\bar\nabla_X\eta\rangle=\langle\nabla^\perp_X\xi,\eta\rangle+\langle\xi,\nabla^\perp_X\eta\rangle$ である(法ベクトルと接ベクトルの内積は $0$ なので、接成分は落ちる)。$\mathrm{II}$ の共変微分を
$$
(\nabla_X\mathrm{II})(Y,Z):=\nabla^\perp_X\bigl(\mathrm{II}(Y,Z)\bigr)-\mathrm{II}(\nabla_XY,Z)-\mathrm{II}(Y,\nabla_XZ)
$$
で定める。
$M$ の接ベクトル場 $X$ と法ベクトル場 $\xi$ について $(\bar\nabla_X\xi)^\top=-W_\xi X$ である。
$M$ の接ベクトル場 $Y$ について $\langle\xi,Y\rangle=0$ を $X$ の向きに微分すると、Gauss の公式から
$$
0=\langle\bar\nabla_X\xi,Y\rangle+\langle\xi,\nabla_XY+\mathrm{II}(X,Y)\rangle=\langle\bar\nabla_X\xi,Y\rangle+\langle W_\xi X,Y\rangle
$$
である。$Y$ は任意なので主張が従う。$\square$
$M$ の接ベクトル場 $X,Y,Z,W$ について
$$
\langle R(X,Y)Z,W\rangle=\langle\bar R(X,Y)Z,W\rangle+\langle\mathrm{II}(Y,Z),\mathrm{II}(X,W)\rangle-\langle\mathrm{II}(X,Z),\mathrm{II}(Y,W)\rangle
$$
が成り立つ。とくに正規直交な $v,w\in T_pM$ について
$$
K_M(v,w)=K_{\bar M}(v,w)+\langle\mathrm{II}(v,v),\mathrm{II}(w,w)\rangle-|\mathrm{II}(v,w)|^2
$$
である。
$X,Y,Z,W$ を $\bar M$ の開集合上に延長して計算し、$M$ の点で値をとる。Gauss の公式から
$$
\bar\nabla_X\bar\nabla_YZ=\bar\nabla_X(\nabla_YZ)+\bar\nabla_X\bigl(\mathrm{II}(Y,Z)\bigr)
$$
である。第 1 項の接成分は Gauss の公式により $\nabla_X\nabla_YZ$、第 2 項の接成分は lem-gce-weingarten により $-W_{\mathrm{II}(Y,Z)}X$ なので
$$
\langle\bar\nabla_X\bar\nabla_YZ,W\rangle=\langle\nabla_X\nabla_YZ,W\rangle-\langle\mathrm{II}(Y,Z),\mathrm{II}(X,W)\rangle
$$
である。$X$ と $Y$ を入れ替えた式を引き、$\langle\bar\nabla_{[X,Y]}Z,W\rangle=\langle\nabla_{[X,Y]}Z,W\rangle$($[X,Y]$ は $M$ に接する)を引くと第 1 式を得る。第 2 式は $X=W=v$、$Y=Z=w$ とおいたものである。$\square$
外在的な項 $\langle\mathrm{II}(v,v),\mathrm{II}(w,w)\rangle-|\mathrm{II}(v,w)|^2$ は、$\mathrm{II}$ を $v,w$ の張る平面に制限した 2 次形式の「行列式」にあたる。$\mathrm{II}=0$ なら $K_M=K_{\bar M}$ であり、これが 全測地的部分多様体 の系「全測地的部分多様体の曲率」の 1 である。
$M$ の接ベクトル場 $X,Y,Z$ について
$$
\bigl(\bar R(X,Y)Z\bigr)^\perp=(\nabla_X\mathrm{II})(Y,Z)-(\nabla_Y\mathrm{II})(X,Z)
$$
が成り立つ。
prf-gce-gauss と同じく延長して法成分を見る。Gauss の公式から $\bar\nabla_X\bar\nabla_YZ=\bar\nabla_X(\nabla_YZ)+\bar\nabla_X\bigl(\mathrm{II}(Y,Z)\bigr)$ の法成分は
$$
\mathrm{II}(X,\nabla_YZ)+\nabla^\perp_X\bigl(\mathrm{II}(Y,Z)\bigr)
$$
である。$X$ と $Y$ を入れ替えたものを引き、$(\bar\nabla_{[X,Y]}Z)^\perp=\mathrm{II}([X,Y],Z)=\mathrm{II}(\nabla_XY-\nabla_YX,Z)$ を引くと
$$
\bigl(\bar R(X,Y)Z\bigr)^\perp=\nabla^\perp_X\mathrm{II}(Y,Z)-\mathrm{II}(\nabla_XY,Z)-\mathrm{II}(Y,\nabla_XZ)-\Bigl(\nabla^\perp_Y\mathrm{II}(X,Z)-\mathrm{II}(\nabla_YX,Z)-\mathrm{II}(X,\nabla_YZ)\Bigr)
$$
となり、右辺は $(\nabla_X\mathrm{II})(Y,Z)-(\nabla_Y\mathrm{II})(X,Z)$ である。$\square$
$\bar M$ が定曲率空間なら、$\bar R(X,Y)Z$ は $X,Y,Z$ の 1 次結合なので左辺は $0$ になり、$\nabla\mathrm{II}$ は 3 つの変数について対称になる。全臍的部分多様体 の定理「定曲率空間での平均曲率ベクトルの平行性」は、この形を使って証明されている。
$m=n+1$ とし、$M$ の上の単位法ベクトル場 $N$ を 1 つ選ぶ。$\mathrm{II}(X,Y)=h(X,Y)N$ でスカラー第 2 基本形式 $h$ を、$\langle sX,Y\rangle=h(X,Y)$ で形作用素 $s=W_N$ を定める。$|N|=1$ を微分して $\langle\bar\nabla_XN,N\rangle=0$ なので $\bar\nabla_XN$ は $M$ に接し、lem-gce-weingarten により
$$
\bar\nabla_XN=-sX
$$
である。とくに $\nabla^\perp N=0$ であり、$(\nabla_X\mathrm{II})(Y,Z)=(\nabla_Xh)(Y,Z)\,N$ となる。thm-gce-gauss と thm-gce-codazzi は次の形になる。
$M$ の接ベクトル場 $X,Y,Z$ について
$$
R(X,Y)Z=\bigl(\bar R(X,Y)Z\bigr)^\top+h(Y,Z)\,sX-h(X,Z)\,sY,\qquad\langle\bar R(X,Y)Z,N\rangle=(\nabla_Xh)(Y,Z)-(\nabla_Yh)(X,Z)
$$
が成り立つ。$\bar M=\mathbb R^{n+1}$ なら $R(X,Y)Z=h(Y,Z)\,sX-h(X,Z)\,sY$ であり、$\nabla h$ は 3 つの変数について対称である。
$\langle\mathrm{II}(Y,Z),\mathrm{II}(X,W)\rangle=h(Y,Z)h(X,W)=\langle h(Y,Z)sX,W\rangle$ を thm-gce-gauss に代入して第 1 式を、$\nabla^\perp N=0$ を thm-gce-codazzi に代入して第 2 式を得る。$\mathbb R^{n+1}$ では $\bar R=0$ であり、$\nabla h$ は $h$ の対称性から後ろ 2 つの変数について対称、第 2 式から前 2 つの変数について対称なので、全体が対称になる。$\square$
$M\subset\mathbb R^{n+1}$ を超曲面とし、$e_1,\dots,e_n$ を $s$ の固有ベクトルからなる $T_pM$ の正規直交基底、$\kappa_1,\dots,\kappa_n$ を固有値(主曲率)とする。$i\ne j$ について $e_i,e_j$ の張る平面の断面曲率は $\kappa_i\kappa_j$ である。
cor-gce-hypersurface で $X=e_i$、$Y=Z=e_j$ とおくと $R(e_i,e_j)e_j=h(e_j,e_j)se_i-h(e_i,e_j)se_j=\kappa_j\kappa_ie_i$ なので、$K(e_i,e_j)=\langle R(e_i,e_j)e_j,e_i\rangle=\kappa_i\kappa_j$ である。$\square$
$n=2$、$\bar M=\mathbb R^3$ とする。単位法ベクトル場を $\nu$ とすると、$s$ は Gauss曲率 の定義「形作用素と第 2 基本形式」の形作用素 $S(X)=-d\nu(X)$ であり、$h$ はその第 2 基本形式である。
$M\subset\mathbb R^3$ を曲面とする。誘導計量 $g$ の断面曲率(2 次元なので $M$ 上の関数)は、各点で $\det s=\kappa_1\kappa_2$、すなわち Gauss曲率 の定義「主曲率・Gauss 曲率・平均曲率」の Gauss 曲率 $K$ に等しい。とくに $K$ は誘導計量だけで決まる(Gauss の驚異の定理)。
cor-gce-principal を $n=2$ に当てると、断面曲率は $\kappa_1\kappa_2=\det s=K$ である。断面曲率は計量 $g$ とその Riemann 接続だけで定まるので、$K$ もそうである。$\square$
Gauss曲率 の定理「驚異の定理(Brioschi の公式)」は、$K$ を第 1 基本形式の係数で表す式であり、それを直接計算で導く証明は Gaussの驚異の定理 の命題「Brioschi の公式」にある(同じ記事の定理「Gauss の驚異の定理」は Christoffel 記号で表す式を導く)。上の証明は式を経由せず、「Gauss 曲率は内在的な曲率テンソルの値である」という形で同じ結論を与える(Lee18 Theorem 8.27、p. 249 も参照)。
曲面片 $x\colon U\to\mathbb R^3$($U\subset\mathbb R^2$ は開集合、座標 $(u^1,u^2)$)について $x_i=\partial x/\partial u^i$、$\nu=x_1\times x_2/|x_1\times x_2|$ とし、$g_{ij}=\langle x_i,x_j\rangle$、$h_{ij}=\langle\partial_ix_j,\nu\rangle$、$h_i{}^k=g^{kl}h_{il}$、$g$ の Christoffel 記号を $\Gamma^k_{ij}$ と書く(和の規約を使う)。Gauss の公式と $\bar\nabla_X\nu=-sX$ は
$$
\partial_ix_j=\Gamma^k_{ij}\,x_k+h_{ij}\,\nu,\qquad\partial_i\nu=-h_i{}^k\,x_k\qquad\text{(F)}
$$
となる。$R_{1212}:=\langle R(\partial_1,\partial_2)\partial_2,\partial_1\rangle$ とおくと、cor-gce-hypersurface は次の 2 つにまとまる。
$$
R_{1212}=h_{11}h_{22}-h_{12}^2\qquad\text{(Gauss)},\qquad(\nabla_kh)_{ij}=(\nabla_ih)_{kj}\qquad\text{(Codazzi)}
$$
ここで $(\nabla_kh)_{ij}=\partial_kh_{ij}-\Gamma^l_{ki}h_{lj}-\Gamma^l_{kj}h_{il}$ である。2 次元では、前 2 つの添字と後ろ 2 つの添字のそれぞれについて反対称な 4 階のテンソルは $(1,2,2,1)$ 成分 1 つで決まるので、Gauss の方程式は 1 つの式になる。Codazzi の方程式は
$$
\partial_2h_{11}-\partial_1h_{12}=\Gamma^l_{12}h_{l1}-\Gamma^l_{11}h_{l2},\qquad\partial_1h_{22}-\partial_2h_{12}=\Gamma^l_{12}h_{l2}-\Gamma^l_{22}h_{l1}
$$
の 2 つの式である(Mainardi–Codazzi の方程式とも呼ばれる)。
Gauss–Codazzi 方程式は、曲面があれば必ず成り立つ条件である。逆に、この条件だけで曲面が作れる。
$U=(a_1,b_1)\times(a_2,b_2)\subset\mathbb R^2$ を開長方形($a_i=-\infty$、$b_i=\infty$ も許す)とし、$U$ 上の滑らかな関数 $g_{ij}$、$h_{ij}$($g_{ij}=g_{ji}$、$h_{ij}=h_{ji}$、$(g_{ij})$ は各点で正定値)が Gauss の方程式と Codazzi の方程式を満たすとする。このとき次が成り立つ。
要点:未知の枠 $Y=(x_1,x_2,\nu)$ についての (F) は $\partial_iY=A_iY$ の形の線形の方程式で、その可積分条件がちょうど Gauss–Codazzi 方程式である。長方形の上では、まず $u^1$ の向き、次に $u^2$ の向きに常微分方程式を解けば解が得られ、内積の行列は同じ方程式の一意性から $g$ に一致する。
段 1(可積分条件).$Y$ を $\mathbb R^3$ のベクトル 3 つの縦の並び $(x_1,x_2,\nu)$ とし、(F) を $\partial_kY=A_kY$($A_k$ は $3\times3$ 行列値の関数で、$(A_k)_{jl}=\Gamma^l_{kj}$、$(A_k)_{j3}=h_{kj}$、$(A_k)_{3l}=-h_k{}^l$、$(A_k)_{33}=0$)と書く。$C:=\partial_1A_2-\partial_2A_1+A_2A_1-A_1A_2$ とおく。$C=0$ が Gauss・Codazzi の方程式と同値であることを示す。(F) を形式的に微分して $Y$ の 1 次結合として比べればよい。$\partial_k(\partial_ix_j)$ を (F) で展開し $k,i$ について反対称化すると、$x_m$ の係数は $\partial_k\Gamma^m_{ij}-\partial_i\Gamma^m_{kj}+\Gamma^l_{ij}\Gamma^m_{kl}-\Gamma^l_{kj}\Gamma^m_{il}-(h_{ij}h_k{}^m-h_{kj}h_i{}^m)$ で、最初の 4 項は $R(\partial_k,\partial_i)\partial_j$ の $\partial_m$ 成分なので、これが $0$ であることは $R(\partial_k,\partial_i)\partial_j=h_{ij}s\partial_k-h_{kj}s\partial_i$、すなわち 2 次元では Gauss の方程式である。$\nu$ の係数は $\partial_kh_{ij}+\Gamma^l_{ij}h_{kl}-\partial_ih_{kj}-\Gamma^l_{kj}h_{il}=(\nabla_kh)_{ij}-(\nabla_ih)_{kj}$ である。$\partial_k(\partial_i\nu)$ の反対称化では、$\nu$ の係数 $-(h_i{}^mh_{km}-h_k{}^mh_{im})$ はいつも $0$ で、$x_l$ の係数は $-(\nabla_ks)^l{}_i+(\nabla_is)^l{}_k$ であり、添字を $g$ で下げると Codazzi の方程式になる。
段 2(長方形の上の解).点 $p_0=(c_1,c_2)\in U$ と初期値 $Y_0$ をとる。$u^2=c_2$ の上で $\partial_1Y=A_1Y$ を $Y(c_1,c_2)=Y_0$ で解き、各 $u^1$ について $\partial_2Y=A_2Y$ をその値から解く。線形常微分方程式 の定理「解の存在と解空間」により解は区間全体で一意に存在し、初期値への滑らかな依存性 の系「パラメータへの依存性」により $Y$ は滑らかである。$Z:=\partial_1Y-A_1Y$ とおくと $\partial_2Z=\partial_1(A_2Y)-(\partial_2A_1)Y-A_1A_2Y=A_2Z+CY=A_2Z$ で、$Z(u^1,c_2)=0$ なので一意性から $Z=0$ である。よって $\partial_kY=A_kY$ が $U$ 全体で成り立つ。$x_1,x_2$ は $\partial_1x_2=\Gamma^l_{12}x_l+h_{12}\nu=\partial_2x_1$ を満たすので、同じく $u^1$、$u^2$ の順に積分して $\partial_ix=x_i$ となる $x$ がとれる。
段 3(内積).$Y_0$ を、$\langle x_i,x_j\rangle=g_{ij}(p_0)$、$\nu\perp x_i$、$|\nu|=1$、$\nu$ が $x_1\times x_2$ と同じ向きになるようにとる($g(p_0)$ が正定値なのでとれる)。$G:=(\langle Y_a,Y_b\rangle)$ は $\partial_kG=A_kG+GA_k^{\mathsf T}$ を満たす。$G^*:=\begin{pmatrix}g&0\\0&1\end{pmatrix}$ もこれを満たす:$(j,m)$ 成分は $\Gamma^l_{kj}g_{lm}+\Gamma^l_{km}g_{jl}=\partial_kg_{jm}$(Riemann 接続の計量との両立)、$(j,3)$ 成分は $h_{kj}-g_{jl}h_k{}^l=0$、$(3,3)$ 成分は $0$ である。段 2 と同じく 2 本の線分に沿う一意性から $G=G^*$ である。よって $x_1,x_2$ は 1 次独立で $x$ ははめ込み、第 1 基本形式は $g$、$\nu$ は単位法ベクトルで、$\nu=\pm x_1\times x_2/|x_1\times x_2|$ の符号は連続で $p_0$ で $+$ なので常に $+$ である。$\langle\partial_ix_j,\nu\rangle=h_{ij}$ も (F) から従う。
段 4(一意性).$x,\tilde x$ の $p_0$ での枠はどちらも内積の行列が $G^*(p_0)$ で、右手系である。よって $A\in SO(3)$ で $A$ が一方を他方に写すものがある。$Ax$ の枠は $A$ が外積を保つので $(Ax_1,Ax_2,A\nu)$ で、$\tilde x$ の枠と同じ方程式 $\partial_kY=A_kY$ と同じ初期値をもつので、段 2 の一意性から一致する。$\partial_i(\tilde x-Ax)=0$ なので $\tilde x-Ax$ は定数 $b$ である。$\square$
平面の開集合のどの点も長方形の近傍をもつので、1 から、Gauss–Codazzi 方程式を満たす $g,h$ は各点の近くで曲面片として実現される。超曲面 $M^n\subset\mathbb R^{n+1}$ でも Gauss・Codazzi の方程式が局所的な存在の十分条件になる(主張は Lee18 p. 245。この記事では証明しない)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| Codazzi の方程式 | $\mathbb R^2$ 上の $g=du^2+dv^2$、$h=v\,du^2$ | $g,h$ を基本形式とする曲面片がある |
| Gauss の方程式 | $\mathbb R^2$ 上の $g=du^2+dv^2$、$h=du^2+dv^2$ | $g,h$ を基本形式とする曲面片がある |
| 第 2 基本形式も一致する($g$ だけ一致させる) | 平面と円柱(ex-gce-examples の (2)(3)) | 合同を除いて一意である |
| 定義域が長方形である | 環状領域 $\{1< \lvert w\rvert< e\}$ に写した螺旋面の $g,h$ | $g,h$ を基本形式とするはめ込みが定義域全体の上にある |
| 外の空間が平坦である | 単位球面 $S^3$ の中のトーラス $T_a$(下の確かめ) | 断面曲率 $=\det s$ |
1 行目:$\Gamma=0$ で $h_{11}h_{22}-h_{12}^2=0=R_{1212}$ なので Gauss の方程式は成り立つが、$\partial_2h_{11}-\partial_1h_{12}=1\neq0$ で Codazzi の方程式が成り立たない。曲面片があれば cor-gce-hypersurface により Codazzi の方程式が成り立つので、どの開集合の上にも曲面片はない。
2 行目:Codazzi の方程式は成り立つが、$\det h=1\neq0=R_{1212}$ である。
4 行目:Gauss曲率 の例「懸垂面と螺旋面」の螺旋面 $y(u,v)=(\sinh u\cos v,\ \sinh u\sin v,\ v)$ では、$\nu=(\sin v,-\cos v,\sinh u)/\cosh u$ について $g=\cosh^2u\,(du^2+dv^2)$、$h=-2\,du\,dv$ で、どちらも $v$ によらない。よって $w=e^{u+iv}$ で環状領域 $\{1< |w|< e\}$ の上の $g,h$ が定まり、Gauss–Codazzi 方程式を満たす。これを実現する $x$ が環状領域全体の上にあれば、$x(e^{u+iv})$ は長方形 $(0,1)\times\mathbb R$ の上で $g,h$ を実現するので、thm-gce-bonnet の 2 により $Ay+b$ に等しい。左辺は $v$ について周期 $2\pi$ だが、$y(u,v+2\pi)=y(u,v)+(0,0,2\pi)$ なので右辺はそうでない。矛盾する。
5 行目:$0< a< \pi/2$ とし、$T_a=\{(\cos a\cos\theta,\ \cos a\sin\theta,\ \sin a\cos\phi,\ \sin a\sin\phi)\}$ とする。誘導計量 $\cos^2a\,d\theta^2+\sin^2a\,d\phi^2$ は平坦で、断面曲率は $0$ である。$S^3$ の中の単位法ベクトル $N=(-\sin a\cos\theta,-\sin a\sin\theta,\cos a\cos\phi,\cos a\sin\phi)$ について、座標曲線の加速度と $N$ の内積から主曲率は $\tan a$ と $-\cot a$ で、$\det s=-1$ である。cor-gce-hypersurface の第 1 式では $\bar R$ の項(断面曲率 $1$)が加わり、$0=1+(-1)$ となる。
内在的な量と外在的な量。 ex-gce-examples の平面と円柱のように、第 1 基本形式だけでは曲面は決まらない。thm-gce-bonnet は、第 1・第 2 基本形式の組が曲面を合同を除いて決めること、そしてその組に課される条件が Gauss–Codazzi 方程式で尽きることを述べている。Gauss 曲率は第 1 基本形式で決まるが(thm-gce-egregium)、平均曲率は決まらない。
全測地的・全臍的部分多様体。 全測地的部分多様体 と 全臍的部分多様体 の曲率に関する結果は、thm-gce-gauss と thm-gce-codazzi に $\mathrm{II}=0$ や $\mathrm{II}=g\otimes H$ を代入して得られる。
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