倍数の判定法(divisibility tests)とは、整数 $N$ が $m$ で割り切れるかを、割らずに 10 進法の数字から判定する方法である。$N=\sum a_k10^k$ と書くと、$10\equiv r\pmod m$ のとき $N\equiv\sum a_kr^k\pmod m$ となる。$10\equiv1\pmod 9$ から $N$ と各位の数字の和は $9$ で割った余りが等しく($3$ でも同じ)、$10\equiv-1\pmod{11}$ から $N$ と一の位を正にした交代和は $11$ で割った余りが等しい。$m$ が $10^j$ の約数なら下 $j$ 桁で判定でき($2^j$、$5^j$)、$1001=7\cdot11\cdot13$ から $1000\equiv-1$ となるので、$7$、$11$、$13$ は 3 桁ずつの交代和で判定できる。
大きな数が $9$ や $11$ で割り切れるかは、実際に割り算をしなくても、数字を見るだけで分かることがある。まず、教科書に出てくる判定法を計算で確かめる。
$123456789$ の各位の数字の和は
$$
1+2+3+4+5+6+7+8+9=45
$$
で、$45=9\cdot5$ は $9$ で割り切れる。判定法「各位の数字の和が $9$ で割り切れれば、もとの数も $9$ で割り切れる」により、$123456789$ は $9$ で割り切れる。実際 $123456789=9\cdot13717421$ である。
一方 $2026$ の各位の数字の和は $2+0+2+6=10$ で、$3$ でも $9$ でも割り切れない。実際 $2026=3\cdot675+1=9\cdot225+1$ である。
$918082$ の数字を、一の位から交互に足したり引いたりする。
$$
2-8+0-8+1-9=-22
$$
$-22=11\cdot(-2)$ は $11$ で割り切れるので、$918082$ も $11$ で割り切れる。実際 $918082=11\cdot83462$ である。
この記事で答える問いは次の 4 つである。
| 高校の判定法 | $10$ の置きかえ | この記事のボックス | 大学の言葉 |
|---|---|---|---|
| 各位の和($3$、$9$) | $10\equiv1$ | thm-dvt-nine | 多項式の $x=1$ での値 |
| 交代和($11$) | $10\equiv-1$ | thm-dvt-eleven | 多項式の $x=-1$ での値 |
| 下の桁($2^j$、$5^j$) | $10^k\equiv0$($k\ge j$) | thm-dvt-last-digits | 高い次数の項が消える |
| $3$ 桁ずつ($7$、$11$、$13$) | $1000\equiv-1$ | thm-dvt-thousand | $1000$ 進法での交代和 |
| 共通の原理 | $10\equiv r$ | prop-dvt-principle | 環準同型 $\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$ |
10 の累乗 10^k を m で割った余り。灰色(0)が並ぶ m は下の桁で、青(1)が並ぶ m は各位の和で、青と赤(−1)が交互に並ぶ m は交代和で判定できる。7・13・37 は 10^3 のところで −1 か 1 になるので、3 桁ずつ区切る
正の整数 $N$ は、$0$ 以上 $9$ 以下の整数 $a_0,a_1,\dots,a_n$($a_n\ne0$)を使って
$$
N=a_n10^n+a_{n-1}10^{n-1}+\cdots+a_110+a_0
$$
とただ 1 通りに書ける。$a_k$ が $10^k$ の位の数字である。書けることと 1 通りであることは 整数の筆算の仕組み で証明している。この記事では、この表し方から出発する。
正の整数 $N$ の 10 進法の数字を上のように $a_0,a_1,\dots,a_n$ とする。
合同式では、和・差・積・累乗の中の数を、合同な数に置きかえてよい(合同式の計算規則)。10 進法の式に出てくる $10$ を置きかえると、次の原理が得られる。
$m\ge2$ を整数とし、整数 $r$ が $10\equiv r\pmod m$ をみたすとする。正の整数 $N$ の 10 進法の数字を $a_0,\dots,a_n$ とすると
$$
N\equiv a_nr^n+a_{n-1}r^{n-1}+\cdots+a_1r+a_0\pmod m
$$
である。特に、$N$ が $m$ で割り切れることと、右辺の整数が $m$ で割り切れることは同値である。
方針:合同式の計算規則を、累乗 → 数字との積 → 和の順に使う。
段 1(累乗)。$k\ge0$ について $10^k\equiv r^k\pmod m$ であることを、$k$ についての数学的帰納法で示す。$k=0$ では両辺とも $1$ である。$10^k\equiv r^k$ とすると、これと $10\equiv r$ の両辺を掛けて(合同式は辺々掛けてよい)$10^{k+1}\equiv r^{k+1}$ である。
段 2(数字との積)。段 1 の両辺に整数 $a_k$ を掛けて $a_k10^k\equiv a_kr^k\pmod m$ である。
段 3(和)。段 2 の式を $k=0,1,\dots,n$ について辺々足すと(合同式は辺々足してよい)
$$
N=\sum_{k=0}^na_k10^k\equiv\sum_{k=0}^na_kr^k\pmod m
$$
である。
段 4(割り切れること)。右辺の整数を $M$ とすると $N\equiv M\pmod m$、つまり $N-M$ は $m$ で割り切れる。$m\mid N$ なら $M=N-(N-M)$ も $m$ で割り切れ、$m\mid M$ なら $N=M+(N-M)$ も $m$ で割り切れる。$\square$
原理の右辺は、多項式 $f(x)=a_nx^n+\cdots+a_1x+a_0$ に $x=r$ を代入した値 $f(r)$ である。$N=f(10)$ なので、原理は「$10\equiv r$ なら $f(10)\equiv f(r)$」と言いかえられる。多項式を $x-r$ で割った余りが $f(r)$ になる 剰余の定理と因数定理 と同じ形である。
$10=9+1$ なので $10\equiv1\pmod9$ であり、$10=3\cdot3+1$ なので $10\equiv1\pmod3$ でもある。prop-dvt-principle で $r=1$ とすると、$1^k=1$ なので右辺は数字の和になる。
正の整数 $N$ について
$$
N\equiv S(N)\pmod9,\qquad N\equiv S(N)\pmod3
$$
である。特に、$N$ が $9$ で割り切れることと $S(N)$ が $9$ で割り切れることは同値であり、$N$ が $3$ で割り切れることと $S(N)$ が $3$ で割り切れることは同値である。$N$ を $9$ で割った余りと $S(N)$ を $9$ で割った余りも等しい。
方針:prop-dvt-principle を $r=1$ で使う。
段 1。$m=9$ とする。$10\equiv1\pmod9$ なので、prop-dvt-principle により
$$
N\equiv a_n1^n+\cdots+a_11+a_0=a_n+\cdots+a_1+a_0=S(N)\pmod9
$$
である。$m=3$ でも $10\equiv1\pmod3$ なので、同じ式が法 $3$ で成り立つ。
段 2。割り切れることの同値は、prop-dvt-principle の後半(段 4)そのものである。余りが等しいことは、$N\equiv S(N)\pmod9$ が「$N$ と $S(N)$ を $9$ で割った余りが等しい」という意味であることから分かる(合同式 の定義)。$\square$
$10=11-1$ なので $10\equiv-1\pmod{11}$ である。prop-dvt-principle で $r=-1$ とすると、$(-1)^k$ が $+1,-1$ と交互に変わるので、右辺は交代和になる。
正の整数 $N$ について $N\equiv T(N)\pmod{11}$ である。特に、$N$ が $11$ で割り切れることと $T(N)$ が $11$ で割り切れることは同値である。
方針:prop-dvt-principle を $r=-1$ で使う。
$10\equiv-1\pmod{11}$ なので、prop-dvt-principle により
$$
N\equiv a_n(-1)^n+\cdots+a_2(-1)^2+a_1(-1)+a_0=a_0-a_1+a_2-\cdots+(-1)^na_n=T(N)\pmod{11}
$$
である。割り切れることの同値は prop-dvt-principle の後半による。$\square$
$10^j=2^j5^j$ なので、$10^j$ は $2^j$ でも $5^j$ でも割り切れる。prop-dvt-principle の言葉では、法 $2^j$ や法 $5^j$ で「$10^k\equiv0$($k\ge j$)」となり、上の位の項が消える。ここでは原理を使わずに直接示す。
$j$ を正の整数とし、正の整数 $N$ の下 $j$ 桁が表す数を $R$ とする($N$ を $10^j$ で割った余り)。このとき、$m$ が $10^j$ の約数なら $N\equiv R\pmod m$ である。特に、$N$ が $2^j$ で割り切れることと $R$ が $2^j$ で割り切れることは同値であり、$5^j$ についても同じである。
方針:$N$ を $10^j$ で割った商と余りに分けると、商の部分が $m$ の倍数になる。
段 1。$N$ を $10^j$ で割った商を $Q$ とすると $N=10^jQ+R$ である。$R$ は $N$ の下 $j$ 桁が表す数である($N=\sum a_k10^k$ のうち $k\ge j$ の項は $10^j$ でくくれ、$k< j$ の項の和は $10^j$ 未満だから、割り算の商と余りの一意性による)。
段 2。$m\mid10^j$ なので $m\mid10^jQ$ であり、$N-R=10^jQ$ は $m$ で割り切れる。つまり $N\equiv R\pmod m$ である。
段 3。$2^j$ と $5^j$ はどちらも $10^j=2^j5^j$ の約数なので、段 2 が使える。割り切れることの同値は、prop-dvt-principle の証明の段 4 と同じ理由による。$\square$
| 割る数 | 見る桁 | 例 |
|---|---|---|
| $2$、$5$、$10$ | 下 $1$ 桁 | $2026$:下 $1$ 桁 $6$ は $2$ で割り切れ、$5$ では割り切れない |
| $4$、$25$、$100$ | 下 $2$ 桁 | $2026$:$26=4\cdot6+2$ なので $2026\equiv2\pmod4$ |
| $8$、$125$、$1000$ | 下 $3$ 桁 | $123456$:$456=8\cdot57$ なので $8$ で割り切れる |
| $16$ | 下 $4$ 桁 | $123456$:$3456=16\cdot216$ なので $16$ で割り切れる |
$4$ は $100$ の約数だが $10$ の約数ではないので、下 $1$ 桁では判定できない。下 $1$ 桁だけでは決まらない例は ex-dvt-counter-last で見る。
$1001=7\cdot11\cdot13$ である。したがって $1000\equiv-1$ が、法 $7$、法 $11$、法 $13$ のどれでも成り立つ。$N$ を下から $3$ 桁ずつ区切ると、$N$ は $1000$ 進法で書いた数になる。
正の整数 $N$ を下から $3$ 桁ずつ区切り、区切った数を下から $B_0,B_1,\dots,B_l$ とする($0\le B_i\le999$、$N=\sum_iB_i1000^i$)。$U(N)=B_0-B_1+B_2-\cdots+(-1)^lB_l$ とおくと
$$
N\equiv U(N)\pmod{1001}
$$
である。したがって $m=7,11,13$ のどれについても $N\equiv U(N)\pmod m$ であり、$N$ が $m$ で割り切れることと $U(N)$ が $m$ で割り切れることは同値である。
方針:prop-dvt-principle の証明を、$10$ の代わりに $1000$、数字 $a_k$ の代わりに $3$ 桁の区切り $B_i$ で行う。
段 1。$1000=1001-1\equiv-1\pmod{1001}$ である。prop-dvt-principle の証明の段 1〜3 と同じく、累乗・積・和の順に置きかえると
$$
N=\sum_{i=0}^lB_i1000^i\equiv\sum_{i=0}^lB_i(-1)^i=U(N)\pmod{1001}
$$
である(段 1〜3 は「数字が $0$〜$9$」であることを使っていない)。
段 2。$m$ が $1001$ の約数なら、$1001\mid N-U(N)$ から $m\mid N-U(N)$、すなわち $N\equiv U(N)\pmod m$ である。$1001=7\cdot11\cdot13$ なので $m=7,11,13$ で使える。割り切れることの同値は prop-dvt-principle の証明の段 4 と同じである。$\square$
同じ考えで、$999=27\cdot37$ から $1000\equiv1\pmod{999}$ となり、法 $27$ と法 $37$ では「$3$ 桁ずつの和」で判定できる(図 1 の $m=37$ の行)。$111111=3\cdot7\cdot11\cdot13\cdot37$ である。
$7$ にはもう 1 つよく知られた判定法がある。これは $10$ を置きかえるのではなく、逆元の考え方(合同式の割り算と逆元)を使う。ここでは逆元を具体的に「$3$ を掛けて戻す」形で使うので、証明はこの記事の中で完結している。
正の整数 $N$ を $N=10q+b$($b$ は一の位の数字、$q\ge0$)と書く。$N$ が $7$ で割り切れることと、$q-2b$ が $7$ で割り切れることは同値である。
方針:$-2$ を掛けると $10$ が $1$ と合同になることを使う。$-2$ は法 $7$ で逆元($-2\cdot3=-6\equiv1$)をもつので、掛けても割り切れるかどうかは変わらない。
段 1。$-2\cdot10=-20=-21+1\equiv1\pmod7$ なので
$$
-2N=-20q-2b\equiv q-2b\pmod7
$$
である。
段 2($7\mid N$ ならば $7\mid q-2b$)。$7\mid N$ なら $7\mid-2N$ で、段 1 により $7\mid q-2b$ である。
段 3($7\mid q-2b$ ならば $7\mid N$)。段 1 により $7\mid-2N$ である。両辺に $3$ を掛けると $7\mid-6N$ であり、$N=-6N+7N$ なので $7\mid N$ である。$\square$
同じように、$13$ では $4\cdot10=40\equiv1\pmod{13}$ なので、「$13\mid N\iff13\mid q+4b$」が成り立つ。
判定法は「$10$ を何に置きかえられるか」で決まるので、置きかえが効かない数には使えない。
| 外した条件・誤解 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| $10\equiv1\pmod m$($m=3,9$) | 各位の数字の和での判定 | ex-dvt-counter-27 |
| $m$ が $10^j$ の約数 | 下 $j$ 桁での判定 | ex-dvt-counter-last |
| 2 つの判定を組み合わせるときの「互いに素」 | 「$a$ と $b$ で割り切れれば $ab$ で割り切れる」 | ex-dvt-counter-coprime |
| 交代和は一の位を $+$ にする | 交代和と余りの一致 | ex-dvt-counter-sign |
$27=3\cdot9$ だが、$10\equiv10\not\equiv1\pmod{27}$ なので thm-dvt-nine の証明は使えない。実際、判定は両方向とも崩れる。
(1) $1899$ は $S(1899)=27$ で、各位の数字の和は $27$ で割り切れる。しかし $1899=27\cdot70+9$ で、$27$ では割り切れない。
(2) $27$ 自身は $27$ で割り切れるが、$S(27)=9$ は $27$ で割り切れない。
$9$ で割り切れることは各位の数字の和で分かるが、$27$ で割り切れることは分からない。
$12$ と $22$ は下 $1$ 桁がともに $2$ だが、$12=4\cdot3$ は $4$ で割り切れ、$22=4\cdot5+2$ は割り切れない。$4$ は $10$ の約数でないので、thm-dvt-last-digits は $j=1$ では使えない。同じく $3$ も $10^j$ のどれの約数でもないので、下の桁で $3$ の倍数は判定できない($13$ と $23$ は下 $1$ 桁が $3$ だが $3$ で割り切れない)。
$6$ の倍数は「$2$ の倍数かつ $3$ の倍数」で判定できる。$2$ と $3$ が互いに素なので、$2\mid N$ かつ $3\mid N$ なら $6\mid N$ である($N=2u$、$3\mid2u$ から $3\mid u$。整数の割り算と互除法 の互いに素な数による割り算)。
しかし $12$ の倍数を「$2$ の倍数かつ $6$ の倍数」で判定すると誤る。$N=18$ は $2$ でも $6$ でも割り切れるが、$12$ では割り切れない。$\gcd(2,6)=2\ne1$ だからである。正しくは、互いに素な $4$ と $3$ に分けて「下 $2$ 桁が $4$ の倍数、かつ各位の数字の和が $3$ の倍数」とする。
割り切れるかどうかだけなら、交代和の符号を全部反対にしても変わらない($11\mid T$ と $11\mid-T$ は同値)。しかし余りは変わる。$N=21$ を最上位から $2-1=1$ と計算すると、余りを $1$ と誤る。正しくは一の位を $+$ にして $T(21)=1-2=-1\equiv10$ で、$21=11+10$ である(ex-dvt-eleven の 3)。最上位を $+$ にした値は、$N$ の桁数が偶数のとき $-T(N)$ になる。
$3$ 桁の整数 $N$ で、$N$ が $11$ で割り切れ、しかも $\dfrac N{11}$ が $N$ の各位の数字の平方の和に等しいものをすべて求めよ。
出典:国際数学オリンピック(1960 年)第 1 問 Oly60。筆者による和訳。答は $550$ と $803$ である。
方針:thm-dvt-eleven で「$11$ で割り切れる」を数字の式に直し、2 つの場合に分けて 2 次方程式の判別式で数字の範囲をしぼる。
段 1(交代和の場合分け)。$N=100a+10b+c$($1\le a\le9$、$0\le b,c\le9$)とする。thm-dvt-eleven により $11\mid N$ は $11\mid a-b+c$ と同値である。$-9\le a-b+c\le18$ なので、$a-b+c=0$ か $a-b+c=11$ である。
段 2($a-b+c=0$ の場合)。$b=a+c$ で、$N=100a+10(a+c)+c=11(10a+c)$、$\dfrac N{11}=10a+c$ である。条件は
$$
10a+c=a^2+(a+c)^2+c^2=2a^2+2ac+2c^2
$$
である。右辺は偶数なので $c$ は偶数である。$a$ についての 2 次方程式 $2a^2+(2c-10)a+(2c^2-c)=0$ が実数解をもつので、判別式は
$$
(2c-10)^2-8(2c^2-c)=-12c^2-32c+100\ge0
$$
である。$c=2$ で $-48-64+100=-12<0$ となり、$c\ge2$ では左辺は $c$ について減少するので、$c\le1$ である。$c$ は偶数なので $c=0$ で、$2a^2=10a$、$a\ge1$ から $a=5$、$b=5$ である。$N=550$ で、$550=11\cdot50$、$5^2+5^2+0^2=50$ となり条件をみたす。
段 3($a-b+c=11$ の場合)。$b=a+c-11$ で、$N=100a+10(a+c-11)+c=11(10a+c-10)$、$\dfrac N{11}=10a+c-10$ である。条件は
$$
10a+c-10=a^2+(a+c-11)^2+c^2
$$
である。右辺は $a^2+b^2+c^2$ で、$a^2+b^2+c^2$ と $a+b+c=2a+2c-11$ の偶奇は同じ($x^2-x=x(x-1)$ は偶数)なので右辺は奇数である。左辺 $10a+c-10$ の偶奇は $c$ と同じなので、$c$ は奇数である。整理すると $a$ についての 2 次方程式
$$
2a^2+(2c-32)a+(2c^2-23c+131)=0
$$
になり、判別式を $4$ で割ったものは
$$
(c-16)^2-2(2c^2-23c+131)=-3c^2+14c-6\ge0
$$
である。$c=0$ で $-6$、$c=5$ で $-75+70-6=-11$ となり、$c\ge5$ では左辺は $c$ について減少するので、$1\le c\le4$ である。$c$ は奇数なので $c=1$ か $c=3$ である。
段 1 で使ったのは、$N=f(10)$($f(x)=ax^2+bx+c$)と $10\equiv-1\pmod{11}$ から $f(10)\equiv f(-1)=a-b+c$ となることである。大学の言葉では、余りをとる写像 $\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}/11\mathbb{Z}$ が足し算と掛け算を保つ 環準同型 であり、多項式の値 $f(10)$ を $f(-1)$ に写すということになる。判定法は、この写像で「$10$ の像」がたまたま $\pm1$ や $0$ になる法 $m$ を選んだものである。
この写像が $3$ 桁の数を「$11$ で割り切れる」という 1 つの条件から「$a-b+c\in\{0,11\}$」という 2 つの場合に分けたので、あとは 2 次方程式の範囲の議論だけで済んだ。有限個の数字についての問題を合同式で場合分けし、不等式で候補を有限個にしぼる、という進め方は、常用対数と桁数 の数学オリンピックの問題(各位の数字の和をくり返す)とも共通している。
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