j不変量(j-invariant)とは、体 $k$ 上の楕円曲線を表す Weierstrass 方程式の係数から作られる量 $j=c_4^3/\Delta$ のことで、標数が $2,3$ 以外なら $y^2=x^3+Ax+B$ に対して $j=1728\cdot4A^3/(4A^3+27B^2)$ である。座標の取り替えで $c_4$ は $u^{-4}$ 倍、判別式 $\Delta$ は $u^{-12}$ 倍されるので、$j$ はどの標数でも楕円曲線の同型類だけで決まり、逆に代数閉体上では $j$ が等しい楕円曲線は同型で、体のどの元も $j$ の値として現れる。代数閉体でない体の上では 2 次の捩りのように $j$ が等しくても同型でない曲線があり、複素数体上では $j$ は上半平面上のモジュラー関数 $j(\tau)$ になる。
楕円曲線 は、体 $k$ 上の Weierstrass 方程式 $y^2+a_1xy+a_3y=x^3+a_2x^2+a_4x+a_6$ で表せるが、同じ楕円曲線を表す方程式は一つではない。座標を取り替えれば係数はいくらでも変わる。$j$ 不変量 は、係数から作られる一つの数 $j=c_4^3/\Delta$ で、座標の取り替えで変わらない。しかも、係数を代数閉体まで広げて考えれば、$j$ の値が等しい楕円曲線どうしは必ず同型になる。つまり代数閉体上の楕円曲線の同型類は、体の元 $j$ ひとつで過不足なく番号づけられる。
この記事では、$j$ が座標の取り替えで変わらないこと(thm-jinv-invariance)と、代数閉体上で $j$ が同型類を分類し体のどの元も $j$ として現れること(thm-jinv-classification)を、標数 $2,3$ を含めて証明する。標数が $2,3$ 以外の分類は 楕円曲線 の記事の命題「$j$ 不変量による分類」にもある。あわせて、代数閉体でない体の上の捩りと、複素数体上の関数 $j(\tau)$ を述べる。
以下、$k$ は体とする。Weierstrass 方程式や楕円曲線の定義は 楕円曲線 の記事の定義「Weierstrass方程式と判別式・$j$ 不変量」と同じである。必要な量をここにまとめる。
$k$ 上の Weierstrass 方程式
$$
E:\ y^2+a_1xy+a_3y=x^3+a_2x^2+a_4x+a_6\qquad(a_i\in k)
$$
に対し、次の量を定める。
$$
\begin{aligned}
b_2&=a_1^2+4a_2,\quad b_4=2a_4+a_1a_3,\quad b_6=a_3^2+4a_6,\\
b_8&=a_1^2a_6+4a_2a_6-a_1a_3a_4+a_2a_3^2-a_4^2,\\
c_4&=b_2^2-24b_4,\qquad \Delta=-b_2^2b_8-8b_4^3-27b_6^2+9b_2b_4b_6 .
\end{aligned}
$$
$\Delta$ を判別式という。$\Delta\neq0$ のとき
$$
j:=\frac{c_4^3}{\Delta}\in k
$$
を方程式の $j$ 不変量($j$-invariant)という。
Weierstrass 方程式の定める射影平面の 3 次曲線が滑らかであることと $\Delta\ne0$ とは同値であり、このとき無限遠点 $O=[0:1:0]$ を基点として楕円曲線になる(楕円曲線 の記事の命題「滑らかさと判別式」)。
$u\in k^\times$、$r,s,t\in k$ に対し、
$$
x=u^2x'+r,\qquad y=u^3y'+su^2x'+t
$$
を Weierstrass 方程式に代入し、全体を $u^6$ で割ると、$x',y'$ についての Weierstrass 方程式
$$
E':\ y'^2+a_1'x'y'+a_3'y'=x'^3+a_2'x'^2+a_4'x'+a_6'
$$
が得られる($y'^2$ と $x'^3$ の係数はともに $1$ になる)。この操作を座標の取り替え $(u,r,s,t)$ という。$(x,y)\mapsto(x',y')$ は射影平面の線形変換から来ており、$E$ の点を $E'$ の点に移し、無限遠点 $O$ を $O$ に移す。
楕円曲線 の記事の定理「Weierstrass 形の存在と一意性」により、楕円曲線 $(E,O)$ はつねに Weierstrass 方程式で表され、同じ楕円曲線を表す 2 つの Weierstrass 方程式は座標の取り替えで移り合う。さらに、2 つの楕円曲線の間の同型(基点を基点に移す曲線の同型)は、それぞれの Weierstrass 方程式の間の座標の取り替えで与えられる。そこで、座標の取り替えで $j$ が変わらないか、$j$ が等しい 2 つの方程式は座標の取り替えで移り合うか、が問題になる。前者は任意の体で成り立ち(thm-jinv-invariance)、後者は代数閉体なら成り立つが(thm-jinv-classification)、一般の体では成り立たない(ex-jinv-twist)。
$k$ を代数閉体とする(標数は任意)。
$j(E)$ は $E$ を表す Weierstrass 方程式の $j$ 不変量で、方程式の選び方によらない(def-jinv-of-curve)。1 の「同型なら $j$ が等しい」は thm-jinv-invariance から従う。逆向きと 2 は、方程式を標数ごとの標準形(prop-jinv-normal-forms)に直してから prf-jinv-classification で示す。
拡大縮小 $x=u^2x'$、$y=u^3y'$ で係数 $a_i$ は $u^{-i}$ 倍され、係数に「重さ」$i$ がつく。$c_4$ は重さ $4$、$\Delta$ は重さ $12$ なので、$c_4^3$ と $\Delta$ はどちらも $u^{-12}$ 倍され、比は変わらない。平行移動では $c_4$ も $\Delta$ も変わらない。
標数が $2,3$ でなければ方程式は $y^2=x^3+Ax+B$ に直せて、残る自由度は $(A,B)\mapsto(u^{-4}A,u^{-6}B)$ だけになる。$j$ は重さの比 $A^3/B^2$ を $B=0$ でも意味をもつように書き直したものである。代数閉体上では $u^4$ や $u^6$ を好きな値にできるので重さの比だけが残り、代数閉体でなければ $u$ の選び方が限られて $j$ だけでは足りなくなる。
証明の鍵は、$y$ について「平方完成」した式である。標数 $2$ では $2$ で割れないので、割り算を使わない形で書く。
Weierstrass 方程式の左辺から右辺を引いたものを $F(x,y)=y^2+a_1xy+a_3y-(x^3+a_2x^2+a_4x+a_6)$ とし、
$$
\eta:=2y+a_1x+a_3,\qquad g(x):=4x^3+b_2x^2+2b_4x+b_6
$$
とおく。このとき多項式として $\eta^2-g(x)=4F(x,y)$ が成り立つ。さらに $4b_8=b_2b_6-b_4^2$ である。
$(2y+a_1x+a_3)^2=4(y^2+a_1xy+a_3y)+(a_1x+a_3)^2$ を展開して比べる。
$(2y+a_1x+a_3)^2=4(y^2+a_1xy+a_3y)+(a_1x+a_3)^2$ であり、$$4(x^3+a_2x^2+a_4x+a_6)+(a_1x+a_3)^2=4x^3+(a_1^2+4a_2)x^2+(4a_4+2a_1a_3)x+(a_3^2+4a_6)=g(x)$$なので、$\eta^2-g(x)=4(y^2+a_1xy+a_3y)-4(x^3+a_2x^2+a_4x+a_6)=4F$ である。後半は展開して$$b_2b_6-b_4^2=(a_1^2+4a_2)(a_3^2+4a_6)-(2a_4+a_1a_3)^2=4(a_1^2a_6+4a_2a_6+a_2a_3^2-a_4^2-a_1a_3a_4)=4b_8$$となる($a_1^2a_3^2$ の項が打ち消し合う)。$\square$
係数 $a_i$ が標数 $0$ の体 $K$ にあるとし、$K$ の代数閉包で $g(x)=4(x-e_1)(x-e_2)(x-e_3)$ と分解する。このとき
$$
c_4=8\bigl((e_1-e_2)^2+(e_1-e_3)^2+(e_2-e_3)^2\bigr),\qquad \Delta=16\,(e_1-e_2)^2(e_1-e_3)^2(e_2-e_3)^2
$$
である。
根と係数の関係で $p=b_2/4$、$q=b_4/2$、$r_0=b_6/4$ を根で表し、3 次式の判別式の公式に代入する。
$g(x)=4(x^3+px^2+qx+r_0)$、$p=b_2/4$、$q=b_4/2$、$r_0=b_6/4$ とおく。根と係数の関係から $e_1+e_2+e_3=-p$、$e_1e_2+e_1e_3+e_2e_3=q$ で、$$\textstyle\sum_{i< j}(e_i-e_j)^2=2(e_1+e_2+e_3)^2-6\sum_{i< j}e_ie_j=2(p^2-3q)$$である。一方 $16(p^2-3q)=b_2^2-24b_4=c_4$ なので、1 つ目の式が従う。
2 つ目には、モニックな 3 次式の判別式の公式(判別式(多項式))$$\textstyle\prod_{i< j}(e_i-e_j)^2=p^2q^2-4q^3-4p^3r_0-27r_0^2+18pqr_0$$を使う。右辺に $p,q,r_0$ を代入して $16$ 倍すると$$\frac{b_2^2b_4^2}{4}-8b_4^3-\frac{b_2^3b_6}{4}-27b_6^2+9b_2b_4b_6$$になる。lem-jinv-square の $4b_8=b_2b_6-b_4^2$ より $-b_2^2b_8=-\frac{b_2^3b_6}{4}+\frac{b_2^2b_4^2}{4}$ なので、これは $\Delta$ の定義式に等しい。$\square$
$k$ を任意の体とし、Weierstrass 方程式 $E$ に座標の取り替え $(u,r,s,t)$ を施して $E'$ を得たとする。このとき
$$
u^4c_4'=c_4,\qquad u^{12}\Delta'=\Delta
$$
が成り立つ。とくに $\Delta\ne0$ なら $\Delta'\neq0$ で、$j'=j$ である。
係数の一般的な場合への帰着。 不定元 $A_1,A_2,A_3,A_4,A_6,R,S,T,U$ をとり、整数係数の環 $\mathcal R=\mathbb Z[A_1,\dots,A_6,R,S,T,U,U^{-1}]$ を考える。$\mathcal R$ 上で座標の取り替え $(U,R,S,T)$ を施すと、新しい係数 $A_i'$ は $\mathcal R$ の元である(代入して $U^6$ で割るだけだから)。主張の 2 つの等式は $\mathcal R$ の中の等式として示せば十分である。実際、体 $k$ の元 $a_i,u,r,s,t$($u\ne0$)が与えられると、$A_i\mapsto a_i$、$U\mapsto u$ などで定まる環準同型 $\mathcal R\to k$ があり、$A_i'$ は $a_i'$ に、$\mathcal R$ の中の等式は $k$ の中の等式に移る。$\mathcal R$ は整域で、その商体 $K$ は標数 $0$ である。以下 $K$ の代数閉包の中で計算する。
$g$ の変わり方。 $x=U^2x'+R$、$y=U^3y'+SU^2x'+T$ を $\eta=2y+A_1x+A_3$ に代入すると
$$
\eta=2U^3y'+(2S+A_1)U^2x'+(2T+A_1R+A_3)
$$
である。一方、$F(x,y)$ に代入したものを展開すると、$x'y'$ の係数は $U^5(2S+A_1)$、$y'$ の係数は $U^3(2T+A_1R+A_3)$ なので、$A_1'=(A_1+2S)/U$、$A_3'=(A_3+A_1R+2T)/U^3$ であり、$\eta=U^3\eta'$($\eta'=2y'+A_1'x'+A_3'$)を得る。$F(x,y)=U^6F'(x',y')$ と lem-jinv-square を $E,E'$ の両方に使うと
$$
U^6\eta'^2-g(U^2x'+R)=\eta^2-g(x)=4F=4U^6F'=U^6\bigl(\eta'^2-g'(x')\bigr)
$$
となり、$g'(x')=U^{-6}g(U^2x'+R)$ を得る。$g(x)=4\prod_i(x-e_i)$ なら
$$
g'(x')=4U^{-6}\prod_{i=1}^3(U^2x'+R-e_i)=4\prod_{i=1}^3\Bigl(x'-\frac{e_i-R}{U^2}\Bigr)
$$
なので、$g'$ の根は $e_i'=(e_i-R)/U^2$ である。
結論。 根の差は $e_i'-e_j'=(e_i-e_j)/U^2$ となる。lem-jinv-roots により $c_4'=U^{-4}c_4$、$\Delta'=U^{-12}\Delta$ である。これを任意の体 $k$ へ移せば主張の等式を得る。$\Delta\ne0$ なら $\Delta'=u^{-12}\Delta\ne0$ で、$j'=c_4'^3/\Delta'=u^{-12}c_4^3/(u^{-12}\Delta)=j$ である。$\square$
体 $k$ 上の楕円曲線 $(E,O)$ に対し、$E$ を表す Weierstrass 方程式を 1 つとってその $j$ 不変量を $j(E)$ と書き、楕円曲線 $E$ の $j$ 不変量 という。
$E$ を表す 2 つの Weierstrass 方程式は座標の取り替えで移り合う(楕円曲線 の記事の定理「Weierstrass 形の存在と一意性」の 2)ので、thm-jinv-invariance により $j(E)$ は方程式の選び方によらない。同じ理由で、$k$ 上同型な楕円曲線は等しい $j$ 不変量をもつ。$j$ の値は $k$ の元であり、$k$ の拡大体 $L$ の上で考えても変わらない。したがって、$L$ 上で同型になる 2 つの楕円曲線も $j$ が等しい。
まず、任意の体の上で、座標の取り替えによって方程式を標数ごとの簡単な形に直す。
$k$ を体、$E$ を $\Delta\ne0$ の Weierstrass 方程式とする。$k$ の元を係数とする座標の取り替えで、$E$ を次の形に直せる。
| 標数 | 場合 | 標準形 | $\Delta$ | $j$ |
|---|---|---|---|---|
| $2,3$ 以外 | すべて | $y^2=x^3+Ax+B$ | $-16(4A^3+27B^2)$ | $1728\cdot\dfrac{4A^3}{4A^3+27B^2}$ |
| $3$ | $j\neq0$ | $y^2=x^3+a_2x^2+a_6$ | $-a_2^3a_6$ | $-a_2^3/a_6$ |
| $3$ | $j=0$ | $y^2=x^3+a_4x+a_6$ | $-a_4^3$ | $0$ |
| $2$ | $j\neq0$ | $y^2+xy=x^3+a_2x^2+a_6$ | $a_6$ | $1/a_6$ |
| $2$ | $j=0$ | $y^2+a_3y=x^3+a_4x+a_6$ | $a_3^4$ | $0$ |
標数が $2,3$ 以外では平方完成と平行移動、標数 $3$ では平方完成のあと $x$ の 1 次の項を消し、標数 $2$ では $a_1$ が $0$ かどうかで分けて $u,r,s,t$ を順に選ぶ。
標数が $2,3$ 以外: $y=y'-(a_1x+a_3)/2$ で $a_1=a_3=0$ とし、次に $x=x'-a_2/3$ で $x^2$ の項を消す。$a_1=a_2=a_3=0$、$a_4=A$、$a_6=B$ では $b_2=0$、$b_4=2A$、$b_6=4B$、$b_8=-A^2$、$c_4=-48A$ で、$\Delta=-8(2A)^3-27(4B)^2=-16(4A^3+27B^2)$、$j=(-48A)^3/\Delta=1728\cdot4A^3/(4A^3+27B^2)$ である。
標数 $3$: $2$ は可逆なので、同じく $y$ を取り替えて $y^2=x^3+a_2x^2+a_4x+a_6$ にする。このとき $b_2=4a_2$、$b_4=2a_4$、$b_6=4a_6$、$b_8=4a_2a_6-a_4^2$ で、$3=0$ を使うと $c_4=b_2^2-24b_4=a_2^2$、$$\Delta=-16a_2^2(4a_2a_6-a_4^2)-64a_4^3-432a_6^2+288a_2a_4a_6=a_2^2a_4^2-a_2^3a_6-a_4^3$$である($16\equiv64\equiv1$、$432\equiv288\equiv0$)。よって $j=0$ と $a_2=0$ は同値である。$a_2=0$ ならこれが表の形で、$\Delta=-a_4^3$ である。$a_2\neq0$ なら $x=x'+r$、$r=a_4/a_2$ とおく。$x'$ の 1 次の係数は $3r^2+2a_2r+a_4=2a_4+a_4=3a_4=0$ になるので、$y^2=x^3+a_2x^2+a_6$ の形になり、$\Delta=-a_2^3a_6$、$j=a_2^6/\Delta=-a_2^3/a_6$ である。
標数 $2$: $b_2=a_1^2$ で $24b_4=0$ なので $c_4=a_1^4$、$j=a_1^{12}/\Delta$ であり、$j=0$ と $a_1=0$ は同値である。
$a_1\ne0$ のとき、まず $x=a_1^2x'$、$y=a_1^3y'$ とおくと $a_i$ は $a_i/a_1^i$ に変わり、$a_1=1$ になる。次に $x=x'+a_3$ とおくと、$y$ の 1 次の係数は $a_3+a_1a_3=2a_3=0$ になる(prf-jinv-invariance の $A_3'$ の式で $S=T=0$、$U=1$)。最後に $y=y'+a_4$ とおくと、$(y'+a_4)^2+x(y'+a_4)=y'^2+xy'+a_4x+a_4^2$ なので、$x$ の 1 次の係数は $a_4+a_4=0$ になる。こうして $y^2+xy=x^3+a_2x^2+a_6$ を得る。この形では $b_2=1$、$b_4=b_6=0$、$b_8=a_6$ で、$\Delta=-a_6=a_6$、$c_4=1$、$j=1/a_6$ である。
$a_1=0$ のとき、$x=x'+a_2$ とおくと、$x'^2$ の係数は $3a_2+a_2=4a_2=0$ になり、左辺 $y^2+a_3y$ は変わらない。こうして $y^2+a_3y=x^3+a_4x+a_6$ を得る。$b_2=b_4=0$、$b_6=a_3^2$ なので $\Delta=-27a_3^4=a_3^4$ である。$\square$
$k$ を代数閉体とする。
1 の「同型なら $j$ が等しい」。 def-jinv-of-curve のあとで述べたとおりである。
1 の「$j$ が等しければ同型」。 $E,E'$ を prop-jinv-normal-forms の同じ行の標準形で表し、座標の取り替えで $E$ を $E'$ に移せることを示す。係数をダッシュで区別する。代数閉体なので、$k$ の元の冪根や、$k$ 係数の多項式の根がいつでもとれることを使う。
(i) 標数が $2,3$ 以外。$x=u^2x'$、$y=u^3y'$ で $y^2=x^3+Ax+B$ は $y'^2=x'^3+u^{-4}Ax'+u^{-6}B$ になる。$j$ の式から $j=j'$ は $A^3B'^2=A'^3B^2$ と同値である(分母を払うと $27A^3B'^2=27A'^3B^2$)。$j=0$ なら $A=A'=0$ で $B,B'\ne0$ なので、$u^6=B/B'$ となる $u$ をとればよい。$j=1728$ なら $B=B'=0$ なので $u^4=A/A'$ ととればよい。それ以外では $A,A',B,B'$ はどれも $0$ でない。$u^4=A/A'$ ととると $(u^{-6}B)^2=(A'/A)^3B^2=B'^2$ なので $u^{-6}B=\pm B'$ である。符号が負なら、$i^2=-1$ となる $i\in k$ をとって $u$ を $iu$ に替える。$u^{-4}$ は変わらず $u^{-6}$ の符号だけが変わるので、$u^{-4}A=A'$、$u^{-6}B=B'$ が成り立つ。
(ii) 標数 $3$、$j\ne0$。$x=u^2x'$、$y=u^3y'$ で $a_2,a_6$ は $u^{-2}a_2,u^{-6}a_6$ に変わる。$j=j'$ より $a_2^3a_6'=a_2'^3a_6$ である。$u^2=a_2/a_2'$ ととれば $u^{-2}a_2=a_2'$ で、$u^{-6}a_6=(a_2'/a_2)^3a_6=a_6'$ である。
(iii) 標数 $3$、$j=0$。$x=u^2x'+r$、$y=u^3y'$ を代入すると、標数 $3$ では $(u^2x'+r)^3=u^6x'^3+r^3$ なので
$$
y'^2=x'^3+u^{-4}a_4x'+u^{-6}(r^3+a_4r+a_6)
$$
になる。$a_4,a_4'\ne0$($\Delta\ne0$ より)なので、$u^4=a_4/a_4'$ となる $u$ をとり、次に $r^3+a_4r+a_6-u^6a_6'=0$ の根 $r$ をとればよい。
(iv) 標数 $2$、$j\ne0$。$j=1/a_6$ なので $a_6=a_6'$ である。$y=y'+sx$ を代入すると、$(y'+sx)^2+x(y'+sx)=y'^2+xy'+(s^2+s)x^2$ なので、$a_2$ が $a_2+s^2+s$ に変わる。$s^2+s=a_2+a_2'$ の根 $s$ をとればよい。
(v) 標数 $2$、$j=0$。$a_3\ne0$ なので、$u^3=a_3$ ととって $x=u^2x'$、$y=u^3y'$ とすれば $a_3=1$ にできる。$E'$ も同様にする。そこで $y^2+y=x^3+a_4x+a_6$ が $y^2+y=x^3$ に移ることを示せば、$E$ と $E'$ は $y^2+y=x^3$ を経由して移り合う。$x=x'+s^2$、$y=y'+sx'+t$ を代入すると、標数 $2$ では
$$
y^2+y=y'^2+y'+s^2x'^2+sx'+t^2+t,\qquad x^3=x'^3+s^2x'^2+s^4x'+s^6
$$
なので、$x'^2$ の項が両辺で打ち消し合い、
$$
y'^2+y'=x'^3+(s^4+s+a_4)x'+(s^6+a_4s^2+a_6+t^2+t)
$$
を得る。$s^4+s+a_4=0$ の根 $s$ をとり、次に $t^2+t=s^6+a_4s^2+a_6$ の根 $t$ をとれば $y'^2+y'=x'^3$ になる。
2。 $\mathbb F$ を $k$ の素体とする。$j_0\neq0,1728$ のとき、$m=1/(j_0-1728)$ として
$$
E_{j_0}:\ y^2+xy=x^3-36m\,x-m
$$
をとる。$b_2=1$、$b_4=-72m$、$b_6=-4m$、$b_8=-m-1296m^2$ なので
$$
c_4=1+1728m=j_0m,\qquad \Delta=m+3456m^2+1728^2m^3=m(1+1728m)^2=j_0^2m^3
$$
であり、$\Delta\ne0$、$j=c_4^3/\Delta=j_0$ である。この計算は整数係数の多項式の恒等式なので、どの標数でも成り立つ。標数 $2,3$ では $1728=0$ なので、残りは $j_0=0$ の場合だけである。$j_0=0$(および標数が $2,3$ 以外での $j_0=1728$)には、prop-jinv-normal-forms の表から次の方程式をとればよい。
| 標数 | $j_0$ | 方程式 | $\Delta$ |
|---|---|---|---|
| $2,3$ 以外 | $0$ | $y^2=x^3+1$ | $-432$ |
| $2,3$ 以外 | $1728$ | $y^2=x^3+x$ | $-64$ |
| $3$ | $0$ | $y^2=x^3-x$ | $1$ |
| $2$ | $0$ | $y^2+y=x^3$ | $1$ |
どの方程式も係数は $\mathbb F(j_0)$ にある。$\square$
標数 $2$ と $3$ では $1728=2^6\cdot3^3=0$ なので、$j=0$ と $j=1728$ が一致する。
この節では $k$ の標数を $2,3$ 以外とする。
$E:y^2=x^3+Ax+B$、$E':y^2=x^3+A'x+B'$ を $k$ 上の楕円曲線とする。座標の取り替え $(u,r,s,t)$ が $E$ を $E'$ に移すなら $r=s=t=0$ であり、$A'=u^{-4}A$、$B'=u^{-6}B$ が成り立つ。とくに、$E$ と $E'$ が $k$ 上同型であることは、$A'=u^{-4}A$、$B'=u^{-6}B$ となる $u\in k^\times$ があることと同値である。
$a_1'=2s/u$、$a_3'=2t/u^3$ から $s=t=0$、$x'^2$ の係数 $3r/u^2$ から $r=0$ が従う。
prf-jinv-invariance で求めた式から $a_1'=(a_1+2s)/u=2s/u$、$a_3'=(a_3+a_1r+2t)/u^3=2t/u^3$ である。$a_1'=a_3'=0$ と標数が $2$ でないことから $s=t=0$ を得る。すると $x=u^2x'+r$、$y=u^3y'$ で、$x'^2$ の係数は $(u^2x'+r)^3$ の展開から来る $3ru^4$ を $u^6$ で割ったものなので、標数が $3$ でないことから $r=0$ を得る。残る $x=u^2x'$、$y=u^3y'$ で $A,B$ が $u^{-4}A,u^{-6}B$ に変わる。同型は座標の取り替えで与えられる(楕円曲線 の記事の定理「Weierstrass 形の存在と一意性」の 2)ので、後半が従う。$\square$
$k$ を標数 $2,3$ 以外の代数閉体、$E$ を $k$ 上の楕円曲線とする。$E$ の自己同型(基点を保つ同型 $E\to E$)全体の群 $\operatorname{Aut}(E)$ は、
$$
\operatorname{Aut}(E)\cong\begin{cases}\mu_2=\{\pm1\}&(j(E)\ne0,1728),\\ \mu_4&(j(E)=1728),\\ \mu_6&(j(E)=0)\end{cases}
$$
である。ここで $\mu_n$ は $k$ の $1$ の $n$ 乗根の群で、位数は $n$ である。
lem-jinv-short-change により、自己同型は $u^{-4}A=A$、$u^{-6}B=B$ を満たす $u$ と対応する。
$E:y^2=x^3+Ax+B$ とする。lem-jinv-short-change により、自己同型は $x=u^2x'$、$y=u^3y'$ の形で、$u^{-4}A=A$ かつ $u^{-6}B=B$ を満たす $u$ と一対一に対応し、合成は $u$ の積に対応する。$j=1728\cdot4A^3/(4A^3+27B^2)$ なので、$j\ne0,1728$ は $AB\ne0$、$j=1728$ は $B=0$、$j=0$ は $A=0$ と同値である。$AB\ne0$ なら $u^4=u^6=1$ より $u^2=1$、$B=0$ なら $u^4=1$ だけ、$A=0$ なら $u^6=1$ だけが条件になる。標数が $2,3$ でないので $x^n-1$($n=2,4,6$)は重根をもたず、$\mu_n$ の位数は $n$ である。$\square$
標数 $3$ で $j=0$ のとき $\operatorname{Aut}(E)$ の位数は $12$、標数 $2$ で $j=0$ のときは $24$ である(Sil09 III.10.1、p. 103、と Appendix A の Proposition A.1.2(c)、p. 410)。この記事では証明しない。prf-jinv-classification の (iii) と (v) で、$u$ のほかに $r$ や $s,t$ が自由に動いたことが、自己同型の多さに対応している。
$k$ を標数 $2,3$ 以外の体(代数閉とは限らない)、$E:y^2=x^3+Ax+B$ を $j(E)\neq0,1728$ の楕円曲線とする。$d\in k^\times$ に対し
$$
E^{(d)}:\ y^2=x^3+d^2Ax+d^3B
$$
を $E$ の2 次の捩り(quadratic twist)という。
$d=AB'/(A'B)$ とおけば $E'=E^{(d)}$ となり、2 は lem-jinv-short-change から $d=u^{-2}$ を導く。
$j(E^{(d)})=1728\cdot4d^6A^3/(4d^6A^3+27d^6B^2)=j(E)$ である。
1.$E'$ を短い形 $y^2=x^3+A'x+B'$ で表す。$j\ne0,1728$ なので $A,B,A',B'$ はどれも $0$ でなく、$j(E)=j(E')$ は $A^3B'^2=A'^3B^2$ と同値である(prf-jinv-classification の (i))。$d=AB'/(A'B)\in k^\times$ とおくと$$d^2A=\frac{A^3B'^2}{A'^2B^2}=\frac{A'^3B^2}{A'^2B^2}=A',\qquad d^3B=\frac{A^3B'^3}{A'^3B^2}=\frac{A^3B'^2}{A'^3B^2}\,B'=B'$$なので、$E'$ は $E^{(d)}$ そのものである。
2.lem-jinv-short-change により、$E^{(d)}\cong E$ は $d^2A=u^{-4}A$、$d^3B=u^{-6}B$ となる $u\in k^\times$ の存在と同値で、$AB\ne0$ なので $d^2=u^{-4}$、$d^3=u^{-6}$ と同値である。これが成り立てば $d=d^3/d^2=u^{-2}$ は平方である。逆に $d=w^2$ なら $u=w^{-1}$ が条件を満たす。後半は、$E^{(d')}$ の係数 $(d'^2A,d'^3B)$ に $e=d/d'$ による捩りを施すと $(e^2d'^2A,e^3d'^3B)=(d^2A,d^3B)$ となり、$E^{(d)}=(E^{(d')})^{(e)}$ であることから、前半を $E^{(d')}$ に当てはめればよい。$\square$
$E:y^2=x^3+x+1$ と $E^{(-1)}:y^2=x^3+x-1$ はどちらも $4A^3+27B^2=31$ で、$j=1728\cdot4/31=6912/31$ である。$-1$ は $\mathbb Q$ の平方でないので、prop-jinv-twist の 2 により $\mathbb Q$ 上同型でない。$\mathbb Q(i)$ 上では $u=i$ が $u^{-4}=1$、$u^{-6}=-1$ を満たし、$(x,y)\mapsto(-x,iy)$ が同型を与える。
有限体 $\mathbb F_7$ に係数を落とすと、$-1$ は $\mathbb F_7$ の平方でなく、点の個数(無限遠点を含む)は $\#E(\mathbb F_7)=5$、$\#E^{(-1)}(\mathbb F_7)=11$ と異なるので、$\mathbb F_7$ 上でも同型でない。
$E^{(-1)}$ の affine 点 $(x,y)$ は $(-x,y)$ と置き換えると $y^2=-(x^3+x+1)$ の点と対応する。各 $x\in\mathbb F_7$ について、$f(x)=x^3+x+1$ が $0$ なら両方に 1 点ずつ、$0$ でなければ $f(x)$ と $-f(x)$ のちょうど一方だけが平方で、その側に 2 点ある。よって affine 点は合わせて $2\cdot7$ 個で、無限遠点 2 つを足して $16$ になる。
$\Lambda\subset\mathbb C$ を格子(群)とし、Weierstrassの楕円関数 の記事の定義「Eisenstein級数と不変量」の
$$
g_2(\Lambda)=60\sum_{\omega\in\Lambda\setminus\{0\}}\omega^{-4},\qquad g_3(\Lambda)=140\sum_{\omega\in\Lambda\setminus\{0\}}\omega^{-6}
$$
をとる。同記事の定理「Weierstrassの微分方程式」により $(\wp,\wp')$ は $y^2=4x^3-g_2x-g_3$ を満たし、定理「半周期での値と判別式」により $g_2^3-27g_3^2\neq0$ である。$y=2y''$ とおくとこの方程式は $y''^2=x^3-\frac{g_2}4x-\frac{g_3}4$ になるので、prop-jinv-normal-forms の式で $A=-g_2/4$、$B=-g_3/4$ として
$$
j(\Lambda):=1728\cdot\frac{g_2(\Lambda)^3}{g_2(\Lambda)^3-27g_3(\Lambda)^2}
$$
が楕円曲線 $E_\Lambda:y^2=4x^3-g_2x-g_3$ の $j$ 不変量である。上半平面 $\mathfrak H=\{\tau\in\mathbb C\mid\operatorname{Im}\tau>0\}$ の点 $\tau$ に対し $\Lambda_\tau=\mathbb Z+\mathbb Z\tau$、$j(\tau):=j(\Lambda_\tau)$ とおく。
$g_2,g_3$ の重さ $4,6$ と、格子の等式 $\Lambda_{-1/\tau}=\tau^{-1}\Lambda_\tau$、$i\Lambda_i=\Lambda_i$、$\rho\Lambda_\rho=\Lambda_\rho$ による。
1.級数は絶対収束するので、$\omega$ を $\alpha\omega$ に替えて $g_2(\alpha\Lambda)=\alpha^{-4}g_2(\Lambda)$、$g_3(\alpha\Lambda)=\alpha^{-6}g_3(\Lambda)$ である。分子と分母がともに $\alpha^{-12}$ 倍されるので $j$ は変わらない。
2.$\Lambda_{\tau+1}=\mathbb Z+\mathbb Z(\tau+1)=\Lambda_\tau$ である。$\Lambda_{-1/\tau}=\mathbb Z+\mathbb Z(-1/\tau)=\tau^{-1}(\mathbb Z\tau+\mathbb Z)=\tau^{-1}\Lambda_\tau$ なので、1 から $j(-1/\tau)=j(\tau)$ である。
3.$i\Lambda_i=\mathbb Zi+\mathbb Z(-1)=\Lambda_i$ なので、1 の計算から $g_3(\Lambda_i)=i^{-6}g_3(\Lambda_i)=-g_3(\Lambda_i)$、すなわち $g_3(\Lambda_i)=0$ である。$g_2^3-27g_3^2\neq0$ より $g_2(\Lambda_i)\ne0$ で、$j(i)=1728$ である。同様に $\rho^2=-1-\rho$ から $\rho\Lambda_\rho=\mathbb Z\rho+\mathbb Z\rho^2=\Lambda_\rho$ で、$g_2(\Lambda_\rho)=\rho^{-4}g_2(\Lambda_\rho)=\rho^{-1}g_2(\Lambda_\rho)$、$\rho\ne1$ より $g_2(\Lambda_\rho)=0$、$j(\rho)=0$ である。$\square$
2 の 2 つの変換 $\tau\mapsto\tau+1$、$\tau\mapsto-1/\tau$ は $\mathfrak H$ に作用する群 $\operatorname{SL}_2(\mathbb Z)$ を生成する。$j(\tau)$ はこの作用で不変な $\mathfrak H$ 上の正則関数、すなわち重さ $0$ のモジュラー関数で、$q=e^{2\pi i\tau}$ について
$$
j(\tau)=\frac1q+744+196884q+\cdots
$$
と展開され、$q$ の係数はすべて整数である(Sil09 Appendix C の Proposition C.12.4、p. 432、係数 $196884$ は同 §C.14、p. 444)。正則性と展開はこの記事では証明しない。
さらに、$\mathbb C$ 上の楕円曲線はどれも、ある格子 $\Lambda$ について $E_\Lambda$ と同型である(楕円曲線 の記事の定理「一意化定理」。この記事では証明しない)。これと thm-jinv-classification の 2 を合わせると、任意の $j_0\in\mathbb C$ に対して $j(\tau)=j_0$ となる $\tau\in\mathfrak H$ があることがわかる。$\mathbb C$ 上の楕円曲線の同型類は、$\mathfrak H$ の $\operatorname{SL}_2(\mathbb Z)$ 軌道とも、$\mathbb C$ の点とも一対一に対応する。
def-jinv-quantities の式から直接計算すると次のようになる。
| 方程式 | $c_4$ | $\Delta$ | $j$ |
|---|---|---|---|
| $y^2=x^3+1$ | $0$ | $-432$ | $0$ |
| $y^2=x^3+x$ | $-48$ | $-64$ | $1728$ |
| $y^2=x^3-x$ | $48$ | $64$ | $1728$ |
| $y^2=x^3+x+1$ | $-48$ | $-496$ | $6912/31$ |
| $y^2+y=x^3-x$ | $48$ | $37$ | $110592/37$ |
| $y^2=x(x-1)(x-\lambda)$ | $16(\lambda^2-\lambda+1)$ | $16\lambda^2(\lambda-1)^2$ | $256\dfrac{(\lambda^2-\lambda+1)^3}{\lambda^2(\lambda-1)^2}$ |
$y^2=x^3+x$ と $y^2=x^3-x$ は $j$ が等しいので $\mathbb C$ 上同型であり、$u^4=-1$ となる $u$($1$ の原始 $8$ 乗根)で移り合う。最後の行の Legendre 形では、$\lambda$ を $1-\lambda$ や $1/\lambda$ に替えても $j$ は変わらない。これは $x$ を $1-x$ や $x/\lambda$ に替えて 3 つの根 $0,1,\lambda$ の役割を入れ替えることに対応し、一般の $j$ に対して $\lambda$ の値は $6$ 個ある。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 体が代数閉体であること(thm-jinv-classification の 1) | $\mathbb Q$ 上の $y^2=x^3+x+1$ と $y^2=x^3+x-1$ | $j=6912/31$ が等しいのに $\mathbb Q$ 上同型でない(ex-jinv-twist) |
| $\Delta\neq0$(曲線が滑らかであること) | $y^2=x^3$(尖点)と $y^2=x^3+x^2$(結節点) | どちらも $\Delta=0$ で $c_4^3/\Delta$ が定まらない。$c_4$ はそれぞれ $0$ と $16$ で、尖点と結節点という違いは $j$ では表せない |
| $j\neq0,1728$(prop-jinv-twist の 1) | $\mathbb Q$ 上の $y^2=x^3+x$ と $y^2=x^3+2x$ | ともに $j=1728$ だが、後者は前者のどの 2 次の捩り $y^2=x^3+d^2x$ とも $\mathbb Q$ 上同型でない($2=u^{-4}d^2$ となる $u,d\in\mathbb Q^\times$ はない) |
最後の行は、$2=u^{-4}d^2$ なら $\sqrt2=\pm d/u^2\in\mathbb Q$ となることによる。$j=1728$ の曲線は 4 次の捩り $y^2=x^3+ax$ で尽くされ、$j=0$ の曲線は 6 次の捩り $y^2=x^3+b$ で尽くされる。
$k$ を標数 $p>0$ の代数閉体とする。楕円曲線 $E$ の $p$ 捩れ点が $E[p]=0$ となるとき $E$ を 超特異楕円曲線 という(楕円曲線 の記事の定理「$n$ 捩れ点の構造」)。$E[p]$ は同型で保たれるので、thm-jinv-classification により、超特異かどうかは $j(E)$ だけで決まる。超特異な $E$ の $j$ は $\mathbb F_{p^2}$ に属し(Sil09 Theorem V.3.1(a)、pp. 144–145)、したがって超特異な $j$ の値は有限個しかない。Hasse不変量 はこの区別を方程式の係数で表すものである(有限体上で標数 $p\ge3$ の場合は Sil09 Theorem V.4.1(a)、p. 148)。
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