局所可積分関数(locally integrable function)とは、開集合 $\Omega\subset\mathbb{R}^n$ 上の可測関数 $u$ で、$\Omega$ に含まれる各コンパクト集合の上で $|u|$ の積分が有限になるものであり、全体で積分できなくてもよく、定数関数や $|x|^{-a}$($a<n$)が例である。局所可積分性は各点の近くだけで決まり、局所 $L^p$ 空間 $L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ は各コンパクト集合の上の $L^p$ ノルムで Fréchet 空間になるが、ノルムでは書けない。$1\le p<\infty$ では台がコンパクトな滑らかな関数が稠密である。試験関数との積分で関数が決まるので超関数とみなせ、超関数・弱微分・軟化の理論の出発点になる。
前提知識: Lebesgue積分, Lp空間, Lebesgue測度
定数関数 $1$ は $\mathbb{R}$ 全体では積分が発散するが、どの有界区間の上でも積分できる。関数 $1/\sqrt{|x|}$ は原点で有界でないが、原点を含む有界区間の上でも積分は有限である。局所可積分関数(locally integrable function)は、このように「全体では積分できなくても、コンパクト集合の上ではいつも積分できる」関数である。
この条件は、関数を試験関数と掛けて積分する操作にちょうど必要な強さである。台がコンパクトな連続関数 $\varphi$ との積 $u\varphi$ は、$u$ が局所可積分なら必ず可積分になる。そのため局所可積分関数は、超関数・弱微分・軟化子 による平滑化など、関数を積分を通して扱う理論の出発点になる。
この記事では、局所可積分関数と局所 $L^p$ 空間を定義し、局所可積分性が各点の近くだけで決まること、冪関数 $|x|^{-a}$ が局所可積分になる条件、局所 $L^p$ 空間が可算個の半ノルムで Fréchet 空間になりノルムでは書けないこと、台がコンパクトな滑らかな関数が稠密であることを証明する。試験関数との積分で関数が決まることは所在とともに述べ、ほとんどすべての点が Lebesgue 点であることは Lebesgueの微分定理 から導く。
以下、$\Omega\subset\mathbb{R}^n$($n\ge1$)は空でない開集合、関数は実数値または複素数値で Lebesgue 可測とし、Lebesgue 測度を $|E|$ で表す。
$\Omega$ 上の可測関数 $u$ が 局所可積分 であるとは、$\Omega$ に含まれる各コンパクト集合 $K$ について $\int_K|u|\,dx< \infty$ となることをいう。ほとんど至る所一致する関数を同一視した局所可積分関数の全体を $L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ と書く。
より一般に $1\le p\le\infty$ について、各コンパクト集合 $K\subset\Omega$ で $u\mathbf 1_K\in L^p(\Omega)$ となる $u$ の全体を $L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ と書く($\mathbf 1_K$ は $K$ の指示関数)。
「局所」は「各コンパクト集合の上で」の意味である。$\Omega$ そのものはコンパクトでない(コンパクトなら閉集合でもあるが、$\mathbb{R}^n$ は連結なので、空でなく開かつ閉な集合は $\mathbb{R}^n$ 全体で、有界でない)ので、$L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ は一般に $L^1(\Omega)$ より大きい。
コンパクト集合を 1 つずつ調べなくても、増大する列で足りる。$\Omega\ne\mathbb{R}^n$ なら
$$
K_j:=\bigl\{x\in\Omega\ \big|\ |x|\le j,\ \operatorname{dist}(x,\mathbb{R}^n\setminus\Omega)\ge\tfrac1j\bigr\}\qquad(j=1,2,\dots)
$$
とおき、$\Omega=\mathbb{R}^n$ なら距離の条件を外して $K_j:=\{|x|\le j\}$ とおく。
$K_j$ はコンパクトで、$K_j$ は $K_{j+1}$ の内部に含まれ、$\bigcup_jK_j=\Omega$ である。さらに、$\Omega$ に含まれるコンパクト集合はどれも、ある $K_j$ に含まれる。
$\Omega\ne\mathbb{R}^n$ とする($\Omega=\mathbb{R}^n$ でも同じ議論で、距離の部分を除けばよい)。$x\mapsto\operatorname{dist}(x,\mathbb{R}^n\setminus\Omega)$ は連続なので $K_j$ は有界閉集合で、コンパクトである。$x\in K_j$ と $0< r\le\min\bigl(1,\frac1j-\frac1{j+1}\bigr)$ をとると、$|y-x|< r$ なら $|y|< j+1$、$\operatorname{dist}(y,\mathbb{R}^n\setminus\Omega)>\frac1j-r\ge\frac1{j+1}$ なので $y\in K_{j+1}$ である。よって $K_j$ は $K_{j+1}$ の内部 $\operatorname{int}K_{j+1}$ に含まれる。$x\in\Omega$ は開集合の点なので境界までの距離が正で、$j$ を大きくとれば $x\in K_j$ である。最後に、コンパクト集合 $K\subset\Omega$ は開集合の増大列 $\operatorname{int}K_{j+1}$($j\ge1$)で覆われるので、有限個で覆え、その中で最大の番号の 1 つに含まれる。$\square$
可測関数 $u$ について、次は同値である。
1 ⇒ 2:$\overline B(x,r)\subset\Omega$ となる $r>0$ をとり、$U_x:=B(x,r)$ とすれば $\int_{U_x}|u|\le\int_{\overline B(x,r)}|u|< \infty$ である。2 ⇒ 1:コンパクト集合 $K$ は有限個の $U_{x_1},\dots,U_{x_m}$ で覆えるので、$\int_K|u|\le\sum_i\int_{U_{x_i}}|u|< \infty$ である。1 ⇒ 3 は $K_j$ がコンパクトなので明らかで、3 ⇒ 1 は lem-li-exhaustion の最後の主張による。$L^p$ の場合も、$\|u\mathbf 1_{K}\|_p\le\sum_i\|u\mathbf 1_{U_{x_i}}\|_p$ などとして同じである。$\square$
2 から、局所可積分性は局所的な性質である。$\Omega$ が開集合の族 $(\Omega_\alpha)$ の和集合で、各 $\Omega_\alpha$ の上で $u$ が局所可積分なら、$u$ は $\Omega$ の上で局所可積分である。
$1\le p\le q\le\infty$ とする。$L^q(\Omega)\subset L^q_{\mathrm{loc}}(\Omega)\subset L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)\subset L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ であり、コンパクト集合 $K\subset\Omega$ について $\|u\mathbf 1_K\|_p\le|K|^{\frac1p-\frac1q}\|u\mathbf 1_K\|_q$ である。$\Omega$ 上の連続関数は $L^\infty_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ に属し、とくに局所可積分である。
最初の包含は $\|u\mathbf 1_K\|_q\le\|u\|_q$ による。コンパクト集合は有界なので $|K|< \infty$ であり、有限測度空間 $K$ に Lp空間 の命題「有限測度空間での包含」を当てると不等式を得て、残りの包含が従う。連続関数はコンパクト集合の上で有界なので $L^\infty_{\mathrm{loc}}$ に属する。$\square$
局所可積分だが可積分でない関数は多い。定数関数 $1$ は $L^1_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R}^n)$ に属するが $L^1(\mathbb{R}^n)$ には属さない。$e^{|x|}$ や多項式のように無限遠で大きくなる連続関数も同様である。局所可積分性を損なうのは、有界な範囲での特異性だけである。その典型が冪関数である。
$a\in\mathbb{R}$、$1\le p< \infty$ とし、$x\ne0$ で $u(x):=|x|^{-a}$ とおく(原点での値は任意)。
2:コンパクト集合 $K\subset\mathbb{R}^n\setminus\{0\}$ の上で $|x|$ は正の最小値 $\delta$ と最大値 $R$ をとるので、$u\le\max(\delta^{-a},R^{-a})$ である。
1:$u^p=|x|^{-ap}$ なので $p=1$、指数を $b:=ap$ として示せばよい。$b\le0$ なら $u^p$ は有界集合の上で有界なので局所可積分であり、$b\le0< n$ である。$b>0$ とする。コンパクト集合は原点中心のある閉球に入り、閉球から単位閉球 $\overline B:=\{|x|\le1\}$ を除いた部分では $|x|\ge1$ なので $|x|^{-b}\le1$ である。よって局所可積分性は $\int_{0<|x|\le1}|x|^{-b}dx< \infty$ と同値である。
$k\ge0$ について殻 $S_k:=\{2^{-k-1}<|x|\le2^{-k}\}$ をとる。Lebesgue 測度は $x\mapsto rx$ で $r^n$ 倍になる(Lebesgue測度 の注意「$\mathbb{R}^n$ の Lebesgue 測度の性質」)ので、$|S_k|=(1-2^{-n})\,2^{-kn}|\overline B|$ である。$S_k$ の上では $2^{kb}\le|x|^{-b}<2^{(k+1)b}$ なので
$$
c\,2^{k(b-n)}\le\int_{S_k}|x|^{-b}dx\le2^b\,c\,2^{k(b-n)},\qquad c:=(1-2^{-n})|\overline B|>0
$$
である。$\{0<|x|\le1\}$ は $S_k$($k\ge0$)の互いに交わらない和なので、積分はこれらの和に等しく、等比級数 $\sum_k2^{k(b-n)}$ が収束すること、すなわち $b< n$ と同値である。$\square$
$n=1$ では $|x|^{-1/2}$ は局所可積分で、$1/|x|$ は局所可積分でない。$p>1$ なら $L^p_{\mathrm{loc}}$ は $L^1_{\mathrm{loc}}$ より真に小さい。$\frac np\le a< n$ の $|x|^{-a}$ は $L^1_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R}^n)$ に属するが $L^p_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R}^n)$ に属さない。
$L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ には、各コンパクト集合の上の $L^p$ ノルムで測る自然な収束がある。lem-li-exhaustion の $K_j$ を使って、$u\in L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ に対し
$$
q_j(u):=\|u\mathbf 1_{K_j}\|_{L^p(\Omega)}\qquad(j=1,2,\dots)
$$
とおく。$q_j$ は半ノルムで、$K_j\subset K_{j+1}$ から $q_1\le q_2\le\cdots$ である。
$1\le p\le\infty$ とする。
1:すべての $j$ で $q_j(u)=0$ なら、各 $K_j$ の上でほとんど至る所 $u=0$ で、$\bigcup_jK_j=\Omega$ なのでほとんど至る所 $u=0$ である。Fréchet空間 の定理「可算個の半ノルムと距離」の 1 により、この位相は距離 $d$ で与えられ、点列の収束は各 $q_j$ での収束と同じである。コンパクト集合 $K$ はある $K_j$ に含まれる(lem-li-exhaustion)ので、各 $q_j$ での収束はすべての $K$ での収束と同値である。
2:局所凸で距離化可能なので、完備性を示せばよい。同じ定理の 2 により、$(u_k)$ が Cauchy 列であることは、各 $j$ で $q_j(u_k-u_l)\to0$($k,l\to\infty$)となることである。$L^p(K_j)$ は完備なので(Lp空間 の定理「$L^p$ 空間の完備性(Riesz–Fischer)」)、$u_k\mathbf 1_{K_j}$ は $L^p(K_j)$ のある $v_j$ に収束する。$K_j\subset K_{j+1}$ の上では $u_k\mathbf 1_{K_{j+1}}$ を $K_j$ に制限したものが $u_k\mathbf 1_{K_j}$ なので、$K_j$ の上でほとんど至る所 $v_{j+1}=v_j$ である。そこで $K_j\setminus K_{j-1}$ の上で $u:=v_j$($K_0:=\emptyset$)とおくと、各 $K_j$ の上でほとんど至る所 $u=v_j$ であり、$u\in L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$、すべての $j$ で $q_j(u_k-u)\to0$ である。よって $u_k\to u$ である。
3:Fréchet空間 の定理「ノルム化可能性の判定」により、ある $\ell$ があってすべての $m$ で $q_m\le C_mq_\ell$ となる定数 $C_m$ があることを否定すればよい。$\ell$ を固定する。$\Omega$ はコンパクトでないので $\Omega\setminus K_\ell$ は空でない開集合であり、閉球 $\overline B\subset\Omega\setminus K_\ell$ がとれる。$\overline B$ はある $K_m$ に含まれる。$u:=\mathbf 1_{\overline B}$ とすると $q_\ell(u)=0$、$q_m(u)>0$ なので、$q_m\le C_mq_\ell$ はどの $C_m$ でも成り立たない。$\square$
1 から、位相は取り尽くしの列 $(K_j)$ の選び方によらない。$p=1$ のとき、この位相での収束を $L^1_{\mathrm{loc}}$ 収束 という。$L^1(\Omega)$ での収束は $L^1_{\mathrm{loc}}$ 収束を導くが、逆は成り立たない($\mathbf 1_{[k,k+1]}$ は $L^1_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R})$ で $0$ に収束するが、$L^1$ ノルムは $1$ のまま)。
$u\in L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ と、台がコンパクトな有界可測関数 $\varphi$(たとえば台がコンパクトな連続関数)について、$\varphi$ の台を含むコンパクト集合 $K$ をとると $|u\varphi|\le(\sup|\varphi|)\,|u|\mathbf 1_K$ なので、$\int_\Omega u\varphi\,dx$ は有限の値として定まる。局所可積分性は、この積分がすべての試験関数 $\varphi\in C_c^\infty(\Omega)$ について意味をもつための自然な条件である。逆に、可測関数 $u$ で、$0$ 以上のすべての $\varphi\in C_c(\Omega)$ について $\int|u|\varphi< \infty$ となるものは局所可積分である(各 $K_j$ の上で $1$、台が $K_{j+1}$ に入る連続関数 $\varphi_j$ がとれる)。
試験関数との積分は $u$ を決める。$u,v\in L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ がすべての $\varphi\in C_c^\infty(\Omega)$ について $\int u\varphi=\int v\varphi$ を満たせば、ほとんど至る所 $u=v$ である。これは 変分法の基本補題 の定理「変分法の基本補題」とその系「積分による関数の決定」で証明されている。したがって $u$ に超関数 $T_u\colon\varphi\mapsto\int u\varphi$ を対応させる写像 $L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)\to\mathcal D'(\Omega)$ は単射であり(超関数 の命題「局所可積分関数の埋め込みは単射」)、局所可積分関数は超関数の一種とみなせる。この埋め込みは全射でない。Dirac のデルタ $\delta_0$ は、どの局所可積分関数の $T_u$ とも一致しない(超関数 の例「反例:Diracのデルタは局所可積分関数ではない」)。
$1\le p< \infty$ なら、局所 $L^p$ 関数は滑らかな関数でいくらでも近似できる。軟化子 の定理「軟化による近似」の 3 は、$u\in L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ の軟化 $u_\varepsilon$ が、各コンパクト集合の上で $L^p$ の意味で $u$ に近づくことを示している。台がコンパクトな関数に限っても近似できる。
$1\le p< \infty$ とする。$C_c^\infty(\Omega)$ は thm-li-frechet の位相で $L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ の中で稠密である。すなわち、各 $u\in L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ に対し $\varphi_k\in C_c^\infty(\Omega)$ があって、すべてのコンパクト集合 $K\subset\Omega$ で $\|(\varphi_k-u)\mathbf 1_K\|_p\to0$ となる。
$k\ge1$ について $w_k:=u\mathbf 1_{K_{k+1}}$ は $L^p(\Omega)$ に属する。軟化子 の系「滑らかな関数の稠密性」により、$\|\varphi_k-w_k\|_{L^p(\Omega)}< \frac1k$ となる $\varphi_k\in C_c^\infty(\Omega)$ がある。$j\le k+1$ なら $K_j$ の上で $w_k=u$ なので、$q_j(\varphi_k-u)=\|(\varphi_k-w_k)\mathbf 1_{K_j}\|_p< \frac1k$ である。$j$ を固定して $k\to\infty$ とすれば $q_j(\varphi_k-u)\to0$ であり、thm-li-frechet の 1 から主張が従う。$\square$
$p=\infty$ では成り立たない。$u=\mathbf 1_{(0,\infty)}$ は $L^\infty_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R})$ に属するが、連続関数 $\varphi$ について $\|(\varphi-u)\mathbf 1_{[-1,1]}\|_\infty\ge\frac12$ である(下の ex-li-infinity)。
局所可積分関数は、ほとんどすべての点で、まわりの平均の極限として値が決まる。
$u\in L^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ とする。ほとんどすべての $x\in\Omega$ で
$$
\lim_{r\to+0}\frac1{|B(x,r)|}\int_{B(x,r)}|u(y)-u(x)|\,dy=0
$$
が成り立つ。この等式が成り立つ点 $x$ を $u$ の Lebesgue 点 という。
$\Omega=\mathbb{R}^n$ の場合は Lebesgueの微分定理 の定理「Lebesgue の微分定理」であり、極大不等式を使った証明がその記事にある。一般の開集合 $\Omega$ の場合は、$\Omega=\mathbb{R}^n$ の場合から次のように従う。$u\mathbf 1_{K_{j+1}}$($\Omega$ の外で $0$ とおく)は $L^1(\mathbb{R}^n)$ に属するので、ほとんどすべての $x\in\mathbb{R}^n$ で等式を満たす。$x\in K_j$ なら $K_j\subset\operatorname{int}K_{j+1}$ から、小さい $r$ で $B(x,r)\subset K_{j+1}$ となり、そこでは $u\mathbf 1_{K_{j+1}}=u$ である。よって $K_j$ のほとんどすべての点で等式が成り立ち、$j$ についての可算個の零集合を合わせればよい。$\square$
とくに、Lebesgue 点では $\frac1{|B(x,r)|}\int_{B(x,r)}u\to u(x)$ である。ほとんど至る所等しい関数は同じ平均をもつので、この極限は $L^1_{\mathrm{loc}}$ の元から「代表」を選ぶ一つの方法を与える。すべての点で成り立つとは限らない(Hardy–Littlewoodの極大関数 の例「反例:すべての点では成り立たない」)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 全体での可積分性(コンパクト集合の上だけにする) | $\mathbb{R}^n$ 上の定数関数 $1$ | $L^1(\mathbb{R}^n)$ に属すること |
| 特異点を定義域から除くこと | $1/x$($\mathbb{R}\setminus\{0\}$ と $\mathbb{R}$) | $\mathbb{R}$ の上での局所可積分性 |
| prop-li-power の $a< n$ | $\lvert x\rvert^{-n}$ | 原点の近傍での可積分性 |
| 相手の関数の有界性 | $u=\varphi=\lvert x\rvert^{-1/2}$($\mathbb{R}$、$\varphi$ の台を $[-1,1]$ に切る) | 積 $u\varphi$ が局所可積分であること |
| thm-li-density の $p< \infty$ | $\mathbf 1_{(0,\infty)}\in L^\infty_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R})$ | 連続関数による近似 |
1 行目の定数関数は thm-li-frechet の位相では何の問題もない元であり、局所可積分性は無限遠でのふるまいを気にしない。2 行目の $1/x$ は $\mathbb{R}\setminus\{0\}$ のコンパクト集合の上では有界だが(prop-li-power の 2)、$[-1,1]$ の上の積分は発散する。局所可積分性は関数だけでなく定義域にもよる。4 行目は、局所可積分関数の全体が積で閉じないことを示す。$|x|^{-1/2}$ は局所可積分だが、その 2 乗 $1/|x|$ は局所可積分でない。
$u=\mathbf 1_{(0,\infty)}$ とし、$\varphi$ を $\mathbb{R}$ 上の連続関数とする。$\|(\varphi-u)\mathbf 1_{[-1,1]}\|_\infty=:\eta< \frac12$ と仮定すると、ほとんどすべての $x\in(0,1)$ で $|\varphi(x)-1|\le\eta$、ほとんどすべての $x\in(-1,0)$ で $|\varphi(x)|\le\eta$ である。零集合の補集合は稠密なので、連続性からこれらは $(0,1)$ と $(-1,0)$ のすべての点で成り立ち、$x\to0$ として $|\varphi(0)-1|\le\eta$ かつ $|\varphi(0)|\le\eta$ となる。すると $1\le|\varphi(0)-1|+|\varphi(0)|\le2\eta< 1$ となって矛盾する。満たす性質は $u\in L^\infty_{\mathrm{loc}}(\mathbb{R})$、満たさない性質は $p< \infty$ であり、thm-li-density の結論が成り立たない。
$L^p_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ の定義と $L^p_{\mathrm{loc}}\subset L^1_{\mathrm{loc}}$ は Bre11 §4.4 の Definition(p. 106)、局所可積分関数の定義と $\mathbb{R}^n$ の Lebesgue 点の定理は Bass24 §14.1(p. 123)と Theorem 14.4(p. 126)にある。台がコンパクトな連続関数との積分による決定は Bre11 Corollary 4.24(pp. 110–111)にあり、その証明は試験関数を $C_c^\infty(\Omega)$ に限っても同じく通る。冪関数の判定、取り尽くしの列、Fréchet 空間であることとノルムで書けないこと、稠密性の証明は、上の各節にある。
局所可積分関数は、局所有限な測度 $|u|\,dx$ の密度とみることもできる。$u\ge0$ なら $\mu(E):=\int_Eu\,dx$ はコンパクト集合の上で有限な Borel 測度で、Lebesgue 測度に関して絶対連続である。逆に、コンパクト集合の上で有限で Lebesgue 測度に関して絶対連続な測度は、Radon–Nikodymの定理 によりこの形に書ける。
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