関数の増減と極値

同義語:関数の増減monotonicity and local extrema

概要

関数の増減と極値(monotonicity and local extrema)とは、導関数の符号から増加・減少を決め、極大・極小と最大・最小を読み取る方法である。区間で連続で内部で $f'(x)>0$ なら $f$ はその区間で増加する(平均値の定理による。区間でないと成り立たないことがある)。$f$ が開区間の点 $a$ で極値をとり $a$ で微分可能なら $f'(a)=0$ である(Fermat の定理)が、逆は成り立たず、$x^3$ は $f'(0)=0$ でも $x=0$ で極値をとらない。$f$ が $a$ で連続で $a$ の前後で $f'$ の符号が正から負に変われば極大、負から正に変われば極小である。閉区間で連続な関数の最大値・最小値は、端点、微分できない点、$f'=0$ の点の値を比べて求まる。$f'(a)=0$、$f''(a)>0$ なら極小である(2 階の判定)。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 微分係数と導関数の定義(高校数学), 平均値の定理, 区間, 連続関数

高校での出発点:増減表

数学 II では、3 次関数のグラフを描くときに増減表を作る。導関数 $f'(x)$ の符号を調べ、$f'(x)>0$ の範囲では「増加(↗)」、$f'(x)<0$ の範囲では「減少(↘)」と書き、向きが変わる点で極大・極小を読む。まず、この手順を例で確かめる。

例 1:3 次関数の増減表

$f(x)=x^3-3x$ とする。導関数は
$$ f'(x)=3x^2-3=3(x+1)(x-1) $$
である。$f'(x)=0$ となるのは $x=-1$ と $x=1$ のときである。$f'(x)$ の符号は、2 つの因数 $x+1$、$x-1$ の符号で決まる。

  • $x<-1$ のとき:$x+1<0$、$x-1<0$ なので $f'(x)>0$。
  • $-1< x<1$ のとき:$x+1>0$、$x-1<0$ なので $f'(x)<0$。
  • $x>1$ のとき:$x+1>0$、$x-1>0$ なので $f'(x)>0$。
    値は $f(-1)=-1+3=2$、$f(1)=1-3=-2$ である。増減表は次のようになる。
    $x$$\cdots$$-1$$\cdots$$1$$\cdots$
    $f'(x)$$+$$0$$-$$0$$+$
    $f(x)$↗極大 $2$↘極小 $-2$↗
    $x=-1$ で増加から減少に変わるので極大値 $2$、$x=1$ で減少から増加に変わるので極小値 $-2$ である(図1)。

!FORMULA[44][-1635036329][0] のグラフ(上)と導関数 !FORMULA[45][-1959037795][0] のグラフ(下)。導関数が正の範囲(赤)でグラフが上り、負の範囲(青)でグラフが下ることと、符号が変わる !FORMULA[46][-722293021][0] で極値をとることを見る図。 $y=x^3-3x$ のグラフ(上)と導関数 $y=3x^2-3$ のグラフ(下)。導関数が正の範囲(赤)でグラフが上り、負の範囲(青)でグラフが下ることと、符号が変わる $x=\pm1$ で極値をとることを見る図。

例 2:閉区間での最大・最小

同じ $f(x)=x^3-3x$ を $-2\le x\le3$ で考える。ex-mle-cubic-table の増減表に両端を付け加え、値を計算する。
$$ f(-2)=-8+6=-2,\quad f(-1)=2,\quad f(1)=-2,\quad f(3)=27-9=18. $$
この 4 つの値のうち最大は $18$、最小は $-2$ である。したがって最大値は $18$($x=3$)、最小値は $-2$($x=-2$ と $x=1$)である(図3)。
極大値 $2$ は最大値ではない。極大は「その点の近くで一番高い」という意味で、区間全体で一番高いとは限らないからである。
2次関数の最大・最小 では、同じ関数を $-2\le x\le2$ で考え、微分を使わずに因数分解で最大値 $2$ と最小値 $-2$ を求めた。ここでは導関数の符号から同じ種類の問題を解いている。

例 3:導関数が 0 でも極値でない点、微分できないのに極値の点
  1. $g(x)=x^3$ では $g'(x)=3x^2$ で、$g'(0)=0$ である。しかし $x<0$ では $g(x)<0=g(0)$、$x>0$ では $g(x)>0=g(0)$ なので、$x=0$ は極大でも極小でもない。たとえば $g(-0.1)=-0.001$、$g(0.1)=0.001$ である。
  2. $h(x)=|x|$ は、$x\ne0$ で $h(x)>0=h(0)$ なので $x=0$ で極小値 $0$ をとる。しかし $h$ は $x=0$ で微分できない(左からの差分商は $-1$、右からの差分商は $1$ で、一致しない)。
    1 は「$f'(a)=0$ なら極値」が誤りであること、2 は「極値なら $f'(a)=0$」が微分できる点でしか使えないことを示す(図2)。

左は !FORMULA[82][1114523071][0]。原点で接線は水平だが、グラフは原点を通って上り続け、極値をとらない。右は !FORMULA[83][1114669484][0]。原点でとがっていて微分できないが、極小になっている。 左は $y=x^3$。原点で接線は水平だが、グラフは原点を通って上り続け、極値をとらない。右は $y=|x|$。原点でとがっていて微分できないが、極小になっている。
3 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. $f'>0$ ならなぜ増加なのか。どんな仮定が要るのか。→ thm-mle-monotone、ex-mle-not-interval
  2. 極値をとる点で $f'(a)=0$ になるのはなぜか。→ thm-mle-fermat
  3. $f'(a)=0$ の点のうち、どれが極値か。どう見分けるか。→ thm-mle-first-test、prop-mle-second-test
  4. 閉区間の最大・最小は、なぜ「端点と $f'=0$ の点」を比べれば求まるのか。→ thm-mle-candidates
    高校の計算この記事での見方ボックス
    $f'>0$ の範囲で ↗平均値の定理から出る「区間での増加」thm-mle-monotone
    極値の点で $f'=0$内部の極値点では微分係数が $0$(極値についての Fermat の定理)thm-mle-fermat
    増減表で $+\to-$ なら極大導関数の符号の変化による判定(1 階の判定)thm-mle-first-test
    端点と極値を比べて最大・最小最大点・最小点は端点か臨界点thm-mle-candidates
    $f''(a)>0$ なら極小2 階の判定、多変数では Hesse 行列prop-mle-second-test、ex-mle-hesse
    2 次関数の場合は、微分を使わずに平方完成だけで最大・最小が求まる。それは 2次関数の最大・最小 で扱った。この記事は、その方法を 3 次以上の関数へ広げる道具を用意する。

増加・減少と極値の定義

区間で増加・減少

$I$ を区間とし、$f$ を $I$ で定義された関数とする。

  • $I$ のどの 2 点 $x< y$ についても $f(x)< f(y)$ となるとき、$f$ は $I$ で増加するという。
  • $I$ のどの 2 点 $x< y$ についても $f(x)>f(y)$ となるとき、$f$ は $I$ で減少するという。
    大学では、これらを「狭義単調増加」「狭義単調減少」と呼び、等号を許す $f(x)\le f(y)$ のほうを「単調増加」と呼ぶことが多い。
増加・減少を定義で確かめる
  1. $f(x)=x^2$ は区間 $x\ge0$ で増加する。$0\le x< y$ なら $f(y)-f(x)=y^2-x^2=(y-x)(y+x)$ で、$y-x>0$、$y+x>0$ だから $f(y)-f(x)>0$ である。
  2. $f(x)=x^2$ は実数全体では増加も減少もしない。$-1<0$ で $f(-1)=1>0=f(0)$、$0<1$ で $f(0)=0<1=f(1)$ である。
極大・極小

$f$ を、点 $a$ を含むある開区間で定義された関数とする。

  • ある正の数 $\delta$ があって、$0<|x-a|<\delta$ を満たすすべての $x$ で $f(x)< f(a)$ となるとき、$f$ は $x=a$ で極大になるといい、$f(a)$ を極大値という。
  • ある正の数 $\delta$ があって、$0<|x-a|<\delta$ を満たすすべての $x$ で $f(x)>f(a)$ となるとき、$f$ は $x=a$ で極小になるといい、$f(a)$ を極小値という。
    ここで $\delta$ は、$a-\delta< x< a+\delta$ の範囲が $f$ の定義された開区間に収まるようにとる。
    極大値と極小値をあわせて極値という。$f(x)< f(a)$ を $f(x)\le f(a)$ に弱めたものを広い意味の極大、$f(x)>f(a)$ を $f(x)\ge f(a)$ に弱めたものを広い意味の極小と呼ぶことにする。

$0<|x-a|<\delta$ は「$x$ が $a$ から $\delta$ 未満の距離にあり、$a$ そのものではない」という意味である。極大は $a$ の近くだけ を見た性質であり、遠くにもっと高い点があってもかまわない。

極大の定義を $\delta$ で確かめる
  1. $f(x)=x^3-3x$ が $x=-1$ で極大であることを、定義どおりに確かめる。
    $$ f(x)-f(-1)=x^3-3x-2=(x+1)^2(x-2) $$
    である(右辺を展開すると $(x^2+2x+1)(x-2)=x^3-3x-2$)。$\delta=3$ とすると、$0<|x+1|<3$ なら $-4< x<2$ なので $x-2<0$、また $x\ne-1$ なので $(x+1)^2>0$ である。よって $f(x)-f(-1)<0$、すなわち $f(x)< f(-1)$ である。
  2. 同じ $f$ は $x=3$ で $f(3)=18>2=f(-1)$ となる。極大値 $2$ より大きい値が遠くにある。これは ex-mle-cubic-interval で見たとおりである。

広い意味の極大は大学の教科書でよく使われる(Leb26 Definition 4.2.1 の relative maximum はこちらである)。定数関数 $f(x)=5$ では、どの点も広い意味の極大かつ広い意味の極小だが、def-mle-local-extremum の意味の極値はどこにもない。

導関数の符号と増減

数学 II では「$f'(x)>0$ なら増加」をグラフの接線の傾きから直観的に認めて使う。ここでは、それを数学 III の平均値の定理から証明する。

前提とする定理
  1. 平均値の定理:$a< b$ とし、$f$ が閉区間 $[a,b]$ で連続、開区間 $(a,b)$ で微分可能ならば、$f(b)-f(a)=f'(c)(b-a)$ となる $c$ が $a< c< b$ の範囲にある(Leb26 Theorem 4.2.4)。証明は 平均値の定理による差の評価 にある。本記事では証明しない。
  2. 最大値・最小値の定理:閉区間で連続な関数は、その区間で最大値と最小値をとる(Leb26 Theorem 3.3.2)。本記事では証明しない。
  3. 点 $a$ で微分可能な関数は、$a$ で連続である。証明は 微分係数と導関数の定義(高校数学) で扱う。本記事では証明しない。
導関数の符号と増減

$I$ を区間とし、$f$ は $I$ で連続で、$I$ の端点以外のすべての点で微分可能とする。

  1. $I$ の端点以外のすべての点で $f'(x)>0$ ならば、$f$ は $I$ で増加する。
  2. $I$ の端点以外のすべての点で $f'(x)<0$ ならば、$f$ は $I$ で減少する。
    $I$ が端点を含むとき(たとえば閉区間 $[a,b]$)、端点では $f'$ の符号を問わない。
2 点をとって平均値の定理を使う

方針:$I$ の 2 点 $x< y$ をとり、$[x,y]$ で平均値の定理を使って、$f(y)-f(x)$ の符号を $f'$ の符号から読む。
段 1(平均値の定理が使えること)。$x< y$ を $I$ の 2 点とする。$I$ は区間なので、$x$ と $y$ の間の数はすべて $I$ に属する。すなわち $[x,y]$ は $I$ に含まれる。$f$ は $I$ で連続なので $[x,y]$ で連続である。$x< t< y$ を満たす $t$ は、$I$ の中で $x$ より大きく $y$ より小さいので、$I$ の端点ではない。仮定から $f$ は $t$ で微分可能である。したがって $f$ は $(x,y)$ で微分可能である。
段 2(平均値の定理)。rem-mle-premises の 1 により
$$ f(y)-f(x)=f'(c)(y-x) $$
となる $c$ が $x< c< y$ の範囲にある。段 1 と同じ理由で $c$ は $I$ の端点ではない。
段 3(1 の場合)。仮定から $f'(c)>0$ であり、$y-x>0$ である。正の数どうしの積は正なので $f(y)-f(x)>0$、すなわち $f(x)< f(y)$ である。$x< y$ は $I$ の任意の 2 点だったので、$f$ は $I$ で増加する。
段 4(2 の場合)。$f'(c)<0$、$y-x>0$ なので積は負であり、$f(y)-f(x)<0$、すなわち $f(x)>f(y)$ である。$\square$

同じ定理は 平均値の定理による差の評価 でも、平均値の定理の帰結として示している。

定理を使って増減を決める
  1. $f(x)=x^3-3x$ は $-1\le x\le1$ で連続で、端点以外の $-1< x<1$ では $f'(x)=3(x+1)(x-1)<0$ である(ex-mle-cubic-table)。thm-mle-monotone の 2 により、$f$ は閉区間 $[-1,1]$ で減少する。端点 $x=\pm1$ では $f'=0$ だが、定理はそれを問わない。実際 $f(-1)=2>f(-\tfrac12)=\tfrac{11}8>f(0)=0>f(\tfrac12)=-\tfrac{11}8>f(1)=-2$ である。
  2. $f(x)=x^3+x$ では $f'(x)=3x^2+1\ge1>0$ なので、$f$ は実数全体で増加する。たとえば $f(1)=2< f(2)=10$ である。

$f'$ が $0$ になる点が有限個だけあっても、増加は保たれる。

導関数が有限個の点で 0 になる場合

$I$ を区間とし、$f$ は $I$ で連続、$I$ の端点以外の点で微分可能とする。$I$ の端点以外の点のうち有限個の点 $c_1< c_2<\cdots< c_k$ を除いて $f'(x)>0$ ならば、$f$ は $I$ で増加する。

例外の点で区間を分ける

方針:例外の点で区間を小区間に分け、各小区間で thm-mle-monotone を使い、不等式をつなぐ。
段 1。$x< y$ を $I$ の 2 点とする。$c_1,\dots,c_k$ のうち $x< c_i< y$ を満たすものを小さい順に $d_1<\cdots< d_m$ とする($m=0$ でもよい)。$d_0:=x$、$d_{m+1}:=y$ とおく。
段 2。各 $j=0,1,\dots,m$ について、閉区間 $[d_j,d_{j+1}]$ は $I$ に含まれる。その端点以外の点 $t$($d_j< t< d_{j+1}$)は $I$ の端点でなく、例外の点 $c_i$ でもない($x$ と $y$ の間の例外の点は $d_1,\dots,d_m$ だけで、$t$ はそのどれとも異なる)。よって $f'(t)>0$ である。$f$ は $[d_j,d_{j+1}]$ で連続なので、thm-mle-monotone の 1 をこの閉区間に使うと $f(d_j)< f(d_{j+1})$ である。
段 3。段 2 の不等式を $j=0$ から $j=m$ までつなぐと
$$ f(x)=f(d_0)< f(d_1)<\cdots< f(d_{m+1})=f(y) $$
となる。$\square$

導関数が 0 になる点を含む増加
  1. $g(x)=x^3$ では $g'(x)=3x^2$ は $x=0$ でだけ $0$、それ以外で正である。prop-mle-finite-zeros により $g$ は実数全体で増加する。ex-mle-two-surprises の 1 で「$x=0$ は極値でない」と確かめたのは、このことの一部である。
  2. $f(x)=x^4-4x^3$ では $f'(x)=4x^3-12x^2=4x^2(x-3)$ である。$x<3$ かつ $x\ne0$ では $x^2>0$、$x-3<0$ なので $f'(x)<0$ である。prop-mle-finite-zeros を $-f$ に使うと、$f$ は $x\le3$ で減少する。$x=0$ は $f'(0)=0$ だが極値ではない。値は $f(-1)=5>f(0)=0>f(1)=-3>f(3)=-27$ と減っている。

thm-mle-monotone の逆は成り立たない。$g(x)=x^3$ は増加するが $g'(0)=0$ なので、「増加するなら $f'>0$」は誤りである。正しいのは「増加するなら $f'\ge0$」である(Leb26 Proposition 4.2.7、4.2.8)。

Fermat の定理:極値の点では $f'(a)=0$

極値の点での微分係数(Fermat の定理)

$f$ は点 $a$ を含むある開区間 $J$ で定義され、$a$ で微分可能とする。$f$ が $a$ で広い意味の極大または広い意味の極小になるならば、$f'(a)=0$ である。特に、def-mle-local-extremum の意味の極値をとる点でも $f'(a)=0$ である。

右側と左側の差分商の符号

方針:$a$ の右と左で差分商 $\frac{f(x)-f(a)}{x-a}$ の符号を調べる。右からの極限は $0$ 以下、左からの極限は $0$ 以上になり、どちらも $f'(a)$ に等しいので $f'(a)=0$ となる。
段 1(広い意味の極大のとき、差分商の符号)。ある $\delta>0$ があって、$|x-a|<\delta$ を満たす $J$ の点 $x$ で $f(x)\le f(a)$ である。必要なら $\delta$ を小さくとり直して、$a-\delta< x< a+\delta$ の範囲が $J$ に含まれるようにする。すると、$|x-a|<\delta$ を満たすすべての $x$ で $f(x)-f(a)\le0$ である。

  • $a< x< a+\delta$ のとき、分母 $x-a$ は正なので $\dfrac{f(x)-f(a)}{x-a}\le0$ である。
  • $a-\delta< x< a$ のとき、分母 $x-a$ は負なので $\dfrac{f(x)-f(a)}{x-a}\ge0$ である。
    段 2(極限をとる)。$f$ は $a$ で微分可能なので、$x$ を右から $a$ に近づけても左から近づけても、差分商は $f'(a)$ に近づく。$0$ 以下の数の極限は $0$ 以下なので、右から近づけて $f'(a)\le0$ である。$0$ 以上の数の極限は $0$ 以上なので、左から近づけて $f'(a)\ge0$ である。2 つを合わせて $f'(a)=0$ である。
    段 3(広い意味の極小のとき)。$-f$ は $a$ で広い意味の極大になり、$a$ で微分可能で $(-f)'(a)=-f'(a)$ である。段 1・段 2 を $-f$ に使うと $-f'(a)=0$、すなわち $f'(a)=0$ である。
    段 4(極値のとき)。def-mle-local-extremum の極大($f(x)< f(a)$)は広い意味の極大($f(x)\le f(a)$)でもあり、極小も同様である。よって段 1〜段 3 が使える。$\square$
Fermat の定理を確かめる
  1. $f(x)=x^3-3x$ は $x=-1$ で極大、$x=1$ で極小になる(ex-mle-cubic-table)。$f'(x)=3x^2-3$ なので、確かに $f'(-1)=0$、$f'(1)=0$ である。
  2. $f(x)=x^4-2x^2$ は、$f(x)-(-1)=x^4-2x^2+1=(x^2-1)^2\ge0$ なので、$x=\pm1$ で最小値 $-1$ をとる。$f'(x)=4x^3-4x$ で、$f'(1)=4-4=0$、$f'(-1)=-4+4=0$ である。

Fermat の定理は、極値をとる点の候補を $f'(a)=0$ の解にしぼる。しかし逆は成り立たない(ex-mle-two-surprises の 1)。また、仮定の「開区間の中の点」と「微分可能」は外せない(ex-mle-endpoint、ex-mle-two-surprises の 2)。大学では、$f'(c)=0$ となる点 $c$ を $f$ の臨界点という(Leb26 §4.2.1、Lemma 4.2.2 の後)。

1 階の判定:符号の変わり方で極値を決める

増減表で「$+$ から $-$ に変わる点が極大」と読むのは、次の定理を使っていることになる。

導関数の符号の変化による極値の判定

$f$ は点 $a$ で連続とし、ある $\delta>0$ について $a-\delta< x< a$ と $a< x< a+\delta$ の範囲で微分可能とする($a$ そのものでは微分可能でなくてもよい)。

  1. $a-\delta< x< a$ で $f'(x)>0$、$a< x< a+\delta$ で $f'(x)<0$ ならば、$f$ は $x=a$ で極大になる。
  2. $a-\delta< x< a$ で $f'(x)<0$、$a< x< a+\delta$ で $f'(x)>0$ ならば、$f$ は $x=a$ で極小になる。
  3. $a$ の両側で $f'(x)$ が同じ符号(両側とも正、または両側とも負)ならば、$f$ は $x=a$ で極大にも極小にもならない。
左右それぞれで増減の定理を使う

方針:$a$ の左側の閉区間 $[x,a]$ と右側の閉区間 $[a,x]$ で thm-mle-monotone を使う。$a$ で微分可能でなくても、$a$ は小区間の端点なので問題にならない。
段 1(左側の閉区間で使えること)。$a-\delta< x< a$ とする。$x\le t< a$ の点 $t$ では $f$ は微分可能なので連続であり(rem-mle-premises の 3)、$t=a$ では仮定から連続である。よって $f$ は $[x,a]$ で連続である。端点以外の点 $x< t< a$ では微分可能である。右側の閉区間 $[a,x]$($a< x< a+\delta$)についても同じである。
段 2(1 の証明)。左側:$[x,a]$ の端点以外で $f'>0$ なので、thm-mle-monotone の 1 により $f$ は $[x,a]$ で増加し、$f(x)< f(a)$ である。右側:$[a,x]$ の端点以外で $f'<0$ なので、thm-mle-monotone の 2 により $f$ は $[a,x]$ で減少し、$f(a)>f(x)$ である。どちらの場合も $f(x)< f(a)$ なので、$0<|x-a|<\delta$ で $f(x)< f(a)$ となり、$x=a$ で極大である。
段 3(2 の証明)。段 2 と同じ議論で不等号の向きが逆になり、$0<|x-a|<\delta$ で $f(x)>f(a)$ となる。
段 4(3 の証明)。両側とも $f'>0$ とする。段 2 の左側の議論から $a-\delta< x< a$ で $f(x)< f(a)$、右側では $[a,x]$ で増加するので $a< x< a+\delta$ で $f(x)>f(a)$ である。$a$ のどんな近くにも $f(a)$ より小さい値と大きい値の両方があるので、広い意味の極大でも広い意味の極小でもない。両側とも $f'<0$ のときも同じである。$\square$

1 階の判定を使う
  1. $f(x)=x^4-4x^3$、$f'(x)=4x^2(x-3)$(ex-mle-finite-zeros の 2)。$f'(x)=0$ となるのは $x=0$ と $x=3$ である。
    • $x=0$ の両側($x<0$ と $0< x<3$)では $f'<0$ で符号が変わらないので、thm-mle-first-test の 3 により極値ではない。
    • $x=3$ の左($0< x<3$)で $f'<0$、右($x>3$)で $f'>0$ なので、2 により極小で、極小値は $f(3)=81-108=-27$ である。
      増減表にすると次のようになる。
      $x$$\cdots$$0$$\cdots$$3$$\cdots$
      $f'(x)$$-$$0$$-$$0$$+$
      $f(x)$↘$0$↘極小 $-27$↗
  2. $h(x)=|x|$ は $x=0$ で連続で、$x<0$ で $h'(x)=-1<0$、$x>0$ で $h'(x)=1>0$ である。thm-mle-first-test の 2 により $x=0$ で極小である。定理は $a$ での微分可能性を仮定しないので、ex-mle-two-surprises の 2 のとがった点にも使える。

増減表を作るときは、$f'(x)=0$ の点だけでなく、微分できない点も表に入れる。$|x|$ のような点で極値をとることがあるからである。

閉区間での最大・最小

最大・最小をとる点の候補

$\alpha<\beta$ とし、$f$ は閉区間 $[\alpha,\beta]$ で連続とする。このとき $f$ は $[\alpha,\beta]$ で最大値と最小値をとる。さらに、最大値または最小値をとる点 $c$ は、次のどれかである。

  1. 端点 $c=\alpha$ または $c=\beta$。
  2. $\alpha< c<\beta$ で、$f$ が $c$ で微分可能でない点。
  3. $\alpha< c<\beta$ で、$f'(c)=0$ となる点。
    したがって、これらの点での $f$ の値を比べれば、最大値と最小値が求まる。
内部の最大点は広い意味の極大

方針:存在は最大値・最小値の定理から得る。最大点が内部にあって微分可能なら、そこは広い意味の極大なので Fermat の定理が使える。
段 1(存在)。rem-mle-premises の 2 により、$f$ は $[\alpha,\beta]$ で最大値 $M$ と最小値 $m$ をとる。
段 2(最大点が内部にあるとき)。$f(c)=M$、$\alpha< c<\beta$ とし、$f$ は $c$ で微分可能とする。開区間 $J:=(\alpha,\beta)$ は $c$ を含み、$J$ のすべての点 $x$ で $f(x)\le M=f(c)$ である。よって $f$ を $J$ に制限した関数は $c$ で広い意味の極大になる($\delta$ として $c-\alpha$ と $\beta-c$ の小さいほうをとればよい)。thm-mle-fermat により $f'(c)=0$ である。
段 3(まとめ)。最大値をとる点 $c$ は、端点であるか(1)、内部にあって微分できない点であるか(2)、内部にあって微分できる点であるかのどれかで、最後の場合は段 2 により $f'(c)=0$ である(3)。最小値については、$-f$ の最大値を考えれば同じ結論が出る。$\square$

候補を比べて最大・最小を求める
  1. ex-mle-cubic-interval の計算は、この定理そのものである。$f(x)=x^3-3x$ は多項式なのでどの点でも微分可能であり、候補は端点 $-2,3$ と $f'=0$ の点 $-1,1$ の 4 つである(図3)。
  2. $k(x)=x^3-6x^2+9x$ を $0\le x\le4$ で考える。$k'(x)=3x^2-12x+9=3(x-1)(x-3)$ なので、候補は $0,1,3,4$ である。
    $$ k(0)=0,\quad k(1)=1-6+9=4,\quad k(3)=27-54+27=0,\quad k(4)=64-96+36=4. $$
    最大値は $4$($x=1$ と $x=4$)、最小値は $0$($x=0$ と $x=3$)である。最大値を内部の極大点と端点の両方でとっている。

!FORMULA[538][-1635036329][0] の !FORMULA[539][-1153690718][0] の部分(太線)。候補は両端と !FORMULA[540][1126070572][0] の 2 点の計 4 点で、最大値は右端、最小値は左端と極小点の 2 か所でとる。極大値 !FORMULA[541][36182][0] は最大値でないことを見る図。 $y=x^3-3x$ の $-2\le x\le3$ の部分(太線)。候補は両端と $f'=0$ の 2 点の計 4 点で、最大値は右端、最小値は左端と極小点の 2 か所でとる。極大値 $2$ は最大値でないことを見る図。

2 階の判定

$f'(a)=0$ の点で第 2 次導関数 $f''(a)$ の符号を見ると、多くの場合、増減表を作らずに極大か極小かが分かる。

第 2 次導関数による判定

$f$ は点 $a$ を含むある開区間で微分可能で、$f'$ が $a$ で微分可能とする。$f'(a)=0$ とする。

  1. $f''(a)>0$ ならば、$f$ は $x=a$ で極小になる。
  2. $f''(a)<0$ ならば、$f$ は $x=a$ で極大になる。
$f'$ の符号の変化を $f''$ から読む

方針:$f''(a)$ は差分商 $\frac{f'(x)-f'(a)}{x-a}=\frac{f'(x)}{x-a}$ の極限である。極限が正なら、$a$ の近くでこの商が正なので、$f'(x)$ は $x-a$ と同じ符号をもつ。あとは thm-mle-first-test を使う。
段 1(差分商が正になる範囲)。$L:=f''(a)>0$ とする。$f'(a)=0$ なので
$$ L=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)-f'(a)}{x-a}=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{x-a} $$
である。極限の定義(極限とε-δ)で誤差の許容幅を $\frac L2$ にとると、ある $\delta>0$ があって、$0<|x-a|<\delta$ ならば
$$ \Bigl|\frac{f'(x)}{x-a}-L\Bigr|<\frac L2 $$
である。このとき $\frac{f'(x)}{x-a}>L-\frac L2=\frac L2>0$ となる。$\delta$ は、$f$ が微分可能な開区間に $a-\delta< x< a+\delta$ が収まるように、必要なら小さくとり直しておく。
段 2($f'$ の符号)。段 1 から、$0<|x-a|<\delta$ で $f'(x)$ と $x-a$ は同じ符号である。すなわち $a-\delta< x< a$ で $f'(x)<0$、$a< x< a+\delta$ で $f'(x)>0$ である。
段 3(1 階の判定)。$f$ は $a$ で微分可能なので連続である。段 2 と thm-mle-first-test の 2 により、$f$ は $x=a$ で極小になる。これが 1 である。
段 4(2 の場合)。$f''(a)<0$ なら、$-f$ について $(-f)'(a)=0$、$(-f)''(a)>0$ である。1 により $-f$ は $a$ で極小、すなわち $f$ は $a$ で極大になる。$\square$

この形の判定は Leb26 Proposition 4.3.3 と Exercise 4.3.11 にある(そこでは広い意味でない極小を strict relative minimum と呼んでいる)。

2 階の判定を使う
  1. $f(x)=x^3-3x$ では $f''(x)=6x$ である。$f''(-1)=-6<0$ なので $x=-1$ で極大、$f''(1)=6>0$ なので $x=1$ で極小である。ex-mle-cubic-table の増減表と一致する。
  2. $f(x)=x^4-2x^2$ では $f'(x)=4x^3-4x=4x(x-1)(x+1)$、$f''(x)=12x^2-4$ である。$f''(0)=-4<0$ なので $x=0$ で極大(極大値 $0$)、$f''(\pm1)=8>0$ なので $x=\pm1$ で極小(極小値 $-1$)である。

$f''(a)=0$ のときは、この判定では何も分からない。ex-mle-second-zero で見るように、極小にも極大にも、どちらでもない場合にもなりうる。そのときは増減表(thm-mle-first-test)に戻る。$f''$ の符号はグラフの凹凸も表す。凹凸と変曲点は 接線・法線と曲線の凹凸 で扱う。

例と反例

この記事の定理の仮定を 1 つずつ外すと、結論が崩れる。

外した仮定崩れる主張ボックス
定義域が区間(thm-mle-monotone)$f'>0$ なら増加ex-mle-not-interval
区間の各点で $f'>0$(1 点だけでは足りない)$a$ の近くで増加ex-mle-one-point
$a$ が開区間の中の点(thm-mle-fermat)極値の点で $f'(a)=0$ex-mle-endpoint
$a$ で微分可能(thm-mle-fermat)極値の点で $f'(a)=0$ex-mle-two-surprises の 2
(逆向きの主張)$f'(a)=0$ なら極値ex-mle-two-surprises の 1
$f''(a)\ne0$(prop-mle-second-test)2 階の判定で極大・極小が決まるex-mle-second-zero
区間が端点を含む(thm-mle-candidates)最大値の存在ex-mle-open-interval
反例:定義域が区間でない

$f(x)=-\dfrac1x$ を $x\ne0$ で考える。$f'(x)=\dfrac1{x^2}>0$ がすべての点で成り立つ。しかし $-1<1$ で $f(-1)=1>-1=f(1)$ なので、$f$ は定義域全体では増加しない。
満たす性質:定義域のすべての点で微分可能で $f'>0$。満たさない性質:定義域が区間であること($0$ が抜けている)。破る主張:thm-mle-monotone の結論。証明の段 1 で「$[x,y]$ が定義域に含まれる」を使ったが、$x=-1$、$y=1$ ではそれが成り立たない。$x<0$ だけ、$x>0$ だけの区間にそれぞれ制限すれば、thm-mle-monotone によりどちらでも増加する。

反例:1 点で $f'(a)>0$ でも、その近くで増加するとは限らない

$g(x)=x+2x^2\sin\dfrac1x$($x\ne0$)、$g(0)=0$ とする。
段 1($g'(0)=1$)。$x\ne0$ で $\dfrac{g(x)-g(0)}{x-0}=1+2x\sin\dfrac1x$ であり、$\bigl|2x\sin\frac1x\bigr|\le2|x|$ なので、$x\to0$ でこれは $1$ に近づく。よって $g'(0)=1>0$ である。
段 2($0$ のすぐ近くに減る部分がある)。$x\ne0$ では $g'(x)=1+4x\sin\dfrac1x-2\cos\dfrac1x$ である。$x_k=\dfrac1{2k\pi}$($k=1,2,3,\dots$)では $\sin\frac1{x_k}=\sin2k\pi=0$、$\cos\frac1{x_k}=1$ なので $g'(x_k)=1-2=-1<0$ である。$g'$ は $x\ne0$ で連続なので、$x_k$ を含むある小さい区間で $g'<0$ となり、thm-mle-monotone によりそこで $g$ は減少する。$x_k$ は $k$ を大きくするといくらでも $0$ に近づくので、$0$ を含むどんな開区間にも減少する部分がある。数値で見ると、$x_1=0.159\ldots$ の近くで $g(0.15)=0.1668\ldots>g(0.17)=0.1474\ldots$ である。
満たす性質:$g$ は微分可能で $g'(0)>0$。満たさない性質:$0$ を含む区間の各点で $g'>0$ であること。破る主張:「$g'(0)>0$ なら $0$ の近くで増加」。thm-mle-monotone が区間のすべての点での符号を仮定するのは、このためである。

反例:区間の端点での最大

$f(x)=x$ を閉区間 $[0,1]$ で考える。最大値は $x=1$ での $f(1)=1$ である。しかし $f'(1)=1\ne0$ である(左からの差分商はつねに $1$)。
満たす性質:$f$ は微分可能で、$x=1$ で区間の最大値をとる。満たさない性質:$1$ を含む開区間で $f(x)\le f(1)$ となること($1$ の右側の点は区間に入っていない)。破る主張:thm-mle-fermat の結論。thm-mle-candidates で端点を別に候補に入れるのは、このためである。

反例:$f''(a)=0$ では 2 階の判定が使えない

3 つの関数 $x^4$、$-x^4$、$x^3$ は、どれも $x=0$ で $f'(0)=0$、$f''(0)=0$ である($(x^4)''=12x^2$、$(x^3)''=6x$)。

  1. $x^4$ は $x\ne0$ で $x^4>0$ なので、$x=0$ で極小である。
  2. $-x^4$ は $x\ne0$ で $-x^4<0$ なので、$x=0$ で極大である。
  3. $x^3$ は ex-mle-two-surprises の 1 のとおり、極値でない。
    満たす性質:$f'(0)=0$。満たさない性質:$f''(0)\ne0$。破る主張:「$f'(a)=0$ の点は $f''(a)$ の符号で分類できる」。$f''(a)=0$ の情報だけでは 3 つの場合を区別できない。
反例:端点を含まない区間

$f(x)=x^3-3x$ を $-2< x<3$(端点を含まない)で考える。
段 1(最小値はある)。ex-mle-cubic-interval により、$-2\le x\le3$ で $f(x)\ge-2$ である。$x=1$ は $-2< x<3$ に含まれ、$f(1)=-2$ なので、最小値は $-2$ である。
段 2(どの値も $18$ 未満)。$f(x)-2=(x+1)^2(x-2)$(ex-mle-delta の 1)なので、$x<1$ では $x-2<0$ から $f(x)\le2$ である。$1\le x\le3$ では $f'(x)=3(x+1)(x-1)$ は $x=1$ 以外で正なので、prop-mle-finite-zeros により $f$ は $[1,3]$ で増加し、$1\le x<3$ で $f(x)< f(3)=18$ である。
段 3(最大値はない)。範囲の点 $x$ を 1 つとる。$x\ge1$ なら、$x':=\frac{x+3}2$ は $x< x'<3$ を満たす範囲の点で、段 2 の増加から $f(x')>f(x)$ である。$x<1$ なら、$f(x)\le2< f(2.5)=15.625-7.5=8.125$ である。どちらの場合も $f(x)$ より大きい値があるので、$f(x)$ は最大値ではない。値は $x$ を $3$ に近づけると $18$ に近づくが、$18$ にはならない。
満たす性質:連続、有界な区間。満たさない性質:区間が端点を含むこと。破る主張:thm-mle-candidates の「最大値が存在する」。

大学数学で見る:臨界点と Hesse 行列

2 変数の関数 $f(x,y)$ でも、極値の点では「どの方向の傾きも $0$」になる。$x$ だけを動かしたときの微分(偏微分)$f_x$ と、$y$ だけを動かしたときの微分 $f_y$ の両方が $0$ になる点を、$f$ の臨界点という。臨界点が極小か極大かを見分けるのが、2 階の判定の 2 変数版である。

2 変数の 2 次式の原点

次の 2 つの関数はどちらも原点 $(0,0)$ で $f_x=f_y=0$ となる。原点で極小になるかどうかを調べる。

  1. $F(x,y)=x^2+xy+y^2$($F_x=2x+y$、$F_y=x+2y$)。
  2. $G(x,y)=x^2+3xy+y^2$($G_x=2x+3y$、$G_y=3x+2y$)。
高校数学で解く:平方完成と直線への制限

1:$y$ を定数とみて $x$ について平方完成すると
$$ F(x,y)=\Bigl(x+\frac y2\Bigr)^2+\frac34y^2 $$
である(右辺を展開すると $x^2+xy+\frac{y^2}4+\frac{3y^2}4$)。2 つの項はどちらも $0$ 以上で、両方が $0$ になるのは $y=0$ かつ $x+\frac y2=0$、すなわち $(x,y)=(0,0)$ のときだけである。よって原点以外で $F>0=F(0,0)$ であり、原点で極小である。
2:直線 $y=x$ の上では $G(x,x)=x^2+3x^2+x^2=5x^2$ で、原点が最小である。直線 $y=-x$ の上では $G(x,-x)=x^2-3x^2+x^2=-x^2$ で、原点が最大である。原点のどんな近くにも $G>0$ の点と $G<0$ の点があるので、原点は極大でも極小でもない。このような点を鞍点という(馬の鞍の形から)。$\square$

大学数学で見ると:Hesse 行列の判定

2 階の偏導関数を並べた行列
$$ H=\begin{pmatrix}f_{xx}&f_{xy}\\ f_{xy}&f_{yy}\end{pmatrix} $$
を Hesse行列 という。臨界点で $f_{xx}>0$ かつ $\det H=f_{xx}f_{yy}-f_{xy}^2>0$ ならば、2 回連続微分可能な関数では、その点は極小である(Leb26b Exercise 8.6.7 は臨界点が原点の場合である。平行移動すれば一般の点でも同じである。本記事では証明しない)。2 次式 $ax^2+2bxy+cy^2$ では、$ac-b^2<0$ なら原点が鞍点になる(2 次形式の分類。2次曲線と2次形式)。
ex-mle-hesse では、$F$ の $H$ は $\begin{pmatrix}2&1\\ 1&2\end{pmatrix}$ で $\det H=4-1=3>0$、$G$ の $H$ は $\begin{pmatrix}2&3\\ 3&2\end{pmatrix}$ で $\det H=4-9=-5<0$ である。高校の平方完成で見た「極小」と「鞍点」が、行列式の符号で判定できる(図4)。1 変数の $f''(a)$ の符号(prop-mle-second-test)は、$1\times1$ の Hesse 行列の符号にあたる。平方完成が $\det H$ と結びつく理由は、2 次形式の分類として 2次曲線と2次形式 で扱う。

左は !FORMULA[785][-1739370210][0] の等高線で、原点を囲む楕円になり原点が極小であることを見る。右は !FORMULA[786][-1101315215][0] の等高線で双曲線になり、直線 !FORMULA[787][36913844][0] の上では増え、!FORMULA[788][1144259729][0] の上では減る鞍点であることを見る図。 左は $x^2+xy+y^2$ の等高線で、原点を囲む楕円になり原点が極小であることを見る。右は $x^2+3xy+y^2$ の等高線で双曲線になり、直線 $y=x$ の上では増え、$y=-x$ の上では減る鞍点であることを見る図。

さらに先へ

  • 1 次近似と Taylor 展開:$f'(a)=0$ の点で $f(x)-f(a)$ の符号を決めるのは、2 次の項 $\frac{f''(a)}2(x-a)^2$ である。$f''(a)=0$ のときは、$0$ でない最初の高階導関数の次数の偶奇で判定できる(Leb26 Exercise 4.3.10)。展開の仕組みは 関数の近似とテイラー展開 で扱う。
  • 臨界点の個数と全体の形:次数が 2 以上の偶数で最高次の係数が正の多項式では、$f'=0$ となる各点の前後で $f'$ の符号が変わるなら、極小の点は極大の点よりちょうど 1 個多い($x^4-2x^2$ では極小 2 個、極大 1 個)。曲面の上の関数の極小・鞍点・極大の個数と曲面の形との関係は、大学では Morse理論 で扱う(本記事では証明しない)。
  • 条件付きの極値:$x^2+y^2=1$ のような条件のもとでの極値は、大学では Lagrange の未定乗数法で扱う。
  • 平均値の定理の応用:増減の定理は、平均値の定理の最も基本的な使い方である。差の評価・漸化式・極限への応用は 平均値の定理の使い方 から読める。

関連項目

参考文献

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