Schubert多項式(Schubert polynomial)とは、置換 $w\in S_n$ ごとに、単項式 $x_1^{n-1}x_2^{n-2}\cdots x_{n-1}$ に差分商 $\partial_if=(f-s_if)/(x_i-x_{i+1})$ を $w^{-1}w_0$ の簡約語に沿って施して得られる整数係数の多項式 $\mathfrak{S}_w$ である。差分商は対称群の Coxeter 関係式を満たすので、作用素の積は簡約語のとり方によらない。$\mathfrak{S}_w$ は $\ell(w)$ 次の斉次多項式で、変数を増やしても変わらず、$S_\infty$ の元にわたって多項式環 $\mathbb{Z}[x_1,x_2,\dots]$ の $\mathbb{Z}$ 基底をなす。
旗多様体 の記事は、旗多様体のコホモロジー環を $\mathbb{Z}[x_1,\dots,x_n]/(e_1,\dots,e_n)$ と表し、Schubert 類をこの表示の多項式で表すものとして Schubert 多項式の名を挙げている。Schubert 多項式は、変数を入れ替えて差をとり割る差分商という操作だけで、最も長い置換に対応する単項式 $x_1^{n-1}x_2^{n-2}\cdots x_{n-1}$ から順に作られる多項式の族である。
この記事では、差分商が対称群の Coxeter 関係式を満たすこと(lem-schubert-dd)、そこから置換ごとの作用素 $\partial_w$ が簡約語のとり方によらず定まること(thm-schubert-well-defined)を示し、Schubert 多項式の双対性・安定性・基底としての性質(thm-schubert-main)を証明する。
$S_n$ を $\{1,\dots,n\}$ の対称群とし、積は写像の合成 $(uv)(i)=u(v(i))$ とする。置換 $w$ を値の列 $w(1)w(2)\cdots w(n)$ で表す。$s_i:=(i\ i+1)$($1\le i\le n-1$)とし、$w$ を $s_i$ たちの積として書く最短の長さを $\ell(w)$ と書く。$w=s_{a_1}\cdots s_{a_l}$、$l=\ell(w)$ となる列 $(a_1,\dots,a_l)$ を $w$ の簡約語という。Coxeter系 の例「対称群の場合」により $(S_n,\{s_i\})$ は Coxeter 系であり、同じ記事の命題「長さは負に写す正ルートの個数」を $A_{n-1}$ 型のルート $e_i-e_j$ に当てると、$\ell(w)$ は転倒数 $\#\{(i,j)\mid i< j,\ w(i)>w(j)\}$ に等しい。$w_0:=n(n-1)\cdots1$ とおく。$(ww_0)(i)=w(n+1-i)$ なので $ww_0$ の転倒はちょうど $w$ の転倒でない対に対応し、
$$
\ell(ww_0)=\ell(w_0)-\ell(w)=\tbinom n2-\ell(w),\qquad\ell(w^{-1})=\ell(w)
$$
である。$S_n$ を $S_{n+1}$ の、$n+1$ を固定する元の部分群とみなし、$S_\infty:=\bigcup_nS_n$ とおく。
$S_\infty$ は $\mathbb{Z}[x_1,x_2,\dots]$ に $(wf)(x_1,x_2,\dots):=f(x_{w(1)},x_{w(2)},\dots)$ で左から作用する。$s_if$ は $f$ の $x_i$ と $x_{i+1}$ を入れ替えたものである。
$i\ge1$ に対し、$f\in\mathbb{Z}[x_1,x_2,\dots]$ の差分商(divided difference)を
$$
\partial_if:=\frac{f-s_if}{x_i-x_{i+1}}
$$
で定める。列 $\mathbf{a}=(a_1,\dots,a_l)$ に対し $\partial_{\mathbf{a}}:=\partial_{a_1}\partial_{a_2}\cdots\partial_{a_l}$ と書く(右の作用素から先に施す)。
1.$g:=f-s_if$ は $x_i=x_{i+1}$ を代入すると $0$ になる。$g$ を $x_i$ の多項式とみてモニック多項式 $x_i-x_{i+1}$ で割ると $g=(x_i-x_{i+1})q+r$、$r$ は $x_i$ を含まず、$x_i=x_{i+1}$ を代入して $r=0$ を得る。よって $\partial_if=q$ は多項式である。次数と同値性は定義から明らかである。
2.$s_i$ は $f-s_if$ と $x_i-x_{i+1}$ の符号をともに変えるので、商を変えない。よって $\partial_if$ は $s_i$ で不変であり、1 から $\partial_i\partial_if=0$ である。
3.$fg-(s_if)(s_ig)=(f-s_if)g+(s_if)(g-s_ig)$ を $x_i-x_{i+1}$ で割ればよい。
4.$s_i$ と $s_j$ は可換で、$s_i$ は $x_j-x_{j+1}$ を、$s_j$ は $x_i-x_{i+1}$ を動かさないので、$\partial_i\partial_jf=\dfrac{f-s_jf-s_if+s_is_jf}{(x_i-x_{i+1})(x_j-x_{j+1})}$ となり、これは $i,j$ について対称である。
5.$i=1$ としてよい(他の場合は添字をずらすだけである)。有理関数体 $\mathbb{Q}(x_1,x_2,x_3)$ の上の作用素として
$$
\partial_1\partial_2\partial_1=\frac{1}{\Delta}\sum_{w\in S_3}\operatorname{sgn}(w)\,w,\qquad\Delta:=(x_1-x_2)(x_1-x_3)(x_2-x_3)
$$
が成り立つ。$\mathbb{Q}(x_1,x_2,x_3)$ の自己同型 $\theta(x_k):=-x_{4-k}$ は $\theta\partial_1\theta^{-1}=\partial_2$、$\theta\partial_2\theta^{-1}=\partial_1$、$\theta(\Delta)=\Delta$ を満たし、$S_3$ の元を同じ符号の元に共役で写すので、右辺は $\theta$ による共役で変わらない。左辺を $\theta$ で共役にしたものは $\partial_2\partial_1\partial_2$ なので、主張を得る。$x_4,x_5,\dots$ を含む多項式についても、$x_4,x_5,\dots$ を係数に含めて $s_1,s_2,\theta$ がそれらを動かさないとすれば、同じ計算がそのまま成り立つ。
$a:=x_1-x_2$、$b:=x_2-x_3$、$c:=x_1-x_3$ とおくと $\Delta=abc$、$c-b=a$ であり、$s_1(a)=-a$、$s_1(b)=c$、$s_1(c)=b$、$s_2(a)=c$、$s_2(b)=-b$、$s_2(c)=a$ である。作用素として $\partial_1=a^{-1}(1-s_1)$、$\partial_2=b^{-1}(1-s_2)$ と書け、置換 $w$ と有理関数 $g$ を掛ける作用素について $w\circ g=w(g)\circ w$ である。$\partial_1\partial_2\partial_1=a^{-1}(1-s_1)b^{-1}(1-s_2)a^{-1}(1-s_1)$ を展開すると、各因子から $1$ か $-s_i$ を選ぶ 8 項は次のとおりである:$\frac{1}{a^2b}$、$-\frac{1}{a^2b}s_1$、$-\frac{1}{abc}s_2$、$\frac{1}{abc}s_2s_1$、$\frac{1}{a^2c}s_1$、$-\frac{1}{a^2c}$、$\frac{1}{abc}s_1s_2$、$-\frac{1}{abc}s_1s_2s_1$。たとえば $s_1$ を 1 番目と 3 番目で選ぶ項は $a^{-1}s_1b^{-1}a^{-1}s_1=a^{-1}\,s_1(b^{-1}a^{-1})\,s_1s_1=-\frac{1}{a^2c}$ である。恒等写像の係数は $\frac{1}{a^2b}-\frac{1}{a^2c}=\frac{c-b}{a^2bc}=\frac{1}{abc}$、$s_1$ の係数は $-\frac{1}{abc}$ なので、全体は $\frac{1}{abc}(1-s_1-s_2+s_1s_2+s_2s_1-s_1s_2s_1)$ となる。$\theta$ について:$\theta(a)=x_2-x_3=b$、$\theta(b)=a$、$\theta(c)=c$ であり、$\theta s_1\theta^{-1}$ は $x_2$ と $x_3$ を入れ替える作用素 $s_2$ である。$\square$
$w\in S_n$ とする。
1.$l=\ell(w)$ についての帰納法で示す。$l\le1$ なら簡約語は 1 つしかない。$\mathbf{a}=(a_1,\dots,a_l)$、$\mathbf{b}=(b_1,\dots,b_l)$ を $w$ の簡約語とし、$i:=a_l$、$j:=b_l$ とおく。
(i) $i=j$ のとき。$(a_1,\dots,a_{l-1})$ と $(b_1,\dots,b_{l-1})$ はどちらも $ws_i$ の簡約語なので、帰納法の仮定から $\partial_{a_1}\cdots\partial_{a_{l-1}}=\partial_{b_1}\cdots\partial_{b_{l-1}}$ であり、右から $\partial_i$ を掛ければよい。
(ii) $i\ne j$ のとき。$\ell(ws_i)< \ell(w)$ かつ $\ell(ws_j)< \ell(w)$ である。$I:=\{s_i,s_j\}$ が生成する部分群を $W_I$ とする。Coxeter系 の命題「両側剰余類の最小長代表元」により、左剰余類 $wW_I$ の長さ最小の元 $u$ があり、すべての $y\in W_I$ で $\ell(uy)=\ell(u)+\ell(y)$ が成り立つ。$w=uy_0$($y_0\in W_I$)と書くと、$\ell(ws_i)< \ell(w)$ から $\ell(y_0s_i)< \ell(y_0)$、同様に $\ell(y_0s_j)< \ell(y_0)$ である。同じ記事の命題「放物型部分群の基本性質」により $W_I$ の中の長さは $I$ に関する長さに等しい。$|i-j|\ge2$ なら $W_I=\{e,s_i,s_j,s_is_j\}$ で、右から $s_i$ と $s_j$ のどちらを掛けても短くなる元は $y_0=s_is_j=s_js_i$ だけである。$|i-j|=1$ なら $W_I$ は位数 $6$ で、そのような元は $y_0=s_is_js_i=s_js_is_j$ だけである($s_is_j$ は $s_i$ を右から掛けると長さ $3$ になる)。$u$ の簡約語 $\mathbf{r}$ をとり、$\mathbf{c}$、$\mathbf{c}'$ をそれぞれ $i$ で終わる $y_0$ の簡約語($(j,i)$ または $(i,j,i)$)と $j$ で終わる簡約語とすると、長さが足し合わされるので $\mathbf{r}\mathbf{c}$、$\mathbf{r}\mathbf{c}'$ も $w$ の簡約語である。(i) により $\partial_{\mathbf{a}}=\partial_{\mathbf{r}\mathbf{c}}$、$\partial_{\mathbf{b}}=\partial_{\mathbf{r}\mathbf{c}'}$ であり、lem-schubert-dd の 4・5 により $\partial_{\mathbf{c}}=\partial_{\mathbf{c}'}$ なので、$\partial_{\mathbf{a}}=\partial_{\mathbf{b}}$ である。
2.$a_1\cdots a_k$ が簡約語でない最小の $k$ をとる。$v:=s_{a_1}\cdots s_{a_{k-1}}$ は長さ $k-1$ で、$\ell(vs_{a_k})< k$ かつ長さは $1$ ずつしか変わらないので $\ell(vs_{a_k})=k-2< \ell(v)$ である。Coxeter系 の系「Coxeter系は交換条件を満たす」により、$vs_{a_k}$ は $(a_1,\dots,a_{k-1})$ から 1 文字除いた長さ $k-2$ の語で表され、その後ろに $a_k$ を付けた語は $v$ の簡約語である。1 により $\partial_{a_1}\cdots\partial_{a_{k-1}}$ は右端が $\partial_{a_k}$ の積に書き直せるので、$\partial_{a_1}\cdots\partial_{a_k}$ は $\partial_{a_k}\partial_{a_k}=0$ を含み、$0$ である。
3.$u$、$v$ の簡約語をつないだ語は $uv$ を表し、長さが足し合わされるときに限り簡約語なので、1・2 から従う。$\square$
$w\in S_n$ に対し、$x^{\delta_n}:=x_1^{n-1}x_2^{n-2}\cdots x_{n-1}$ とおいて
$$
\mathfrak{S}_w:=\partial_{w^{-1}w_0}\bigl(x^{\delta_n}\bigr)
$$
を $w$ の Schubert 多項式(Schubert polynomial)という。$\mathfrak{S}_{w_0}=x^{\delta_n}$ である。
thm-schubert-well-defined の 3 と $\ell(w^{-1}w_0)=\ell(w_0)-\ell(w)$ から、$\ell(ws_i)< \ell(w)$ なら $\partial_i\mathfrak{S}_w=\mathfrak{S}_{ws_i}$、$\ell(ws_i)>\ell(w)$ なら $\partial_i\mathfrak{S}_w=0$(すなわち $\mathfrak{S}_w$ は $x_i$ と $x_{i+1}$ について対称)である。$w_0$ から始めてこの規則で順に計算できる。
$n=3$ では $x^{\delta_3}=x_1^2x_2$ であり、6 つの置換について次のようになる。
| $w$ | $321$ | $231$ | $312$ | $213$ | $132$ | $123$ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| $\mathfrak{S}_w$ | $x_1^2x_2$ | $x_1x_2$ | $x_1^2$ | $x_1$ | $x_1+x_2$ | $1$ |
たとえば $321\cdot s_1=231$ なので $\mathfrak{S}_{231}=\partial_1(x_1^2x_2)=x_1x_2\,\partial_1(x_1)=x_1x_2$、$231\cdot s_2=213$ なので $\mathfrak{S}_{213}=\partial_2(x_1x_2)=x_1$、$321\cdot s_2=312$ なので $\mathfrak{S}_{312}=\partial_2(x_1^2x_2)=x_1^2$、$312\cdot s_1=132$ なので $\mathfrak{S}_{132}=\partial_1(x_1^2)=x_1+x_2$ である(lem-schubert-dd の 3 を使った)。
$f$ の定数項($x_1=x_2=\cdots=0$ を代入した値)を $f(0)$ と書く。$H_n:=\bigoplus_a\mathbb{Z}x^a$ を、$0\le a_i\le n-i$($1\le i\le n$)を満たす指数 $a$ の単項式 $x^a$ が張る $\mathbb{Z}[x_1,\dots,x_n]$ の部分群とする。$H_n$ の階数は $n\cdot(n-1)\cdots1=n!$ である。
1.$\partial_v\mathfrak{S}_w=\partial_v\partial_{w^{-1}w_0}x^{\delta_n}$ である。$u:=wv^{-1}$ とおくと $vw^{-1}w_0=u^{-1}w_0$ で、その長さは $\ell(w_0)-\ell(u)$ である。thm-schubert-well-defined の 3 により、$\ell(w_0)-\ell(u)=\ell(v)+\ell(w_0)-\ell(w)$、すなわち $\ell(u)=\ell(w)-\ell(v)$ なら $\partial_v\partial_{w^{-1}w_0}=\partial_{u^{-1}w_0}$ で、結果は $\mathfrak{S}_u$ である。そうでなければ $0$ である。
2.$S_{n+1}$ の最長元を $w_0'$ とし、$c:=w_0w_0'$ とおく($w_0$ は $S_n$ の最長元)。$c(1)=n+1$、$c(i)=i-1$($i\ge2$)であり、$c=s_ns_{n-1}\cdots s_1$、$\ell(c)=n$ である。$w\in S_n$ について $\ell(w^{-1}w_0)+\ell(c)=\binom n2-\ell(w)+n=\binom{n+1}2-\ell(w)=\ell(w^{-1}w_0')$ なので、thm-schubert-well-defined の 3 から $\partial_{w^{-1}w_0'}=\partial_{w^{-1}w_0}\,\partial_n\partial_{n-1}\cdots\partial_1$ である。したがって
$$
\partial_n\partial_{n-1}\cdots\partial_1\bigl(x^{\delta_{n+1}}\bigr)=x^{\delta_n}
$$
を示せばよい。$k=1,\dots,n$ の順に $\partial_k$ を施すと、その直前の多項式は $x_k^{n-k+1}x_{k+1}^{n-k}$ に $x_k,x_{k+1}$ を含まない単項式を掛けた形をしていて、$x_k^{n-k+1}x_{k+1}^{n-k}=(x_kx_{k+1})^{n-k}x_k$ と lem-schubert-dd の 3 により、$\partial_k$ はこれを $(x_kx_{k+1})^{n-k}$ に変える。$k=1$ の直前は $x^{\delta_{n+1}}$ であり、$\partial_k$ の後の多項式は $x_1^{n-1}\cdots x_k^{n-k}x_{k+1}^{n-k}x_{k+2}^{n-k-1}\cdots x_n$ なので、次の $\partial_{k+1}$ の前でも同じ形になっている。$k=n$ の後に $x^{\delta_n}$ を得る。
3.$x^{\delta_n}$ は $\binom n2$ 次斉次で、各 $\partial_i$ は次数を $1$ 下げるか $0$ にするので、$\mathfrak{S}_w$ は $\binom n2-\ell(w^{-1}w_0)=\ell(w)$ 次斉次か $0$ である。$S_1$ では $\mathfrak{S}_e=x^{\delta_1}=1$ であり、2 により任意の $n$ で $\mathfrak{S}_e=1$ である。$\ell(w)\ge1$ なら正の次数の斉次多項式か $0$ なので定数項は $0$ である。
4.各 $\partial_i$($i\le n-1$)は $H_n$ を $H_n$ に写す(下の詳細)。$x^{\delta_n}\in H_n$ なので $\mathfrak{S}_w\in H_n$ である。1 と 3 により
$$
(\partial_v\mathfrak{S}_w)(0)=\delta_{v,w}\qquad(v,w\in S_n)
$$
である($\ell(wv^{-1})=0$ は $v=w$ と同値)。$\sum_wc_w\mathfrak{S}_w=0$ なら、$\partial_v$ を施して定数項をとると $c_v=0$ なので、$\mathfrak{S}_w$($n!$ 個)は一次独立である。$H_n\otimes\mathbb{Q}$ の次元は $n!$ なので、これは $\mathbb{Q}$ 上の基底であり、$f\in H_n$ は $f=\sum_wq_w\mathfrak{S}_w$($q_w\in\mathbb{Q}$)と書ける。同じ操作で $q_v=(\partial_vf)(0)$ であり、$\partial_vf$ は整数係数の多項式なので $q_v\in\mathbb{Z}$ である。
単項式 $x^a\in H_n$ について、$p:=a_i$、$q:=a_{i+1}$ とおく。$p=q$ なら $\partial_ix^a=0$。$p>q$ なら $\partial_i(x_i^px_{i+1}^q)=(x_ix_{i+1})^q\sum_{r=0}^{p-q-1}x_i^{p-q-1-r}x_{i+1}^r$ で、$x_i$、$x_{i+1}$ の指数は $p-1\le n-i-1$ 以下である。$p< q$ なら $-\partial_i(x_i^qx_{i+1}^p)$ と同じ形で、指数は $q-1\le n-i-2$ 以下である。どちらも $x_i$ の指数は $n-i$ 以下、$x_{i+1}$ の指数は $n-i-1$ 以下で、他の変数の指数は変わらないので、結果は $H_n$ に入る。
$k\ge1$ について $\mathfrak{S}_{s_k}=x_1+x_2+\cdots+x_k$ である。実際 $n=k+1$ とすると $f:=x_1+\cdots+x_k\in H_n$ であり、$\partial_if$ は $i< k$ と $i>k$ で $0$($f$ が $x_i,x_{i+1}$ について対称)、$i=k$ で $\partial_kx_k=1$ である。$\ell(v)\ge2$ なら $\partial_vf=0$(次数)、$f(0)=0$ なので、thm-schubert-main の 4 の展開は $f=\mathfrak{S}_{s_k}$ を与える。ex-schubert-s3 の $\mathfrak{S}_{213}=x_1$、$\mathfrak{S}_{132}=x_1+x_2$ はその $k=1,2$ の場合である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| thm-schubert-well-defined の 1 の、語が簡約語であること | 恒等置換を表す語 $(1,1)$ | $\partial_{\mathbf{a}}$ が $\mathbf{a}$ の表す置換だけで決まる |
| thm-schubert-main の 4 の、$f\in H_n$ | $n=2$、$f=x_2$ | $f=\sum_w(\partial_wf)(0)\,\mathfrak{S}_w$ |
| thm-schubert-main の 2 の、新しい固定点を末尾 $n+1$ に置くこと(先頭に置く) | $s_1\in S_2$ と、$1$ を固定し $2,3$ を入れ替える $132\in S_3$ | Schubert 多項式が変わらない |
1 行目.$s_1s_1=e$ だが、lem-schubert-dd の 2 により $\partial_1\partial_1=0\ne\mathrm{id}=\partial_e$ である。
2 行目.$H_2=\mathbb{Z}\oplus\mathbb{Z}x_1$ で $x_2\notin H_2$ である。$(\partial_e x_2)(0)=0$、$(\partial_1x_2)(0)=-1$ なので右辺は $-\mathfrak{S}_{s_1}=-x_1\ne x_2$ である。
3 行目.$1$ を固定して残りに $s_1$ をずらして作用させた置換は $132=s_2$ であり、ex-schubert-s3 により $\mathfrak{S}_{132}=x_1+x_2\ne x_1=\mathfrak{S}_{s_1}$ である。
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