Simson線

同義語:シムソン線Wallace線Simson line

概要

Simson線(Simson line)とは、三角形 $ABC$ の外接円の上の点 $P$ から、3 辺 $BC$、$CA$、$AB$ を含む直線に下ろした垂線の足 $D$、$E$、$F$ が並ぶ直線である。Wallace 線ともいう。主定理は、点 $P$ について「3 つの足が一直線上にある」ことと「$P$ が外接円の上にある」ことが同値であるというもので、足が辺の延長に出る場合も、角を $180^\circ$ を法として測る有向角を使って場合分けなしに証明できる。証明の鍵は $PB$ を直径とする円から出る等式 $\measuredangle PDF=\measuredangle PBA$ である。外接円の上の 2 点 $P$、$Q$(頂点以外)の Simson 線のなす角は弦 $PQ$ に対する円周角に等しく、直径の両端の Simson 線は垂直に交わる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 円に内接する四角形, 円周角の定理(高校数学), 直径に対する円周角, 三角形の外心

高校での出発点:外接円の上の点から 3 辺に垂線を下ろす

三角形 $ABC$ と点 $P$ をとり、$P$ から 3 辺 $BC$、$CA$、$AB$ を含む直線に垂線を下ろす。垂線の足は 3 つできる。ふつう 3 つの点は三角形を作るが、$P$ を三角形の外接円の上にとると、3 つの足が 1 本の直線の上に並ぶ。まず座標で確かめる。

外接円の上の点から下ろした垂線の足

$A(-3,4)$、$B(-4,-3)$、$C(4,-3)$ とする。3 点はどれも $x^2+y^2=25$ を満たすので、外接円は原点 $O$ を中心とする半径 $5$ の円である。この円の上の点 $P(0,-5)$ をとる。3 辺を含む直線は次のとおりである。
$$ BC:\ y=-3,\qquad CA:\ x+y=1,\qquad AB:\ 7x-y+25=0 $$
(1) 直線 $BC$ への足 $D$。直線 $BC$ は $x$ 軸に平行なので、$P$ を通る垂線は $x=0$ で、$D(0,-3)$ である。
(2) 直線 $CA$ への足 $E$。直線 $x+y=1$ に垂直な向きは $(1,1)$ なので、垂線の上の点は $(t,\,-5+t)$ と書ける。$t+(-5+t)=1$ より $t=3$ で、$E(3,-2)$ である。
(3) 直線 $AB$ への足 $F$。直線 $7x-y+25=0$ に垂直な向きは $(7,-1)$ なので、垂線の上の点は $(7t,\,-5-t)$ と書ける。代入すると $49t+5+t+25=0$、つまり $50t=-30$ で $t=-\dfrac35$ であり、$F\left(-\dfrac{21}5,-\dfrac{22}5\right)$ である。
(4) 並び方。直線 $DE$ の傾きは $\dfrac{-2-(-3)}{3-0}=\dfrac13$、直線 $DF$ の傾きは
$$ \frac{-\frac{22}5-(-3)}{-\frac{21}5-0}=\frac{-\frac75}{-\frac{21}5}=\frac13 $$
で、等しい。2 本の直線はどちらも $D$ を通るので同じ直線であり、$D$、$E$、$F$ は直線 $y=\dfrac13x-3$ の上に並ぶ。
$F$ の $y$ 座標 $-\dfrac{22}5$ は $B$ の $y$ 座標 $-3$ より小さいので、$F$ は辺 $AB$ を $B$ の先へ延ばした部分にある。足は辺そのものではなく、辺を延ばした直線の上にくることがある。

外接円の上にない点では三角形ができる

ex-smsn-start の三角形で、外接円の中心 $O(0,0)$ から垂線を下ろす。$BC$ への足は $D(0,-3)$ である。$CA$ への足は $(t,t)$ を $x+y=1$ に代入して $t=\dfrac12$、$E\left(\dfrac12,\dfrac12\right)$ である。$AB$ への足は $(7t,-t)$ を代入して $49t+t+25=0$、$t=-\dfrac12$ で、$F\left(-\dfrac72,\dfrac12\right)$ である。
直線 $DE$ の傾きは $\dfrac{\frac12+3}{\frac12}=7$、直線 $DF$ の傾きは $\dfrac{\frac12+3}{-\frac72}=-1$ で、異なる。3 つの足は一直線上になく、三角形を作る。3 つの足は 3 辺の中点で(三角形の外心 は 3 辺の垂直二等分線の交点だから)、できる三角形は中点を結んだ三角形である。

外接円の上の点 P から 3 辺を含む直線に下ろした垂線の足 D、E、F は、赤い直線の上に並ぶ。F は辺 AB の延長の上にある 外接円の上の点 P から 3 辺を含む直線に下ろした垂線の足 D、E、F は、赤い直線の上に並ぶ。F は辺 AB の延長の上にある
外接円の中心 O から下ろした垂線の足は 3 辺の中点で、赤い三角形を作る 外接円の中心 O から下ろした垂線の足は 3 辺の中点で、赤い三角形を作る

図 1 と図 2 を比べると、足が一直線に並ぶかどうかは点の位置で決まる。この記事で答える問いは次の 3 つである。

  1. 外接円の上のどの点でも 3 つの足は一直線に並ぶか。逆に、並べば点は外接円の上にあるか。→ thm-smsn-main
  2. 足が辺の延長に出るかどうかで場合分けせずに証明できるか。→ def-smsn-directed、lem-smsn-transfer
  3. 点を外接円の上で動かすと、並んだ直線はどう動くか。→ prop-smsn-angle
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    3 つの足の傾きが等しいSimson 線足の三角形の面積が $0$
    直角を見込む点は直径の円の上角の移しかえ4 点が同一円周上にある条件
    対角の和が $180^\circ$、または見込む角が等しい有向角の等式 1 本角を $180^\circ$ を法として測る
    点を円の上で動かす直線の向きは円周角だけ回る包絡線はデルトイド

言葉の準備:垂線の足と有向角

垂線の足と足の三角形

三角形 $ABC$ と点 $P$ について、$P$ から直線 $BC$、$CA$、$AB$ に下ろした垂線の足を、それぞれ $D$、$E$、$F$ とする。$P$ が直線の上にあるときは、足は $P$ 自身とする。3 点 $D$、$E$、$F$ が一直線上にないとき、三角形 $DEF$ を $P$ の 足の三角形(垂足三角形)という。

足は「辺を含む直線」の上にとる。ex-smsn-start の $F$ のように、足が辺の延長にくることがあるからである。
足が辺の上にくるか延長にくるかで、角の関係は「等しい」になったり「和が $180^\circ$」になったりする(円に内接する四角形 の 2 つの判定法)。この場合分けをまとめるために、角を $180^\circ$ の違いを除いて測る。

直線の有向角

直線 $\ell$ が $x$ 軸の正の向きとなす角を、$x$ 軸を反時計回りに回して $\ell$ に平行にするまでの角 $\theta_\ell$ で表す。$\theta_\ell$ は $180^\circ$ の整数倍の違いを除いて決まる(直線を $180^\circ$ 回すと同じ直線にもどるから)。2 本の直線 $\ell$、$m$ について
$$ \measuredangle(\ell,m)=\theta_m-\theta_\ell\pmod{180^\circ} $$
を、$\ell$ から $m$ への 有向角 という。$\ell$ を反時計回りに $\measuredangle(\ell,m)$ だけ回すと $m$ に平行になる。点 $X$、$Y$、$Z$($X\ne Y$、$Z\ne Y$)については、直線 $YX$ から直線 $YZ$ への有向角を $\measuredangle XYZ$ と書く。

これは 円周角の定理(高校数学) の有向角と同じものである(そこでは複素数の偏角で定めている)。定義から、次の性質がすぐに出る。
(R1) $\measuredangle(\ell,m)+\measuredangle(m,n)=\measuredangle(\ell,n)$。
(R1) $\measuredangle(m,\ell)=-\measuredangle(\ell,m)$。とくに $-90^\circ$ と $90^\circ$ は同じ値である。
(R1) 同じ点を通る 2 本の直線 $m$、$m'$ について、ある直線 $\ell$ で $\measuredangle(\ell,m)=\measuredangle(\ell,m')$ ならば、$m$ と $m'$ は平行か一致し、共有点があるので一致する。
(R1) $\ell\perp m$ と $\measuredangle(\ell,m)=90^\circ$ は同じことである。

有向角を計算する
  1. $x$ 軸から直線 $y=x$ への有向角は $45^\circ-0^\circ=45^\circ$ である。逆に、直線 $y=x$ から $x$ 軸への有向角は $-45^\circ$ で、$180^\circ$ を足すと $135^\circ$ と同じ値である。有向角は、2 本の順番を入れかえると符号が変わる。
  2. ex-smsn-start で、直線 $BC$($\theta=0^\circ$)から、足の並ぶ直線 $y=\dfrac13x-3$ への有向角は、$\tan\theta=\dfrac13$ を満たす角 $\theta\approx18.43^\circ$ である。直線 $PD$($x=0$、$\theta=90^\circ$)から直線 $BC$ への有向角は $0^\circ-90^\circ=-90^\circ$ で、$90^\circ$ と同じ値である(性質 (ii)・(iv))。

円周角の定理とその逆を、有向角で 1 つの主張にまとめる。

有向角による共円の判定

異なる 2 点 $W$、$X$ と、直線 $WX$ の上にない 2 点 $Y$、$Z$ をとる。4 点 $W$、$X$、$Y$、$Z$ が同一円周上にあることと
$$ \measuredangle WYX=\measuredangle WZX $$
は同値である。

同じ側と反対側の 2 つの判定法をまとめる

要点:$Y$ から見て、半直線 $YW$ を半直線 $YX$ に重ねる回転の角を、反時計回りを正として $-180^\circ$ と $180^\circ$ の間で測ったものを $\varphi_Y$ とする。$\varphi_Y$ の大きさは普通の角 $\angle WYX$ で、符号は $Y$ が直線 $WX$ のどちら側にあるかで決まる。$Y$ と $Z$ が同じ側なら有向角の等式は $\angle WYX=\angle WZX$、反対側なら $\angle WYX+\angle WZX=180^\circ$ と同じになり、どちらも 円に内接する四角形 の判定法で共円と同値である。

詳しい証明を開く

段 1(符号と側)。$Y$ は直線 $WX$ の上にないので、$\varphi_Y$ は $0^\circ$ でも $\pm180^\circ$ でもなく、$\lvert\varphi_Y\rvert=\angle WYX$ である。$\varphi_Y$ の符号は、$\overrightarrow{YW}=(p_1,p_2)$、$\overrightarrow{YX}=(q_1,q_2)$ としたときの $p_1q_2-p_2q_1$($=\lvert\overrightarrow{YW}\rvert\lvert\overrightarrow{YX}\rvert\sin\varphi_Y$)の符号と同じである。成分で展開すると、恒等式

$$(w_1-y_1)(x_2-y_2)-(w_2-y_2)(x_1-y_1)=(x_1-w_1)(y_2-w_2)-(x_2-w_2)(y_1-w_1)$$

が成り立つ(両辺とも $w_1x_2-w_2x_1+x_1y_2-x_2y_1+y_1w_2-y_2w_1$ になる)。右辺の符号は、$W$ から $X$ へ向かって $Y$ が左にあれば正、右にあれば負である。よって $\varphi_Y$ の符号は $Y$ が直線 $WX$ のどちら側にあるかだけで決まる。$Z$ についても同じである。また、$\measuredangle WYX$ は $\varphi_Y$ を $180^\circ$ の違いを除いて見たものである。

段 2(同じ側)。$\varphi_Y$ と $\varphi_Z$ は同じ符号なので、差は $-180^\circ$ と $180^\circ$ の間にある。有向角が等しい、つまり差が $180^\circ$ の整数倍であることは、差が $0$、つまり $\angle WYX=\angle WZX$ と同じである。円に内接する四角形 の「見込む角による判定」により、これは 4 点が同一円周上にあることと同値である。

段 3(反対側)。$\varphi_Y>0>\varphi_Z$ としてよい(逆なら $Y$ と $Z$ の名前を入れかえる)。差 $\varphi_Y-\varphi_Z$ は $0^\circ$ と $360^\circ$ の間にあるので、$180^\circ$ の整数倍であることは $\varphi_Y-\varphi_Z=180^\circ$、つまり $\angle WYX+\angle WZX=180^\circ$ と同じである。$Y$ と $Z$ は直線 $WX$ の反対側にあるので、四角形 $WYXZ$ について 円に内接する四角形 の「対角の和」の定理とその逆(対角の和による判定)により、これは 4 点が同一円周上にあることと同値である。$\square$

主定理:足が一直線に並ぶ条件

以下、三角形 $ABC$ の外接円を $\Gamma$ とし、点 $P$ の足を def-smsn-pedal のとおり $D$、$E$、$F$ とする。

角の移しかえ

図 3 のように、$\angle PDB=\angle PFB=90^\circ$ なので、$D$ と $F$ は $PB$ を直径とする円の上にある(直径に対する円周角)。同じく $D$ と $E$ は $PC$ を直径とする円の上にある。この 2 つの円で、足での角を頂点での角に移す。
まず、$P$ が 3 本の直線 $BC$、$CA$、$AB$ のどれの上にもないとき、3 つの足は互いに異なり、$P$ とも異なる。$P$ と異なることは、$P$ が直線の上にないことから出る。$D=F$ とすると、その点は直線 $BC$ と直線 $AB$ の共有点 $B$ で、$PB\perp BC$ かつ $PB\perp AB$ となる。1 本の直線 $PB$ に垂直な 2 直線は平行なので、$B$ で交わる $BC$ と $AB$ は同じ直線になり、三角形であることに反する。$D=E$、$E=F$ も同じ理由で起こらない。

足での角を頂点での角に移す

点 $P$ が直線 $BC$、$CA$、$AB$ のどれの上にもないとする。このとき
$$ \measuredangle PDF=\measuredangle PBA,\qquad \measuredangle PDE=\measuredangle PCA $$
である。

直径の円と有向角

方針:$D$ と $B$ が同じ円の上から同じ弦 $PF$ を見込むことを使う。足が頂点に重なる 2 つの場合は別に確かめる。1 つ目の式を示す。
場合 1($D\ne B$ かつ $F\ne B$)。$\angle PDB=90^\circ$、$\angle PFB=90^\circ$ なので、直径に対する円周角 により $D$ と $F$ は $PB$ を直径とする円の上にある。4 点 $P$、$F$、$D$、$B$ は同一円周上にある。lem-smsn-concyclic を $W=P$、$X=F$、$Y=D$、$Z=B$ として使うために、$D$ と $B$ が直線 $PF$ の上にないことを確かめる。直線 $PF$ は直線 $AB$ に $F$ で垂直に交わり、$AB$ との共有点は $F$ だけなので、$F$ と異なる $B$ は直線 $PF$ の上にない。$D$ が直線 $PF$ の上にあるとすると、直線 $PF$ は直線 $PD$ と同じで、$AB$ にも $BC$ にも垂直になり、$AB$ と $BC$ が平行になって矛盾する。よって
$$ \measuredangle PDF=\measuredangle PBF $$
である。$F$ は直線 $AB$ の上の $B$ と異なる点なので、直線 $BF$ は直線 $BA$ であり、$\measuredangle PBF=\measuredangle PBA$ である。
場合 2($D=B$)。上で見たとおり $F\ne D$ なので $F\ne B$ である。直線 $DP$ は直線 $BP$、直線 $DF$ は直線 $BF$、つまり直線 $BA$ である。2 つの有向角は同じ 2 本の直線の間の角なので等しい。
場合 3($F=B$)。$D\ne B$ である。$B$ が $P$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足なので $PB\perp AB$ で、$\measuredangle PBA=90^\circ$ である。一方、$D$ と $F=B$ はどちらも直線 $BC$ の上の異なる点なので、直線 $DF$ は直線 $BC$ であり、$PD\perp BC$ から $\measuredangle PDF=90^\circ$ である。
2 つ目の式は、$B$ と $C$、$F$ と $E$ の役を入れかえて、$PC$ を直径とする円で同じ議論をすれば得られる。$\square$

PB を直径とする緑の円の上に D と F が、PC を直径とする紫の円の上に D と E がある PB を直径とする緑の円の上に D と F が、PC を直径とする紫の円の上に D と E がある

主定理と証明

Simson 線の定理

三角形 $ABC$ と点 $P$ について、$P$ から直線 $BC$、$CA$、$AB$ に下ろした垂線の足 $D$、$E$、$F$ が一直線上にあることと、$P$ が三角形 $ABC$ の外接円 $\Gamma$ の上にあることは同値である。

有向角の等式の連鎖

方針:$P$ が 3 辺を含む直線の上にない場合が本体で、lem-smsn-transfer と lem-smsn-concyclic を順に使う。直線の上にある場合を先に片付ける。
段 1($P$ が頂点)。$P=A$ のとき、$A$ は直線 $CA$ と直線 $AB$ の上にあるので $E=F=A$ である。3 つの足は $D$ と $A$ の 2 点だけで、2 点を通る直線の上にある。$A$ は $\Gamma$ の上にあるので、どちらの条件も成り立つ。$P=B$、$P=C$ でも同じである。
段 2($P$ が 3 本の直線のどれかの上にあり、頂点ではない)。$P$ が直線 $BC$ の上にあるとする(ほかの直線でも同じ)。直線と円の共有点は 2 個までで、直線 $BC$ と $\Gamma$ の共有点は $B$、$C$ なので、$P$ は $\Gamma$ の上にない。一方 $D=P$ である。$P$ は頂点ではないので直線 $CA$、$AB$ の上になく、$E\ne P$、$F\ne P$ である。$E=F$ ならその点は $A$ で、$PA$ が $CA$ にも $AB$ にも垂直になり矛盾するので、$E\ne F$ である。もし $P$、$E$、$F$ が一直線上にあれば、その直線は $PE$ として $CA$ に垂直、$PF$ として $AB$ に垂直で、$CA$ と $AB$ が平行になり矛盾する。よって $D=P$、$E$、$F$ は一直線上になく、どちらの条件も成り立たない。
段 3($P$ が 3 本の直線のどれの上にもない)。3 つの足は互いに異なる。$D$、$E$、$F$ が一直線上にあることは、$D$ を通る 2 本の直線 $DF$ と $DE$ が一致することと同じであり、性質 (iii) により
$$ \measuredangle PDF=\measuredangle PDE $$
と同値である。lem-smsn-transfer により、左辺は $\measuredangle PBA$、右辺は $\measuredangle PCA$ に等しいので、これは
$$ \measuredangle PBA=\measuredangle PCA $$
と同値である。$P\ne A$ で、$P$ は直線 $AB$、$CA$ の上にないので、$B$ と $C$ は直線 $PA$ の上にない。lem-smsn-concyclic を $W=P$、$X=A$、$Y=B$、$Z=C$ として使うと、この等式は 4 点 $P$、$A$、$B$、$C$ が同一円周上にあること、つまり $P$ が $\Gamma$ の上にあることと同値である。$\square$

Simson 線

外接円 $\Gamma$ の上の点 $P$ について、thm-smsn-main により一直線上に並ぶ 3 つの足を通る直線を、$P$ の Simson 線(シムソン線)という。Wallace 線 ともいう。

この直線は Simson の著作には現れず、Wallace によるものとされる(Wei26a)。そのため Wallace–Simson 線とも呼ばれる。

鈍角三角形で足が延長に出る場合

$A(0,5)$、$B(-5,0)$、$C(4,3)$ とする。3 点は $x^2+y^2=25$ の上にあり、$\angle A\approx108.43^\circ$ の鈍角三角形である。3 辺を含む直線は $BC:\ x-3y+5=0$、$CA:\ x+2y=10$、$AB:\ x-y+5=0$ である。円の上の点 $P(3,-4)$ から垂線を下ろす。

  • $D$:垂線の上の点 $(3+t,\,-4-3t)$ を代入して $3+t+12+9t+5=0$、$t=-2$ で $D(1,2)$。
  • $E$:$(3+t,\,-4+2t)$ を代入して $3+t-8+4t=10$、$t=3$ で $E(6,2)$。
  • $F$:$(3+t,\,-4-t)$ を代入して $3+t+4+t+5=0$、$t=-6$ で $F(-3,2)$。
    3 点の $y$ 座標はどれも $2$ なので、Simson 線は直線 $y=2$ である。$E$ の $x$ 座標 $6$ は $C$ の $4$ より大きく、$A$ の $0$ と反対側にあるので、$E$ は辺 $CA$ を $C$ の先へ延ばした部分にある。
    lem-smsn-transfer の 1 つ目の式を数値で確かめる計算を開く

    直線 $PD$ の傾きは $\dfrac{2-(-4)}{1-3}=-3$、直線 $DF$ は $x$ 軸に平行である。直線 $BP$ の傾きは $\dfrac{-4-0}{3+5}=-\dfrac12$、直線 $BA$ の傾きは $1$ である。$x$ 軸となす角 $\theta$ で書くと $\measuredangle PDF=0^\circ-\theta_{PD}$、$\measuredangle PBA=45^\circ-\theta_{BP}$ で、$\tan\theta_{PD}=-3$、$\tan\theta_{BP}=-\dfrac12$ から $\theta_{PD}\approx-71.57^\circ$、$\theta_{BP}\approx-26.57^\circ$ である。どちらの有向角もおよそ $71.57^\circ$ になり、等しい。

鈍角三角形で、外接円の上の点 P の足 D、E、F は直線 y=2 の上に並ぶ。E は辺 CA の延長の上にある 鈍角三角形で、外接円の上の点 P の足 D、E、F は直線 y=2 の上に並ぶ。E は辺 CA の延長の上にある

普通の角で書くと場合が分かれる

lem-smsn-transfer を普通の角で書くと、配置によって「等しい」と「和が $180^\circ$」が入れかわる。ex-smsn-start の $P(0,-5)$ では $\angle PDF\approx71.57^\circ$、$\angle PBA\approx108.43^\circ$ で和が $180^\circ$ になる。同じ三角形で $P(5,0)$ をとると、$D(5,-3)$ は辺 $BC$ の延長に出て、$\angle PDF=\angle PBA\approx63.43^\circ$ と等しくなる。

2 つの配置の角の計算を開く

$P(0,-5)$、$D(0,-3)$、$F\left(-\dfrac{21}5,-\dfrac{22}5\right)$ では $\overrightarrow{DP}=(0,-2)$、$\overrightarrow{DF}=\left(-\dfrac{21}5,-\dfrac75\right)$ で、$\cos\angle PDF=\dfrac{\frac{14}5}{2\cdot\frac{7\sqrt{10}}5}=\dfrac1{\sqrt{10}}$ である。$\overrightarrow{BP}=(4,-2)$、$\overrightarrow{BA}=(1,7)$ で、$\cos\angle PBA=\dfrac{4-14}{\sqrt{20}\sqrt{50}}=-\dfrac1{\sqrt{10}}$ である。余弦が符号だけ違うので、2 つの角の和は $180^\circ$ である。

$P(5,0)$ では $D(5,-3)$、$F\left(-\dfrac{17}5,\dfrac65\right)$ で、$\overrightarrow{DP}=(0,3)$、$\overrightarrow{DF}=\left(-\dfrac{42}5,\dfrac{21}5\right)$ から $\cos\angle PDF=\dfrac{\frac{63}5}{3\cdot\frac{21\sqrt5}5}=\dfrac1{\sqrt5}$ である。$\overrightarrow{BP}=(9,3)$、$\overrightarrow{BA}=(1,7)$ から $\cos\angle PBA=\dfrac{9+21}{\sqrt{90}\sqrt{50}}=\dfrac{30}{30\sqrt5}=\dfrac1{\sqrt5}$ で、2 つの角は等しい。

どちらの配置でも有向角は等しい。普通の角のままで証明すると、$D$ と $B$ が直線 $PF$ の同じ側か反対側か、$F$ が辺の上か延長の上か、$P$ がどの弧の上にあるかで場合を分けることになる。lem-smsn-concyclic がその場合分けを 1 回で済ませている。

Simson 線の性質

頂点と、頂点の反対側の点

頂点とその反対側の点の Simson 線

ex-smsn-start の三角形 $A(-3,4)$、$B(-4,-3)$、$C(4,-3)$ で考える。
(1) $P=A$。$E=F=A$ で、$D$ は $A$ から直線 $BC$ に下ろした垂線の足 $(-3,-3)$ である。Simson 線は直線 $x=-3$、つまり $A$ から $BC$ に下ろした垂線(高さの線)である。
(2) $P$ を $A$ と外接円の中心について反対側の点 $A^*(3,-4)$ にとる($AA^*$ は直径)。直径に対する円周角 により $\angle ABA^*=90^\circ$ なので、$A^*$ から直線 $AB$ に下ろした垂線の足は $B$ である。同じく $\angle ACA^*=90^\circ$ なので、直線 $CA$ への足は $C$ である。Simson 線は $B$ と $C$ を通るので、直線 $BC$ そのものである。直線 $BC$ への足は $D(3,-3)$ で、確かに直線 $y=-3$ の上にある。

2 つの点の Simson 線がなす角

点 $P$ を外接円の上で動かすと、Simson 線の向きが変わる。向きは円周角で決まる。

Simson 線の向き

外接円 $\Gamma$ の上の、頂点と異なる点 $P$、$Q$ の Simson 線を $s_P$、$s_Q$ とする。

  1. $\measuredangle(BC,s_P)=90^\circ+\measuredangle PBA$ である。
  2. $\measuredangle(s_P,s_Q)=\measuredangle QBP$ である。つまり 2 本の Simson 線のなす角は、弦 $PQ$ に対する円周角に等しい。
角の移しかえを 2 回使う

方針:$s_P$ は直線 $DF$ なので、$BC$ から $s_P$ への有向角を、垂線 $DP$ を経由して測る。
段 1(1)。$P$ は $\Gamma$ の上で頂点と異なるので、直線 $BC$、$CA$、$AB$ の上にない(直線と円の共有点は 2 個までで、直線 $BC$ と $\Gamma$ の共有点は $B$、$C$)。$D\ne F$ なので $s_P$ は直線 $DF$ である。性質 (i) と (iv)、lem-smsn-transfer により
$$ \measuredangle(BC,s_P)=\measuredangle(BC,DP)+\measuredangle(DP,DF)=90^\circ+\measuredangle PBA $$
である。
段 2(2)。$Q$ についても段 1 と同じく $\measuredangle(BC,s_Q)=90^\circ+\measuredangle QBA$ である。性質 (i)・(ii) により
$$ \measuredangle(s_P,s_Q)=\measuredangle(BC,s_Q)-\measuredangle(BC,s_P)=\measuredangle QBA-\measuredangle PBA=\measuredangle(BQ,BA)+\measuredangle(BA,BP)=\measuredangle QBP $$
である。$\measuredangle QBP$ は円周上の点 $B$ から弦 $QP$ を見込む有向角で、lem-smsn-concyclic により、円周上のどの点($P$、$Q$ 以外)から見ても同じ値である。$\square$

直径の両端の Simson 線は垂直

$PP'$ が外接円の直径で、$P$、$P'$ が頂点と異なるなら、$s_P\perp s_{P'}$ である。

直径を見込む角

$B$ は $P$、$P'$ と異なる円周上の点なので、直径に対する円周角 により $\angle P'BP=90^\circ$ である。prop-smsn-angle の 2 により $\measuredangle(s_P,s_{P'})=\measuredangle P'BP=90^\circ$ で、性質 (iv) から $s_P\perp s_{P'}$ である。$\square$

Simson 線のなす角を確かめる

ex-smsn-start の $P(0,-5)$ の Simson 線は傾き $\dfrac13$、ex-smsn-special の $A^*(3,-4)$ の Simson 線は直線 $BC$(傾き $0$)である。2 本のなす角は $\tan\theta=\dfrac13$ の角 $\theta\approx18.43^\circ$ である。一方、中心角 $\angle POA^*$ は $\cos\angle POA^*=\dfrac{0\cdot3+(-5)(-4)}{5\cdot5}=\dfrac45$ から約 $36.87^\circ$ で、弦 $PA^*$ に対する円周角はその半分の約 $18.43^\circ$ であり、一致する。
$P$ と反対側の点 $P'(0,5)$ では、足は $(0,-3)$、$(-2,3)$、$\left(-\dfrac{14}5,\dfrac{27}5\right)$ で、Simson 線の傾きは $\dfrac{3-(-3)}{-2-0}=-3$ である。$\dfrac13\cdot(-3)=-1$ なので、$s_P\perp s_{P'}$ である(cor-smsn-antipodal)。

直径の両端 P、P' の Simson 線(赤と青)は垂直に交わり、交点 D は九点円(オレンジ)の上にある 直径の両端 P、P' の Simson 線(赤と青)は垂直に交わり、交点 D は九点円(オレンジ)の上にある
図 5 の 2 本の Simson 線は点 $(0,-3)$ で交わる。三角形の垂心は $H(-3,-2)$ で(三角形の垂心。外心が原点のとき $H$ の座標は 3 頂点の座標の和)、九点円 の中心は $OH$ の中点 $\left(-\dfrac32,-1\right)$、半径は $\dfrac52$ である。$\left(\dfrac32\right)^2+(-2)^2=\dfrac{25}4$ なので、交点は九点円の上にある。直径の両端の Simson 線がいつも九点円の上で交わることは知られているが(Wei26a)、この記事では証明しない。Simson 線と九点円の関係は、次の記事 Steiner線 で扱う。
prop-smsn-angle の 1 から、$P$ が外接円を 1 周すると、直線 $BP$ の向きは $180^\circ$ 回り(円周角は中心角の半分)、Simson 線の向きも $180^\circ$ 回る。1 周で Simson 線は半回転する。

例と反例

thm-smsn-main の条件を外すと何が崩れるかを並べる。

外す条件反例成り立たなくなること
$P$ が外接円の上にある外接円の中心 $P=O(0,0)$(ex-smsn-start-center)3 つの足が一直線上にある
足を辺を含む直線の上にとる$P(0,-5)$ で、足を辺(線分)の上に限る3 辺のそれぞれに足がある
直線は三角形の 3 辺の 3 本4 本目の直線 $y=x$ を加えるすべての足が一直線上にある
反例:足を線分の上に限る

ex-smsn-start の $P(0,-5)$ で、直線 $AB$ の上で $PF\perp AB$ となる点は $F\left(-\dfrac{21}5,-\dfrac{22}5\right)$ だけで、これは線分 $AB$ の外にある。よって、線分 $AB$ の上には $P$ からの垂線の足がない。「3 辺に下ろした垂線の足」を線分の上の点に限ると、足がそろわず、主張そのものが述べられない。
これは例外ではない。外接円の上の点 $P$ が頂点でも頂点の反対側の点でもなければ、足の少なくとも 1 つは線分の外にある。

少なくとも 1 つが線分の外にある理由を開く

3 つの足がどれも三角形の周の上にあると、1 本の直線が三角形の周と異なる 3 点で交わることになる。そうなるのは直線が辺を 1 本まるごと含むときだけで、Simson 線が直線 $BC$ なら $E=C$、$F=B$ となり、$\angle ACP=\angle ABP=90^\circ$ から $P=A^*$ である(ex-smsn-special (2))。直線 $CA$、$AB$ を含む場合も同じで、$P$ は $B$、$C$ の反対側の点になる。

反例:4 本目の直線

ex-smsn-start の $P(0,-5)$ から、4 本目の直線 $y=x$ に下ろした垂線の足は $\left(-\dfrac52,-\dfrac52\right)$ である($(t,-5-t)$ を $y=x$ に代入して $t=-\dfrac52$)。Simson 線 $y=\dfrac13x-3$ の $x=-\dfrac52$ での値は $-\dfrac56-3=-\dfrac{23}6$ で、$-\dfrac52$ と異なる。4 つの足は一直線上にない。$P$ は三角形 $ABC$ の外接円の上にあるが、直線 $y=x$ と 2 辺で作る三角形の外接円の上にはないからである(thm-smsn-main の逆向き)。
4 本目を直線 $3x+5y+8=0$ にとると、足は $\left(\dfrac32,-\dfrac52\right)$ で、$\dfrac13\cdot\dfrac32-3=-\dfrac52$ なので Simson 線の上にある。4 本の直線から 3 本ずつ選んだ 4 つの三角形の外接円が 1 点を共有するとき、その点で 4 つの足が一直線に並ぶ。これが Miquelの定理 の完全四辺形の話である。

大学数学で見る:足の三角形の面積と包絡線

足の三角形の面積

thm-smsn-main は「足の三角形の面積が $0$ になるのは外接円の上」と言いかえられる。実は面積そのものが、外接円の中心からの距離で書ける。

足の三角形の面積の公式

外接円の中心を $O$、半径を $R$、三角形 $ABC$ の面積を $S$ とすると、点 $P$ の足の三角形の面積は
$$ \frac{\lvert R^2-OP^2\rvert}{4R^2}\,S $$
である(3 つの足が一直線上にあるときは面積 $0$ とみなす)。この記事では証明しない。$OP=R$ で $0$ になるのが thm-smsn-main であり、$P=O$ で $\dfrac S4$(中点を結ぶ三角形)になる。面積が同じ値になる点は $O$ を中心とする同心円の上に並ぶ。

ex-smsn-start の三角形($R=5$、$S=28$)で、足の座標から直接求めた面積と公式の値を比べる(下の表)。

点 $P$位置$OP^2$足の三角形の面積公式の値
$(0,0)$外接円の中心$0$$7$$7$
$(1,2)$円の内部$5$$\dfrac{28}5$$\dfrac{28}5$
$(3,0)$円の内部$9$$\dfrac{112}{25}$$\dfrac{112}{25}$
$(0,-5)$円の上$25$$0$$0$
$(6,2)$円の外部$40$$\dfrac{21}5$$\dfrac{21}5$
$(10,0)$円の外部$100$$21$$21$
表の $P(1,2)$ の面積の計算を開く

足は $D(1,-3)$、$E(0,1)$、$F\left(-\dfrac{16}5,\dfrac{13}5\right)$ である。$\overrightarrow{DE}=(-1,4)$、$\overrightarrow{DF}=\left(-\dfrac{21}5,\dfrac{28}5\right)$ から、面積は $\dfrac12\left\lvert(-1)\cdot\dfrac{28}5-4\cdot\left(-\dfrac{21}5\right)\right\rvert=\dfrac12\cdot\dfrac{56}5=\dfrac{28}5$ である。公式では $\dfrac{25-5}{100}\cdot28=\dfrac{28}5$ である。

Simson 線の包絡線

$P$ を外接円の上で動かしたときの Simson 線をたくさん描くと、図 6 のように 3 つのとがった点をもつ曲線が浮かび上がる。すべての Simson 線がこの曲線に接していて、曲線は Simson 線の 包絡線(通過領域と包絡線)である。この曲線は デルトイド(3 つの尖点をもつ内サイクロイド)で、Steiner のデルトイドと呼ばれ、九点円がこのデルトイドに内接する(Wei26a、Wei26b)。この記事では証明しない。
外接円の上の 72 個の点(中心角 5 度おき、頂点を除く)の Simson 線を赤で描くと、3 つの尖点をもつデルトイドが包絡線として現れ、九点円(オレンジ)がその内側に接する 外接円の上の 72 個の点(中心角 5 度おき、頂点を除く)の Simson 線を赤で描くと、3 つの尖点をもつデルトイドが包絡線として現れ、九点円(オレンジ)がその内側に接する

複素数による別証

単位円と複素数で主定理を示す別証を開く

外接円を複素数平面の単位円にとり、$A$、$B$、$C$、$P$ を複素数 $a$、$b$、$c$、$p$ で表す($\lvert a\rvert=\lvert b\rvert=\lvert c\rvert=1$)。$P$ は頂点でないとする。

段 1(足の式)。写像 $z\mapsto b+c-bc\,\overline z$ は、距離を変えず($\lvert bc\rvert=1$)、向きを逆にし、$b$ を $b+c-bc\cdot\dfrac1b=b$ に、$c$ を $c$ に移す。2 点を動かさない向きを逆にする合同変換は、その 2 点を通る直線に関する折り返しである(平面の合同変換の分類)。よって $P$ を直線 $BC$ で折り返した点は $b+c-bc\,\overline p$ で、足はその中点

$$d=\frac{p+b+c-bc\,\overline p}2$$

である。同じく $e=\dfrac{p+c+a-ca\,\overline p}2$、$f=\dfrac{p+a+b-ab\,\overline p}2$ である。

段 2(差の比)。引き算すると $e-d=\dfrac{(a-b)(1-c\,\overline p)}2$、$f-d=\dfrac{(a-c)(1-b\,\overline p)}2$ である。$p\ne b$ なので $1-b\,\overline p\ne0$ である。3 つの足が一直線上にあることは、比

$$\frac{e-d}{f-d}=\frac{(a-b)(1-c\,\overline p)}{(a-c)(1-b\,\overline p)}$$

が実数であることと同じである。

段 3($p=0$)。比は $\dfrac{a-b}{a-c}$ で、$a$、$b$、$c$ は一直線上にないので実数ではない。足は一直線上になく、$0$ は単位円の上にない。

段 4($p\ne0$)。$q=\dfrac1{\overline p}$($P$ を単位円に関して反転した点、円に関する反転)とおくと、$1-c\,\overline p=\overline p(q-c)$、$1-b\,\overline p=\overline p(q-b)$ なので、比は $\dfrac{(a-b)(q-c)}{(a-c)(q-b)}$ になる。これが実数であることは、4 点 $a$、$b$、$c$、$q$ が同一円周上か同一直線上にあることと同値である(円周上の4点の複比)。$a$、$b$、$c$ を通る円は単位円だけなので、これは $\lvert q\rvert=1$、つまり $\lvert p\rvert=1$ と同値である。$\square$

さらに先へ

  • $P$ を中心に Simson 線を 2 倍に拡大した直線は、$P$ を 3 辺で折り返した 3 点を通り、垂心 $H$ を通る。これが次の記事 Steiner線 で、Simson 線が線分 $PH$ の中点を通ることもそこで示す。
  • 4 本の直線から 3 本ずつ選んでできる 4 つの三角形の外接円は 1 点で交わり、その点の Simson 線は 4 つの三角形で共通である(Miquelの定理)。
  • 外接円の上の点の等角共役点は無限遠の点になる(等角共役)。等角共役 の反例で見た「3 辺で折り返した点が一直線に並ぶ」現象は、Simson 線を 2 倍に拡大したものである。
  • 足の代わりに、3 辺と同じ有向角をなす直線を引いて交点をとっても、外接円の上の点なら 3 点は一直線に並ぶ。lem-smsn-transfer の $90^\circ$ を別の角に取りかえて同じ議論ができる。

関連項目

参考文献

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