極小曲面(微分幾何学)(minimal surface (differential geometry))とは、$\mathbb R^3$ の曲面で平均曲率が恒等的に $0$ のもの、すなわち 2 つの主曲率が各点で符号だけ異なる曲面である。台がコンパクトな法方向の変形について面積の 1 次の変化が $0$ になることと同値で、面積の臨界点だが最小とは限らない。等温座標では座標関数が調和関数になり、正則関数の組から曲面を作る Weierstrass–Enneper の表示が得られる。平面・懸垂面・螺旋面・Enneper 曲面・Scherk 曲面が例で、全平面の上の滑らかなグラフになる極小曲面は平面に限る(Bernstein の定理)。
前提知識: Gauss曲率, 等温座標, 正則関数, Gauss–Codazzi方程式
針金の輪を石けん水に浸して引き上げると、輪を縁とする石けん膜ができる。膜は表面張力で縮もうとするので、同じ縁をもつ曲面のなかで面積が(少なくとも近くの曲面と比べて)小さい形をとる。面積を少し変形しても 1 次の変化がない曲面は、各点で平均曲率が $0$ になる。平均曲率が恒等的に $0$ の曲面を極小曲面(minimal surface)という。平面、懸垂面(カテノイド)、螺旋面(ヘリコイド)が代表的な例である。
この記事の「極小曲面」は微分幾何学の用語である。代数幾何学では、$(-1)$ 曲線を含まない滑らかな射影曲面のことも極小曲面と呼ぶ(Enriques–小平の分類)が、ここでは扱わない。
極小曲面の理論の特徴は、複素関数論と結びつくことである。等温座標で表すと、極小曲面の座標関数は調和関数になり、その複素微分は正則関数になる。逆に正則関数の組から極小曲面を作れる(Weierstrass–Enneper の表示)。この記事では、極小曲面を定義し、面積の第 1 変分との関係、Weierstrass–Enneper の表示、典型的な例を調べ、全平面の上のグラフになる極小曲面は平面に限るという Bernstein の定理を証明する。
以下、$U\subset\mathbb R^2$ を開集合、$x\colon U\to\mathbb R^3$ を滑らかな正則曲面片とし、記号は Gauss曲率 に従う(第 1 基本形式 $E,F,G$、$W=\sqrt{EG-F^2}$、単位法ベクトル $\nu=x_u\times x_v/|x_u\times x_v|$、第 2 基本形式 $L,M,N$、形作用素 $S$、主曲率 $\kappa_1,\kappa_2$)。
正則曲面片 $x$ が極小曲面であるとは、平均曲率
$$
H=\frac{\kappa_1+\kappa_2}2=\frac{EN-2FM+GL}{2(EG-F^2)}
$$
が $U$ 上で恒等的に $0$ であることをいう。
$\nu$ を $-\nu$ に替えると $H$ は符号を変えるだけなので、この条件は向きのとり方によらない。$H=0$ は $\kappa_2=-\kappa_1$ と同じことなので、極小曲面の Gauss 曲率は $K=\kappa_1\kappa_2=-\kappa_1^2\le0$ である。一般の Riemann 多様体の超曲面でも、平均曲率(形作用素のトレースの $1/n$)が恒等的に $0$ のものを極小超曲面という(Lee18 p. 242)。
滑らかな関数 $f\colon U\to\mathbb R$ のグラフ $x(u,v)=(u,v,f(u,v))$ が極小曲面であることは
$$
(1+f_v^2)\,f_{uu}-2f_uf_v\,f_{uv}+(1+f_u^2)\,f_{vv}=0
$$
と同値である。
$p=f_u$、$q=f_v$、$W=\sqrt{1+p^2+q^2}$ とおく。$x_u=(1,0,p)$、$x_v=(0,1,q)$ から $E=1+p^2$、$F=pq$、$G=1+q^2$、$EG-F^2=W^2$、$\nu=(-p,-q,1)/W$ であり、$L=f_{uu}/W$、$M=f_{uv}/W$、$N=f_{vv}/W$ である。よって
$$
H=\frac{(1+p^2)f_{vv}-2pq\,f_{uv}+(1+q^2)f_{uu}}{2W^3}
$$
で、$H=0$ は主張の式と同値である。$\square$
極小という名前は、面積の変分から来ている。
$\varphi\colon U\to\mathbb R$ を台がコンパクトな滑らかな関数とし、$D\subset U$ を $\varphi$ の台を含むコンパクト集合とする。$x_t:=x+t\varphi\nu$ とおくと、$|t|$ が小さければ $x_t$ は正則曲面片で、$D$ の上の面積 $A(t)=\iint_DW_t\,du\,dv$ は
$$
A'(0)=-2\iint_D\varphi\,H\,W\,du\,dv
$$
を満たす。
$\langle x_u,\nu\rangle=0$ と Gauss曲率 の命題「形作用素の自己随伴性」の証明の式 $\langle\nu_u,x_u\rangle=-L$、$\langle\nu_u,x_v\rangle=\langle\nu_v,x_u\rangle=-M$、$\langle\nu_v,x_v\rangle=-N$ から、$(\varphi\nu)_u=\varphi_u\nu+\varphi\nu_u$ について $\langle x_u,(\varphi\nu)_u\rangle=-\varphi L$ などとなる。よって
$$
E_t=E-2t\varphi L+O(t^2),\qquad F_t=F-2t\varphi M+O(t^2),\qquad G_t=G-2t\varphi N+O(t^2)
$$
であり($O(t^2)$ は $D$ の上で一様)
$$
E_tG_t-F_t^2=W^2-2t\varphi\,(EN-2FM+GL)+O(t^2)=W^2\,(1-4t\varphi H)+O(t^2)
$$
である。$D$ はコンパクトなので $|t|$ が小さければ右辺は正で、$x_t$ は正則であり、$W_t=W(1-2t\varphi H)+O(t^2)$ である。被積分関数は $(t,u,v)$ について滑らかなので積分記号下で微分できて、主張を得る。$\square$
$x$ が極小曲面であることと、台がコンパクトなすべての $\varphi$ について thm-ms-first-variation の $A'(0)$ が $0$ になることは同値である。
$H=0$ なら $A'(0)=0$ である。逆に $H(p)>0$ となる点 $p$ があれば、$H>0$ となる $p$ の近傍に台があり $p$ で正の $\varphi\ge0$ をとると、$A'(0)<0$ となる。$H(p)<0$ なら $\varphi\le0$ をとる。$\square$
よって、境界を止めて面積を最小にする曲面は極小曲面である(一般の Riemann 多様体の超曲面について Lee18 Theorem 8.18、p. 239)。逆は成り立たない。極小曲面は面積の臨界点であって、最小とは限らない(ex-ms-counterexamples の 1 行目)。
等温座標 の定理「等温座標の存在」により、どの曲面も局所的に等温座標 $(u,v)$($E=G=\lambda^2$、$F=0$)で表せる。以下、$z=u+iv$ とし、$\mathbb C^3$ のベクトル $a,b$ について $a\cdot b=\sum_ka_kb_k$(複素共役をとらない)、$|a|^2=\sum_k|a_k|^2$ と書く。
1:$\phi\cdot\phi=|x_u|^2-|x_v|^2-2i\langle x_u,x_v\rangle=E-G-2iF=0$、$|\phi|^2=E+G=2\lambda^2$ である。成分 $\phi_k=\partial_ux_k-i\partial_vx_k$ の Cauchy–Riemann 方程式は $\partial_u\partial_ux_k=-\partial_v\partial_vx_k$ と $\partial_v\partial_ux_k=\partial_u\partial_vx_k$ で、後者はいつも成り立つ。よって $\phi$ が正則であることは $x$ の各成分が調和関数であることと同値で、等温座標 の命題「極小曲面の等温表示」によりこれは $H=0$ と同値である。
2:Cauchyの積分定理 の系「単連結領域上の原始関数と対数の分枝」により各 $\phi_k$ は $D$ 上の原始関数 $\Phi_k$ をもち、積分は道によらず $\Phi_k(z)-\Phi_k(z_0)$ に等しい。$\Phi_k'=\phi_k$ と Cauchy–Riemann 方程式から $\partial_u\operatorname{Re}\Phi_k=\operatorname{Re}\phi_k$、$\partial_v\operatorname{Re}\Phi_k=-\operatorname{Im}\phi_k$ なので $x_u-ix_v=\phi$ である。1 の計算を逆にたどると $E=G=|\phi|^2/2>0$、$F=0$ であり、$x$ は正則で $(u,v)$ は等温座標である。$\phi$ は正則なので 1 により $x$ は極小曲面である。
3:$(\phi_1-i\phi_2)(\phi_1+i\phi_2)=\phi_1^2+\phi_2^2=-\phi_3^2$ から $\phi_1+i\phi_2=-fg^2$ である。これと $\phi_1-i\phi_2=f$ を $\phi_1,\phi_2$ について解くと主張の形になる。$|\phi|^2$ を直接計算して $\lambda^2$ を得る。$a=\operatorname{Re}\phi$、$b=\operatorname{Im}\phi$ とすると $x_u\times x_v=-a\times b=-\frac i2\,\phi\times\bar\phi$ であり、主張の $\phi$ を代入すると
$$
x_u\times x_v=\frac{|f|^2(1+|g|^2)}4\bigl(2\operatorname{Re}g,\ 2\operatorname{Im}g,\ |g|^2-1\bigr)
$$
となる。この正の数で割って $\nu$ を得る。立体射影 $(X,Y,Z)\mapsto(X+iY)/(1-Z)$ で $1-Z=2/(|g|^2+1)$ なので、像は $g$ である。$\square$
$f\equiv0$ のときは $\phi_1=i\phi_2$ で、$\phi_3^2=-(\phi_1^2+\phi_2^2)=0$ から $\phi_3=0$ となり、$x_3$ は定数、曲面は水平な平面の一部である。このとき $x_u\times x_v$ の第 3 成分は $|\phi_2|^2>0$ なので $\nu=(0,0,1)$ で、3 の式で $g\to\infty$ としたものにあたる。組 $(f,g)$ を曲面の Weierstrass データという。
| 曲面 | $\phi$ または Weierstrass データ($D=\mathbb C$) | 曲面片(定数の平行移動を除く) |
|---|---|---|
| 懸垂面 | $\phi=(\sinh z,\ -i\cosh z,\ 1)$、$f=-e^{-z}$、$g=-e^{z}$ | $(\cosh u\cos v,\ \cosh u\sin v,\ u)$ |
| 螺旋面 | $-i$ 倍した $\phi=(-i\sinh z,\ -\cosh z,\ -i)$ | $(\sinh u\sin v,\ -\sinh u\cos v,\ v)$ |
| Enneper 曲面 | $f=1$、$g=z$ | $\frac12\bigl(u-\frac{u^3}3+uv^2,\ -v-u^2v+\frac{v^3}3,\ u^2-v^2\bigr)$ |
懸垂面は回転面のなかで特別である。
$I$ を開区間、$\rho\colon I\to(0,\infty)$ を滑らかな関数とし、回転面 $x(t,\theta)=(\rho(t)\cos\theta,\ \rho(t)\sin\theta,\ t)$ を考える。$x$ が極小曲面であることと、定数 $c>0$、$t_0\in\mathbb R$ があって $I$ 上で $\rho(t)=c\cosh\bigl((t-t_0)/c\bigr)$ となること(懸垂面の一部であること)は同値である。
$s=\sqrt{1+\rho'^2}$ とおく。$x_t=(\rho'\cos\theta,\rho'\sin\theta,1)$、$x_\theta=(-\rho\sin\theta,\rho\cos\theta,0)$ から $E=s^2$、$F=0$、$G=\rho^2$、$\nu=(-\cos\theta,-\sin\theta,\rho')/s$ で、$L=-\rho''/s$、$M=0$、$N=\rho/s$ である。よって
$$
H=\frac{EN+GL}{2EG}=\frac{\rho\,(1+\rho'^2-\rho\rho'')}{2s^3\rho^2}
$$
で、$H=0$ は $\rho\rho''=1+\rho'^2$ と同値である。$\rho=c\cosh((t-t_0)/c)$ はこれを満たす。逆に $\rho\rho''=1+\rho'^2$ なら
$$
\frac d{dt}\,\frac{1+\rho'^2}{\rho^2}=\frac{2\rho'\bigl(\rho\rho''-(1+\rho'^2)\bigr)}{\rho^3}=0
$$
なので $1+\rho'^2=\rho^2/c^2$ となる定数 $c>0$ がある。1 点 $t_1\in I$ で $\rho(t_1)/c\ge1$ なので、$c\cosh((t_1-t_0)/c)=\rho(t_1)$ で $\sinh((t_1-t_0)/c)$ の符号が $\rho'(t_1)$ と同じになる $t_0$ がとれ、このとき 2 つの関数は $t_1$ で値と微分が等しい。方程式 $\rho''=(1+\rho'^2)/\rho$ ($\rho>0$ の範囲で右辺は滑らか)に 常微分方程式 の系「解の一意性」を当てると、$I$ 全体で一致する。$\square$
滑らかな関数 $f\colon\mathbb R^2\to\mathbb R$ のグラフが極小曲面なら、$f$ は 1 次式 $f(u,v)=au+bv+c$ であり、グラフは平面である。
要点:極小曲面の方程式から、Hesse 行列が第 1 基本形式の $1/W$ 倍になる凸関数 $\Phi$ が作れる。$a\mapsto a+\nabla\Phi(a)$ は $\mathbb R^2$ の微分同相で、グラフの全体を覆う等温座標を与える。すると $\nu$ を立体射影した $g$ は全平面の上で $|g|>1$ を満たすので、Liouville の定理により定数である。
段 1(凸関数).$p=f_u$、$q=f_v$、$W=\sqrt{1+p^2+q^2}$、$Q=(1+q^2)f_{uu}-2pqf_{uv}+(1+p^2)f_{vv}$ とおく。直接の計算で $\partial_v\frac{1+p^2}W-\partial_u\frac{pq}W=-\frac{qQ}{W^3}$、$\partial_u\frac{1+q^2}W-\partial_v\frac{pq}W=-\frac{pQ}{W^3}$ であり、prop-ms-graph により $Q=0$ である。Poincaréの補題 により、$\nabla\alpha=\bigl(\frac{1+p^2}W,\frac{pq}W\bigr)$、$\nabla\beta=\bigl(\frac{pq}W,\frac{1+q^2}W\bigr)$ となる $\alpha,\beta$ があり、$\alpha_v=\beta_u$ なので $\nabla\Phi=(\alpha,\beta)$ となる $\Phi$ がある。Hesse 行列は $\mathcal A=\Gamma/W$($\Gamma=\begin{pmatrix}1+p^2&pq\\pq&1+q^2\end{pmatrix}$ は第 1 基本形式の行列)で、正定値、$\det\mathcal A=W^2/W^2=1$ である。
段 2(Lewy の写像).$\Lambda(a):=a+\nabla\Phi(a)$ とおく。$\langle\nabla\Phi(a)-\nabla\Phi(b),a-b\rangle=\int_0^1\langle\mathcal A(b+t(a-b))(a-b),a-b\rangle\,dt\ge0$ なので $|\Lambda(a)-\Lambda(b)|^2\ge|a-b|^2$ である。よって $\Lambda$ は単射で、像は閉集合である($\Lambda(a_n)$ が収束すれば $a_n$ は Cauchy 列)。$d\Lambda=I+\mathcal A$ は可逆で行列式が正なので、逆関数定理 により像は開集合で、$\mathbb R^2$ は連結だから $\Lambda$ は $\mathbb R^2$ から $\mathbb R^2$ への向きを保つ微分同相である。
段 3(等温座標).$2\times2$ 行列の Cayley–Hamilton の定理と $\det\mathcal A=1$ から $\mathcal A^2=(\operatorname{tr}\mathcal A)\mathcal A-I$ なので $(I+\mathcal A)^2=(2+\operatorname{tr}\mathcal A)\mathcal A$ である。$\xi=\Lambda(a)$ を新しい座標とすると、第 1 基本形式の行列は $(I+\mathcal A)^{-1}\Gamma(I+\mathcal A)^{-1}=\frac{W}{2+\operatorname{tr}\mathcal A}I$ になる。よって $X(\xi):=(\Lambda^{-1}(\xi),f(\Lambda^{-1}(\xi)))$ は $\mathbb C=\mathbb R^2$ 全体の上の等温座標による極小曲面で、$\Lambda$ は向きを保つので単位法ベクトルは $\nu=(-p,-q,1)/W$ のままであり、その第 3 成分は正である。
段 4(Liouville).thm-ms-weierstrass の 1 により $\phi=X_{\xi_1}-iX_{\xi_2}$ は $\mathbb C$ 上の正則関数の組である。$\phi_1-i\phi_2\equiv0$ なら同定理の後の注意により $X_3$ は定数で、$f$ は定数である。そうでなければ $g=\phi_3/(\phi_1-i\phi_2)$ は $\mathbb C$ 上の有理型関数で、$g$ が有限の点では 3 の式と $\nu_3>0$ から $|g|>1$ である。よって $g$ は零点をもたず、$1/g$ は $g$ の極で $0$ と定めて $\mathbb C$ 上の正則関数になり、$|1/g|< 1$ である。Liouvilleの定理 により $1/g$ は定数で、$0$ ではない($0$ なら $\phi_1-i\phi_2\equiv0$)。よって $g$ は有限の定数で、$\nu$ は定ベクトル、$p,q$ は定数であり、$f$ は 1 次式である。$\square$
定理は「全平面の上で」定義されていることに本質的に依存する。ex-ms-examples の Scherk 曲面は正方形の上のグラフで、平面ではない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 面積が最小である(極小曲面であることだけ残す) | 首の半径 $c$ の懸垂面の $\lvert z\rvert\le c$ の部分 | 同じ境界をもつ曲面のなかで面積が最小である |
| 定義域が全平面である(Bernstein) | Scherk 曲面($\lvert u\rvert,\lvert v\rvert< \pi/2$ の上のグラフ) | グラフは平面である |
| グラフである(Bernstein) | 懸垂面 | 平面である |
| 定義域が単連結である(Weierstrass–Enneper の 2) | 螺旋面の $\phi$ を $w=e^z$ で $\mathbb C\setminus\{0\}$ に移したもの | $\operatorname{Re}\int\phi$ が道によらない |
1 行目:懸垂面 $r=c\cosh(z/c)$($r$ は $z$ 軸からの距離)の $|z|\le h$ の部分の面積は
$$
2\pi\int_{-h}^hc\cosh^2\frac zc\,dz=2\pi ch+\pi c^2\sinh\frac{2h}c
$$
である。同じ境界(半径 $R=c\cosh(h/c)$ の 2 つの円)をもつ 2 枚の円板の和の面積は $2\pi R^2$ で、$t=h/c$ とすると差は $\pi c^2\bigl(2t+\sinh2t-2\cosh^2t\bigr)=\pi c^2(2t-1-e^{-2t})$ である。$t=1$ で $\pi c^2(1-e^{-2})>0$ なので、極小曲面の懸垂面の方が面積が大きい。
2 行目:ex-ms-examples の (4)。定義域が正方形なので Bernstein の定理の仮定を満たさない。
3 行目:懸垂面は極小曲面だが、Gauss 曲率が $-1/\cosh^4u\neq0$(Gauss曲率 の例「懸垂面と螺旋面」)なので平面でない。Bernstein の定理により、懸垂面はどの平面の上の全域のグラフにもならない。
4 行目:$z=\log w$、$dz=dw/w$ により、螺旋面の $\phi$ は $\mathbb C\setminus\{0\}$ 上の正則関数の組 $\psi(w)=\phi(\log w)/w$ を与える($\phi$ は $z$ について周期 $2\pi i$ なので $\log w$ の分枝によらない)。第 3 成分 $-i/w$ を単位円に沿って積分すると $-i\cdot2\pi i=2\pi$ で、実部が $0$ でないので、$\operatorname{Re}\int\psi$ は一価に定まらない。実際、螺旋面は $v\mapsto v+2\pi$ で高さが $2\pi$ ずれる。
Gauss–Codazzi 方程式との関係。 極小曲面では $\kappa_2=-\kappa_1$ なので、Gauss–Codazzi方程式 の定理「断面曲率と Gauss 曲率の一致」により、誘導計量の Gauss 曲率は $-\kappa_1^2\le0$ である。Weierstrass データで書くと、等温座標 の命題「等温座標での Gauss 曲率」から、$f\neq0$ かつ $g$ が有限の点で $K=-\left(\dfrac{4|g'|}{|f|(1+|g|^2)^2}\right)^2$ となる。実際 $\log\lambda=\log|f|+\log(1+|g|^2)-\log2$ で、$\log|f|$ は調和関数、$\Delta\log(1+|g|^2)=4|g'|^2/(1+|g|^2)^2$ なので、$K=-\lambda^{-2}\Delta\log\lambda$ に代入すればよい。
同族の曲面。 ex-ms-examples の (2) のように、$\phi$ を $e^{i\theta}$ 倍しても極小曲面が得られ、第 1 基本形式は変わらない。懸垂面と螺旋面はこの族の $\theta=0$ と $\theta=-\pi/2$ にあたる。
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