スペクトルのファイバー列と余ファイバー列

同義語:スペクトルのファイバー列スペクトルの余ファイバー列fiber and cofiber sequences of spectracofiber sequence of spectra

概要

スペクトルのファイバー列と余ファイバー列(fiber and cofiber sequences of spectra)とは、スペクトルの写像 $f\colon X\to Y$ の各段のホモトピーファイバーがなすスペクトル $\mathrm{Fib}(f)$ による列 $\mathrm{Fib}(f)\to X\to Y$ と、CW スペクトル $B$ の部分スペクトル $A$ による列 $A\to B\to B/A$ のことである。前者は任意の写像について、すべての整数次数にわたり左右どちらにも終わりなく続くホモトピー群の長完全列を与える。後者では包含のホモトピーファイバーと商 $B/A$ のループのホモトピー群が一致し、余ファイバー列もホモトピー群の長完全列を与える。空間の CW 対では、一般にこのどちらも成り立たない。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: スペクトル(ホモトピー論), ホモトピーファイバー, 相対ホモトピー群, CW複体

スペクトルのファイバー列と余ファイバー列(fiber and cofiber sequences of spectra)は、スペクトルの写像の各段のホモトピーファイバーがつくる列と、CW スペクトルの部分スペクトルによる商がつくる列である。どちらもスペクトルのホモトピー群の長完全列を与え、しかも包含については両者がホモトピー群の上で同じ列になる。
空間では、ホモトピーファイバーによるホモトピー群の長完全列は $\pi_0$ で止まり(ホモトピーファイバー の系「ホモトピー群の長完全列」)、CW 対の列 $W\to Z\to Z/W$ はホモトピー群については一般に完全でない(ex-fcs-table-check。ホモロジーについては 写像錐(位相))。
スペクトルではこの違いが消える。任意の写像のファイバー列は、すべての整数次数にわたり左右どちらにも終わりなく続くアーベル群の長完全列を与える(thm-fcs-fiber-les)。CW スペクトルとその部分スペクトル $A\subset B$ については、包含のホモトピーファイバーと商 $B/A$ のループのホモトピー群が一致し(thm-fcs-fiber-loop)、余ファイバー列 $A\to B\to B/A$ も長完全列を与える(thm-fcs-cofiber-les)。

記号と構成

スペクトル $X=(X_n,\sigma_n\colon\Sigma X_n\to X_{n+1})_{n\ge0}$、スペクトルの写像、ホモトピー群 $\pi_k(X)=\operatorname{colim}_n\pi_{k+n}(X_n)$ と、それを定める準同型 $s_n\colon\pi_m(X_n)\to\pi_{m+1}(X_{n+1})$ は スペクトル(ホモトピー論) の定義に従う。$\Sigma Z=Z\wedge S^1$、$\varepsilon(t)=e^{2\pi it}$、$I=[0,1]$ とする。$\pi_m(Z)$($m\ge1$)の元は $\partial I^m$ を基点へ写す写像 $a\colon I^m\to Z$ で表し、和は第 1 座標でつなぐ(ホモトピー群)。この表し方で $s_n[a]=[(u,v)\mapsto\sigma_n(a(u)\wedge\varepsilon(v))]$ であり、懸垂の座標 $v$ は最後に付く(スペクトル(ホモトピー論) の注意「$s_n$ と懸垂準同型」)。スペクトルの写像 $f$ は $f_*\colon\pi_k(X)\to\pi_k(Y)$ を誘導し、すべての整数 $k$ で $f_*$ が同型である写像を安定弱同値という(安定ホモトピー圏 の定義「安定弱同値と水準ごとの弱同値」)。同記事は各段が T1 空間のものに限るが、thm-fcs-fiber-les はこの仮定によらない。

水準ごとのホモトピーファイバーとループ

$f\colon X\to Y$ をスペクトルの写像とする。

  1. $f_n$ のホモトピーファイバー $\mathrm{Fib}(f)_n:=\{(x,\gamma)\in X_n\times Y_n^I\mid\gamma(0)=\ast,\ \gamma(1)=f_n(x)\}$ に、構造写像 $(x,\gamma)\wedge z\mapsto\bigl(\sigma_n(x\wedge z),\ t\mapsto\sigma_n(\gamma(t)\wedge z)\bigr)$ を入れたスペクトルを $\mathrm{Fib}(f)$ と書く。射影 $p_n(x,\gamma):=x$ はスペクトルの写像 $p\colon\mathrm{Fib}(f)\to X$ を定める。
  2. $(\Omega Y)_n:=\Omega Y_n$ に、構造写像 $\omega\wedge z\mapsto\bigl(t\mapsto\sigma_n(\omega(t)\wedge z)\bigr)$ を入れたスペクトルを $\Omega Y$ と書く。$j_n(\omega):=(\ast,\omega)$ はスペクトルの写像 $j\colon\Omega Y\to\mathrm{Fib}(f)$ を定める。

1 の 2 つの $\sigma_n$ は $X$ と $Y$ のもので、$f_{n+1}\sigma_n=\sigma_n\Sigma f_n$ により道の終点は $f_{n+1}(\sigma_n(x\wedge z))$ である。連続性は ホモトピーファイバー の補題「連続性の判定」と、$Z\wedge S^1$ が $Z\times S^1$ の商空間であることによる。$\Omega Y$ は Ω スペクトルの意味ではない。安定ホモトピー圏 の $\Omega E$(構造写像の随伴が $\Omega\tilde\sigma_n$)とはループと懸垂の座標の役割が入れ替わっており、ここでは $j$ が写像になる上の形を使う。
$m\ge1$ について、ループの座標を最後に付ける群の同型
$$ \lambda_n\colon\pi_m(\Omega Y_n)\to\pi_{m+1}(Y_n),\qquad[a]\mapsto[(u,t)\mapsto a(u)(t)] $$
をずれと呼ぶ(ループ空間 の定理「ホモトピー群のずれ」)。各段 $n$ で、ホモトピーファイバー の系「ホモトピー群の長完全列」により完全列
$$ \cdots\to\pi_{m+1}(Y_n)\xrightarrow{\partial_n}\pi_m(\mathrm{Fib}(f)_n)\xrightarrow{p_*}\pi_m(X_n)\xrightarrow{f_*}\pi_m(Y_n)\xrightarrow{\partial_n}\pi_{m-1}(\mathrm{Fib}(f)_n)\to\cdots $$
があり、境界写像は $\partial_n=j_*\circ\lambda_n^{-1}$ である。

符号の扱い

座標の入れ替えと符号

$k\ge2$ とし、$g\colon I^k\to Z$ を $\partial I^k$ を基点へ写す写像とする。$I^k$ の 2 つの座標を入れ替える写像 $T$ と、1 つの座標 $x_i$ を $1-x_i$ に替える写像 $R$ について、$\pi_k(Z)$ で $[g\circ T]=-[g]$、$[g\circ R]=-[g]$ である。

要点:座標の反転は逆元を与え、入れ替えは「反転してから $90$ 度回す」ことで、回転は恒等写像にホモトピックである。

詳しい証明を開く

反転:第 $i$ 座標でつなぐ和は、第 1 座標の和を座標の入れ替えで移したものであり、$k\ge2$ では第 1 座標の和と一致する(ホモトピー群 の命題「$n\geq2$のときホモトピー群はアーベル群である」の証明と同じ議論)。第 1 座標の反転は第 1 座標の和についての逆元を与える(同記事の命題「貼り合わせによる群構造」の証明)ので、第 $i$ 座標の反転 $R$ は第 $i$ 座標の和、したがって通常の和についての逆元を与える。

入れ替え:$T$ が座標 $x_i,x_j$ を入れ替えるとする。この 2 座標の正方形 $Q=I^2$ の中心を $c$ とし、$y=x-c$ について $\mu(y):=\max(|y_1|,|y_2|)$、$|y|$ を Euclid の長さとして、$\phi(x):=c+\frac{\mu(y)}{|y|}y$($x=c$ では $c$)とおく。$\phi$ は $Q$ から半径 $\frac12$ の円板への同相写像で、$\partial Q$ を円周に写し、$90$ 度回転と可換である。$\theta$ 回転を $\mathrm{rot}_\theta$ とし $R_\theta:=\phi^{-1}\circ\mathrm{rot}_\theta\circ\phi$ とおくと、$R_\theta$ は $\partial Q$ を $\partial Q$ に写し、$(\theta,x)\mapsto R_\theta(x)$ は連続で、$R_{\pi/2}(x_i,x_j)=(1-x_j,x_i)$ である。ほかの座標はそのままにして $g\circ R_\theta$($0\le\theta\le\frac\pi2$)をとると、これは $\partial I^k$ を基点へ写す写像の族なので $[g]=[g\circ R_{\pi/2}]$ である。$g\circ R_{\pi/2}=(g\circ T)\circ R'$($R'$ は第 $j$ 座標の反転)なので、前半により $[g]=-[g\circ T]$ である。$\square$

ずれと構造写像の反可換性

スペクトル $Y$ と $m\ge1$ について、$\pi_m(\Omega Y_n)$ の上で $\lambda_{n+1}\circ s_n=-s_n\circ\lambda_n$ である。したがってスペクトルの写像 $f\colon X\to Y$ について、$\pi_{m+1}(Y_n)$ の上で $s_n\circ\partial_n=-\partial_{n+1}\circ s_n$ である。

要点:ループの座標と懸垂の座標が付く順序が逆になる。

詳しい証明を開く

$a\colon I^m\to\Omega Y_n$ に対し $G(u,t,v):=\sigma_n\bigl(a(u)(t)\wedge\varepsilon(v)\bigr)$ とおく。定義をたどると $s_n\lambda_n[a]=[G]$ であり、$\lambda_{n+1}s_n[a]$ は $(u,v,t)\mapsto G(u,t,v)$ の類、すなわち $G$ に最後の 2 座標の入れ替えを合成した写像の類なので、lem-fcs-swap により $-[G]$ である。後半:$j$ はスペクトルの写像なので $s_nj_*=j_*s_n$ であり、$s_n\partial_n=s_nj_*\lambda_n^{-1}=j_*s_n\lambda_n^{-1}=-j_*\lambda_{n+1}^{-1}s_n=-\partial_{n+1}s_n$ である。$\square$

符号付きのずれ

スペクトル $Y$ と整数 $k$ について、$n\ge\max(0,2-k)$ での $(-1)^n\lambda_n\colon\pi_{k+n}(\Omega Y_n)\to\pi_{k+n+1}(Y_n)$ が誘導する写像を $\ell\colon\pi_k(\Omega Y)\to\pi_{k+1}(Y)$ と書く。

lem-fcs-anticommute により $(-1)^{n+1}\lambda_{n+1}s_n=s_n(-1)^n\lambda_n$ なので、これは帰納系の写像であり、$\ell$ は同型である。符号を付けないと帰納系の写像にならない(ex-fcs-table-check の 3 行目)。

主定理:ファイバー列の長完全列

ファイバー列の長完全列

$f\colon X\to Y$ をスペクトルの写像とする。$n$ が十分大きいところの $(-1)^n\partial_n$ が誘導する写像を $\partial\colon\pi_k(Y)\to\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(f))$ とすると、アーベル群の列
$$ \cdots\to\pi_k(\mathrm{Fib}(f))\xrightarrow{p_*}\pi_k(X)\xrightarrow{f_*}\pi_k(Y)\xrightarrow{\partial}\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(f))\xrightarrow{p_*}\pi_{k-1}(X)\to\cdots $$
はすべての整数 $k$ で完全であり、左右どちらにも終わりなく続く。この列はスペクトルの写像の可換な四角形について自然である。

整数 $k$ を固定し、$n\ge\max(0,3-k)$ とする。$m:=k+n\ge3$ なので、段 $n$ の完全列の一部
$$ \pi_m(\mathrm{Fib}(f)_n)\xrightarrow{p_*}\pi_m(X_n)\xrightarrow{f_*}\pi_m(Y_n)\xrightarrow{(-1)^n\partial_n}\pi_{m-1}(\mathrm{Fib}(f)_n)\xrightarrow{p_*}\pi_{m-1}(X_n) $$
はアーベル群と準同型の列であり、$\partial_n$ を $(-1)^n\partial_n$ に替えても核と像は変わらないので完全である。$p$、$f$ はスペクトルの写像なので $p_*$、$f_*$ は $s_n$ と可換であり、lem-fcs-anticommute により
$$ s_n\circ(-1)^n\partial_n=(-1)^{n+1}\partial_{n+1}\circ s_n $$
である。よって $n$ を動かすと、これらの列は帰納系の写像でつながり、5 つの項の帰納極限はそれぞれ $\pi_k(\mathrm{Fib}(f))$、$\pi_k(X)$、$\pi_k(Y)$、$\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(f))$、$\pi_{k-1}(X)$ である(先頭の有限個の項を除いても帰納極限は変わらない)。$\partial$ はこの帰納系の写像の帰納極限として定まる。
残りは、帰納系の完全列 $G'_n\xrightarrow{\alpha_n}G_n\xrightarrow{\beta_n}G''_n$ の帰納極限 $G'\xrightarrow{\alpha}G\xrightarrow{\beta}G''$ が完全であることである。$\beta\alpha=0$ は各段で成り立つことから従う。$y\in G$ が $\beta(y)=0$ を満たすとし、$y$ を段 $n$ の元 $y_n$ で表す。$\beta_n(y_n)$ は帰納極限で $0$ なので、ある $n'\ge n$ で $y_n$ を移した $y_{n'}$ について $\beta_{n'}(y_{n'})=0$ となる。段 $n'$ の完全性から $y_{n'}=\alpha_{n'}(w)$ となる $w\in G'_{n'}$ があり、$y$ は $w$ の類の像である。
これを上の 5 項の列の中央の 3 つの位置に当てると、$\pi_k(X)$、$\pi_k(Y)$、$\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(f))$ での完全性が得られる。$k$ は任意なので、列のすべての位置で完全である。
自然性:可換な四角形 $f'\circ a=b\circ f$ は $(x,\gamma)\mapsto(a_n(x),b_n\circ\gamma)$ によりスペクトルの写像 $\mathrm{Fib}(f)\to\mathrm{Fib}(f')$ を定める。これは $p$、$j$ と可換で、ずれ $\lambda_n$ は写像と可換なので、$\partial_n$ とも可換である。$\square$

安定弱同値の判定

スペクトルの写像 $f$ が安定弱同値であることと、すべての整数 $k$ で $\pi_k(\mathrm{Fib}(f))=0$ であることは同値である。

要点:thm-fcs-fiber-les の完全性から読み取る。

詳しい証明を開く

$f_*$ がすべて同型なら、完全性から $\partial=0$、$p_*=0$ なので $\pi_k(\mathrm{Fib}(f))=\ker p_*=\operatorname{im}\partial=0$ である。逆に $\pi_*(\mathrm{Fib}(f))=0$ なら $\ker f_*=\operatorname{im}p_*=0$、$\operatorname{im}f_*=\ker\partial=\pi_k(Y)$ である。$\square$

CW スペクトルと商

CW スペクトルと部分スペクトル

この記事の CW スペクトル $B$ とは、安定ホモトピー圏 の定義「CW スペクトルとホモトピー」の意味の CW スペクトル(各 $B_n$ は $0$ 胞体を基点とする CW 複体、各 $\sigma_n$ は $\Sigma B_n$ から $B_{n+1}$ の部分複体への同相写像)で、さらに各 $\sigma_n$ が $\Sigma B_n$ の胞体($B_n$ の基点以外の各胞体の懸垂と基点。Hat02 Example 0.10、p. 12)を $B_{n+1}$ の胞体へ写すものをいう。CW スペクトル $B$ の部分スペクトル $A$ とは、基点を含む部分複体 $A_n\subset B_n$ の族で $\sigma_n(\Sigma A_n)\subset A_{n+1}$ を満たすもの(構造写像は $\sigma_n$ の制限)をいう。包含を $i\colon A\to B$ と書く。商 $(B/A)_n:=B_n/A_n$ に構造写像 $q_n(b)\wedge z\mapsto q_{n+1}(\sigma_n(b\wedge z))$ を入れたスペクトルを $B/A$、商写像 $q_n$ のなす写像を $q\colon B\to B/A$ と書く。

胞体を胞体へ写す条件は lem-fcs-finite で使い、$\Sigma B_n$ そのものが $B_{n+1}$ の部分複体である場合(安定ホモトピー圏 の補題「スペクトルの CW 近似」の構成など)は満たされる。$B/A$ の構造写像は $\sigma_n(\Sigma A_n)\subset A_{n+1}$ により矛盾なく定まり、$q_n\times\mathrm{id}_{S^1}$ が商写像なので(錐(位相) の注意「Whiteheadの補題の扱い」)連続である。基点付き CW 複体の対 $(Z,W)$ について $\Sigma^\infty W\subset\Sigma^\infty Z$ は部分スペクトルで、$\Sigma^\infty Z/\Sigma^\infty W\cong\Sigma^\infty(Z/W)$ である(安定ホモトピー群 の定理「安定ホモトピー群はホモロジー論」の証明)。
$B_n$ の基点以外の胞体で $\sigma_{n-1}(\Sigma B_{n-1})$ に含まれないもの($n=0$ では基点以外のすべての胞体)を、段 $n$ で生まれた胞体という。段 $n_e$ で生まれた胞体 $e$ に、懸垂と $\sigma$ を $n-n_e$ 回施した像を $e[n]$ と書く。$e[n]$ は $B_n$ の $\dim e+n-n_e$ 次元の胞体であり、$\dim e-n_e$ を $e$ の安定次元という。生まれた胞体の集合 $\mathcal J$ について、基点と $e[n]$($e\in\mathcal J$、$n_e\le n$)の和集合を $B^{\mathcal J}_n$ とおく。

有限部分スペクトル

$B$ を CW スペクトル、$A$ をその部分スペクトルとする。

  1. $B_n$ の基点以外の胞体は、ちょうど 1 つの生まれた胞体 $e$($n_e\le n$)について $e[n]$ に等しい。
  2. 生まれた胞体の有限集合は、$B^{\mathcal J}$ が部分スペクトル(各 $B^{\mathcal J}_n$ は部分複体)になる有限集合 $\mathcal J$ に含まれる。このような $\mathcal J$ を閉じた有限集合と呼ぶ。閉じた有限集合の和も閉じている。
  3. $B_n$ のコンパクト部分集合は、ある閉じた有限集合 $\mathcal J$ について $B^{\mathcal J}_n$ に含まれる。
  4. 閉じた有限集合 $\mathcal J$ の安定次元の最小値を $d$ とすると、$B^{\mathcal J}_n$ の基点以外の胞体の次元はすべて $n+d$ 以上である。
  5. $A^{\mathcal J}_n:=A_n\cap B^{\mathcal J}_n$ は $B^{\mathcal J}$ の部分スペクトルであり、$B^{\mathcal J}_n/A^{\mathcal J}_n\to B_n/A_n$ は閉部分空間への同相写像である。

要点:胞体を生まれた段までさかのぼり、閉包に必要な胞体を次元の低い順に集める。

詳しい証明を開く

1:$n$ についての帰納法による。$B_n$ の基点以外の胞体は、生まれた胞体であるか、$\Sigma B_{n-1}$ の胞体、すなわち $B_{n-1}$ の基点以外の胞体 $c$ の懸垂の $\sigma_{n-1}$ による像である。$\sigma_{n-1}$ は単射で胞体を胞体に写すので、帰納法の仮定から存在と一意性が従う。次元は懸垂ごとに 1 増える。

2:$\mathcal J$ の各 $e$ について閉包 $\overline e$ が $B^{\mathcal J}_{n_e}$ に含まれるとき、$\mathcal J$ は 2 の性質をもつ。実際、$e[n]$ の閉包は $\overline e$ の $n-n_e$ 回の懸垂の $\sigma$ による像で、その胞体は $e'[n]$($e'\in\mathcal J$)と基点だから $B^{\mathcal J}_n$ は部分複体であり、$\sigma_n(\Sigma B^{\mathcal J}_n)$ は基点と $e[n+1]$ からなる。そこで生まれた胞体 $e$ ごとに、$\dim e$ についての帰納法でこの条件を満たす有限集合 $\mathcal J_e\ni e$ を作る。$e$ の境界はコンパクトで $(\dim e-1)$ 骨格に含まれるので、有限部分複体 $K\subset B_{n_e}$ に含まれ、$K$ の胞体の次元は $\dim e$ より小さい(Hat02 Proposition A.1 とその証明、p. 520)。$K$ の基点以外の胞体は 1 により $e'[n_e]$ と書け、$\dim e'\le\dim e'+n_e-n_{e'}<\dim e$ である。帰納法の仮定の $\mathcal J_{e'}$ の和に $e$ を加えたものを $\mathcal J_e$ とすればよい。和について閉じていることは条件の形から明らかである。

3:コンパクト部分集合は有限部分複体に含まれ(Hat02 Proposition A.1、p. 520)、その有限個の胞体は 1 により有限個の生まれた胞体から来るので、2 の $\mathcal J$ をとればよい。4:$e[n]$ の次元は $\dim e+n-n_e\ge n+d$ である。

5:部分複体の共通部分は部分複体で、$\sigma_n(\Sigma A^{\mathcal J}_n)\subset A_{n+1}\cap B^{\mathcal J}_{n+1}$ である。$B_n/A_n$ は $B_n\setminus A_n$ の胞体の像を胞体とする CW 複体で、写像 $B^{\mathcal J}_n/A^{\mathcal J}_n\to B_n/A_n$ は連続な単射であり、像 $L$ は部分複体なので閉集合である。$L$ の閉胞体はコンパクト集合($B^{\mathcal J}_n$ の閉胞体の像)の像で、コンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な単射はその像への同相写像である。CW 複体の位相は閉胞体との交わりで決まるので、逆写像も連続である。$\square$

主定理:ファイバーは余ファイバーのループ

$A\subset B$ を CW スペクトルとその部分スペクトルとする。包含 $i$ のホモトピーファイバーは $\mathrm{Fib}(i)_n=\{(x,\gamma)\mid x\in A_n,\ \gamma(0)=\ast,\ \gamma(1)=x\}$ である。
$$ \psi_n(x,\gamma):=q_n\circ\gamma $$
とおく。$q_n(\gamma(1))=q_n(x)$ は基点なので $q_n\circ\gamma$ はループであり、$q_{n+1}\circ\sigma_n=\sigma_n\circ\Sigma q_n$ から $\psi$ はスペクトルの写像 $\mathrm{Fib}(i)\to\Omega(B/A)$ である。

ファイバーは余ファイバーのループ

CW スペクトル $B$ とその部分スペクトル $A$ について、$\psi_*\colon\pi_k(\mathrm{Fib}(i))\to\pi_k(\Omega(B/A))$ はすべての整数 $k$ で同型である。したがって $\psi$ は安定弱同値であり、$\ell\circ\psi_*\colon\pi_k(\mathrm{Fib}(i))\to\pi_{k+1}(B/A)$ も同型である。

段ごとの比較. $\partial I^m$ を基点へ写す写像 $c\colon I^m\to\mathrm{Fib}(i)_n$ は、$c(u)=(\Gamma(u,1),\Gamma(u,\cdot))$ により、写像 $\Gamma\colon I^{m+1}\to B_n$ で、$\Gamma(u,0)$ と $u\in\partial I^m$ での値が基点、$\Gamma(u,1)\in A_n$ であるものと一対一に対応する(連続性は ホモトピーファイバー の補題「連続性の判定」)。最後の座標を反転した $\Gamma\circ R$ は底面を $A_n$ に、残りの面を基点に写す。ホモトピーも同じ対応で移るので、$\rho[c]:=[\Gamma\circ R]$ は全単射 $\rho\colon\pi_m(\mathrm{Fib}(i)_n)\to\pi_{m+1}(B_n,A_n)$ を定める(相対ホモトピー群 の定義「相対ホモトピー群」)。一方 $\lambda_n(\psi_n)_*[c]=[q_n\circ\Gamma]$ で、$m\ge1$ なら lem-fcs-swap により $[q_n\circ\Gamma]=[(q_n\circ\Gamma\circ R)\circ R]=-q_*\rho[c]$ である。ここで $q_*\colon\pi_{m+1}(B_n,A_n)\to\pi_{m+1}(B_n/A_n)$ は商写像が誘導する写像である。よって
$$ (\psi_n)_*=-\lambda_n^{-1}\circ q_*\circ\rho. $$
有限の場合. 閉じた有限集合 $\mathcal J$ をとり、$B^{\mathcal J}$ と $A^{\mathcal J}$ に上の構成を当てる。安定次元の最小値を $d$ とし、整数 $k$ を固定して $n\ge\max(0,2-k,1-d,k+3-2d)$ とする。lem-fcs-finite の 4 により $B^{\mathcal J}_n$ の基点以外の胞体の次元はすべて $n+d$ 以上なので、CW 対 $(B^{\mathcal J}_n,A^{\mathcal J}_n)$ は $(n+d-1)$ 連結であり(Hat02 Corollary 4.12、p. 351)、同じ理由で $A^{\mathcal J}_n$ も $(n+d-1)$ 連結である(安定ホモトピー群 の補題「懸垂の連結性」の証明と同じ議論)。$r$ 連結な CW 対 $(Z,W)$ で $W$ が $s$ 連結($r,s\ge0$)なら、商写像が誘導する $\pi_l(Z,W)\to\pi_l(Z/W)$ は $l\le r+s$ で同型である(Hat02 Proposition 4.28、p. 364。この記事では証明しない)。これを $r=s=n+d-1$ で当てると、$m=k+n$ について $m+1\le2n+2d-2$ なので $q_*$ は同型である。$\rho$、$\lambda_n$ も全単射なので $(\psi_n)_*$ は全単射であり、帰納極限の $\psi^{\mathcal J}_*\colon\pi_k(\mathrm{Fib}(i^{\mathcal J}))\to\pi_k(\Omega(B^{\mathcal J}/A^{\mathcal J}))$ は同型である。
一般の場合. 包含が誘導する写像 $\mathrm{Fib}(i^{\mathcal J})\to\mathrm{Fib}(i)$、$\Omega(B^{\mathcal J}/A^{\mathcal J})\to\Omega(B/A)$ は $\psi$ と可換である。$\pi_m(\mathrm{Fib}(i)_n)$ の元の代表 $c$ に対応する $\Gamma$ の像はコンパクトなので、lem-fcs-finite の 3 によりある $B^{\mathcal J}_n$ に入り、$\Gamma(u,1)\in A^{\mathcal J}_n$ だから $c$ は $\mathrm{Fib}(i^{\mathcal J})_n$ を経由する。2 つの代表の間のホモトピーも同様なので、$\pi_m(\mathrm{Fib}(i)_n)$ は $\mathcal J$ にわたる $\pi_m(\mathrm{Fib}(i^{\mathcal J})_n)$ の帰納極限である。$\pi_m(\Omega(B_n/A_n))$ についても、代表に対応する写像 $I^{m+1}\to B_n/A_n$ の像は有限部分複体に入り(Hat02 Proposition A.1)、その胞体は $B_n$ の有限個の胞体の像なので、lem-fcs-finite の 3 と 5 によりある $B^{\mathcal J}_n/A^{\mathcal J}_n$ を連続に経由する。$n$ と $\mathcal J$ についての 2 つの帰納極限は順序を入れ替えてよいので、$\psi_*$ は同型 $\psi^{\mathcal J}_*$ の帰納極限であり、同型である。$\ell$ は同型なので $\ell\circ\psi_*$ も同型である。$\square$

主定理:余ファイバー列の長完全列

余ファイバー列の長完全列

CW スペクトル $B$ とその部分スペクトル $A$ について、$\Theta:=\ell\circ\psi_*\colon\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(i))\to\pi_k(B/A)$ とし、$\delta:=p_*\circ\Theta^{-1}\colon\pi_k(B/A)\to\pi_{k-1}(A)$ とおく。列
$$ \cdots\to\pi_k(A)\xrightarrow{i_*}\pi_k(B)\xrightarrow{q_*}\pi_k(B/A)\xrightarrow{\delta}\pi_{k-1}(A)\xrightarrow{i_*}\pi_{k-1}(B)\to\cdots $$
はすべての整数 $k$ で完全である。この列は、部分スペクトルを部分スペクトルへ写す CW スペクトルの写像について自然である。

$\Theta$ は thm-fcs-fiber-loop により同型である。まず、thm-fcs-fiber-les の境界写像 $\partial\colon\pi_k(B)\to\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(i))$ について $\Theta\circ\partial=q_*$ を示す。$x\in\pi_k(B)$ を段 $n$ の $[b]\in\pi_{k+n}(B_n)$ で表すと、$\partial x$ は $(-1)^nj_*\lambda_n^{-1}[b]$ で表される。$\psi\circ j$ はループに $q_n$ を合成する写像 $\Omega q_n$ なので、$\Theta\partial x$ は
$$ (-1)^n\lambda_n(\psi_n)_*(-1)^nj_*\lambda_n^{-1}[b]=\lambda_n(\Omega q_n)_*\lambda_n^{-1}[b]=(q_n)_*[b] $$
で表される。最後の等号はずれが写像と可換であることによる。よって $\Theta\partial=q_*$ である。
thm-fcs-fiber-les を $i$ に当てた完全列
$$ \pi_k(A)\xrightarrow{i_*}\pi_k(B)\xrightarrow{\partial}\pi_{k-1}(\mathrm{Fib}(i))\xrightarrow{p_*}\pi_{k-1}(A)\xrightarrow{i_*}\pi_{k-1}(B) $$
の第 3 項を同型 $\Theta$ で $\pi_k(B/A)$ に取り替えると、$\partial$ は $\Theta\partial=q_*$ に、$p_*$ は $p_*\Theta^{-1}=\delta$ になる。したがって $\ker q_*=\ker\partial=\operatorname{im}i_*$、$\ker\delta=\Theta(\ker p_*)=\Theta(\operatorname{im}\partial)=\operatorname{im}q_*$、$\operatorname{im}\delta=\operatorname{im}p_*=\ker i_*$ である。$k$ は任意なので列は完全である。自然性は、$\mathrm{Fib}(i)$、$\psi$、$\ell$ がこのような写像と可換であることと thm-fcs-fiber-les の自然性による。$\square$

$\delta$ の段ごとの形

$x\in\pi_k(B/A)$ が段 $n$ で $q_*[h]$($[h]\in\pi_{k+n}(B_n,A_n)$)で表されるなら、$\delta x$ は段 $n$ で $(-1)^{n+1}\partial^{\mathrm{rel}}[h]$ で表される。ここで $\partial^{\mathrm{rel}}$ は底面への制限、すなわち対の長完全列の境界写像である。

確かめを開く

thm-fcs-fiber-loop の証明の式 $(\psi_n)_*=-\lambda_n^{-1}q_*\rho$ から、$\Theta=\ell\psi_*$ は $(-1)^{n+1}\rho^{-1}[h]$ の類を $x$ に写す。$\rho$ の定義から $p_*\rho^{-1}[h]$ は $h$ の底面への制限の類である。

thm-fcs-cofiber-les から、包含 $i$ が安定弱同値であることと $\pi_*(B/A)=0$ は同値である。thm-fcs-fiber-loop により、ファイバー列 $\mathrm{Fib}(i)\to A\to B$ と余ファイバー列 $A\to B\to B/A$ はホモトピー群の上で同じ長完全列を与える。安定弱同値は安定ホモトピー圏で同型になる(同記事の定理「安定ホモトピー圏の構成」の 3)ので、$\psi$ は $\mathrm{Fib}(i)$ と $\Omega(B/A)$ の同型を与える。一般の写像についても、安定ホモトピー圏ではファイバーと余ファイバーのループを結ぶ標準的な写像が同型になり、2 種類の列が同値になる(May99 Chapter 25 §6、p. 231。この記事では証明しない)。

例

Moore 空間の懸垂スペクトル

$M:=S^1\cup_2e^2$ を、円周に次数 $2$ の写像で $2$ 胞体を貼った CW 複体(Moore空間 $M(\mathbb Z/2,1)$)とし、$B:=\Sigma^\infty M$、$A:=\Sigma^\infty S^1$ とする。$B/A\cong\Sigma^\infty S^2$ である。$\pi_k(\Sigma^\infty S^r)$ は安定ホモトピー群 $\pi^{\mathrm S}_{k-r}$ と同型で、$\pi^{\mathrm S}_0\cong\mathbb Z$、負の次数では $0$ である(安定ホモトピー群)。thm-fcs-cofiber-les の一部
$$ \pi_2(B/A)\cong\mathbb Z\xrightarrow{\delta}\pi_1(A)\cong\mathbb Z\xrightarrow{i_*}\pi_1(\Sigma^\infty M)\xrightarrow{q_*}\pi_1(B/A)=0 $$
で $\delta$ は $\pm2$ 倍なので、$\pi_1(\Sigma^\infty M)\cong\mathbb Z/2$ である。

$\delta$ の計算を開く

$\Sigma^nM$ は $\Sigma^nS^1=S^{n+1}$ に $(n+2)$ 胞体を 1 つ貼った CW 複体である(Hat02 Example 0.10)。$M$ の $2$ 胞体の特性写像 $\Phi$ の $n$ 回の懸垂 $\Sigma^n\Phi$ は、被約錐と懸垂の交換による同相 $(\Sigma^nD^2,\Sigma^nS^1)\cong(D^{n+2},S^{n+1})$ を通じてこの胞体の特性写像になり、境界への制限は貼り付け写像の懸垂である。懸垂は次数を保ち(Hat02 Proposition 2.33、p. 137。被約懸垂は通常の懸垂から可縮な線分をつぶした商で、その商写像は懸垂と可換なホモトピー同値なので、被約懸垂でも同じ)、その次数は $2$ である。$\Sigma^n\Phi$ は円板による表示で $\pi_{n+2}(\Sigma^nM,S^{n+1})$ の元 $[h]$ を定め(Hat02 §4.1、pp. 343–344)、$q\circ\Sigma^n\Phi$ は $D^{n+2}/S^{n+1}\cong S^{n+2}$ を通じた同相写像なので、$q_*[h]$ は $\pi_{n+2}(S^{n+2})\cong\mathbb Z$ の生成元である。rem-fcs-delta により $\delta(q_*[h])$ は段 $n$ で $\pm[\text{次数 }2\text{ の写像}]=\pm2$ 倍の生成元で表される。$n$ が大きければ $\pi_{n+2}(S^{n+2})\to\pi_2(B/A)$、$\pi_{n+1}(S^{n+1})\to\pi_1(A)$ は同型である(安定ホモトピー群 の定理「安定範囲」)。

反例の表

外す条件反例成り立たなくなること
スペクトルにする(空間のまま考える)CW 対 $(D^2,S^1)$ と商 $D^2/S^1\cong S^2$余ファイバー列の完全性:$\pi_3(D^2)\to\pi_3(S^2)\to\pi_2(S^1)$ は $\pi_3(S^2)$ で完全でない(thm-fcs-cofiber-les)
スペクトルにする(空間のまま考える)同じ対の包含 $S^1\to D^2$ホモトピーファイバーから $\Omega S^2$ への写像 $\gamma\mapsto q\circ\gamma$ が $\pi_2$ の同型を誘導すること(thm-fcs-fiber-loop)
境界写像の符号 $(-1)^n$一点からなるスペクトルから球面スペクトルへの写像 $\ast\to\mathbb S$符号なしの $\partial_n$ が帰納極限の写像を定めること(thm-fcs-fiber-les)
反例:表の各行の確かめ
確かめを開く

1 行目:$\pi_3(D^2)=0$、$\pi_2(S^1)=0$(普遍被覆 $\mathbb R$ は可縮)、$\pi_3(S^2)\cong\mathbb Z$(ホモトピー群 の例「低次元球面の非自明な高次ホモトピー: $\pi_3(S^2)\cong\mathbb{Z}$(Hopf写像)」)である。$\pi_3(S^2)$ から $0$ への写像の核は $\mathbb Z$ 全体だが、$0$ からの写像の像は $0$ なので、どのような写像を置いても完全でない。

2 行目:包含 $S^1\to D^2$ のホモトピーファイバー $F$ について、空間の長完全列(ホモトピーファイバー の系「ホモトピー群の長完全列」)の $\pi_3(D^2)=0\to\pi_2(F)\to\pi_2(S^1)=0$ から $\pi_2(F)=0$ である。一方 $\pi_2(\Omega S^2)\cong\pi_3(S^2)\cong\mathbb Z$ である。

3 行目:一点のスペクトルを $\ast$、$\mathbb S=\Sigma^\infty S^0$ とする。$\mathrm{Fib}(\ast\to\mathbb S)_n=\Omega S^n$ で $j$ は同相写像なので、$\mathrm{Fib}(\ast\to\mathbb S)$ を $\Omega\mathbb S$ と同一視する。$\iota_n\in\pi_n(S^n)$ を商写像 $I^n\to I^n/\partial I^n\cong S^n$ の類とすると $s_n\iota_n=\iota_{n+1}$ で、これらは $\pi_0(\mathbb S)\cong\mathbb Z$ の生成元 $x$ を表す。$n\ge3$ について $y_n:=\partial_n\iota_n=\lambda_n^{-1}\iota_n\in\pi_{n-1}(\Omega S^n)$ とおくと、lem-fcs-anticommute により $s_ny_n=-y_{n+1}$ なので、$\pi_{-1}(\Omega\mathbb S)$ で $[y_n]=-[y_{n+1}]$ である。$\ell[y_n]=(-1)^n x$ は $0$ でなく、$\pi_0(\mathbb S)\cong\mathbb Z$ に位数 $2$ の元はないので $[y_n]\ne[y_{n+1}]$ であり、「$x$ を段 $n$ の代表に $\partial_n$ を施した類に写す」規則は $n$ の選び方によって値が変わる。

関連項目

参考文献

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する