円順列とじゅず順列

同義語:円順列じゅず順列数珠順列circular permutation

概要

円順列とじゅず順列(circular permutations)とは、ものを円周上に並べ、回して重なる並べ方を同じとみなしたもの(円順列)と、さらに裏返して重なるものも同じとみなしたもの(じゅず順列)である。異なる $n$ 個のものの円順列は $(n-1)!$ 通りで、これは $n!$ 通りの並べ方が、回転で移り合う $n$ 個ずつの類に分かれることによる。じゅず順列は $n\ge3$ のとき $\frac{(n-1)!}{2}$ 通りで、裏返しがどの円順列も別の円順列に移すことによる。同じ色の玉を含むと類の大きさがそろわず、一般には $n$ で割れない(色ごとの個数の最大公約数が $1$ なら割ってよい)。じゅず順列でも、裏返しで変わらない円順列は組にならず、単純には 2 で割れない。大学では巡回群・二面体群の作用の軌道として見直され、Burnside の補題につながる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 順列, 階乗

高校での出発点:円卓に座る

4 人 A, B, C, D が一列に並ぶ並び方は $4!=24$ 通りある。では、丸いテーブル(円卓)のまわりの 4 つの席に座る座り方は何通りか。円卓では、全員が同じ向きに 1 席ずつずれても、だれの右隣がだれかという関係は変わらない。そこで、全員を回して重なる座り方は同じとみなす。このように数えた並べ方を 円順列 という。高校では「$n$ 人の円順列は $(n-1)!$ 通り」と習う。

4 人の円順列

A の席を上に決めてしまう。残りの 3 つの席に、上から時計回りに B, C, D をどう並べるかで座り方が決まる。並べ方は $3!=6$ 通りで、上から時計回りに読むと
$$ ABCD,\quad ABDC,\quad ACBD,\quad ACDB,\quad ADBC,\quad ADCB $$
である。一列に並ぶ $24$ 通りと比べると、$24\mathbin{÷}4=6$ で、ちょうど $\frac14$ になっている。

首飾りのように、輪を裏返してもよいときは、さらに数が減る。異なる $n$ 個の玉を糸に通して輪にしたものを じゅず順列 という。高校では「$n\ge3$ のとき $\dfrac{(n-1)!}{2}$ 通り」と習う。

4 個の玉のじゅず順列

異なる 4 個の玉 A, B, C, D で輪を作る。ex-cp-table4 の 6 通りのうち、裏返すと重なるものが 2 つずつ組になる。A を上に置いたまま左右を入れ替えると、時計回りの順が逆になるので
$$ ABCD \leftrightarrow ADCB,\qquad ABDC \leftrightarrow ACDB,\qquad ACBD \leftrightarrow ADBC $$
の 3 組になる。じゅず順列は $\dfrac{6}{2}=3$ 通りで、$\dfrac{(4-1)!}{2}=3$ と一致する。

この記事で答える問いは次の 5 つである。

  1. 「回して重なるものは同じ」とは、式で書くとどういうことか。→ def-cp-circular
  2. 円順列が $(n-1)!$ 通り、つまり一列の並べ方のちょうど $\frac1n$ になるのはなぜか。→ thm-cp-count、lem-cp-class-size
  3. じゅず順列で 2 で割ってよいのはなぜか。$n\ge3$ という条件はどこで使うのか。→ lem-cp-mirror、thm-cp-bead
  4. 同じ色の玉を含むとき、$n$ で割ってよいのはいつか。→ prop-cp-coprime
  5. 同じ色の玉を含むじゅず順列では、2 で割る計算をどう直せばよいか。→ prop-cp-bead-general
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    回して重なるものは同じとみなす回転で移り合う並べ方の類巡回群の作用の軌道(群作用)
    1 人を固定して $(n-1)!$どの類にも「A が上の席」の並べ方がちょうど 1 つ軌道の代表元
    $n!$ を $n$ で割るどの類もちょうど $n$ 個の並べ方からなる自由な作用では軌道の大きさは群の位数
    じゅず順列は 2 で割る裏返しで円順列が 2 つずつ組になる二面体群 の作用
    同じ色を含むと割り算が崩れる類の大きさがそろわない軌道の大きさが違う。Burnsideの補題
    同じ色を含むじゅず順列は単純に 2 で割れない裏返しで変わらない円順列は組にならない二面体群の軌道の大きさが違う

円順列を定義する

円周上に等しい間隔で $n$ 個の席があり、上の席から時計回りに $0,1,2,\dots,n-1$ と番号をつける。席 $i$ に置くものを $a_i$ と書き、並べ方を $(a_0,a_1,\dots,a_{n-1})$ と表す。ex-cp-table4 の「$ABCD$」は、$(a_0,a_1,a_2,a_3)=(A,B,C,D)$ のことである。
席の番号は $n$ で割った余りで考える。たとえば $n=4$ なら、席 $4$ は席 $0$、席 $-1$ は席 $3$ のことである。

円順列

$n$ を正の整数とし、$n$ 個のものを円周上の $n$ 個の席に 1 つずつ置く。並べ方 $a=(a_0,a_1,\dots,a_{n-1})$ に対し、全員を 1 席ずつずらした並べ方
$$ r(a):=(a_1,a_2,\dots,a_{n-1},a_0) $$
を $a$ の 回転 という。$r(a)$ の席 $i$ には、$a$ の席 $i+1$ にあったものが来る。$r$ を $m$ 回くり返したものを $r^m$ と書く($r^0(a)=a$)。$r^m(a)$ の席 $i$ には $a_{i+m}$ がある(添字は $n$ で割った余り)。
2 つの並べ方 $a,b$ について、ある整数 $m$($0\le m\le n-1$)で $b=r^m(a)$ となるとき、$a$ と $b$ は 円順列として同じ という。円順列として同じ並べ方をひとまとめにしたものを、$a$ の 類 と呼び $C(a)$ と書く。類の 1 つ 1 つを 円順列 という。

$r^n(a)$ の席 $i$ には $a_{i+n}=a_i$ があるので、$r^n(a)=a$ である。$n$ 回ずらすと 1 周して元に戻る。

3 人の円順列を書き出す

A, B, C の一列の並べ方は $3!=6$ 通りある。$a=(A,B,C)$ を回すと
$$ r(a)=(B,C,A),\qquad r^2(a)=(C,A,B),\qquad r^3(a)=(A,B,C)=a $$
である。$(A,C,B)$ を回すと $(C,B,A)$、$(B,A,C)$ になる。6 通りは
$$ C(ABC)=\{ABC,\ BCA,\ CAB\},\qquad C(ACB)=\{ACB,\ CBA,\ BAC\} $$
の 2 つの類に分かれ、どちらも 3 個ずつからなる。3 人の円順列は 2 通りで、$(3-1)!=2$ と一致する。

並べ方 (A, B, C, D) を 1 席ずつ回すと 4 つの並べ方ができ、これが 1 つの円順列(類)になる 並べ方 (A, B, C, D) を 1 席ずつ回すと 4 つの並べ方ができ、これが 1 つの円順列(類)になる
図 1 は、$(A,B,C,D)$ を回してできる 4 つの並べ方である。どれも「A の時計回りの次が B、その次が C、その次が D」という関係を保っている。
「円順列として同じ」は、ものを類に分ける正しい分け方になっている。つまり、どの並べ方もちょうど 1 つの類に入る。

類への分け方がきちんとしていること

次の 3 つが成り立つ。

  • $a$ 自身は $a$ と同じ($a=r^0(a)$)。
  • $b=r^m(a)$ なら、$b$ をさらに $n-m$ 回ずらすと $r^{n-m}(b)=r^{n}(a)=a$ なので、$a$ は $b$ と同じ。
  • $b=r^m(a)$、$c=r^k(b)$ なら、$c=r^{m+k}(a)$ で、$m+k$ を $n$ で割った余りを $j$ とすると $r^{m+k}(a)=r^j(a)$($n$ 回ずらすと元に戻るから)なので、$c$ は $a$ と同じ。
    この 3 つの性質をもつ「同じ」は 同値関係 と呼ばれ、同値関係があると、全体は互いに重ならない類に分かれる。とくに、$b$ が $C(a)$ に入るなら $C(b)=C(a)$ である。

主定理 1:円順列の数

円順列の数

$n$ を正の整数とする。異なる $n$ 個のものの円順列は $(n-1)!$ 通りある。

高校数学で解く:1 人を固定する

1 つのものを上の席に固定する

方針:どの類にも「特定のもの X が席 $0$ にある並べ方」がちょうど 1 つ入ることを示す。すると、類の個数は「X が席 $0$ にある並べ方」の個数に等しい。
段 1(X が席 $0$ に来る並べ方が類の中にある)。並べ方 $a$ で X が席 $j$ にあるとする。$r^j(a)$ の席 $0$ には $a_{0+j}=a_j=\mathrm{X}$ がある。よって、類 $C(a)$ には X が席 $0$ にある並べ方 $r^j(a)$ が入っている。
段 2(そのような並べ方は類に 1 つだけ)。同じ類に、X が席 $0$ にある並べ方 $b$ と $c$ があるとする。同じ類なので $c=r^m(b)$($0\le m\le n-1$)と書ける。$c$ の席 $0$ には $b_m$ があり、それが X である。一方 $b$ の席 $0$ も X である。$n$ 個のものはすべて異なるので、X は $b$ の中に 1 回しか現れず、$b_m=b_0$ から $m=0$ である。よって $c=r^0(b)=b$ である。
段 3(数える)。段 1・段 2 から、類と「X が席 $0$ にある並べ方」は 1 対 1 に対応する。X を席 $0$ に置いたあと、残りの $n-1$ 個を席 $1,\dots,n-1$ に並べる方法は $(n-1)!$ 通りある。よって円順列は $(n-1)!$ 通りである。$\square$

ex-cp-table4 で「A の席を上に決めた」のは、この証明の段 1〜段 3 を実際に行ったことになる。

大学数学で見る:どの類も同じ大きさ

もう 1 つの見方は、$n!$ 通りの並べ方を類に分け、どの類も同じ大きさであることを使うものである。

類の大きさ

$n$ 個のものがすべて異なるとき、どの並べ方 $a$ についても、$n$ 個の並べ方 $r^0(a),r^1(a),\dots,r^{n-1}(a)$ はすべて異なる。したがって類 $C(a)$ はちょうど $n$ 個の並べ方からなる。

同じになったら 1 周している

方針:2 つが同じだと仮定して、同じものが 2 回現れることを導く。
段 1。$0\le j< k\le n-1$ で $r^j(a)=r^k(a)$ だったとする。両辺をさらに $n-k$ 回ずらすと、$r^{j+n-k}(a)=r^n(a)=a$ となる。$m:=j+n-k$ とおくと、$j< k$ から $m\le n-1$、$j\ge0$ と $k\le n-1$ から $m\ge1$ である。
段 2。$r^m(a)=a$ の席 $0$ を比べると、左辺の席 $0$ には $a_m$、右辺の席 $0$ には $a_0$ があるので $a_m=a_0$ である。$1\le m\le n-1$ なので席 $m$ と席 $0$ は別の席であり、同じものが 2 つの席にあることになる。これは $n$ 個のものがすべて異なることに反する。
段 3。よって $r^0(a),\dots,r^{n-1}(a)$ はすべて異なる。def-cp-circular により $C(a)$ はこの $n$ 個からなるので、ちょうど $n$ 個である。$\square$

lem-cp-class-size から thm-cp-count がもう一度出る。$n!$ 通りの並べ方は、rem-cp-equivalence により互いに重ならない類に分かれ、どの類もちょうど $n$ 個からなる。類が $q$ 個なら $n!=q\times n$ なので
$$ q=\frac{n!}{n}=(n-1)! $$
である。「全体を同じ大きさのかたまりに分けると、かたまりの個数は全体÷かたまりの大きさ」という考え方は、組合せの数 $\dbinom nk=\dfrac{n!}{k!\,(n-k)!}$ を導くときにも使う(場合の数の数え方の体系)。

円順列の数を表にする

$n=3,4,5,6$ のとき、一列の並べ方 $n!$、類の大きさ $n$、円順列の数 $(n-1)!$ は次のとおりである。

$n$$n!$類の大きさ円順列 $(n-1)!$
$3$$6$$3$$2$
$4$$24$$4$$6$
$5$$120$$5$$24$
$6$$720$$6$$120$

どの行でも $n!=(\text{類の大きさ})\times(\text{円順列の数})$ となっている。

大学の言葉では、次のようにいう。回転 $r^0,r^1,\dots,r^{n-1}$ の全体は、「$r^j$ のあとに $r^k$ を行うと $r^{j+k}$」という積で 巡回群 になり、並べ方の集合に働く(群作用)。類はこの作用の 軌道 である。lem-cp-class-size は、「すべて異なるものを並べるときは、回転 $r^m$($1\le m\le n-1$)で動かない並べ方がない」ことを示しており、このような作用では、どの軌道の大きさも群の要素の個数 $n$ に等しい。回転や鏡映を行列で表す見方は 回転・鏡映と行列の群 で扱う。

主定理 2:じゅず順列の数

輪を裏返すと、時計回りの順が反時計回りになる。席 $0$ を上に置いたまま裏返すと、席 $i$ にあったものは席 $-i$ に移る(図 2)。

じゅず順列

$n$ 個のものの並べ方 $a=(a_0,a_1,\dots,a_{n-1})$ に対し、
$$ s(a):=(a_0,a_{n-1},a_{n-2},\dots,a_1) $$
を $a$ の 裏返し という。$s(a)$ の席 $i$ には $a_{-i}$ がある(添字は $n$ で割った余り)。
2 つの並べ方 $a,b$ について、$b$ が $a$ に回転 $r$ と裏返し $s$ を何回か(どんな順でも)行って得られるとき、$a$ と $b$ は じゅず順列として同じ という。じゅず順列として同じ並べ方をひとまとめにしたものの 1 つ 1 つを じゅず順列 という。

並べ方 (A, B, C, D) と、それを裏返した (A, D, C, B)。時計回りの順が逆になる 並べ方 (A, B, C, D) と、それを裏返した (A, D, C, B)。時計回りの順が逆になる

裏返しを計算する
  1. $a=(A,B,C,D)$ なら $s(a)=(a_0,a_3,a_2,a_1)=(A,D,C,B)$ である(図 2)。$s(a)$ は $a$ を回して得られる 4 つ(図 1)のどれとも違う。
  2. $n=3$、$a=(A,B,C)$ なら $s(a)=(A,C,B)$ である。ex-cp-three の 2 つの円順列 $C(ABC)$ と $C(ACB)$ は、裏返しで移り合う。よって 3 個の玉のじゅず順列は 1 通りしかない。

回転と裏返しをまぜて何回行っても、結果は「回転だけ」か「裏返してから回転」のどちらかにまとまる。そのための計算規則が次である。

裏返しと回転の入れ替え

どの並べ方 $a$ についても $s(r(a))=r^{n-1}(s(a))$ である。つまり、回してから裏返すことは、裏返してから逆向きに 1 席回す($n-1$ 回回す)ことと同じである。

席 $i$ の中身を比べる

方針:両辺の席 $i$ にあるものを、定義にしたがって計算する。
段 1(左辺)。$b:=r(a)$ とおくと、def-cp-circular により $b_j=a_{j+1}$ である。$s(b)$ の席 $i$ には、def-cp-necklace により $b_{-i}$ がある。$b_{-i}=a_{-i+1}$ なので、左辺の席 $i$ には $a_{1-i}$ がある。
段 2(右辺)。$c:=s(a)$ とおくと $c_j=a_{-j}$ である。$r^{n-1}(c)$ の席 $i$ には $c_{i+n-1}$ があり、添字を $n$ で割った余りで考えると $c_{i+n-1}=c_{i-1}=a_{-(i-1)}=a_{1-i}$ である。
段 3。両辺の席 $i$ にはどちらも $a_{1-i}$ があるので、両辺は等しい。$\square$

lem-cp-sr を何回も使うと、$s$ を右へ送ることができる。また $s(s(a))$ の席 $i$ には $a_{-(-i)}=a_i$ があるので、$s$ を 2 回行うと元に戻る。したがって、回転と裏返しを何回まぜても、結果は $r^k(a)$ か $r^k(s(a))$($0\le k\le n-1$)のどちらかの形になる。つまり、$a$ とじゅず順列として同じ並べ方の全体は、2 つの類の和
$$ C(a)\cup C(s(a)) $$
である。じゅず順列の数を求めるには、$C(a)$ と $C(s(a))$ が同じ類になることがあるかを調べればよい。

裏返しは別の円順列になる

$n\ge3$ とし、$n$ 個のものはすべて異なるとする。このとき、どの並べ方 $a$ についても $C(s(a))\ne C(a)$ である。つまり、裏返した並べ方は、元の並べ方をどう回しても得られない。

同じ類なら $n$ は 2 以下

方針:同じ類だと仮定して、$n\le2$ を導く(背理法)。
段 1(式にする)。$C(s(a))=C(a)$ とすると、$s(a)$ は $C(a)$ に入るので、ある $k$($0\le k\le n-1$)で $s(a)=r^k(a)$ である。両辺の席 $i$ を比べると、左辺は $a_{-i}$、右辺は $a_{i+k}$ なので、すべての $i$ について
$$ a_{-i}=a_{i+k} $$
である。
段 2(席の番号の式にする)。$n$ 個のものはすべて異なるので、同じものがある席は 1 つしかない。よって、段 1 の等式から、すべての $i$ について席 $-i$ と席 $i+k$ は同じ席である。つまり、$-i$ と $i+k$ は $n$ で割った余りが等しい。
段 3($i=0$ と $i=1$ を代入する)。$i=0$ とすると、$0$ と $k$ は $n$ で割った余りが等しく、$0\le k\le n-1$ なので $k=0$ である。$i=1$ とすると、$-1$ と $1+k=1$ は $n$ で割った余りが等しい。つまり $1-(-1)=2$ が $n$ の倍数である。
段 4(矛盾)。$2$ が $n$ の倍数になる正の整数 $n$ は $1$ と $2$ だけである。これは $n\ge3$ に反する。よって $C(s(a))\ne C(a)$ である。$\square$

じゅず順列の数

$n\ge3$ とする。異なる $n$ 個のもののじゅず順列は $\dfrac{(n-1)!}{2}$ 通りある。

円順列を 2 つずつ組にする

方針:$(n-1)!$ 通りの円順列が、裏返しで 2 つずつの組に分かれることを示す。
段 1(組の作り方)。円順列 $C(a)$ に円順列 $C(s(a))$ を対応させる。$b$ が $C(a)$ に入るなら $b=r^m(a)$ で、lem-cp-sr をくり返し使うと $s(b)$ は $r^k(s(a))$ の形になり、$C(s(a))$ に入る。よって $C(s(b))=C(s(a))$ で、対応の行き先は $C(a)$ の中からどの並べ方を選んでも同じである。
段 2(組は 2 つずつ)。$s(s(a))=a$ なので、$C(s(a))$ に対応するのは $C(a)$ である。つまり $C(a)$ と $C(s(a))$ は互いに相手に対応する。lem-cp-mirror により $C(s(a))\ne C(a)$ なので、この 2 つは異なる。よって、円順列全体は、互いに重ならない 2 個ずつの組に分かれる。
段 3(数える)。lem-cp-sr の後に見たとおり、1 つのじゅず順列は $C(a)\cup C(s(a))$、つまり 1 つの組にあたる。組の個数は、thm-cp-count の $(n-1)!$ を 2 で割った $\dfrac{(n-1)!}{2}$ である。$\square$

じゅず順列の数
  1. $n=3$:$\dfrac{2!}{2}=1$ 通り(ex-cp-flip (2))。
  2. $n=4$:$\dfrac{3!}{2}=3$ 通り(ex-cp-bead4)。
  3. $n=5$:$\dfrac{4!}{2}=12$ 通り。$n=6$:$\dfrac{5!}{2}=60$ 通り。
    全部の場合を書き出して数えると、$n=3,4,5,6,7$ で $1,3,12,60,360$ 通りになり、公式と一致する。

大学の言葉では、回転 $r^k$ と「裏返してから回す」$r^k s$ の $2n$ 個の操作は 二面体群 と呼ばれる群になる。lem-cp-sr の $sr=r^{n-1}s$ は、この群の積の規則である。lem-cp-class-size と lem-cp-mirror を合わせると、$n\ge3$ ですべて異なるものを並べるときは、どの軌道もちょうど $2n$ 個の並べ方からなり、じゅず順列の数は $\dfrac{n!}{2n}=\dfrac{(n-1)!}{2}$ になる。

円順列を使う計算

thm-cp-count の証明の「1 つを固定する」考え方は、条件つきの円順列でもそのまま使える。

男女が交互に座る

男性 3 人 a, b, c と女性 3 人 X, Y, Z が、6 席の円卓に男女交互に座る座り方を数える。
段 1。男性 a を席 $0$ に固定する(prf-cp-count の段 1・段 2 により、どの座り方の類にも a が席 $0$ のものがちょうど 1 つある)。
段 2。交互に座るので、男性は席 $0,2,4$、女性は席 $1,3,5$ に座る。残りの男性 b, c を席 $2,4$ に並べる方法は $2!=2$ 通りである。
段 3。女性 3 人を席 $1,3,5$ に並べる方法は $3!=6$ 通りである。
よって $2\times6=12$ 通りである。全部の類を書き出して数えても $12$ 通りになる。

特定の 2 人が隣り合う

6 人 A, B, C, D, X, Y が円卓に座るとき、X と Y が隣り合う座り方を数える。
段 1。X と Y をひとかたまりにして 1 人とみなすと、5 人の円順列になり、$(5-1)!=24$ 通りである。
段 2。かたまりの中で X と Y の順(時計回りに X, Y か Y, X か)が $2$ 通りある。
よって $24\times2=48$ 通りである。6 人の円順列は全部で $5!=120$ 通りなので、X と Y が隣り合わない座り方は $120-48=72$ 通りである。どちらの数も、全部の類を書き出して確かめた。

5 人から 3 人を選んで円卓に座らせる

5 人から 3 人を選び、3 席の円卓に座らせる方法を数える。選び方が $\dbinom53=10$ 通り、選んだ 3 人の円順列が $(3-1)!=2$ 通りなので、$10\times2=20$ 通りである。
別の数え方:5 人から 3 人を選んで一列に並べる順列は ${}_5\mathrm{P}_3=5\cdot4\cdot3=60$ 通りで、lem-cp-class-size と同じ理由で、回して重なるものが $3$ 個ずつ類になる。$60\mathbin{÷}3=20$ で一致する。
ここで使った $\dbinom53$ や、あとの ex-cp-burnside の $\dbinom63$ は 二項係数 であり、その値の求め方や性質は 二項定理と組合せの恒等式 で扱う。

割り算が効かないとき:同じものを含む円順列とじゅず順列

同じ色の玉を含むときは、$n$ で割る方法がそのままでは使えない。lem-cp-class-size の証明の段 2 で「同じものが 2 つの席にあることはない」を使っており、同じ色の玉があるとこの段が成り立たないからである。

赤 2 個と白 2 個

赤玉 2 個と白玉 2 個を円周上の 4 つの席に置く。同じ色の玉は区別しない。一列に並べる方法は、4 つの席から赤玉の席 2 つを選ぶので $\dbinom42=6$ 通りある。これを $4$ で割ると $1.5$ になり、整数にならない。
実際に類に分けると(図 3)、
$$ C(RRWW)=\{RRWW,\ RWWR,\ WWRR,\ WRRW\},\qquad C(RWRW)=\{RWRW,\ WRWR\} $$
の 2 通りである(R は赤、W は白)。$RWRW$ は 2 席回すと自分自身に戻るので、その類は 2 個の並べ方しか含まない。類の大きさが $4$ と $2$ でそろわないので、全体を $4$ で割っても類の個数は出ない。

赤 2 個・白 2 個の並べ方 6 通りは、4 個からなる類と 2 個からなる類に分かれる 赤 2 個・白 2 個の並べ方 6 通りは、4 個からなる類と 2 個からなる類に分かれる
では、どんなときなら $n$ で割ってよいか。色ごとの個数の最大公約数(整数の割り算と互除法)が $1$ なら割ってよい。

個数が互いに素なら $n$ で割ってよい

$m$ 種類の色の玉が、それぞれ $k_1,k_2,\dots,k_m$ 個($k_1+\cdots+k_m=n$、各 $k_j\ge1$)ある。同じ色の玉は区別しない。$k_1,\dots,k_m$ の最大公約数が $1$ なら、どの並べ方 $a$ についても類 $C(a)$ はちょうど $n$ 個の並べ方からなり、円順列の数は
$$ \frac1n\cdot\frac{n!}{k_1!\,k_2!\cdots k_m!} $$
である。

回して戻るなら個数がそろう

方針:ある回転 $r^t$($1\le t\le n-1$)で $r^t(a)=a$ となる並べ方があると仮定し、すべての $k_j$ が $2$ 以上の同じ数 $L$ の倍数になることを示す。これは最大公約数が $1$ であることに反する。
段 1(席を列に分ける)。$r^t(a)=a$ とする。席 $i$ を比べると $a_{i+t}=a_i$ なので、席 $i$、$i+t$、$i+2t$、…(番号は $n$ で割った余り)には同じ色の玉がある。席 $i$ から $t$ ずつ進んで初めて席 $i$ に戻るまでの席の列を「席 $i$ の列」と呼ぶ。
段 2(列の長さはすべて $L$)。席 $i$ から $h$ 歩進むと席 $i+ht$ に着く。これが席 $i$ に戻るのは、$ht$ が $n$ の倍数のときであり、この条件は $i$ によらない。そこで、$ht$ が $n$ の倍数になる最小の正の整数 $h$ を $L$ とすると、どの列もちょうど $L$ 個の席からなる。$t$ は $n$ の倍数でないので $h=1$ では戻らず、$L\ge2$ である。
段 3(列は重ならない)。席 $j$ が席 $i$ の列に入っているとし、$j=i+ht$ とする。席 $j$ から $g$ 歩進んだ席は $i+(h+g)t$ で、席 $i$ の列の席である。したがって席 $j$ の列は席 $i$ の列に含まれ、どちらも $L$ 個の席からなるので同じ列である。よって、2 つの列は同じか、共通の席をもたないかのどちらかであり、$n$ 個の席は長さ $L$ の列に分かれる。
段 4(個数を数える)。段 1 により、1 つの列の席にはすべて同じ色の玉がある。よって、色 $j$ の玉がある席は、いくつかの列をまるごと合わせたものであり、その個数 $k_j$ は $L$ の倍数である。これがすべての $j$ で成り立つので、$L$ は $k_1,\dots,k_m$ の公約数である。最大公約数が $1$ なので $L=1$ となり、段 2 の $L\ge2$ に反する。
段 5(結論)。よって $1\le t\le n-1$ で $r^t(a)=a$ となることはない。prf-cp-class-size の段 1 と同じく、$r^j(a)=r^k(a)$($0\le j< k\le n-1$)なら $r^{j+n-k}(a)=a$ となって今示したことに反するので、$r^0(a),\dots,r^{n-1}(a)$ はすべて異なり、類はちょうど $n$ 個からなる。一列の並べ方は $\dfrac{n!}{k_1!\cdots k_m!}$ 通り(同じものを含む順列と多項定理)で、それが $n$ 個ずつの類に分かれるので、類の個数は $n$ で割った数である。$\square$

最大公約数が 1 の例
  1. 赤 3 個・白 2 個($n=5$):$\gcd(3,2)=1$ なので、円順列は $\dfrac15\cdot\dfrac{5!}{3!\,2!}=\dfrac{10}{5}=2$ 通りである。実際、白 2 個が隣り合う $RRRWW$ と、隣り合わない $RRWRW$ の 2 通りである。
  2. 赤 2 個・白 1 個・青 1 個($n=4$):$\gcd(2,1,1)=1$ なので、$\dfrac14\cdot\dfrac{4!}{2!\,1!\,1!}=\dfrac{12}{4}=3$ 通りである。青を上の席に固定して、残り 3 席に赤赤白を並べる方法 $RRW$、$RWR$、$WRR$ の 3 通りと一致する。

最大公約数が $1$ でないときは、割り算の代わりに、各回転で動かない並べ方の個数を平均する Burnsideの補題 を使う。その証明と、正方形の頂点の塗り分けの例は 期待値の線形性と数え上げ にある。

Burnside の補題で数える

赤 3 個・白 3 個を 6 席の円周に置く($\gcd(3,3)=3$)。6 つの回転 $r^0,\dots,r^5$ のそれぞれで動かない並べ方を数える。

  • $r^0$:すべての並べ方 $\dbinom63=20$ 個が動かない。
  • $r^1$、$r^5$:動かない並べ方は 6 席すべて同じ色のものだけで、赤 3 白 3 にはない。$0$ 個。
  • $r^2$、$r^4$:席 $\{0,2,4\}$ と席 $\{1,3,5\}$ がそれぞれ同じ色になる並べ方で、$RWRWRW$ と $WRWRWR$ の $2$ 個。
  • $r^3$:席 $\{0,3\}$、$\{1,4\}$、$\{2,5\}$ がそれぞれ同じ色になる並べ方で、赤の個数は偶数になるから $3$ 個にはならない。$0$ 個。
    平均は $\dfrac{20+0+2+0+2+0}{6}=\dfrac{24}6=4$ で、円順列は 4 通りである。書き出すと $RRRWWW$、$RRWRWW$、$RRWWRW$、$RWRWRW$ で、類の大きさは $6,6,6,2$(合計 $20$)である。$20\mathbin{÷}6$ は整数にならない。

同じものを含むじゅず順列

同じ色の玉を含むときは、じゅず順列の「2 で割る」もそのままでは使えない。lem-cp-mirror の証明の段 2 で「同じものがある席は 1 つしかない」を使っており、同じ色の玉があると、裏返しても同じ円順列に戻る並べ方、つまり $C(s(a))=C(a)$ となる $a$ が現れうるからである。このような円順列を 裏返しで変わらない円順列 と呼ぶ。裏返しで変わらない円順列は相手と組にならないので、2 で割ってはいけない。

同じものを含むじゅず順列の数

$n$ 個のもの(同じものを含んでもよい)を円周上に並べる。円順列が $N$ 通りあり、そのうち裏返しで変わらない円順列が $F$ 通りあるとする。このとき、じゅず順列は
$$ \frac{N+F}{2} $$
通りある。

組になるものと自分に戻るものに分ける

方針:prf-cp-bead の対応 $C(a)\mapsto C(s(a))$ を、lem-cp-mirror を使わずに調べる。
段 1(対応はきちんと決まる)。prf-cp-bead の段 1 は lem-cp-sr だけを使っており、$n$ 個のものがすべて異なることは使っていない。lem-cp-sr とその証明も、席の中身を比べるだけで、すべて異なることを使っていない。よって同じものを含むときも、円順列 $C(a)$ に円順列 $C(s(a))$ を対応させることができる。$s(s(a))=a$ なので、$C(s(a))$ に対応するのは $C(a)$ である。
段 2(2 種類に分かれる)。どの円順列 $C(a)$ も、次のどちらか一方にあたる。

  • $C(s(a))\ne C(a)$:$C(a)$ と $C(s(a))$ は互いに相手に対応し、異なる 2 つの円順列の組になる。
  • $C(s(a))=C(a)$:$C(a)$ は裏返しで変わらない円順列で、自分自身に対応する。
    前者の円順列は $N-F$ 通りあり、2 つずつ組になるので、組は $\dfrac{N-F}{2}$ 個ある。
    段 3(じゅず順列と対応させる)。lem-cp-sr の後に見たとおり、$a$ とじゅず順列として同じ並べ方の全体は $C(a)\cup C(s(a))$ である(この議論も lem-cp-sr と $s(s(a))=a$ だけを使っている)。これは、$C(a)$ が組になる円順列なら 1 つの組の 2 つの類の和、裏返しで変わらない円順列なら類 $C(a)$ そのものである。異なる類は共通の並べ方をもたないので、じゅず順列は、段 2 の組のそれぞれと、裏返しで変わらない円順列のそれぞれに、1 つずつ対応する。よって、じゅず順列の数は
    $$ \frac{N-F}{2}+F=\frac{N+F}{2} $$
    である。$\square$

$n\ge3$ で $n$ 個のものがすべて異なるときは、lem-cp-mirror により $F=0$ で、prop-cp-bead-general は thm-cp-bead の $\dfrac{(n-1)!}{2}$ に戻る。$n=1,2$ では円順列が $1$ 通りで、それが裏返しで変わらないので $\dfrac{1+1}{2}=1$ 通りとなり、ex-cp-small-n と一致する。

赤 2 個・白 1 個・青 1 個のじゅず順列

ex-cp-coprime (2) の 3 通りの円順列を、青(B)を上の席に置いたまま、上から時計回りに $BRRW$、$BRWR$、$BWRR$ と書く。裏返し $s$ は上の席を動かさず、残りの 3 席の順を逆にするので
$$ BRRW\leftrightarrow BWRR,\qquad BRWR\leftrightarrow BRWR $$
となる。$BRRW$ と $BWRR$ は組になり、$BRWR$(白が青の真向かいにある)は裏返しても自分自身に戻る。$N=3$、$F=1$ なので、じゅず順列は
$$ \frac{3+1}{2}=2 $$
通りである。「白が青の隣にある輪」と「白が青の向かいにある輪」の 2 通りで、$\dfrac{N}{2}=\dfrac32$ ではない。全部の並べ方を書き出して、回転と裏返しで移り合うものをまとめても 2 通りになる。

赤 3 個・白 3 個のじゅず順列

ex-cp-burnside の 4 通りの円順列 $RRRWWW$、$RRWRWW$、$RRWWRW$、$RWRWRW$ を裏返す。

  • $s(RRRWWW)=RWWWRR$ で、これは $RRRWWW$ を 2 席回したもの $r^2(RRRWWW)$ である。裏返しで変わらない。
  • $s(RWRWRW)=RWRWRW$ で、裏返しで変わらない。
  • $s(RRWRWW)=RWWRWR=r(RRWWRW)$、$s(RRWWRW)=RWRWWR=r(RRWRWW)$ なので、$RRWRWW$ と $RRWWRW$ は組になる。
    $N=4$、$F=2$ なので、じゅず順列は $\dfrac{4+2}{2}=3$ 通りである。
    同じ答えは、ex-cp-burnside と同じく Burnsideの補題 でも出る。じゅず順列は、回転 $r^k$ と「裏返してから回す」$r^ks$($k=0,1,\dots,5$)の 12 個の操作(二面体群)で移り合う並べ方の類なので、12 個の操作で動かない並べ方の個数を平均すればよい。$r^ks(a)$ の席 $i$ には $a_{-i-k}$ があるので、$r^ks(a)=a$ は「すべての $i$ で席 $i$ と席 $-i-k$ が同じ色」ということである。
  • 回転 6 個:ex-cp-burnside により合計 $20+0+2+0+2+0=24$ 個。
  • $k=0,2,4$ の 3 個:$i$ と $-i-k$ が同じ席になる($2i+k$ が $6$ の倍数になる)席がちょうど 2 つあり(向かい合う 2 席を通る軸での裏返し)、残りの 4 席は 2 席ずつ 2 組になる。赤が 3 個になるのは、軸上の 2 席の一方だけが赤で、2 組の一方だけが赤のときで、$2\times2=4$ 個ずつ。合計 $12$ 個。
  • $k=1,3,5$ の 3 個:$2i+k$ は奇数なので $6$ の倍数にならず、6 席は 2 席ずつ 3 組になる(向かい合う 2 辺の中点を通る軸での裏返し)。赤の個数は偶数になるので $0$ 個。
    平均は $\dfrac{24+12}{12}=3$ で、上の数え方と一致する。書き出して数えても 3 通りである。

例と反例

外した仮定崩れる主張ボックス
$n\ge3$じゅず順列は $\dfrac{(n-1)!}{2}$ 通りex-cp-small-n
$n$ 個のものがすべて異なるどの類も $n$ 個からなり、$n!$ を $n$ で割ればよいex-cp-rrww、ex-cp-burnside
$n$ 個のものがすべて異なる(じゅず順列)裏返しで円順列が 2 つずつ組になり、円順列の数を 2 で割ればよいex-cp-bead-rrwb、ex-cp-bead-rrrwww
裏返せる(首飾り・輪)裏返しで重なるものを同じとみなしてよいex-cp-no-flip
席に区別がない回転で重なるものを同じとみなしてよいex-cp-marked-seat
反例:$n=1,2$ のじゅず順列

$n=2$ のとき、玉 A, B の輪は 1 通りしかないが、$\dfrac{(2-1)!}{2}=\dfrac12$ は整数ですらない。$n=2$ では $a=(A,B)$ の裏返しは $s(a)=(a_0,a_1)=(A,B)=a$ で、裏返しても変わらない。lem-cp-mirror の証明の段 4 で $n\ge3$ を使っており、$n=2$ では「$2$ が $n$ の倍数」が実際に起こる。円順列 $1$ 通りが組にならず、2 で割れない。$n=1$ でも同じく $1$ 通りで、公式は $\dfrac12$ を与える。

反例:円卓の人は裏返せない

4 人が円卓に座るとき、上から時計回りに $ABCD$ と $ADCB$ は別の座り方である。$ABCD$ では A の時計回りの隣が B、$ADCB$ では D である。人は円卓の中心を向いて座り、テーブルを裏返すことはできないので、座り方は円順列の $3!=6$ 通りで、じゅず順列の $3$ 通りではない。実際、$ADCB$ を回した 4 つ $ADCB$、$DCBA$、$CBAD$、$BADC$ はどれも $ABCD$ の類(図 1)に入っていない。

反例:席に区別があるとき

円卓の 4 席のうち 1 席が議長席と決まっているとき、4 人の座り方は $4!=24$ 通りである。回すと議長席に座る人が変わるので、回して重なる座り方も別と数える。円順列は「席に区別がない」ときの数え方であり、何を同じとみなすかは問題の状況で決まる。

さらに先へ

  • 回転の群の作用の軌道を数える一般の方法が Burnsideの補題 である。$k$ 色の玉を $n$ 個並べた首飾りの数や、立方体の面の塗り分けの数も、同じ方法で求まる。色の個数の内訳まで数えるには Pólyaの数え上げ定理 を使う。円順列を「全体を同じ大きさのかたまりに分けて割る」方法で数えることと、その方法が使えない場合を群の作用で扱うことは、Bog17 §1.2.6(Problem 38・43、pp. 15–18)と第 6 章(§6.2.2、p. 120 と §6.2.3、pp. 122–123)にある。
  • 並べ方の集合に働く群として、回転だけなら位数 $n$ の 巡回群、裏返しも含めると位数 $2n$ の 二面体群 が現れる。lem-cp-class-size は「軌道の大きさ × 動かさない操作の個数 = 群の位数」という関係(軌道・安定化群の関係)の、動かさない操作が恒等操作だけの場合にあたる。

関連項目

参考文献

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