局所Langlands対応(local Langlands correspondence)とは、非アルキメデス局所体 $F$ について、$\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現と、$F$ の Weil 群 $W_F$ の $n$ 次元 Frobenius 半単純 Weil–Deligne 表現とのあいだの、$L$ 因子・$\varepsilon$ 因子を保つ標準的な全単射である。$n=1$ では相互写像 $\operatorname{Art}_F\colon F^\times\cong W_F^{\mathrm{ab}}$ による指標の対応であり、局所類体論の言い換えになる。$F$ が $p$ 進体のとき Harris–Taylor と Henniart が存在を証明し、超尖点表現は $W_F$ の既約表現に、不分岐表現は不分岐な指標の直和に対応する。
局所Langlands対応(local Langlands correspondence)とは、非アルキメデス局所体 $F$ について、$\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現の同型類と、$F$ の Weil 群の $n$ 次元表現(正確には Frobenius 半単純な Weil–Deligne 表現)の同型類とのあいだの、$L$ 因子・$\varepsilon$ 因子を保つ標準的な全単射である。$n=1$ では $\operatorname{GL}_1(F)=F^\times$ の指標と Weil 群の指標の対応になり、これは 局所類体論 の言い換えにほかならない。
一般の $n$ では、表現の側の「分解できない部品」である 超尖点表現 が、Galois の側の既約表現に対応する。$F$ が $\mathbb{Q}_p$ の有限次拡大のとき、この対応は Harris–Taylor と Henniart によって存在が証明され、Henniart によって $L$ 因子・$\varepsilon$ 因子による特徴づけが与えられた。
この記事では、Weil 群とその表現の基本性質(慣性群の像の有限性、Weil–Deligne 表現の冪零性)、$n=1$ の場合の対応を局所類体論から導くこと(主定理)、不分岐な場合の両側の分類の照合、$2$ 次元の誘導表現の既約性の判定を証明する。$n\ge2$ の対応の存在と一意性は所在を示して述べ、この記事では証明しない。
$F$ を非アルキメデス局所体、$\mathcal{O}$ を整数環、$\varpi$ を素元、$k$ を位数 $q$ の剰余体とし、$\bar F$ を分離閉包とする。$\operatorname{Gal}(\bar F/F)\to\operatorname{Gal}(\bar k/k)$ の核を慣性群 $I_F$ という。$\operatorname{Gal}(\bar k/k)$ の元 $x\mapsto x^{q^{-1}}$ を幾何的 Frobenius $\Phi$ と書く。
$\operatorname{Gal}(\bar F/F)$ の元のうち、$\bar k$ への作用が $\Phi$ の整数冪であるもの全体を $F$ の Weil 群 $W_F$ という。$I_F$ を開部分群とし、$I_F$ 上では副有限群の位相を入れ、$W_F/I_F\cong\Phi^{\mathbb{Z}}\cong\mathbb{Z}$ は離散とする位相を $W_F$ に入れる(Wed00 (1.1.8), p. 11)。$w\in W_F$ の像が $\Phi^{d}$ のとき $\lvert w\rvert:=q^{-d}$ とおく。
$W_F$ は局所副有限群で、$\operatorname{Gal}(\bar F/F)$ の中で稠密である。$W_F$ の閉包した交換子群による商 $W_F^{\mathrm{ab}}$ について、局所類体論 の相互写像(その記事の $\operatorname{rec}_K$。下の Langlands 対応の $\operatorname{rec}_n$ と区別して $\theta_F$ と書く)から、$W_F^{\mathrm{ab}}$ を $\operatorname{Gal}(F^{\mathrm{ab}}/F)$ の部分群とみなして作る
$$
\operatorname{Art}_F\colon F^\times\xrightarrow{\ \sim\ }W_F^{\mathrm{ab}},\qquad \operatorname{Art}_F(a):=\theta_F(a)^{-1}
$$
は位相群の同型であり、$\mathcal{O}^\times$ を $I_F$ の像の上へ写し、素元を幾何的 Frobenius の持ち上げへ写す(Wed00 (1.1.10), p. 12。局所類体論 の記事の定理「局所相互法則」は素元を算術的 Frobenius へ写す規約で、$\operatorname{Art}_F$ はその逆元をとったものである)。とくに $\lvert\operatorname{Art}_F(a)\rvert=\lvert a\rvert$ である。この記事ではこの同型を証明しない。
副有限群 $H$ から $\operatorname{GL}_n(\mathbb{C})$(通常の位相)への連続準同型 $\rho$ の像は有限である。とくに $W_F$ の連続表現 $\rho\colon W_F\to\operatorname{GL}_n(\mathbb{C})$ は、ある開部分群の上で自明であり、$\rho(I_F)$ は有限群である。
$\operatorname{GL}_n(\mathbb{C})$ の部分群 $S$ が $\mathcal{V}:=\{g:\|g-1\|<1\}$(作用素ノルム)に含まれれば $S=\{1\}$ であることを示す。$g\in S$ なら $\|g^k\|<2$ がすべての $k\in\mathbb{Z}$ で成り立つので、$g$ の Jordan 標準形に大きさ $2$ 以上のブロックはなく(あれば $\|g^k\|$ は $k$ について多項式的に増える)、固有値はすべて絶対値 $1$ である。固有値 $\lambda\ne1$ があれば、$\lambda^k$ の実部が $0$ 以下になる $k$ があり、固有ベクトル $x$ について $\|(g^k-1)x\|=\lvert\lambda^k-1\rvert\|x\|\ge\sqrt2\|x\|$ となって矛盾する。よって $g$ は対角化可能で固有値はすべて $1$、すなわち $g=1$ である。
$\rho^{-1}(\mathcal{V})$ は $H$ の単位元の開近傍なので、開正規部分群 $H_0$ を含む(副有限群)。$\rho(H_0)\subset\mathcal{V}$ は部分群だから $\rho(H_0)=\{1\}$ であり、$\rho$ は有限群 $H/H_0$ を経由する。$W_F$ の場合は $H=I_F$ に当て、$\rho$ が自明になる $I_F$ の開部分群が $W_F$ の開部分群であることを使う。$\square$
この補題により、$W_F$ の表現は通常の位相で連続であることと、smooth(各ベクトルの固定部分群が開)であることが同じになる。$\operatorname{GL}_n(F)$ の側の表現も smooth で考えるので、両側を同じ種類の表現として比べられる。
$W_F$ の $n$ 次元表現 $\rho$ の $L$ 因子を
$$
L(s,\rho):=\det\bigl(1-q^{-s}\rho(\Phi)\bigm| V^{I_F}\bigr)^{-1}
$$
と定める($\Phi$ は幾何的 Frobenius の持ち上げで、$V^{I_F}$ の上では取り方によらない。Wed00 (3.2.1), p. 37)。$F^\times$ の擬指標 $\chi$ の $L$ 因子 $L(s,\chi)$ は、Tateの学位論文 の局所 $L$ 因子(不分岐なら $(1-\chi(\varpi)q^{-s})^{-1}$、分岐するなら $1$)とする。
$\chi\mapsto\chi\circ\operatorname{Art}_F^{-1}$ は、$F^\times$ の擬指標(連続準同型 $F^\times\to\mathbb{C}^\times$)全体から $W_F$ の 1 次元表現全体への全単射を引き起こす。$\rho_\chi$ を $\chi$ の像とすると、次が成り立つ。
$W_F$ の連続準同型 $\eta\colon W_F\to\mathbb{C}^\times$ の核は閉正規部分群で、$\mathbb{C}^\times$ は可換だから交換子をすべて含み、その閉包も含む。よって $\eta$ は $W_F^{\mathrm{ab}}$ を一意に経由し、$W_F$ の 1 次元表現は $W_F^{\mathrm{ab}}$ の連続な指標と 1 対 1 に対応する。$\operatorname{Art}_F$ は位相群の同型なので、$\chi\mapsto\chi\circ\operatorname{Art}_F^{-1}$ は $F^\times$ の擬指標と $W_F^{\mathrm{ab}}$ の連続な指標の全単射である。
1:$\rho_\chi$ が $I_F$ の上で自明であることは、$I_F$ の $W_F^{\mathrm{ab}}$ での像の上で自明であることと同じで、その像は $\operatorname{Art}_F(\mathcal{O}^\times)$ だから、$\chi$ が $\mathcal{O}^\times$ の上で自明であることと同値である。
2:$\chi$ が分岐するなら、1 により $\rho_\chi$ は $I_F$ の上で自明でなく、$V^{I_F}=0$ なので両辺は $1$ である。不分岐なら $V^{I_F}=V$ である。$\operatorname{Art}_F(\varpi)$ は幾何的 Frobenius の持ち上げの像で、$\rho_\chi$ は $I_F$ の上で自明だから $\rho_\chi(\Phi)=\rho_\chi(\operatorname{Art}_F(\varpi))=\chi(\varpi)$ となり、両辺は $(1-\chi(\varpi)q^{-s})^{-1}$ である。
3:前の 2 つは $\operatorname{Art}_F^{-1}$ が準同型であることから従う。最後は $\lvert\operatorname{Art}_F(a)\rvert=\lvert a\rvert$ による。$\square$
$\varepsilon$ 因子についても、$\rho_\chi$ の $\varepsilon$ 因子は $\chi$ の Tate の $\varepsilon$ 因子として定義され(Wed00 (3.2.1), p. 37)、$n=1$ の対応はこれも保つ。一般の $n$ の対応は、この「$L$ 因子と $\varepsilon$ 因子を保つ」という性質を、表現の対($\operatorname{GL}_n\times\operatorname{GL}_{n'}$ と $\rho\otimes\rho'$)に広げた形で特徴づけられる。
$\operatorname{GL}_n(F)$ の既約表現には、Steinberg 表現のように $W_F$ の表現だけでは足りないものがある。そのために次の対象を使う。
$W_F$ の有限次元複素表現 $r\colon W_F\to\operatorname{GL}(V)$(連続)と線型写像 $N\colon V\to V$ の組 $(r,N)$ で、
$$
r(w)\,N\,r(w)^{-1}=\lvert w\rvert\,N\qquad(w\in W_F)
$$
を満たすものを Weil–Deligne 表現という。$r$ が半単純のとき Frobenius 半単純という(Wed00 (3.1.6), p. 35)。Frobenius 半単純な $(r,N)$ の $L$ 因子は、上の $L(s,\rho)$ の定義の $V^{I_F}$ を $(\ker N)^{I_F}$ に替えて定める(Wed00 (3.2.1), p. 37)。
$(r,N)$ を Weil–Deligne 表現とする。
1:$\lvert w\rvert=q^{-1}$ となる $w$ をとると $r(w)^{-1}Nr(w)=qN$ なので、$N$ と $qN$ は共役で固有値の集合が等しい。固有値の集合 $E$ は $qE=E$ を満たす有限集合だから $E\subset\{0\}$ であり、$N$ は冪零である。
2:$v\in\ker N$ なら $N r(w)v=\lvert w\rvert^{-1}r(w)Nv=0$ である。$N$ は冪零なので $V\ne0$ なら $\ker N\ne0$ であり、既約性から $\ker N=V$、すなわち $N=0$ である。$\square$
$V=\mathbb{C}^2$、$r(w)=\operatorname{diag}(1,\lvert w\rvert)$、$N=\begin{pmatrix}0&0\\1&0\end{pmatrix}$ とすると、$r(w)Nr(w)^{-1}$ は左下の成分が $\lvert w\rvert$ の行列なので $\lvert w\rvert N$ に等しく、$(r,N)$ は Weil–Deligne 表現である。$\ker N=\mathbb{C}e_2$ は両方で保たれるので既約ではないが、$N\ne0$ だから 2 つの 1 次元の Weil–Deligne 表現の直和には分かれない(直和なら $N$ はそれぞれの上で $0$)。これは $\operatorname{GL}_2(F)$ の Steinberg 表現(を指標で捻ったもの)に対応する Weil–Deligne 表現の形である(Wed00 (4.3.3)–(4.3.4), pp. 44–45)。
以下、$F$ を $\mathbb{Q}_p$ の有限次拡大とする。$\mathcal{A}_n(F)$ を $\operatorname{GL}_n(F)$ の既約 smooth 表現の同型類の集合、$\mathcal{G}_n(F)$ を $n$ 次元の Frobenius 半単純 Weil–Deligne 表現の同型類の集合とする。
次の性質をもつ全単射の族 $\operatorname{rec}_n\colon\mathcal{A}_n(F)\to\mathcal{G}_n(F)$($n\ge1$)がただ 1 つ存在する。
主張の形は Wed00 (1.2.2)(p. 13)による。超尖点表現と既約表現の対応は Wed00 (4.3.2)(p. 44)と Sch10 Theorem 1.2 (c)(p. 3)にある。Sch10 は Theorem 1.2 で、超尖点表現と $W_F$ の $n$ 次元既約表現の全単射を構成し、それが捻り・中心指標・双対・対の $L$ 因子と $\varepsilon$ 因子に両立することを示している(同 (d))。同所によれば、存在は Harris–Taylor と Henniart による定理であり、この性質をもつ対応が高々 1 つであることは Henniart が示した(同 p. 2)。Scholze の証明は Harris–Taylor の方法と同じく Shimura 多様体の大域的な議論を使う。$F$ が正標数の局所体の場合も対応は Laumon–Rapoport–Stuhler によって証明されている(Wed00 序論, p. 4)。
一般の既約表現への延長は次のように超尖点表現の場合に帰着する。$\pi$ が超尖点表現 $\pi_1,\dots,\pi_t$ の積からの正規化された放物型誘導の部分商なら、$\operatorname{rec}(\pi)$ の $W_F$ の部分は $\operatorname{rec}(\pi_1)\oplus\dots\oplus\operatorname{rec}(\pi_t)$ である(Sch10 Theorem 1.2 (b), p. 3、Wed00 (4.3.3), p. 44)。$N$ は誘導表現の中で $\pi$ がどの部分商かを記録する。
$W_F$ 側では両側の分類が初等的に照合できる。Weil–Deligne 表現 $(r,N)$ が不分岐とは、$N=0$ かつ $r(I_F)=1$ のことをいう。
$n$ 次元の不分岐で Frobenius 半単純な Weil–Deligne 表現の同型類は、$\operatorname{GL}_n(\mathbb{C})$ の半単純な共役類と 1 対 1 に対応し、また $n$ 個の不分岐な擬指標 $\chi_1,\dots,\chi_n$ の順序をつけない組と 1 対 1 に対応する。対応は $r\mapsto r(\Phi)$ の共役類、$r\cong\operatorname{rec}_1(\chi_1)\oplus\dots\oplus\operatorname{rec}_1(\chi_n)$ で与えられる。
$r$ は $W_F/I_F\cong\mathbb{Z}$ を経由するので、$g:=r(\Phi)$ だけで決まり、$r\cong r'$ は $g$ と $g'$ の共役と同値である。Frobenius 半単純性は $g$ が対角化可能であることと同じである($\mathbb{Z}$ の表現が半単純であることは生成元が対角化可能であること)。逆に半単純な $g$ から $r(\Phi^d w_0):=g^d$($w_0\in I_F$)で表現が作れる。$g$ を対角化して固有値を $z_1,\dots,z_n$ とすると、$r$ は不分岐な 1 次元表現 $w\mapsto z_i^{d(w)}$($w$ の像を $\Phi^{d(w)}$ とする)の直和で、thm-llc-gl1 によりこれは $\chi_i(\varpi)=z_i$ となる不分岐な擬指標 $\chi_i$ の $\operatorname{rec}_1(\chi_i)$ である。固有値の重複を込めた組は共役類と 1 対 1 である。$\square$
$\operatorname{GL}_n(F)$ の側では、$\operatorname{GL}_n(\mathcal{O})$ で固定されるベクトルをもつ既約表現(不分岐表現)は、不分岐な擬指標 $\chi_1,\dots,\chi_n$ を $i< j$ で $\chi_i^{-1}\chi_j\ne\lvert\cdot\rvert$ となる順に並べて作った主系列表現のただ 1 つの既約な商 $Q(\chi_1,\dots,\chi_n)$ として表され(Casselman の定理、Wed00 (4.1.3), p. 40)、局所Langlands対応はこれを $\operatorname{rec}_1(\chi_1)\oplus\dots\oplus\operatorname{rec}_1(\chi_n)$ に写す(同 (4.1.8), p. 41)。不分岐な表現が超尖点表現になるのは $n=1$ のときだけである(同 (4.1.4), p. 40)。これは prop-llc-unramified の側で、$n\ge2$ の不分岐な表現が常に 1 次元表現の直和に分かれ既約にならないことと合っている。
$n=2$ では、thm-llc-main により $\operatorname{GL}_2(F)$ の超尖点表現は $W_F$ の 2 次元既約表現に対応する。その典型的な作り方が 2 次拡大からの誘導である。
$E/F$ を 2 次拡大とし、$W_E=W_F\cap\operatorname{Gal}(\bar F/E)$(指数 2 の正規部分群)、$\sigma\in W_F\setminus W_E$ とする。$W_E$ の指標 $\xi$ に対し $\xi^\sigma(h):=\xi(\sigma h\sigma^{-1})$ とおく。誘導表現 $\rho=\operatorname{Ind}_{W_E}^{W_F}\xi$ が既約であるための必要十分条件は $\xi\ne\xi^\sigma$ である。
$\rho$ の空間は $f(hw)=\xi(h)f(w)$($h\in W_E$)を満たす関数 $f\colon W_F\to\mathbb{C}$ の全体で、$W_F$ は右平行移動で作用する。台が $W_E$ で $f_1(1)=1$ のもの $f_1$ と、台が $W_E\sigma$ で $f_\sigma(\sigma)=1$ のもの $f_\sigma$ が基底になる。$h\in W_E$ について $(\rho(h)f_1)(1)=f_1(h)=\xi(h)$、$(\rho(h)f_\sigma)(\sigma)=f_\sigma(\sigma h\sigma^{-1}\sigma)=\xi^\sigma(h)$ なので、$W_E$ は $f_1$ に $\xi$、$f_\sigma$ に $\xi^\sigma$ で作用する。また $\rho(\sigma)f_1$ の台は $W_E\sigma^{-1}=W_E\sigma$ なので、$\rho(\sigma)$ は直線 $\mathbb{C}f_1$ を $\mathbb{C}f_\sigma$ に写す。
$\xi\ne\xi^\sigma$ とする。$0$ でない $W_F$ 不変部分空間 $L$ は $W_E$ 不変なので、相異なる 2 つの指標の固有空間の和として $\mathbb{C}f_1$ か $\mathbb{C}f_\sigma$ を含む。$\rho(\sigma)$ でもう一方も含むので $L$ は全体であり、$\rho$ は既約である。
$\xi=\xi^\sigma$ なら $W_E$ は $\rho$ の全体にスカラー $\xi(h)$ で作用する。$\rho(\sigma)$ の固有ベクトル $v$ をとると、$\mathbb{C}v$ は $W_E$ と $\sigma$ で保たれ、$W_F=W_E\cup W_E\sigma$ なので $W_F$ 不変である。よって $\rho$ は既約でない。$\square$
$\xi\ne\xi^\sigma$ となる $\xi$ から作った $\rho$ は既約なので、thm-llc-main により $\operatorname{GL}_2(F)$ のある超尖点表現 $\pi$ に対応する($N=0$)。$\xi=\xi^\sigma$ の場合の 2 つの成分は 1 次元表現で、対応する $\operatorname{GL}_2(F)$ の表現は、超尖点台が 2 つの指標からなる表現、すなわち主系列の部分商になる(Wed00 (4.3.3), p. 44)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\xi\ne\xi^\sigma$ | $\xi=1$ | $\operatorname{Ind}_{W_E}^{W_F}\xi$ の既約性($1\oplus\omega_{E/F}$ に分かれる) |
| Frobenius 半単純な Weil–Deligne 表現で $N=0$ | ex-llc-special の $(r,N)$ | 既約な Weil–Deligne 表現の直和に分かれること |
| 不分岐な表現で Frobenius 半単純 | $r(\Phi^dw_0)=\begin{pmatrix}1&d\\0&1\end{pmatrix}$($w_0\in I_F$)、$N=0$ | 不分岐な指標の直和に分かれること(prop-llc-unramified) |
各行は表の条件だけを外している。
1 行目:$\xi=1$ なら $\xi^\sigma=1=\xi$ で、$\rho$ は $W_F/W_E$(位数 2)の正則表現なので、自明表現と、$W_E$ の上で自明で $\sigma$ に $-1$ を与える指標 $\omega_{E/F}$ の直和である。
2 行目:$r$ は $\operatorname{diag}(1,\lvert w\rvert)$ で半単純だが $N\ne0$ である。ex-llc-special のとおり、$0$ と全体以外に両方で保たれる部分空間は $\ker N=\mathbb{C}e_2$ だけ($r$ で保たれる直線は $\mathbb{C}e_1,\mathbb{C}e_2$ だけで、$N$ で保たれるのは $\mathbb{C}e_2$)なので、既約な Weil–Deligne 表現の直和には分かれない。$N=0$ なら $r$ の半単純性から既約な表現の直和に分かれる。
3 行目:$w\mapsto\begin{pmatrix}1&d(w)\\0&1\end{pmatrix}$($w$ の像を $\Phi^{d(w)}$ とする)は $W_F/I_F\cong\mathbb{Z}$ を経由する連続な準同型で、$N=0$ とすれば不分岐な Weil–Deligne 表現である。$r(\Phi)$ は対角化できないので Frobenius 半単純でなく、$r$ で保たれる直線は $\mathbb{C}e_1$ だけだから 1 次元表現の直和に分かれない。
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