Hilbert–Schmidt作用素

同義語:Hilbert-Schmidt作用素ヒルベルト・シュミット作用素Hilbert–Schmidt operator

概要

Hilbert–Schmidt作用素(Hilbert–Schmidt operator)とは、可分な Hilbert 空間の間の有界作用素 $T$ で、正規直交基底 $(e_k)$ について $\sum_k\|Te_k\|^2$ が有限になるものである。この和は基底によらず、その平方根の Hilbert–Schmidt ノルムで全体は Hilbert 空間をなし、Hilbert–Schmidt 作用素はコンパクトである。$L^2$ が可分な $\sigma$ 有限測度空間の上では、これは 2 乗可積分な核をもつ積分作用素とちょうど一致し、Hilbert–Schmidt ノルムは核の $L^2$ ノルムに等しい。自己共役な場合は固有値の 2 乗和がノルムの 2 乗になり、区間上の 2 階微分の Green 関数に当てると $\sum n^{-4}=\pi^4/90$ が得られる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: コンパクト作用素, Hilbert空間, Lp空間, Fubiniの定理

成分の 2 乗和が有限な作用素

行列 $A=(a_{ij})$ の Frobenius ノルム $\bigl(\sum_{i,j}|a_{ij}|^2\bigr)^{1/2}$ は、標準基底 $e_j$ の像の長さの 2 乗和 $\sum_j|Ae_j|^2$ の平方根であり、特異値の 2 乗和の平方根にも等しい(特異値分解 の記事の定理「特異値とノルム・行列式・固有値」)。Hilbert–Schmidt 作用素(Hilbert–Schmidt operator)は、この量が有限な、無限次元の Hilbert空間 の間の有界作用素である。
Hilbert–Schmidt 作用素は コンパクト作用素 の中でも扱いやすいクラスで、全体が Hilbert 空間をなす。最も重要な事実は、$L^2$ が可分な $\sigma$ 有限測度空間の上では Hilbert–Schmidt 作用素が、2 乗可積分な核をもつ積分作用素
$$ (Tu)(x)=\int K(x,y)u(y)\,dy $$
とちょうど一致し、Hilbert–Schmidt ノルムが核の $L^2$ ノルムに等しいことである。積分方程式の核や微分方程式の Green 関数は、このようにしてコンパクト作用素の理論に乗る。応用として、区間上の 2 階微分の Green 関数から $\sum_{n\ge1}n^{-4}=\pi^4/90$ を導く。
以下 $\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$ とし、Hilbert 空間は $\mathbb K$ 上の可分な Hilbert 空間、すなわち高々可算な正規直交基底(Hilbert空間 の記事の定義「完全正規直交系」)をもつものとする。内積は第 1 変数について線形とする。$L(H_1,H_2)$ は有界線形作用素の全体で、$T^*$ は 随伴作用素 である。

定義と基底によらないこと

Hilbert–Schmidt作用素

$T\in L(H_1,H_2)$ が Hilbert–Schmidt 作用素であるとは、$H_1$ のある正規直交基底 $(e_k)$ について
$$ \|T\|_{\mathrm{HS}}:=\Bigl(\sum_k\|Te_k\|^2\Bigr)^{1/2}<\infty $$
となることをいう。$\|T\|_{\mathrm{HS}}$ を Hilbert–Schmidt ノルム、全体を $\mathrm{HS}(H_1,H_2)$ と書く。

定義はある 1 つの基底で述べたが、値は基底によらない。

基底によらないことと随伴

$(e_k)$ を $H_1$ の、$(f_l)$ を $H_2$ の正規直交基底とする。$T\in L(H_1,H_2)$ について、$[0,\infty]$ の値として
$$ \sum_k\|Te_k\|^2=\sum_l\|T^*f_l\|^2 $$
が成り立つ。したがって $\sum_k\|Te_k\|^2$ は $(e_k)$ の選び方によらず、$T\in\mathrm{HS}(H_1,H_2)$ と $T^*\in\mathrm{HS}(H_2,H_1)$ は同値で、$\|T^*\|_{\mathrm{HS}}=\|T\|_{\mathrm{HS}}$ である。

Parseval の等式(Hilbert空間 の記事の定理「完全正規直交系の特徴づけとParsevalの等式」)により
$$ \|Te_k\|^2=\sum_l|\langle Te_k,f_l\rangle|^2,\qquad\|T^*f_l\|^2=\sum_k|\langle T^*f_l,e_k\rangle|^2=\sum_k|\langle f_l,Te_k\rangle|^2 . $$
非負の項の二重級数は和の順序を入れ替えてよいので、二つの和は等しい。左辺は $(f_l)$ によらず、右辺は $(e_k)$ によらないから、共通の値はどちらの基底にもよらない。$\square$

基本的な性質

Hilbert–Schmidt作用素の基本性質
  1. $T\in\mathrm{HS}(H_1,H_2)$ なら $\|T\|\le\|T\|_{\mathrm{HS}}$ である。
  2. $\mathrm{HS}(H_1,H_2)$ は線形部分空間で、$\langle S,T\rangle_{\mathrm{HS}}:=\sum_k\langle Se_k,Te_k\rangle$ を内積として Hilbert 空間になる(ノルムは $\|\cdot\|_{\mathrm{HS}}$)。
  3. Hilbert–Schmidt 作用素はコンパクトである。より詳しく、$P_N$ を $e_1,\dots,e_N$ の張る部分空間への直交射影とすると $\|T-TP_N\|\le\bigl(\sum_{k>N}\|Te_k\|^2\bigr)^{1/2}\to0$ である。
  4. $A\in L(H_2,H_3)$、$B\in L(H_0,H_1)$ なら $\|ATB\|_{\mathrm{HS}}\le\|A\|\,\|T\|_{\mathrm{HS}}\,\|B\|$ である。
  5. 有限階作用素は Hilbert–Schmidt 作用素である。

1:$x=\sum_kx_ke_k$ なら、$T$ の連続性から $Tx=\sum_kx_kTe_k$ で、Cauchy–Schwarz の不等式により $\|Tx\|\le\sum_k|x_k|\|Te_k\|\le\|x\|\,\|T\|_{\mathrm{HS}}$ である。
3:$(T-TP_N)e_k$ は $k\le N$ なら $0$、$k>N$ なら $Te_k$ なので、1 を $T-TP_N$ に当てれば評価が出る。$TP_N$ は有限階作用素だから、コンパクト作用素 の記事の定理「コンパクト作用素の全体は閉じたイデアル」の 2 により $T$ はコンパクトである。
4:$\|ATe_k\|\le\|A\|\|Te_k\|$ から $\|AT\|_{\mathrm{HS}}\le\|A\|\|T\|_{\mathrm{HS}}$ である。prop-hs-basis により $\|TB\|_{\mathrm{HS}}=\|B^*T^*\|_{\mathrm{HS}}\le\|B^*\|\|T^*\|_{\mathrm{HS}}=\|B\|\|T\|_{\mathrm{HS}}$ となる。
5:$R(T)$ の正規直交基底 $f_1,\dots,f_m$ を $H_2$ の正規直交基底 $(f_l)$ に延長する。$l>m$ なら $f_l\perp R(T)$ なので $\langle T^*f_l,x\rangle=\langle f_l,Tx\rangle=0$、すなわち $T^*f_l=0$ であり、prop-hs-basis の和は有限和になる。
2:

証明を開く

$\|(S+T)e_k\|\le\|Se_k\|+\|Te_k\|$ と $\ell^2$ の三角不等式から $\|S+T\|_{\mathrm{HS}}\le\|S\|_{\mathrm{HS}}+\|T\|_{\mathrm{HS}}$ で、和は線形部分空間をなす。内積の級数は Cauchy–Schwarz の不等式で絶対収束し、$\langle T,T\rangle_{\mathrm{HS}}=\|T\|_{\mathrm{HS}}^2$ である。完備性:$(T_n)$ が $\|\cdot\|_{\mathrm{HS}}$ で Cauchy 列なら、1 により作用素ノルムでも Cauchy 列で、$L(H_1,H_2)$ の完備性(Banach空間 の記事の定理「有界線形写像の空間の完備性」)により $T_n\to T$ となる $T$ がある。$\varepsilon>0$ に対し $m,n\ge n_0$ で $\|T_n-T_m\|_{\mathrm{HS}}<\varepsilon$ とすると、各 $N$ について $\sum_{k\le N}\|(T_n-T)e_k\|^2=\lim_m\sum_{k\le N}\|(T_n-T_m)e_k\|^2\le\varepsilon^2$ であり、$N\to\infty$ として $\|T_n-T\|_{\mathrm{HS}}\le\varepsilon$ を得る。特に $T=T_n-(T_n-T)\in\mathrm{HS}$ である。$\square$

3 の逆は成り立たない。コンパクトでも Hilbert–Schmidt でない作用素がある(ex-hs-counterexamples)。自己共役なコンパクト作用素については、固有値で判定できる。

自己共役な場合の固有値による判定

$T$ を可分な Hilbert 空間 $H$ 上の自己共役なコンパクト作用素とし、$0$ でない固有値を重複度だけ並べて $(\lambda_j)$ とする。$T$ が Hilbert–Schmidt 作用素であることと $\sum_j\lambda_j^2<\infty$ は同値で、このとき $\|T\|_{\mathrm{HS}}^2=\sum_j\lambda_j^2$ である。

コンパクト作用素 の記事の定理「自己共役コンパクト作用素のスペクトル分解」により、$\ker T$ の正規直交基底と、固有値 $\lambda_j$ の固有ベクトルからなる正規直交系 $(e_j)$ を合わせると $H$ の正規直交基底になる。この基底で $\|Tx\|^2$ を足すと、$\ker T$ の元では $0$、$e_j$ では $\lambda_j^2$ である。prop-hs-basis により和は基底によらない。$\square$

2 乗可積分な核をもつ積分作用素

$(X,\mu)$、$(Y,\nu)$ を $\sigma$ 有限な測度空間とし、$L^2(X)$、$L^2(Y)$ は可分とする($\mathbb R^n$ の開集合と Lebesgue 測度など)。$K\in L^2(X\times Y)$(積測度)について、$K_x:=K(x,\cdot)$ とおく。

積分作用素との一致
  1. $K\in L^2(X\times Y)$ なら、ほとんどすべての $x$ で
    $$ (T_Ku)(x):=\int_YK(x,y)u(y)\,d\nu(y)\qquad(u\in L^2(Y)) $$
    が定まり、$T_K\in\mathrm{HS}(L^2(Y),L^2(X))$、$\|T_K\|_{\mathrm{HS}}=\|K\|_{L^2(X\times Y)}$ である。
  2. 逆に、任意の $T\in\mathrm{HS}(L^2(Y),L^2(X))$ について $T=T_K$ となる $K\in L^2(X\times Y)$ が、ほとんどいたるところ等しいものを除いてただ 1 つある。

1:Fubiniの定理 の記事の定理「Tonelliの定理」により、ほとんどすべての $x$ で $K_x\in L^2(Y)$ であり、$\int_X\|K_x\|^2\,d\mu=\|K\|^2$ である。そのような $x$ では Cauchy–Schwarz の不等式により $(T_Ku)(x)=\langle K_x,\bar u\rangle$ が定まり、$|(T_Ku)(x)|\le\|K_x\|\|u\|$ である。($x$ について可測であることは、測度有限な $A\subset X$ の上で $\int_{A\times Y}|K(x,y)u(y)|\le\mu(A)^{1/2}\|K\|\|u\|$ に Fubiniの定理 の記事の定理「Fubiniの定理」を当てて分かる。)よって $\|T_Ku\|^2\le\int_X\|K_x\|^2\|u\|^2\,d\mu=\|K\|^2\|u\|^2$ で、$T_K$ は有界である。
$(e_k)$ を $L^2(Y)$ の正規直交基底とすると $(\bar e_k)$ も正規直交基底で、$(T_Ke_k)(x)=\langle K_x,\bar e_k\rangle$ である。単調収束定理と Parseval の等式から
$$ \sum_k\|T_Ke_k\|^2=\int_X\sum_k|\langle K_x,\bar e_k\rangle|^2\,d\mu(x)=\int_X\|K_x\|^2\,d\mu(x)=\|K\|^2 . $$
2:$(f_j)$ を $L^2(X)$ の、$(e_k)$ を $L^2(Y)$ の正規直交基底とし、$\varphi_{jk}(x,y):=f_j(x)\overline{e_k(y)}$ とおく。Fubini の定理により $\langle\varphi_{jk},\varphi_{j'k'}\rangle=\langle f_j,f_{j'}\rangle\overline{\langle e_k,e_{k'}\rangle}$ なので、$(\varphi_{jk})$ は $L^2(X\times Y)$ の正規直交系である。$t_{jk}:=\langle Te_k,f_j\rangle$ とおくと Parseval の等式により $\sum_{j,k}|t_{jk}|^2=\sum_k\|Te_k\|^2<\infty$ なので、$K_N:=\sum_{j,k\le N}t_{jk}\varphi_{jk}$ は $L^2(X\times Y)$ の Cauchy 列であり、極限 $K$ をもつ。$k\le N$ なら $T_{K_N}e_k=\sum_{j\le N}t_{jk}f_j$ である。thm-hs-basic の 1 とこの定理の 1 により $\|T_K-T_{K_N}\|\le\|T_{K-K_N}\|_{\mathrm{HS}}=\|K-K_N\|\to0$ なので、$N\to\infty$ として
$$ T_Ke_k=\sum_jt_{jk}f_j=Te_k\qquad(\text{すべての }k) $$
を得る。有界作用素 $T_K$ と $T$ は正規直交基底の上で一致するので等しい。一意性:$T_K=T_{K'}$ なら、1 により $\|K-K'\|=\|T_{K-K'}\|_{\mathrm{HS}}=0$ である。$\square$

この定理により、$K\mapsto T_K$ は Hilbert 空間 $L^2(X\times Y)$ から $\mathrm{HS}(L^2(Y),L^2(X))$ への等長同型である。特に 2 乗可積分な核をもつ積分作用素はコンパクトであり、コンパクト作用素 の記事の Riesz–Schauder の理論を積分方程式 $\lambda u-T_Ku=f$ に当てられる。Fubini の定理により $\langle T_Ku,v\rangle=\langle u,T_{K^\dagger}v\rangle$($K^\dagger(y,x):=\overline{K(x,y)}$)なので、$K(x,y)=\overline{K(y,x)}$ なら $T_K$ は自己共役である。

行列で表される作用素

$X=Y=\{1,2,3,\dots\}$ に数え上げ測度を入れると $L^2(X)=\ell^2$ であり、核は無限行列 $(a_{ij})$、積分作用素は $(Tx)_i=\sum_ja_{ij}x_j$ である。thm-hs-kernel は、$\ell^2$ 上の有界作用素が Hilbert–Schmidt であることと、標準基底に関する行列成分が $\sum_{i,j}|a_{ij}|^2<\infty$ を満たすことが同値で、$\|T\|_{\mathrm{HS}}^2=\sum_{i,j}|a_{ij}|^2$ となることを述べている。有限次元ではこれは Frobenius ノルムであり、特異値分解 の記事が扱う量である。

第 2 種の積分方程式の択一

$K\in L^2(X\times X)$、$\lambda\in\mathbb K\setminus\{0\}$ とし、$L^2(X)$ での方程式
$$ \lambda u(x)-\int_XK(x,y)u(y)\,d\mu(y)=f(x) $$
を考える。$f=0$ のときの解が $u=0$ だけなら、任意の $f\in L^2(X)$ に対して解がただ 1 つあり、$\|u\|\le C\|f\|$($C$ は $f$ によらない)となる。そうでなければ、$f=0$ の解の全体は有限次元で、$0$ でない次元をもつ。

thm-hs-kernel と thm-hs-basic の 3 により $T_K$ はコンパクトである。コンパクト作用素 の記事の定理「Riesz–Schauderの理論」の 1・3・4 を $A=\lambda I-T_K$ に当てればよい。$\square$

言い換えると、$\lambda$ が $T_K$ の $0$ でない固有値でない限り、方程式は一意に解ける。

例:Volterra 作用素と Green 関数

Volterra作用素

$L^2(0,1)$ 上の $(Vu)(x):=\int_0^xu(y)\,dy$ は核 $K(x,y)=\mathbf 1_{\{y< x\}}$ の積分作用素なので Hilbert–Schmidt 作用素であり、$\|V\|_{\mathrm{HS}}^2=\int_0^1\!\int_0^x dy\,dx=\tfrac12$ である。

Green関数と $\sum n^{-4}$

$G(x,y):=\min(x,y)\bigl(1-\max(x,y)\bigr)$($x,y\in[0,1]$)とし、$L^2(0,1)$ 上の $T:=T_G$ を考える。$w:=Tu$ は $-w''=u$、$w(0)=w(1)=0$ の解であり(Green関数)、$T$ は単射な自己共役 Hilbert–Schmidt 作用素で、固有値は $\mu_n=1/(n\pi)^2$($n\ge1$、各々の固有空間は $\sin n\pi x$ の張る 1 次元)である。cor-hs-eigen と thm-hs-kernel により
$$ \sum_{n\ge1}\frac1{(n\pi)^4}=\|T\|_{\mathrm{HS}}^2=\int_0^1\!\!\int_0^1G(x,y)^2\,dx\,dy=2\int_0^1\!\!\int_0^xy^2(1-x)^2\,dy\,dx=\frac23\int_0^1x^3(1-x)^2\,dx=\frac1{90} $$
となり、$\sum_{n\ge1}n^{-4}=\pi^4/90$ を得る。

Green関数の例の確かめ
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$w(x)=(1-x)\int_0^xyu(y)\,dy+x\int_x^1(1-y)u(y)\,dy$ であり、$u\in L^2\subset L^1$ なので $w$ は絶対連続で $w'(x)=-\int_0^xyu+\int_x^1(1-y)u$ はさらに絶対連続、$w''=-xu-(1-x)u=-u$(a.e.)、$w(0)=w(1)=0$ である。$w=0$ なら $u=-w''=0$ なので $T$ は単射である。$G$ は実数値で対称なので $T$ は自己共役である。$T\varphi=\mu\varphi$、$\varphi\ne0$ とすると $\mu\ne0$ で、$\varphi=\mu^{-1}T\varphi$ は連続、すると $T\varphi\in C^2$ なので $\varphi\in C^2$ で $-\mu\varphi''=\varphi$、$\varphi(0)=\varphi(1)=0$ となる。$\mu< 0$ なら $\varphi=a\sinh(x/\sqrt{-\mu})$ で $\varphi(1)=0$ から $a=0$ となり不適。$\mu>0$ なら $\varphi=a\sin(x/\sqrt\mu)$ で、$\varphi(1)=0$ から $1/\sqrt\mu=n\pi$($n\ge1$)である。逆に $\varphi=\sin n\pi x$ について $-\varphi''=(n\pi)^2\varphi$ なので $T\varphi=(n\pi)^{-2}\varphi$ である($-w''=\varphi$、$w(0)=w(1)=0$ の解は一意:差 $d$ は $d''=0$、$d(0)=d(1)=0$ で $d=0$)。積分は $\int_0^1x^3(1-x)^2dx=\tfrac14-\tfrac25+\tfrac16=\tfrac1{60}$ による。$\ker T=0$ なので、コンパクト作用素 の記事の定理「自己共役コンパクト作用素のスペクトル分解」から $\{\sqrt2\sin n\pi x\}_{n\ge1}$ は $L^2(0,1)$ の正規直交基底でもある。$\square$

仮定を外すと成り立たなくなること

外す条件反例成り立たなくなること
$\sum\|Te_k\|^2<\infty$(コンパクト性だけにする)$\ell^2$ 上の $Tx=(x_n/\sqrt n)_n$コンパクトだが $\sum\|Te_n\|^2=\sum1/n=\infty$
$(e_k)$ の各元のノルムが $1$$\ell^2$ の恒等作用素と完全な直交系 $v_k=e_k/k$$\sum\|Iv_k\|^2=\sum1/k^2<\infty$ だが $I$ は Hilbert–Schmidt でない
$\|\cdot\|_{\mathrm{HS}}$ での収束(作用素ノルムに替える)$T_N x=(x_1,x_2/\sqrt2,\dots,x_N/\sqrt N,0,\dots)$$T_N$ は作用素ノルムで 1 行目の $T$ に収束するが、$T$ は Hilbert–Schmidt でない
反例の確かめ
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1 行目:$T$ は コンパクト作用素 の記事の例「対角作用素」によりコンパクトで、標準基底で $\sum\|Te_n\|^2=\sum_n1/n$ は発散する。cor-hs-eigen でも固有値 $1/\sqrt n$ の 2 乗和が発散する。2 行目:$(v_k)$ は直交し、張る部分空間は稠密だが、正規直交基底 $(e_k)$ では $\sum\|Ie_k\|^2=\infty$ であり、prop-hs-basis により $I$ は Hilbert–Schmidt でない(無限次元なのでコンパクトですらない)。3 行目:$\|T-T_N\|=1/\sqrt{N+1}\to0$ だが $\|T-T_N\|_{\mathrm{HS}}^2=\sum_{n>N}1/n=\infty$ である。作用素ノルムで閉じた全体はコンパクト作用素の全体であり、Hilbert–Schmidt 作用素の全体は作用素ノルムでは閉じていない。$\square$

文献

文献

定義と、基底によらないこと・ノルムであること・コンパクトであることの主張は Bre11 の Comments on Chapter 6 の 2(p. 169)にあり、積分作用素との一致は同 Theorem 6.12(p. 169、主張のみ)である。同 Problem 40(pp. 497–499)は、これらを小問に分けて導く問題である。$L^2$ 核の積分作用素がコンパクトであることは Axl26 10.70(p. 314)に証明があり、核の $L^2$ ノルムの 2 乗が特異値の 2 乗和に等しいことは同 10.120(pp. 334–335)にある。

関連項目

参考文献

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