Kürschákのタイル

同義語:キュルシャークのタイルKürschák's tile

概要

Kürschákのタイル(Kürschák's tile)とは、半径 $R$ の円に外接する正方形(1 辺 $2R$)を、同じ円に内接する正十二角形の辺と同じ長さを 1 辺とする正三角形 16 枚と、その長さを等しい 2 辺とし頂角が $150^\circ$ の二等辺三角形 32 枚に切り分けたものである。このうち正三角形 12 枚と二等辺三角形 24 枚が内接正十二角形を作るので、三角比の値を使わずに枚数を数えるだけで、内接正十二角形の面積が外接正方形の面積 $4R^2$ の $\frac34$、すなわち $3R^2$ であることが分かる。タイルの面積の関係から $\sin15^\circ=\frac{\sqrt6-\sqrt2}4$ も読み取れる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 三角形の面積の公式, 三角形の合同条件, 正多角形で円周率を挟む, 加法定理から2倍角・半角・3倍角の公式を導く

高校での出発点:正十二角形の面積

半径 $R$ の円に内接する正 $n$ 角形の面積は、中心と各頂点を結んで $n$ 個の二等辺三角形に分ければ求まる。二等辺三角形の 2 辺は $R$、そのはさむ角は $\dfrac{360^\circ}n$ なので、三角形の面積の公式 $\dfrac12ab\sin C$(三角形の面積の公式)から
$$ (\text{内接正 }n\text{ 角形の面積})=n\cdot\frac12R^2\sin\frac{360^\circ}n $$
である。

正十二角形の面積を公式で求める

半径 $R$ の円に内接する正十二角形では、$n=12$、$\dfrac{360^\circ}{12}=30^\circ$、$\sin30^\circ=\dfrac12$ なので
$$ 12\cdot\frac12R^2\cdot\frac12=3R^2 $$
である。この円に外接する正方形の 1 辺は円の直径 $2R$ なので、面積は $(2R)^2=4R^2$ である。したがって
$$ \frac{(\text{正十二角形の面積})}{(\text{外接正方形の面積})}=\frac{3R^2}{4R^2}=\frac34 $$
である。$R=1$ なら、正十二角形の面積は $3$、正方形の面積は $4$ である。

比がちょうど $\dfrac34$ という簡単な分数になった。比が簡単な分数になるのは、図形を同じ形のかけらに切り分けて数えられるときによく起こる。まず $n=4$ で試してみる。

正方形の中の正方形

半径 $R$ の円に内接する正方形を、4 つの頂点が外接正方形の辺の中点 $(R,0)$、$(0,R)$、$(-R,0)$、$(0,-R)$ にくるようにとる。
外接正方形から内接正方形を除くと、4 つの角に直角二等辺三角形が残る。たとえば右上の角の三角形は、頂点が $(R,R)$、$(R,0)$、$(0,R)$ である。これを内接正方形の辺($(R,0)$ と $(0,R)$ を結ぶ線分)で折り返すと、頂点 $(R,R)$ は原点 $O$ に移る(線分 $(R,0)$–$(0,R)$ の中点は $\left(\dfrac R2,\dfrac R2\right)$ で、$(R,R)$ と $O$ の中点になっている)。
こうして、内接正方形は $x$ 軸と $y$ 軸で 4 つの直角二等辺三角形に分かれ、角の 4 つの三角形はそれぞれそのどれかと合同である。外接正方形は合同な三角形 8 枚からなり、そのうち 4 枚が内接正方形なので
$$ \frac{(\text{内接正方形の面積})}{(\text{外接正方形の面積})}=\frac48=\frac12 $$
である。公式でも $4\cdot\dfrac12R^2\sin90^\circ=2R^2$、$\dfrac{2R^2}{4R^2}=\dfrac12$ で一致する。

外接正方形の 4 つの角の三角形を内接正方形の辺で折り返すと、内接正方形をちょうど覆う 外接正方形の 4 つの角の三角形を内接正方形の辺で折り返すと、内接正方形をちょうど覆う
図 1 のように、$n=4$ では三角比を使わずに「合同なかけらの枚数」で比 $\dfrac12$ が分かる。正十二角形でも同じことができる。そのための切り分け方が、この記事の主役の Kürschák のタイル である(図 2)。
正方形を正三角形 16 枚と細い二等辺三角形 32 枚に分けたもの。濃い色のかけらが正十二角形を作る 正方形を正三角形 16 枚と細い二等辺三角形 32 枚に分けたもの。濃い色のかけらが正十二角形を作る
図 2 では、太線で囲んだ正十二角形の中に、濃い青の正三角形が 12 枚、濃いだいだい色の細い二等辺三角形が 24 枚ある。正方形の 4 つの角には、薄い青の正三角形が 1 枚ずつ、薄いだいだい色の二等辺三角形が 2 枚ずつある。この記事で答える問いは次の 3 つである。

  1. 図 2 のかけらは、本当に 2 種類の合同な三角形だけでできているか。→ lem-kt-center、lem-kt-corner
  2. かけらの枚数を数えるだけで、正十二角形の面積が $3R^2$ だと分かるか。→ thm-kt-main
  3. この切り分けから、三角比の値が読めるか。→ cor-kt-sin15
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    $\dfrac12R^2\sin30^\circ$ を 12 個たす正三角形 12 枚と二等辺三角形 24 枚面積の加法性と合同不変性
    外接正方形の面積 $4R^2$正三角形 16 枚と二等辺三角形 32 枚同じタイルによる分割
    半角の公式で $\sin15^\circ$タイルの面積の関係から $\sin15^\circ$面積の比から長さを読む
    ほかの正多角形でも、外接正方形との比を計算しておく。
    $n$内接正 $n$ 角形の面積外接正方形 $4R^2$ との比比の近似値
    $3$$\dfrac{3\sqrt3}4R^2$$\dfrac{3\sqrt3}{16}$$0.3248$
    $4$$2R^2$$\dfrac12$$0.5$
    $6$$\dfrac{3\sqrt3}2R^2$$\dfrac{3\sqrt3}8$$0.6495$
    $8$$2\sqrt2\,R^2$$\dfrac{\sqrt2}2$$0.7071$
    $12$$3R^2$$\dfrac34$$0.75$
    $24$$3(\sqrt6-\sqrt2)R^2$$\dfrac{3(\sqrt6-\sqrt2)}4$$0.7765$
    表の中で比が有理数になるのは $n=4$ と $n=12$ だけである。$n=12$ で $\sin\dfrac{360^\circ}{12}=\sin30^\circ=\dfrac12$ が有理数になることが効いている。

言葉の準備:正十二角形と 2 種類のタイル

以下、座標平面の原点を $O$ とし、$R>0$ を決めておく。

正十二角形・外接正方形・2 種類のタイル

$k=0,1,\dots,11$ に対して、点 $V_k$ を
$$ V_k=\bigl(R\cos(30k)^\circ,\ R\sin(30k)^\circ\bigr) $$
と定める(添字は $12$ で割った余りで考え、$V_{12}=V_0$ とする)。$V_0,V_1,\dots,V_{11}$ を順に結んだ多角形は、中心 $O$、半径 $R$ の円に内接する正十二角形である。4 点 $(R,R)$、$(-R,R)$、$(-R,-R)$、$(R,-R)$ を頂点とする正方形を 外接正方形 という。外接正方形の辺は円に $V_0$、$V_3$、$V_6$、$V_9$ で接する。
正十二角形の 1 辺の長さを $s=V_0V_1$ とする。次の 2 種類の三角形を タイル とよぶ。
(R1) タイル $E$:1 辺が $s$ の正三角形。
(R2) タイル $T$:等しい 2 辺が $s$ で、その間の角(頂角)が $150^\circ$ の二等辺三角形。底角は $\dfrac{180^\circ-150^\circ}2=15^\circ$ である。
タイル $E$ の面積を $e$、タイル $T$ の面積を $t$ と書く。

def-kt-setting の条件 (i) の正三角形どうしは合同で、条件 (ii) の二等辺三角形どうしも合同である(2 辺とその間の角が等しい)。合同な図形の面積は等しいので、$e$ と $t$ は 1 つずつの数として決まる。

長さ $s$ とタイルの大きさ
  1. 三角形 $OV_0V_1$ は $OV_0=OV_1=R$、$\angle V_0OV_1=30^\circ$ なので、余弦定理から
    $$ s^2=R^2+R^2-2R^2\cos30^\circ=\left(2-\sqrt3\right)R^2 $$
    である。$R=1$ なら $s^2=2-\sqrt3=0.2679\ldots$、$s=0.5176\ldots$ である。
  2. タイル $T$ の底辺の長さを $u$ とすると、余弦定理と $\cos150^\circ=-\dfrac{\sqrt3}2$ から
    $$ u^2=s^2+s^2-2s^2\cos150^\circ=\left(2+\sqrt3\right)s^2=\left(2+\sqrt3\right)\left(2-\sqrt3\right)R^2=R^2 $$
    である。したがってタイル $T$ の底辺は、ちょうど円の半径 $R$ に等しい。
  3. 面積は、三角形の面積の公式から $e=\dfrac12s^2\sin60^\circ=\dfrac{\sqrt3}4s^2$、$t=\dfrac12s^2\sin150^\circ=\dfrac14s^2$ である。$R=1$ なら $e=\dfrac{\sqrt3}4\left(2-\sqrt3\right)=\dfrac{2\sqrt3-3}4=0.1160\ldots$、$t=\dfrac{2-\sqrt3}4=0.0669\ldots$ である。

Kürschák のタイルの作り方

図 2 の切り分け方を、座標で正確に定める。

Kürschák のタイル

def-kt-setting の記号で、次の 48 枚の三角形からなる外接正方形の切り分けを Kürschák のタイル という。
(R1) 中心の部分:$k=0,1,\dots,11$ に対し、直線 $V_kV_{k+1}$ に関して $O$ と同じ側にある点 $W_k$ を、三角形 $V_kV_{k+1}W_k$ が正三角形になるようにとる。3 つの三角形 $V_kV_{k+1}W_k$、$OV_kW_k$、$OW_kV_{k+1}$ をとる($12\times3=36$ 枚)。
(R2) 角の部分:外接正方形の頂点 $C_0=(R,R)$、$C_1=(-R,R)$、$C_2=(-R,-R)$、$C_3=(R,-R)$ と $j=0,1,2,3$ に対し、3 つの三角形 $V_{3j}C_jV_{3j+1}$、$V_{3j+1}C_jV_{3j+2}$、$V_{3j+2}C_jV_{3j+3}$ をとる($4\times3=12$ 枚)。

正十二角形は、中心 $O$ と頂点を結ぶと 12 個の三角形 $OV_kV_{k+1}$ に分かれる。def-kt-tile の条件 (i) は、その 1 つ 1 つを 3 枚に切っている。外接正方形から正十二角形を除いた部分は、4 つの角のまわりの五角形 $C_jV_{3j+3}V_{3j+2}V_{3j+1}V_{3j}$ に分かれる(正十二角形は外接正方形の辺に $V_0$、$V_3$、$V_6$、$V_9$ でだけ触れている)。条件 (ii) は、その 1 つ 1 つを 3 枚に切っている。
48 枚が 2 種類のタイル $E$、$T$ だけでできていることを、中心の部分と角の部分に分けて示す。

中心の三角形の切り分け

$k=0,1,\dots,11$ について、三角形 $V_kV_{k+1}W_k$ はタイル $E$ であり、三角形 $OV_kW_k$ と $OW_kV_{k+1}$ はどちらもタイル $T$ である。点 $W_k$ は三角形 $OV_kV_{k+1}$ の内部にあり、$\angle V_kOW_k=\angle W_kOV_{k+1}=15^\circ$、$OW_k=s$ である。

角を数えて合同条件を使う

方針:三角形 $OV_kV_{k+1}$ の角を求め、正三角形の角 $60^\circ$ を引いて、残りの三角形の角を決める。
段 1(中心の三角形の角)。三角形 $OV_kV_{k+1}$ は $OV_k=OV_{k+1}=R$ の二等辺三角形で、頂角は $\angle V_kOV_{k+1}=30^\circ$ である。したがって底角は
$$ \angle OV_kV_{k+1}=\angle OV_{k+1}V_k=\frac{180^\circ-30^\circ}2=75^\circ $$
である。
段 2($W_k$ の位置)。三角形 $V_kV_{k+1}W_k$ は 1 辺が $V_kV_{k+1}=s$ の正三角形なので、タイル $E$ である。$W_k$ は直線 $V_kV_{k+1}$ に関して $O$ と同じ側にあり、半直線 $V_kW_k$ は辺 $V_kV_{k+1}$ と $60^\circ$ をなす。$60^\circ<75^\circ$ なので、半直線 $V_kW_k$ は角 $\angle OV_kV_{k+1}$ の内部を通る。同じく半直線 $V_{k+1}W_k$ は角 $\angle OV_{k+1}V_k$ の内部を通る。2 本の半直線の交点 $W_k$ は三角形 $OV_kV_{k+1}$ の内部にあり、
$$ \angle OV_kW_k=75^\circ-60^\circ=15^\circ $$
である。
段 3($OW_k$ が頂角を二等分する)。三角形 $OV_kW_k$ と $OV_{k+1}W_k$ で、$OV_k=OV_{k+1}=R$、$V_kW_k=V_{k+1}W_k=s$、辺 $OW_k$ は共通である。3 辺がそれぞれ等しいので 2 つの三角形は合同であり(三角形の合同条件)、$\angle V_kOW_k=\angle W_kOV_{k+1}$ である。2 つの和は $30^\circ$ なので、どちらも $15^\circ$ である。
段 4(タイル $T$ になる)。三角形 $OV_kW_k$ では、$O$ と $V_k$ の角がどちらも $15^\circ$ である(段 3 と段 2)。2 つの角が等しい三角形は二等辺三角形なので、$W_kO=W_kV_k=s$ である。残りの角は $\angle OW_kV_k=180^\circ-15^\circ-15^\circ=150^\circ$ である。よって三角形 $OV_kW_k$ は、等しい 2 辺が $s$、頂角が $150^\circ$ の二等辺三角形、つまりタイル $T$ である。段 3 の合同から、三角形 $OW_kV_{k+1}$ もタイル $T$ である。$\square$

$R=1$ で座標を確かめる

$R=1$、$k=0$ とする。$V_0=(1,0)$、$V_1=\left(\dfrac{\sqrt3}2,\dfrac12\right)$ で、$s^2=2-\sqrt3$ である(ex-kt-s)。lem-kt-center によれば $W_0$ は $O$ から向き $15^\circ$、距離 $s$ の点で、座標は
$$ W_0=\left(\frac12,\ \frac{2-\sqrt3}2\right)=(0.5,\ 0.1339\ldots) $$
である($s\cos15^\circ=2\sin15^\circ\cos15^\circ=\sin30^\circ$、$s\sin15^\circ=2\sin^215^\circ=1-\cos30^\circ$ から。$s=2\sin15^\circ$ は cor-kt-sin15 の証明の段 3 で示す)。三角比を使わずに 3 つの距離の 2 乗を直接計算すると、$OW_0^2=V_0W_0^2=V_1W_0^2=2-\sqrt3$ となる。

3 つの距離の 2 乗の計算を開く

$\left(\dfrac{2-\sqrt3}2\right)^2=\dfrac{7-4\sqrt3}4$ を使うと

$$OW_0^2=\frac14+\frac{7-4\sqrt3}4=\frac{8-4\sqrt3}4=2-\sqrt3,\qquad V_0W_0^2=\left(1-\frac12\right)^2+\frac{7-4\sqrt3}4=2-\sqrt3$$

$$V_1W_0^2=\left(\frac{\sqrt3-1}2\right)^2+\left(\frac12-\frac{2-\sqrt3}2\right)^2=2\cdot\frac{4-2\sqrt3}4=2-\sqrt3$$

である。


3 つとも $s^2$ に等しいので、三角形 $V_0V_1W_0$ は正三角形、三角形 $OV_0W_0$ と $OW_0V_1$ は等しい 2 辺が $s$ で底辺が $1=R$ の二等辺三角形である。ex-kt-s (2) により、これはタイル $T$ である。

正方形の角の部分の切り分け

$j=0,1,2,3$ について、三角形 $V_{3j}C_jV_{3j+1}$ と $V_{3j+2}C_jV_{3j+3}$ はタイル $T$ であり、三角形 $V_{3j+1}C_jV_{3j+2}$ はタイル $E$ である。

中心の三角形と合同な三角形を見つける

要点:$j=0$ で考える。$V_0$ では正方形の辺と半径 $OV_0$ が直交し、$\angle OV_0V_1=75^\circ$ なので $\angle C_0V_0V_1=15^\circ$ である。三角形 $V_0C_0V_1$ は、2 辺 $R$、$s$ とその間の角 $15^\circ$ が三角形 $V_0OW_0$(タイル $T$)と同じなので合同で、タイル $T$ である。直線 $y=x$ に関して折り返すと三角形 $V_2C_0V_3$ もタイル $T$ で、$C_0$ の角 $90^\circ$ から $15^\circ$ を 2 つ引いた $60^\circ$ をはさむ三角形 $V_1C_0V_2$ は正三角形になる。

詳しい証明を開く

方針:$j=0$ で示す。外接正方形と正十二角形は、原点のまわりの $90^\circ$ の回転で自分自身に移り、この回転は $C_0\to C_1\to C_2\to C_3$、$V_k\to V_{k+3}$ と移すので、$j=1,2,3$ も同じである。

段 1($V_0$ での角)。$V_0=(R,0)$ は外接正方形の辺 $x=R$ の上にあり、半直線 $V_0C_0$ は上向き、半直線 $V_0O$ は左向きなので、$\angle OV_0C_0=90^\circ$ である。lem-kt-center の証明の段 1 から $\angle OV_0V_1=75^\circ$ で、$V_1$ は角 $\angle OV_0C_0$ の内部にある。よって $\angle C_0V_0V_1=90^\circ-75^\circ=15^\circ$ である。

段 2(三角形 $V_0C_0V_1$ がタイル $T$)。三角形 $V_0C_0V_1$ と三角形 $V_0OW_0$ を比べる。$V_0C_0=R=V_0O$、$V_0V_1=s=V_0W_0$ で、その間の角は $\angle C_0V_0V_1=15^\circ=\angle OV_0W_0$ である(lem-kt-center の証明の段 2)。2 辺とその間の角がそれぞれ等しいので、2 つの三角形は合同であり、$C_0$ が $O$ に、$V_1$ が $W_0$ に対応する。lem-kt-center により三角形 $V_0OW_0$ はタイル $T$ なので、三角形 $V_0C_0V_1$ もタイル $T$ で、$C_0V_1=OW_0=s$、$\angle V_0C_0V_1=\angle V_0OW_0=15^\circ$ である。

段 3(三角形 $V_2C_0V_3$ もタイル $T$)。直線 $y=x$ に関する折り返しは、外接正方形と正十二角形を自分自身に移し、$C_0$ を動かさず、$V_0$ と $V_3$、$V_1$ と $V_2$ を入れかえる。段 2 の三角形 $V_0C_0V_1$ はこの折り返しで三角形 $V_3C_0V_2$ に移るので、三角形 $V_2C_0V_3$ もタイル $T$ で、$C_0V_2=s$、$\angle V_2C_0V_3=15^\circ$ である。

段 4(残りが正三角形)。外接正方形の頂点 $C_0$ の角は $90^\circ$ なので $\angle V_1C_0V_2=90^\circ-15^\circ-15^\circ=60^\circ$ である。三角形 $V_1C_0V_2$ は $C_0V_1=C_0V_2=s$ で頂角が $60^\circ$ の二等辺三角形なので、底角も $\dfrac{180^\circ-60^\circ}2=60^\circ$ で、正三角形である。1 辺は $s$ なので、タイル $E$ である。$\square$

検算:$R=1$ では $C_0=(1,1)$、$V_1=\left(\dfrac{\sqrt3}2,\dfrac12\right)$ から $C_0V_1^2=\left(1-\dfrac{\sqrt3}2\right)^2+\left(\dfrac12\right)^2=1-\sqrt3+\dfrac34+\dfrac14=2-\sqrt3=s^2$ で、段 2 の $C_0V_1=s$ と合っている。

三角形 OV0V1 は、正三角形 1 枚と、頂角 150° の二等辺三角形 2 枚に分かれる 三角形 OV0V1 は、正三角形 1 枚と、頂角 150° の二等辺三角形 2 枚に分かれる
正方形の角 C のまわりは、頂角 150° の二等辺三角形 2 枚と正三角形 1 枚に分かれる 正方形の角 C のまわりは、頂角 150° の二等辺三角形 2 枚と正三角形 1 枚に分かれる

図 3 は lem-kt-center、図 4 は lem-kt-corner を表す。どちらも、角が $15^\circ$、$60^\circ$、$150^\circ$ の組み合わせだけで決まっている。中心の三角形 $OV_kV_{k+1}$ も、角の五角形も、同じ「タイル $E$ が 1 枚とタイル $T$ が 2 枚」でできている。

主定理:枚数を数えて面積を求める

2 種類のタイルでできていることが分かれば、あとは枚数を数えるだけである。

内接正十二角形の面積

半径 $R$ の円に内接する正十二角形の面積は $3R^2$ である。すなわち、その円に外接する正方形の面積 $4R^2$ の $\dfrac34$ である。

同じ組を数える

方針:Kürschák のタイル(def-kt-tile)で、正十二角形と外接正方形がそれぞれタイル $E$、$T$ を何枚ずつ含むかを数える。面積について使うのは、「合同な図形の面積は等しい」と「重ならずにすき間なく並んだ図形の面積は、それぞれの面積の和」の 2 つだけである。
段 1(正十二角形)。正十二角形は、重ならずにすき間なく並んだ 12 個の三角形 $OV_kV_{k+1}$($k=0,1,\dots,11$)に分かれる。lem-kt-center により、その 1 つ 1 つはタイル $E$ 1 枚とタイル $T$ 2 枚に分かれる。よって
$$ (\text{正十二角形の面積})=12(e+2t) $$
である。
段 2(外接正方形)。外接正方形は、正十二角形と 4 つの角の五角形に分かれる。lem-kt-corner により、角の五角形の 1 つ 1 つはタイル $E$ 1 枚とタイル $T$ 2 枚に分かれる。よって
$$ 4R^2=\underbrace{12(e+2t)}_{\text{正十二角形}}+\underbrace{4(e+2t)}_{\text{4 つの角}}=16(e+2t) $$
である。タイルの枚数で言えば、外接正方形はタイル $E$ が $16$ 枚、タイル $T$ が $32$ 枚でできている。
段 3(比を求める)。段 2 から $e+2t=\dfrac{4R^2}{16}=\dfrac{R^2}4$ である。段 1 に代入すると
$$ (\text{正十二角形の面積})=12\cdot\frac{R^2}4=\boxed{3R^2} $$
であり、$\dfrac{3R^2}{4R^2}=\dfrac34$ である。$\square$

この証明では、$\sin30^\circ$ などの三角比の値を一度も使っていない。使ったのは角の大きさ($30^\circ$、$75^\circ$、$60^\circ$、$15^\circ$)と三角形の合同条件だけである。正十二角形が「タイル $E$ と $T$ の組 $(e+2t)$ を 16 組中 12 組」含むことが、比 $\dfrac34$ の理由になっている。

$R=1$ でタイルの面積をたす

$R=1$ とする。ex-kt-s (3) の $e=\dfrac{2\sqrt3-3}4$、$t=\dfrac{2-\sqrt3}4$ を使うと
$$ e+2t=\frac{2\sqrt3-3}4+\frac{2\left(2-\sqrt3\right)}4=\frac{2\sqrt3-3+4-2\sqrt3}4=\frac14 $$
で、prf-kt-main の段 3 の $e+2t=\dfrac{R^2}4$ と一致する。よって
$$ 12e+24t=12\cdot\frac14=3,\qquad 16e+32t=16\cdot\frac14=4 $$
であり、正十二角形の面積 $3$ と外接正方形の面積 $4$ がタイルの面積の和として確かめられる。$e$ と $t$ はどちらも無理数だが、組 $e+2t$ にすると $\sqrt3$ が打ち消し合って有理数 $\dfrac14$ になる。

三角比を使う証明との比較

ex-kt-start の計算 $12\cdot\dfrac12R^2\sin30^\circ=3R^2$ も、もちろん正しい証明である。同じ計算は 正多角形で円周率を挟む の注意「面積で比べると損をする」にもある。2 つの証明を比べると次のことが分かる。
中心の三角形 $OV_kV_{k+1}$ の面積は $\dfrac12R^2\sin30^\circ=\dfrac{R^2}4$ で、prf-kt-main の段 3 の $e+2t$ と同じである。一方、角の五角形の面積も $e+2t=\dfrac{R^2}4$ である。つまり、形のまったく違う「中心の三角形」と「角の五角形」の面積が等しい。Kürschák のタイルは、この 2 つが同じタイルの組でできていることを見せて、面積が等しい理由を目に見える形にしている。

タイルから三角比の値を読む

prf-kt-main の段 3 で得た関係 $e+2t=\dfrac{R^2}4$ を逆に使うと、タイルの辺の長さ $s$ が分かり、そこから $\sin15^\circ$ が読める。

タイルから求める $\sin15^\circ$

$$ s^2=\left(2-\sqrt3\right)R^2,\qquad\sin15^\circ=\frac{\sqrt6-\sqrt2}4 $$
である。

面積の関係を長さの関係に直す

段 1(タイルの面積を $s$ で書く)。タイル $E$ は 1 辺 $s$ の正三角形なので $e=\dfrac{\sqrt3}4s^2$ である。タイル $T$ は 2 辺 $s$ とその間の角 $150^\circ$ の三角形なので、$\sin150^\circ=\sin(180^\circ-30^\circ)=\sin30^\circ=\dfrac12$ から $t=\dfrac12s^2\cdot\dfrac12=\dfrac{s^2}4$ である。
段 2($s^2$ を求める)。$e+2t=\dfrac{R^2}4$ に代入すると
$$ \left(\frac{\sqrt3}4+\frac12\right)s^2=\frac{R^2}4,\qquad\frac{2+\sqrt3}4s^2=\frac{R^2}4,\qquad s^2=\frac{R^2}{2+\sqrt3}=\frac{\left(2-\sqrt3\right)R^2}{\left(2+\sqrt3\right)\left(2-\sqrt3\right)}=\left(2-\sqrt3\right)R^2 $$
である(分母の $\left(2+\sqrt3\right)\left(2-\sqrt3\right)=4-3=1$)。
段 3($s$ を $\sin15^\circ$ で書く)。三角形 $OV_0V_1$ は $OV_0=OV_1=R$ の二等辺三角形なので、$O$ から辺 $V_0V_1$ に下ろした垂線の足 $H$ は $V_0V_1$ の中点で、垂線 $OH$ は頂角 $30^\circ$ を二等分する。直角三角形 $OHV_0$ で $\angle V_0OH=15^\circ$、斜辺 $OV_0=R$ なので $V_0H=R\sin15^\circ$ であり、
$$ s=V_0V_1=2V_0H=2R\sin15^\circ $$
である。
段 4($\sin15^\circ$ を求める)。段 2 と段 3 から $4R^2\sin^215^\circ=\left(2-\sqrt3\right)R^2$、つまり $\sin^215^\circ=\dfrac{2-\sqrt3}4$ である。一方
$$ \left(\frac{\sqrt6-\sqrt2}4\right)^2=\frac{6-2\sqrt{12}+2}{16}=\frac{8-4\sqrt3}{16}=\frac{2-\sqrt3}4 $$
である。$\sin15^\circ>0$、$\dfrac{\sqrt6-\sqrt2}4>0$ で、2 乗が等しい正の数は等しいので、$\sin15^\circ=\dfrac{\sqrt6-\sqrt2}4$ である。$\square$

この証明で使った三角比の値は $\sin30^\circ=\dfrac12$ と、正三角形の面積 $\dfrac{\sqrt3}4s^2$(高さ $\dfrac{\sqrt3}2s$ は三平方の定理で求まる)だけである。ふつうは、加法定理で $\sin(45^\circ-30^\circ)$ を展開するか、半角の公式を使って求める(加法定理から2倍角・半角・3倍角の公式を導く)。同じ値が、タイルの面積の関係からも出てくる。

$\cos15^\circ$ もタイルから読む
  1. タイル $T$ の底角は $15^\circ$ である。頂点から底辺に下ろした垂線で 2 つの直角三角形に分けると、底辺の長さは $2s\cos15^\circ$ である。ex-kt-s (2) により底辺は $R$ なので、$R=2s\cos15^\circ$ である。cor-kt-sin15 の $s^2=\left(2-\sqrt3\right)R^2$ から
    $$ \cos^215^\circ=\frac{R^2}{4s^2}=\frac1{4\left(2-\sqrt3\right)}=\frac{2+\sqrt3}4 $$
    である。$\left(\dfrac{\sqrt6+\sqrt2}4\right)^2=\dfrac{8+4\sqrt3}{16}=\dfrac{2+\sqrt3}4$ なので、$\cos15^\circ=\dfrac{\sqrt6+\sqrt2}4=0.9659\ldots$ である。
    (2) 数値と $\sin^215^\circ+\cos^215^\circ=1$ で確かめる

    (2) $\sin15^\circ=\dfrac{2.4494\ldots-1.4142\ldots}4=0.2588\ldots$、$\cos15^\circ=\dfrac{2.4494\ldots+1.4142\ldots}4=0.9659\ldots$ で、$\sin^215^\circ+\cos^215^\circ=\dfrac{2-\sqrt3}4+\dfrac{2+\sqrt3}4=1$ となる。

半径 $2$ のタイル

$R=2$ のとき、$s^2$、タイルの面積 $e$、$t$ を求め、$16e+32t$ が外接正方形の面積に、$12e+24t$ が正十二角形の面積に等しいことを確かめよ。

解答を開く

$s^2=\left(2-\sqrt3\right)\cdot4=8-4\sqrt3$ である。$e=\dfrac{\sqrt3}4s^2=\sqrt3\left(2-\sqrt3\right)=2\sqrt3-3$、$t=\dfrac{s^2}4=2-\sqrt3$ である。$e+2t=2\sqrt3-3+4-2\sqrt3=1$ なので、$16e+32t=16$ は 1 辺 $2R=4$ の外接正方形の面積に等しく、$12e+24t=12=3\cdot2^2$ は thm-kt-main の $3R^2$ に等しい。

例と反例

thm-kt-main の仮定と、prf-kt-main の数え方の前提を外すと、何が崩れるかを並べる。

外す条件反例成り立たなくなること
正十二角形が円に内接する半径 $R$ の円に外接する正十二角形面積が $3R^2$
正十二角形である(辺と角がそろう)中心角 $20^\circ$ と $40^\circ$ を交互にとる内接十二角形面積が $3R^2$
数えるかけらが合同(面積が等しい)正八角形と外接正方形の 12 個のかけら枚数の比が面積の比
反例:円に外接する正十二角形

半径 $R$ の円に外接する正十二角形は、中心 $O$ と頂点を結ぶと、高さ $R$、底辺 $2R\tan15^\circ$ の二等辺三角形 12 個に分かれる。$\tan15^\circ=2-\sqrt3$(正多角形で円周率を挟む の例「正方形・正六角形・正十二角形で挟む」)を使うと、面積は
$$ 12\cdot\frac12\cdot2R\tan15^\circ\cdot R=12\left(2-\sqrt3\right)R^2=\left(24-12\sqrt3\right)R^2=3.2153\ldots R^2 $$
である。$3R^2$ より大きく、外接正方形(1 辺 $2R$)との比は $\dfrac{24-12\sqrt3}4=6-3\sqrt3=0.8038\ldots$ で、$\dfrac34$ にならない。「内接」と「外接」を取り違えると主張が崩れる。

反例:辺がそろわない内接十二角形

半径 $R$ の円の上に、向き $0^\circ,20^\circ,60^\circ,80^\circ,120^\circ,140^\circ,\dots$ の 12 点をとる(向きの差が $20^\circ$ と $40^\circ$ の交互)。これらを順に結んだ十二角形は円に内接するが、辺の長さが $2R\sin10^\circ$ と $2R\sin20^\circ$ の 2 種類あり、正十二角形ではない。
面積は $3R^2\cos10^\circ=2.9544\ldots R^2$ で、$3R^2$ より小さい。

面積の計算を開く

中心と頂点を結ぶと、頂角 $20^\circ$ の三角形 6 個と頂角 $40^\circ$ の三角形 6 個に分かれるので、面積は

$$6\cdot\frac12R^2\sin20^\circ+6\cdot\frac12R^2\sin40^\circ=3R^2\left(\sin20^\circ+\sin40^\circ\right)$$

である。和積の公式(加法定理から積和・和積・合成・正接の公式を導く)で $\sin20^\circ+\sin40^\circ=2\sin30^\circ\cos10^\circ=\cos10^\circ$ なので、面積は $3R^2\cos10^\circ$ で、$\cos10^\circ<1$ より $3R^2$ より小さい。


この十二角形では中心の三角形の底角が $80^\circ$ と $70^\circ$ になり、lem-kt-center の証明の段 1 の $75^\circ$ が使えないので、補題の証明がそのままでは成り立たない。

反例:合同でないかけらを数える

半径 $R$ の円に内接する正八角形を、4 つの頂点が外接正方形の辺の中点にくるようにとる。外接正方形は、中心の三角形 8 個(頂角 $45^\circ$)と、角の四角形 4 個の、合わせて 12 個のかけらに分かれる(図 5)。正八角形はそのうち 8 個でできている。
もし枚数の比が面積の比なら、比は $\dfrac8{12}=\dfrac23=0.6666\ldots$ のはずである。しかし実際の比は、表のとおり $\dfrac{2\sqrt2R^2}{4R^2}=\dfrac{\sqrt2}2=0.7071\ldots$ である。
理由は、かけらの面積がそろっていないことである。中心の三角形は $\dfrac12R^2\sin45^\circ=\dfrac{\sqrt2}4R^2=0.3535\ldots R^2$、角の四角形は $\dfrac{4R^2-2\sqrt2R^2}4=\left(1-\dfrac{\sqrt2}2\right)R^2=0.2928\ldots R^2$ で、等しくない。prf-kt-main で枚数を数えてよかったのは、lem-kt-center と lem-kt-corner で、かけらがすべて $E$ か $T$ に合同であることを確かめたからである。

正八角形の中心の三角形 8 個と角の四角形 4 個は、面積がそろっていない 正八角形の中心の三角形 8 個と角の四角形 4 個は、面積がそろっていない

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円周率は $3$ より大きい

正十二角形は半径 $R$ の円の内部に含まれ、円から正十二角形を除いた部分(辺と弧にはさまれた 12 個の弓形)は正の面積をもつ。よって円の面積 $\pi R^2$ は $3R^2$ より大きく、$\pi>3$ である。thm-kt-main と合わせると、この不等式は「タイルを数える」ことだけから出てくる。周の長さで比べると、同じ正十二角形から $\pi>3.105$ まで分かる(正多角形で円周率を挟む)。

正方形の辺に内向きの正三角形を立てる作り方

Wei26 は、Kürschák のタイルの作り方を次のように説明している。正方形の 4 辺に内向きの正三角形を立て、その頂点どうしを結ぶと、もとの正方形を $45^\circ$ 回した小さな正方形ができる。小さな正方形の辺の中点と、正三角形の辺どうしの交点を合わせると、正十二角形になる。
この記事の記号(外接正方形の 1 辺 $2R$)では、こうしてできる小さな正十二角形の頂点は、def-kt-tile の 12 点 $W_0,W_1,\dots,W_{11}$ である(図 6)。lem-kt-center により $OW_k=s$、$W_k$ の向きは $30k^\circ+15^\circ$ なので、$W_0,\dots,W_{11}$ は中心 $O$、半径 $s$ の円に内接する正十二角形の頂点である。

小さな正方形の辺の中点と正三角形の辺の交点が $W_k$ になることを座標で確かめる

下の辺に立てた正三角形の頂点は $\left(0,\left(\sqrt3-1\right)R\right)$、左の辺に立てた正三角形の頂点は $\left(\left(\sqrt3-1\right)R,0\right)$ である(辺 $2R$ の正三角形の高さは $\sqrt3R$)。この 2 点を結ぶ小さな正方形の辺の中点は $\dfrac{\left(\sqrt3-1\right)R}2(1,1)$ で、向きは $45^\circ$、$O$ からの距離の 2 乗は $2\cdot\dfrac{\left(4-2\sqrt3\right)R^2}4=\left(2-\sqrt3\right)R^2=s^2$ である。向き $45^\circ=30^\circ+15^\circ$、距離 $s$ なので、これは $W_1$ である。

下の辺の正三角形の右の辺は $(R,-R)$ と $\left(0,\left(\sqrt3-1\right)R\right)$ を結び、右の辺の正三角形の上の辺は $(R,R)$ と $\left(\left(1-\sqrt3\right)R,0\right)$ を結ぶ。前者の上の点 $(R,-R)+\dfrac{\sqrt3}2\left(-R,\sqrt3R\right)$ と、後者の上の点 $(R,R)+\dfrac12\left(-\sqrt3R,-R\right)$ は、どちらも $\left(\left(1-\dfrac{\sqrt3}2\right)R,\dfrac R2\right)$ になるので、これが 2 辺の交点である。$O$ からの距離の 2 乗は $\left(1-\sqrt3+\dfrac34+\dfrac14\right)R^2=\left(2-\sqrt3\right)R^2=s^2$ で、向きは $75^\circ$ である($s\cos75^\circ=2R\sin15^\circ\sin15^\circ=\left(1-\cos30^\circ\right)R$、$s\sin75^\circ=2R\sin15^\circ\cos15^\circ=R\sin30^\circ$)。よってこれは $W_2$ である。残りの点は、$90^\circ$ の回転と直線 $y=x$ に関する折り返しで移して得られる。

正方形の 4 辺に内向きの正三角形を立てると、小さな正方形の辺の中点と正三角形の辺の交点が、小さな正十二角形の頂点になる 正方形の 4 辺に内向きの正三角形を立てると、小さな正方形の辺の中点と正三角形の辺の交点が、小さな正十二角形の頂点になる
図 6 の小さな正十二角形の頂点 $W_k$ は、図 2 で細い二等辺三角形と正三角形が出会う点である。

1 辺 $1$ の正方形で測った大きさを開く

Wei26 の頁は 1 辺 $1$ の正方形で説明し、小さな正十二角形の外接円の半径を $\sin\dfrac{\pi}{12}$ としている。この記事の記号で $R=\dfrac12$ とすると $s=2R\sin15^\circ=\sin15^\circ$ で、一致する。

切って並べ替えられるか

thm-kt-main により、半径 $R$ の円に内接する正十二角形の面積は、1 辺 $\sqrt3R$ の正方形の面積 $3R^2$ に等しい。面積の等しい 2 つの多角形は、有限個の多角形に切り分けて並べ替えれば互いに移り合う(Bolyai–Gerwienの定理)。Kürschák のタイルが示すのは面積の比であって、並べ替えの方法そのものではない。

枚数で面積の比を読む考え方を開く

2 つの図形が、合同なかけら(何種類あってもよい)の組で切り分けられ、しかも片方がもう片方の組をちょうど何組か含むなら、面積の比は組の数の比になる。Kürschák のタイルでは、組が「タイル $E$ 1 枚とタイル $T$ 2 枚」で、正方形が 16 組、正十二角形が 12 組である。ex-kt-square の $n=4$ の場合は、組が「直角二等辺三角形 1 枚」で、正方形が 8 組、内接正方形が 4 組である。この考え方では三角比の値は要らないが、かけらが合同であることを確かめる手間はかかる(ex-kt-cx-octagon)。

さらに先へ

  • 2 種類の三角形のタイルで平面を敷き詰め、タイルの枚数の比を数える話は、Penroseの敷き詰め に続く。そちらでは角が $36^\circ$ の倍数の 2 種類の三角形を使い、枚数の比が黄金比 $\dfrac{1+\sqrt5}2$ に近づく。
  • Kürschák のタイルは、中心 $O$ のまわりの $90^\circ$ の回転と、$x$ 軸・$y$ 軸・外接正方形の対角線に関する折り返しで、自分自身に重なる。外接正方形を平行移動で並べると、平面全体にくり返す模様になる。くり返す模様の回転対称が 2 回・3 回・4 回・6 回に限られることは 壁紙模様の対称性 で扱う。
  • 正三角形・正方形・正六角形で平面を敷き詰める話は 正多角形の敷き詰め にある。
  • 円の面積と円周率の性質は 円周率 で扱う。

関連項目

参考文献

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