Dunford–Pettisの定理

同義語:Dunford–Pettis theorem

概要

Dunford–Pettisの定理(Dunford–Pettis theorem)とは、σ-有限な測度空間上の $L^1$ の部分集合 $F$ が弱位相 $\sigma(L^1,L^\infty)$ でコンパクトな集合に含まれるための必要十分条件は、$F$ が一様可積分であること、すなわちノルムが有界で、測度の小さい集合の上の積分と測度有限な集合の外の積分が $F$ 全体で一様に小さくなることである、という定理である。$L^1$ は反射的でないので有界列が弱収束する部分列をもつとは限らないが、ノルム有界な集合では、その妨げは測度の小さい集合への質量の集中と無限遠への逃げの 2 つに限られる。Vitali の収束定理や de la Vallée-Poussin の判定法と組み合わせて、$L^1$ での極限の存在を示すのに使われる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: Lp空間, 弱位相(関数解析), Banach–Alaogluの定理, Baireの範疇定理

$1< p<\infty$ の $L^p$ 空間は反射的なので、有界な列はいつも弱収束する部分列をもつ(反射的Banach空間 の定理「有界列の弱収束部分列」)。$L^1$ ではそうならない。区間 $(0,1)$ 上の $f_n:=n\,1_{(0,1/n)}$ はノルム $1$ の列だが、どの部分列も $L^1$ の中で弱収束しない。質量が 1 点に集中して、関数でない極限(Dirac 測度)へ逃げるからである。$\mathbb{R}$ 上の $1_{(n,n+1)}$ も、質量が無限遠へ逃げて同じことが起こる。
Dunford–Pettisの定理(Dunford–Pettis theorem)は、ノルムの有界性に加えてこの 2 つの逃げ方を封じることが、$L^1$ の部分集合が弱位相で相対コンパクトになるための必要十分条件であることを述べる。封じる条件を一様可積分性という。

設定と一様可積分性

この記事を通して、$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ は σ-有限な測度空間とし、測度有限な可測集合の増加列 $\Omega_1\subset\Omega_2\subset\cdots$ で $\bigcup_i\Omega_i=\Omega$ となるものを 1 つ固定する。関数は実数値とし、$L^1:=L^1(\Omega,\mu)$、$L^\infty:=L^\infty(\Omega,\mu)$ と書く。σ-有限性から $L^1$ の双対空間は $L^\infty$ と同一視される(Lp空間 の注意「双対空間」)。したがって Banach 空間 $L^1$ の弱位相は $\sigma(L^1,L^\infty)$ であり、$f_\alpha\to f$ が弱収束であることは、すべての $g\in L^\infty$ について $\int f_\alpha g\,d\mu\to\int fg\,d\mu$ となることである。とくに可測集合 $A$ について $1_A\in L^\infty$ なので、弱収束すれば $\int_Af_\alpha\to\int_Af$ である。

一様可積分性

$F\subset L^1$ が一様可積分(uniformly integrable、equi-integrable)であるとは、次の 3 条件が成り立つことをいう。

  • (a) $\sup_{f\in F}\|f\|_1<\infty$。
  • (b) 任意の $\varepsilon>0$ に対し $\delta>0$ があり、$\mu(A)<\delta$ となるすべての可測集合 $A$ とすべての $f\in F$ について $\int_A|f|\,d\mu<\varepsilon$。
  • (c) 任意の $\varepsilon>0$ に対し $\mu(\omega)<\infty$ となる可測集合 $\omega$ があり、すべての $f\in F$ について $\int_{\Omega\setminus\omega}|f|\,d\mu<\varepsilon$。

(b) は「小さな集合に質量が集中しない」、(c) は「無限遠へ質量が逃げない」ことを表す。$\mu(\Omega)<\infty$ なら (c) は $\omega=\Omega$ で成り立つ。確率論では、(a) と (b) を合わせた条件を次の補題の 2 の形で定義することが多い。

1 つの関数と裾による言い換え
  1. 有限個の $f_1,\dots,f_m\in L^1$ からなる集合は一様可積分である。
  2. $F$ が (a) を満たすとき、(b) は $\displaystyle\lim_{M\to\infty}\sup_{f\in F}\int_{\{|f|>M\}}|f|\,d\mu=0$ と同値である。

要点:$\int_A|f|\le M\mu(A)+\int_{\{|f|>M\}}|f|$ と、Markov の不等式 $\mu(\{|f|>M\})\le\|f\|_1/M$ を使う。

詳しい証明を開く

まず、可測集合 $A$ と $M>0$ について、$A$ を $\{|f|\le M\}$ と $\{|f|>M\}$ に分けると $\displaystyle \int_A|f|\,d\mu\le M\mu(A)+\int_{\{|f|>M\}}|f|\,d\mu \qquad(1)$ である。また $M\,1_{\{|f|>M\}}\le|f|$ を積分して $\mu(\{|f|>M\})\le\|f\|_1/M$ を得る。

1:1 つの $f\in L^1$ について示せば、有限個の場合は $\delta$ の最小値と $\omega$ の和をとればよい。$|f|$ はほとんど至る所有限なので $|f|1_{\{|f|>M\}}\to0$($M\to\infty$)がほとんど至る所で成り立ち、$|f|$ で抑えられるので Lebesgueの優収束定理 により $\int_{\{|f|>M\}}|f|\to0$ である。$\varepsilon>0$ に対し $\int_{\{|f|>M\}}|f|<\varepsilon/2$ となる $M$ をとり $\delta:=\varepsilon/(2M)$ とすれば、(1) から (b) が従う。同様に $|f|1_{\Omega\setminus\Omega_i}\to0$ と優収束定理から $\int_{\Omega\setminus\Omega_i}|f|\to0$ であり、(c) は $\omega=\Omega_i$($i$ は大きくとる)で成り立つ。

2:極限が $0$ なら、(1) で $M$ を大きくとってから $\delta$ を小さくとれば (b) が従う。逆に (b) を仮定し、$C:=\sup_F\|f\|_1$ とおく。$\varepsilon$ に対する $\delta$ をとると、$M>C/\delta$ のとき Markov の不等式から $\mu(\{|f|>M\})<\delta$ なので、すべての $f\in F$ について $\int_{\{|f|>M\}}|f|<\varepsilon$ である。$\square$

一様可積分な族
  1. $g\in L^1$ について $F:=\{f\in L^1\mid|f|\le g\text{ a.e.}\}$ は一様可積分である。$\int_A|f|\le\int_Ag$ なので、lem-dp-basic の 1 を $g$ に使えばよい。
  2. $\mu(\Omega)<\infty$、$1< p\le\infty$ とし、$F$ が $L^p$ で有界($\|f\|_p\le C$)とする。Hölderの不等式 から $\int_A|f|\le\|f\|_p\,\mu(A)^{1-1/p}\le C\mu(A)^{1-1/p}$ なので $F$ は一様可積分である。
  3. 冒頭の $f_n=n1_{(0,1/n)}$ は (a) を満たすが、$A_n:=(0,1/n)$ について $\mu(A_n)\to0$、$\int_{A_n}f_n=1$ なので (b) を満たさない。

定理の主張

Dunford–Pettisの定理

$(\Omega,\mathcal{A},\mu)$ を σ-有限な測度空間とし、$F\subset L^1(\Omega,\mu)$ とする。次は同値である。

  1. $F$ は、弱位相 $\sigma(L^1,L^\infty)$ でコンパクトな $L^1$ の部分集合に含まれる。
  2. $F$ は一様可積分である。
主張の読み方と出典

弱位相は Hausdorff なので、コンパクト集合は弱閉である(弱位相(関数解析) の命題「弱位相の Hausdorff 性」)。したがって 1 は「$F$ の弱閉包が弱コンパクトである」と同じである。Bre11 Theorem 4.30(p. 115)は (a) を仮定した $F$ について同じ主張を述べ、証明を Problem 23(pp. 466–469)に委ねている。以下の証明はその問題の筋に沿うが、Baire の定理を当てる空間を有限測度の $L^1$ の閉部分集合として作り、(b) と (c) を 1 度の議論で導く。

弱収束列と弱収束部分列
  1. $L^1$ で $f_n\to f$ が弱収束するなら、$\{f_n\}$ は一様可積分である。
  2. 一様可積分な列 $(f_n)$ は、$L^1$ で弱収束する部分列をもつ。

証明のための 3 つの補題

最初の補題は、弱コンパクト集合の中で部分列がとれることを述べる。一般の Banach 空間では Eberlein–Šmulianの定理 の一部であり、ここで使う向きは短く示せる。

弱コンパクト集合の中の部分列

$E$ を Banach 空間、$K\subset E$ を弱コンパクト集合とする。$K$ はノルム有界であり、$K$ の中の任意の列は、$K$ の点に弱収束する部分列をもつ。

要点:列の張る閉部分空間 $M$ は可分なので、$M$ の点を分離する可算個の汎関数 $\varphi_k$ がとれる。$d(x,y):=\sum_k2^{-k}|\varphi_k(x-y)|$ は $K\cap M$ の弱位相を与える距離になり、コンパクト距離空間では列コンパクト性が成り立つ。

詳しい証明を開く

有界性:各 $\varphi\in E^*$ について $\varphi(K)$ は連続像としてコンパクトなので有界である。$x\in K$ を $E^*$ 上の汎関数 $J(x)\colon\varphi\mapsto\varphi(x)$ とみなすと、$\|J(x)\|=\|x\|$(Hahn–Banachの定理)であり、各 $\varphi$ で $\sup_{x\in K}|J(x)\varphi|<\infty$ なので、一様有界性原理 により $\sup_{x\in K}\|x\|<\infty$ である。

列 $(x_n)\subset K$ をとり、$\{x_n\}$ の張る部分空間の閉包を $M$ とする。有理係数の有限一次結合が $M$ で稠密なので $M$ は可分であり、稠密な列 $(y_k)\subset M$ がとれる。Hahn–Banach の定理で $\|\varphi_k\|\le1$、$\varphi_k(y_k)=\|y_k\|$ となる $\varphi_k\in E^*$ をとる。$0\ne x\in M$ なら $\|x-y_k\|<\|x\|/3$ となる $k$ があり、$\varphi_k(x)\ge\|y_k\|-\|x-y_k\|>\|x\|/3>0$ である。よって $d(x,y):=\sum_k2^{-k}|\varphi_k(x-y)|$ は $M$ 上の距離である。

$M$ は閉凸集合なので弱閉であり(Hahn–Banach の分離定理から、閉凸集合の外の点は弱開集合で切り離せる)、$K\cap M$ は弱コンパクトである。$R:=\sup_K\|x\|$ とすると $K\cap M$ 上で第 $k$ 項は $2^{1-k}R$ 以下なので、級数は一様収束し、各項は弱連続だから $d$ は $K\cap M$ 上で弱連続である。よって恒等写像 $(K\cap M,\text{弱位相})\to(K\cap M,d)$ は連続な全単射で、コンパクト空間から Hausdorff 空間への写像なので同相である。コンパクト距離空間は点列コンパクトなので、$(x_n)$ は $d$ で、すなわち弱位相で、$K\cap M$ の点に収束する部分列をもつ。$\square$

次の補題は、弱コンパクト集合でいくらでも近似できる集合が、弱コンパクト集合に含まれることを述べる。

弱コンパクト集合による近似

$E$ を Banach 空間、$F\subset E$ とする。任意の $\varepsilon>0$ に対し、弱コンパクトな $K_\varepsilon\subset E$ で $F\subset K_\varepsilon+\varepsilon B_E$($B_E$ は閉単位球)となるものがあれば、$F$ は $E$ の弱コンパクト集合に含まれる。

要点:$J\colon E\to E^{**}$ を標準埋め込みとし、$J(F)$ の弱スター閉包 $G$ をとる。$G$ は $J(K_\varepsilon)+\varepsilon B_{E^{**}}$ に含まれるので、$J(E)$ からの距離が任意の $\varepsilon$ 以下になり、$G\subset J(E)$ となる。

詳しい証明を開く

lem-dp-subsequence から $K_1$ は有界なので、$F\subset K_1+B_E$ も有界である。$J(F)$ の $\sigma(E^{**},E^*)$ に関する閉包を $G$ とすると、$G$ は $E^{**}$ のある閉球に含まれる弱スター閉集合なので、Banach–Alaogluの定理 により弱スターコンパクトである。

$\varphi\in E^*$ について $\langle J(x),\varphi\rangle=\varphi(x)$ なので、$J\colon(E,\sigma(E,E^*))\to(E^{**},\sigma(E^{**},E^*))$ は連続であり、$J(K_\varepsilon)$ は弱スターコンパクトである。$\varepsilon B_{E^{**}}$ も弱スターコンパクトであり、和の写像は弱スター位相について連続なので、$J(K_\varepsilon)+\varepsilon B_{E^{**}}$ は弱スターコンパクト、したがって弱スター閉である。これが $J(F)$ を含むので $G$ も含む。よって各 $\xi\in G$ と各 $\varepsilon>0$ について $\|\xi-J(x)\|\le\varepsilon$ となる $x\in E$ がある。$J$ は等長(Hahn–Banach の定理)で $E$ は完備なので $J(E)$ はノルム閉であり、$\xi\in J(E)$ である。

$J(E)$ の上で弱スター位相と、$J$ で移した $E$ の弱位相は、どちらも「各 $\varphi\in E^*$ での値」で決まる位相なので一致する。よって $J^{-1}(G)$ は $E$ の弱コンパクト集合で、$F$ を含む。$\square$

最後の補題が議論の中心である。各集合の上の積分が収束するだけで、列全体が (b) と (c) を一様に満たす。

集合ごとの収束から一様性へ

$(f_n)\subset L^1$ が、すべての可測集合 $A$ について有限の極限 $\lim_n\int_Af_n\,d\mu$ をもつとする。このとき $\{f_n\}$ は (b) と (c) を満たす。

要点:可測集合の全体を、有限測度 $\displaystyle \nu(E):=\sum_{i\ge1}\frac{2^{-i}\,\mu(E\cap\Omega_i)}{1+\mu(\Omega_i)}$ に関する $L^1(\nu)$ の中の指示関数の集合 $Y$ とみなすと、$Y$ は完備距離空間であり、$\nu(B)\le\mu(B)$、$\nu(\Omega\setminus\Omega_j)\le2^{-j}$ が成り立つ。$Y$ を「$n$ 番目以降の積分がほぼ一定な集合」の閉集合の列で覆い、Baire の定理で 1 つの球を取り出すと、その球の半径より $\nu$ の小さいすべての集合 $B$ の上で $\int_B|f_k|$ が一様に小さくなる。小さい $\mu(B)$ と $B=\Omega\setminus\Omega_j$ がどちらもこの形なので、(b) と (c) が同時に得られる。

詳しい証明を開く

空間 $Y$:$\nu$ は全測度 $1$ 以下の測度で、$\nu(E)=0$ と $\mu(E)=0$ は同値である($\mu(E)>0$ なら下からの連続性によりある $i$ で $\mu(E\cap\Omega_i)>0$)。$1/(1+\mu(\Omega_i))\le1$ と $\sum_i2^{-i}=1$ から $\nu(E)\le\mu(E)$、また $i\le j$ では $(\Omega\setminus\Omega_j)\cap\Omega_i=\emptyset$ なので $\nu(\Omega\setminus\Omega_j)\le\sum_{i>j}2^{-i}=2^{-j}$ である。$Y:=\{1_A\mid A\in\mathcal{A}\}\subset L^1(\nu)$ とし、$d(A,B):=\|1_A-1_B\|_{L^1(\nu)}=\nu(A\triangle B)$ とおく。$1_{A_k}\to h$ が $L^1(\nu)$ で収束すれば、部分列がほとんど至る所で収束するので(Lp空間 の系「各点収束する部分列」)$h$ はほとんど至る所 $0$ か $1$ であり、$h=1_A$ と書ける。よって $Y$ は完備な $L^1(\nu)$ の閉集合で、完備距離空間である。

積分の連続性:$f\in L^1(\mu)$ について、任意の $\varepsilon>0$ に対し $\eta>0$ があって $\nu(E)<\eta$ なら $\int_E|f|\,d\mu<\varepsilon$ となる。そうでなければ $\nu(E_k)<2^{-k}$、$\int_{E_k}|f|\ge\varepsilon$ となる $E_k$ があり、$D_m:=\bigcup_{k\ge m}E_k$ は減少して $\nu(\bigcap_mD_m)=0$、したがって $\mu(\bigcap_mD_m)=0$ となるが、$\rho(E):=\int_E|f|\,d\mu$ は有限測度なので上からの連続性により $\rho(\bigcap_mD_m)=\lim_m\rho(D_m)\ge\varepsilon$ となって矛盾する。$|\int_Af-\int_Bf|\le\int_{A\triangle B}|f|$ なので、$A\mapsto\int_Af\,d\mu$ は $(Y,d)$ 上で連続である。

Baire の議論:$\varepsilon>0$ を固定し、 $\displaystyle Y_N:=\Bigl\{A\in Y\Bigm|\Bigl|\int_A(f_k-f_l)\,d\mu\Bigr|\le\varepsilon\ \ (k,l\ge N)\Bigr\}$ とおく。連続関数の逆像の共通部分なので $Y_N$ は閉であり、各 $A$ で $\int_Af_n$ は Cauchy 列なので $\bigcup_NY_N=Y$ である。Baireの範疇定理 により、ある $N$、$A_0\in Y$、$r>0$ で $\{A\mid\nu(A\triangle A_0)< r\}\subset Y_N$ となる。$\nu(B)< r$ なら $A_0\cup B$ と $A_0\setminus B$ はこの球に入り、$1_B=1_{A_0\cup B}-1_{A_0\setminus B}$ なので $|\int_B(f_k-f_l)|\le2\varepsilon$($k,l\ge N$)である。これを $B\cap\{f_k\ge f_l\}$ と $B\cap\{f_k< f_l\}$ に当てはめると $\int_B|f_k-f_l|\le4\varepsilon$ であり、$l=N$ として $\displaystyle \int_B|f_k|\,d\mu\le4\varepsilon+\int_B|f_N|\,d\mu\qquad(k\ge N,\ \nu(B)< r) \qquad(2)$ を得る。

(b):lem-dp-basic の 1 を $f_1,\dots,f_N$ に使い、$\delta\le r$ を、$\mu(B)<\delta$ なら $\int_B|f_k|<\varepsilon$($k\le N$)となるようにとる。$\mu(B)<\delta$ なら $\nu(B)< r$ なので、(2) からすべての $k$ で $\int_B|f_k|<5\varepsilon$ である。(c):$2^{-j}< r$ かつ $\int_{\Omega\setminus\Omega_j}|f_k|<\varepsilon$($k\le N$)となる $j$ をとる(lem-dp-basic の証明のとおり $\int_{\Omega\setminus\Omega_j}|f_k|\to0$)。$B:=\Omega\setminus\Omega_j$ は $\nu(B)< r$ なので、(2) からすべての $k$ で $\int_{\Omega\setminus\Omega_j}|f_k|<5\varepsilon$ であり、$\omega:=\Omega_j$ が (c) を満たす。$\square$

定理の証明

1 ⇒ 2。 $F\subset K$、$K$ は弱コンパクトとする。lem-dp-subsequence により $K$ は有界なので (a) が成り立つ。
(b) が成り立たないとすると、$\eta>0$、$f_n\in F$、$\mu(A_n)<1/n$ となる可測集合 $A_n$ で $\int_{A_n}|f_n|\ge\eta$ となるものがある。lem-dp-subsequence により部分列 $f_{n_k}$ はある $f$ に弱収束し、すべての可測集合 $A$ で $\int_Af_{n_k}\to\int_Af$ である。lem-dp-baire から $\{f_{n_k}\}$ は (b) を満たすので、$\mu(B)<\delta$ なら $\int_B|f_{n_k}|<\eta$ となる $\delta$ がある。$1/n_k<\delta$ となる $k$ で $B=A_{n_k}$ とすると矛盾する。
(c) が成り立たないとすると、$\eta>0$ と $f_n\in F$ で $\int_{\Omega\setminus\Omega_n}|f_n|\ge\eta$ となるものがある。同じく弱収束する部分列 $(f_{n_k})$ をとると、lem-dp-baire により、$\mu(\omega_0)<\infty$ で $\int_{\Omega\setminus\omega_0}|f_{n_k}|<\eta/2$(すべての $k$)となる $\omega_0$ と、$\mu(B)<\delta$ なら $\int_B|f_{n_k}|<\eta/2$ となる $\delta$ がある。$\omega_0\setminus\Omega_n$ は測度有限の集合の減少列で共通部分は空なので、$k$ が大きければ $\mu(\omega_0\setminus\Omega_{n_k})<\delta$ であり、
$$ \int_{\Omega\setminus\Omega_{n_k}}|f_{n_k}|\le\int_{\Omega\setminus\omega_0}|f_{n_k}|+\int_{\omega_0\setminus\Omega_{n_k}}|f_{n_k}|<\eta $$
となって矛盾する。
2 ⇒ 1。 $F$ を一様可積分とし、$\varepsilon>0$ をとる。(c) から $\mu(\omega)<\infty$ で $\int_{\Omega\setminus\omega}|f|<\varepsilon/2$($f\in F$)となる $\omega$ をとり、lem-dp-basic の 2 から $\int_{\{|f|>M\}}|f|<\varepsilon/2$($f\in F$)となる $M$ をとる。切り捨て $T_M(t):=\max(-M,\min(t,M))$ について $|f-T_Mf|\le|f|1_{\{|f|>M\}}$ なので、$g_f:=1_\omega T_M(f)$ は
$$ \|f-g_f\|_1\le\int_{\Omega\setminus\omega}|f|+\int_{\{|f|>M\}}|f|<\varepsilon $$
を満たす。$g_f$ は $\omega$ の外で $0$、$|g_f|\le M$ なので、$L^2(\omega,\mu)$ の半径 $R:=M\mu(\omega)^{1/2}$ の閉球 $B_R$ の元を $0$ で延長したものである。延長の写像 $I\colon L^2(\omega,\mu)\to L^1(\Omega,\mu)$ は、Cauchy–Schwarz の不等式 $\|Ih\|_1\le\mu(\omega)^{1/2}\|h\|_2$ により有界線形なので、弱位相について連続である(弱位相(関数解析) の命題「弱連続な線形写像」)。Hilbert 空間 $L^2(\omega,\mu)$ は反射的なので $B_R$ は弱コンパクトであり(反射的Banach空間 の定理「角谷の定理」)、$K_\varepsilon:=I(B_R)$ は $L^1$ の弱コンパクト集合で $F\subset K_\varepsilon+\varepsilon B_{L^1}$ を満たす。lem-dp-approx から 1 が従う。$\square$

1:$K:=\{f_n\}\cup\{f\}$ は弱コンパクトである($f$ を含む弱開集合は有限個を除くすべての $f_n$ を含む)。定理の 1 ⇒ 2 を $K$ に使う。2:定理の 2 ⇒ 1 で $\{f_n\}$ を含む弱コンパクト集合をとり、lem-dp-subsequence を使う。$\square$

各点収束との組み合わせ:Vitali の収束定理

一様可積分性は、ほとんど至る所の収束をノルム収束に引き上げる条件でもある。

Vitaliの収束定理

$(f_n)\subset L^1$ が一様可積分で、ほとんど至る所 $f_n\to f$ とする。このとき $f\in L^1$ であり、$\|f_n-f\|_1\to0$ である。とくに、$L^1$ で $f_n\to f$ が弱収束し、かつほとんど至る所 $f_n\to f$ なら、$\|f_n-f\|_1\to0$ である。

Fatouの補題 から $\int|f|\le\liminf\int|f_n|<\infty$ である。$\{f\}$ は lem-dp-basic の 1 により一様可積分なので、(a) は上限の大きい方、(b) は $\delta$ の小さい方、(c) は $\omega$ の和をとれば成り立ち、$\{f_n\}\cup\{f\}$ も一様可積分である。$\varepsilon>0$ に対し、$\omega$ と $M$ を定理の証明の 2 ⇒ 1 と同じようにこの集合についてとると、$\omega$ の上で
$$ |f_n-f|\le|T_Mf_n-T_Mf|+|f_n|1_{\{|f_n|>M\}}+|f|1_{\{|f|>M\}} $$
である。$T_M$ は連続なので $T_Mf_n\to T_Mf$ がほとんど至る所で成り立ち、$|T_Mf_n-T_Mf|\le2M1_\omega$ は可積分なので、優収束定理から $\int_\omega|T_Mf_n-T_Mf|\to0$ である。$\omega$ の外の寄与と合わせて $\limsup_n\|f_n-f\|_1\le2\varepsilon$ である。後半は cor-dp-sequences の 1 による。$\square$

de la Vallée-Poussin の判定法

測度が有限のときは、一様可積分性を 1 つの関数の積分の有界性で言い換えられる。

de la Vallée-Poussinの判定法

$\mu(\Omega)<\infty$ とし、$F\subset L^1$ とする。$F$ が一様可積分であるための必要十分条件は、単調非減少な凸関数 $G\colon[0,\infty)\to[0,\infty)$ で $\lim_{t\to\infty}G(t)/t=\infty$ かつ $\sup_{f\in F}\int G(|f|)\,d\mu<\infty$ となるものがあることである。

要点:十分性は「$t\ge T$ なら $t\le G(t)/k$」から裾を $C/k$ で抑える。必要性は、裾が $2^{-k}$ 以下になる高さ $T_k$ を選び $G(t):=\sum_k(t-T_k)^+$ とおく。

詳しい証明を開く

十分性(凸性は使わない):$C:=\sup_F\int G(|f|)$ とする。$k>0$ に対し $t\ge T$ なら $G(t)\ge kt$ となる $T$ をとると、$\int_{\{|f|>T\}}|f|\le\frac1k\int G(|f|)\le C/k$ であり、$\|f\|_1\le T\mu(\Omega)+C/k$ である。よって (a) が成り立ち、lem-dp-basic の 2 から (b) が従う。(c) は $\omega=\Omega$ でよい。

必要性:lem-dp-basic の 2 により、$\sup_F\int_{\{|f|>T_k\}}|f|\le2^{-k}$ となる正の狭義増加列 $T_k\to\infty$($k\ge1$)がとれる。$G(t):=\sum_{k\ge1}(t-T_k)^+$ とおくと、各 $t$ で $T_k< t$ となる $k$ は有限個なので $G$ は有限値で、単調非減少な凸関数の有限和として各有界区間の上で単調非減少かつ凸である。$t\ge2T_m$ なら $k\le m$ について $t-T_k\ge t/2$ なので $G(t)\ge mt/2$ であり、$G(t)/t\to\infty$ である。単調収束定理から $\int G(|f|)=\sum_k\int(|f|-T_k)^+\le\sum_k\int_{\{|f|>T_k\}}|f|\le\sum_k2^{-k}=1$ である。$\square$

たとえば $G(t)=t^p$($p>1$)とすれば ex-dp-families の 2 が、$G(t)=t\log(1+t)$ とすれば「$\int|f|\log(1+|f|)$ が一様に有界な族は一様可積分」が得られる。

例

順序区間は弱コンパクト

$u_1,u_2\in L^1$、$u_1\le u_2$ とし、$K:=\{f\in L^1\mid u_1\le f\le u_2\text{ a.e.}\}$ とおく。$|f|\le|u_1|+|u_2|$ なので $K$ は一様可積分であり(ex-dp-families の 1)、定理から $K$ はある弱コンパクト集合に含まれる。$K$ は凸で、ノルム収束列の部分列はほとんど至る所収束するので不等式が保たれてノルム閉である。閉凸集合は弱閉なので(lem-dp-subsequence の証明のとおり)、$K$ 自身が弱コンパクトである。

有界な列の弱収束部分列

$\mu(\Omega)<\infty$ で $(f_n)$ が $L^2$ で有界なら、ex-dp-families の 2 と cor-dp-sequences の 2 により、$L^1$ で弱収束する部分列がある。この場合は $L^2$ の反射性から直接も分かるが、定理は $L^2$ の有界性を $\sup_n\int|f_n|\log(1+|f_n|)<\infty$ のような弱い条件に置き換えても同じ結論を与える(thm-dp-vallee-poussin)。

反例

各行は、定理または Vitali の収束定理の仮定を 1 つだけ外す。

外す条件反例成り立たなくなること
(b) 小さな集合での一様性$(0,1)$ 上の $f_n=n1_{(0,1/n)}$弱収束する部分列をもつ
(c) 無限遠での一様性$\mathbb{R}$ 上の $f_n=1_{(n,n+1)}$弱収束する部分列をもつ
(a) ノルムの有界性1 点からなる確率空間上の $f_n=n$弱コンパクト集合に含まれる
Vitali の定理の各点収束(弱収束だけにする)$(0,1)$ 上の Rademacher 関数 $r_n$ノルム収束する
de la Vallée-Poussin の判定法の $\mu(\Omega)<\infty$$\mathbb{R}$ 上の $f_n=1_{(n,n+1)}$ と $G(t)=t^2$一様可積分である
反例の確認
  1. $f_n=n1_{(0,1/n)}$ は (a)・(c) を満たし、(b) を満たさない(ex-dp-families の 3)。部分列 $f_{n_k}$ が $f$ に弱収束したとすると、$0< a<1$ について $\int_a^1f=\lim_k\int_a^1f_{n_k}=0$ なので $f=0$ a.e. となるが、$g=1$ を試すと $\int_0^1f_{n_k}=1\not\to0$ である。$(f_n)$ は測度としては $0$ に集中する Dirac 測度に近づく(Radon測度 の例「質量の集中」)。
  2. $f_n=1_{(n,n+1)}$ は $\int_A|f_n|\le\mu(A)$ なので (a)・(b) を満たす。$\mu(\omega)<\infty$ なら $\sum_n\mu(\omega\cap(n,n+1))\le\mu(\omega)$ から $\mu(\omega\cap(n,n+1))\to0$ なので $\int_{\mathbb{R}\setminus\omega}f_n\to1$ であり、(c) は成り立たない。部分列が $f$ に弱収束すれば、有界な $A$ で $\int_Af=0$ なので $f=0$ a.e.、一方 $g=1$ で $\int f_{n_k}=1$ となって矛盾する。同じ列は $\int G(|f_n|)=\int f_n^2=1$ を満たすので、5 行目の反例でもある。
  3. $\Omega=\{p\}$、$\mu(\{p\})=1$ とすると $L^1=\mathbb{R}$ である。$\mu(A)<1/2$ となる $A$ は空集合だけなので (b) は $\delta=1/2$ で、(c) は $\omega=\Omega$ で成り立つが、$\{n\}$ は有界でないので $\mathbb{R}$ のコンパクト集合に含まれない。この反例では 1 点が正の測度をもち、(b) が小さな集合について何も言わないことが効いている。
  4. $r_n(x):=(-1)^{\lfloor2^nx\rfloor}$ とおく。$|r_n|=1$ なので $\{r_n\}$ は一様可積分である。長さ $2^{-m}$ の 2 進区間 $J$ と $n>m$ について、$J$ は長さ $2^{-n}$ の区間 $2^{n-m}$ 個(偶数個)に分かれ、$r_n$ はそこで $1$ と $-1$ を交互にとるので $\int_Jr_n=0$ である。連続関数は 2 進区間の上で定数の階段関数で一様に近似でき、$C_c((0,1))$ は $L^1(0,1)$ で稠密なので(Bre11 Corollary 4.23、p. 109)、$g\in L^\infty\subset L^1$ と $\varepsilon>0$ に対し $\|g-s\|_1<\varepsilon$ となる 2 進階段関数 $s$ がある。$|\int r_ng|\le|\int r_ns|+\varepsilon$ で第 1 項は $n$ が大きければ $0$ なので、$r_n\to0$ は弱収束である。しかし $\|r_n\|_1=1$ でノルム収束しない。$r_n$ がほとんど至る所収束すれば Vitali の定理から極限 $0$ にノルム収束するはずなので、$(r_n)$ はほとんど至る所では収束しない。

補足

名前と別の概念

Banach 空間の性質としての「Dunford–Pettis 性」は、名前は同じでも別の概念である。一様可積分性は確率論でも、期待値と極限の交換の条件(thm-dp-vitali)として現れる。そこでは確率空間なので (c) は自動的に成り立ち、lem-dp-basic の 2 の形が定義として使われる。

一様可積分性と測度の弱スター収束

$\Omega\subset\mathbb{R}^N$ が有界な開集合なら、$L^1(\Omega)$ の有界列は、閉包 $\overline{\Omega}$ 上の Radon測度 の空間の中では常に弱スター収束する部分列をもつ。Dunford–Pettis の定理は、極限が $L^1$ の関数(Lebesgue 測度に関する密度)になるのはどのようなときかを答える。有限な測度が $L^1$ の関数で表されることは、Lebesgue 測度に関して絶対連続であることと同値である(Radon–Nikodymの定理)。

関連項目

参考文献

[1]
Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Universitext, Springer, 2011, Corollary 4.23(p. 109、$C_c$ の稠密性)、Theorem 4.30(p. 115、Dunford–Pettis の定理の主張)、Problem 23(pp. 466–469、一様可積分性と弱コンパクト性)

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