代数幾何学(algebraic geometry)とは、多項式の方程式の共通の解の集合(アフィン代数的集合・射影代数的集合)と、それを一般化した代数多様体・スキームを、多項式環とそのイデアルの性質を通して研究する数学の分野である。係数の体が代数閉体なら、Hilbert の零点定理により点は極大イデアルに、代数的集合は根基イデアルに、既約な集合は素イデアルに対応する。共通因子のない 2 つの平面曲線の交わりは有限であり、標数が $2$ でない体の上では、円 $x^2+y^2=1$ の $(-1,0)$ 以外の点は直線の束による射影で 1 つの媒介変数に表される。この表示から Pythagoras の三つ組が得られ、奇素数 $p$ について有限体 $\mathbb F_p$ の上の円の点の個数が $p\equiv1,3\pmod4$ に応じて $p-1$、$p+1$ であることが分かる。
代数幾何学(algebraic geometry)は、多項式の方程式の共通の解の集合を図形として調べる数学の分野である。円 $x^2+y^2=1$、放物線 $y=x^2$、曲面 $z^2=x^2+y^2$ は、どれも多項式が $0$ になる点の集まりである。代数幾何学は、こうした図形の形(いくつの部分に分かれるか、次元はいくつか、とがった点はあるか)、2 つの図形の交わり、図形どうしの写像と分類を、多項式の環とそのイデアルの性質に読み替えて調べる。係数を実数や複素数に限らず、有理数や有限体にとれることがこの分野の特徴で、そのため図形の性質が方程式の整数解・有理数解の問題(数論幾何学)にそのまま結びつく。
この記事では、アフィン代数的集合・Zariski 位相・射影代数的集合・代数多様体を定義し、図形と代数の対応(辞書)と、分野の主な問いを記事とともに示す。代表例として、平面の 2 曲線の交わりが有限であることと、円の点を 1 つの媒介変数で表す公式(円の有理媒介表示)を完全に証明し、後者から有理数の上の円の点(Pythagoras の三つ組)と有限体の上の円の点の個数を求める。最後に、学ぶ順に記事を並べた道筋を示す。
この記事では $k$ を体とし、$k^n$ を $n$ 次元アフィン空間 と呼んで $\mathbb A^n(k)$ と書く。$k[x_1,\dots,x_n]$ は $k$ 上の $n$ 変数の多項式環である。
多項式の集合 $S\subset k[x_1,\dots,x_n]$ に対し、
$$
V(S):=\{P\in\mathbb A^n(k)\mid \text{すべての } f\in S \text{ について } f(P)=0\}
$$
を $S$ の零点集合という。ある $S$ の零点集合になっている $\mathbb A^n(k)$ の部分集合をアフィン代数的集合という。逆に、部分集合 $X\subset\mathbb A^n(k)$ に対し、
$$
I(X):=\{f\in k[x_1,\dots,x_n]\mid \text{すべての } P\in X \text{ について } f(P)=0\}
$$
を $X$ の消滅イデアルという。
代数幾何学とは、代数的集合とその一般化(代数多様体・スキーム)を、多項式環とその剰余環(座標環)などの可換環の性質を通して研究する数学の分野である。
$V(S)$ は $S$ が生成するイデアルの零点集合に等しく、$I(X)$ は $f^m\in I(X)$ なら $f\in I(X)$ を満たすイデアル(根基イデアル)である。$S\subset T$ なら $V(S)\supset V(T)$、$X\subset Y$ なら $I(X)\supset I(Y)$ であり、$X$ が代数的集合なら $V(I(X))=X$ である。これらの基本の公式は アフィン代数的集合 の命題「零点集合の基本公式」「零点と方程式のGalois対応」が証明している。
$\mathbb A^n(k)$ のアフィン代数的集合を閉集合とする位相を Zariski 位相 という(有限個の和と任意個の共通部分で閉じることは アフィン代数的集合 の定義「アフィン空間のZariski位相」にある)。空でない代数的集合 $X$ が、2 つの真に小さい代数的集合の和 $X=X_1\cup X_2$ に書けないとき、$X$ は既約であるという。既約なアフィン代数的集合をアフィン代数多様体という。
$X$ が既約であることは $I(X)$ が素イデアルであることと同値であり、どの代数的集合も有限個の既約な代数的集合(既約成分)の和に、包含関係のない形でただ一通りに分かれる(アフィン代数的集合 の命題「既約性と素イデアル」と 既約成分)。$\mathbb A^1(k)$ では、多項式の根は有限個なので、$k$ 全体以外の閉集合は有限集合である。
$k^{n+1}\setminus\{0\}$ の点 $(a_0,\dots,a_n)$ を、$0$ でない $\lambda\in k$ による $(\lambda a_0,\dots,\lambda a_n)$ と同じものとみなした同値類の集合を $n$ 次元射影空間 $\mathbb P^n(k)$ といい、同値類を $[a_0:\cdots:a_n]$ と書く。斉次多項式 $F(x_0,\dots,x_n)$ は $F(\lambda a)=\lambda^dF(a)$ を満たすので、$F$ が点 $[a_0:\cdots:a_n]$ で $0$ になるかどうかは代表のとり方によらない。斉次多項式の集合の共通の零点として表される $\mathbb P^n(k)$ の部分集合を射影代数的集合という。
$\mathbb P^n(k)$ は、$x_0\ne0$ の部分 $\{[1:a_1:\cdots:a_n]\}\cong\mathbb A^n(k)$ に「無限遠の点」$\{x_0=0\}\cong\mathbb P^{n-1}(k)$ を付け加えたものである。平行な 2 直線も無限遠の点で交わるので、交わりの個数を数える定理(Bézoutの定理)は射影空間で例外なく成り立つ。詳しくは 射影空間・射影多様体 を参照。
アフィン代数的集合と射影代数的集合を貼り合わせて一般化したものが代数多様体であり、さらに任意の可換環 $A$ に対して空間 $\operatorname{Spec}A$ を考えて貼り合わせたものがスキームである。スキームでは係数の体を整数環に取り替えることもでき、数論の問題を幾何学として扱えるようになる。
$X\subset\mathbb A^n(k)$ を代数的集合とするとき、$k[X]:=k[x_1,\dots,x_n]/I(X)$ を $X$ の座標環という。これは $X$ の上の多項式関数のなす環である。$k$ が代数閉体なら、Hilbertの零点定理 により $I(V(J))$ はイデアル $J$ の根基($f^m\in J$ となる $f$ の全体)に等しく、図形の言葉と環の言葉が次のように 1 対 1 に対応する(Hilbertの零点定理 の系「根基イデアルとアフィン代数的集合の対応」)。
| 図形の側($k$ は代数閉体) | 代数の側 |
|---|---|
| $\mathbb A^n(k)$ の点 $(a_1,\dots,a_n)$ | 極大イデアル $(x_1-a_1,\dots,x_n-a_n)$ |
| アフィン代数的集合 $X$ | 根基イデアル $I(X)$ |
| 既約な代数的集合(アフィン代数多様体) | 素イデアル |
| 空集合 | 単位イデアル $(1)$ |
| $X$ の上の多項式関数 | 座標環 $k[X]$ の元 |
| 代数的集合の間の多項式写像 $X\to Y$ | $k$ 代数の準同型 $k[Y]\to k[X]$(向きが逆になる) |
この辞書によって、図形の次元は座標環の Krull次元 として、とがった点(特異点)は局所環の性質として、環の言葉で定義し計算できる。辞書は $k$ が代数閉体でないと崩れる。たとえば $k=\mathbb R$ では $V(x^2+1)=\emptyset=V(1)$ だが $(x^2+1)\ne(1)$ である。
平面の 2 本の曲線 $f=0$、$g=0$ は、同じ成分を共有しない限り有限個の点でしか交わらない。この事実は、平面の代数的集合がすべて「平面全体・空集合・有限個の点・有限個の曲線」の和であることや、Bézout の定理の出発点になる。証明は、1 変数の多項式環が単項イデアル整域であることと、Gauss の補題という環の事実だけを使う。
この節では、$k[x,y]$ の元 $f,g$ が共通因子をもたないとは、$f$ と $g$ をともに割り切る定数でない多項式がないことをいう。$A:=k[x]$、$K:=k(x)$(有理関数体)とおくと、$k[x,y]=A[y]\subset K[y]$ である。$A$ は一意分解整域なので、多項式環 の定義「内容と原始多項式」の意味で $A[y]$ や $K[y]$ の元の内容と原始多項式を考える。
$f,g\in k[x,y]$ が $K[y]$ の中で $y$ について 1 次以上の共通の約元 $h$ をもつならば、$f,g$ は $k[x,y]$ の中で共通因子をもつ。
$h$ の係数の分母を払い、係数の最大公約元で割ると、$h=\gamma\,h_0$($\gamma\in K$、$\gamma\ne0$、$h_0\in A[y]$ は原始多項式で $y$ について 1 次以上)と書ける。$h_0$ が $A[y]$ の中で $f$ を割ることを示す($g$ についても同じである)。
$f=0$ なら明らかなので $f\ne0$ とする。$K[y]$ の中で $f=h_0q$ と書け、同様に $q=d\,q_0$($d\in K$、$d\ne0$、$q_0\in A[y]$ は原始多項式)と書ける。$d=\alpha/\beta$($\alpha,\beta\in A$ は互いに素)とすると $\beta f=\alpha\,h_0q_0$ である。多項式環 の定理「Gauss の補題(内容の乗法性)」により $h_0q_0$ は原始多項式なので、両辺の内容を比べると、単元倍を除いて $\beta\,c(f)=\alpha$ である。よって $\beta$ は $\alpha$ を割り切り、$\alpha$ と互いに素なので単元である。したがって $d\in A$、$q=dq_0\in A[y]$ であり、$h_0$ は $k[x,y]$ の中で $f$ を割り切る。$h_0$ は $y$ について 1 次以上なので定数でなく、$f,g$ の共通因子である。$\square$
$k$ を体とし、$f,g\in k[x,y]$ は共通因子をもたないとする。このとき $V(f,g)=V(f)\cap V(g)$ は有限集合である。
$f=g=0$ なら $x$ が共通因子になるので、$f,g$ の少なくとも一方は $0$ でない。$K[y]$ は体上の多項式環なので単項イデアル整域であり(多項式環 の定理「体上の多項式環は単項イデアル整域」)、$f,g$ の生成する $K[y]$ のイデアルは $1$ つの元 $h\ne0$ で生成される。$h$ は $f,g$ の共通の約元なので、lem-ag-gauss により $h$ は $y$ について次数 $0$、すなわち $K$ の $0$ でない元である。よって $K[y]$ の中で
$$
rf+sg=1\qquad(r,s\in K[y])
$$
と書ける。$r,s$ の係数の分母をすべて払う $0$ でない多項式 $D\in k[x]$ をとると、$a:=Dr$、$b:=Ds$ は $k[x,y]$ の元で、$af+bg=D$ となる。
$(p,q)\in V(f,g)$ なら、代入して $D(p)=a(p,q)f(p,q)+b(p,q)g(p,q)=0$ である。$D$ は $0$ でない 1 変数の多項式なので、根は有限個しかない(多項式環 の定理「根の個数」)。よって $V(f,g)$ の点の $x$ 座標は有限個の値しかとらない。$x$ と $y$ の役割を入れ替えた同じ議論により、$y$ 座標も有限個の値しかとらない。したがって $V(f,g)$ は有限集合の直積に含まれ、有限である。$\square$
この命題は Ful08 §1.6 Proposition 2(p. 9)にあり、Gauss の補題からの帰結は同 §1.1(p. 2)で述べられている。
$f\in k[x,y]$ が既約で、$V(f)$ が無限集合ならば、$I(V(f))=(f)$ である。
$(f)\subset I(V(f))$ は明らかである。$g\in I(V(f))$ とすると $V(f,g)=V(f)$ は無限集合なので、prop-ag-plane-finite により $f$ と $g$ は共通因子 $u$ をもつ。$u$ は既約な $f$ を割る定数でない多項式なので、$f$ の 0 でない定数倍であり、$f$ は $g$ を割り切る。よって $g\in(f)$ である。$\square$
この系は、無限個の点をもつ既約な曲線が、その点集合から方程式を(定数倍を除いて)復元できることを述べている(Ful08 §1.6 Corollary 1)。点が有限個しかない場合はこれが崩れる(下の反例の表)。
円 $x^2+y^2=1$ の点 $P=(-1,0)$ を通る傾き $t$ の直線 $y=t(x+1)$ は、円とちょうどもう 1 点で交わる。この「直線の束による射影」で、円の点を 1 つの変数 $t$ で表せる。係数の体 $k$ は標数が $2$ でなければ何でもよいので、有理数の上でも、位数が奇数の有限体の上でも円の点がすべて求まる。
$k$ を標数が $2$ でない体とし、$C:=V(x^2+y^2-1)\subset\mathbb A^2(k)$、$P:=(-1,0)$、$U:=\{t\in k\mid t^2\ne-1\}$ とおく。このとき
$$
\varphi(t):=\left(\frac{1-t^2}{1+t^2},\ \frac{2t}{1+t^2}\right)
$$
は $U$ から $C\setminus\{P\}$ への全単射であり、逆写像は $\psi(x,y):=\dfrac{y}{1+x}$ である。
$\varphi(t)\in C$ であることは $(1-t^2)^2+(2t)^2=(1+t^2)^2$ から従う。$\varphi(t)=P$ とすると $1-t^2=-(1+t^2)$、すなわち $2=0$ となり、標数の仮定に反するので、$\varphi(t)\ne P$ である。
$C$ の点 $(x,y)$ で $x=-1$ なら $y^2=0$、$y=0$ となり、その点は $P$ である。よって $C\setminus\{P\}$ の上では $1+x\ne0$ で、$\psi$ が定義される。$t\in U$ について $1+\frac{1-t^2}{1+t^2}=\frac{2}{1+t^2}$ なので、$\psi(\varphi(t))=\frac{2t}{1+t^2}\cdot\frac{1+t^2}{2}=t$ である。
逆に $(x,y)\in C\setminus\{P\}$ とし、$t:=\psi(x,y)$ とおくと $y=t(1+x)$ である。これを $x^2+y^2=1$ に代入すると
$$
0=x^2-1+t^2(1+x)^2=(1+x)\bigl((1+t^2)x-(1-t^2)\bigr)
$$
となり、$1+x\ne0$ なので $(1+t^2)x=1-t^2$ である。もし $1+t^2=0$ なら $1-t^2=0$ でもあり、2 式を足して $2=0$ となって矛盾する。よって $t\in U$ であり、$x=\frac{1-t^2}{1+t^2}$、$y=t(1+x)=\frac{2t}{1+t^2}$、すなわち $(x,y)=\varphi(\psi(x,y))$ である。以上で $\varphi$ と $\psi$ は互いに逆写像である。$\square$
$k=\mathbb Q$ では $t^2=-1$ となる有理数はないので $U=\mathbb Q$ であり、円の有理点は $P$ と $\varphi(t)$($t\in\mathbb Q$)で尽きる。$t=n/m$($m,n$ は整数、$m\ne0$)とおくと $\varphi(t)=\bigl(\frac{m^2-n^2}{m^2+n^2},\frac{2mn}{m^2+n^2}\bigr)$ であり、分母を払うと $(m^2-n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2$ を得る。たとえば $t=\frac12$ から $(\frac35,\frac45)$、すなわち $3^2+4^2=5^2$ が、$t=\frac23$ から $5^2+12^2=13^2$ が出る。$a^2+b^2=c^2$ を満たす正の整数の組(ピタゴラス数)は円の有理点 $(a/c,b/c)$ と対応するので、すべてのピタゴラス数が、この形の組の正の有理数倍として得られる。
$p$ を奇素数とし、$\mathbb F_p:=\mathbb Z/p\mathbb Z$ とする。$C(\mathbb F_p):=\{(x,y)\in\mathbb F_p^2\mid x^2+y^2=1\}$ の元の個数は、$p\equiv1\pmod4$ なら $p-1$、$p\equiv3\pmod4$ なら $p+1$ である。
thm-ag-circle-parametrization により、$C(\mathbb F_p)$ の元の個数は $\lvert U\rvert+1=p-N+1$ である。ここで $N$ は $t^2=-1$ を満たす $t\in\mathbb F_p$ の個数である。代数学 の系「$-1$ が平方になる素数」により、$p\equiv3\pmod4$ なら $N=0$ である。$p\equiv1\pmod4$ なら解 $t_0$ があり、$-t_0$ も解で、$t_0\ne0$ と標数が $2$ でないことから $t_0\ne-t_0$ である。2 次式 $t^2+1$ の根は高々 2 個なので $N=2$ である。よって個数は $p\equiv1$ なら $p-1$、$p\equiv3$ なら $p+1$ である。$\square$
たとえば $p=3$ では $(\pm1,0)$、$(0,\pm1)$ の 4 点($=p+1$)、$p=5$ でも同じ 4 点($=p-1$)である。射影平面で見ると、$C$ を閉じた曲線 $\bar C:=\{[x:y:z]\in\mathbb P^2(\mathbb F_p)\mid x^2+y^2=z^2\}$ の無限遠の点は $x^2+y^2=0$、$z=0$ の点 $[1:\pm t_0:0]$ で、$-1=t_0^2$ のときに 2 個、そうでないとき 0 個ある。したがって $\bar C$ の点はつねに $p+1$ 個で、これは射影直線 $\mathbb P^1(\mathbb F_p)$ の点の個数に等しい。実際、座標の 1 次変換 $X=z-y$、$Y=x$、$Z=z+y$(標数が $2$ でないので可逆)で $x^2+y^2-z^2=Y^2-XZ$ となるので、代数曲線 の定理「2 次曲線 $xz=y^2$ は射影直線と同型」により、$\bar C$ を点の集合とする射影曲線 $V_+(x^2+y^2-z^2)$ は $\mathbb P^1_{\mathbb F_p}$ と同型な有理曲線である。斉次座標で書けば $[s:t]\mapsto[s^2-t^2:2st:s^2+t^2]$ が $\varphi$ の延長で、$[0:1]$ は $P$ に、$s^2+t^2=0$ の点は無限遠の点に移る。アフィンの図形の点の個数は無限遠の点の分だけ揺れるが、射影の図形では素直な答えになる。これが代数幾何学で射影空間を使う理由の 1 つである。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| prop-ag-plane-finite の「共通因子をもたない」 | $k$ が無限体で $f=xy$、$g=x(y-1)$(共通因子 $x$) | $V(f,g)$ は直線 $x=0$ 全体で、無限集合 |
| prop-ag-plane-finite の「2 変数」 | $k$ が無限体で $k[x,y,z]$ の $f=x$、$g=y$(共通因子なし) | $V(f,g)$ は $z$ 軸 $\{(0,0,c)\}$ で、無限集合 |
| cor-ag-curve-ideal の「$V(f)$ が無限」 | $k=\mathbb R$、$f=x^2+y^2$($\mathbb R[x,y]$ で既約) | $V(f)=\{(0,0)\}$ で $I(V(f))=(x,y)\ne(f)$ |
| thm-ag-circle-parametrization の「標数が $2$ でない」 | 標数 $2$ の体 | $x^2+y^2-1=(x+y+1)^2$ で $C$ は直線 $x+y=1$ だが、$1-t^2=1+t^2$、$2t=0$ より $\varphi(t)=(1,0)$ はつねに同じ点 |
| 辞書の「$k$ は代数閉体」 | $k=\mathbb R$、$J=(x^2+1)\subset\mathbb R[x]$ | $V(J)=\emptyset=V((1))$ だが $J\ne(1)$ で、イデアルと図形の対応が 1 対 1 でない |
$x^2+y^2$ が $\mathbb R[x,y]$ で既約なことは、1 次式の積 $(ax+by+c)(a'x+b'y+c')$ に分かれたとすると、直線 $ax+by+c=0$ の上の無限個の実数の点で $x^2+y^2=0$ となるが、$x^2+y^2=0$ の実数解は原点だけであることから分かる(次数の比較により、定数でない真の約元をもつなら 1 次式 2 つの積に分かれる)。
代数幾何学は可換環論と強く結びついているので、環の準備から始める。
座標を使って図形を方程式で表す方法は 17 世紀に Descartes と Fermat が始めた。19 世紀には Riemann が代数関数を Riemann 面の上の関数として調べ、曲線の種数と Riemann–Roch の定理の原形が得られた。20 世紀前半から中ごろにかけて Zariski と Weil が、複素数に頼らずに任意の体の上で使える代数的な基礎を整え、1960 年代に Grothendieck がスキームと層コホモロジーによる現在の枠組みを築いた。Ful08 は平面曲線を題材に、この記事の前半の内容から Bézout の定理と Riemann–Roch の定理までを扱う教科書である。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する