準連接層(quasi-coherent sheaf)とは、環付き空間 $(X,\mathcal{O}_X)$ 上の $\mathcal{O}_X$ 加群層のうち、局所的に自由層の射の余核(完全列 $\mathcal{O}_U^{(I)}\to\mathcal{O}_U^{(J)}\to\mathcal{F}|_U\to0$)であるものをいう。スキーム上では、各アフィン開集合 $\operatorname{Spec}A$ の上で $A$ 加群 $M$ に付随する層 $\widetilde{M}$ に一致することと同値で、アフィンスキーム上では $A$ 加群と同じものである。核・余核・拡大・テンソル積・引き戻し・準コンパクト準分離な射の順像で閉じ、アフィンスキーム上では高次コホモロジーが消える。零延長 $j_!\mathcal{O}_U$ は準連接でない。有限性条件を加えたものが連接層である。
前提知識: 環付き空間, 層, 加群, 局所化, スキーム, アフィンスキーム
準連接層は、スキームの上で「加群から作られる層」を言い表す概念である。アフィンスキーム $\operatorname{Spec}A$ の上では $A$ 加群 $M$ から $\mathcal{O}_X$ 加群層 $\widetilde{M}$ が作られ、準連接層とは局所的にこの形の $\mathcal{O}_X$ 加群層である。一般の環付き空間では「局所的に自由層の余核である」と定義する。まず $\widetilde{M}$ の構成と基本性質(茎・基本開集合上の切断・関手性)を証明し、次に 2 つの定義がスキーム上で一致し、準連接層がすべてのアフィン開集合上で $\widetilde{M}$ の形になることを証明する。
以下、$A$ を可換環、$X=\operatorname{Spec}A$ とし、素イデアル $\mathfrak{p}\in X$ での局所化を $A_{\mathfrak{p}}$、$M_{\mathfrak{p}}$、元 $f\in A$ による局所化を $A_f$、$M_f$ と書く。$D(f)=\{\mathfrak{p}\in X\mid f\notin\mathfrak{p}\}$ は基本開集合で、$X$ の開基をなす。次の 3 つの事実を使う(Har77 II.2、AM69 第 1 章演習 17)。(i) $D(f)\subset\bigcup_iD(h_i)$ であることと $f\in\sqrt{(h_i)_i}$ であることは同値である(とくに $D(f)\subset D(g)$ と $f\in\sqrt{(g)}$ は同値)。(ii) 各 $D(f)$、とくに $X$ は準コンパクトである。(iii) $D(f)$ は $\operatorname{Spec}A_f$ と同相(同相写像)であり、$D(f)\cap D(g)=D(fg)$ である。
$M$ を $A$ 加群とする。開集合 $U\subset X$ に対し、$\widetilde{M}(U)$ を、各 $\mathfrak{p}\in U$ に $s(\mathfrak{p})\in M_{\mathfrak{p}}$ を対応させる関数 $s$ であって局所的に分数で書けるもの、すなわち各 $\mathfrak{p}\in U$ に $\mathfrak{p}$ の開近傍 $V\subset U$ と $m\in M$、$g\in A$ があって、すべての $\mathfrak{q}\in V$ で $g\notin\mathfrak{q}$ かつ $s(\mathfrak{q})=m/g\in M_{\mathfrak{q}}$ となるもの、の全体とする。制限写像を関数の制限で定めると $\widetilde{M}$ は $X$ 上の層であり、各 $M_{\mathfrak{p}}$ の加法と $A_{\mathfrak{p}}$ の作用により $\widetilde{A}=\mathcal{O}_X$ 上の加群層になる。これを $M$ に付随する層(sheaf associated to $M$)という。$A$ 線形写像 $\varphi\colon M\to N$ に対し、$s\mapsto(\mathfrak{p}\mapsto\varphi_{\mathfrak{p}}(s(\mathfrak{p})))$ は $\mathcal{O}_X$ 加群層の射 $\widetilde{\varphi}\colon\widetilde{M}\to\widetilde{N}$ を定める。
条件が局所的なので $\widetilde{M}$ は層であり、$\widetilde{A}$ は $X$ の構造層 $\mathcal{O}_X$ の定義そのものである。
$M$ を $A$ 加群とする。
以下、開基上で定まる層の射の事実を繰り返し使う。位相空間の開基 $\mathcal{B}$ と層 $\mathcal{F},\mathcal{G}$ に対し、各 $B\in\mathcal{B}$ で与えられた写像 $\mathcal{F}(B)\to\mathcal{G}(B)$ の族が制限と両立すれば、それは層の射 $\mathcal{F}\to\mathcal{G}$ にただ一通りに延び、各 $B$ で同型ならその射は同型である(Stacks Tag 009H。任意の開集合が開基の元で被覆されることと貼り合わせ条件から従う)。
$X=\operatorname{Spec}A$ とする。
$(X,\mathcal{O}_X)$ を環付き空間、$\mathcal{F}$ を $\mathcal{O}_X$ 加群層とする。添字集合 $I$ に対し $\mathcal{O}_U^{(I)}:=\bigoplus_{i\in I}\mathcal{O}_U$ と書く($\mathcal{O}_U=\mathcal{O}_X|_U$)。$\mathcal{F}$ が準連接(quasi-coherent)である、または準連接層(quasi-coherent sheaf)であるとは、$X$ の各点 $x$ に対し、$x$ の開近傍 $U$ と添字集合 $I,J$ と $\mathcal{O}_U$ 加群層の完全列
$$
\mathcal{O}_U^{(I)}\longrightarrow\mathcal{O}_U^{(J)}\longrightarrow\mathcal{F}|_U\longrightarrow0
$$
が存在することをいう。準連接層のなす $\mathcal{O}_X$ 加群層の圏の充満部分圏を $\operatorname{QCoh}(X)$ と書く。
添字集合 $I,J$ に有限性を課さない点が連接層(有限型かつ関係の層が有限型)との違いである。定義は局所的なので、準連接性は開被覆の各開集合への制限で判定でき、開集合への制限で保たれる。
Har77 II.5 は後者を、EGA1 0.5.1 は前者を準連接層の定義として採用する。スキーム上で両者が同値であることを示す。核心は、アフィン開被覆上で加群に付随する層がすべてのアフィン開集合の上で加群に付随することであり、次の補題(Har77 II.5.3)がその鍵である。
$X=\operatorname{Spec}A$ とし、$\mathcal{O}_X$ 加群層 $\mathcal{F}$ は、有限個の基本開集合 $D(g_1),\dots,D(g_r)$ による $X$ の被覆と $A_{g_i}$ 加群 $N_i$ であって $\mathcal{F}|_{D(g_i)}\cong\widetilde{N_i}$ となるものをもつとする。$f\in A$ に対して次が成り立つ。
(iii) により $D(fg_i)=D(f)\cap D(g_i)$ は $D(g_i)=\operatorname{Spec}A_{g_i}$ の基本開集合だから、prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-sections の 2 により $\Gamma(D(g_i),\mathcal{F})=N_i$、$\Gamma(D(fg_i),\mathcal{F})=(N_i)_f$ であり、制限写像は局所化の標準写像である。
$X$ をスキーム、$\mathcal{F}$ を $\mathcal{O}_X$ 加群層とする。次は同値である。
まず、任意の $\mathcal{O}_X$ 加群層 $\mathcal{F}$ とアフィン開集合 $U=\operatorname{Spec}A$ に対し、$M:=\Gamma(U,\mathcal{F})$ として標準的な射 $\alpha_{\mathcal{F}}\colon\widetilde{M}\to\mathcal{F}|_U$ を定める。$\Gamma(D(f),\mathcal{F})$ は $\Gamma(D(f),\mathcal{O}_X)=A_f$ 加群だから $f$ はその上で可逆であり、$M_f=\Gamma(D(f),\widetilde{M})\to\Gamma(D(f),\mathcal{F})$、$m/f^n\mapsto f^{-n}\,(m|_{D(f)})$ は矛盾なく定まる $A_f$ 線形写像で、基本開集合の間の制限と両立する。よって開基上の射として $\alpha_{\mathcal{F}}$ に延び、$\alpha_{\mathcal{F}}$ は $\mathcal{F}$ について自然である。
3 $\Rightarrow$ 2 は明らかである。
2 $\Rightarrow$ 1:$\mathcal{F}|_{U_i}\cong\widetilde{M_i}$ とし、$M_i$ の自由加群による表示 $A_i^{(I)}\to A_i^{(J)}\to M_i\to0$ をとる。prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-functor の 1 と 2 により $\mathcal{O}_{U_i}^{(I)}\to\mathcal{O}_{U_i}^{(J)}\to\widetilde{M_i}\to0$ は完全である。
1 $\Rightarrow$ 2:点 $x$ の開近傍 $U$ 上に完全列 $\mathcal{O}_U^{(I)}\xrightarrow{\psi}\mathcal{O}_U^{(J)}\to\mathcal{F}|_U\to0$ があるとし、$x\in V=\operatorname{Spec}B\subset U$ をアフィン開集合とする。$\mathcal{O}_V^{(I)}\cong\widetilde{B^{(I)}}$(同命題の 2)だから、同命題の 1 の充満性により $\psi|_V=\widetilde{\varphi}$ となる $\varphi\colon B^{(I)}\to B^{(J)}$ があり、完全性により $\mathcal{F}|_V\cong\operatorname{coker}(\psi|_V)\cong\widetilde{\operatorname{coker}\varphi}$ である。このような $V$ は $X$ を被覆する。
2 $\Rightarrow$ 3:$U=\operatorname{Spec}A$ を任意のアフィン開集合とし、$\alpha_{\mathcal{F}}$ が同型であることを示す。$U$ の各点 $y$ はある $U_i=\operatorname{Spec}A_i$ に属し、$y$ の近傍として $U_i$ の基本開集合 $D_{U_i}(a)\subset U\cap U_i$ がとれる。これはアフィンスキーム $\operatorname{Spec}(A_i)_a$ で、prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-functor の 3 により $\mathcal{F}|_{D_{U_i}(a)}\cong\widetilde{(M_i)_a}$ である。さらに $y$ の近傍として $U$ の基本開集合 $D(g)\subset D_{U_i}(a)$($g\in A$)がとれ、これは $g$ の制限による $\operatorname{Spec}(A_i)_a$ の基本開集合でもあるので、再び同 3 により $\mathcal{F}|_{D(g)}$ は $A_g$ 加群に付随する層である。$U$ は準コンパクトだから、このような $D(g_1),\dots,D(g_r)$ で $U$ が被覆され、$\mathcal{F}|_U$ は lem-quasi-coherent-sheaf-localization の仮定をみたす。
$f\in A$ に対し、$\alpha_{\mathcal{F}}$ の $D(f)$ 上の作用 $M_f\to\Gamma(D(f),\mathcal{F})$ を考える。単射性:$m/f^n\mapsto0$ なら $m|_{D(f)}=0$ だから、同補題の 1 により $f^Nm=0$、よって $m/f^n=0$ である。全射性:$t\in\Gamma(D(f),\mathcal{F})$ に対し、同補題の 2 により $s|_{D(f)}=f^nt$ となる $s\in M$ があり、$t$ は $s/f^n$ の像である。よって $\alpha_{\mathcal{F}}$ は開基上で同型であり、層の同型である。$\square$
$X=\operatorname{Spec}A$ をアフィンスキームとする。
構造層 $\mathcal{O}_X$ が「局所的に環 $A$ である」層であるように、準連接層は「局所的に $A$ 加群である」層である。アフィンスキーム $\operatorname{Spec}A$ 上では準連接層と $A$ 加群は同じもので(cor-quasi-coherent-sheaf-affine-equivalence)、加群 $M$ を各点 $\mathfrak{p}$ に $M_{\mathfrak{p}}$ を、各基本開集合 $D(f)$ に $M_f$ を配った層と見る。準連接性が要求するのは、基本開集合上の切断が「大域切断を $f$ で割ったもの」で尽きること(lem-quasi-coherent-sheaf-localization)であり、これが破れる $\mathcal{O}_X$ 加群層(ex-quasi-coherent-sheaf-extension-by-zero、ex-quasi-coherent-sheaf-skyscraper)では切断の様子が代数的な局所化と食い違う。準連接層は核・余核・拡大・直和・テンソル積・引き戻しで閉じ、アフィンスキーム上では層コホモロジーが消える。この 2 つが、スキーム上の層の理論の大半を準連接層の範囲で行える理由である。連接層はそのうち有限性条件をみたすものである。
スキーム $X$ 上で、構造層 $\mathcal{O}_X$ と任意の直和 $\mathcal{O}_X^{(I)}$ は準連接である(アフィン開集合 $\operatorname{Spec}A$ 上で $\widetilde{A}$、$\widetilde{A^{(I)}}$。prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-functor の 2)。$I$ が無限なら $\mathcal{O}_X^{(I)}$ は有限型でないので連接ではない。有限階数の局所自由層(局所的に $\mathcal{O}_U^{\oplus n}$ と同型な層)、とくに可逆層 $\mathcal{O}_{\mathbb{P}^n}(d)$ や滑らかな多様体のKähler微分の層 $\Omega^1_{X/k}$ は準連接であり、連接でもある。
$X=\operatorname{Spec}A$ とイデアル $\mathfrak{a}\subset A$ に対し、$\widetilde{\mathfrak{a}}\subset\mathcal{O}_X$ は準連接なイデアル層で、$\widetilde{A/\mathfrak{a}}=\mathcal{O}_X/\widetilde{\mathfrak{a}}$ は閉部分スキーム $Z=\operatorname{Spec}A/\mathfrak{a}$ の構造層の押し出し $i_*\mathcal{O}_Z$ である($\widetilde{\ }$ の完全性と lem-quasi-coherent-sheaf-affine-pushforward)。一般のスキームでは、閉部分スキームのイデアル層とは準連接なイデアル層のことであり、閉埋め込み $i\colon Z\to X$ による準連接層の押し出しは準連接である(prop-quasi-coherent-sheaf-pushforward、Har77 II.5.9)。たとえば閉点 $p=(x)\in\mathbb{A}^1_k=\operatorname{Spec}k[x]$ の剰余体 $\kappa(p)=k$ を茎にもつ摩天楼層 $i_{p*}k$ は $\widetilde{k[x]/(x)}$ で準連接(さらに連接)である($(k[x]/(x))_f$ は $f(0)\ne0$ なら $k$、$f(0)=0$ なら $0$ で、摩天楼層の $D(f)$ 上の切断と一致する)。
$X=\operatorname{Spec}A$、$f\in A$、$j\colon U=D(f)\to X$ を開埋め込みとすると、$j_*\mathcal{O}_U=\widetilde{A_f}$ である($\Gamma(D(g),j_*\mathcal{O}_U)=A_{fg}=(A_f)_g$ が開基上で $\widetilde{A_f}$ の切断と一致する)。たとえば $X=\mathbb{A}^1_k$、$U=D(x)$ のとき $j_*\mathcal{O}_U=\widetilde{k[x,x^{-1}]}$ で、$k[x,x^{-1}]$ は $k[x]$ 加群として有限生成でないので、準連接だが連接ではない。
また $X$ を整スキーム、$K$ をその関数体とし、$\mathcal{K}_X$ を $K$ に値をとる定数層とすると、$\mathcal{K}_X$ は準連接な $\mathcal{O}_X$ 加群層である。実際、アフィン開集合 $\operatorname{Spec}A$($A$ は $K$ を商体とする整域)上で $K_{\mathfrak{p}}=K$ だから、$\widetilde{K}(V)$ は $V$ 上の局所定数な $K$ 値関数の全体であり、$X$ が既約なので空でない開集合はすべて連結(連結空間)で、$\widetilde{K}(V)=K$($V\neq\emptyset$)、すなわち $\widetilde{K}=\mathcal{K}_X|_{\operatorname{Spec}A}$ である。
$X=\mathbb{P}^1_k$、$U=\mathbb{P}^1_k\setminus\{\infty\}=\operatorname{Spec}k[x]$、$j\colon U\to X$ を開埋め込みとし、$j_!\mathcal{O}_U$ を $\mathcal{O}_U$ の零延長(前層 $V\mapsto\mathcal{O}_U(V)$($V\subset U$)、$V\mapsto0$($V\not\subset U$)の層化)とする。$j_!\mathcal{O}_U$ は $\mathcal{O}_X$ 加群層で、茎は $x\in U$ で $\mathcal{O}_{X,x}$、$x=\infty$ で $0$ である。$j_!\mathcal{O}_U$ は準連接ではない。すなわち、$\mathcal{O}_X$ 加群層であること・各茎が準連接層の茎であることは満たすが、「アフィン開集合上で大域切断に付随する層に一致する」という性質を破る。同じ議論で、$X=\mathbb{A}^1_k$、$U=D(x)$ についても $j_!\mathcal{O}_U$ は準連接でない。
$V=\mathbb{P}^1_k\setminus\{0\}=\operatorname{Spec}k[y]$($y=1/x$)はアフィン開集合で $\infty\in V$、$V\cap U=\operatorname{Spec}k[y,y^{-1}]$ である。$\Gamma(V,j_!\mathcal{O}_U)=0$ を示す。$s\in\Gamma(V,j_!\mathcal{O}_U)$ をとる。$s$ の $\infty$ での芽は $0$ だから、$\infty$ の開近傍 $W\subset V$ で $s|_W=0$ である。一方 $j_!\mathcal{O}_U|_U=\mathcal{O}_U$ だから $t:=s|_{V\cap U}\in k[y,y^{-1}]$ であり、$t|_{W\cap U}=0$ である。$W\cap U$ は整スキーム $U$ の空でない開集合だから制限 $\mathcal{O}_U(V\cap U)\to\mathcal{O}_U(W\cap U)$ は単射(整域の局所化)であり、$t=0$ である。したがって $s$ の芽は $V$ の各点で $0$ なので $s=0$ である。
もし $j_!\mathcal{O}_U$ が準連接なら、thm-quasi-coherent-sheaf-characterization の 3 により $j_!\mathcal{O}_U|_V\cong\widetilde{0}=0$ となるが、$V\cap U$ の点での茎 $\mathcal{O}_{X,x}\neq0$ に矛盾する。$\square$
$X=\mathbb{A}^1_k=\operatorname{Spec}k[x]$、$p=(x)$ を原点とし、局所環 $\mathcal{O}_{X,p}=k[x]_{(x)}$ を $p$ に置いた摩天楼層 $\mathcal{F}=i_{p*}\mathcal{O}_{X,p}$($\mathcal{F}(V)=\mathcal{O}_{X,p}$($p\in V$)、$0$($p\notin V$))を考える。芽をとる写像 $\mathcal{O}_X(V)\to\mathcal{O}_{X,p}$ により $\mathcal{F}$ は $\mathcal{O}_X$ 加群層であるが、準連接ではない。ex-quasi-coherent-sheaf-ideal の $i_{p*}\kappa(p)$ と比べると、摩天楼層であるかどうかではなく、置かれた加群が $\mathcal{O}_{X,p}$ か $\kappa(p)$ かで準連接性が分かれる。
$M:=\Gamma(X,\mathcal{F})=k[x]_{(x)}$ である。もし $\mathcal{F}$ が準連接なら、thm-quasi-coherent-sheaf-characterization の 3 と prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-sections の 2 により $\Gamma(D(x),\mathcal{F})\cong M_x=k[x]_{(x)}[x^{-1}]=k(x)\neq0$ である。しかし $p\notin D(x)$ だから $\Gamma(D(x),\mathcal{F})=0$ である。矛盾。$\square$
$X=\coprod_{n\ge1}X_n$ を $X_n=\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ の可算無限個の非交和、$f\colon X\to Y=\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ を各成分で恒等な射とする。$f$ は分離的(したがって準分離)であるが、$f^{-1}(Y)=X$ は準コンパクトでない。このとき $f_*\mathcal{O}_X$ は準連接ではない。これは prop-quasi-coherent-sheaf-pushforward の準コンパクト性の仮定が外せないことを示す。
$a\in\mathbb{Z}$ に対し $f^{-1}(D(a))=\coprod_nD_{X_n}(a)$ だから $\Gamma(D(a),f_*\mathcal{O}_X)=\prod_n\mathbb{Z}[1/a]$ であり、とくに $M:=\Gamma(Y,f_*\mathcal{O}_X)=\prod_n\mathbb{Z}$ である。もし $f_*\mathcal{O}_X$ が準連接なら、thm-quasi-coherent-sheaf-characterization の 3 と prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-sections の 2 により制限写像 $M_2\to\Gamma(D(2),f_*\mathcal{O}_X)=\prod_n\mathbb{Z}[1/2]$、$m/2^k\mapsto(m_n/2^k)_n$ は全射である。しかし元 $(1/2^n)_n\in\prod_n\mathbb{Z}[1/2]$ が $(m_n/2^k)_n$ の形に書けるなら $m_n=2^{k-n}$ がすべての $n$ で整数でなければならず、$n>k$ で矛盾する。$\square$
準連接性は $\mathcal{O}_X$ 加群層の性質であり、アーベル群の層一般の性質ではない。特異コホモロジーやエタールコホモロジーで使う定数層 $\underline{\mathbb{Z}}$、$\underline{\mathbb{Z}/n}$ は、体 $k$ 上の空でないスキームや $\operatorname{Spec}\mathbb{Z}$ の上では $\mathcal{O}_X$ 加群層の構造をもたない(空でない連結開集合 $V$ で $\underline{\mathbb{Z}}(V)=\mathbb{Z}$ だから、加群層の構造は環準同型 $\mathcal{O}_X(V)\to\operatorname{End}(\mathbb{Z})=\mathbb{Z}$ を与えるが、$k$ 代数から $\mathbb{Z}$ への環準同型は $k\to\mathbb{Z}$ を誘導するので存在せず、$\mathbb{Z}[1/2]=\mathcal{O}(D(2))\to\mathbb{Z}$ も存在しない)ので、準連接かどうかを問うこと自体ができない。ex-quasi-coherent-sheaf-pushforward の $\mathcal{K}_X$ は定数層でありながら準連接な $\mathcal{O}_X$ 加群層になる例、ex-quasi-coherent-sheaf-extension-by-zero・ex-quasi-coherent-sheaf-skyscraper は $\mathcal{O}_X$ 加群層でありながら準連接でない例である。複素多様体などスキームでない環付き空間でも def-quasi-coherent-sheaf は意味をもつが、加群との対応(cor-quasi-coherent-sheaf-affine-equivalence)はスキームに固有である。
準連接層のなす圏がアーベル圏であり各種の操作で閉じていることを示す。鍵は、アフィンスキーム上で大域切断をとる操作が準連接層の短完全列を保つことである。
$X=\operatorname{Spec}A$ とし、$0\to\mathcal{F}'\to\mathcal{F}\to\mathcal{F}''\to0$ を $\mathcal{O}_X$ 加群層の短完全列で、$\mathcal{F}'$ が準連接であるものとする($\mathcal{F}$、$\mathcal{F}''$ は任意の $\mathcal{O}_X$ 加群層でよい)。このとき
$$
0\longrightarrow\Gamma(X,\mathcal{F}')\longrightarrow\Gamma(X,\mathcal{F})\longrightarrow\Gamma(X,\mathcal{F}'')\longrightarrow0
$$
は完全である。
$\Gamma(X,-)$ は左完全関手だから、$\Gamma(X,\mathcal{F})\to\Gamma(X,\mathcal{F}'')$ の全射性を示せばよい。$s''\in\Gamma(X,\mathcal{F}'')$ をとる。$\mathcal{F}\to\mathcal{F}''$ は層の全射だから $s''$ は各点の近傍で $\mathcal{F}$ の切断に持ち上がり、近傍を基本開集合に縮めて $X$ の準コンパクト性を使うと、$X$ を被覆する有限個の $D(g_1),\dots,D(g_r)$ と $t_i\in\Gamma(D(g_i),\mathcal{F})$ で $t_i\mapsto s''|_{D(g_i)}$ となるものがとれる。
$M':=\Gamma(X,\mathcal{F}')$ とおく。$\mathcal{F}'$ は準連接だから、thm-quasi-coherent-sheaf-characterization の 3 と prop-quasi-coherent-sheaf-tilde-sections の 2 により、任意の $h\in A$ で $\Gamma(D(h),\mathcal{F}')=M'_h$ であり、制限写像は局所化の標準写像である。$D(g_ig_j)$ 上で $t_i-t_j$ は $\mathcal{F}''$ で $0$ になるので、左完全性により $c_{ij}:=t_i-t_j\in M'_{g_ig_j}$ であり、$c_{ij}+c_{jk}=c_{ik}$ が $M'_{g_ig_jg_k}$ で成り立つ。
対 $(i,j)$ は有限個なので、共通の $N$ と $a_{ij}\in M'$ で $c_{ij}=a_{ij}/(g_ig_j)^N$ と書ける。$e_{ij}:=a_{ij}/g_i^N\in M'_{g_i}$ とおくと、$e_{ij}$ の $M'_{g_ig_j}$ での像は $g_j^Nc_{ij}$ である。3 つ組 $(i,j,k)$ に対し、$M'_{g_ig_j}$ の元 $d_{ijk}:=e_{ik}-e_{jk}-g_k^Nc_{ij}$($e_{ik}\in M'_{g_i}$、$e_{jk}\in M'_{g_j}$ は $M'_{g_ig_j}$ に送る)の $M'_{g_ig_jg_k}$ での像は $g_k^N(c_{ik}-c_{jk}-c_{ij})=0$ である。$M'_{g_ig_jg_k}=(M'_{g_ig_j})_{g_k}$ で $0$ になる元は $g_k$ のある冪で消えるので、有限個の 3 つ組に共通の $N'$ で $g_k^{N'}d_{ijk}=0$ である。$e'_{ik}:=g_k^{N'}e_{ik}\in M'_{g_i}$ とおくと、$M'_{g_ig_j}$ で $e'_{ik}-e'_{jk}=g_k^{N+N'}c_{ij}$ が成り立つ。
$D(g_k)$ は $X$ を被覆するから、(i) により $1=\sum_kb_kg_k^{N+N'}$ となる $b_k\in A$ がある。$c_i:=\sum_kb_ke'_{ik}\in M'_{g_i}=\Gamma(D(g_i),\mathcal{F}')$ とおくと、$D(g_ig_j)$ 上で
$$
c_i-c_j=\sum_kb_k(e'_{ik}-e'_{jk})=\sum_kb_kg_k^{N+N'}c_{ij}=c_{ij}=t_i-t_j
$$
である。したがって $t_i-c_i\in\Gamma(D(g_i),\mathcal{F})$ は重なりで一致し、貼り合って $t\in\Gamma(X,\mathcal{F})$ を定める。$c_i$ は $\mathcal{F}''$ で $0$ になるので $t\mapsto s''$ である。$\square$
$X$ をスキームとする。
いずれの主張も局所的(核・余核・直和・帰納極限・テンソル積は開集合への制限と交換する)なので、$X=\operatorname{Spec}A$ としてよい。
$\phi\colon A\to B$ を環準同型、$f\colon X=\operatorname{Spec}B\to Y=\operatorname{Spec}A$ を対応するスキームの射、$N$ を $B$ 加群とし、$\phi$ により $N$ を $A$ 加群とみなしたものを ${}_AN$ と書く。このとき $f_*\widetilde{N}\cong\widetilde{{}_AN}$ である。
$f\colon X\to Y$ をスキームの射、$\mathcal{G}$ を $Y$ 上の準連接層とすると、逆像 $f^*\mathcal{G}=f^{-1}\mathcal{G}\otimes_{f^{-1}\mathcal{O}_Y}\mathcal{O}_X$ は $X$ 上の準連接層である。$Y=\operatorname{Spec}A$、$X=\operatorname{Spec}B$ がアフィンで $\mathcal{G}=\widetilde{M}$ なら $f^*\widetilde{M}\cong\widetilde{M\otimes_AB}$ である。
証明は Har77 II.5.2(e)・II.5.8 に譲る。筋:主張は $X$ 上局所的なので $Y=\operatorname{Spec}A$、$X=\operatorname{Spec}B$、$\mathcal{G}=\widetilde{M}$ としてよい。$f^*$ は $f_*$ の左随伴関手だから、$A$ 線形写像 $M\to M\otimes_AB$、$m\mapsto m\otimes1$ の $\widetilde{\ }$ が lem-quasi-coherent-sheaf-affine-pushforward により射 $f^*\widetilde{M}\to\widetilde{M\otimes_AB}$ を定め、$\mathfrak{q}\in\operatorname{Spec}B$、$\mathfrak{p}=f(\mathfrak{q})$ での茎 $M_{\mathfrak{p}}\otimes_{A_{\mathfrak{p}}}B_{\mathfrak{q}}\to(M\otimes_AB)_{\mathfrak{q}}=M\otimes_AB_{\mathfrak{q}}$ は同型である。
$f\colon X\to Y$ をスキームの射とし、$f$ は準コンパクト($Y$ の任意のアフィン開集合 $V$ について $f^{-1}(V)$ が準コンパクト)かつ準分離($Y$ の任意のアフィン開集合 $V$ と $f^{-1}(V)$ の任意のアフィン開集合 $U,U'$ について $U\cap U'$ が準コンパクト)であるとする。このとき $X$ 上の準連接層 $\mathcal{F}$ の順像 $f_*\mathcal{F}$ は $Y$ 上の準連接層である。とくに、$X$ がNoetherスキームなら任意の射 $f$ について、また閉埋め込み・アフィン射・分離射で準コンパクトなもの(固有射・有限射を含む)について成り立つ。
主張は $Y$ 上局所的であり、開集合 $V\subset Y$ への制限 $f|_{f^{-1}V}$ も準コンパクト準分離だから、$Y=\operatorname{Spec}A$ としてよい。すると $X$ は有限個のアフィン開集合 $U_1,\dots,U_n$ で被覆され、各 $U_i\cap U_j$ は準コンパクトなので有限個のアフィン開集合 $U_{ijk}$($k=1,\dots,n_{ij}$)で被覆される。$f_i:=f|_{U_i}$、$f_{ijk}:=f|_{U_{ijk}}$ とおく。
$Y$ の任意の開集合 $W$ に対し、$f^{-1}(W)$ の開被覆 $\{f^{-1}W\cap U_i\}_i$ についての $\mathcal{F}$ の貼り合わせ条件は
$$
0\longrightarrow\mathcal{F}(f^{-1}W)\longrightarrow\prod_i\mathcal{F}(f^{-1}W\cap U_i)\longrightarrow\prod_{i,j}\mathcal{F}(f^{-1}W\cap U_i\cap U_j)
$$
の完全性である(右の写像は $(s_i)\mapsto(s_i|-s_j|)$)。$f^{-1}W\cap U_i\cap U_j$ 上の切断が $0$ であることは開被覆 $\{f^{-1}W\cap U_{ijk}\}_k$ の各元への制限が $0$ であることと同値だから、右端を $\prod_{i,j,k}\mathcal{F}(f^{-1}W\cap U_{ijk})$ に置き換えても完全である。$W$ を動かすと、これは $\mathcal{O}_Y$ 加群層の完全列
$$
0\longrightarrow f_*\mathcal{F}\longrightarrow\bigoplus_i(f_i)_*(\mathcal{F}|_{U_i})\longrightarrow\bigoplus_{i,j,k}(f_{ijk})_*(\mathcal{F}|_{U_{ijk}})
$$
である(有限個の直和は直積に等しい)。$f_i$、$f_{ijk}$ はアフィンスキームの射で $\mathcal{F}|_{U_i}$、$\mathcal{F}|_{U_{ijk}}$ は準連接だから、lem-quasi-coherent-sheaf-affine-pushforward により中央と右の項は準連接であり、$f_*\mathcal{F}$ は準連接層の射の核として準連接である(thm-quasi-coherent-sheaf-closure の 1)。
Noether スキームの開集合はすべて準コンパクトだから、$X$ が Noether なら任意の $f$ が準コンパクト準分離である。閉埋め込み・アフィン射はアフィン開集合の逆像がアフィンなので準コンパクト準分離であり、分離射では $U\cap U'$ がアフィンになる(Har77 II 演習 4.3)。$\square$
この命題は Har77 II.5.8(c)、Stacks Tag 01LC、EGA1 §9.2($f$ が準コンパクトで分離的な場合)にある。準コンパクト性を外すと結論は崩れる(ex-quasi-coherent-sheaf-infinite-union)。
$X=\operatorname{Spec}A$ をアフィンスキーム、$\mathcal{F}$ を $X$ 上の準連接層とすると、層コホモロジー $H^1(X,\mathcal{F})$ は $0$ である。
$\mathcal{O}_X$ 加群層の圏は入射的対象を十分にもつ(Har77 III.2.2)ので、$\mathcal{F}$ を入射的 $\mathcal{O}_X$ 加群層 $\mathcal{I}$ に埋め込み、短完全列 $0\to\mathcal{F}\to\mathcal{I}\to\mathcal{I}/\mathcal{F}\to0$ をとる。$\mathcal{O}_X$ 加群層としてのコホモロジーはアーベル群の層としてのコホモロジーと一致し(Har77 III.2.6)、入射的 $\mathcal{O}_X$ 加群層は脆弱(脆弱層)なので $H^1(X,\mathcal{I})=0$ である(Har77 III.2.4、2.5)。コホモロジーの長完全列
$$
\Gamma(X,\mathcal{I})\longrightarrow\Gamma(X,\mathcal{I}/\mathcal{F})\longrightarrow H^1(X,\mathcal{F})\longrightarrow H^1(X,\mathcal{I})=0
$$
において、$\mathcal{F}$ が準連接だから prop-quasi-coherent-sheaf-affine-exact により左の写像は全射であり、したがって $H^1(X,\mathcal{F})=0$ である。$\square$
$X=\operatorname{Spec}A$ をアフィンスキーム、$\mathcal{F}$ を $X$ 上の準連接層とすると、すべての $i\ge1$ で $H^i(X,\mathcal{F})=0$ である。
証明は Har77 III.3.5($A$ が Noether 環の場合)と EGA3 1.3.1(一般の場合)に譲る。Noether の場合の筋:$M=\Gamma(X,\mathcal{F})$ の入射加群による分解 $0\to M\to I^0\to I^1\to\cdots$ をとると、Noether 環上の入射加群 $I$ に付随する層 $\widetilde{I}$ は脆弱であり(Har77 III.3.4。ここで Noether 性を使う)、$0\to\mathcal{F}\to\widetilde{I^0}\to\widetilde{I^1}\to\cdots$ は脆弱分解で、その大域切断の複体は $I^\bullet$ に戻るので $H^i(X,\mathcal{F})=0$($i\ge1$)である。一般の場合の筋:有限個の基本開集合による被覆の Čechコホモロジーが $p\ge1$ で消えることを prop-quasi-coherent-sheaf-affine-exact と同型の計算($p=1$ の場合がその証明である)で示し、基本開集合の族が有限交叉で閉じていることから層コホモロジーの消滅を導く(Cartan の補題、EGA3 1.3、Stacks の Cohomology of Schemes の章)。原型は Serre Ser55 のアフィン多様体上の連接層の消滅定理である。
1 の証明はアフィン射の記事(命題「アフィン射の高次順像の消滅とコホモロジーの比較」)に譲る。筋:$R^if_*\mathcal{F}$ は前層 $V\mapsto H^i(f^{-1}V,\mathcal{F})$ の層化であり(Har77 III.8.1)、アフィン開集合 $V$ でこれは thm-quasi-coherent-sheaf-affine-vanishing により消えるので層化は $0$ である。後半は Lerayスペクトル系列 $E_2^{p,q}=H^p(Y,R^qf_*\mathcal{F})\Rightarrow H^{p+q}(X,\mathcal{F})$ の退化による(Har77 III 演習 8.1)。2 の証明は Har77 III.4.5($X$ が Noether の場合)と EGA3 1.4.1 に譲る。筋:分離的なスキームではアフィン開集合の有限交叉がアフィンなので(Har77 II 演習 4.3)、被覆の各交叉で $\mathcal{F}$ のコホモロジーが消え、Čech コホモロジーと層コホモロジーを比べるスペクトル系列が退化する。3 の証明は EGA3 1.4.10 と Har77 III.8.5・8.6($X$ が Noether の場合)に譲る。筋:prop-quasi-coherent-sheaf-pushforward の証明と同じ有限アフィン被覆による Čech 複体の各項が lem-quasi-coherent-sheaf-affine-pushforward により準連接なので、そのコホモロジー層も準連接である。
$X$ を準コンパクトなスキームとする。次は同値である。
1 $\Rightarrow$ 2 $\Rightarrow$ 3 は thm-quasi-coherent-sheaf-affine-vanishing から明らかであり、3 $\Rightarrow$ 1 の証明は Stacks Tag 01XF(3 を有限型の準連接イデアル層に限った、より強い形)と EGA2 5.2.1 に譲る。$X$ が Noether スキームのとき、3 は「任意の連接イデアル層で $H^1=0$」と言い換えられ、その形は Har77 III.3.7 にあり連接層の記事に述べられている。この定理により、アフィンスキームは「準連接層のコホモロジーがすべて消える準コンパクトなスキーム」として特徴づけられ、Stein 多様体(Stein空間)が連接解析層のコホモロジーの消滅で特徴づけられることの代数版になっている。
$X$ をスキームとする。$\operatorname{QCoh}(X)$ は帰納極限が完全で生成対象をもつアーベル圏(Grothendieck アーベル圏)であり、入射的対象を十分にもつ。さらに $X$ が Noether スキームなら、$\operatorname{QCoh}(X)$ の入射的対象は $\mathcal{O}_X$ 加群層の圏でも入射的である。
$X$ が Noether スキームのとき、任意の準連接層は連接部分層の有向和(帰納極限)であり(Har77 II 演習 5.15、連接層の記事の補足)、Noether 位相空間上では層コホモロジーが帰納極限と交換する(Har77 III.2.9)ので、準連接層のコホモロジーに関する多くの主張は連接層の場合に帰着される。
準連接層 $\mathcal{F}$ に対し、エタール射 $g\colon W\to X$ に $\Gamma(W,g^*\mathcal{F})$ を対応させるとエタール景(Grothendieck位相)上の層が得られ、そのエタールコホモロジーは Zariski 位相での $H^i(X,\mathcal{F})$ に一致する(Mil80 III §3)。準連接層は忠実平坦準コンパクトな射に沿って降下し(忠実平坦降下)、準連接な $\mathcal{O}_X$ 代数 $\mathcal{A}$ からは相対スペクトル $\operatorname{\mathbf{Spec}}\mathcal{A}\to X$ が作られてアフィン射と対応する。射影スキーム上の準連接層は次数付き加群に付随する層として記述される(Har77 II.5.11–5.15)。
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