ブロック(グラフ)(block)とは、有限グラフの部分グラフのうち、それ自身として連結で切断点をもたないものの中で包含について極大なものである。ブロックは孤立点、橋とその両端、極大な 2-連結部分グラフのどれかであり、各辺はちょうど 1 つのブロックに含まれ、異なる 2 つのブロックは高々 1 個の切断点だけを共有する。相異なる 2 辺が同じブロックに含まれるのは共通の閉路にのるときに限る。連結なグラフでは、ブロックと切断点を頂点とし包含関係で結んだブロック・切断点グラフが木になり、ブロックの個数の公式や、彩色数がブロックごとの彩色数の最大値に等しいことが従う。
グラフのブロック(block)とは、切断点をもたない連結な部分グラフのうち、包含について極大なものである。連結成分がグラフを「つながっている部分」に分けるように、ブロックは連結なグラフを「1 頂点を除いても切れない部分」に分ける。ブロックどうしは高々 1 頂点でしか重ならず、重なる頂点はちょうど切断点である。さらに、ブロックと切断点を頂点とし、切断点とそれを含むブロックを辺で結ぶと、連結なグラフからは必ず木ができる(ブロック・切断点木)。この木は、どの頂点を除くとグラフのどの部分が切り離されるかを表す。
この記事では、ブロックの定義と形、ブロックの基本的な性質(各辺がちょうど 1 つのブロックに含まれること、2 つのブロックの共通部分は高々 1 個の切断点であること、閉路は 1 つのブロックに収まること)、2 本の辺が同じブロックに含まれるのは共通の閉路にのるときに限ること、ブロック・切断点木が木であることを証明する。応用として、ブロックの個数の公式と、彩色数がブロックごとの彩色数の最大値に等しいことを示す。
以下、グラフは有限の単純グラフ $G=(V,E)$ とする。頂点 $v$ について、$G-v$ は $v$ とそれに接する辺を除いたグラフである。$G$ の連結成分の個数を $\omega(G)$ と書き(連結グラフ)、頂点のないグラフでは $\omega=0$ とする。1 頂点のグラフ $K_1$ は連結である。部分グラフの間の包含は、頂点集合と辺集合の両方の包含の意味でとる(部分グラフ)。
グラフ $G$ の頂点 $v$ が 切断点(cut vertex)であるとは、$\omega(G-v)>\omega(G)$ であることをいう。
$v$ を除いて変わるのは $v$ を含む連結成分 $K$ だけであり、他の成分はそのまま残る。したがって $v$ が切断点であることは、$K-v$ が 2 つ以上の連結成分をもつこと、すなわち $K-v$ が空でなく連結でないことと同値である。$G$ が連結で頂点が 2 個以上なら、$v$ が切断点であることは $G-v$ が連結でないことと同値である(Brooksの定理 の定義「切断点と 2-連結・3-連結」と同じ)。$K_1$ の頂点は、除くと成分の個数が $1$ から $0$ に減るので切断点でない。
連結なグラフ $H$ が切断点をもたず頂点が 2 個以上なら、どの頂点 $v$ についても $H-v$ は連結である。実際 $\omega(H-v)\le\omega(H)=1$ で、$H-v$ は空でないので $\omega(H-v)=1$ となる。
グラフ $G$ の部分グラフ $B$ が $G$ の ブロック(block)であるとは、$B$ がそれ自身のグラフとして連結で切断点をもたず、さらに $B$ を真に含む $G$ の部分グラフで連結かつ切断点をもたないものがないことをいう。
「切断点をもたない」は $B$ 自身についての条件であり、$B$ は $G$ の切断点を含んでよい。$G$ は有限なので、連結で切断点をもたない部分グラフ $H$ はどれも、$H$ を含む連結で切断点をもたない部分グラフのうち包含について極大なものに含まれ、それはブロックである。$G$ の頂点 $v$ だけからなる部分グラフ $K_1$ と、各辺とその両端からなる $K_2$ は連結で切断点をもたないので、各頂点・各辺は少なくとも 1 つのブロックに含まれる。
$G$ の切断点の集合を $A$、ブロックの集合を $\mathcal{B}$ とする。
頂点集合を $A\sqcup\mathcal{B}$ とし、$a\in A$ と $B\in\mathcal{B}$ を $a\in V(B)$ のときに辺で結んだ 2 部グラフを、$G$ の ブロック・切断点グラフ(block-cutpoint graph)という。$G$ が連結なとき、これが木であることを下で示し(thm-blk-tree)、ブロック・切断点木(block-cutpoint tree)とよぶ。
Die25 §3.1(pp. 64–65)はブロックを「切断点をもたない極大な連結部分グラフ」と定め、ブロック・切断点グラフを block graph とよぶ。BM76 §3.2(p. 44)は切断点をもたない連結グラフ自体を block とよび、極大なものを「グラフのブロック」とよぶ。この記事ではブロックといえば def-blk-block の意味で用いる。
連結で切断点をもたないグラフ $H$ は、$K_1$、$K_2$、または 2-連結グラフ(頂点が 3 個以上で、1 頂点を除いても連結なもの。連結度(グラフ) の定義「$k$-連結グラフ」の $k=2$)のどれかである。したがって $G$ のブロックは、孤立点(頂点 1 個)、橋とその両端(頂点 2 個)、極大な 2-連結部分グラフ(頂点 3 個以上)のどれかである。
頂点が 1 個なら $K_1$、2 個なら連結な単純グラフは $K_2$ である。3 個以上なら、上で見たように各 $H-v$ は連結なので 2-連結である。後半の 3 つの場合を確かめる。
頂点 1 個のブロック $\{v\}$ について、$v$ に隣接する頂点 $w$ があれば辺 $vw$ は $\{v\}$ を真に含む連結で切断点をもたない部分グラフなので、極大性に反する。よって $v$ は孤立点である。
頂点 2 個のブロックは 1 本の辺 $e=uv$ とその両端である。$e$ がある閉路 $C$ に含まれれば、$C$ は連結で、1 頂点を除くと道が残るので切断点をもたず、$e$ を真に含むので極大性に反する。よって $e$ は閉路に含まれず、閉路 の定理「閉路に含まれる辺と橋」により橋である。
頂点 3 個以上のブロックは 2-連結であり、2-連結な部分グラフは切断点をもたない連結グラフなので、極大性により極大な 2-連結部分グラフである。$\square$
逆に、孤立点・橋とその両端・極大な 2-連結部分グラフはどれもブロックである(Die25 §3.1、p. 64)。この記事ではこの逆を使わず、証明しない。
ブロックの性質はすべて次の補題に帰着する。2 つの「切れない」部分グラフが 2 頂点以上を共有すれば、合わせても切れない。
$H_1,H_2$ をグラフ $G$ の部分グラフで、どちらも連結で切断点をもたず、2 個以上の頂点を共有するものとする。このとき $H_1\cup H_2$ も連結で切断点をもたない。
$H:=H_1\cup H_2$ とする。$H_1,H_2$ は連結で頂点を共有するので $H$ は連結である。$v\in V(H)$ をとる。$v\notin V(H_i)$ なら $H_i-v=H_i$ は連結であり、$v\in V(H_i)$ なら $H_i$ は 2 頂点以上をもつので、定義の直後の注意により $H_i-v$ は連結である。共有する 2 頂点のうち少なくとも一方 $w$ は $v$ と異なり、$w$ は $H_1-v$ と $H_2-v$ の両方に属する。$H-v=(H_1-v)\cup(H_2-v)$ なので $H-v$ は連結であり、$\omega(H-v)=1=\omega(H)$ となる。よって $v$ は $H$ の切断点でない。$\square$
$G$ をグラフとする。
2. ブロック $B_1,B_2$ が 2 個以上の頂点を共有すれば、lem-blk-union により $B_1\cup B_2$ は連結で切断点をもたず、$B_1$ と $B_2$ を含む。極大性により $B_1=B_1\cup B_2=B_2$ である。
1. そのような部分グラフ $H$ を含むブロックは、定義の後の注意により存在する。$H$ を含むブロックが 2 つあれば、それらは $H$ の 2 個以上の頂点を共有するので、2 により一致する。辺は $K_2$ として 2 頂点をもつので、ちょうど 1 つのブロックに含まれる。各頂点・各辺がブロックに含まれるので、$G$ はブロックの和である。
3. 閉路 $C$ は連結で、1 頂点を除くと道が残るので切断点をもたず、3 個以上の頂点をもつ。1 により $C$ はちょうど 1 つのブロックに含まれる。
4.(2 つ以上のブロック ⇒ 切断点) $v\in V(B_1)\cap V(B_2)$、$B_1\ne B_2$ とする。頂点 1 個のブロックは孤立点であり(prop-blk-shape)、孤立点を含むブロックはそれ 1 つだけなので、$B_1,B_2$ はどちらも 2 個以上の頂点をもつ。$B_i$ は連結なので、$v$ に $B_i$ の中で隣接する頂点 $x\in V(B_1)$、$y\in V(B_2)$ がある。2 により $V(B_1)\cap V(B_2)=\{v\}$ なので $x\ne y$ である。$G-v$ に $x$ と $y$ を結ぶ道 $P$ があると仮定すると、$v$、$x$、$P$、$y$、$v$ とたどる閉路 $C$ ができ、$C$ は辺 $vx$ と $vy$ を含む。3 により $C$ はある 1 つのブロック $B$ に含まれ、1 により辺 $vx$ を含むブロックは $B_1$ だけ、$vy$ を含むブロックは $B_2$ だけなので $B_1=B=B_2$ となり、矛盾する。よって $x,y$ は $G-v$ の異なる連結成分に属する。$G$ では $x,y$ は $v$ を通って同じ成分 $K$ に属するので、$K-v$ は 2 つ以上の成分をもち、$v$ は切断点である。
4.(切断点 ⇒ 2 つ以上のブロック) $v$ を切断点とし、$v$ を含む $G$ の連結成分を $K$ とする。$K-v$ は 2 つ以上の連結成分をもち、$K$ は連結なので、各成分は $v$ に隣接する頂点を含む。異なる成分から $v$ の隣接頂点 $x,y$ をとり、辺 $vx,vy$ を含むブロックを $B_x,B_y$ とする。$B_x=B_y=:B$ なら、$B$ は $v,x,y$ を含み連結で切断点をもたないので $B-v$ は連結であり、$G-v$ に $x$ と $y$ を結ぶ道がある。これは矛盾なので $B_x\ne B_y$ であり、どちらも $v$ を含む。
5. 4 の前半そのものである。$\square$
5 と 2 から、異なる 2 つのブロックの共通部分は空集合か 1 個の切断点である。各ブロックは $G$ の切断点を含んでよく、ブロックの中では切断点にならない。たとえば下の ex-blk-examples の 1 では、頂点 $3$ は三角形のブロックの中では切断点でないが、$G$ の切断点である。
ブロックの辺集合は、閉路の言葉で特徴づけられる。そのために、2-連結グラフの 2 点がいつも共通の閉路にのることを使う。
$H$ を 2-連結グラフとする。
1. $e=uv$ とし、$u,v$ と異なる頂点 $w$ をとる(頂点は 3 個以上ある)。$H-u$ は連結なので、$u$ 以外の各頂点は $H-u$ の中で $w$ と道で結ばれ、その道は $u$ を通らないので $e$ を使わない。同様に $u$ は $H-v$ の中で $e$ を使わずに $w$ と結ばれる。よって $H-e$ のすべての頂点が $w$ と結ばれ、$H-e$ は連結である。
2. $u,v$ が隣接しないとき、$u,v$ 以外の全頂点を除けば $u$ と $v$ は切り離されるので、$u,v$ を切り離す頂点集合($u,v$ を含まない)は存在し、$H$ は 1 頂点以下を除いても連結なので、そのような集合はどれも 2 個以上の頂点をもつ。連結度(グラフ) の定理「Mengerの定理(頂点版)」により、内部の頂点を共有しない $u$–$v$ 道が 2 本あり、つなぐと $u,v$ を通る閉路になる。$u,v$ が隣接するとき、1 により辺 $uv$ は橋でないので、閉路 の定理「閉路に含まれる辺と橋」により $uv$ を含む閉路があり、それは $u,v$ を通る。$\square$
グラフ $G$ の相異なる 2 辺 $e,f$ について、$e,f$ が同じブロックに含まれることと、$e,f$ をともに含む閉路があることは同値である。したがって「$e=f$ であるか、$e,f$ をともに含む閉路がある」という辺の関係は同値関係であり、その同値類は、辺をもつブロックの辺集合である。
$e,f$ をともに含む閉路 $C$ があれば、thm-blk-structure の 3 により $C$ はあるブロック $B$ に含まれ、$e,f$ は $B$ の辺である。
逆に $e=ab$、$f=cd$ が同じブロック $B$ の辺だとする。$B$ は 2 本の辺をもつので頂点が 3 個以上あり、prop-blk-shape により 2-連結である。$B$ の辺 $e$ を新しい頂点 $s$ で、$f$ を新しい頂点 $t$ で細分したグラフ $B'$ を考える($e$ を道 $a,s,b$ に、$f$ を道 $c,t,d$ に置き換える)。$B'$ が 2-連結であることを確かめる。頂点は 5 個以上ある。$B'-s$ は $B-e$ の辺 $f$ を細分したものであり、lem-blk-two-connected の 1 により $B-e$ は連結なので、$B'-s$ も連結である。$B'-t$ も同様である。$B$ の頂点 $x$ を除くと、$B-x$ は連結である。$x\notin\{a,b\}$ なら、$B'-x$ では $B-x$ の辺 $e$ が道 $a,s,b$ に置き換わっているだけである。$x\in\{a,b\}$ なら、$e$ は $B-x$ になく、$s$ は $a,b$ のうち $x$ でない一方とだけ隣接して残る。$f$ と $t$ も同様なので、$B'-x$ は $B-x$ の残った辺 $e,f$ を細分し、端点を 1 つ失った細分点を 1 本の辺でつないだグラフであり、連結である。
lem-blk-two-connected の 2 により、$s$ と $t$ は $B'$ のある閉路 $C'$ にのる。$s$ の隣接頂点は $a,b$ だけなので $C'$ は $a,s,b$ と進み、同様に $c,t,d$ と進む。$C'$ の中の $a,s,b$ を辺 $ab$ に、$c,t,d$ を辺 $cd$ に戻すと、頂点の重複のない閉じた道ができる。その頂点は $a,b,c,d$(相異なる 2 辺の端点なので 3 個以上)を含むので、これは $e,f$ を含む $G$ の閉路である。
最後の主張は、thm-blk-structure の 1 により各辺がちょうど 1 つのブロックに含まれることと、前半の同値から従う。$\square$
2 本の辺を共通に含む閉路のかわりに、2 本の辺をともに含む極小な辺切断(ボンド)でも同じ同値関係が得られる(Die25 Lemma 3.1.3、p. 65。この記事では証明しない)。
連結なグラフ $G$ のブロック・切断点グラフ $T$ は木である。
Die25 Lemma 3.1.4(p. 66)は証明を読者に任せている。ここでは連結性と、閉路がないことを順に示す。
連結であること. $G=K_1$ ならブロックは $G$ 自身だけで切断点はなく、$T$ は 1 頂点の木である。以下 $G$ は 2 頂点以上とすると、孤立点がないので、各ブロックは 2 頂点以上をもつ。各切断点 $a$ は、$a$ を含むブロックと $T$ で隣接するので、任意の 2 つのブロック $B,B'$ が $T$ の歩道で結ばれることを示せばよい。$x\in V(B)$、$y\in V(B')$ をとり、$G$ の道 $x=x_0,x_1,\dots,x_m=y$ をとる。辺 $x_{j-1}x_j$ を含むブロックを $C_j$ とし($1\le j\le m$)、$C_0:=B$、$C_{m+1}:=B'$ とおく。$0\le j\le m$ について、$C_j$ と $C_{j+1}$ はともに $x_j$ を含む。$C_j\ne C_{j+1}$ なら、thm-blk-structure の 5 により $x_j$ は切断点で、$T$ の中で $C_j$ と $C_{j+1}$ の両方に隣接する。よって $C_0,C_1,\dots,C_{m+1}$ をこの順にたどる $T$ の歩道がある($m=0$ のときも同じ議論である)。
閉路がないこと. $T$ は 2 部グラフなので、閉路があるとすれば、相異なるブロック $B_1,\dots,B_k$ と相異なる切断点 $a_1,\dots,a_k$($k\ge2$)で、$a_i\in V(B_i)\cap V(B_{i+1})$(添字は $k$ を法として読む)となるものがある。$U:=B_1\cup\dots\cup B_k$ とおく。$B_i$ は相異なる 2 頂点 $a_{i-1},a_i$ を含む。$B_i$ と $B_{i+1}$ は $a_i$ を共有するので、$U$ は連結である。$U$ の頂点 $v$ をとる。各 $B_i-v$ は連結で空でない。$a_i\ne v$ である添字 $i$ では $B_i-v$ と $B_{i+1}-v$ は $a_i$ を共有し、$a_i=v$ となる $i$ は高々 1 つである。よって $B_1-v,\dots,B_k-v$ は、環状につながる $k$ 個の連結な部分から高々 1 か所のつながりを外した形でつながっており、$U-v$ は連結である。したがって $U$ は連結で切断点をもたない。$U$ は $B_1$ を含むので、極大性により $U=B_1$、とくに $B_2\subset B_1$ である。$B_2$ の極大性により $B_2=B_1$ となり、矛盾する。$\square$
木の性質から、ブロックの個数と、端にあるブロックの存在が従う。$b(v)$ で頂点 $v$ を含むブロックの個数を表す。
1. $T$ は 2 頂点以上の木なので、木(グラフ) の命題「木の三つの基本性質」により葉を 2 つ以上もつ。切断点 $a$ の $T$ での次数は $b(a)$ で、thm-blk-structure の 4 により $b(a)\ge2$ なので、葉はブロックである。葉のブロックは $T$ でちょうど 1 つの切断点と隣接する。
2. ブロックは連結なので、$G$ のある連結成分に含まれる。連結成分 $K$ を 1 つとると、$G$ のブロックで $K$ に含まれるものは $K$ のブロックであり、その逆も成り立ち、$K$ の頂点が $G$ の切断点であることと $K$ の切断点であることは同値である(どちらも定義が $K$ の中で決まる)。$K$ の切断点の集合を $A_K$、ブロックの集合を $\mathcal{B}_K$ とすると、$K$ のブロック・切断点木は $|A_K|+|\mathcal{B}_K|$ 個の頂点と $\sum_{a\in A_K}b(a)$ 本の辺をもつ。木の辺数は頂点数より 1 少ないので(同じ命題の 3)、
$$
|\mathcal{B}_K|=1+\sum_{a\in A_K}\bigl(b(a)-1\bigr)
$$
である。切断点でない頂点では、thm-blk-structure の 1 と 4 により $b(v)=1$ なので、和を $K$ のすべての頂点にわたってとってよい。成分について足し合わせると主張を得る。$\square$
1 は BM76 Exercise 3.2.4、2 は同 Exercise 3.2.5 の主張である(p. 47)。
1 の確認:三角形 $123$ を含む連結な部分グラフ $H$ が $\{4,5,6,7\}$ の頂点 $x$ も含めば、$G$ で $1$ から $x$ への道はすべて $3$ を通るので、$H-3$ で $1$ と $x$ は切り離され、$3$ は $H$ の切断点になる。よって三角形は極大であり、ブロックである。閉路 $4567$ も、頂点 $4$ について同じ理由でブロックである。辺 $34$ はどの閉路にも含まれず、それを含むブロックは同じ理由で $\{1,2\}$ の頂点も $\{5,6,7\}$ の頂点も含めないので、辺 $34$ とその両端だけである。$3$ は 2 つのブロックに含まれるので、thm-blk-structure の 4 により切断点である。
ブロック・切断点木を根から順にたどると、ブロックごとの彩色を 1 つに貼り合わせられる。
頂点が 1 個以上のグラフ $G$ の彩色数は、$G$ のブロック $B$ の彩色数 $\chi(B)$ の最大値に等しい。
ブロックは部分グラフなので、彩色数 の命題「部分グラフと連結成分」の 1 により $\chi(G)\ge\max_B\chi(B)=:k$ である。同じ命題の 2 により、各連結成分を $k$ 色で彩色できれば十分なので、$G$ は連結としてよい。ブロック・切断点木 $T$(thm-blk-tree)のブロック $B_0$ を 1 つ選び、各ブロックを $T$ での $B_0$ からの距離の小さい順に並べる(同じ距離のものの順は任意)。$B\ne B_0$ について、$T$ の $B$ から $B_0$ への道で $B$ の次の頂点(切断点)を $a_B$、その次の頂点(ブロック)を $B$ の親とよぶ。親は $B$ より $B_0$ に近いので $B$ より前に並ぶ。
$B$ より前に並ぶブロック $B'$ が $B$ と頂点 $c$ を共有すれば $c=a_B$ であることを示す。$c$ は thm-blk-structure の 5 により切断点で、$T$ において $B$ と $B'$ の両方に隣接する。$B$ の隣接頂点のうち $B_0$ に近いのは $a_B$ だけなので、$c\ne a_B$ なら $c$ は $B$ より $B_0$ から 1 だけ遠く、$c$ の隣接頂点で $B_0$ に近いのは $B$ だけなので、$B'$ は $c$ よりさらに遠い。これは $B'$ が $B$ より前に並ぶことに反する。
並べた順に、各ブロック $B$ を $k$ 色で彩色する。$B_0$ は $\chi(B_0)\le k$ 色で塗る。$B\ne B_0$ では、$\chi(B)\le k$ 色の彩色を 1 つとり、色の名前を入れ替えて、$a_B$ に既に付いている色と一致させる。上で示したことにより、$B$ の頂点のうち既に色が付いているのは $a_B$ だけなので、矛盾なく色が決まる。こうしてすべての頂点に色が付き、各辺はある 1 つのブロックの辺なので(thm-blk-structure の 1)、両端の色は異なる。よって $\chi(G)\le k$ である。$\square$
同じ考え方で、彩色や平面性などの問題は 2-連結なグラフの場合に帰着することが多い。Brooksの定理 の証明は切断点のある場合を別に扱い、平面性判定 は切断点で分けた部分ごとの判定に帰着する。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| lem-blk-union の「2 個以上の頂点を共有する」 | 2 つの三角形を 1 頂点 $v$ で貼り合わせたグラフ | 和は連結だが、$v$ が切断点になる |
| ブロックの定義の「極大」 | 三角形 $K_3$ の 1 辺 $e$(両端とともに) | $e$ を含む「連結で切断点をもたない部分グラフ」は $e$ 自身と $K_3$ の 2 つあり、一意でない(thm-blk-structure の 1 が崩れる) |
| lem-blk-two-connected の「2-連結」 | $K_2$(連結で切断点をもたないが頂点は 2 個) | 2 頂点を通る閉路がない |
| thm-blk-tree の「連結」 | 共通の頂点をもたない 2 本の辺 $2K_2$ | 切断点がなく、ブロック・切断点グラフは 2 頂点・辺 0 本で連結でない(森にはなる) |
3 行目の $K_2$ は橋とその両端からなるブロックの形であり、thm-blk-cycle で 2 辺が「相異なる」と仮定するのもこの形を除くためである。辺が 1 本しかないブロックでは、その辺を含む閉路はない。
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