Robin境界条件(Robin boundary condition)とは、領域の境界で解の値と外向きの法線微分の 1 次結合 $\partial u/\partial n+\beta u$ を指定する境界条件で、$\beta=0$ の Neumann 条件と $\beta\to\infty$ の Dirichlet 条件の間をつなぐ。$-\Delta u=f$ では、$\beta\ge0$、$\int\beta>0$ で領域が有界・連結・$C^1$ 級なら、Poincaré–Wirtinger の不等式とトレースの評価から弱解がただ 1 つある。$\beta$ が負の値をとると解が存在しないことがあり、$\beta\equiv t\to\infty$ では解が Dirichlet 問題の解に $H^1$ で収束する。
Robin境界条件(Robin boundary condition)は、領域 $\Omega$ の境界 $\Gamma$ の上で、解の値と外向きの法線微分の 1 次結合を指定する境界条件
$$
\frac{\partial u}{\partial n}+\beta u=g\qquad(\Gamma\text{ の上})
$$
である。第 3 種境界条件とも呼ばれる。熱の伝導では、表面から外へ出る熱の流れ $-\partial u/\partial n$ が外気との温度差に比例する(Newton の冷却則)という条件にあたり、$\beta\ge0$ は「熱が外へ逃げる」向きの符号である。$\beta=0$ なら Neumann問題 の条件 $\partial u/\partial n=g$ で、$g=0$ で $\beta$ を大きくすると、境界で $u=0$ を課す Dirichlet問題 の条件に近づく。Robin 条件は、この 2 つの間をつなぐ条件である。
弱い定式化では、Robin 条件は Neumann 条件と同じく試験関数の空間には課さず、境界の上の積分 $\int_\Gamma\beta uv\,d\sigma$ として式に入る(自然境界条件)。この記事では、古典解と弱解の関係を示し、$\beta\ge0$ で $\int_\Gamma\beta\,d\sigma>0$($\Omega$ は連結)なら Poincaré–Wirtingerの不等式 とトレースの評価から強圧性が出て弱解がただ 1 つ存在することを証明する。次に、$\beta$ が負の値をとると解が存在しないことがある例を作り、最後に $\beta\to\infty$ で解が Dirichlet 問題の解に $H^1$ で収束することを示す。
$N\ge2$ とし、$\Omega\subset\mathbb{R}^N$ を $C^1$ 級の有界な開集合(Greenの公式 の定義「$C^1$ 級の有界な開集合」)、$\Gamma:=\partial\Omega$、$n$ を外向きの単位法線、$\sigma$ を $\Gamma$ の面積測度とする。関数は実数値で、$\|\cdot\|$ は $L^2(\Omega)$ のノルム、$\|v\|_{H^1}^2:=\|v\|^2+\|\nabla v\|^2$ である。$\gamma\colon H^1(\Omega)\to L^2(\Gamma,\sigma)$ は Greenの公式 の定理「トレースの存在と一意性」のトレース作用素で、同じ記事の補題「トレースの評価」により $\|\gamma v\|_{L^2(\Gamma)}\le C_\Gamma\|v\|_{H^1}$ となる定数 $C_\Gamma$ がある。定数関数 $k$ は $C^1_c(\mathbb{R}^N)$ の関数の制限にとれるので、$\gamma k=k$ である。$U$ はつねに $\overline\Omega$ を含む開集合を表す。
$c\ge0$ を定数、$\beta\in L^\infty(\Gamma,\sigma)$、$f\in L^2(\Omega)$、$g\in L^2(\Gamma,\sigma)$ とし、
$$
-\Delta u+cu=f\quad(\Omega\text{ 内}),\qquad\frac{\partial u}{\partial n}+\beta u=g\quad(\Gamma\text{ 上})\qquad(\mathrm{R})
$$
を考える。
$a$ は対称な双線形形式で、$|a(u,v)|\le\bigl(\max(1,c)+\|\beta\|_\infty C_\Gamma^2\bigr)\|u\|_{H^1}\|v\|_{H^1}$ をみたす。$\ell$ は $|\ell(v)|\le(\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)})\|v\|_{H^1}$ をみたす有界線形汎関数である。
$\beta,g$ が $\Gamma$ の上で連続なとき、(R) の古典解は弱解である。逆に (R) の弱解 $u$ が $C^2(U)$ に属すれば、$u$ は古典解である。
$u\in C^2(U)$、$\varphi\in C^\infty_c(\mathbb{R}^N)$、$v:=\varphi|_\Omega$ とする。Greenの公式 の定理「Greenの公式(古典的な形)」から
$$
a(u,v)-\ell(v)=\int_\Omega\bigl(-\Delta u+cu-f\bigr)v\,dx+\int_\Gamma\Bigl(\frac{\partial u}{\partial n}+\beta u-g\Bigr)v\,d\sigma\qquad(2)
$$
である。古典解なら右辺は $0$ で、$a(u,\cdot)-\ell$ は $H^1(\Omega)$ の上で連続、$\{\varphi|_\Omega\}$ は $H^1(\Omega)$ で稠密(Greenの公式 の注意「稠密性」)なので、(1) がすべての $v$ で成り立つ。$u$ と $\nabla u$ は $\overline\Omega$ の上で有界なので $u\in H^1(\Omega)$ である。
逆に弱解なら (2) の左辺は $0$ である。$\varphi\in C^\infty_c(\Omega)$ にとると境界の項が消え、ほとんど至る所 $-\Delta u+cu=f$ を得る。これを (2) に戻すと、すべての $\varphi$ について連続関数 $h:=\partial u/\partial n+\beta u-g$ が $\int_\Gamma h\varphi\,d\sigma=0$ をみたす。Greenの公式 の例「境界の上の積分が 0 なら 0」により $\sigma$ についてほとんど至る所 $h=0$ で、$\Gamma$ の空でない相対開集合は正の $\sigma$ 測度をもつので、$h$ の連続性から $\Gamma$ の各点で $h=0$ である。$\square$
試験関数を $H^1(\Omega)$ 全体にとったので、後半で $\varphi$ の境界の値を自由に動かせ、境界条件が式から出てきた。Neumann 条件の場合(Neumann問題 の命題「古典解と弱解の関係」)との違いは、境界の項に $\beta u$ が加わることだけである。
$c>0$ なら $a(v,v)\ge\min(1,c)\|v\|_{H^1}^2$ で、強圧性はすぐに分かる。$c=0$ では、$H^1(\Omega)$ の上の $\int|\nabla v|^2$ は定数で $0$ になるので、定数を抑える役を境界の項が担う。次の補題がその内容である。
$\Omega$ は連結とし、$\beta\ge0$($\sigma$ についてほとんど至る所)、$B:=\int_\Gamma\beta\,d\sigma>0$ とする。定数 $C_\beta$ があり、すべての $v\in H^1(\Omega)$ について
$$
\|v\|_{H^1}^2\le C_\beta\Bigl(\|\nabla v\|^2+\int_\Gamma\beta\,(\gamma v)^2\,d\sigma\Bigr)
$$
が成り立つ。
$v_\Omega:=|\Omega|^{-1}\int_\Omega v\,dx$、$w:=v-v_\Omega$ とおく。Poincaré–Wirtingerの不等式 の定理「有界で連結な $C^1$ 級の領域でのPoincaré–Wirtingerの不等式」($p=2$)の定数を $C_P$ とすると $\|w\|\le C_P\|\nabla v\|$、よって $\|w\|_{H^1}^2\le(1+C_P^2)\|\nabla v\|^2$ で、トレースの評価から $\|\gamma w\|_{L^2(\Gamma)}^2\le C_\Gamma^2(1+C_P^2)\|\nabla v\|^2$ である。$\gamma v=\gamma w+v_\Omega$ なので、$(s+t)^2\le2s^2+2t^2$ から
$$
v_\Omega^2B=\int_\Gamma\beta\,(\gamma v-\gamma w)^2\,d\sigma\le2\int_\Gamma\beta\,(\gamma v)^2\,d\sigma+2\|\beta\|_\infty C_\Gamma^2(1+C_P^2)\|\nabla v\|^2
$$
である。$\int_\Omega w=0$ なので $\|v\|^2=\|w\|^2+v_\Omega^2|\Omega|$ で、上の 2 つを代入すると
$$
\|v\|^2\le\Bigl(C_P^2+\frac{2|\Omega|\,\|\beta\|_\infty C_\Gamma^2(1+C_P^2)}B\Bigr)\|\nabla v\|^2+\frac{2|\Omega|}B\int_\Gamma\beta\,(\gamma v)^2\,d\sigma
$$
である。両辺に $\|\nabla v\|^2$ を足せばよい。$\square$
$\beta\ge0$($\sigma$ についてほとんど至る所)とし、次のどちらかを仮定する。
$\beta\ge0$ なので、1 の場合は $a(v,v)\ge\|\nabla v\|^2+c\|v\|^2\ge\min(1,c)\|v\|_{H^1}^2$、2 の場合は lem-rb-friedrichs により $a(v,v)=\|\nabla v\|^2+\int_\Gamma\beta(\gamma v)^2\,d\sigma\ge C_\beta^{-1}\|v\|_{H^1}^2$ である。どちらでも $a$ は Hilbert 空間 $H^1(\Omega)$ の上の有界で強圧的な双線形形式で(強圧性の定数を $\alpha>0$ とする)、$\ell$ は有界線形汎関数である。Lax–Milgramの定理 の定理「Lax–Milgramの定理」により、(1) をみたす $u$ がただ 1 つあり、$\|u\|_{H^1}\le\alpha^{-1}(\|f\|+C_\Gamma\|g\|_{L^2(\Gamma)})$ である。
最小性:$h:=v-u$ とおくと、$a$ の対称性と (1) から $J(v)=J(u)+\bigl(a(u,h)-\ell(h)\bigr)+\frac12a(h,h)=J(u)+\frac12a(h,h)\ge J(u)+\frac\alpha2\|h\|_{H^1}^2$ で、等号は $v=u$ のときに限る。$\square$
古典解の一意性は、境界値問題 の定理「Dirichlet・Neumann・Robin 問題の一意性と両立条件」で Green の恒等式から直接示されている。$\beta=0$、$c=0$ では 2 の仮定が崩れ、解は可解条件 $\int_\Omega f+\int_\Gamma g=0$ のもとで定数の差を除いてしか決まらない(Neumann問題 の定理「0 階の項のない Neumann 問題の可解性」)。境界の一部でだけ $\beta>0$ でも、$\int_\Gamma\beta>0$ なら定数の自由度は消える。
$c>0$ とし、定数 $b\ge0$ で、$\sigma$ についてほとんど至る所 $\beta\ge-b$、かつ $bC_\Gamma^2<\min(1,c)$ とする。このとき $a$ は $H^1(\Omega)$ の上で強圧的で、thm-rb-weak と同じ結論が成り立つ。
$a(v,v)\ge\min(1,c)\|v\|_{H^1}^2-b\|\gamma v\|_{L^2(\Gamma)}^2\ge\bigl(\min(1,c)-bC_\Gamma^2\bigr)\|v\|_{H^1}^2$ である。あとは prf-rb-weak と同じである。$\square$
区間 $(0,1)$ で $-u''+u=f$、$u'(0)=ku(0)$、$u(1)=0$(左端が Robin 条件、右端が Dirichlet 条件)を考えると、$k\ge0$ で強圧的になり、$k<0$ でも $|k|$ が小さければ強圧的なままであることが、Bre11 §8.4 の Example 6 とその脚注 15(pp. 226–227)に述べられている。同じ脚注によれば、ある負の $k$ では解をもたない滑らかな $f$ があり、その計算は同書 Exercise 8.21(pp. 243–244)で問われている。
$c=0$ では、$\beta$ が負の定数なら $a(1,1)=\beta\,\sigma(\Gamma)<0$ なので、$a$ はどんなに $|\beta|$ が小さくても強圧的でない。負の $\beta$ は境界から熱が流れ込む状況にあたり、次の節のように解が存在しないことがある。
$N=1$ では $\Omega=I:=(0,1)$、$\Gamma=\{0,1\}$ で、外向きの法線は $n(0)=-1$、$n(1)=1$ なので $\frac{\partial u}{\partial n}(0)=-u'(0)$、$\frac{\partial u}{\partial n}(1)=u'(1)$ である。$\sigma$ を 2 点の上の数え上げ測度、$\gamma v:=(v(0),v(1))$(連続な代表の値)とすると、Robin 条件は $-u'(0)+\beta_0u(0)=g_0$、$u'(1)+\beta_1u(1)=g_1$ で、(1) は
$$
\int_0^1(u'v'+cuv)\,dx+\beta_0u(0)v(0)+\beta_1u(1)v(1)=\int_0^1fv\,dx+g_0v(0)+g_1v(1)\qquad(v\in H^1(I))
$$
になる。トレースの評価は 1次元Sobolev空間 の定理「一様ノルムの評価」、Poincaré–Wirtinger の不等式は Poincaré–Wirtingerの不等式 の定理「区間での最良の定数」が受け持ち、Green の公式の代わりに部分積分を使えば、上の命題・補題・定理はすべて同じ証明で成り立つ。$u\in H^1(I)$ と滑らかな $\phi$ の部分積分 $\int_0^1u'\phi\,dx=u(1)\phi(1)-u(0)\phi(0)-\int_0^1u\phi'\,dx$ は、1次元Sobolev空間 の定理「連続な代表」の式 $u(x)=u(0)+\int_0^xu'$ を代入して Fubini の定理で示せる。
$c=0$、$\beta_0=-\frac12$、$\beta_1=1$、$g_0=g_1=0$ とする。$\int_\Gamma\beta\,d\sigma=\frac12>0$ で $I$ は連結だが、$\beta\ge0$ だけがみたされない。$v_0(x):=1-\frac x2$ とおくと、すべての $u\in H^1(I)$ について
$$
a(u,v_0)=-\frac12\int_0^1u'\,dx-\frac12u(0)\cdot1+u(1)\cdot\frac12=-\frac12\bigl(u(1)-u(0)\bigr)-\frac12u(0)+\frac12u(1)=0
$$
である。よって弱解 $u$ があれば、(1) に $v=v_0$ を入れて $\int_0^1fv_0\,dx=0$ でなければならない。$f\equiv1$ では $\int_0^1(1-\frac x2)\,dx=\frac34\ne0$ なので、弱解は存在しない。また $a$ は対称なので $a(v_0,\cdot)=0$、すなわち $v_0$ は $f=0$ の問題の $0$ でない弱解で、一意性も成り立たない($v_0$ は $-v_0''=0$、$-v_0'(0)+\beta_0v_0(0)=\frac12-\frac12=0$、$v_0'(1)+\beta_1v_0(1)=-\frac12+\frac12=0$ をみたす古典解でもある)。
$c=1$、$\beta_0=\beta_1=-\tanh\frac12$、$g_0=g_1=0$ とし、$v_0(x):=\cosh(x-\frac12)$ とおく。$v_0''=v_0$、$v_0'(1)=\sinh\frac12=-v_0'(0)$、$v_0(0)=v_0(1)=\cosh\frac12$ なので、部分積分から $u\in H^1(I)$ について
$$
\int_0^1(u'v_0'+uv_0)\,dx=u(1)v_0'(1)-u(0)v_0'(0)=\sinh\tfrac12\,\bigl(u(0)+u(1)\bigr)
$$
であり、$a(u,v_0)=\bigl(\sinh\frac12-\tanh\frac12\cosh\frac12\bigr)(u(0)+u(1))=0$ である。$f\equiv1$ なら $\int_0^1v_0\,dx=2\sinh\frac12\ne0$ なので、前の例と同じ理由で弱解は存在しない。prop-rb-small-negative の小ささの条件は、$c>0$ でも省けない。
$-u''=\lambda u$、$u'(0)=0$、$u'(1)=u(1)$ を考える。右端は $\beta_1=-1$ の Robin 条件である。$0$ でない解をもつ $\lambda<0$ はちょうど 1 つあり、$\lambda=0$ では $0$ でない解はない(この問題は Bre11 Exercise 8.24 の 5(p. 246)で問われている)。
$\lambda=-\nu^2$($\nu>0$)なら、$u'(0)=0$ をみたす解は $u=A\cosh\nu x$ で、右端の条件は $A(\nu\sinh\nu-\cosh\nu)=0$、すなわち $A=0$ か $\nu\tanh\nu=1$ である。$\nu\tanh\nu$ は $(0,\infty)$ で狭義単調増加し、$0$ から $\infty$ まで動くので、$\nu\tanh\nu=1$ の解 $\nu_0$ はちょうど 1 つある。$\lambda=0$ なら $u=A+Bx$ で、$u'(0)=0$ から $B=0$、右端の条件から $0=A$ である。
熱方程式 $\partial_tu=\partial_x^2u$ にこの境界条件を課すと、固有値 $-\nu_0^2$ の固有関数は $e^{\nu_0^2t}$ で増大する。境界から温度に比例して熱が流れ込むので、温度が上がり続ける。
$\beta$ を大きくすると、境界の項 $\int_\Gamma\beta(\gamma u)^2$ を小さくするために解の境界の値が $0$ に近づく。比べる相手は Dirichlet 問題の弱解である。$H^1_0(\Omega)$ の上の $\int\nabla v\cdot\nabla w$ は、Poincaréの不等式 の定理「幅が有限な領域でのPoincaréの不等式」により強圧的なので、Lax–Milgramの定理 から、$u_D\in H^1_0(\Omega)$ で
$$
\int_\Omega\nabla u_D\cdot\nabla v\,dx=\int_\Omega fv\,dx\qquad(v\in H^1_0(\Omega))
$$
をみたすものがただ 1 つある。トレースの核は $\ker\gamma=H^1_0(\Omega)$ である。$H^1_0(\Omega)\subset\ker\gamma$ は、$\varphi\in C^\infty_c(\Omega)$ を $0$ で延ばした関数のトレースが $0$ であることと $\gamma$ の連続性から従う。逆に $w\in H^1(\Omega)$ が $\gamma w=0$ をみたすなら、Greenの公式 の定理「Greenの公式(Sobolev 空間)」の 1 を $v=\varphi|_\Omega$($\varphi\in C^1_c(\mathbb{R}^N)$)に当てると境界の項が消えるので、$w$ を $\Omega$ の外で $0$ とおいた関数は $H^1(\mathbb{R}^N)$ に属し、その弱微分は $\partial_iw$ を $0$ で延ばしたものである。このような $w$ が $H^1_0(\Omega)$ に属することは、零境界Sobolev空間 の命題「零延長による特徴づけ」の 3 ⇒ 1 を $p=2$ で使えば従う(Bre11 Proposition 9.18 の (iii) ⇒ (i)、pp. 289–290)。その命題は $C^1$ 級を局所座標で定めているが、Greenの公式 の節「$C^1$ 級の有界な開集合」で確かめられているとおり、この記事の意味で $C^1$ 級なら局所座標がとれる。
$\Omega$ は連結とし、$c=0$、$g=0$、$f\in L^2(\Omega)$ とする。定数 $t>0$ について、$\beta\equiv t$ の (R) の弱解を $u_t$ とする(thm-rb-weak の 2)。このとき $t\to\infty$ で
$$
\|u_t-u_D\|_{H^1}\to0,\qquad t\,\|\gamma u_t\|_{L^2(\Gamma)}^2\to0
$$
である。
$a_t(v,w):=\int\nabla v\cdot\nabla w+t\int_\Gamma\gamma v\,\gamma w\,d\sigma$ とおく。lem-rb-friedrichs の $\beta\equiv1$ の定数を $C_1$ とすると、$t\ge1$ で
$$
\|v\|_{H^1}^2\le C_1\bigl(\|\nabla v\|^2+t\|\gamma v\|_{L^2(\Gamma)}^2\bigr)=C_1a_t(v,v)\qquad(v\in H^1(\Omega))\qquad(3)
$$
である。$E_t:=a_t(u_t-u_D,u_t-u_D)$ とおく。$\gamma u_D=0$ なので $E_t=\|\nabla(u_t-u_D)\|^2+t\|\gamma u_t\|^2$ である。(1) に $v=u_t$、$v=u_D$ を入れると $a_t(u_t,u_t)=\int fu_t$、$a_t(u_t,u_D)=\int fu_D$ で、$u_D$ の式に $v=u_D$ を入れると $a_t(u_D,u_D)=\|\nabla u_D\|^2=\int fu_D$ なので、
$$
E_t=\int_\Omega f\,(u_t-u_D)\,dx
$$
である。(3) を $u_t-u_D$ に使うと $\|u_t-u_D\|_{H^1}^2\le C_1E_t$ で、$E_t\le\|f\|\,\|u_t-u_D\|\le\|f\|(C_1E_t)^{1/2}$ から $E_t\le C_1\|f\|^2$ である。とくに $(u_t)_{t\ge1}$ は $H^1(\Omega)$ で有界で、$\|\gamma u_t\|^2\le C_1\|f\|^2/t\to0$ である。
$t_k\to\infty$ とする。反射的Banach空間 の定理「有界列の弱収束部分列」(Hilbert 空間は反射的)により、部分列が $H^1(\Omega)$ のある $w$ に弱収束する。$\gamma$ は有界線形なので $\gamma u_{t_k}$ は $\gamma w$ に弱収束し、一方でノルムが $0$ に収束するので $\gamma w=0$、すなわち $w\in H^1_0(\Omega)$ である。$v\in H^1_0(\Omega)$ なら $\gamma v=0$ なので (1) は $\int\nabla u_{t_k}\cdot\nabla v=\int fv$ となり、左辺は $H^1$ の連続線形汎関数で表されるから極限で $\int\nabla w\cdot\nabla v=\int fv$ を得る。$u_D$ の一意性から $w=u_D$ で、$E_{t_k}=\int f(u_{t_k}-u_D)\to0$ である。どの列 $t_k\to\infty$ も $E\to0$ となる部分列をもつので $E_t\to0$ であり、$\|u_t-u_D\|_{H^1}^2\le C_1E_t$、$t\|\gamma u_t\|^2\le E_t$ から主張が従う。$\square$
逆に $t\to0$ とすると、境界の項は消えて Neumann 条件に近づくが、$c=0$ では極限の Neumann 問題は可解条件 $\int_\Omega f=0$ がないと解をもたない。$f$ が可解条件をみたさないとき、$v=1$ を (1) に入れると $t\int_\Gamma\gamma u_t\,d\sigma=\int_\Omega f$ なので、$u_t$ の境界の値の平均は $t^{-1}$ の大きさで発散する。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\beta\ge0$(thm-rb-weak の 2) | ex-rb-no-solution | $f\equiv1$ について弱解が存在しない |
| $\int_\Gamma\beta\,d\sigma>0$(同) | $\Omega=B(0,1)$、$\beta=0$、$c=0$、$f=1$、$g=0$ | 弱解が存在しない |
| $\Omega$ の連結性(同) | $\Omega=B(-3e_1,1)\cup B(3e_1,1)$、$\beta$ は前の球の境界で $1$、後の球の境界で $0$、$c=0$、$f=1$、$g=0$ | 弱解が存在しない |
| $bC_\Gamma^2<\min(1,c)$(prop-rb-small-negative) | ex-rb-no-solution-c | $f\equiv1$ について弱解が存在しない |
2 行目は $v=1$ を (1) に入れると $0=\int_\Omega f=|B(0,1)|$ となって矛盾する。3 行目は、後の球で $1$、前の球で $0$ の関数 $v$ が $H^1(\Omega)$ に属し $\nabla v=0$、$\gamma v$ は前の球の境界で $0$ なので $a(u,v)=0$ であり、(1) から $0=\int_{B(3e_1,1)}1\,dx$ となって矛盾する。境界の項は前の球の定数しか抑えず、後の球では Neumann 問題と同じ可解条件が要る。
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