平方数(へいほうすう、square number)とは、ある整数 $n$ の二乗 $n^2=n\times n$ としてあらわせる数のことをいう。非常に古くから平方数については調べられてきたが、そのなかでも特に整数論的に重要な定理のひとつに、平方剰余の相互法則がある。また、整数論における重要な理論である類体論はある意味でこの平方剰余の相互法則の一般化を導くものである。
整数 $x$ が平方数 (square number) であるとは、以下が成り立つことをいう。
平方数を小さい順にいくつか列挙する:$0$, $1$, $4$, $9$, $16$, $25$, $\ldots$ は自然数である。さらに詳しくは https://oeis.org/A000290 も参照されたい。
平方数は非負整数である。(より一般には、実数の二乗として表せる数は負の数ではない。)
平方数 $x$ について、$x-2\sqrt{x}+2$ 以上でありかつ $x+2\sqrt{x}$ 以下であるような整数 $y\neq x$ は平方数ではない。例として、$9802$ 以上 $10200$ 以下の平方数は $10000$ のみであることがわかる。
奇素数 $p$ を具体的にひとつとる(例えば、$3$, $7$, $1000000007$ などが身近な例であろう)。このとき平方数 $x$ について、$x$ を $p$ で割った余りの種類は、ちょうど $\frac{p+1}{2}$ 個存在する。実際に $p=7$ のケースでは、平方数は法 $p$ で $0$, $1$, $2$, $4$ の $4$ 種類の値を取る。
$p$ は素数、$q$ は整数であるとする。$q$ が法 $p$ で平方剰余 (quadratic residue) であるとは、ある平方数 $x$ であって $x-q$ が $p$ の倍数となるものが存在することをいう。また、$q$ が法 $p$ で平方剰余でないとき、平方非剰余 (quadratic nonresidue) であるという。
平方剰余記号とは、$(\frac{q}{p})$ の形で表される、$1$ または $-1$ または $0$ を値にもつ記号である。
詳しくは 「初等整数論」平方剰余 を参照。
$p$ が素数であるとき、$p$ が $2$つの平方数の和であらわされるための必要十分条件は $p=2$ あるいは $p$ を $4$ で割った余りが $1$ となることである。
一般に、正の整数 $n$ が $2$つの平方数の和であらわされるための必要十分条件は、$n$ をちょうど奇数回割り切る素因数 $p$ がすべて先述の条件を満足することである。たとえば $360=2^3\times 3^2\times 5$ は $360=6^2+18^2$ と $2$ つの平方数の和であらわされるが、$120=2^3\times 3\times 5$ は($3$ で $1$ 回しか割れないので) $2$ つの平方数の和であらわされない。
すべての非負整数は $4$ つの平方数の和であらわされる (Lagrangeの四平方数定理)。