平方数(square number)とは、ある整数 $n$ の二乗 $n^2$ として書ける整数のことであり、完全平方ともいう。$0,1,4,9,16,25,\dots$ がその列で、隣り合う平方数の差 $2n+1$ は奇数の列をなす。正の整数が平方数であることは素因数分解のすべての指数が偶数であることと同値であり、これから非負整数 $n$ について $\sqrt{n}$ が有理数になるのは $n$ が平方数のときに限ることが従う。平方数を $4$ で割った余りは $0,1$、$8$ で割った余りは $0,1,4$ に限られ、奇素数 $p$ を法とする平方数の余りはちょうど $(p+1)/2$ 種類で、これが平方剰余の理論の出発点である。整数を平方数の和として表す問題では、二つの平方数の和の特徴づけ(Fermat)と Lagrange の四平方定理が基本である。
整数 $x$ が平方数(square number)であるとは、ある整数 $n$ が存在して $x=n^2$ となることをいう。完全平方(perfect square)ともいう。$x=n^2=(-n)^2$ なので、$n$ は非負整数にとれる。
平方数は $0$ 以上である。$0=0^2$ は平方数であるが、文脈によっては $0$ を除いて正の平方数だけを平方数と呼ぶことがある。
平方数は「一辺 $n$ の正方形に並ぶ点の個数」であり、$0,1,4,9,16,\dots$ と続く。隣り合う平方数の差 $(n+1)^2-n^2=2n+1$ は奇数の列 $1,3,5,\dots$ をなすので、平方数は間隔を広げながらまばらに分布する。整数の素因数分解から見れば、平方数とはすべての素因数の指数が偶数である数のことであり、この見方から「$\sqrt{n}$ が有理数になるのは $n$ が平方数のときに限る」という基本的な事実が従う。合同式から見れば、平方数を $4$ や $8$ で割った余りは限られた値しかとらず、これが「ある整数が平方数でない」「平方数の和で書けない」ことを示す最も簡単な道具になる。整数を法とする平方数の余りを調べることは平方剰余の理論の出発点である。
平方数を小さい順に並べると $0,1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,\dots$ である(OEIS290)。$10000=100^2$ は平方数であり、$9802$ 以上 $10200$ 以下の整数のうち平方数は $10000$ だけである(prop-square-number-gap)。
非負整数 $n$ に対し $(n+1)^2-n^2=2n+1$ である。したがって、正の平方数 $x=n^2$ に対し、$x-2\sqrt{x}+2\le y\le x+2\sqrt{x}$ を満たす整数 $y\ne x$ は平方数でない。
第 1 の等式は展開すればよい。$x=n^2$($n\ge1$)とすると $\sqrt{x}=n$ であり、$x$ の直前の平方数は $(n-1)^2=x-2n+1< x-2n+2$、直後の平方数は $(n+1)^2=x+2n+1>x+2n$ である。よって区間 $[x-2n+2,\ x+2n]$ に含まれる平方数は $x$ だけである。$\square$
正の整数 $n$ について、$n$ が平方数であることと、$n$ の素因数分解 $n=p_1^{e_1}\cdots p_r^{e_r}$($p_i$ は相異なる素数)に現れる指数 $e_1,\dots,e_r$ がすべて偶数であることとは同値である。
指数がすべて偶数なら $m:=p_1^{e_1/2}\cdots p_r^{e_r/2}$ は整数で $n=m^2$ である。逆に $n=m^2$($m\ge1$)とし、$m=p_1^{f_1}\cdots p_r^{f_r}$($f_i\ge0$)と書くと $n=p_1^{2f_1}\cdots p_r^{2f_r}$ である。素因数分解の一意性により $e_i=2f_i$ であり、すべて偶数である。$\square$
$n$ が平方数なら $\sqrt{n}$ は非負整数であり有理数である。逆に $\sqrt{n}=a/b$($a\ge0$、$b\ge1$ は整数)とすると $nb^2=a^2$ である。$n=0$ なら平方数である。$n\ge1$ のとき $a\ge1$ であり、素数 $p$ に対して正の整数 $k$ の素因数分解における $p$ の指数を $v_p(k)$(p進付値)と書くと、素因数分解の一意性により $v_p(n)+2v_p(b)=2v_p(a)$ となる。よって $v_p(n)=2(v_p(a)-v_p(b))$ はすべての $p$ について偶数であり、prop-square-number-exponents により $n$ は平方数である。$\square$
整数 $n$ について次が成り立つ。
$n=2k$ なら $n^2=4k^2\equiv0\pmod 4$ であり、$n=2k+1$ なら $n^2=4k(k+1)+1$ である。$k(k+1)$ は連続する 2 整数の積なので偶数であり、$n^2\equiv1\pmod 8$、特に $n^2\equiv1\pmod 4$ である。偶数 $n=2k$ については $n^2=4k^2$ であり、$k$ が偶数なら $8\mid n^2$、奇数なら $k^2\equiv1\pmod 8$ より $n^2\equiv4\pmod 8$ である。$\square$
prop-square-number-mod-4-8 により平方数の法 $4$ での剰余は $0,1$ に限るので、二つの和の剰余は $0,1,2$ に限る。平方数の法 $8$ での剰余は $0,1,4$ に限るので、三つの和の剰余は $\{a+b+c\mid a,b,c\in\{0,1,4\}\}$ を $8$ で割った余り、すなわち $0,1,2,3,4,5,6$ に限り、$7$ は現れない。$\square$
$p$ を奇素数とする。平方数を $p$ で割った余りとして現れる値はちょうど $(p+1)/2$ 個である。すなわち、$0$ と、$1,2,\dots,p-1$ のうち $p$ を法として平方数に合同なもの $(p-1)/2$ 個である。
$n^2$ の $p$ での余りは $n$ の $p$ での余りだけで決まるので、$n=0,1,\dots,p-1$ について $n^2\bmod p$ を調べればよい。$n=0$ は余り $0$ を与え、$1\le n\le p-1$ のとき $p\nmid n^2$ なので余りは $0$ でない。$1\le x,y\le p-1$ について $x^2\equiv y^2\pmod p$ は $p\mid(x-y)(x+y)$ と同値であり、$p$ が素数なので $x\equiv y$ または $x\equiv-y\pmod p$ と同値である。$p$ が奇数なので $y\not\equiv-y\pmod p$ であり、$y$ と $p-y$ は $\{1,\dots,p-1\}$ の相異なる元である。よって $x\mapsto x^2\bmod p$ は $\{1,\dots,p-1\}$ から $\{1,\dots,p-1\}$ への 2 対 1 の写像であり、その像はちょうど $(p-1)/2$ 個からなる。$0$ を合わせて $(p+1)/2$ 個である。$\square$
$n=0,1,\dots,6$ に対し $n^2\bmod 7$ は $0,1,4,2,2,4,1$ である。よって平方数を $7$ で割った余りは $0,1,2,4$ の $4=(7+1)/2$ 種類であり、$3,5,6$ は現れない。
$p$ を奇素数、$q$ を $p$ で割り切れない整数とする。$q$ がある平方数と $p$ を法として合同であるとき $q$ を $p$ を法とする平方剰余といい、そうでないとき平方非剰余という。prop-square-number-mod-p は、奇素数 $p$ に対し平方剰余と平方非剰余が $1,\dots,p-1$ の中にそれぞれ $(p-1)/2$ 個ずつあることを示している。$q$ が平方剰余なら $1$、平方非剰余なら $-1$、$p\mid q$ なら $0$ を値とする記号 $\left(\frac{q}{p}\right)$ を Legendre記号 といい、二つの奇素数 $p,\ell$ に対する $\left(\frac{\ell}{p}\right)$ と $\left(\frac{p}{\ell}\right)$ の関係を与えるのが平方剰余の相互法則である(HW08 Chapter VI)。
1 は Fermat による(Fermatの二平方定理)。証明は HW08 §20.2–20.4(Theorem 366)に譲る。2 の証明は HW08 §20.2(Theorem 366)および恒等式 $(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac-bd)^2+(ad+bc)^2$ による。1 の「$p\equiv3\pmod 4$ なら書けない」の向きは cor-square-number-mod-applications で示した。
$360=2^3\cdot3^2\cdot5$ は、指数が奇数の素因数が $2$ と $5$($5\equiv1\pmod 4$)だけなので二つの平方数の和として書け、実際 $360=6^2+18^2$ である。一方 $120=2^3\cdot3\cdot5$ は素因数 $3\equiv3\pmod 4$ の指数が $1$ で奇数なので二つの平方数の和として書けない。実際、$120$ 以下の平方数 $0,1,4,\dots,100$ のどれを $120$ から引いても平方数にならないことが直接確かめられる。
すべての非負整数は四つの平方数の和として書ける。
証明は HW08 §20.5(Theorem 369)に譲る(Lagrangeの四平方定理)。cor-square-number-mod-applications により $7$ は三つの平方数の和では書けないので、「四つ」を「三つ」に減らすことはできない。三つの平方数の和として書ける整数の特徴づけ(Legendreの三平方定理)は Legendre による(HW08 §20.10)。
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