生成系(ベクトル空間)(spanning set)とは、ベクトル空間 $V$ の部分集合 $S$ で、$V$ のすべての元が $S$ の有限個の元の線形結合として書けるもの、すなわち $\operatorname{span}(S)=V$ となるものである。表し方の一意性は求めず、それも満たすものが基底である。線形写像は生成系の上の値で決まり、生成系の上の値が線形写像に拡張できるのは、それが生成系の元の間の線形関係を保つときに限る。$K^m$ の列ベクトル $a_1,\dots,a_n$ が生成系であることは、行列 $A$ の階数が $m$ であること、右逆行列をもつことと同値である。有限個の元で生成される空間は有限次元であり、多項式環 $K[x]$ や $\mathbb{Q}$ 上の $\mathbb{R}$ は有限生成でない。
平面 $\mathbb{R}^2$ のどのベクトル $(x,y)$ も $(x,y)=(x-y)(1,0)+y(1,1)$ と書けるので、$(1,0)$ と $(1,1)$ の 2 本で平面全体を作り出せる。このように、線形結合によって空間のすべてのベクトルを作り出せるベクトルの集まりを 生成系 という。$(0,1)$ を付け加えた $\{(1,0),(1,1),(0,1)\}$ も生成系だが、今度は $(1,1)=1\cdot(1,1)=(1,0)+(0,1)$ のように表し方が 1 通りでなくなる。一方 $\{(1,0),(2,0)\}$ は $x$ 軸しか作れず、生成系ではない。生成系は「表せないベクトルがない」ことだけを求め、表し方の一意性は求めない。一意性まで求めたものが基底である。生成系であることは、線形写像がその上の値だけで決まることと同じであり、逆に値を自由に決めてよいかどうかは生成系の元の間の関係で決まる。この記事では、生成系の定義を述べ、生成系からの線形写像の拡張の定理、数ベクトルの族が生成系であるための判定、有限生成でない空間の例を証明し、体でない環の上では生成系の性質が崩れることを反例で示す。
以下、$K$ は体、$V$ は $K$ 上のベクトル空間とする。
$S\subset V$ の元の有限個の線形結合 $c_1s_1+\cdots+c_ks_k$($k\ge0$、$s_i\in S$、$c_i\in K$)の全体を $\operatorname{span}_K(S)$(または $\operatorname{span}(S)$)と書き、$S$ の 線形包、$S$ が 張る(生成する)部分空間という。$k=0$ の空の和は $0$ とし、$\operatorname{span}(\emptyset)=\{0\}$ である。
$\operatorname{span}_K(S)=V$ であるとき、$S$ は $V$ を 生成する(張る)といい、$S$ を $V$ の 生成系(spanning set)という。すなわち、$V$ の任意の元が $S$ の有限個の元の線形結合として(少なくとも 1 通りに)書けることである。添字の付いた族 $(v_i)_{i\in I}$ についても、$\{v_i\mid i\in I\}$ が $V$ を生成するとき、族 $(v_i)$ は $V$ を生成するという。
$V$ が有限個の元からなる生成系をもつとき、$V$ は 有限生成 であるという。
定義は ベクトル空間 の記事の定義「線形結合と線形包」と同じであり、$S$ が有限のときは Axl24 2.4・2.7(p. 29)、Bee15 の Definition SS(Section S、p. 214)とも一致する(両書は有限個のベクトルについて定義している)。$S$ が無限集合でも、1 つのベクトルを表すのに使うのは有限個の元だけである。$\operatorname{span}(S)$ は $S$ を含む最小の部分空間であり(部分空間 の記事の命題「生成される部分空間(張る空間)」)、したがって $S$ はつねに部分空間 $\operatorname{span}(S)$ の生成系である。「生成系である」は周りの空間を指定して初めて意味をもつ。
基底と次元 の記事は「有限個のベクトルで生成されること」を 有限次元 の定義にしているので、有限生成と有限次元は同じ意味である。生成系に関する基本事項のうち、ほかの記事で証明されているものは次のとおりである。
| 事実 | 証明の所在 |
|---|---|
| $w\in\operatorname{span}(S)$ なら $S\cup\{w\}$ と $S$ は同じ空間を張る | 線形結合 の記事の命題「追加しても線形包が変わらない条件」 |
| 線形写像 $T$ について $T(\operatorname{span}S)=\operatorname{span}T(S)$。$S$ が定義域を生成するとき、$T$ が全射であることと $T(S)$ が終域を生成することは同値 | 線形写像 の記事の命題「線形写像の像と線形包」 |
| 極小な生成系は基底であり、有限な生成系は基底を含む | 基底と次元 の記事の定理「基底の同値条件」「有限生成ベクトル空間の基底の存在」 |
| $n$ 次元の空間の生成系は $n$ 個以上の元をもち、$n$ 個の元からなる生成系は基底である | 基底と次元 の記事の命題「有限次元空間における独立系と生成系」 |
| 任意の生成系は基底を含む(無限次元でも) | 基底と次元 の記事の定理「一般のベクトル空間の基底の存在」(Zorn の補題による) |
生成系は空間の「材料の一覧」である。材料が足りなければ作れないベクトルが残り、材料が余れば同じベクトルを何通りにも作れる。生成系は前者が起きないことだけを求める。
これを 1 つの写像で見ることができる。$S$ の有限個の元にだけ $0$ でない係数を割り当てる割り当て方の全体を $K^{(S)}$ とし、係数の割り当て $c$ に線形結合 $\sum_{s}c(s)\,s$ を対応させる線形写像 $\Phi_S\colon K^{(S)}\to V$ を考える。$\Phi_S$ の像は $\operatorname{span}(S)$ なので、$S$ が生成系であることは $\Phi_S$ が全射であることであり、$S$ が線形独立であることは $\Phi_S$ の核が $0$、すなわち単射であることである。基底は $\Phi_S$ が全単射となる $S$ である。$\Phi_S$ の核は「$S$ の元の間の線形関係」の全体であり、生成系からの線形写像がどれだけ自由に作れるかは、この核だけで決まる(thm-ss-extension)。
次数 $2$ 以下の多項式の空間 $K[x]_{\le2}$ は $\{1,x,x^2\}$ で生成される。$\{1,\ 1+x,\ 1+x+x^2\}$ も生成系である。実際 $x=(1+x)-1$、$x^2=(1+x+x^2)-(1+x)$ なので、$1,x,x^2$ はこの 3 つの張る部分空間に入り、張る空間の最小性(部分空間 の記事の命題「生成される部分空間(張る空間)」)により、この 3 つが張る空間は $K[x]_{\le2}$ 全体である。多項式環 $K[x]$ 全体は無限集合 $\{1,x,x^2,\dots\}$ で生成される。各多項式は有限個の単項式の線形結合なので、無限集合を使っても 1 つの表示に現れる元は有限個である。
$q$ 個の元からなる体 $\mathbb{F}_q$ 上で、$\mathbb{F}_q^n$ を生成する $n$ 個のベクトルの順序付きの組 $(v_1,\dots,v_n)$ の個数は
$$
(q^n-1)(q^n-q)(q^n-q^2)\cdots(q^n-q^{n-1})
$$
である。$n$ 個のベクトルが $n$ 次元の空間を生成することは、それが基底であること、すなわち線形独立であることと同値なので(基底と次元 の記事の命題「有限次元空間における独立系と生成系」)、各 $k$ で $v_{k+1}\notin\operatorname{span}\{v_1,\dots,v_k\}$ となる組を数えればよい(線形独立 の記事の命題「一ベクトルの追加」)。$v_1,\dots,v_k$ が線形独立なら、$\operatorname{span}\{v_1,\dots,v_k\}$ は $\mathbb{F}_q^k$ と線形同型(線形写像 の記事の命題「座標写像による同型」)でちょうど $q^k$ 個の元をもつので、$v_{k+1}$ の選び方は $q^n-q^k$ 通りである。$q=2$、$n=2$ なら $3\cdot2=6$ 組で、$0$ でない 3 つのベクトルから異なる 2 つを順に選ぶ組と一致する。
$K$ の元の列全体の空間 $K^{\mathbb{N}}$ で、第 $n$ 項だけが $1$ でほかが $0$ の列を $e_n$ とする。$\operatorname{span}\{e_n\mid n\in\mathbb{N}\}$ は、$0$ でない項が有限個しかない列の全体である。したがってすべての項が $1$ の列 $(1,1,1,\dots)$ は、形式的には $\sum_ne_n$ と書けそうに見えるが、$\operatorname{span}\{e_n\}$ に入らない。$\{e_n\}$ は $K^{\mathbb{N}}$ の生成系ではない。この例は「有限個の線形結合で書ける」を満たさないものを、無限和の記法で生成系に含めてしまう誤りを示す。$\{e_n\}$ は無限個の線形独立なベクトルなので、$K^{\mathbb{N}}$ は有限生成でもない(基底と次元 の記事の定理「次元の一意性」の 1)。
整数全体 $\mathbb{Z}$ を、整数を係数とする線形結合で考える($\mathbb{Z}$ 上の加群)。$1=3-2$ なので $\{2,3\}$ は $\mathbb{Z}$ を生成する。$\{2\}$ が生成するのは偶数全体、$\{3\}$ が生成するのは $3$ の倍数全体なので、$\{2,3\}$ のどの真部分集合も $\mathbb{Z}$ を生成せず、$\{2,3\}$ は極小な生成系である。しかし $3\cdot2+(-2)\cdot3=0$ なので線形独立でなく、基底ではない。さらに $\{1\}$ も極小な生成系であり、極小な生成系の元の個数($2$ と $1$)が一致しない。この例は「係数が体の元である」を満たさないので、「極小な生成系は基底である」(基底と次元 の記事の定理「基底の同値条件」)が成り立たない。証明で $b_j=-a_j^{-1}\sum_{i\ne j}a_ib_i$ と係数で割る段階が、$\mathbb{Z}$ では $a_j=\pm1$ のときしかできないからである。
$\mathbb{R}^2$ の生成系 $S=\{(1,0),(0,1),(1,1)\}$ の各元に $1$ を対応させる写像 $f\colon S\to\mathbb{R}$ は、線形写像 $\mathbb{R}^2\to\mathbb{R}$ に拡張できない。実際、線形写像 $T$ が $T(1,0)=T(0,1)=1$ を満たせば $T(1,1)=2\ne1$ である。$S$ の元の間には $(1,0)+(0,1)-(1,1)=0$ という関係があるのに、$f$ の値では $1+1-1=1\ne0$ となり、関係が保たれていない(thm-ss-extension の 2)。この例は「$S$ が線形独立である」を満たさないので、「値を任意に指定した線形写像が存在する」が成り立たない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 有限個の線形結合で書ける | $K^{\mathbb{N}}$ の $\{e_n\}$ と $(1,1,1,\dots)$ | $\{e_n\}$ が生成系であること |
| 係数が体の元 | $\mathbb{Z}$ の $\{2,3\}$ と $\{1\}$ | 極小な生成系が基底であること、その元の個数が一定であること |
| 生成系が線形独立 | $\{(1,0),(0,1),(1,1)\}$ 上の $f\equiv1$ | 任意の値からの線形写像の存在 |
| 元の個数が次元以上 | $\mathbb{R}^2$ の $\{(1,2)\}$ | 生成系であること(thm-ss-columns の最後の主張) |
$S$ を $V$ の生成系、$W$ を $K$ 上のベクトル空間、$f\colon S\to W$ を任意の写像とする。
1:$T,T'$ がともに条件を満たすとする。$v\in V$ は $v=\sum_ic_is_i$($s_i\in S$)と書けるので、線形性により $T(v)=\sum_ic_if(s_i)=T'(v)$ である。
2:必要性。$T$ があり $\sum_ic_is_i=0$ なら、$\sum_ic_if(s_i)=\sum_ic_iT(s_i)=T\bigl(\sum_ic_is_i\bigr)=T(0)=0$ である。
十分性。$v\in V$ に対し、$S$ の相異なる元による表示 $v=\sum_ic_is_i$ を 1 つ選び、$T(v):=\sum_ic_if(s_i)$ と定める。これが表示の選び方によらないことを示す。$v$ に 2 つの表示があれば、両方に現れる元をまとめた相異なる元 $u_1,\dots,u_p$ を使い、現れない元の係数を $0$ として $v=\sum_lc_lu_l=\sum_ld_lu_l$ と書ける。係数 $0$ の項は値に寄与しないので、2 つの表示から定めた値はそれぞれ $\sum_lc_lf(u_l)$、$\sum_ld_lf(u_l)$ である。$\sum_l(c_l-d_l)u_l=0$ なので仮定により $\sum_l(c_l-d_l)f(u_l)=0$ であり、2 つの値は等しい。
$T$ が線形であることを示す。$v,v'\in V$、$a,b\in K$ について、上と同じく共通の相異なる元 $u_1,\dots,u_p$ で $v=\sum_lc_lu_l$、$v'=\sum_ld_lu_l$ と書くと $av+bv'=\sum_l(ac_l+bd_l)u_l$ なので、値が表示によらないことから
$$
T(av+bv')=\sum_l(ac_l+bd_l)f(u_l)=aT(v)+bT(v')
$$
である。$s\in S$ は $s=1\cdot s$ と表示できるので $T(s)=f(s)$ である。
3:$U:=\operatorname{span}(S)$ とし、商空間 $V/U=\{v+U\mid v\in V\}$ と標準的な写像 $\pi\colon V\to V/U$、$\pi(v)=v+U$ を考える。$\pi$ は線形で、$\pi(v)=0$ となるのは $v\in U$ のときに限る(Axl24 3.101・3.103・3.104、pp. 100–101)。$S\subset U$ なので $\pi$ と零写像は $S$ の上で一致し、仮定により $\pi=0$ である。よって $V=U$ である。$\square$
2 の条件は、「$S$ の元の間の線形関係を、$f$ の値も満たす」と言い換えられる。「直感」の節の写像 $\Phi_S$ の言葉では、$f$ から作る $\Phi_f\colon K^{(S)}\to W$、$c\mapsto\sum_sc(s)f(s)$ が $\Phi_S$ の核の上で $0$ になることである。$S$ が基底なら非自明な関係はないので、どんな $f$ も線形写像にただ 1 通りに拡張できる。これは 線形写像 の記事の命題「基底上の値による決定」(Axl24 3.4、p. 54)の、無限次元も含めた形である。1 と 3 を合わせると、$S$ が生成系であることは「$S$ の上の値で線形写像が決まる」ことと同値である。
$\mathbb{R}^2$ の生成系 $S=\{(1,0),(0,1),(1,1)\}$ の元の間の関係は、$(1,0)+(0,1)-(1,1)=0$ の定数倍だけである($(1,0),(0,1)$ は線形独立なので、関係の係数は第 3 の元の係数で決まる)。したがって $f(1,0)=a$、$f(0,1)=b$、$f(1,1)=c$ が線形写像に拡張できるのは $a+b-c=0$ のときに限り、そのとき $T(x,y)=ax+by$ である。ex-ss-no-extension は $a=b=c=1$ の場合である。
$A\in M_{m,n}(K)$ の列を $a_1,\dots,a_n\in K^m$ とする。次の 5 条件は同値である。
(i) $a_1,\dots,a_n$ は $K^m$ を生成する。
(ii) 任意の $b\in K^m$ について、連立1次方程式 $Ax=b$ は解をもつ。
(iii) $AB=I_m$ を満たす $B\in M_{n,m}(K)$(右逆行列)がある。
(iv) $\operatorname{rank}A=m$。
(v) $A$ の $m$ 個の行($K^n$ の横ベクトル)は線形独立である。
このとき $n\ge m$ である。
$x\in K^n$ について $Ax=x_1a_1+\cdots+x_na_n$ なので、$\{Ax\mid x\in K^n\}=\operatorname{span}\{a_1,\dots,a_n\}$ である。よって (i) と (ii) は同値である。
(ii)⇒(iii):$K^m$ の標準基底 $e_1,\dots,e_m$ について、$Ax^{(i)}=e_i$ となる $x^{(i)}\in K^n$ を選び、$B:=(x^{(1)}\ \cdots\ x^{(m)})$ とおく。$AB$ の第 $i$ 列は $Ax^{(i)}=e_i$ なので $AB=I_m$ である。
(iii)⇒(ii):$x:=Bb$ とおくと $Ax=ABb=b$ である。
(i)⇔(iv):$\operatorname{rank}A$ は列空間 $\operatorname{span}\{a_1,\dots,a_n\}$ の次元である。$K^m$ の部分空間が $K^m$ に等しいことは、次元が $m$ であることと同値である(基底と次元 の記事の命題「有限次元空間における独立系と生成系」の 3)。
(iv)⇔(v):列階数と行階数は等しい(階数(線形代数) の記事の定理「列階数と行階数は等しい」)ので、$A$ の $m$ 個の行が張る空間の次元は $\operatorname{rank}A$ である。$m$ 個のベクトルが張る空間の次元が $m$ であることは、それらが線形独立であることと同値である(線形独立なら張る空間の基底なので次元は $m$、次元が $m$ なら同命題の 2 により $m$ 個の生成系は基底)。
最後に、(i) なら $K^m$ の生成系 $a_1,\dots,a_n$ は $m$ 個以上の元からなる(同命題の 2)ので $n\ge m$ である。$\square$
$m=n$ のときは、右逆行列 $B$ は逆行列であり、条件はすべて $A$ が正則行列であることと同値である(正則行列 の記事の定理「片側の逆行列で十分であること」)。$n>m$ のときは右逆行列は一意でない。
$A=\begin{pmatrix}1&3&5\\2&4&6\end{pmatrix}\in M_{2,3}(\mathbb{Q})$ の最初の 2 列は $\det\begin{pmatrix}1&3\\2&4\end{pmatrix}=-2\ne0$ なので $\mathbb{Q}^2$ の基底であり、3 つの列は $\mathbb{Q}^2$ を生成する。$\begin{pmatrix}1&3\\2&4\end{pmatrix}^{-1}=\begin{pmatrix}-2&\frac32\\1&-\frac12\end{pmatrix}$ の下に $0$ の行を付けた
$$
B=\begin{pmatrix}-2&\frac32\\1&-\frac12\\0&0\end{pmatrix}
$$
は $AB=I_2$ を満たす。$A(1,-2,1)^{\top}=0$ なので、$B$ の各列に $(1,-2,1)^{\top}$ の定数倍を加えたものも右逆行列であり、右逆行列は無数にある。
1:$F\subset K[x]$ を有限集合とし、$F$ の元の次数の最大値を $d$ とする($F$ が空か零多項式だけなら $d:=0$)。$F$ の元の線形結合の次数は $d$ 以下なので、$x^{d+1}$ は $\operatorname{span}(F)$ に入らない。よって $F$ は $K[x]$ を生成しない。
2:$\mathbb{R}=\operatorname{span}_{\mathbb{Q}}\{s_1,\dots,s_k\}$ と仮定すると、写像 $\mathbb{Q}^k\to\mathbb{R}$、$(c_1,\dots,c_k)\mapsto\sum_ic_is_i$ は全射である。$\mathbb{Q}$ は可算(可算集合 の記事の例「有理数全体の可算性」)なので $\mathbb{Q}^k$ も可算であり(同記事の系「有限個の直積の可算性」。$k=0$ なら $\mathbb{Q}^0$ は 1 点)、その像は可算である(同記事の系「像と単射による可算性の伝播」)。これは $\mathbb{R}$ が非可算であること(同記事の定理「実数全体の非可算性」)に反する。$\square$
1 は Axl24 2.14(p. 31)にある。2 の議論は、係数体 $K$ と空間 $V$ について「$K$ が可算で $V$ が非可算なら、$V$ は $K$ 上有限生成でない」ことを示している。同じ集合でも係数体を変えると有限生成かどうかが変わり、$\mathbb{R}$ は $\mathbb{R}$ 上では $\{1\}$ で生成される。
有限生成であることは、部分空間・線形写像の像・商空間に受け継がれ、部分空間 $U$ と商空間 $V/U$ がともに有限生成なら $V$ も有限生成である。部分空間については 次元 の記事の命題「有限次元部分空間の比較」、像については 線形写像 の記事の命題「線形写像の像と線形包」、商と拡大については 有限生成加群 の記事の命題「商と拡大」(体上の加群がベクトル空間である)にある。部分空間に受け継がれることは体の上に特有であり、一般の環の上の加群では成り立たない(同記事の例「反例:有限生成加群の有限生成でない部分加群」)。
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