特異点解消(resolution of singularities)とは、特異点をもつ代数多様体やスキーム $X$ に対し、正則(非特異)なスキーム $X'$ からの固有双有理射 $f\colon X'\to X$ を与えることである。$f$ は $X$ の正則点の上では同型で、特異点の上に例外集合が載る。曲線の特異点解消は任意の標数で正規化により得られ、平面曲線の節点や尖点、曲面の通常 2 重点は点でのブローアップで解消できる。標数 $0$ の体上では任意の被約スキームが解消をもち、さらに閉部分集合を強正規交叉因子に直す埋め込み解消も存在する(Hironaka の定理)。正標数では曲面(Lipman)と 3 次元(Cossart–Piltant)まで解決され、4 次元以上は未解決である。代数的 de Rham コホモロジーの比較定理や双有理不変量の理論の基礎となる。
前提知識: スキーム, 代数多様体, 正則局所環, 固有射, 双有理写像, ブローアップ, 整閉整域
特異点解消とは、特異点をもつ代数多様体(より一般にスキーム)$X$ に対して、特異点をもたない $X'$ と、$X$ の「ほとんどの部分」を変えない全射 $X'\to X$ を与えることである。
$X$ を局所 Noether スキーム(Noetherスキーム)とする。点 $x\in X$ が正則点(regular point)であるとは、局所環 $\mathcal{O}_{X,x}$ が正則局所環であること、すなわち極大イデアル $\mathfrak{m}_x$ が $\dim\mathcal{O}_{X,x}$(Krull次元)個の元で生成されることをいう。正則でない点を特異点(singular point)といい、特異点全体を $\operatorname{Sing}X$、正則点全体を $X_{\mathrm{reg}}:=X\setminus\operatorname{Sing}X$ と書く。すべての点が正則であるとき $X$ は正則(regular)または非特異(nonsingular)であるという。
体 $k$ 上有限型のスキームには、$k$ 上滑らか(smooth)であるという条件もある(滑らかな射)。$k$ が完全体(とくに標数 $0$ の体や代数閉体)なら両者は同値であり(Liu02 §4.3)、完全でない体の上では正則だが滑らかでない点がある(ex-resolution-regular-not-smooth)。$k$ 上有限型の被約スキームでは $\operatorname{Sing}X$ は真の閉部分集合である(代数閉体上の多様体については Har77 Theorem I.5.3。一般には、$k$ 上有限型の環は excellent(excellent環)なので正則点全体が開集合であること(Mat86 §32)と、被約性から各既約成分の生成点が正則であることによる)。
$X$ を被約(被約スキーム)な Noether スキームとする。$X$ の特異点解消(resolution of singularities)とは、射 $f\colon X'\to X$ であって次を満たすものをいう。
$X$ と $X'$ が整スキーム(整スキーム)なら、条件 3 は「$f$ が関数体の同型 $K(X)\cong K(X')$ を誘導する」と言い換えられる。固有性がなければ開埋め込み(開埋め込み)$X_{\mathrm{reg}}\hookrightarrow X$ が条件 1・3・4 を満たしてしまう。固有性により $f$ は全射である。$X$ が正規(正規環)な整スキームなら Zariski の主定理(Zariskiの主定理、Har77 Corollary III.11.4)により、整スキーム $X'$ からの射影的双有理射 $f\colon X'\to X$ のファイバーはすべて連結である。さらに、点 $y\in X$ のファイバーが有限なら $f$ は $y$ のある近傍の上で有限射であり、正規な整スキームへの有限双有理射は同型なので、$f$ が同型でない点の上のファイバーは正の次元をもつ(ex-resolution-cone)。
$X$ を正則な Noether スキームとする。$X$ の有効因子(Cartier因子)$D$ が強正規交叉因子(strict normal crossings divisor)であるとは、$D$ の各既約成分(既約成分)$D_1,\dots,D_s$ が正則であり、かつ各点 $x\in X$ において、$x$ を通る成分 $D_{i_1},\dots,D_{i_r}$ の局所方程式 $t_1,\dots,t_r\in\mathcal{O}_{X,x}$ が $\mathcal{O}_{X,x}$ の正則パラメータ系の一部であることをいう。エタール局所的に(エタール射で引き戻して)強正規交叉因子になる因子を正規交叉因子(normal crossings divisor)という(正規交叉因子)。
$Y\subset X$ を閉部分集合(閉集合)とする。対 $(X,Y)$ の埋め込み解消(embedded resolution)とは、固有双有理射 $g\colon X'\to X$ であって、$X'$ が正則、$g$ が $X\setminus Y$ の上で同型、かつ $g^{-1}(Y)$(被約構造)が強正規交叉因子であるものをいう。$X$ が正則でないときは、解消 $g$ で $g^{-1}(Y\cup\operatorname{Sing}X)$ が強正規交叉因子になるものを対数解消(log resolution)という。
強正規交叉と正規交叉の違いは、成分が自分自身と交わることを許すかどうかである。アフィン空間 $\mathbb{A}^2$ の座標軸 $xy=0$ は強正規交叉因子である。節点をもつ既約 3 次曲線 $y^2=x^2(x+1)$ は強正規交叉因子ではないが、標数が $2$ でなければエタール局所的に $u=\sqrt{x+1}$ を添加して $(y-xu)(y+xu)=0$ と 2 本の枝に分かれるので正規交叉因子である。3 本の直線 $xy(x+y)=0$ は正規交叉因子でない。
特異点解消を構成する基本の道具がブローアップである。本記事の計算に必要な、アフィン空間の原点でのブローアップを具体的に定めておく。
$k$ を体、$\mathbb{A}^n=\operatorname{Spec}k[x_1,\dots,x_n]$、$\mathbb{P}^{n-1}$ を斉次座標 $[y_1:\cdots:y_n]$ をもつ射影空間とする。原点 $0\in\mathbb{A}^n$ でのブローアップとは、閉部分スキーム(閉部分スキーム)
$$
\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^n:=\{(x,[y])\in\mathbb{A}^n\times\mathbb{P}^{n-1}\mid x_iy_j=x_jy_i\ (1\le i,j\le n)\}
$$
と射影 $\pi\colon\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^n\to\mathbb{A}^n$ の組をいう。$E:=\pi^{-1}(0)$ を例外因子(exceptional divisor)という。$\mathbb{A}^n$ の閉部分集合 $Z$ に対し、$\pi^{-1}(Z)$ を $Z$ の全変換(total transform)、$\pi^{-1}(Z\setminus\{0\})$ の閉包を $Z$ の狭義変換(strict transform)といい $\tilde Z$ と書く。
$\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^n$ は $n$ 枚の開集合 $U_j=\{y_j\ne0\}$ で覆われ、$U_j$ は座標 $x_j$ と $t_i:=y_i/y_j$($i\ne j$)をもつ $\mathbb{A}^n$ に同型で、その上で $\pi$ は $x_i=x_jt_i$、$E\cap U_j$ は超平面 $x_j=0$ で与えられる。$E\cong\mathbb{P}^{n-1}$ であり、$\pi$ は射影的双有理射で $\mathbb{A}^n\setminus\{0\}$ の上で同型である。これらは方程式から直接確かめられる(ブローアップ、Har77 I.4 Example 4.9.1、II.7)。
代数多様体の特異点とは、その点の近くで多様体が「なめらかな座標」をもたない場所である。平面曲線の節点 $y^2=x^2(x+1)$ では 2 本の枝が 1 点で交わり、尖点 $y^2=x^3$ では曲線が折り返す。特異点解消は、こうした点を「引き延ばして」特異性をほどく。ブローアップは 1 点を、その点を通る接方向全体(射影空間)で置き換える操作であり、節点なら異なる接方向をもつ 2 本の枝が別々の点に分かれ、尖点なら折り返しがほどける。特異点の上には例外集合が新たに載るが、特異点以外の場所は何も変わらない。高次元では、どの中心をどの順にブローアップするかの選び方が常に存在するというのが Hironaka の定理である。
以下、$k$ は体、$\mathbb{A}^2=\operatorname{Spec}k[x,y]$、$\pi\colon\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^2\to\mathbb{A}^2$ を原点でのブローアップとする。$\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^2$ は 2 枚のアフィン平面 $U_y=\operatorname{Spec}k[x,t]$($y=xt$)、$U_x=\operatorname{Spec}k[s,y]$($x=sy$)で覆われ、$E$ はそれぞれ $x=0$、$y=0$ である。平面曲線 $C=V(f)$ の全変換・狭義変換は prop-resolution-plane-curve の式で計算し、正則性は Jacobi判定法(偏微分が同時に消える点が特異点)で判定する。
$k$ の標数は $2$ でないとし、$C=V(f)$、$f=y^2-x^2-x^3$ とする。原点は $C$ の通常2重点(節点)であり、$f$ の最低次部分 $f_2=(y-x)(y+x)$ は相異なる 2 本の接線(接線)を与える。$\partial f/\partial x=-2x-3x^2$ と $\partial f/\partial y=2y$ が $C$ 上で同時に消えるのは原点だけである。
$U_y$ では $f(x,xt)=x^2(t^2-1-x)$ である。全変換は $x^2(t^2-1-x)=0$、狭義変換 $\tilde C\cap U_y$ は $g:=t^2-1-x=0$ で与えられる。$\partial g/\partial x=-1\ne0$ なので $\tilde C\cap U_y$ は正則である。$\tilde C\cap E$ は $x=0$、$t=\pm1$ の 2 点で、各点で $\partial g/\partial t=2t\ne0$ なので $\tilde C$ の接線は $E$($x=0$)の接線と異なり、横断的に交わる。$U_x$ では $f(sy,y)=y^2(1-s^2-s^3y)$ で、狭義変換は $U_x$ にしかない点 $s=y=0$ を通らない。
したがって $\pi|_{\tilde C}\colon\tilde C\to C$ は正則な曲線からの固有双有理射で原点の外で同型であり、$C$ の特異点解消である。例外集合は 2 点で、節点の 2 本の枝がそこに分かれた。全変換 $\tilde C\cup E$ は 2 本の正則曲線が 2 点で横断的に交わる強正規交叉因子であり、$\pi$ は対 $(\mathbb{A}^2,C)$ の埋め込み解消でもある。因子として $\pi^*C=\tilde C+2E$ である(prop-resolution-plane-curve)。
$C=V(f)$、$f=y^2-x^3$ とする。原点は尖点で、最低次部分 $f_2=y^2$ の接線は $y=0$ の 1 本(重根)である。$\partial f/\partial x=-3x^2$、$\partial f/\partial y=2y$ から、どの標数でも特異点は原点だけである。
1 回目のブローアップ。$U_y$ では $f(x,xt)=x^2(t^2-x)$ で、狭義変換は $g_1:=t^2-x=0$ である。$\partial g_1/\partial x=-1\ne0$ なので $\tilde C$ は正則である。$\tilde C\cap E$ は 1 点 $p_1=(0,0)$ で、そこで $\partial g_1/\partial t=2t=0$ なので $\tilde C$ の接線は $E$ の接線 $x=0$ に一致する。$U_x$ では $f(sy,y)=y^2(1-s^3y)$ で、狭義変換は $E$ と交わらない。よって $\tilde C\to C$ は特異点解消であり、例外集合は 1 点 $p_1$ である。
しかし全変換 $\tilde C\cup E$ は $p_1$ で 2 本の曲線が接しているので強正規交叉因子でない。接点をさらにブローアップする。局所座標 $(u,v):=(x,t)$、$\tilde C\colon v^2=u$、$E_1:=E\colon u=0$ とおく。
2 回目(中心 $p_1$)。図 $u=vs$ では $v^2-u=v(v-s)$ となり、$C$ の狭義変換 $v=s$、新しい例外因子 $E_2\colon v=0$、$E_1$ の狭義変換 $s=0$ の 3 本の正則曲線が原点 $p_2$ を通り、互いに横断的である。3 本が 1 点を通るので 2 次元では正規交叉因子でない。$f$ の引き戻しは $v^3s^2(v-s)$ で、因子として $C+2E_1+3E_2$ である。
3 回目(中心 $p_2$)。図 $v=sw$ では $s^6w^3(w-1)$、図 $s=vr$ では $v^6r^2(1-r)$ となり、例外因子 $E_3$($s=0$、$v=0$)が $E_2$、$C$、$E_1$ の狭義変換($w=0$、$w=1$、$r=0$)とそれぞれ 1 点で横断的に交わり、3 本以上が通る点はない。したがって 3 回のブローアップの合成 $g\colon X'\to\mathbb{A}^2$ は対 $(\mathbb{A}^2,C)$ の埋め込み解消であり、
$$
g^*C=C_3+2E_1+3E_2+6E_3
$$
($C_3$ は $C$ の最終的な狭義変換、$E_i$ もそれぞれの狭義変換)である。尖点の埋め込み解消には 3 回のブローアップが要り、係数 $2,3,6$ が現れる。
$X=V(h)\subset\mathbb{A}^3$、$h=xy-z^2$(2 次錐)とする。偏微分 $(y,x,-2z)$ が $X$ 上で同時に消えるのは原点だけ(標数 $2$ でも $x=y=0$ から $z=0$)なので、原点が唯一の特異点であり、これはDu Val特異点の $A_1$ 型(曲面の通常2重点)である。$X$ は正規である(超曲面は Cohen–Macaulay(Cohen–Macaulay環)で特異集合の余次元が $2$。Mat86 Theorem 23.8)から、曲線(thm-resolution-curve)と違って正規化では特異点は解消されない。
原点でのブローアップ $\pi\colon\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^3\to\mathbb{A}^3$ の 3 枚の図で、$X$ の狭義変換 $\tilde X$ を計算する。$U_z$($x=za$、$y=zb$)では $h=z^2(ab-1)$ で、狭義変換 $ab=1$ は $\{ab=1\}\times\mathbb{A}^1_z$ に同型なので正則である。$U_x$($y=xb$、$z=xc$)では $h=x^2(b-c^2)$ で、狭義変換 $b=c^2$ は $(x,c)$ を座標とするアフィン平面に同型なので正則である。$U_y$ は $U_x$ と対称である。よって $\tilde X$ は正則であり、$\pi|_{\tilde X}\colon\tilde X\to X$ は固有($\tilde X$ は $\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^3$ の閉部分スキーム)で原点の外で同型、すなわち $X$ の特異点解消である。例外集合 $E\cap\tilde X$ は $E\cong\mathbb{P}^2$ の中の 2 次曲線 $ab=c^2$(斉次座標 $[a:b:c]$)であり、$[s:t]\mapsto[s^2:t^2:st]$ により $\mathbb{P}^1$ に同型である。1 点の特異点の上に曲線が載っている。
$p$ を奇素数、$k=\mathbb{F}_p(\tau)$($\tau$ は不定元。完全でない体)、$X=V(f)\subset\mathbb{A}^2_k$、$f=y^2-x^p+\tau$ とする。$\partial f/\partial x=-px^{p-1}=0$、$\partial f/\partial y=2y$ なので、$X$ は $y=0$、$x^p=\tau$ で定まる閉点(閉点)$x_0$ で $k$ 上滑らかでない。一方、$\mathcal{O}_{X,x_0}$ の極大イデアルは $y$ と $x^p-\tau$ の像で生成され、$X$ 上で $x^p-\tau=y^2$ なので $y$ だけで生成される。$\dim\mathcal{O}_{X,x_0}=1$ なので $\mathcal{O}_{X,x_0}$ は正則局所環(離散付値環)である。この $X$ は「正則」という性質を満たすが「$k$ 上滑らか」という性質を満たさず、「正則ならば滑らか」という含意を破る。完全でない体の上では def-resolution-main の条件 1 を「正則」とするか「滑らか」とするかで意味が変わるが、標数 $0$ の Hironaka の定理(thm-resolution-hironaka)ではこの区別は生じない。
$C=V(f)\subset\mathbb{A}^2$ を原点を通る平面曲線(平面曲線)とし、$f=f_m+f_{m+1}+\cdots$ を斉次成分への分解、$f_m\ne0$ とする($m\ge1$ は原点における $C$ の重複度)。$\pi\colon\operatorname{Bl}_0\mathbb{A}^2\to\mathbb{A}^2$ を原点でのブローアップとし、図 $U_y=\operatorname{Spec}k[x,t]$($y=xt$)で考える。
1:$f_d$ が $d$ 次斉次なので $f_d(x,xt)=x^df_d(1,t)$ であり、$d\ge m$ について和をとれば主張の形になる。$f_m(x,y)=x^mf_m(1,y/x)$ なので $f_m\ne0$ から $f_m(1,t)\ne0$ である。
2:$\pi^{-1}(C)\cap U_y=V(x^mg)$ であり、$E\cap U_y=V(x)$ なので $\pi^{-1}(C\setminus\{0\})\cap U_y=V(g)\setminus V(x)$ である。1 により $x$ は $g$ を割らない。$k[x,t]$ は一意分解整域なので $V(g)$ の既約成分は $g$ の既約因子 $h$ に対する $V(h)$ であり、$h$ は $x$ の単元倍でないから $V(h)\setminus V(x)$ は $V(h)$ で稠密である。したがって $V(g)\setminus V(x)$ の閉包は $V(g)$ であり、$\tilde C\cap U_y=V(g)$ である。因子としては $\pi^*C=\operatorname{div}(x^mg)=m\operatorname{div}(x)+\operatorname{div}(g)=mE+\tilde C$ である($U_x$ でも同様で、$E$ の係数は $m$ である)。
3:$\tilde C\cap E\cap U_y=V(g)\cap V(x)=\{(0,t)\mid f_m(1,t)=0\}$ である。$f_m(1,t_0)=0$ は、直線 $y=t_0x$ が接錐 $V(f_m)$ に含まれることと同値である。
4:$p=(0,t_0)$ とする。$\partial g/\partial t\,(p)$ は $f_m(1,t)$ の $t=t_0$ における微分係数で、$t_0$ が単根なので $0$ でない。よって Jacobi判定法により $\tilde C=V(g)$ は $p$ で正則で、接線は $\frac{\partial g}{\partial x}(p)\,dx+\frac{\partial g}{\partial t}(p)\,dt=0$ で与えられる。$E$ の接線は $dx=0$ であり、$\frac{\partial g}{\partial t}(p)\ne0$ なので両者は異なる。したがって横断的である。$\square$
4 から、原点が $C$ の通常 $m$ 重点(接錐が相異なる $m$ 本の直線)なら、1 回のブローアップで $\tilde C$ は原点の上で正則になり、$E$ と $m$ 点で横断的に交わる(ex-resolution-node は $m=2$)。$k$ が代数閉体なら、平面曲線の特異点は点でのブローアップの有限回の繰り返しで解消される(Har77 Theorem V.3.8)。
$k$ を体、$X$ を $k$ 上有限型(有限型スキーム)の整スキームで $\dim X=1$ のもの(整な曲線)とし、$\nu\colon\tilde X\to X$ を $X$ の正規化(正規化)とする。このとき
$\operatorname{Spec}A\subset X$ をアフィン開集合とすると $A$ は $k$ 上有限生成の整域で、関数体 $K=\operatorname{Frac}A$ における整閉包 $\tilde A$ は有限生成 $A$ 加群(有限生成加群)である(Har77 Theorem I.3.9A)。$\operatorname{Spec}\tilde A\to\operatorname{Spec}A$ を貼り合わせたものが $\nu\colon\tilde X\to X$ である(Har77 Exercise II.3.8)。
1:$\tilde A$ が有限 $A$ 加群なので $\nu$ は有限射、したがって固有である。$A\subset\tilde A$ が整拡大(整拡大)なので lying over(AM69 Theorem 5.10)により $\nu$ は全射である。$\tilde A/A$ は有限生成 $A$ 加群で $K\otimes_A(\tilde A/A)=0$ なので、その台 $\operatorname{Supp}(\tilde A/A)$ は $\operatorname{Spec}A$ の真の閉部分集合であり、補集合 $W$ の各点 $\mathfrak p$ で $\tilde A_{\mathfrak p}=A_{\mathfrak p}$、すなわち $\nu$ は稠密開集合 $W$ の上で同型である。よって $\nu$ は双有理である。
2:$\nu$ が有限全射なので $\dim\tilde X=\dim X=1$ である(整拡大では Krull 次元が保たれる。AM69 Theorem 5.11、Corollary 5.9)。閉点 $\tilde x\in\tilde X$ の局所環 $\tilde A_{\mathfrak q}$ は、整閉包が局所化(局所化)と可換であること(AM69 Proposition 5.12)により整閉整域で、Noether かつ Krull 次元 $1$ である。Noether 整閉局所整域で次元 $1$ のものは離散付値環である(AM69 Proposition 9.2)から、$\tilde A_{\mathfrak q}$ は正則局所環である。生成点(生成点)の局所環は体 $K$ で正則である。よって $\tilde X$ は正則である。
3:$x\in X$ を閉点、$\mathfrak p$ を対応する素イデアル(素イデアル)とする。$A_{\mathfrak p}$ が正則なら、次元 $1$ の正則局所環は離散付値環なので整閉であり、AM69 Proposition 5.12 により $\tilde A_{\mathfrak p}=A_{\mathfrak p}$ である。逆に $A_{\mathfrak p}$ が整閉なら、2 と同じ理由で離散付値環であり $x$ は正則点である。したがって正則点と正規な点は一致し、各アフィン開集合の上で $X_{\mathrm{reg}}=X\setminus\operatorname{Supp}(\tilde A/A)$ である。この上で $\nu$ は同型であり、$x\in\operatorname{Sing}X$ なら $\tilde A_{\mathfrak p}\ne A_{\mathfrak p}$ なので $\nu$ は $x$ のどの近傍の上でも同型でない。ゆえに $U_{\max}=X_{\mathrm{reg}}$、$\operatorname{Exc}(\nu)=\nu^{-1}(\operatorname{Sing}X)$ である。$\operatorname{Sing}X$ は $1$ 次元の整スキームの真の閉部分集合なので有限集合であり、$\nu$ が有限射なのでその逆像も有限集合である。
最後に、有限射は射影的であり(EGA2 (6.1.11))、$\nu$ は条件 5 を満たす。射影射の合成は射影的である(EGA2 (5.5.5))から、$X$ が射影的なら $\tilde X\to X\to\operatorname{Spec}k$ も射影的である。$\square$
$k$ を標数 $0$ の体、$X$ を $k$ 上有限型の被約スキームとする。
特異点解消は、正則なスキームに対してのみ成り立つ定理を一般のスキームに移す手段である。代数的 de Rham コホモロジーの比較定理(de Rhamコホモロジー)では、滑らかな多様体 $U$ を滑らかな射影多様体 $X'$ の中に強正規交叉因子 $X'\setminus U$ の補集合として実現するために埋め込み解消を使う。Brauer群の双有理不変性や不分岐コホモロジーでは滑らかな射影モデルの存在を使い、局所Picard群では解消の例外曲線の交叉行列(交叉数)が不変量を記述する。
特異点解消は一意でない。曲面の解消 $f\colon X'\to X$ と閉点 $q\in X'$ に対し、$q$ でのブローアップ $\sigma\colon X''\to X'$ は正則な $X''$ からの射影的双有理射で(Har77 Proposition V.3.1)、$f\circ\sigma$ も $X$ の解消である。これは「解消は同型を除いて一意である」という主張の反例で、次元 $2$ 以上で起こる。曲線では、任意の解消 $X'\to X$ は正規化の普遍性(Har77 Exercise II.3.8)により正規化 $\tilde X\to X$ を経由し、$X'\to\tilde X$ は正規な曲線の間の固有双有理射なので同型である。曲面では他のどの解消も経由する極小解消(minimal resolution)が存在する(Kol07 第 2 章)。
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