共形変換(conformal transformation)とは、擬リーマン多様体の間の微分同相写像 $\varphi\colon(M,g)\to(N,h)$ であって、ある滑らかな関数 $\rho$ に対し $\varphi^*h=e^{2\rho}g$ を満たすもの、すなわち計量を各点で正の関数倍する写像である。$\rho$ が定数なら相似変換、$\rho=0$ なら等長写像である。同じ多様体上の計量 $g$、$e^{2\rho}g$ は共形同値といい、平坦な計量と局所的に共形同値な多様体を局所共形平坦という。共形変換は直交性と因果的類別を保ち、Lorentz 幾何では光円錐と因果構造を保つ。逆に 3 次元以上では光円錐を保つ微分同相は共形変換である。光的測地線は再パラメータづけを除いて共形不変であり、Minkowski 時空の伸縮、ステレオ射影、反転が代表例である。
前提知識: 擬リーマン多様体, 微分同相写像, 引き戻し, リーマン接続, 時空
以下、多様体と写像は $C^\infty$ 級とし、$(M,g)$、$(N,h)$ を同じ次元 $n\ge2$ の擬リーマン多様体(各点で非退化な対称 $(0,2)$ 型テンソル場を持つ多様体。リーマン多様体と Lorentz 多様体を含む)とする。滑らかな写像 $\varphi\colon M\to N$ による $h$ の引き戻しを $\varphi^*h$、すなわち $(\varphi^*h)_p(v,w):=h_{\varphi(p)}(d\varphi_p(v),d\varphi_p(w))$ と書く。
微分同相写像 $\varphi\colon M\to N$ が共形変換(conformal transformation)または共形微分同相であるとは、$M$ 上の滑らかな関数 $\rho$ が存在して
$$
\varphi^*h=e^{2\rho}g
$$
が成り立つことをいう。$e^{2\rho}$ を $\varphi$ の共形因子(conformal factor)という($\Omega^2$ と書く文献も多い)。とくに $\rho$ が定数のとき $\varphi$ を相似変換(homothety、homothetic transformation)、$\rho\equiv0$ のとき等長写像(isometry)という。微分同相とは限らない滑らかな写像で $\varphi^*h=e^{2\rho}g$ を満たすものを共形写像(conformal map)という(共形写像は各点で微分が単射なのではめ込みである)。共形変換(共形微分同相)のことを共形写像と呼ぶ文献もある。共形変換 $\varphi\colon M\to M$ の全体は写像の合成に関して群をなし(prop-conformal-group)、$(M,g)$ の共形変換群 $\mathrm{Conf}(M,g)$ という。
同じ多様体 $M$ 上の2つの擬リーマン計量 $g$、$\tilde g$ が共形同値(conformally equivalent)または共形的であるとは、滑らかな関数 $\rho$ で $\tilde g=e^{2\rho}g$ となるものが存在することをいう。これは計量全体の集合上の同値関係であり、$g$ の同値類 $[g]:=\{e^{2\rho}g\mid\rho\in C^\infty(M)\}$ を $g$ の共形類(conformal class)、共形類を与えることを $M$ 上の共形構造という。微分同相 $\varphi\colon M\to N$ が共形変換であることは、$\varphi$ が $(M,e^{2\rho}g)$ から $(N,h)$ への等長写像となる $\rho$ が存在すること、すなわち $\varphi^*h\in[g]$ と同値である。
擬リーマン多様体 $(M,g)$ が共形平坦(conformally flat)であるとは、$M$ 上の関数 $\rho$ で $e^{2\rho}g$ が平坦(リーマン曲率テンソルが恒等的に $0$)となるものが存在することをいう。各点が共形平坦な近傍を持つとき、$(M,g)$ は局所共形平坦(locally conformally flat)であるという。平坦な擬リーマン多様体は局所的には定数係数の計量 $\sum_i\epsilon_i(dx^i)^2$($\epsilon_i=\pm1$)に等長なので、局所共形平坦であることは、各点の近傍で $g=e^{2\rho}\sum_i\epsilon_i(dx^i)^2$ となる局所座標 $(x^i)$ と関数 $\rho$ が存在することと同値である。
共形変換は「各点で計量を正の定数倍する」写像であり、長さは変えるが、ベクトルどうしの比(したがってリーマン計量なら角)を保つ。伸縮率 $e^{2\rho}$ は点ごとに異なってよく、これが相似変換(伸縮率が一定)との違いである。Lorentz 幾何では、共形変換は時間的・空間的・光的というベクトルの因果的類別を保ち、したがって光円錐と因果構造(どの点からどの点へ信号が届くか)を保つ。逆に、時空の因果構造は計量の共形類だけで決まり、共形類を超える情報(計量そのもの)は長さや固有時に対応する。Penrose 図式(無限遠を有限の距離に引き込んで時空の因果構造を図示する方法)は、この事実を利用して時空を共形因子で圧縮したものである(HE73 §5.1)。
Minkowski 時空 $\mathbb{L}^n=(\mathbb{R}^n,\eta)$、$\eta=-dt^2+\sum_i(dx^i)^2$ において、$\lambda>0$ に対する伸縮 $\varphi_\lambda(x):=\lambda x$ は $\varphi_\lambda^*\eta=\lambda^2\eta$ を満たす(各 $dx^\mu$ が $\lambda\,dx^\mu$ に引き戻される)。よって $\varphi_\lambda$ は共形因子が定数 $\lambda^2$ の相似変換であり、$\lambda\neq1$ なら等長写像ではない。Lorentz 変換と平行移動(Poincaré 変換)は等長写像であり、これらと伸縮の合成はすべて $\mathbb{L}^n$ の共形変換である。
$S^n\subset\mathbb{R}^{n+1}$ を単位球面、$N=(0,\dots,0,1)$ を北極とする。ステレオ射影の逆写像
$$
\psi\colon\mathbb{R}^n\to S^n\setminus\{N\},\qquad\psi(y):=\Bigl(\frac{2y}{1+|y|^2},\ \frac{|y|^2-1}{1+|y|^2}\Bigr)
$$
は微分同相であり、
$$
\psi^*g_{S^n}=\frac{4}{(1+|y|^2)^2}\,g_{\mathbb{R}^n}
$$
を満たす。したがって $\psi$ は共形変換であり、$S^n\setminus\{N\}$ は共形平坦、$S^n$ は局所共形平坦である(任意の点は、北極を別の点に取り直したステレオ射影の定義域に入る)。
実際、$u:=1+|y|^2$、$v\in T_y\mathbb{R}^n=\mathbb{R}^n$、$s:=y\cdot v$ とおくと、$d\psi_y(v)=\Bigl(\frac{2v}{u}-\frac{4sy}{u^2},\ \frac{2s}{u}-\frac{2s(|y|^2-1)}{u^2}\Bigr)$ であり、第2成分は $\frac{2s(u-|y|^2+1)}{u^2}=\frac{4s}{u^2}$ である。よって
$$
|d\psi_y(v)|^2=\frac{4|v|^2}{u^2}-\frac{16s^2}{u^3}+\frac{16s^2|y|^2}{u^4}+\frac{16s^2}{u^4}=\frac{4|v|^2}{u^2}-\frac{16s^2}{u^3}+\frac{16s^2(|y|^2+1)}{u^4}=\frac{4|v|^2}{u^2}
$$
となり、極化により $\psi^*g_{S^n}=\frac{4}{u^2}g_{\mathbb{R}^n}$ である。
$\iota\colon\mathbb{R}^n\setminus\{0\}\to\mathbb{R}^n\setminus\{0\}$、$\iota(x):=x/|x|^2$ は $\iota\circ\iota=\mathrm{id}$ を満たす微分同相であり、$\iota^*g_{\mathbb{R}^n}=|x|^{-4}g_{\mathbb{R}^n}$ を満たす。実際 $d\iota_x(v)=\frac{v}{|x|^2}-\frac{2(x\cdot v)x}{|x|^4}$ なので
$$
|d\iota_x(v)|^2=\frac{|v|^2}{|x|^4}-\frac{4(x\cdot v)^2}{|x|^6}+\frac{4(x\cdot v)^2|x|^2}{|x|^8}=\frac{|v|^2}{|x|^4}
$$
である。よって $\iota$ は $(\mathbb{R}^n\setminus\{0\},g_{\mathbb{R}^n})$ の共形変換であり、共形因子 $|x|^{-4}$ は定数でないので相似変換ではない。
$I\subset\mathbb{R}$ を開区間、$a\colon I\to(0,\infty)$ を滑らかな関数とし、$M=I\times\mathbb{R}^3$ 上の計量 $g=-dt^2+a(t)^2g_{\mathbb{R}^3}$(空間的に平坦な Robertson–Walker 時空。Warped積多様体 $I\times_a\mathbb{R}^3$)を考える。$t_0\in I$ を固定し、共形時間 $\eta(t):=\int_{t_0}^t\frac{d\tau}{a(\tau)}$ を導入すると、$\eta$ は $I$ から開区間 $J$ への微分同相で $d\eta=dt/a$ なので
$$
g=a^2\bigl(-d\eta^2+g_{\mathbb{R}^3}\bigr)
$$
である。すなわち $g$ は Minkowski 計量(の $J\times\mathbb{R}^3$ への制限)と共形同値であり、$(M,g)$ は共形平坦である。したがって、この時空の因果構造(prop-conformal-causal)は Minkowski 時空の領域 $J\times\mathbb{R}^3$ のものと同じである。この事実は宇宙論で光的測地線や粒子的地平を調べる際に用いられる(HE73 §5.3)。
$\mathbb{R}^2$ のせん断 $\varphi(x,y):=(x+y,y)$ は微分同相だが、$\varphi^*g_{\mathbb{R}^2}=(dx+dy)^2+dy^2=dx^2+2\,dx\,dy+2\,dy^2$ は $g_{\mathbb{R}^2}$ の関数倍ではない。実際、直交するベクトル $\partial_x,\partial_y$ の像 $(1,0)$、$(1,1)$ は直交しない。よって $\varphi$ は「微分同相」という性質を満たすが「共形変換」という性質を満たさず、角を保たない。Lorentz 幾何の例としては、$\mathbb{L}^2$ の写像 $(t,x)\mapsto(2t,x)$ は引き戻しが $-4dt^2+dx^2$ で共形ではなく、時間的ベクトル $\partial_t$ を時間的ベクトルに写すが、光的ベクトル $\partial_t+\partial_x$ を時間的ベクトル $2\partial_t+\partial_x$($\eta(2\partial_t+\partial_x,2\partial_t+\partial_x)=-3<0$)に写す(光円錐を保たない)。すなわち「時間的ベクトルを時間的ベクトルに写す」ことは共形性を含意しない(光円錐を保つことが本質であり、$n\ge3$ については prop-conformal-null-cone を参照)。
$\mathbb{L}^2$ の写像 $\varphi(t,x):=(x,t)$ は光円錐 $\{-dt^2+dx^2=0\}=\{t=\pm x\}$ を保つが、$\varphi^*\eta=-\eta$ であり、時間的ベクトルと空間的ベクトルを入れ替える。$-\eta$ は $\eta$ の正の関数倍ではないので $\varphi$ は共形変換ではない。これは prop-conformal-null-cone の主張が $n=2$ では成り立たない(2次元では符号数 $(-,+)$ と $(+,-)$ が区別できない)ことを示す反例である。
$\mathbb{L}^2=(\mathbb{R}^2,\eta)$ で $\rho(t,x):=x$、$\tilde g:=e^{2x}\eta$ とおく。曲線 $\gamma(s)=(s,0)$ は $\eta$ の時間的測地線であるが、prop-conformal-levi-civita により $\tilde\nabla_{\gamma'}\gamma'=2\gamma'(\rho)\gamma'-\eta(\gamma',\gamma')\,\mathrm{grad}_\eta\rho=0+\mathrm{grad}_\eta\rho=\partial_x$ であり、これは $\gamma'=\partial_t$ に平行でないので $\gamma$ は $\tilde g$ の測地線でも、その再パラメータづけでもない。したがって cor-conformal-null-geodesic の「光的」という仮定は落とせない。
$\varphi\colon(M,g)\to(N,h)$ が共形因子 $e^{2\rho}$ の共形変換、$\psi\colon(N,h)\to(P,k)$ が共形因子 $e^{2\tau}$ の共形変換ならば、$\psi\circ\varphi$ は共形因子 $e^{2(\rho+\tau\circ\varphi)}$ の共形変換であり、$\varphi^{-1}$ は共形因子 $e^{-2\rho\circ\varphi^{-1}}$ の共形変換である。したがって $\mathrm{Conf}(M,g)$ は $M$ の微分同相群の部分群であり、$g$ と共形同値な計量 $\tilde g$ に対し $\mathrm{Conf}(M,\tilde g)=\mathrm{Conf}(M,g)$ である。
引き戻しの関手性 $(\psi\circ\varphi)^*k=\varphi^*(\psi^*k)$ により $(\psi\circ\varphi)^*k=\varphi^*(e^{2\tau}h)=e^{2\tau\circ\varphi}\varphi^*h=e^{2\tau\circ\varphi}e^{2\rho}g$ である。また $\varphi^*h=e^{2\rho}g$ の両辺を $\varphi^{-1}$ で引き戻すと $h=(\varphi^{-1})^*(e^{2\rho}g)=e^{2\rho\circ\varphi^{-1}}(\varphi^{-1})^*g$ なので $(\varphi^{-1})^*g=e^{-2\rho\circ\varphi^{-1}}h$ である。最後の主張:$\varphi\in\mathrm{Conf}(M,g)$、$\tilde g=e^{2\sigma}g$ なら $\varphi^*\tilde g=e^{2\sigma\circ\varphi}\varphi^*g=e^{2(\sigma\circ\varphi+\rho)}g=e^{2(\sigma\circ\varphi+\rho-\sigma)}\tilde g$ であり、逆も同様である。$\square$
$\varphi\colon(M,g)\to(N,h)$ を共形変換とする。
$n\ge3$ とし、$(V,g)$、$(W,h)$ を $n$ 次元の Lorentz ベクトル空間(符号数 $(-,+,\dots,+)$ の非退化対称双線形形式を持つベクトル空間)とする。線形同型 $L\colon V\to W$ が $g$ の光的ベクトルをすべて $h$ の光的ベクトルに写すならば、定数 $c>0$ が存在して任意の $v,w\in V$ に対し $h(Lv,Lw)=c\,g(v,w)$ が成り立つ。したがって、$n\ge3$ 次元の Lorentz 多様体の間の微分同相 $\varphi$ が各点で光的ベクトルを光的ベクトルに写すならば、$\varphi$ は共形変換である。
$q(v,w):=h(Lv,Lw)$ とおくと $q$ は $V$ 上の対称双線形形式で、仮定により $g(v,v)=0$ ならば $q(v,v)=0$ である。$e_0,e_1,\dots,e_{n-1}$ を $g$ の正規直交基底($g(e_0,e_0)=-1$、$g(e_i,e_i)=1$)とし、$q_{\mu\nu}:=q(e_\mu,e_\nu)$ とおく。$1\le i\le n-1$ に対し $e_0\pm e_i$ は光的なので $0=q(e_0\pm e_i,e_0\pm e_i)=q_{00}\pm2q_{0i}+q_{ii}$ であり、辺々を加減して $q_{0i}=0$、$q_{ii}=-q_{00}$ を得る。$1\le i< j\le n-1$ に対し($n\ge3$ なのでこのような組が存在する)$\sqrt2e_0+e_i+e_j$ は $g(\cdot,\cdot)=-2+1+1=0$ より光的なので
$$
0=q(\sqrt2e_0+e_i+e_j,\sqrt2e_0+e_i+e_j)=2q_{00}+q_{ii}+q_{jj}+2\sqrt2(q_{0i}+q_{0j})+2q_{ij}=2q_{ij}
$$
である。よって $c:=-q_{00}$ とおくと $q_{\mu\nu}=c\,g(e_\mu,e_\nu)$ がすべての $\mu,\nu$ について成り立ち、$q=c\,g$ である。$L$ は同型で $h$ は非退化なので $q$ も非退化であり $c\neq0$ である。$c<0$ なら $q=cg$ の符号数は $(+,-,\dots,-)$ となるが、$q$ は $h$ を $L$ で引き戻したものなので符号数は $h$ と同じ $(-,+,\dots,+)$ であり、$n\ge3$ ではこれらは異なる(負の固有値の個数が $n-1\ge2$ と $1$)。ゆえに $c>0$ である。
後半:各点 $p$ で $L=d\varphi_p$ に前半を適用すると $\varphi^*h=c(p)\,g$ となる正の関数 $c$ が得られる。$c$ は滑らかである($c(p)=(\varphi^*h)_p(v,v)/g_p(v,v)$ を、$g_p(v,v)\neq0$ となる局所的なベクトル場 $v$ で書けばよい)ので、$\rho:=\frac12\log c$ とおけば $\varphi^*h=e^{2\rho}g$ である。$\square$
$M$ 上の擬リーマン計量 $g$ とその共形変換 $\tilde g=e^{2\rho}g$ のリーマン接続をそれぞれ $\nabla$、$\tilde\nabla$ とし、$\mathrm{grad}\rho$ を $g$ に関する $\rho$ の勾配($g(\mathrm{grad}\rho,Z)=Z\rho$)とする。このとき任意のベクトル場 $X,Y$ に対し
$$
\tilde\nabla_XY=\nabla_XY+(X\rho)Y+(Y\rho)X-g(X,Y)\,\mathrm{grad}\rho
$$
が成り立つ。
Koszul の公式(リーマン接続の記事、ONe83 Ch. 3)を $\tilde g$ に適用する。$X\tilde g(Y,Z)=X(e^{2\rho}g(Y,Z))=e^{2\rho}\bigl(2(X\rho)g(Y,Z)+Xg(Y,Z)\bigr)$ などにより
$$
2\tilde g(\tilde\nabla_XY,Z)=e^{2\rho}\Bigl(2g(\nabla_XY,Z)+2(X\rho)g(Y,Z)+2(Y\rho)g(Z,X)-2(Z\rho)g(X,Y)\Bigr)
$$
である(括弧積を含む3項は $e^{2\rho}$ 倍されるだけで、$g$ の Koszul の公式の対応する項と合わせて $2e^{2\rho}g(\nabla_XY,Z)$ を与える)。左辺は $2e^{2\rho}g(\tilde\nabla_XY,Z)$ なので、$2e^{2\rho}$ で割り $Z\rho=g(\mathrm{grad}\rho,Z)$ を用いると
$$
g(\tilde\nabla_XY,Z)=g\bigl(\nabla_XY+(X\rho)Y+(Y\rho)X-g(X,Y)\mathrm{grad}\rho,\ Z\bigr)
$$
がすべての $Z$ について成り立つ。$g$ は非退化なので主張が従う。$\square$
$\tilde g=e^{2\rho}g$ とする。$\gamma$ が $g$ の光的測地線ならば、$\gamma$ は $\tilde g$ の光的測地線の再パラメータづけである。すなわち、$u(s):=\int_{s_0}^se^{2\rho(\gamma(\sigma))}d\sigma$ とおくと $\beta(u):=\gamma(s(u))$ は $\tilde g$ の測地線である。したがって、光的測地線の像(パラメータを忘れた曲線)は共形類だけで決まる。
$\gamma'$ を $\gamma$ に沿って局所的にベクトル場に延長し、prop-conformal-levi-civita を $X=Y=\gamma'$ に適用すると、$g(\gamma',\gamma')=0$ により
$$
\tilde\nabla_{\gamma'}\gamma'=\nabla_{\gamma'}\gamma'+2(\gamma'\rho)\gamma'=2\frac{d(\rho\circ\gamma)}{ds}\gamma'
$$
である($\nabla_{\gamma'}\gamma'=0$)。$\lambda(s):=2\frac{d(\rho\circ\gamma)}{ds}$ とおく。$\beta(u)=\gamma(s(u))$ に対し $\beta'=\frac{ds}{du}\gamma'$ であり
$$
\tilde\nabla_{\beta'}\beta'=\frac{d^2s}{du^2}\gamma'+\Bigl(\frac{ds}{du}\Bigr)^2\tilde\nabla_{\gamma'}\gamma'=\Bigl(\frac{d^2s}{du^2}+\lambda(s)\Bigl(\frac{ds}{du}\Bigr)^2\Bigr)\gamma'
$$
である。$\frac{du}{ds}=e^{2\rho(\gamma(s))}$ なら $\frac{ds}{du}=e^{-2\rho(\gamma(s))}$、$\frac{d^2s}{du^2}=-\lambda(s)e^{-2\rho(\gamma(s))}\frac{ds}{du}=-\lambda(s)\Bigl(\frac{ds}{du}\Bigr)^2$ なので右辺は $0$ であり、$\beta$ は $\tilde g$ の測地線である。$\tilde g(\beta',\beta')=e^{2\rho}(ds/du)^2g(\gamma',\gamma')=0$ なので光的である。$\square$
$n\ge3$ 次元の擬リーマン多様体 $(M,g)$ の Weylテンソル $W$(曲率テンソルからリッチテンソルとスカラー曲率で決まる部分を引いた完全トレースフリー部分)は、$(1,3)$ 型テンソルとして共形不変である:$\tilde g=e^{2\rho}g$ に対し $\tilde W=W$。さらに $n\ge4$ のとき、$(M,g)$ が局所共形平坦であることと $W\equiv0$ とは同値である。$n=3$ では $W$ は恒等的に $0$ であり、局所共形平坦性は Cotton テンソルの消滅と同値である。$n=2$ ではすべての擬リーマン多様体が局所共形平坦である。
prop-conformal-causal により、時空の因果構造($\ll$、$\le$)は計量の共形類で決まる。逆に、強因果的な時空の間の全単射が $\ll$ を両方向に保てば、それは滑らかな共形変換である(Hawking–King–McCarthy および Malament の定理、HKM76、Mal77)。すなわち因果構造は共形構造と同じ情報を持つ。計量そのものは、共形因子に対応する残り1つの関数の自由度、すなわち固有時(長さ)の情報を付け加える。Generic条件(Lorentz幾何)やTotally Vicious時空の性質は因果構造にかかわるものとそうでないものに分かれ、たとえば Totally Vicious 性は共形不変だが、generic 条件は曲率を含むので共形不変ではない。
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