球の体積と表面積

同義語:球の表面積volume and surface area of a sphere

概要

球の体積と表面積(volume and surface area of a sphere)とは、半径 $r$ の球の体積 $\frac43\pi r^3$ と表面積 $4\pi r^2$ のことである。回転面の面積は、曲線の上の点を結ぶ折れ線を軸のまわりに回した円錐台の側面積の和の極限として定める。球では、弦を回した円錐台の側面積が、中心から弦の中点までの距離と軸方向の幅の積の $2\pi$ 倍に等しく、和は $4\pi r^2$ 以下で $4\pi r^2$ に近づく。$f\ge0$ で $f'$ が閉区間 $[a,b]$ で連続なら、回転面の面積は $2\pi\int_a^bf\sqrt{1+f'^2}\,dx$ である。輪切りを円柱で近似すると $\pi^2r^2$ になり誤る。体積を半径で微分すると表面積になり、球と外接する円柱の体積の比も表面積の比も $2:3$ である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 体積と回転体, 媒介変数表示と曲線の長さ, 区分求積と積分の定義, 一般角と弧度法

高校での出発点:球の公式と「曲面の面積」

中学校で、半径 $r$ の球の体積は $\dfrac43\pi r^3$、表面積は $4\pi r^2$ と習う。まず数値で公式を使ってみる。

球の体積と表面積を計算する
  1. 半径 $1$、$2$、$3$ の球の表面積と体積は次のとおりである。
    半径 $r$表面積 $4\pi r^2$体積 $\frac43\pi r^3$
    $1$$4\pi$$\frac43\pi$
    $2$$16\pi$$\frac{32}3\pi$
    $3$$36\pi$$36\pi$
    半径が $2$ 倍になると、表面積は $2^2=4$ 倍、体積は $2^3=8$ 倍になる。半径 $3$ では、表面積と体積の数値がどちらも $36\pi$ で一致する(単位は $\mathrm{cm}^2$ と $\mathrm{cm}^3$ のように違う)。
    (2) 地球の場合を開く

    (2) 地球を半径 $6371\ \mathrm{km}$ の球とみなすと、表面積は$$4\pi\times6371^2=5.10\ldots\times10^8\ (\mathrm{km}^2),$$体積は $\dfrac43\pi\times6371^3=1.08\ldots\times10^{12}\ (\mathrm{km}^3)$ である。

体積の公式は、体積と回転体 で断面積の積分として導かれている。高さ $z$ で半球を切った断面の面積 $\pi(r^2-z^2)$ が、円柱から円錐をくり抜いた立体の断面の面積と等しいので、Cavalieri の原理から半球の体積は $\pi r^3-\dfrac13\pi r^3=\dfrac23\pi r^3$ になる。
表面積の方は、同じようにはいかない。円柱や円錐の側面は切り開くと平らな長方形や扇形になるので、面積は平面の図形の面積として決まる。ところが球面は、どう切っても平らに広げられない。そこで、体積のときと同じく「薄く輪切りにして円柱で近似する」ことを試してみる。

円柱で近似すると誤る

半径 $r$ の球を、$x$ 軸を中心軸とする回転体として $y=\sqrt{r^2-x^2}$($-r\le x\le r$)の回転で表す。$x$ から $x+\Delta x$ までの輪切りを、半径 $\sqrt{r^2-x^2}$、高さ $\Delta x$ の円柱で近似すると、その側面積は $2\pi\sqrt{r^2-x^2}\,\Delta x$ である。これを足して $\Delta x$ を小さくした極限は
$$ 2\pi\int_{-r}^r\sqrt{r^2-x^2}\,dx=2\pi\cdot\underbrace{\frac{\pi r^2}{2}}_{\text{半円の面積}}=\pi^2r^2 $$
である($\int_{-r}^r\sqrt{r^2-x^2}\,dx$ は半径 $r$ の半円の面積)。$\pi^2=9.869\ldots$、$4\pi=12.566\ldots$ なので、$\pi^2r^2$ は $4\pi r^2$ より 2 割ほど小さい。

体積ではうまくいった円柱の近似が、表面積では誤った値を出す。体積と回転体 もこの点に注意している。図 1・図 2 は、同じ球を円柱の段で近似したものと、球面に沿って傾いた円錐台の段で近似したものである。

半径 1 の球を 6 段の円柱で近似した図で、各段の側面は軸に平行で球面の傾きに沿わない 半径 1 の球を 6 段の円柱で近似した図で、各段の側面は軸に平行で球面の傾きに沿わない
半径 1 の球を 6 段の円錐台で近似した図で、各段の側面は球面の上の 2 つの円を結んで傾いている 半径 1 の球を 6 段の円錐台で近似した図で、各段の側面は球面の上の 2 つの円を結んで傾いている

この記事で答える問いは次の 4 つである。

  1. 曲がった面の面積は、どう定義すればよいか。→ def-vsph-area
  2. 球の表面積が $4\pi r^2$ になるのはなぜか。→ thm-vsph-main
  3. 一般の回転体の側面積はどう計算するか。円柱で近似すると何がずれるのか。→ thm-vsph-formula、rem-vsph-why-cylinder
  4. 体積を半径で微分すると表面積になるのはなぜか。→ cor-vsph-derivative
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    球の表面積 $4\pi r^2$円錐台の側面積の和の極限曲面積(面積要素の積分)
    回転体の側面積$2\pi\int_a^bf(x)\sqrt{1+f'(x)^2}\,dx$パラメータ表示された曲面の面積
    体積を半径で微分すると表面積薄い殻の体積 $\approx$ 表面積 $\times$ 厚さ$n$ 次元球の $V_n'(r)=S_{n-1}(r)$

円錐台の側面積

曲面の面積を定める材料として、切り開くと平らになる面、つまり円錐と円錐台の側面を使う。
扇形の面積を思い出す。半径 $L$、中心角 $\theta$(ラジアン)の扇形の弧の長さは $s=L\theta$、面積は $\dfrac12L^2\theta$ なので、面積は $\dfrac12Ls$(半径と弧の長さの積の半分)と書ける(一般角と弧度法)。

円錐の側面積
  1. 底面の半径 $3$、母線の長さ $5$ の円錐の側面を、母線に沿って切り開く。側面は半径 $5$ の扇形になり、その弧の長さは底面の円周 $2\pi\times3=6\pi$ に等しい。よって側面積は $\dfrac12\times5\times6\pi=15\pi$ である。
  2. 一般に、底面の半径 $r$、母線の長さ $L$ の円錐の側面は、半径 $L$、弧の長さ $2\pi r$ の扇形になるので、側面積は $\dfrac12\times L\times2\pi r=\pi rL$ である。(1) では $\pi\times3\times5=15\pi$ となり一致する。

円錐台は、円錐から、頂点を共有する小さい円錐を切り取った立体である。

円錐台の側面積

2 つの底面の半径が $r_1$、$r_2$($r_1\ge r_2\ge0$)、母線の長さが $\ell$ の円錐台の側面積は
$$ \pi(r_1+r_2)\,\ell $$
である。$r_2=0$ のとき(円錐)は $\pi r_1\ell$、$r_1=r_2$ のとき(円柱)は $2\pi r_1\ell$ になる。

要点:円錐台の側面は、大きい円錐の側面から小さい円錐の側面を除いたものである。2 つの円錐の母線を $L_1$、$L_2$($\ell=L_1-L_2$)とすると、相似から $r_1L_2=r_2L_1$ で、側面積は $\pi r_1L_1-\pi r_2L_2=\pi(r_1+r_2)(L_1-L_2)$ となる。

詳しい証明を開く

$r_1=r_2=r$ のとき、側面は切り開くと縦 $\ell$、横 $2\pi r$ の長方形なので、面積は $2\pi r\ell=\pi(r+r)\ell$ である。$r_2=0$ のときは ex-vsph-cone (2) である。

$r_1>r_2>0$ とする。円錐台の側面を上に延ばすと、頂点で交わって 1 つの円錐になる。大きい円錐(底面の半径 $r_1$)の母線の長さを $L_1$、切り取った小さい円錐(底面の半径 $r_2$)の母線の長さを $L_2$ とすると、$\ell=L_1-L_2$ である。2 つの円錐は頂点を中心に相似なので$$\frac{r_2}{r_1}=\frac{L_2}{L_1},\qquad\text{つまり}\qquad r_1L_2=r_2L_1$$である。円錐台の側面積は、大きい円錐の側面積から小さい円錐の側面積を引いたものなので、ex-vsph-cone (2) から $\pi r_1L_1-\pi r_2L_2$ である。一方、$$\pi(r_1+r_2)(L_1-L_2)=\pi\bigl(r_1L_1-r_1L_2+r_2L_1-r_2L_2\bigr)=\pi(r_1L_1-r_2L_2)$$である(2 つ目の等号で、$r_1L_2=r_2L_1$ により $-r_1L_2+r_2L_1=0$ となる)。よって側面積は $\pi(r_1+r_2)(L_1-L_2)=\pi(r_1+r_2)\ell$ である。

円錐台の側面を切り開いた展開図で、半径 L1 の扇形から半径 L2 の扇形を除いた形になり、外側と内側の弧の長さは 2πr1 と 2πr2 である 円錐台の側面を切り開いた展開図で、半径 L1 の扇形から半径 L2 の扇形を除いた形になり、外側と内側の弧の長さは 2πr1 と 2πr2 である

円錐台の側面積の計算

$r_1=2$、$r_2=1$、$\ell=2$ の円錐台では、$\dfrac{1}{2}=\dfrac{L_2}{L_1}$ と $L_1-L_2=2$ から $L_1=4$、$L_2=2$ である。大きい円錐の側面積は $\pi\times2\times4=8\pi$、小さい円錐の側面積は $\pi\times1\times2=2\pi$ で、差は $6\pi$ である。lem-vsph-frustum の式でも $\pi(2+1)\times2=6\pi$ となる。図 3 はこの円錐台の展開図で、中心角は $\dfrac{2\pi\times2}{4}=\pi$(半円)である。

lem-vsph-frustum の式 $\pi(r_1+r_2)\ell=2\pi\cdot\dfrac{r_1+r_2}2\cdot\ell$ は、「母線の中点が回る円の周の長さ $2\pi\cdot\dfrac{r_1+r_2}{2}$ に、母線の長さ $\ell$ を掛けたもの」と読める。

回転面の面積の定義

関数 $f$ が閉区間 $[a,b]$ で連続で、$f(x)\ge0$ とする。曲線 $y=f(x)$ を $x$ 軸のまわりに 1 回転してできる曲面を、$f$ の 回転面 とよぶ。半径 $r$ の球面は、$f(x)=\sqrt{r^2-x^2}$($-r\le x\le r$)の回転面である。
回転面の面積を、曲線の長さと同じ考え方で定める。媒介変数表示と曲線の長さ では、曲線の上に点をとって結んだ折れ線(内接折れ線)の長さで曲線の長さを近似した。ここでは、その折れ線を軸のまわりに回す。
$[a,b]$ の分割 $P\colon a=x_0< x_1<\cdots< x_n=b$ をとり、曲線の上の点 $P_k=\bigl(x_k,f(x_k)\bigr)$($k=0,1,\ldots,n$)を順に結ぶ。線分 $P_{k-1}P_k$ を $x$ 軸のまわりに回すと、底面の半径が $f(x_{k-1})$、$f(x_k)$ で、母線の長さが $\ell_k=\lvert P_{k-1}P_k\rvert$ の円錐台の側面になる(半径の一方が $0$ なら円錐の側面、両方が等しければ円柱の側面)。lem-vsph-frustum により、その面積は
$$ A_k=\pi\bigl(f(x_{k-1})+f(x_k)\bigr)\,\ell_k,\qquad \ell_k=\sqrt{(x_k-x_{k-1})^2+\bigl(f(x_k)-f(x_{k-1})\bigr)^2} $$
である。これを足したものを $A(P)=\displaystyle\sum_{k=1}^nA_k$ と書く。分割の幅(小区間の幅の最大値)を $\lvert P\rvert$ と書く(区分求積と積分の定義)。

回転面の面積

ある数 $S$ があって、分割の幅 $\lvert P\rvert$ を $0$ に近づけると、分割の選び方によらず $A(P)$ が $S$ に近づくとき、つまり
 任意の $\varepsilon>0$ に対して $\delta>0$ があり、$\lvert P\rvert<\delta$ を満たすどの分割 $P$ についても $\lvert A(P)-S\rvert<\varepsilon$ となる
とき、$S$ を $f$ の回転面の 面積(回転体の 側面積)という。半径 $r$ の球面の面積を、球の 表面積 という。

円錐台の側面は、曲線の上の 2 点を結ぶ線分を回したものなので、曲線の傾きに沿っている。これに対し ex-vsph-naive の円柱の側面は、曲線が傾いていても軸に平行である。この違いが rem-vsph-why-cylinder で効いてくる。

半径 1 の球を 2 つ・4 つに分ける

$f(x)=\sqrt{1-x^2}$($-1\le x\le1$)とする。
(1) 分割 $-1<0<1$。点は $P_0(-1,0)$、$P_1(0,1)$、$P_2(1,0)$ で、$\ell_1=\ell_2=\sqrt2$ である。線分 $P_0P_1$ を回すと、底面の半径 $1$、母線の長さ $\sqrt2$ の円錐の側面になる。よって
$$ A(P)=\pi(0+1)\sqrt2+\pi(1+0)\sqrt2=2\sqrt2\,\pi=8.885\ldots $$
である。
(2) 4 等分 $-1<-\frac12<0<\frac12<1$。点の $y$ 座標は $0$、$\frac{\sqrt3}2$、$1$、$\frac{\sqrt3}2$、$0$ である。$\ell_1^2=\left(\frac12\right)^2+\left(\frac{\sqrt3}2\right)^2=1$、$\ell_2^2=\left(\frac12\right)^2+\left(1-\frac{\sqrt3}2\right)^2=2-\sqrt3$ で、対称性から $\ell_3=\ell_2$、$\ell_4=\ell_1$ である。よって
$$ A(P)=2\left\{\pi\left(0+\frac{\sqrt3}2\right)\cdot1+\pi\left(\frac{\sqrt3}2+1\right)\sqrt{2-\sqrt3}\right\}=11.510\ldots $$
である。分割を細かくすると $A(P)$ は大きくなり、$4\pi=12.566\ldots$ に近づいていく(ex-vsph-n4 で式を整理し、図 5 で $n$ を増やした値を見る)。

主定理:球の表面積は $4\pi r^2$

球の場合は、円錐台の側面積が特別にきれいな形になる。

球に内接する円錐台

半円 $x^2+y^2=r^2$、$y\ge0$ の上に 2 点 $P(x_1,y_1)$、$Q(x_2,y_2)$($x_1< x_2$)をとり、弦 $PQ$ の長さを $\ell$、弦の中点を $M$、原点 $O$ と $M$ の距離を $d$ とする。弦 $PQ$ を $x$ 軸のまわりに回してできる円錐台の側面積は
$$ \pi(y_1+y_2)\,\ell=2\pi d\,(x_2-x_1) $$
であり、$d=\sqrt{r^2-\dfrac{\ell^2}4}$ である。

要点:三角形 $OPQ$ は二等辺三角形なので $OM\perp PQ$ で、三平方の定理から $d^2+\dfrac{\ell^2}4=r^2$、相似な直角三角形の比(図 4)から $m\ell=d\,\Delta x$($m$ は弦の中点の高さ)が出る。lem-vsph-frustum により側面積は $\pi(y_1+y_2)\ell=2\pi m\ell=2\pi d\,\Delta x$ である。

詳しい証明を開く

$\Delta x=x_2-x_1>0$、$\Delta y=y_2-y_1$、$M=(X,m)$ とおく。$X=\dfrac{x_1+x_2}2$、$m=\dfrac{y_1+y_2}2\ge0$ である。

段 1($OM\perp PQ$)。$OP=OQ=r$ なので、三角形 $OPQ$ は二等辺三角形であり、頂点 $O$ と底辺の中点 $M$ を結ぶ線分は底辺 $PQ$ に垂直である。ベクトルで書けば $\overrightarrow{OM}\cdot\overrightarrow{PQ}=0$、つまり$$X\,\Delta x+m\,\Delta y=0$$である。($M=O$ のとき、つまり $PQ$ が直径のときも、$X=m=0$ なのでこの式は成り立つ。)

段 2($d$ の値)。直角三角形 $OMP$ で三平方の定理を使うと、$OM^2+MP^2=OP^2$、つまり $d^2+\dfrac{\ell^2}{4}=r^2$ である。

段 3($m\ell=d\,\Delta x$)。段 1 から $m\,\Delta y=-X\,\Delta x$ なので、$$m^2\ell^2=m^2(\Delta x^2+\Delta y^2)=m^2\Delta x^2+(m\,\Delta y)^2=m^2\Delta x^2+X^2\Delta x^2=(X^2+m^2)\,\Delta x^2=d^2\,\Delta x^2$$である。$m\ge0$、$\ell>0$、$d\ge0$、$\Delta x>0$ なので、両辺の正の平方根をとって $m\ell=d\,\Delta x$ である。

lem-vsph-frustum により側面積は $\pi(y_1+y_2)\ell=2\pi m\ell$ で、段 3 からこれは $2\pi d\,\Delta x$ に等しい。

半円の上の弦 PQ と中点 M で、OM は PQ に垂直であり、弦の両端の高さ y1、y2、中点の高さ m、横の幅 Δx、O から M までの距離 d を示す 半円の上の弦 PQ と中点 M で、OM は PQ に垂直であり、弦の両端の高さ y1、y2、中点の高さ m、横の幅 Δx、O から M までの距離 d を示す
図 4 で見ると、要点の $m\ell=d\,\Delta x$ は相似な 2 つの直角三角形の比である。弦 $PQ$ を斜辺とし横の幅が $\Delta x$ の直角三角形と、$OM$ を斜辺とし縦の長さが $m$ の直角三角形は、辺どうしが互いに垂直なので相似で、$\dfrac{\Delta x}{\ell}=\dfrac{m}{d}$ となる。

補題を数値で確かめる
  1. $r=5$、$P(3,4)$、$Q(4,3)$。$\ell=\sqrt{1^2+1^2}=\sqrt2$、$M=\left(\frac72,\frac72\right)$、$d=\dfrac{7\sqrt2}{2}$ である。$\sqrt{r^2-\frac{\ell^2}4}=\sqrt{25-\frac12}=\sqrt{\frac{49}2}=\dfrac{7}{\sqrt2}=\dfrac{7\sqrt2}2$ で一致する。側面積は、lem-vsph-frustum で $\pi(4+3)\sqrt2=7\sqrt2\,\pi$、補題の右辺で $2\pi\cdot\dfrac{7\sqrt2}2\cdot1=7\sqrt2\,\pi$ となり、一致する。
    (2) 半径 1 の円錐の場合を開く

    (2) $r=1$、$P(-1,0)$、$Q(0,1)$(ex-vsph-n2 (1) の円錐)。$\ell=\sqrt2$、$d=\sqrt{1-\frac12}=\dfrac{1}{\sqrt2}$ で、$2\pi d\,\Delta x=2\pi\cdot\dfrac1{\sqrt2}\cdot1=\sqrt2\,\pi$ は円錐の側面積 $\pi\cdot1\cdot\sqrt2$ と一致する。

球の表面積

半径 $r$ の球面の面積(def-vsph-area の意味)は存在して、
$$ 4\pi r^2 $$
である。さらに、$[-r,r]$ のどの分割 $P$ についても
$$ 0\le4\pi r^2-A(P)\le\pi\bigl(\lvert P\rvert^2+2r\lvert P\rvert\bigr) $$
が成り立つ。

方針:lem-vsph-chord で $A(P)$ を $\sum2\pi d_k\,\Delta x_k$ と書き直し、$d_k$ を上下から $r$ に近い数で挟む。
分割を $-r=x_0< x_1<\cdots< x_n=r$、$y_k=\sqrt{r^2-x_k^2}$、$\Delta x_k=x_k-x_{k-1}$ とし、弦 $P_{k-1}P_k$ の長さを $\ell_k$、弦の中点と原点の距離を $d_k$ とする。lem-vsph-chord により
$$ A(P)=\sum_{k=1}^n2\pi d_k\,\Delta x_k,\qquad d_k=\sqrt{r^2-\frac{\ell_k^2}{4}} $$
である。
段 1(上からの評価)。$d_k\le r$ なので、$A(P)\le2\pi r\displaystyle\sum_{k=1}^n\Delta x_k=2\pi r\cdot2r=4\pi r^2$ である($\sum\Delta x_k$ は区間の長さ $r-(-r)=2r$)。
段 2(弦の長さの評価)。$u,v\ge0$ なら $(u-v)^2\le\lvert u-v\rvert(u+v)=\lvert u^2-v^2\rvert$ である($\lvert u-v\rvert\le u+v$ による)。$u=y_k$、$v=y_{k-1}$ とすると
$$ (y_k-y_{k-1})^2\le\lvert y_k^2-y_{k-1}^2\rvert=\lvert x_{k-1}^2-x_k^2\rvert=\Delta x_k\,\lvert x_k+x_{k-1}\rvert\le2r\,\Delta x_k $$
である($y^2=r^2-x^2$ と $\lvert x_k+x_{k-1}\rvert\le2r$ を使った)。よって
$$ \ell_k^2=\Delta x_k^2+(y_k-y_{k-1})^2\le\lvert P\rvert^2+2r\lvert P\rvert $$
である。
段 3(下からの評価)。$u=\dfrac{\lvert P\rvert^2+2r\lvert P\rvert}{4r^2}$ とおく。$u\ge1$ なら、段 1 から $0\le4\pi r^2-A(P)\le4\pi r^2\le4\pi r^2u$ である。$u<1$ なら、段 2 から $\dfrac{\ell_k^2}{4}\le r^2u$ なので $d_k\ge\sqrt{r^2-r^2u}=r\sqrt{1-u}$ で、$0\le1-u<1$ から $\sqrt{1-u}\ge1-u$ なので $d_k\ge r(1-u)$ である。よって
$$ A(P)\ge2\pi r(1-u)\sum_{k=1}^n\Delta x_k=4\pi r^2(1-u) $$
である。どちらの場合も $0\le4\pi r^2-A(P)\le4\pi r^2u=\pi\bigl(\lvert P\rvert^2+2r\lvert P\rvert\bigr)$ となり、定理の不等式が示された。
段 4(極限)。$\varepsilon>0$ が与えられたとき、$\delta>0$ を $\pi(\delta^2+2r\delta)<\varepsilon$ となるように小さくとる($\delta\to0$ で左辺は $0$ に近づく)。$\lvert P\rvert<\delta$ なら段 3 から $\lvert A(P)-4\pi r^2\rvert<\varepsilon$ である。def-vsph-area により、球面の面積は $4\pi r^2$ である。

等分したときの近似と誤差

半径 $1$ の球で、ex-vsph-n2 の分割を lem-vsph-chord の形で計算し直す。

(1) 2 等分の場合を開く

(1) 2 等分:$\ell_1=\ell_2=\sqrt2$、$d_1=d_2=\sqrt{1-\frac12}=\frac{1}{\sqrt2}$、$\Delta x_k=1$ なので $A(P)=2\cdot2\pi\cdot\frac1{\sqrt2}=2\sqrt2\,\pi$ である。誤差は $4\pi-2\sqrt2\,\pi=3.68\ldots$ で、thm-vsph-main の上限 $\pi(1^2+2\cdot1)=3\pi=9.42\ldots$ 以下である。


(2) 4 等分:$\ell_1^2=\ell_4^2=1$ から $d_1=d_4=\sqrt{1-\frac14}=\frac{\sqrt3}{2}$、$\ell_2^2=\ell_3^2=2-\sqrt3$ から $d_2=d_3=\sqrt{1-\frac{2-\sqrt3}{4}}=\frac{\sqrt{2+\sqrt3}}{2}=\frac{\sqrt6+\sqrt2}{4}$ である。$\Delta x_k=\frac12$ なので
$$ A(P)=2\pi\cdot\frac12\left(\frac{\sqrt3}2+\frac{\sqrt6+\sqrt2}4+\frac{\sqrt6+\sqrt2}4+\frac{\sqrt3}2\right)=\boxed{\pi\left(\sqrt3+\frac{\sqrt6+\sqrt2}{2}\right)}=11.510\ldots $$
で、ex-vsph-n2 (2) の値と一致する($\sqrt{2+\sqrt3}=\frac{\sqrt6+\sqrt2}{2}$ は両辺を 2 乗して確かめられる)。誤差は $4\pi-11.510\ldots=1.05\ldots$ で、上限 $\pi\left(\frac14+1\right)=3.92\ldots$ 以下である。

半径 1 の球で等分の数 n を増やしたときの近似の和で、円錐台の和は下から 4π に近づき、円柱の和は π の 2 乗に近づく 半径 1 の球で等分の数 n を増やしたときの近似の和で、円錐台の和は下から 4π に近づき、円柱の和は π の 2 乗に近づく
図 5 のとおり、円錐台の側面積の和はいつも $4\pi r^2$ 以下で、分割を細かくすると下から $4\pi r^2$ に近づく(thm-vsph-main の不等式)。$n=64$ 等分では $12.560\ldots$、$n=256$ 等分では $12.5659\ldots$ である。

回転面の面積の公式

球以外の回転面では、lem-vsph-chord のような特別な形はない。一般には、曲線の長さの公式 $\int_a^b\sqrt{1+f'(x)^2}\,dx$(媒介変数表示と曲線の長さ)と同じ考え方で、積分の公式が得られる。

回転面の面積の公式

$f$ が閉区間 $[a,b]$ で微分可能で、導関数 $f'$ が $[a,b]$ で連続であり、$f(x)\ge0$ とする。このとき $f$ の回転面の面積は存在して、
$$ S=2\pi\int_a^b f(x)\sqrt{1+f'(x)^2}\,dx $$
である。

要点:平均値の定理で、各円錐台の母線の長さは $\ell_k=\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}\,\Delta x_k$($x_{k-1}<\xi_k< x_k$)と書ける。すると $A(P)$ は、$g(x)=2\pi f(x)\sqrt{1+f'(x)^2}$ の Riemann 和 $\sum g(\xi_k)\Delta x_k$ と、半径 $f(x_{k-1})$、$f(x_k)$ を $f(\xi_k)$ に置き換えた差から来る誤差の和に分かれる。Riemann 和は $\int_a^bg(x)\,dx$ に近づき、誤差の和は $f$ の一様連続性から $0$ に近づく。

詳しい証明を開く(平均値の定理と一様連続性)

段 1(母線の長さ)。平均値の定理により、各小区間 $[x_{k-1},x_k]$ に $f(x_k)-f(x_{k-1})=f'(\xi_k)\,\Delta x_k$ となる $\xi_k$($x_{k-1}<\xi_k< x_k$)がある。よって$$\ell_k=\sqrt{\Delta x_k^2+f'(\xi_k)^2\Delta x_k^2}=\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}\,\Delta x_k$$である。

段 2(和を 2 つに分ける)。$f(x_{k-1})+f(x_k)=2f(\xi_k)+\bigl(f(x_{k-1})-f(\xi_k)\bigr)+\bigl(f(x_k)-f(\xi_k)\bigr)$ と書き直すと$$A(P)=\underbrace{\sum_{k=1}^n2\pi f(\xi_k)\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}\,\Delta x_k}_{\text{Riemann 和 }S(g;P,\xi)}+\underbrace{\sum_{k=1}^n\pi\bigl\{\bigl(f(x_{k-1})-f(\xi_k)\bigr)+\bigl(f(x_k)-f(\xi_k)\bigr)\bigr\}\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}\,\Delta x_k}_{\text{誤差の和 }E(P)}$$である。

段 3(Riemann 和)。$g$ は $[a,b]$ で連続なので、区分求積と積分の定義 の定理「連続関数の積分可能性」により、$\lvert P\rvert\to0$ のとき、代表点の選び方によらず $S(g;P,\xi)\to\int_a^bg(x)\,dx$ である。

段 4(誤差の和)。$\sqrt{1+f'(x)^2}$ は $[a,b]$ で連続なので最大値 $K$ をもつ。$f$ は閉区間で連続なので一様連続である(区分求積と積分の定義 の定理「閉区間上の連続関数は一様連続」)。つまり、任意の $\varepsilon>0$ に対して $\delta>0$ があり、$\lvert x-y\rvert<\delta$ なら $\lvert f(x)-f(y)\rvert<\varepsilon$ となる。$\lvert P\rvert<\delta$ なら、$x_{k-1}$、$x_k$ と $\xi_k$ の距離は $\delta$ 未満なので、中括弧の中は絶対値が $2\varepsilon$ 未満で、$$\lvert E(P)\rvert\le\sum_{k=1}^n\pi\cdot2\varepsilon\cdot K\,\Delta x_k=2\pi K(b-a)\,\varepsilon$$である。$\varepsilon$ はいくらでも小さくとれるので、$\lvert P\rvert\to0$ のとき $E(P)\to0$ である。

段 3 と段 4 から、$\lvert P\rvert\to0$ のとき $A(P)\to\int_a^bg(x)\,dx$ であり、これが回転面の面積である。

円錐と、放物線を回した面
  1. $f(x)=\dfrac rhx$($0\le x\le h$)を回すと、底面の半径 $r$、高さ $h$ の円錐の側面になる。$f'(x)=\dfrac rh$ なので
    $$ S=2\pi\int_0^h\frac rhx\sqrt{1+\frac{r^2}{h^2}}\,dx=2\pi\cdot\frac rh\cdot\frac{\sqrt{h^2+r^2}}{h}\cdot\frac{h^2}{2}=\pi r\sqrt{r^2+h^2} $$
    である。母線の長さは $L=\sqrt{r^2+h^2}$ なので、これは ex-vsph-cone の $\pi rL$ と一致する。
    (2) 放物線を回した面の計算を開く

    (2) $f(x)=\sqrt x$($1\le x\le4$)を回す(放物線 $x=y^2$ の一部を回した面)。$f'(x)=\dfrac1{2\sqrt x}$ なので$$f(x)\sqrt{1+f'(x)^2}=\sqrt x\sqrt{1+\frac1{4x}}=\sqrt{x+\frac14}$$であり、$$S=2\pi\int_1^4\sqrt{x+\frac14}\,dx=2\pi\cdot\frac23\left[\left(x+\frac14\right)^{\frac32}\right]_1^4=\frac{4\pi}{3}\left\{\left(\frac{17}4\right)^{\frac32}-\left(\frac54\right)^{\frac32}\right\}=\frac{\pi\left(17\sqrt{17}-5\sqrt5\right)}{6}=30.84\ldots$$である。円柱で近似した値 $2\pi\int_1^4\sqrt x\,dx=\dfrac{28}{3}\pi=29.32\ldots$ は、これより小さい。

球に当てはめる

$f(x)=\sqrt{r^2-x^2}$ では $f'(x)=-\dfrac{x}{\sqrt{r^2-x^2}}$ なので、$-r< x< r$ で
$$ 1+f'(x)^2=\frac{r^2-x^2+x^2}{r^2-x^2}=\frac{r^2}{r^2-x^2},\qquad f(x)\sqrt{1+f'(x)^2}=\sqrt{r^2-x^2}\cdot\frac{r}{\sqrt{r^2-x^2}}=r $$
である。よって $-r< a< b< r$ なら、thm-vsph-formula から
$$ 2\pi\int_a^b r\,dx=2\pi r\,(b-a) $$
である。これは、球を間隔 $b-a$ の 2 つの平行な平面で切った帯の面積である。
ただし、区間全体 $[-r,r]$ には thm-vsph-formula をそのままは使えない。$x\to\pm r$ で $\lvert f'(x)\rvert$ がいくらでも大きくなり、$f'$ が閉区間 $[-r,r]$ で連続という仮定を満たさないからである(球面は両端で軸に垂直に交わる)。thm-vsph-main の証明が lem-vsph-chord を使ったのはこのためである。結果の値は、積分 $2\pi\int_{-r}^rr\,dx=4\pi r^2$ と一致する。
帯の面積 $2\pi r(b-a)$ が、帯の幅 $b-a$ だけで決まり、切る位置によらないことは注目に値する。赤道付近の帯も、極に近い帯も、幅が同じなら面積は同じである。これが Archimedesの帽子箱定理 で、そこでは球面から外接する円柱への写像として意味づける。

円柱で近似すると何がずれるか

円柱の近似が誤る理由

小区間 $[x_{k-1},x_k]$ で、円柱の帯の側面積は $2\pi f(\xi_k)\,\Delta x_k$、円錐台の帯の側面積は、thm-vsph-formula の証明の要点のとおり、ほぼ $2\pi f(\xi_k)\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}\,\Delta x_k$ である。2 つの比は
$$ \frac{\text{円錐台の帯}}{\text{円柱の帯}}\approx\sqrt{1+f'(\xi_k)^2}=\frac{1}{\cos\varphi_k} $$
である。ここで $\varphi_k$ は曲線の接線が $x$ 軸となす角で、$\tan\varphi_k=f'(\xi_k)$ から $1+\tan^2\varphi_k=\dfrac1{\cos^2\varphi_k}$ を使った。分割を細かくしても接線の傾きは小さくならないので、この比は $1$ に近づかない。円柱の帯は、傾いた帯の幅 $\ell_k$ を水平な幅 $\Delta x_k$ で置き換えて、面積を $\cos\varphi_k$ 倍に縮めている。
体積ではこうならない。輪切りの体積の誤差は、帯が厚さ $\Delta x_k$ の中でどれだけ膨らむかの差で、($f'$ が連続なら)$\Delta x_k$ の 2 乗の程度の小ささになるので、足しても $0$ に近づく(体積と回転体)。
球では $\cos\varphi=\dfrac{\sqrt{r^2-x^2}}{r}$ で、極($x=\pm r$)に近いほど帯が立ち上がり、円柱の近似は面積を大きく減らす。これが ex-vsph-naive の $\pi^2r^2<4\pi r^2$ の原因である。

曲線の長さで同じことが起こる例を開く

媒介変数表示と曲線の長さ の階段の例では、正方形の対角線を階段で近似すると、階段がどれだけ対角線に近づいても長さは $2$ のままで、$\sqrt2$ にならない。

4 等分での比較

4 等分では、円柱の和 $\frac{\pi(\sqrt{15}+\sqrt7)}{2}=10.23\ldots$ は、円錐台の和 $11.51\ldots$ や表面積 $4\pi=12.56\ldots$ より小さい。

計算を開く

半径 $1$ の球を 4 等分し、各段の中央 $x=\pm\frac14,\pm\frac34$ の半径 $\sqrt{1-\frac1{16}}=\frac{\sqrt{15}}4$、$\sqrt{1-\frac9{16}}=\frac{\sqrt7}4$ の円柱で近似すると、側面積の和は$$2\pi\cdot\frac12\cdot2\left(\frac{\sqrt{15}}4+\frac{\sqrt7}4\right)=\frac{\pi(\sqrt{15}+\sqrt7)}{2}=10.23\ldots$$である。同じ分割の円錐台の和 $11.51\ldots$(ex-vsph-n4)、表面積 $4\pi=12.56\ldots$ と比べると、円柱の方が小さい。分割を細かくすると、円柱の和は $\pi^2=9.86\ldots$ に近づき(図 5)、差は縮まらない。

体積と表面積の関係

球の体積 $V(r)=\dfrac43\pi r^3$ を $r$ で微分すると $4\pi r^2$ になり、表面積と一致する。これは偶然ではない。

体積の微分は表面積

半径 $r$ の球の体積を $V(r)$、表面積を $S(r)$ とすると、
$$ V'(r)=S(r),\qquad V(r)=\frac13\,r\,S(r) $$
である。さらに、半径 $r$ と $r+h$($h>0$)の球面にはさまれた殻の体積は
$$ S(r)\,h\le V(r+h)-V(r)\le S(r+h)\,h $$
を満たす。

$V(r)=\dfrac43\pi r^3$(体積と回転体)と $S(r)=4\pi r^2$(thm-vsph-main)から、$V'(r)=\dfrac43\pi\cdot3r^2=4\pi r^2=S(r)$、$\dfrac13rS(r)=\dfrac13r\cdot4\pi r^2=\dfrac43\pi r^3=V(r)$ である。

殻の体積の不等式の証明を開く

殻の体積は$$V(r+h)-V(r)=\frac43\pi\bigl\{(r+h)^3-r^3\bigr\}=\frac43\pi\bigl(3r^2h+3rh^2+h^3\bigr)=4\pi\left(r^2h+rh^2+\frac{h^3}3\right)$$である。$rh^2+\dfrac{h^3}3>0$ なので、これは $4\pi r^2h=S(r)h$ より大きい。また $S(r+h)h=4\pi(r^2h+2rh^2+h^3)$ で、$rh^2\le2rh^2$、$\dfrac{h^3}3\le h^3$ なので、殻の体積は $S(r+h)h$ 以下である。

cor-vsph-derivative の不等式は、「厚さ $h$ の薄い殻の体積は、表面積 $\times$ 厚さにほぼ等しい」ことを言っている。両辺を $h$ で割って $h\to+0$ とすると、はさみうちの原理から右側の微分係数が $S(r)$ に等しいことが分かる。$h<0$ のときも、半径 $r+h$ と $r$ の球面にはさまれた殻に同じ不等式を使えば左側の微分係数が $S(r)$ に等しいことが分かり、あわせて $V'(r)=S(r)$ がもう一度得られる。
$V=\dfrac13rS$ の方は、次のように読める。球面を小さな区画に細かく分け、各区画と中心を結ぶと、球は細い錐の集まりになる。各錐は高さがほぼ $r$ で、体積はほぼ $\dfrac13\times(\text{区画の面積})\times r$ なので、足すと $\dfrac13\times S\times r$ になる。これは直観的な説明で、証明ではない。証明は上のとおり、体積と表面積を別々に求めて比べたものである。

「微分すると表面積」が成り立つ長さ、成り立たない長さ
  1. 1 辺 $a$ の立方体では、$V=a^3$、表面積は $6a^2$ である。$\dfrac{dV}{da}=3a^2$ は表面積 $6a^2$ の半分で、一致しない。
  2. 同じ立方体を、中心から各面までの距離 $t=\dfrac a2$ で表すと、$V=(2t)^3=8t^3$ で、$\dfrac{dV}{dt}=24t^2=24\cdot\dfrac{a^2}4=6a^2$ となり、表面積と一致する。$t$ が $h$ だけ増えると、6 つの面がすべて外へ $h$ ずつ動くので、増えた体積はほぼ「表面積 $\times h$」になる。$a$ が $h$ だけ増えるときは、中心を止めて見ると、各面は $\dfrac h2$ しか動かない。
    (3) 直径で微分する場合、(4) 外接する円柱、一般の多面体を開く

    (3) 球を直径 $D$ で表すと、$V=\dfrac{\pi D^3}6$、$\dfrac{dV}{dD}=\dfrac{\pi D^2}{2}$ で、表面積 $\pi D^2$ の半分である。(1) と同じ理由で、直径が $h$ 増えても球面は $\dfrac h2$ しか外へ動かない。

    (4) 半径 $r$、高さ $2r$ の円柱(球に外接する円柱)では、$V=\pi r^2\cdot2r=2\pi r^3$、$\dfrac{dV}{dr}=6\pi r^2$ で、表面積(側面 $4\pi r^2$ と 2 つの底面 $2\pi r^2$)と一致する。中心から側面までの距離も、2 つの底面までの距離も $r$ だからである。

    一般に、多面体のすべての面が中心から距離 $t$ の位置にある(半径 $t$ の球に外接する)とき、中心を頂点とし各面を底面とする角錐に分けると、各角錐の高さは $t$ なので、$V=\dfrac13St$ である。形を保ったまま $t$ を変えると $S$ は $t^2$ に比例するので $S=ct^2$($c$ は定数)と書け、$V=\dfrac c3t^3$、$\dfrac{dV}{dt}=ct^2=S$ となる。

Archimedes の比:球と外接する円柱

球と、それに外接する円柱(底面の半径 $r$、高さ $2r$)、および円柱の底面を底面とし高さ $2r$ の円錐を比べる。
軸を含む平面で切った断面で、半径 r の球が 1 辺 2r の正方形に内接し、その正方形の上の辺を底辺として下の辺の中点を頂点とする三角形が円錐の断面である 軸を含む平面で切った断面で、半径 r の球が 1 辺 2r の正方形に内接し、その正方形の上の辺を底辺として下の辺の中点を頂点とする三角形が円錐の断面である

円錐球円柱
体積$\frac23\pi r^3$$\frac43\pi r^3$$2\pi r^3$
体積の比$1$$2$$3$
側面積(曲面の部分)$\sqrt5\,\pi r^2$$4\pi r^2$$4\pi r^2$
表面積(底面を含む)$(1+\sqrt5)\pi r^2$$4\pi r^2$$6\pi r^2$
Archimedes の比
  1. 体積:円錐は $\dfrac13\cdot\pi r^2\cdot2r=\dfrac23\pi r^3$、円柱は $\pi r^2\cdot2r=2\pi r^3$ なので、円錐:球:円柱 $=\dfrac23:\dfrac43:2=1:2:3$ である。特に、球と円柱の体積の比は $2:3$ である。
  2. 表面積:円柱の側面は縦 $2r$、横 $2\pi r$ の長方形で面積 $4\pi r^2$、底面は 2 つで $2\pi r^2$、合わせて $6\pi r^2$ である。球と円柱の表面積の比は $4\pi r^2:6\pi r^2=2:3$ で、体積の比と同じになる。
  3. 球の表面積 $4\pi r^2$ は、外接する円柱の側面積 $4\pi r^2$ に等しい。この一致を、球面の帯ごとに細かく見たものが Archimedesの帽子箱定理 である。
    (4) 円錐の表面積を開く

    (4) 円錐の母線の長さは $\sqrt{r^2+(2r)^2}=\sqrt5\,r$ なので、側面積は $\pi r\cdot\sqrt5\,r=\sqrt5\,\pi r^2$(ex-vsph-cone (2))、底面を含めると $(1+\sqrt5)\pi r^2=3.23\ldots\times\pi r^2$ である。表面積では、円錐は体積のようなきれいな比にならない。

これらの比は、古代ギリシャの Archimedes が示した関係として知られている。体積の比は 体積と回転体 の Cavalieri の原理、表面積の比は thm-vsph-main から出る。

例と反例

外す条件・誤り反例成り立たなくなること
近似の帯を曲線に沿わせる(円錐台)円柱の帯で近似する近似の和が $4\pi r^2$ に近づく($\pi^2r^2$ に近づく)
微分する長さは中心から各面までの距離立方体を 1 辺 $a$ で、球を直径 $D$ で微分する体積の微分が表面積になる(半分になる)
立体の表面積は曲面と切り口の合計半球の表面積を $4\pi r^2$ の半分とする半球の表面積 $3\pi r^2$ が得られる

1 行目は ex-vsph-naive と ex-vsph-cyl-n4、2 行目は ex-vsph-cube、3 行目は下の ex-vsph-hemisphere で確かめる。なお、球の $f(x)=\sqrt{r^2-x^2}$ は、thm-vsph-formula の仮定「$f'$ が閉区間で連続」を $[-r,r]$ で満たさない($x\to\pm r$ で $\lvert f'(x)\rvert$ がいくらでも大きくなる)。これは公式の値 $4\pi r^2$ が誤るという反例ではなく、公式の証明がそのままは使えないという注意であり、thm-vsph-main は別の方法(lem-vsph-chord)で証明した。

反例:半球の表面積

半径 $r$ の半球(球を中心を通る平面で 2 つに切った一方)の表面は、半球面と切り口の円板からなる。半球面の面積は、球面を 2 等分したものなので $2\pi r^2$ である(thm-vsph-main の証明は、区間 $[-r,r]$ を $[0,r]$ に替えてもそのまま通り、$2\pi r\cdot r=2\pi r^2$ を与える)。切り口は半径 $r$ の円板で面積 $\pi r^2$ である。よって半球の表面積は
$$ 2\pi r^2+\pi r^2=3\pi r^2 $$
である。$r=2$ なら $12\pi$ で、$4\pi r^2$ の半分の $8\pi$ ではない。「立体の表面積」は立体を囲むすべての面の面積の和であり、切ってできた面も含める。体積は切っても合計が変わらないが、表面積は切ると切り口の分だけ増える。

大学数学で見る

曲面の面積は、大学では曲面のパラメータ表示と面積要素の積分で定義される。この記事の円錐台の近似は、回転面のときにその定義と同じ値を与える。

面積要素と、高い次元の球を開く

曲面が 2 つのパラメータで $\boldsymbol p(u,v)$ と表されるとき、面積は $\iint\lvert\boldsymbol p_u\times\boldsymbol p_v\rvert\,du\,dv$ で定義される($\boldsymbol p_u$、$\boldsymbol p_v$ は偏微分、$\times$ は外積。空間の平面と法線ベクトル の外積の長さが平行四辺形の面積になることを、小さな区画ごとに使っている)。球面を $\boldsymbol p(\theta,\phi)=(r\sin\theta\cos\phi,\ r\sin\theta\sin\phi,\ r\cos\theta)$($0\le\theta\le\pi$、$0\le\phi\le2\pi$)と表すと $\lvert\boldsymbol p_\theta\times\boldsymbol p_\phi\rvert=r^2\sin\theta$ で、$\int_0^{2\pi}\int_0^\pi r^2\sin\theta\,d\theta\,d\phi=4\pi r^2$ となる(曲面積)。

$n$ 次元空間の半径 $r$ の球の体積を $V_n(r)$、その境界の球面の「面積」を $S_{n-1}(r)$ とすると、$V_n(r)=\dfrac{\pi^{n/2}}{\Gamma\left(\frac n2+1\right)}r^n$ であり、cor-vsph-derivative と同じく $V_n'(r)=S_{n-1}(r)$ が成り立つ($\Gamma$ はガンマ関数。Wallis積分とガンマ関数、n次元球面。この記事では証明しない)。半径 $1$ で、$n=1$ では $V_1=2$(線分の長さ)と $S_0=2$(端点の個数)、$n=2$ では $V_2=\pi$ と $S_1=2\pi$、$n=3$ では $V_3=\frac43\pi$ と $S_2=4\pi$、$n=4$ では $V_4=\frac{\pi^2}{2}$ と $S_3=2\pi^2$ である。

さらに先へ

  • 帯の面積 $2\pi r(b-a)$ が帯の位置によらないことは Archimedesの帽子箱定理 で、球面から円柱への面積を保つ写像として扱う。地図の正積図法や、球面上に一様に点をとる方法につながる。
  • 球面三角形の面積 は、球の表面積 $4\pi r^2$ から、2 本の大円にはさまれた月形の面積を求め、球面三角形の面積の公式(Girard の定理)を導く。
  • 回転面の面積には、体積と回転体 の Pappus–Guldinus の定理と同じ形の公式がある:回す曲線の長さ $\times$ 曲線の重心が回る円周の長さ。lem-vsph-frustum の「母線の中点が回る円周 $\times$ 母線の長さ」は、その線分の場合である。この記事では一般の場合を証明しない。
  • 球面の方程式や、球と平面の交わりは 空間座標と球面の方程式 で扱う。

関連項目

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