非鎖状Noether環(non-catenary Noetherian ring)とは、ある素イデアル $\mathfrak p\subset\mathfrak q$ の間に長さの異なる飽和鎖をもつ Noether 環のことである。Krull 次元 $2$ 以下の Noether 環や Cohen–Macaulay 環の剰余環は鎖状なので、非鎖状性は次元 $3$ 以上でしか起こらず、最初の例は永田雅宜による。例えば $k=k_0(u_1,u_2,\dots)$ 上の多項式環 $k[t,y,z]$ を高さ $2$ と $3$ の二つの素イデアルの外で局所化した半局所整域の二つの閉点を、剰余体の同型 $k(t)\cong k$ で一点に貼り合わせると、$0$ から極大イデアルへの長さ $2$ と $3$ の飽和鎖をもつ次元 $3$ の Noether 局所整域が得られる。
Noether 環 $A$ が鎖状環であるとは、素イデアル $\mathfrak p\subset\mathfrak q$ を結ぶ飽和鎖(途中にそれ以上素イデアルを挟めない鎖)の長さが、選び方によらず一定であることをいう。体上の有限生成代数、Cohen–Macaulay 環の剰余環など、応用に現れる Noether 環のほとんどは鎖状である。それでも鎖状でない Noether 環は存在し、最初の例は 1956 年に永田雅宜(Masayoshi Nagata)が与えた(Mat89 §5、p. 31)。このような環を非鎖状 Noether 環(non-catenary Noetherian ring)という。
この記事では、鎖状な局所整域で高さと余高さの和が次元に等しくなることを思い出し、非鎖状性が次元 $3$ 以上でしか起こらないことを見た後、非鎖状な Noether 局所整域を一つ具体的に構成する。構成の発想は、高さの違う二つの極大イデアルをもつ半局所環から、二つの極大イデアルを一点に「貼り合わせる」ことである。貼り合わせた点からは、一方の極大イデアルを通る長さ $2$ の飽和鎖と、他方を通る長さ $3$ の飽和鎖が出る。証明は多項式環と局所化の初等的な性質だけで完結する。
以下、環は単位元をもつ可換環とする。素イデアルの鎖 $\mathfrak p_0\subsetneq\mathfrak p_1\subsetneq\cdots\subsetneq\mathfrak p_l$ の長さは $l$ であり、隣り合う二項の間に素イデアルがないとき飽和鎖という(鎖状環 の定義「飽和鎖と鎖状環」)。
Noether 環 $A$ が鎖状でない(非鎖状である)とは、ある素イデアル $\mathfrak p\subset\mathfrak q$ と、$\mathfrak p$ から $\mathfrak q$ への長さの異なる二つの飽和鎖が存在することをいう。
Noether 環では素イデアルの高さは有限なので、$\mathfrak p$ から $\mathfrak q$ への鎖の長さは $\operatorname{ht}\mathfrak q$ 以下であり、どの鎖も細分して飽和鎖にできる。従って、鎖状性が破れるのは「飽和鎖が存在しない」ためではなく、「長さの違う飽和鎖がある」ためである。
Noether 局所整域 $(A,\mathfrak m)$ の素イデアル $\mathfrak p$ について、$\dim A/\mathfrak p$ は $\mathfrak p$ から $\mathfrak m$ への鎖の長さの上限である。
(鎖状環 の系「鎖状局所整域の高さの式」)Noether 局所整域 $(A,\mathfrak m)$ が鎖状なら、すべての素イデアル $\mathfrak p$ について
$$
\operatorname{ht}\mathfrak p+\dim A/\mathfrak p=\dim A
$$
が成り立つ。
$0$ から $\mathfrak p$、$\mathfrak p$ から $\mathfrak m$ への最長の鎖はどちらも飽和鎖で、つなぐと $0$ から $\mathfrak m$ への飽和鎖になるからである。証明は 鎖状環 の系「鎖状局所整域の高さの式」にある。
逆に、Noether 局所整域ですべての $\mathfrak p$ についてこの式が成り立てば鎖状である(Ratliff の定理、Mat89 Theorem 31.4、p. 250。この記事では証明しない)。従って非鎖状性は、高さと余高さの和が $\dim A$ に届かない素イデアルの存在として測れる。
次の環は鎖状なので、非鎖状 Noether 環はこれらの外にある。
$k_0$ を任意の体とし、可算無限個の変数 $u_1,u_2,\dots$ の有理関数体 $k=k_0(u_1,u_2,\dots)$ をとる。$t$ を新しい変数とすると、$k(t)=k_0(t,u_1,u_2,\dots)$ であり、変数の全単射 $t\mapsto u_1$、$u_i\mapsto u_{i+1}$ は $k_0$ 上の体の同型
$$
\sigma:k(t)\xrightarrow{\ \sim\ }k
$$
を定める(両辺は代数的に独立な変数の集合で生成される $k_0$ 上の純超越拡大で、変数どうしが一対一に対応している)。$k$ とその上の 1 変数有理関数体が同型になることが、この構成の鍵である。
$C=k[t,y,z]$ を $k$ 上の 3 変数多項式環とし、その素イデアル
$$
P=(y,z),\qquad M=(t,\ y-1,\ z)
$$
をとる。$C/P\cong k[t]$、$C/M\cong k$ である。$y\in P\setminus M$、$t\in M\setminus P$ なので、$P$ と $M$ は互いに他を含まない。$S=C\setminus(P\cup M)$ は積閉集合であり、$B=S^{-1}C$ とおく。
$B$ は Noether 整域であり、次が成り立つ。
Noether 環の局所化は Noether であり、整域の局所化は整域である。局所化 の定理「素イデアルの対応」により、$B$ の素イデアルは $Q\cap S=\emptyset$、すなわち $Q\subset P\cup M$ を満たす $C$ の素イデアル $Q$ と、包含を保ち反映する形で一対一に対応する。$Q\subset P\cup M$ なら $Q\subset P$ または $Q\subset M$ である(素イデアル回避。二つの素イデアルなら直接示せる:$a\in Q\setminus P$、$b\in Q\setminus M$ がとれたとして、$a\notin M$ か $b\notin P$ なら終わり、そうでなければ $a+b\in Q$ は $P$ にも $M$ にも入らない)。これで 1 を得る。
2. 1 の対応で極大になるのは、$P\cup M$ に含まれる素イデアルの中で極大なもの、すなわち $P$ と $M$ である($Q\supsetneq P$ が $P\cup M$ に含まれるなら $Q\subset M$ となり、$P\subset M$ に反する。$M$ についても同様)。$B/MB$ は体 $C/M\cong k$ の局所化なので $k$ に等しい。$B/PB$ は $C/P\cong k[t]$ の局所化で、$PB$ が極大なので体である。$k[t]$ を含み $k(t)$ に含まれる体は $k(t)$ だけなので、$B/PB\cong k(t)$ である。
3. 1 の対応により $B$ の素イデアルの鎖は $C$ の素イデアルの鎖から来るので、$\dim B\le\dim C=3$ である(Krull次元 の定理「体上有限生成な環の次元」)。$\square$
$\pi_1:B\to B/PB\cong k(t)$、$\pi_2:B\to B/MB\cong k$ を剰余写像とし、
$$
A=\{\,b\in B\mid \sigma(\pi_1(b))=\pi_2(b)\,\},\qquad \mathfrak m=PB\cap MB
$$
とおく。$A$ は $B$ の部分環である。$A$ は、$B$ の二つの閉点を、剰余体を $\sigma$ で同一視して一点に貼り合わせた環である。
$PB$ と $MB$ は異なる極大イデアルなので、中国剰余定理 により $(\pi_1,\pi_2):B\to k(t)\times k$ は全射で、核は $\mathfrak m$ である。特に 2 の $e$ は存在する。
1. $\pi_1|_A:A\to k(t)$ は全射である:$c\in k(t)$ に対し $(\pi_1,\pi_2)(b)=(c,\sigma(c))$ となる $b$ は $A$ に属する。その核は $\{b\in A\mid\pi_1(b)=0\}=\{b\in B\mid\pi_1(b)=0=\pi_2(b)\}=\mathfrak m$ である。よって $A/\mathfrak m\cong k(t)$ は体で、$\mathfrak m$ は極大イデアルである。$a\in A\setminus\mathfrak m$ なら $\pi_1(a)\ne0$、$\pi_2(a)=\sigma(\pi_1(a))\ne0$ なので、$a$ は $B$ のどの極大イデアルにも入らず $B$ の単元である。$\pi_i(a^{-1})=\pi_i(a)^{-1}$ と $\sigma$ が体の同型であることから $a^{-1}\in A$ である。よって $A$ は $\mathfrak m$ をただ一つの極大イデアルとする局所環であり、整域 $B$ の部分環なので整域である。
2. $b\in B$ に対し、$\pi_2(a)=\pi_2(b)-\sigma(\pi_1(b))$ となる $a\in A$ をとる(1 の全射性と $\pi_2|_A=\sigma\circ\pi_1|_A$ による)。$b'=b-ae$ とおくと $\pi_1(b')=\pi_1(b)$、$\pi_2(b')=\pi_2(b)-\pi_2(a)=\sigma(\pi_1(b'))$ なので $b'\in A$、$b=b'+ae$ である。
3. $\mathfrak m=PB\cap MB$ は $B$ のイデアルで、$\pi_1,\pi_2$ がともに $0$ になる元からなるので $A$ に含まれる。$s\in\mathfrak m$ なら $sB\subset\mathfrak m\subset A$ である。$\square$
$B$ は有限生成 $A$ 加群として Noether 加群であり、特に $A$ は Noether 環である。
$N\subset B$ を $A$ 部分加群とし、$N'=BN$($N$ が生成する $B$ のイデアル)とおく。$j\in\mathfrak m$、$b\in B$、$n\in N$ について $jb\in\mathfrak m\subset A$ なので $jbn\in N$ であり、$\mathfrak mN'\subset N\subset N'$ を得る。$B$ は Noether なので $\mathfrak mN'$ は有限生成 $B$ 加群であり、lem-nc-glued の 2 により有限生成 $A$ 加群でもある。一方 $N'/\mathfrak mN'$ は有限生成 $B/\mathfrak m$ 加群で、$B/\mathfrak m\cong k(t)\times k$ は($A/\mathfrak m\cong k(t)$ が $c\cdot(x_1,x_2)=(cx_1,\sigma(c)x_2)$ で作用して)2 次元の $k(t)$ ベクトル空間である。よって $N'/\mathfrak mN'$ は有限次元の $k(t)$ ベクトル空間で、その部分空間 $N/\mathfrak mN'$ も有限次元である。$N/\mathfrak mN'$ の基底の持ち上げと $\mathfrak mN'$ の $A$ 上の生成元を合わせると $N$ を生成する。$N=I$ を $A$ のイデアルとすれば、$A$ が Noether であることを得る。$\square$
一般に、Noether 環 $B$ が部分環 $A$ 上の有限加群なら $A$ も Noether である(Eakin–Nagataの定理)。ここでは $\mathfrak m$ が $B$ と $A$ の共通のイデアルであることを使って、それを直接確かめた。
$B$ の極大でない素イデアル $Q$ に $Q\cap A$ を対応させる写像は、$B$ の極大でない素イデアルの全体から $\operatorname{Spec}A\setminus\{\mathfrak m\}$ への全単射であり、包含を保ち反映する。$B$ の二つの極大イデアルは、どちらも $A$ では $\mathfrak m$ に対応する。
$Q$ を $B$ の極大でない素イデアルとする。$Q\supset\mathfrak m=PB\cap MB\supset PB\cdot MB$ なら $Q\supset PB$ または $Q\supset MB$ となり、$Q$ は極大イデアルに等しくなって矛盾する。よって $s\in\mathfrak m\setminus Q$ がとれ、$Q\cap A$ は $\mathfrak m$ と異なる $A$ の素イデアルである。
包含の反映:$Q\cap A\subset Q'\cap A$ とし、$s\in\mathfrak m\setminus Q'$ をとる。$b\in Q$ なら $sb\in\mathfrak m\cap Q\subset Q\cap A\subset Q'$(lem-nc-glued の 3)で、$s\notin Q'$ なので $b\in Q'$ である。よって $Q\subset Q'$ であり、特に写像は単射である。
全射:$\mathfrak p\ne\mathfrak m$ を $A$ の素イデアルとし、$s\in\mathfrak m\setminus\mathfrak p$ をとって $Q=\{b\in B\mid sb\in\mathfrak p\}$ とおく。$sB\subset A$ に注意する。$Q$ は加法で閉じる。$b\in Q$、$c\in B$ なら $(sc)b\in A$ であり、$s\cdot(scb)=(sc)(sb)\in\mathfrak p$、$s\notin\mathfrak p$ から $scb\in\mathfrak p$、すなわち $cb\in Q$ である。$bc\in Q$ なら $(sb)(sc)=s(sbc)\in\mathfrak p$ で $sb,sc\in A$ なので、$sb\in\mathfrak p$ または $sc\in\mathfrak p$ である。$s\cdot1\notin\mathfrak p$ より $1\notin Q$。よって $Q$ は素イデアルである。$a\in A$ について $a\in Q\iff sa\in\mathfrak p\iff a\in\mathfrak p$ なので $Q\cap A=\mathfrak p$ である。$s^2\notin\mathfrak p$ なので $s\notin Q$ であり、$s$ は両方の極大イデアルに属するから $Q$ は極大でない。最後の主張は $PB\cap A=\mathfrak m$(lem-nc-glued の 1 の証明)と、$A$ 上で $\pi_2=\sigma\circ\pi_1$ なので $MB\cap A=PB\cap A$ であることによる。$\square$
上の $A$ は Krull 次元 $3$ の Noether 局所整域である。$A$ の素イデアル
$$
\mathfrak q=yB\cap A,\qquad\mathfrak q_1=zB\cap A,\qquad\mathfrak q_2=(t,z)B\cap A
$$
について、
$$
0\subsetneq\mathfrak q\subsetneq\mathfrak m,\qquad 0\subsetneq\mathfrak q_1\subsetneq\mathfrak q_2\subsetneq\mathfrak m
$$
はどちらも飽和鎖であり、長さはそれぞれ $2$ と $3$ である。従って $A$ は鎖状でない。また $\operatorname{ht}\mathfrak q+\dim A/\mathfrak q=2<3=\dim A$ である。
Noether 局所整域であることは lem-nc-glued・lem-nc-noetherian による。
一意分解整域での事実:$R$ が一意分解整域、$\pi$ が素元なら、$\pi R$ に含まれる $0$ でない素イデアルは $\pi R$ だけである。実際、そのような素イデアル $Q$ の $0$ でない元を素元分解すると、ある素因子 $g$ が $Q\subset\pi R$ に入り、$\pi\mid g$ から $g$ は $\pi$ の単元倍なので $\pi\in Q$ である。体上の多項式環は一意分解整域である(一意分解整域)。
$C/yC\cong k[t,z]$、$C/zC\cong k[t,y]$、$C/(t,z)\cong k[y]$ は整域なので、$yC$、$zC$、$(t,z)$ は素イデアルであり、$yC\subsetneq P$、$zC\subsetneq(t,z)\subsetneq M$ である。lem-nc-semilocal の 1 により $yB$、$zB$、$(t,z)B$ は $B$ の極大でない素イデアルであり、lem-nc-spectrum により $\mathfrak q,\mathfrak q_1,\mathfrak q_2$ は $\mathfrak m$ と異なる $A$ の素イデアルで、表示した包含はすべて真の包含である。以下、二つの鎖の各段の間に素イデアルがないことを示す。lem-nc-spectrum と lem-nc-semilocal の 1 により、$A$ の素イデアル $\ne\mathfrak m$ の間の包含は $C$ の素イデアル($P$ または $M$ に含まれるもの)の間の包含と同じなので、$C$ で考えればよい。
$A$ の素イデアルの図は、$B$ の素スペクトルで二つの閉点 $PB$(高さ $2$)と $MB$(高さ $3$)を一点 $\mathfrak m$ に潰したものである。$\mathfrak q$ は潰す前には高さ $2$ の閉点の直下にあったので、潰した後も $\mathfrak m$ の直下に来る。
lem-nc-glued の 2 により $B=A[e]$ は $A$ 上有限な整域で、3 により $A$ と同じ商体をもつ。$PB\cap A=\mathfrak m$ であり、$\kappa(PB)=k(t)$ は $\kappa(\mathfrak m)=A/\mathfrak m\cong k(t)$ と一致する。$A$ と $B$ の間で次元公式(普遍鎖状環 の定義「一般の基礎環の上の次元公式」)が成り立つなら
$$
\operatorname{ht}PB+0=\operatorname{ht}\mathfrak m+0=3
$$
となるはずだが、$PB$ に含まれる素イデアルは $C$ の $P$ に含まれる素イデアルから来るので $\operatorname{ht}PB=\operatorname{ht}_CP=3-\dim C/P=2$ である(次元公式 の命題「有限型整域の高さと残る次元」)。従って次元公式は成り立たず、普遍鎖状環 の定理「Ratliff の定理(次元公式による特徴づけ)」からも $A$ が普遍鎖状でないことがわかる。逆向きに、ある素イデアルで高さの加法性が破れていると、適当な有限生成拡大で次元公式が破れることが同じ定理の証明の筋である。
剰余体の同型 $\sigma$ が必要になる理由もここにある。体上の有限生成整域では、すべての極大イデアルの高さが等しい(同じ命題)。$B$ の二つの極大イデアルの高さが違うのは $B$ が有限生成でないからで、その代わりに剰余体 $k(t)$ と $k$ は超越次数が違う。貼り合わせには二つの剰余体を一つの体の上で比べる必要があり、$k$ を無限個の変数の有理関数体にとることで $k(t)\cong k$ としてこの差を消している。
prop-nc-height-formula と、引用した「次元 2 以下の Noether 環は鎖状」の仮定を一つずつ外す。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| Krull 次元が $2$ 以下 | thm-nc-main の $A$(次元 $3$) | 鎖状性 |
| 鎖状(prop-nc-height-formula) | thm-nc-main の $A$ と $\mathfrak q=yB\cap A$ | $\operatorname{ht}\mathfrak q+\dim A/\mathfrak q=\dim A$(左辺は $2$) |
| 整域(prop-nc-height-formula) | $\bigl(k[x,y,z]/(xz,yz)\bigr)_{(x,y,z)}$ と $\mathfrak p=(x,y)$(普遍鎖状環 の例「平面と直線の和」) | $\operatorname{ht}\mathfrak p+\dim A/\mathfrak p=\dim A$(左辺は $0+1$、右辺は $2$) |
3 行目の環は体上の有限生成代数の局所化なので鎖状であり、整域でないことだけで式が破れている。
鎖状環の定義、鎖状な Noether 局所整域で $\operatorname{ht}\mathfrak p+\dim A/\mathfrak p=\dim A$ が成り立つこと、最初の非鎖状 Noether 環が 1956 年の永田によることは Mat89 §5(p. 31)にあり、逆向きの Ratliff の定理は同書 Theorem 31.4(p. 250)にある。Stacks Tag 02JE は、形式的冪級数から作った半局所環 $B$ について $k+\operatorname{rad}(B)$ をとる同じ型の貼り合わせで、次元 $2$ の普遍鎖状でない局所整域と、その上の多項式環の局所化として非鎖状な局所環を与えている($B$ の性質の確認は省略されている)。この記事の $A$ は、$B$ を多項式環の局所化からとり、剰余体の違いを $\sigma$ で吸収することで、すべての確認を初等的に行える形にしたものである。
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