有限簡約群(finite reductive group)とは、有限体の代数閉包上の連結な簡約群 $G$ と、ある冪が成分の $q'$ 乗写像に一致する自己準同型 $F$ について、$F$ で固定される元のなす有限群 $G^F$ のことで、$GL_n(\mathbb{F}_q)$ や有限体上のユニタリ群がその例である。基本定理は Lang–Steinberg の定理で、連結な $G$ では $g\mapsto g^{-1}F(g)$ が全射になる。ここから、$F$ で保たれる Borel 部分群が存在してすべて $G^F$ で共役であることや、$F$ で固定される剰余類の個数が従う。$GL_n(\mathbb{F}_q)$ では上三角な冪単行列の群が Sylow $p$ 部分群で、その正規化群は上三角行列の群である。
有限体 $\mathbb{F}_q$ 上の一般線形群 $GL_n(\mathbb{F}_q)$、特殊線形群、シンプレクティック群、ユニタリ群は、どれも代数閉体 $k=\overline{\mathbb{F}}_q$ 上の連結な代数群 $G$ の、Frobenius 写像 $F$ で固定される元の群 $G^F$ として得られる。$G$ が簡約群のとき、この有限群 $G^F$ を有限簡約群という。有限簡約群の研究では、無限群 $G$ の幾何(Borel 部分群、旗多様体、トーラス)を $F$ で固定される部分に「降ろす」ことが基本の手法になる。その要が Lang–Steinberg の定理で、$g\mapsto g^{-1}F(g)$ が全射であることを述べる。この記事では、有限簡約群を定義し、Lang–Steinberg の定理を証明し、その帰結として $F$ で保たれる Borel 部分群の存在と共役性、$F$ で固定される剰余類の数え方を導く。また $GL_n(\mathbb{F}_q)$ について、上三角な冪単行列の群が Sylow $p$ 部分群で、その正規化群が上三角行列の群であることを示す。
以下、$p$ は素数、$q$ は $p$ の冪、$k=\overline{\mathbb{F}}_p$ とし、Borel部分群 の記事と同じく、$k$ 上の線型代数群を $k$ 点の群と同一視して、$GL_n(k)$ の Zariski 閉部分群として扱う。
$q'$ を $p$ の冪とする。$GL_n(k)$ の成分ごとの $q'$ 乗写像
$$
\sigma_{q'}\colon (a_{ij})\mapsto(a_{ij}^{\,q'})
$$
は群の自己同型である($x\mapsto x^{q'}$ は $k$ の体の自己同型なので、行列の積・逆行列と可換)。その固定点は $GL_n(\mathbb{F}_{q'})$ であり、有限群である。閉部分群 $G\subset GL_n(k)$ が $\mathbb{F}_{q'}$ 係数の多項式の零点として定まるなら、$\sigma_{q'}(G)=G$ である。
$G$ を $GL_n(k)$ の連結な閉部分群とする。代数群の自己準同型 $F\colon G\to G$(多項式で与えられる群準同型)で、ある $m\ge1$ と $p$ の冪 $q'$ について $\sigma_{q'}(G)=G$ かつ $F^m=\sigma_{q'}|_G$ となるものを、$G$ の Steinberg 自己準同型という。$G^F:=\{g\in G\mid F(g)=g\}$ と書く。$G$ が $\mathbb{F}_q$ 係数の多項式で定まり $F=\sigma_q|_G$ のとき、$F$ を 標準 Frobenius 写像といい、$G^F=G\cap GL_n(\mathbb{F}_q)$ である。
$G^F\subset G^{F^m}=G\cap GL_n(\mathbb{F}_{q'})$ なので、$G^F$ は有限群である。この定義は MilAG Definition 27.53(p. 487)を、行列の言葉で書いたものである。
連結な線型代数群 $G$ の、連結で冪単(すべての元 $u$ について $u-1$ が冪零)な正規閉部分群のうち最大のものを冪単根基 $R_u(G)$ という。$R_u(G)=\{1\}$ のとき $G$ を簡約群(簡約群)という(MilAG 8.41、p. 136)。
$G$ を $k$ 上の連結な簡約群、$F$ をその Steinberg 自己準同型とするとき、有限群 $G^F$ を有限簡約群(finite reductive group)という。
$B_n$ を上三角行列、$U_n$ を対角成分が $1$ の上三角行列、$T_n$ を対角行列の群とする。$U_n$ は $B_n$ の連結な冪単正規部分群なので、$R_u(B_n)\supset U_n\neq\{1\}$($n\ge2$)であり、$B_n$ は簡約群でない。一方 $GL_n$ は簡約群である。実際、$N=R_u(GL_n)$ は冪単なので可解であり(MilAG Corollary 18.13、p. 315)、連結可解な閉部分群としてある Borel 部分群に含まれる。$N$ は正規で、Borel 部分群はすべて共役なので(Borel部分群 の定理「一般線形群の Borel 部分群」の 2)、$N$ はすべての Borel 部分群に含まれる。とくに $B_n$ と、旗 $\langle e_n\rangle\subset\langle e_n,e_{n-1}\rangle\subset\cdots$ の固定部分群である下三角行列の群の両方に含まれる。その共通部分は $T_n$ なので $N\subset T_n$ であり、対角で冪単な行列は $I$ だけなので $N=\{1\}$ である。
$G$ を $GL_n(k)$ の連結な閉部分群、$F$ をその Steinberg 自己準同型とする。このとき写像
$$
L\colon G\to G,\qquad L(g):=g^{-1}F(g)
$$
は全射である。
証明には代数群の作用についての次の二つの事実を使う(この記事では証明しない)。
$G$ は自分自身に右から $x\cdot g:=g^{-1}xF(g)$ で作用する。実際 $(x\cdot g)\cdot h=h^{-1}g^{-1}xF(g)F(h)=x\cdot(gh)$ であり、$F$ が多項式で与えられるのでこの作用は代数的である。$L(g)=1\cdot g$ なので、示すべきことは $1$ の軌道が $G$ 全体であることである。
段 1(固定部分群の有限性).任意の $x\in G$ について、$S_x:=\{g\in G\mid g^{-1}xF(g)=x\}$ が有限集合であることを示す。$f(g):=xF(g)x^{-1}$ とおくと、$g\in S_x$ は $f(g)=g$ と同値である。$x$ の成分は有限体に入るので、$x\in GL_n(\mathbb{F}_{q'^j})$ となる $j\ge1$ があり、$m$ を $mj$ に取り替えると($F^{mj}=\sigma_{q'}^{\,j}=\sigma_{q'^j}$)、$F^m=\sigma_{q'}$ かつ $F^m(x)=x$ としてよい。$f$ を繰り返すと、帰納法により
$$
f^m(g)=y\,F^m(g)\,y^{-1},\qquad y:=x\,F(x)\,F^2(x)\cdots F^{m-1}(x)
$$
である($f^{i}(g)=x F(x)\cdots F^{i-1}(x)\,F^i(g)\,(xF(x)\cdots F^{i-1}(x))^{-1}$ に $f$ を施すと $i+1$ の式になる)。$F^m(x)=x$ から $F^m(F^i(x))=F^i(F^m(x))=F^i(x)$ なので $F^m(y)=y$ であり、$f^m$ をさらに繰り返すと $f^{mt}(g)=y^tF^{mt}(g)y^{-t}$($t\ge1$)となる。$y$ は有限群 $GL_n(\mathbb{F}_{q'})$ の元なので、位数 $t$ をとると $y^t=1$ で、$f^{mt}(g)=F^{mt}(g)=\sigma_{q'^t}(g)$ である。$f(g)=g$ なら $f^{mt}(g)=g$ なので $g\in GL_n(\mathbb{F}_{q'^t})$ であり、$S_x$ は有限集合 $G\cap GL_n(\mathbb{F}_{q'^t})$ に含まれる。
段 2(軌道は $G$ 全体).事実の 1 つ目により、閉じた軌道 $O=x\cdot G$ がある。軌道写像 $\varphi\colon G\to\overline{O}=O$、$g\mapsto x\cdot g$ の点 $x\cdot g$ の逆像は剰余類 $S_xg$ で、段 1 により有限、すなわち次元 $0$ である。$G$ は連結なので既約であり(代数群 の定理「連結な代数群は既約」)、その像の閉包 $O$ も既約である。事実の 2 つ目から $0\ge\dim G-\dim O$、すなわち $\dim O\ge\dim G$ である。$O$ は既約な $G$ の閉部分集合で次元が $\dim G$ 以上なので、$O=G$ である。とくに $1\in O$ であり、軌道は互いに交わらないので $1$ の軌道も $O=G$ である。$\square$
この証明は Müller によるもので、MilAG Proposition 27.54(p. 487)にある。$G$ の連結性は段 2 で、閉じた軌道 $O$ が既約な $G$ に一致することを導くところで使っている。$G$ が連結でないと定理は成り立たない(下の反例の表)。
以下、$G$ は $GL_n(k)$ の連結な閉部分群、$F$ はその Steinberg 自己準同型である。
$F$ は群 $G$ の全単射な自己準同型であり、Zariski 位相について同相写像である。とくに $F$ は、連結で可解な閉部分群を連結で可解な閉部分群に移し、包含関係を保つので、Borel 部分群を Borel 部分群に移す。
要点:$\sigma_{q'}$ は閉集合を閉集合に移す全単射で、$F^m=\sigma_{q'}$ から $F$ の逆写像が $F^{m-1}\circ\sigma_{q'}^{-1}$ と連続になる。
$\sigma_{q'}$ は $GL_n(k)$ の全単射である($k$ は完全体なので $x\mapsto x^{q'}$ は全単射)。$Z=\{f_1=\cdots=f_r=0\}$ を閉集合とし、$f_i$ の係数を $q'$ 乗した多項式を $f_i^{(q')}$ とすると、$f_i(z)^{q'}=f_i^{(q')}(\sigma_{q'}(z))$ なので $\sigma_{q'}(Z)=\{f_1^{(q')}=\cdots=f_r^{(q')}=0\}$ は閉集合である。よって $\sigma_{q'}$ は同相写像であり、$\sigma_{q'}(G)=G$ から $G$ の上でも同相である。$F^m=\sigma_{q'}|_G$ が全単射なので $F$ は単射かつ全射であり、$F^{-1}=F^{m-1}\circ\sigma_{q'}^{-1}$ は連続である。$F$ 自身も多項式写像なので連続であり、同相写像である。
同相な群の自己同型は、閉部分群・連結性・可解性・包含関係を保ち、逆写像も同じ性質をもつので、連結可解な閉部分群の中の極大元、すなわち Borel 部分群を Borel 部分群に移す。$\square$
1:Borel 部分群 $B_0$ を一つとる。lem-frg-homeomorphism により $F(B_0)$ も Borel 部分群なので、Borel部分群 の定理「Borel 部分群の主定理」の 2 により $F(B_0)=gB_0g^{-1}$ となる $g\in G$ がある。thm-frg-lang により $y^{-1}F(y)=g^{-1}$ となる $y\in G$ をとり、$B:=yB_0y^{-1}$ とおく。$F(y)=yg^{-1}$ なので
$$
F(B)=F(y)F(B_0)F(y)^{-1}=yg^{-1}\cdot gB_0g^{-1}\cdot gy^{-1}=yB_0y^{-1}=B
$$
である。$B$ は Borel 部分群の共役なので Borel 部分群である。
2:$B,B'$ を $F$ で保たれる Borel 部分群とする。同じ定理の 2 により $B'=gBg^{-1}$ となる $g\in G$ がある。$F$ を施すと $B'=F(g)BF(g)^{-1}$ なので、$g^{-1}F(g)$ は $B$ を正規化し、同じ定理の 3($N_G(B)=B$)により $c:=g^{-1}F(g)\in B$ である。$F$ を $B$ に制限したものは、$B$ の Steinberg 自己準同型である($F^m|_B=\sigma_{q'}|_B$、$\sigma_{q'}(B)=F^m(B)=B$)。$B$ は連結なので、thm-frg-lang を $B$ に適用して $a^{-1}F(a)=c$ となる $a\in B$ をとる。$x:=ga^{-1}$ とおくと
$$
F(x)=F(g)F(a)^{-1}=gc\cdot c^{-1}a^{-1}=ga^{-1}=x
$$
なので $x\in G^F$ であり、$xBx^{-1}=ga^{-1}Ba\,g^{-1}=gBg^{-1}=B'$ である。$\square$
$H$ を $G$ の連結な閉部分群で $F(H)=H$ を満たすものとする。$F$ は $G/H$ に $F(gH):=F(g)H$ で作用し、写像 $G^F/H^F\to(G/H)^F$、$xH^F\mapsto xH$ は全単射である。とくに $F$ で固定される剰余類の個数は $\lvert G^F\rvert/\lvert H^F\rvert$ である。
$F(gH)=F(g)F(H)=F(g)H$ なので作用は well-defined である。$gH$ が固定されるのは $g^{-1}F(g)\in H$ のときに限る。写像は well-defined($h\in H^F$ なら $xhH=xH$)で、$x\in G^F$ なら $xH$ は固定される。単射:$x,x'\in G^F$ で $xH=x'H$ なら $x^{-1}x'\in H\cap G^F=H^F$ である。全射:$gH$ が固定されるとし、$c:=g^{-1}F(g)\in H$ とおく。$F|_H$ は $H$ の Steinberg 自己準同型で $H$ は連結なので、thm-frg-lang により $a^{-1}F(a)=c$ となる $a\in H$ がある。$x:=ga^{-1}$ は prf-frg-borel と同じ計算で $F(x)=x$ を満たし、$xH=gH$ である。$\square$
$G=GL_n(k)$、$F=\sigma_q$、$H=B_n$ とする。$G/B_n$ は $k^n$ の完全旗の全体 $\operatorname{Fl}_n$ と同一視され(Borel部分群 の定理「一般線形群の Borel 部分群」の 4)、$F$ は旗の各部分空間の成分を $q$ 乗する。prop-frg-cosets により、$F$ で固定される旗は $GL_n(\mathbb{F}_q)$ の元による標準旗の像、すなわち $\mathbb{F}_q^n$ の完全旗を $k$ 上に広げたものに限り、その個数は
$$
\frac{\lvert GL_n(\mathbb{F}_q)\rvert}{\lvert B_n(\mathbb{F}_q)\rvert}=\frac{q^{n(n-1)/2}\prod_{i=1}^n(q^i-1)}{(q-1)^nq^{n(n-1)/2}}=\prod_{i=1}^n\frac{q^i-1}{q-1}
$$
である(位数は 一般線形群 の命題「有限体上の一般線形群の位数」)。これは Bruhat分解 の系「転倒数の母関数」の数と一致する。$F$ で固定される旗が $\mathbb{F}_q^n$ の旗から来るという主張は、Hilbertの定理90 と同じ種類の降下の主張である。実際、Lang–Steinberg の定理から、有限体上の連結な群 $G$ の Galois コホモロジー $H^1(\mathbb{F}_q,G)$ が自明であることが従う(MilAG Corollary 27.56、p. 488。この記事では証明しない)。
有限簡約群 $GL_n(\mathbb{F}_q)$ の中で、$F$ で保たれる Borel 部分群 $B_n$ の固定点 $B_n(\mathbb{F}_q)$ は、標数 $p$ の Sylow 部分群の正規化群として群論的に特徴づけられる。以下 $\Gamma:=GL_n(\mathbb{F}_q)$、$\mathcal{B}:=B_n(\mathbb{F}_q)$、$\mathcal{U}:=U_n(\mathbb{F}_q)$ と書き、$E_i:=\langle e_1,\dots,e_i\rangle\subset\mathbb{F}_q^n$ とする。
$\mathbb{F}_q^n$ の部分空間 $W$ がすべての $u\in\mathcal{U}$ について $uW=W$ を満たすなら、ある $i$ で $W=E_i$ である。
$n$ についての帰納法で示す。$n=1$ なら明らかなので $n\ge2$ とし、$W\neq0$ とする。
まず $W\supset E_1$ を示す。$\mathcal{U}$ の位数は $q^{n(n-1)/2}$ で $p$ の冪である。$\mathcal{U}$ は $W\setminus\{0\}$ に作用し、各軌道の大きさは $\lvert\mathcal{U}\rvert$ の約数なので、$1$ か $p$ の倍数である。$\lvert W\setminus\{0\}\rvert=q^{\dim W}-1$ は $p$ で割り切れないので、大きさ $1$ の軌道、すなわち $\mathcal{U}$ のすべての元で固定される $v\neq0$ が $W$ の中にある。$i< j$ について $I+E_{ij}\in\mathcal{U}$($E_{ij}$ は行列単位)なので $(I+E_{ij})v=v+v_je_i=v$ から $v_j=0$($j\ge2$)であり、$v\in E_1\setminus\{0\}$、よって $E_1=\mathbb{F}_qv\subset W$ である。
次に $\bar V:=\mathbb{F}_q^n/E_1$ を基底 $\bar e_2,\dots,\bar e_n$ で $\mathbb{F}_q^{n-1}$ と同一視する。$u\in\mathcal{U}$ は $E_1$ を保つので $\bar V$ に作用し、その行列は $u$ から第 1 行と第 1 列を除いた行列である。この対応 $\mathcal{U}\to U_{n-1}(\mathbb{F}_q)$ は全射である(右下の $(n-1)$ 次のブロックに任意の上三角な冪単行列を置き、第 1 行の残りを $0$ にすればよい)。$W/E_1\subset\bar V$ は $U_{n-1}(\mathbb{F}_q)$ のすべての元で保たれるので、帰納法の仮定により $\langle\bar e_2,\dots,\bar e_i\rangle$ の形であり、$W=E_i$ である。$\square$
1:一般線形群 の注意「上三角な単位三角行列とSylow部分群」である($\lvert\Gamma\rvert=q^{n(n-1)/2}\prod_{i=1}^n(q^i-1)$ の $p$ 部分は $q^{n(n-1)/2}=\lvert\mathcal{U}\rvert$)。
2:$\mathcal{B}$ の元 $b$ は対角成分を取り出す準同型 $\mathcal{B}\to T_n(\mathbb{F}_q)$ の核 $\mathcal{U}$ を正規化するので、$\mathcal{B}\subset N_\Gamma(\mathcal{U})$ である。逆に $g\in N_\Gamma(\mathcal{U})$ とする。$u\in\mathcal{U}$ について $ugE_i=g(g^{-1}ug)E_i=gE_i$($g^{-1}ug\in\mathcal{U}$ は $E_i$ を保つ)なので、$gE_i$ は $\mathcal{U}$ で保たれる $i$ 次元の部分空間であり、lem-frg-u-stable により $gE_i=E_i$ である。すべての $i$ で $gE_i=E_i$ なので、$g$ は上三角、すなわち $g\in\mathcal{B}$ である。
3:Sylowの定理 により Sylow $p$ 部分群はすべて $\mathcal{U}$ と共役で、その個数は $[\Gamma:N_\Gamma(\mathcal{U})]=[\Gamma:\mathcal{B}]$ である。$g\mathcal{U}g^{-1}$ に旗 $gE_\bullet$ を対応させると、2 によりこれは well-defined かつ単射であり($g\mathcal{U}g^{-1}=g'\mathcal{U}g'^{-1}$ $\iff$ $g^{-1}g'\in\mathcal{B}$ $\iff$ $gE_\bullet=g'E_\bullet$)、$\Gamma$ は完全旗に推移的に作用するので全射である。$g\mathcal{U}g^{-1}$ は旗 $gE_\bullet$ を保ち、各段の商に自明に作用する元の全体である。個数は ex-frg-flags の計算から従う。$\square$
$\mathcal{B}=N_\Gamma(\mathcal{U})$ と単項行列の群 $N(\mathbb{F}_q)$ は $\Gamma$ の Tits 系をなす(Bruhat分解 の命題「$(B,N)$ は Tits 系をなす」。この命題は任意の体の上で示されている)。$\mathcal{B}$ を含むブロック上三角行列の群が 放物型誘導表現 の定義「標準放物型部分群とLevi分解」の標準放物型部分群であり、Tits 系の一般論での標準的放物型部分群(Tits系、BN対)の例になっている。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $G$ が連結 | $p\neq2$、$G=\{\pm1\}\subset GL_1(k)$、$F=\sigma_q$ | Lang–Steinberg の定理:$g^{-1}F(g)=1$ で全射でない |
| $F$ の冪が $\sigma_{q'}$ に一致する | $G=GL_1(k)=\mathbb{G}_m$、$F=\mathrm{id}$ | Lang–Steinberg の定理:$g^{-1}F(g)=1$ で全射でなく、$G^F=G$ は無限群 |
| $H$ が連結 | $G=GL_2(k)$、$F=\sigma_q$、$H$ は対角行列の群の正規化群(単項行列の群) | prop-frg-cosets:$(G/H)^F$ は $q^2$ 個、$\lvert G^F\rvert/\lvert H^F\rvert=q(q+1)/2$ |
要点:$G/H$ は $k^2$ の相異なる 2 直線の組 $\{L,L'\}$ の全体と同一視でき、$F$ で固定される組は $\mathbb{F}_q$ 上の 2 直線の組($q(q+1)/2$ 個)と、$F$ で入れ替わる組($(q^2-q)/2$ 個)からなる。
$H=N_G(T_2)$ は $T_2$ と $s=\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}$ で生成され、$H=T_2\sqcup sT_2$ は連結でない。$gH\mapsto\{gke_1,gke_2\}$ は $G/H$ から相異なる 2 直線の組の集合への全単射である($H$ はちょうど組 $\{ke_1,ke_2\}$ を保つ元の全体で、$G$ は組の全体に推移的に作用する)。$F$ はこの対応で、直線の方向ベクトルの成分を $q$ 乗する写像に対応する。$F$ で固定される直線は $\mathbb{F}_q$ 上の直線で $q+1$ 本ある。組 $\{L,L'\}$ が $F$ で固定されるのは、(a) $F(L)=L$ かつ $F(L')=L'$ のときで $\binom{q+1}{2}=q(q+1)/2$ 組、(b) $F(L)=L'\neq L$ のときで、このとき $F^2(L)=L$ から $L$ は $\mathbb{F}_{q^2}$ 上の直線で $\mathbb{F}_q$ 上の直線でないもの($(q^2+1)-(q+1)=q^2-q$ 本)であり、$\{L,F(L)\}$ として $(q^2-q)/2$ 組ある。合わせて $q^2$ 組である。
一方 $H^F$ は $\mathbb{F}_q$ 上の単項行列の群で位数 $2(q-1)^2$、$\lvert G^F\rvert=(q^2-1)(q^2-q)$ なので $\lvert G^F\rvert/\lvert H^F\rvert=q(q+1)/2$ であり、これは (a) の組の個数である。(b) の組は $G^F$ の元で $\{ke_1,ke_2\}$ に移せない。$(G/H)^F$ と $G^F/H^F$ のずれは、$F$ で保たれる極大トーラスのうち $\mathbb{F}_q$ 上で対角化できないもの((b) の組の固定部分群)から生じる。
1 行目:$\{\pm1\}$ は有限群で連結でない。$\sigma_q(\pm1)=\pm1$ なので $F$ は恒等写像で、$g^{-1}F(g)=1$ である。2 行目:恒等写像のどの冪も $\sigma_{q'}$ に一致しない($\sigma_{q'}(x)=x^{q'}\neq x$ となる $x\in k^\times$ がある)。
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