Cayley変換(Cayley transform)とは、実数直線を単位円から点 $1$ を除いた部分へ移す 1 次分数変換 $\kappa(z)=(z-i)/(z+i)$ と、それに作用素を代入した $(T-i)(T+i)^{-1}$ のことである。複素 Hilbert 空間の稠密に定義された対称作用素の Cayley 変換は等長作用素で、$T=i(I+V)(I-V)^{-1}$ により元に戻り、対称作用素と $I-V$ の値域が稠密な等長作用素とが 1 対 1 に対応する。自己共役作用素は $1$ を固有値にもたないユニタリ作用素にちょうど対応し、スペクトルは $\kappa$ で移り、作用素が有界でないことは $1$ がスペクトルに入ることにあたる。有界でない自己共役作用素を有界なユニタリ作用素で扱う道具で、自己共役な延長の分類にも使う。
1 次分数変換 $\kappa(z)=\dfrac{z-i}{z+i}$ は、実数直線を単位円から点 $1$ を除いた部分へ、上半平面を単位円板へ移す(上半平面、Möbius変換 の例「Cayley 変換」)。実数と自己共役作用素、絶対値 $1$ の複素数とユニタリ作用素という類似のもとで、この式に作用素を代入したものを Cayley変換(Cayley transform)という。自己共役作用素 $T$ は $U=(T-i)(T+i)^{-1}$ というユニタリ作用素に移り、逆に $T=i(I+U)(I-U)^{-1}$ で戻る。
Cayley 変換の利点は、有界でない作用素を有界な作用素に置き換えられることにある。自己共役作用素は一般に全空間では定義できないが、その Cayley 変換は全空間で定義されたユニタリ作用素である。対称作用素の Cayley 変換は等長作用素になり、自己共役であるかどうかは、その等長作用素が全空間に広がっているかどうかで判定できる。この記事では、有界作用素での Cayley 変換とスペクトルの対応を述べたあと、Hilbert 空間の対称作用素・自己共役作用素の Cayley 変換を定義し、その逆変換、自己共役作用素とユニタリ作用素の 1 対 1 の対応、スペクトルの対応を証明する。
$$
\kappa(z):=\frac{z-i}{z+i}\quad(z\ne-i),\qquad\kappa^{-1}(w)=i\,\frac{1+w}{1-w}\quad(w\ne1)
$$
とおく。$\kappa$ は $\mathbb C\setminus\{-i\}$ から $\mathbb C\setminus\{1\}$ への全単射で、$\kappa^{-1}$ がその逆写像である($w=\kappa(z)$ を $z$ について解くと $z(1-w)=i(1+w)$)。$z$ が実数なら $\lvert z-i\rvert=\lvert z+i\rvert$ なので $\lvert\kappa(z)\rvert=1$ であり、逆に $\lvert w\rvert=1$、$w\ne1$ なら $\kappa^{-1}(w)$ は実数である($\lvert z-i\rvert=\lvert z+i\rvert$ は $z$ が $i$ と $-i$ から等距離、つまり実数であることと同値)。よって $\kappa$ は $\mathbb R$ を $\{w:\lvert w\rvert=1,\ w\ne1\}$ の上へ 1 対 1 に移す。
文献によっては $1/\kappa$(除かれる点は $1$ のまま)や $-\kappa$(除かれる点は $-1$)を Cayley 変換と呼ぶ。ユニタリ行列 の定理「Cayley 変換」の $(I+iH)(I-iH)^{-1}$ は $-\kappa(H)$ にあたる($\frac{1+ih}{1-ih}=-\frac{h-i}{h+i}$)。この記事では $\kappa$ に合わせる。
この節では $X$ を複素 Banach 空間、$T$ を $X$ 上の有界作用素とし、$-i\notin\sigma(T)$ とする。$T+iI$ は有界な逆をもつので、
$$
U:=(T-iI)(T+iI)^{-1}
$$
は $X$ 上の有界作用素である。$T$ と $(T+iI)^{-1}$ は可換なので($T(T+iI)=(T+iI)T$ の両側から $(T+iI)^{-1}$ を掛ける)、$U=(T+iI)^{-1}(T-iI)$ でもある。
上の $T,U$ について次が成り立つ。
1:$I-U=\bigl((T+iI)-(T-iI)\bigr)(T+iI)^{-1}=2i(T+iI)^{-1}$ なので、$I-U$ は有界な逆 $\frac1{2i}(T+iI)$ をもつ。
2:$I+U=\bigl((T+iI)+(T-iI)\bigr)(T+iI)^{-1}=2T(T+iI)^{-1}$ なので、$i(I+U)(I-U)^{-1}=i\cdot2T(T+iI)^{-1}\cdot\frac1{2i}(T+iI)=T$ である。
3:$\mu\ne1$ について $\lambda:=\kappa^{-1}(\mu)$ とおく。$(T-iI)-\mu(T+iI)=(1-\mu)T-i(1+\mu)I=(1-\mu)(T-\lambda I)$ なので
$$
U-\mu I=(1-\mu)(T-\lambda I)(T+iI)^{-1}
$$
である。$(T+iI)^{-1}$ は有界な逆をもつので、$U-\mu I$ が有界な逆をもつことと $T-\lambda I$ が有界な逆をもつことは同値である。よって $\mu\ne1$ について $\mu\in\sigma(U)\iff\kappa^{-1}(\mu)\in\sigma(T)$ である。1 により $1\notin\sigma(U)$ であり、$\kappa$ の値は $1$ にならないので、$\sigma(U)=\kappa(\sigma(T))$ である。$\square$
3 は スペクトル写像定理 の系「逆元・冪・Möbius 変換」の 4 の特別な場合でもある。上の証明は 1 次式への因数分解だけを使うので、同じ計算が実数体の上でも成り立つ。
$X$ を実 Banach 空間、$T$ を $X$ 上の有界作用素とし、$1\notin\sigma(T)$($\sigma(T)$ は実数 $\lambda$ で $T-\lambda I$ が有界な逆をもたないものの全体)とする。$U:=(T+I)(T-I)^{-1}$、$f(t):=\frac{t+1}{t-1}$($t\ne1$)とおくと、$I-U=-2(T-I)^{-1}$、$\mu\ne1$ について $U-\mu I=(1-\mu)(T-f(\mu)I)(T-I)^{-1}$ が成り立つ。上の証明と同じく、$1\notin\sigma(U)$、$T=(U+I)(U-I)^{-1}$、$\sigma(U)=f(\sigma(T))$ が得られる($f$ は $\mathbb R\setminus\{1\}$ の上で $f\circ f=\mathrm{id}$)。多項式では実数体の上で $p(\sigma(T))=\sigma(p(T))$ が成り立たないことがある(スペクトル写像定理 の節「実数体の上の場合」)のに対し、1 次分数変換では等号が成り立つ。この形は Bre11 の演習 6.15(p. 174)にある。ただし $f$ は実数直線を単位円に移さないので、実 Hilbert 空間の自己共役作用素からユニタリ(直交)作用素は得られない。たとえば $X=\mathbb R$、$T=2$ なら $U=3$ である。
以下、$H$ を複素 Hilbert 空間とし、内積は第 1 変数について線形とする。作用素、稠密に定義された作用素、随伴 $T^*$、対称作用素・自己共役作用素は 自己共役作用素 の定義「対称作用素と自己共役作用素」のとおりとする。$H$ 全体で定義された線形写像 $U$ で $U^*U=UU^*=I$ を満たすもの(内積を保つ全単射)を ユニタリ作用素 といい、部分空間 $D(V)\subseteq H$ から $H$ への線形写像で $\|Vu\|=\|u\|$ を満たすものを 等長作用素 という。複素 Hilbert 空間の偏極恒等式 $\langle u,v\rangle=\frac14\sum_{k=0}^3i^k\|u+i^kv\|^2$ により、等長作用素は内積を保つ:$\langle Vu,Vv\rangle=\langle u,v\rangle$。
$T$ が対称なら、$x\in D(T)$ について
$$
\|(T\pm i)x\|^2=\|Tx\|^2+\|x\|^2\qquad(1)
$$
が成り立つ(展開したときの交差項 $\pm2\operatorname{Re}\bigl(-i\langle Tx,x\rangle\bigr)$ は、$\langle Tx,x\rangle$ が実数なので $0$)。とくに $T\pm i$ は単射である。
$T$ を稠密に定義された対称作用素とする。$T$ の Cayley 変換 を
$$
V_T:=(T-i)(T+i)^{-1}\colon\operatorname{ran}(T+i)\to\operatorname{ran}(T-i),\qquad V_T\bigl((T+i)x\bigr)=(T-i)x\quad(x\in D(T))
$$
と定める。
$T+i$ は単射なので、$V_T$ は $D(V_T)=\operatorname{ran}(T+i)$ の上で矛盾なく定まる線形写像である。
1:$y=(T+i)x$($x\in D(T)$)について、(1) から $\|V_Ty\|=\|(T-i)x\|=\|(T+i)x\|=\|y\|$ であり、$V_T$ は等長で値域は $\operatorname{ran}(T-i)$ である。また
$$
(I-V_T)y=(T+i)x-(T-i)x=2ix,\qquad(I+V_T)y=2Tx
$$
である。1 つ目から $\operatorname{ran}(I-V_T)=D(T)$ で、$(I-V_T)y=0$ なら $x=0$、$y=0$ なので $I-V_T$ は単射である。$x=(I-V_T)\bigl(\frac{1}{2i}y\bigr)$ だから $(I-V_T)^{-1}x=\frac1{2i}y$ であり、2 つ目から $i(I+V_T)(I-V_T)^{-1}x=\frac12(I+V_T)y=Tx$ となる。
2:$(I-V)w=0$ とする。$u\in D(V)$ について、$V$ が内積を保つことから
$$
\langle(I-V)u,w\rangle=\langle u,w\rangle-\langle Vu,Vw\rangle=0
$$
なので $w\perp\operatorname{ran}(I-V)$ であり、稠密性から $w=0$ である。よって $I-V$ は単射で、$T$ は矛盾なく定まり、$D(T)$ は稠密である。$x=(I-V)u$、$y=(I-V)v$($u,v\in D(V)$)について、$\langle Vu,Vv\rangle=\langle u,v\rangle$ を使うと
$$
\langle Tx,y\rangle=i\langle(I+V)u,(I-V)v\rangle=i\bigl(\langle Vu,v\rangle-\langle u,Vv\rangle\bigr),
$$
$$
\langle x,Ty\rangle=\overline{i}\,\langle(I-V)u,(I+V)v\rangle=-i\bigl(\langle u,Vv\rangle-\langle Vu,v\rangle\bigr)
$$
で両者は等しく、$T$ は対称である。最後に $(T+i)x=i(I+V)u+i(I-V)u=2iu$、$(T-i)x=2iVu$ なので、$\operatorname{ran}(T+i)=D(V)$ で $V_T(2iu)=2iVu$、すなわち $V_T=V$ である。
全単射であること:1 により $T$ は $V_T$ から復元されるので単射であり、2 により全射である。$\square$
作用素の閉性も、グラフノルムを通して Cayley 変換の定義域・値域の閉性に読み替えられる。
稠密に定義された対称作用素 $T$ について、次は同値である。
1:自己共役作用素 の定理「自己共役性の判定」により、$T$ が自己共役であることは $\operatorname{ran}(T+i)=\operatorname{ran}(T-i)=H$ と同値で、これは $V_T$ が $H$ 全体で定義され $H$ の上への等長作用素であることを意味する。$H$ から $H$ の上への等長な線形写像は内積を保つ全単射なので、ユニタリ作用素である。逆にユニタリなら $D(V_T)=\operatorname{ran}V_T=H$ である。
2:$T$ が自己共役なら、1 により $V_T$ はユニタリで、thm-cay-symmetric の 1 により $I-V_T$ は単射である。逆に $U$ がユニタリで $\ker(I-U)=0$ とする。$y\perp\operatorname{ran}(I-U)$ なら $(I-U^*)y=0$ で、$U$ を掛けると $Uy=y$、よって $y=0$ である。したがって $\operatorname{ran}(I-U)$ は稠密で、thm-cay-symmetric の 2 により $T:=i(I+U)(I-U)^{-1}$ は対称で $V_T=U$ である。1 により $T$ は自己共役である。単射性は thm-cay-symmetric の全単射性から従う。$\square$
Cayley 変換は、自己共役作用素のスペクトルを単位円上へ移す。自己共役作用素 の節「スペクトルは実数に含まれる」と同じく、$\lambda\in\mathbb C$ について $T-\lambda\colon D(T)\to H$ が全単射で逆写像が有界なとき $\lambda\in\rho(T)$、そうでないとき $\lambda\in\sigma(T)$ とする。
$T$ を自己共役作用素、$U:=V_T$ とする。
$R:=(T+i)^{-1}\colon H\to D(T)$ とおく。(1) から $\|Ry\|\le\|y\|$ で、$R$ は $H$ から $D(T)$ の上への有界な全単射である。
1:$\lambda:=\kappa^{-1}(\mu)$ とおく。$y=(T+i)x$ について $(U-\mu)y=(T-i)x-\mu(T+i)x=(1-\mu)(T-\lambda)x$ なので、$U-\mu=(1-\mu)(T-\lambda)R$ である。$R$ が $H$ から $D(T)$ への全単射なので、$U-\mu$ が全単射であることと $T-\lambda\colon D(T)\to H$ が全単射であることは同値である。このとき逆写像は
$$
(U-\mu)^{-1}=\frac{(T+i)(T-\lambda)^{-1}}{1-\mu}=\frac{I+(\lambda+i)(T-\lambda)^{-1}}{1-\mu},\qquad(T-\lambda)^{-1}=(1-\mu)R\,(U-\mu)^{-1}
$$
で結ばれるので、一方が有界なら他方も有界である。
2:thm-cay-symmetric の証明から $I-U=2iR$ で、これは単射なので $1$ は固有値でない。$I-U$ の値域は $\operatorname{ran}R=D(T)$ である。
$1\notin\sigma(U)$ なら $(I-U)^{-1}$ は有界で、thm-cay-symmetric の 1 の $T=i(I+U)(I-U)^{-1}$ は有界作用素の合成なので有界である。逆に $T$ が $D(T)$ の上で有界とする。自己共役作用素は閉なので(自己共役作用素 の補題「随伴の閉性と対称作用素の閉包」)、$x_n\in D(T)$、$x_n\to x$ なら $(Tx_n)$ は Cauchy 列で極限 $z$ をもち、閉性から $x\in D(T)$ である。よって $D(T)$ は閉で稠密だから $D(T)=H$ であり、$I-U$ は全単射で、逆写像 $\frac1{2i}(T+i)$ は有界である。したがって $1\notin\sigma(U)$ である。$\square$
$T$ が有界でないとき、$1$ は $U$ の固有値ではないが、スペクトルには入る。これは、実数直線の「無限遠点」が単位円の点 $1$ に対応することの表れである。
$(\Omega,\nu)$ を $\sigma$ 有限な測度空間、$a\colon\Omega\to\mathbb R$ を可測関数とし、$L^2(\Omega,\nu)$ 上の掛け算作用素 $M_af=af$($D(M_a)=\{f:af\in L^2\}$)を考える。$M_a$ は自己共役である(自己共役作用素 の例「掛け算作用素と対角作用素」)。$\lvert a+i\rvert\ge1$ なので $(M_a+i)^{-1}=M_{1/(a+i)}$ は有界で、
$$
V_{M_a}=M_{\kappa\circ a},\qquad(\kappa\circ a)(\omega)=\frac{a(\omega)-i}{a(\omega)+i}
$$
である。$\lvert\kappa\circ a\rvert=1$ なので、これは確かにユニタリな掛け算作用素であり、Cayley 変換は関数の値ごとに $\kappa$ を施したものになっている。
とくに $\ell^2$ 上の $(Ax)_n=nx_n$ では $U=V_A$ は $(Ux)_n=\frac{n-i}{n+i}x_n$ である。$\frac{n-i}{n+i}\ne1$ なので $1$ は固有値でないが、$\frac{n-i}{n+i}\to1$ なので $1\in\sigma(U)$ であり($\|(U-I)e_n\|=\frac{2}{\lvert n+i\rvert}\to0$)、thm-cay-spectrum の 2 と合う。
自己共役作用素 の例「対称だが自己共役でない作用素」の $T=A|_{D_0}$($D_0=\{x\in D(A):\sum_nx_n=0\}$)を考える。$w:=\bigl(\frac1{n-i}\bigr)_n$、$v:=\bigl(\frac1{n+i}\bigr)_n$ とおくと、$x\in D_0$ について
$$
\langle(T+i)x,w\rangle=\sum_n(n+i)x_n\frac1{n+i}=\sum_nx_n=0
$$
で、同様に $\langle(T-i)x,v\rangle=0$ である。$\operatorname{ran}(A\pm i)=H$ で、$D_0$ は $D(A)$ の中で余次元 $1$ なので、$\operatorname{ran}(T\pm i)$ の $H$ での余次元は $1$ 以下である。よって $\operatorname{ran}(T+i)=w^{\perp}$、$\operatorname{ran}(T-i)=v^{\perp}$ であり、$V_T$ は $w^\perp$ から $v^\perp$ の上への等長作用素で、ユニタリでない。$V_T$ は ex-cay-multiplication の $U=V_A$ の $w^\perp$ への制限である($A$ は $T$ の延長なので、$x\in D_0$ で $(A\pm i)x=(T\pm i)x$)。
稠密に定義された対称作用素 $T$ について、
$$
n_\pm(T):=\dim\operatorname{ran}(T\pm i)^{\perp}=\dim\ker(T^*\mp i)
$$
を $T$ の 不足指数 という(等号は 自己共役作用素 の節「自己共役であるための判定条件」の (2) による)。thm-cay-symmetric により、$T$ の対称な延長は $V_T$ の等長な延長に対応し、自己共役な延長はユニタリな延長に対応する($T\subset T'$ なら $x\in D(T)$ で $(T'\pm i)x=(T\pm i)x$ なので $V_T\subset V_{T'}$ であり、逆に $V_T\subset V'$ なら逆変換の式から $T\subset i(I+V')(I-V')^{-1}$ である。後者の $\operatorname{ran}(I-V')$ は $D(T)$ を含むので稠密である)。ex-cay-symmetric では $n_+(T)=n_-(T)=1$ で、$w$ を $v$ の絶対値 $1$ の定数倍に移すことで $V_T$ はユニタリに延長できる。一般に、稠密に定義された対称作用素が自己共役な延長をもつのは $n_+(T)=n_-(T)$ のときかつそのときに限る(Tes09 Theorem 2.26、p. 82)。この記事ではこの定理を証明しない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $T$ が対称(thm-cay-symmetric の 1) | $H\ne\{0\}$、$T=iI$ | $V_T=(T-i)(T+i)^{-1}$ が等長 |
| $T$ が自己共役(対称で止める。thm-cay-selfadjoint の 1) | ex-cay-symmetric の $T$ | $V_T$ がユニタリ |
| $\ker(I-U)=0$(thm-cay-selfadjoint の 2) | $H\ne\{0\}$、$U=I$ | $U$ がある自己共役作用素の Cayley 変換になる |
| 係数体が複素数(rem-cay-real) | $X=\mathbb R$、$T=2$ | 自己共役作用素の像がユニタリ(直交) |
1 行目:$T=iI$ は $\langle Tx,x\rangle=i\|x\|^2$ が実数でないので対称でない。$T-i=0$ なので $V_T=0$ であり、$H\ne\{0\}$ では等長でない。2 行目は ex-cay-symmetric で確かめた。3 行目:$\operatorname{ran}(I-U)=\{0\}$ は稠密でない。$V_T=I$ となる対称作用素 $T$ があれば、thm-cay-symmetric の 1 により $D(T)=\operatorname{ran}(I-V_T)=\{0\}$ となり、$D(T)$ の稠密性に反する。4 行目:rem-cay-real の例で、$\lvert U\rvert=3\ne1$ である。
対称作用素の Cayley 変換が対称作用素と等長作用素の間の全単射を与えることは Tes09 Theorem 2.25(p. 81)、自己共役な延長と不足指数の関係は Theorem 2.26(p. 82)にある。有界作用素の 1 次分数変換とスペクトルの対応(実 Banach 空間の形)は Bre11 の演習 6.15(p. 174)にある。prop-cay-bounded、thm-cay-symmetric、cor-cay-closed、thm-cay-selfadjoint、thm-cay-spectrum と例は、この記事の中で証明した。
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