局所準同型

同義語:local homomorphism局所環準同型

概要

局所準同型(local homomorphism)とは、局所環 $(R,\mathfrak{m})$ から $(S,\mathfrak{n})$ への環準同型 $\varphi$ で $\varphi(\mathfrak{m})\subset\mathfrak{n}$ を満たすものである。これは $\varphi(r)$ が単元なら $r$ も単元であることと同値で、剰余体の埋め込み $R/\mathfrak{m}\to S/\mathfrak{n}$ を誘導する。スキームの射が誘導する茎の写像は局所準同型だが、体でない局所整域からその分数体への写像は局所的でない。局所的であることだけからは平坦性や単射性は従わない。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 環準同型, 局所環, イデアル, 局所化, スキーム

点を保つ環の写像

多項式の値を点の近くで調べるとき、零になる関数と、その点で零にならない関数は役割が異なる。後者は点の近くで逆数を持ち、前者は局所環の極大イデアルに入る。二つの局所環の間でこの区別を保つ環準同型が局所準同型である。例えばスキームの射は、点の近傍の関数を引き戻す。その引き戻しは「像の点で零になる関数」を「元の点で零になる関数」に送るので、茎の間の局所準同型になる(Sta07BH、Sta01HA)。
局所準同型は、局所環への単なる環準同型より条件が一つ多い。一方、局所化という特定の操作だけを指す言葉でもない。剰余体の拡大、商環への写像、スキームの射が誘導する茎の写像など、形の異なる例をまとめて扱う。本稿では判定法と具体例を証明し、点と接空間の情報がどう移るかまで追う。環は単位元を持つ可換環とし、環準同型は単位元を保つものとする。

定義と判定法

$(R,\mathfrak m)$ と $(S,\mathfrak n)$ を局所環とする。局所環では極大イデアルが一つだけなので、$R$ の非単元全体が $\mathfrak m$、$S$ の非単元全体が $\mathfrak n$ である。逆に、極大イデアルの外にある元は単元である。この区別を明示するため、極大イデアルを環の名前に添えて書く。

局所準同型

環準同型 $\varphi:R\to S$ が局所準同型であるとは、$\varphi(\mathfrak m)\subseteq\mathfrak n$ を満たすことをいう。言い換えると、$R$ で非単元である元が $S$ でも非単元として写る。$\mathfrak m$ の像が $\mathfrak n$ 全体に等しいことは要求しない(Sta07BH Definition 10.18.1)。

単元はどの単位的環準同型でも単元へ写る。実際、$uv=1$ なら $\varphi(u)\varphi(v)=1$ である。局所性が追加するのは逆向きの情報である。

局所性の四つの判定

局所環の間の環準同型 $\varphi:R\to S$ に対し、次は同値である。

  1. $\varphi$ は局所準同型である。
  2. $\varphi(\mathfrak m)\subseteq\mathfrak n$ である。
  3. $\varphi^{-1}(\mathfrak n)=\mathfrak m$ である。
  4. $r\in R$ の像 $\varphi(r)$ が $S$ の単元なら、$r$ は $R$ の単元である。
    特に「単元を単元に送る」だけでは 4 の代わりにならない(Sta07BH Lemma 10.18.4)。
極大イデアルと単元による判定

1 と 2 は定義そのものである。2 が成り立てば、$\varphi^{-1}(\mathfrak n)$ は $\mathfrak m$ を含む真のイデアルである。$\mathfrak m$ は極大だから両者は等しく、3 を得る。3 なら包含である 2 が従う。また $r$ が非単元であることと $r\in\mathfrak m$、$\varphi(r)$ が非単元であることと $\varphi(r)\in\mathfrak n$ はそれぞれ同値である。よって 2 は 4 の対偶に等しい。$\square$

この命題には「二つとも局所環」という仮定が必要である。一般の環の極大イデアルを一つ指定しても、その外側のすべての元が単元になるとは限らない。また $\varphi^{-1}(\mathfrak n)=\mathfrak m$ という等式は、$\varphi(\mathfrak m)=\mathfrak n$ を意味しない。左辺は逆像であって、右辺のすべての元に原像があるとは述べていない。

極大イデアルの像が真に小さい例

体 $k$ と形式的冪級数環 $k[\![t]\!]$ を考える。自然な埋め込み $k\to k[\![t]\!]$ は局所準同型である。始域の極大イデアルは $0$、終域の極大イデアルは $(t)$ なので、像は $0\subsetneq(t)$ である。終域に新しい「零になる方向」$t$ があっても局所性は失われない。

局所準同型の合成も局所準同型である。$(T,\mathfrak p)$ への局所準同型 $\psi:S\to T$ があれば、$\psi(\varphi(\mathfrak m))\subseteq\psi(\mathfrak n)\subseteq\mathfrak p$ だからである。恒等写像も局所準同型なので、局所環を対象、局所準同型を射とするまとまりを考えられる。幾何ではこの合成可能性が、スキームの射を続けて施したときの茎の写像に対応する。

剰余体に移る情報

局所環 $(R,\mathfrak m)$ の剰余体は $\kappa_R=R/\mathfrak m$ である。局所準同型は極大イデアルを極大イデアルに入れるので、商を取った後にも写像が残る。

誘導される剰余体の埋め込み

局所準同型 $\varphi:(R,\mathfrak m)\to(S,\mathfrak n)$ は体の準同型
$$ \overline\varphi:\kappa_R=R/\mathfrak m\longrightarrow S/\mathfrak n=\kappa_S,\qquad r+\mathfrak m\longmapsto\varphi(r)+\mathfrak n $$
を誘導する。この準同型は単射である。一般には全射ではない。

商への降下と単射性

$r-r'\in\mathfrak m$ なら $\varphi(r-r')\in\mathfrak n$ なので式は代表元の選び方によらない。核は $\{r+\mathfrak m:\varphi(r)\in\mathfrak n\}$ である。局所性の判定法より $\varphi^{-1}(\mathfrak n)=\mathfrak m$ だから核は零である。体の間の単位的準同型でもあるため単射である。例えば体の真の拡大 $k\hookrightarrow K$ は両方の極大イデアルが $0$ なので局所準同型だが、誘導される $k\to K$ は全射でない。$\square$

この「剰余体が埋め込まれる」という結論は、点の値を比較するために使う。スキームの射 $f:X\to Y$ で $x\mapsto y$ のとき、$y$ での関数の値は $\kappa(y)$ に属し、引き戻した関数の $x$ での値は $\kappa(x)$ に属する。両者を直接等号で結ぶ前に、$\kappa(y)\hookrightarrow\kappa(x)$ を経由させる必要がある。閉点だけを見ると両方が同じ体に見える場合もあるが、一般点を含めるとこの区別が欠かせない。

商環への局所準同型

$(R,\mathfrak m)$ の真のイデアル $I$ を取り、$S=R/I$ とする。真のイデアルは $\mathfrak m$ に含まれるので、$S$ は極大イデアル $\mathfrak m/I$ を持つ局所環である。商写像 $R\to R/I$ は $\mathfrak m$ を $\mathfrak m/I$ に写すから局所準同型で、剰余体の写像は $R/\mathfrak m\cong (R/I)/(\mathfrak m/I)$ という同型になる。ただし $I\ne0$ なら元の局所準同型は単射でない。

局所準同型を「剰余体が同型になる環準同型」と定義してはいけない。体の拡大は局所準同型であっても剰余体を真に大きくする。逆に商環の例は剰余体を変えずに環の情報を失う。局所性が保持するのは点の極大イデアルとの整合であり、環や剰余体の大きさに対する同型条件ではない。

局所化と失敗する例

一般の環準同型 $u:A\to B$ を取り、$B$ の素イデアル $\mathfrak q$ を一つ選ぶ。その逆像 $\mathfrak p=u^{-1}(\mathfrak q)$ は $A$ の素イデアルである。$\mathfrak p$ の外の元は $\mathfrak q$ の外へ写り、$B_{\mathfrak q}$ で単元になる。従って普遍性により $A_{\mathfrak p}\to B_{\mathfrak q}$ が定まる。

対応する素イデアルでの局所化

上の状況で
$$ u_{\mathfrak p,\mathfrak q}:A_{\mathfrak p}\longrightarrow B_{\mathfrak q}, \qquad \frac{a}{s}\longmapsto\frac{u(a)}{u(s)} $$
は局所準同型である。ここで $s\notin\mathfrak p$ とする。誘導される剰余体の写像は $\kappa(\mathfrak p)\hookrightarrow\kappa(\mathfrak q)$ である(Sta07BH Section 10.18)。

分母と極大イデアルの確認

$s\notin\mathfrak p=u^{-1}(\mathfrak q)$ から $u(s)\notin\mathfrak q$ となるので、$u(s)$ は $B_{\mathfrak q}$ で可逆であり、表示の写像が定まる。$A_{\mathfrak p}$ の極大イデアルは $\mathfrak pA_{\mathfrak p}$ で、その元は $a\in\mathfrak p$ を分子にして表せる。すると $u(a)\in\mathfrak q$ だから像は $\mathfrak qB_{\mathfrak q}$ に入る。これが局所性である。剰余体の単射は前命題による。$\square$

ここでは終域の素イデアルを選んでから始域の素イデアルを逆像で決めたことが肝心である。始域の任意の素イデアルを選び、終域に任意の局所環を置くだけでは局所性は保証されない。局所化という操作で作った写像であっても、両端の「注目する点」が合っていなければ局所準同型ではない。

局所化写像でも局所的でない

$R=k[t]_{(t)}$ とし、その分数体 $K=k(t)$ への自然な写像 $R\to K$ を考える。$R$ と $K$ はともに局所環だが、$t\in(t)$ は $R$ で非単元、$K$ では単元である。従ってこの写像は局所準同型でない。素イデアルでいえば $K$ の極大イデアル $0$ の逆像は $0$ であって、$R$ の極大イデアル $(t)$ ではない。これは Sta07BH Example 10.18.2 の基本形である。

一方、$k[t]_{(t)}\to k[\![t]\!]$ は $t$ を $(t)$ に送る局所準同型であり、分母として許された $g(t)$($g(0)\ne0$)は冪級数環でも単元である。この写像は商環への射とも体の拡大とも異なるが、局所性という一点で共通する。局所準同型は「局所化で得た射」の別名ではなく、点の近傍における写像の振る舞いを指定する条件である。

スキームの射と茎

スキーム $X$ の各点 $x$ には局所環 $\mathcal O_{X,x}$ がある。射 $f:X\to Y$ は台となる連続写像だけでなく、$Y$ 上の局所関数を $X$ 上へ引き戻す写像を持つ。点 $x$ で茎を取ると、向きが空間の射と逆の
$$ f_x^\sharp:\mathcal O_{Y,f(x)}\longrightarrow\mathcal O_{X,x} $$
が得られる。スキームは局所環付き空間であり、この茎の写像が局所準同型であることが射の条件に含まれる(Sta01HA Definition 26.2.1)。この条件は単なる記法ではない。$f(x)$ で消える関数を引き戻したものは $x$ で消える、という点の対応を保証する。

アフィンスキーム上の茎の写像

環準同型 $u:A\to B$ に対応するスキームの射 $f:\operatorname{Spec}B\to\operatorname{Spec}A$ を考える。$x\in\operatorname{Spec}B$ に対応する素イデアルを $\mathfrak q$ とすると、$f(x)$ に対応する素イデアルは $\mathfrak p=u^{-1}(\mathfrak q)$ である。このとき茎の写像は $A_{\mathfrak p}\to B_{\mathfrak q}$ であり、局所準同型になる。

アフィンの場合の点と茎

$f$ の点への作用は素イデアルの逆像で定義される。アフィンスキームの構造層の茎は、それぞれ $\mathcal O_{\operatorname{Spec}A,\mathfrak p}=A_{\mathfrak p}$、$\mathcal O_{\operatorname{Spec}B,\mathfrak q}=B_{\mathfrak q}$ である。関数の引き戻しを分数表示で書くと $a/s\mapsto u(a)/u(s)$ になる。分母が許されることと極大イデアルの包含は直前の局所化命題で確かめた。従って茎の写像は局所準同型である。$\square$

この説明は「環の写像の向き」と「空間の射の向き」が逆になることも示している。$A\to B$ は $\operatorname{Spec}B\to\operatorname{Spec}A$ を与え、点 $x$ の局所環への射は $\mathcal O_{Y,f(x)}\to\mathcal O_{X,x}$ となる。矢印の向きを取り違えて $\mathcal O_{X,x}\to\mathcal O_{Y,f(x)}$ と書くと、通常は自然な写像にならない。

閉埋め込みと剰余体

$A=k[x,y]$、$B=A/(y)$ とし、商写像で定まる直線の閉埋め込み $\operatorname{Spec}B\to\operatorname{Spec}A$ を考える。原点の素イデアル $(x)\subset B$ は $(x,y)\subset A$ に写る。茎の局所準同型 $A_{(x,y)}\to B_{(x)}$ は $y$ を $0$ にするが、両方の剰余体は $k$ である。局所準同型は環として単射である必要がないことが、この幾何例でも見える。

一般のスキームの射についても、点の周りをアフィン開集合に縮めれば、局所環の写像をこの形で確認できる。逆に局所環付き空間の射という定義では、各点の茎での局所性を最初から要求する。局所性を忘れた環付き空間の射だけを許すと、点の像と剰余体への値の写像が整合しない場合がある。この違いが、スキームの射を単なる連続写像と区別する理由の一つである。

接方向に現れる写像

局所環の極大イデアル $\mathfrak m$ は点で消える関数を表す。その二乗 $\mathfrak m^2$ には、消える関数の積が入る。商 $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ は一次の消え方を記録し、剰余体上のベクトル空間になる。$\mathfrak m$ を $\mathfrak n$ に送る局所準同型は、その二乗も $\mathfrak n^2$ に送るので、一次の情報にも写像を与える。

余接方向への自然な写像

局所準同型 $\varphi:(R,\mathfrak m)\to(S,\mathfrak n)$ は、誘導された体の埋め込み $\kappa_R\to\kappa_S$ を使って、$\kappa_S$ 線形写像
$$ (\mathfrak m/\mathfrak m^2)\otimes_{\kappa_R}\kappa_S \longrightarrow \mathfrak n/\mathfrak n^2,\qquad (r+\mathfrak m^2)\otimes\lambda\longmapsto \lambda\bigl(\varphi(r)+\mathfrak n^2\bigr) $$
を定める。この写像は一般には単射でも全射でもない。

商と係数拡大の整合

$r\in\mathfrak m^2$ なら $r$ は $\mathfrak m$ の元の積の和である。各因子の像は $\mathfrak n$ に入るので $\varphi(r)\in\mathfrak n^2$ となり、商上の写像は定まる。$\mathfrak m/\mathfrak m^2$ の係数 $a+\mathfrak m\in\kappa_R$ の作用を代表元 $a\in R$ で書くと、像の係数は $\varphi(a)+\mathfrak n\in\kappa_S$ である。代表元を $\mathfrak m$ の元だけ変えても、$\mathfrak n$ の元と $\varphi(r)\in\mathfrak n$ の積は $\mathfrak n^2$ に入る。従って係数拡大のバランス関係を保ち、表示の $\kappa_S$ 線形写像が得られる。$\square$

例えば $k[t]_{(t)}\to k[t]_{(t)}/(t^2)$ では、一次の $t$ はなお零でないが、$k[t]_{(t)}\to k$ では $t$ の一次の像も零になる。一方 $k\to k[\![t]\!]$ では始域の $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ は $0$、終域のそれは $k$ で一次元だから、余接方向の写像は全射でない。接空間の写像は適切な双対を取って逆向きに得られるが、その同一視には基礎体と剰余体を明示する必要がある。一般点で $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ の双対を相対接空間そのものと無条件に同一視してはいけない。詳細は 余接空間 と Zariski接空間 で扱う。

平坦性との関係と使い分け

局所準同型であることだけから、平坦性、有限性、単射性、全射性は従わない。商環 $R\to R/I$ は局所的でも、非零の $I$ を取れば単射でない。$k\to k[\![t]\!]$ は局所的でも全射でない。平坦性も別の条件である。例えば $k[t]_{(t)}\to k[t]_{(t)}/(t)$ は局所準同型だが、$t$ による $R$ 上の単射 $R\xrightarrow{\cdot t}R$ をテンソルすると、終域では零写像になり単射性が失われるため平坦でない。
逆向きにも、平坦な環準同型なら局所的とは限らない。先の $k[t]_{(t)}\to k(t)$ は局所化なので平坦だが、$t$ を単元にするため局所準同型でない。この二条件は独立の役割を持つ。「平坦な局所準同型」と書かれている定理では両方を確認する必要がある。局所性は注目する点を合わせ、平坦性は加群をテンソルしたときの短完全列の振る舞いを制御する。
局所環 $R$ と $S$ の間で平坦性も局所性も満たす場合、さらに忠実平坦性が従う(Sta00HR Lemma 10.39.17)。直観的には、$S$ へ移したときに零でない $R$ 加群を見失わない。ここで重要なのは平坦性だけでなく局所性である。先ほどの $R\to k(t)$ では $R/(t)\ne0$ なのに $(R/(t))\otimes_R k(t)=0$ となり、忠実性に失敗する。実際、任意の非零 $R$ 加群 $M$ の零でない元が生成する巡回加群を見れば、局所性によりその台に閉点が残る。この一般定理の証明は忠実平坦性の理論に委ね、本稿では仮定の違いを示す例にとどめる。
局所準同型を見るときは、最初に両端がどの極大イデアルを持つかを書くと混乱が少ない。次に始域の非単元が終域で単元にならないかを調べる。局所化由来の写像なら終域の素イデアルを先に選び、始域でその逆像を取る。スキームの射なら、空間の射とは逆向きの茎の写像を作り、剰余体の埋め込みを記す。この順序で確認すれば、「どの点の近くの情報を比較しているか」が明確になる。

反例:仮定を外すと崩れること

本文に散らばっている例を、どの仮定を外すとどの主張が崩れるかという形で表にまとめる。

外す条件反例成り立たなくなること
始域が局所環(prop-local-criteria)$k[t]\to k[t]_{(t)}$、始域の極大イデアルに $(t)$ を指定条件 2 と条件 4 の同値
局所性(prop-residue-fields)$k[t]_{(t)}\to k(t)$剰余体の写像が定まる
局所性(条件 4 を「単元を単元へ」で代用)同上単元を単元へ送る写像は局所準同型
局所性(平坦+局所 ⇒ 忠実平坦)同上平坦なら $M\ne0\Rightarrow M\otimes_RS\ne0$
平坦性(同上)$k[t]_{(t)}\to k[t]_{(t)}/(t)$局所準同型は平坦
余接写像の単射性(prop-cotangent-map)$k[t]_{(t)}\to k[\![s]\!]$、$t\mapsto s^2$単射な局所準同型なら余接写像も単射

各行の確認は次のとおりである。

  • 始域が局所環でない:$\varphi:k[t]\to k[t]_{(t)}$ を自然な写像、始域で $\mathfrak m=(t)$、終域で $\mathfrak n=(t)k[t]_{(t)}$ とする。$\varphi(\mathfrak m)\subseteq\mathfrak n$(条件 2)は成り立つ。しかし $t-1$ は $k[t]$ で単元でないのに、$t-1\notin(t)$ だから $k[t]_{(t)}$ では単元になり、条件 4 が破れる。prf-local-criteria の「$\mathfrak m$ の外の元は単元」の段が、$k[t]$ では使えない。
  • 局所でない写像では剰余体の写像が定まらない:$R=k[t]_{(t)}$ の剰余体は $k$、$K=k(t)$ の剰余体は $K$ 自身である。$t$ と $0$ は $R/\mathfrak m$ で同じ類だが、$K$ での像 $t$ と $0$ は異なるので、$r+\mathfrak m\mapsto\varphi(r)+0$ は代表元によって値が変わる。
  • 単元を単元へ送るだけでは局所的でない:$R\to K$ は単位的環準同型なので単元を単元へ送るが、ex-nonlocal-localization のとおり非単元 $t$ を単元へ送るので局所準同型でない。
  • 局所性を外すと忠実平坦にならない:$R\to K$ は局所化なので平坦だが、$R/(t)\ne0$ に対し $(R/(t))\otimes_RK=K/tK=0$ である(本文の前節)。
  • 平坦性を外す:$R\to R/(t)$ は局所準同型だが、単射 $R\xrightarrow{\cdot t}R$ に $\otimes_RR/(t)$ を施すと零写像 $R/(t)\to R/(t)$ になり単射でないので、平坦でない(本文の前節)。
  • 余接写像は単射とは限らない:$t\mapsto s^2$ は $k[t]$ から $k[\![s]\!]$ への単射で、原点で零にならない多項式 $g$($g(0)\ne0$)は $g(s^2)$ の定数項が零でないので単元へ写る。よって $k[t]_{(t)}\to k[\![s]\!]$ が定まり、$(t)$ を $(s)$ に写す局所準同型で、環として単射である。しかし $\mathfrak m/\mathfrak m^2$ の基底 $t$ の像は $s^2\in\mathfrak n^2$ なので、余接写像 $k\cdot t\to k\cdot s$ は零写像である。環の単射性は一次の情報の単射性を意味しない。

関連項目

参考文献

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