相対Proj(relative Proj)とは、スキーム $Y$ 上の準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数 $\mathcal{S}$ について、アフィン開集合 $V$ ごとの $\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V)$ を貼り合わせた $Y$ 上のスキーム $\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}$ である。貼り合わせは、係数の取り替えが Proj のファイバー積に対応することから従う。可逆層 $\mathcal{L}$ で各次数を $\mathcal{S}_d\otimes\mathcal{L}^{\otimes d}$ にひねっても $Y$ 上同型なスキームが得られ、ひねり層 $\mathcal{O}(1)$ だけが変わる。射影束やブローアップはこの構成で定義される。
前提知識: Proj(次数付き環の射影スキーム), 準連接層, Serreのひねり層, 可逆層
次数付き環 $S$ から射影的なスキーム $\operatorname{Proj}S$ が作られるように、スキーム $Y$ の上の準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数 $\mathcal{S}$ からは、$Y$ の上のスキーム $\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}\to Y$ が作られる。これが相対Projである。$Y$ のアフィン開集合 $V$ の上では $\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V)$ そのものであり、全体はそれらを貼り合わせたものになる。相対Spec が準連接代数から「$Y$ 上アフィン」なスキームを作るのに対し、相対Proj は「$Y$ 上局所的に射影的」なスキームを作る。射影束 やブローアップはこの構成で定義される。
この記事では、貼り合わせに要る両立性を Proj(次数付き環の射影スキーム) の定理「係数の取り替えとファイバー積」から導いて相対Proj の存在と一意性を証明し(thm-relative-proj-existence)、可逆層 $\mathcal{L}$ で各次数を $\mathcal{S}_d\otimes\mathcal{L}^{\otimes d}$ にひねっても $\mathbf{Proj}$ は変わらず、ひねり層 $\mathcal{O}(1)$ だけが変わることを証明する(thm-relative-proj-twist)。
以下 $Y$ をスキームとする。次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数 $\mathcal{S}=\bigoplus_{d\ge0}\mathcal{S}_d$ とは、可換環の層 $\mathcal{S}$、環の層の射 $\mathcal{O}_Y\to\mathcal{S}_0$、$\mathcal{O}_Y$ 加群の直和分解の組であって、積が $\mathcal{S}_d\times\mathcal{S}_e$ を $\mathcal{S}_{d+e}$ に写し、$1\in\mathcal{S}_0$ となるものをいう。各 $\mathcal{S}_d$ が準連接層であるとき準連接という。アフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}B$ の上では、準連接層の直和の切断は切断の直和なので(Har77 II.5.2 (c))、$\mathcal{S}(V)=\bigoplus_d\mathcal{S}_d(V)$ は次数付き $B$ 代数である。
アフィン開集合 $V$ ごとに
$$
P_V:=\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V),\qquad \pi_V\colon P_V\to\operatorname{Spec}\mathcal{S}(V)_0\to V
$$
とおく(前半は Proj(次数付き環の射影スキーム) の定理「Proj はスキームである」の 4 の構造射)。$\mathcal{S}(V)(n)$(次数を $n$ ずらした加群)に付随する層を $\mathcal{O}_{P_V}(n)$ と書く(Serreのひねり層)。正の次数の斉次元 $f$ について、$\mathcal{O}_{P_V}(n)$ は $D_+(f)\cong\operatorname{Spec}\mathcal{S}(V)_{(f)}$ の上で加群 $(\mathcal{S}(V)_f)_n$ に付随する層である(Serreのひねり層 の命題「付随する層の茎と座標近傍」)。
$\mathcal{S}$ を準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数、$W\subset V$ を $Y$ のアフィン開集合とし、$V=\operatorname{Spec}B$、$W=\operatorname{Spec}C$ とする。制限写像 $\rho\colon\mathcal{S}(V)\to\mathcal{S}(W)$ から定まる $\mathcal{S}(V)\otimes_BC\to\mathcal{S}(W)$、$s\otimes c\mapsto c\,\rho(s)$ は次数付き $C$ 代数の同型である。
要点:準連接層の開アフィンへの制限は係数の取り替えで与えられる。
$V$ 上の準連接層 $\mathcal{F}$ は $M=\mathcal{F}(V)$ について $\mathcal{F}\cong\widetilde M$ であり、開埋め込み $j\colon W\to V$ について $\mathcal{F}|_W=j^*\mathcal{F}\cong(M\otimes_BC)^\sim$ である(Har77 II.5.2 (e))。大域切断をとると $m\otimes c\mapsto c\cdot m|_W$ が同型 $M\otimes_BC\cong\mathcal{F}(W)$ を与える。これを各 $\mathcal{S}_d$ に当てれば各次数で同型であり、制限写像は環準同型なので積も保つ。$\square$
lem-relative-proj-coefficient と Proj(次数付き環の射影スキーム) の定理「係数の取り替えとファイバー積」($A=B$、$S=\mathcal{S}(V)$)を合わせると、$W$ 上の同型
$$
P_W\cong\operatorname{Proj}(\mathcal{S}(V)\otimes_BC)\cong P_V\times_VW=\pi_V^{-1}(W)
$$
が得られる(開埋め込みとのファイバー積は逆像の開部分スキームである)。この合成を開埋め込み $\varphi_{V,W}\colon P_W\to P_V$(像は $\pi_V^{-1}(W)$)とみる。上の定理の証明のとおり、$\varphi_{V,W}$ は斉次素イデアル $\mathfrak{P}\subset\mathcal{S}(W)$ を $\rho^{-1}(\mathfrak{P})$ に送り、正の次数の斉次元 $f\in\mathcal{S}(V)$ について $D_+(\rho(f))$ を $D_+(f)$ に環準同型 $\mathcal{S}(V)_{(f)}\to\mathcal{S}(W)_{(\rho(f))}$、$a/f^m\mapsto\rho(a)/\rho(f)^m$ で写す。$f$ をわたらせると $D_+(\rho(f))$ は $P_W$ を覆う。
$U\subset W\subset V$ を $Y$ のアフィン開集合とすると、$\varphi_{V,W}\circ\varphi_{W,U}=\varphi_{V,U}$ である。
要点:両辺は同じ座標近傍の上で、制限写像の合成が導く同じ環準同型から作られる。
$f\in\mathcal{S}(V)$ を正の次数の斉次元、$f_W,f_U$ をその制限とする。両辺はどちらも $D_+(f_U)$ を $D_+(f)$ に写し、その上で左辺は $\mathcal{S}(V)_{(f)}\to\mathcal{S}(W)_{(f_W)}\to\mathcal{S}(U)_{(f_U)}$ の合成、右辺は制限 $\mathcal{S}(V)\to\mathcal{S}(U)$ から作った $\mathcal{S}(V)_{(f)}\to\mathcal{S}(U)_{(f_U)}$ が定める射である。制限写像の合成は制限写像なので二つの環準同型は等しく、アフィンスキームへの射は環準同型で決まるので両辺は $D_+(f_U)$ の上で一致する。$D_+(f_U)$ は $P_U$ を覆うので両辺は等しい。$\square$
$\mathcal{S}$ を準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数とする。スキーム $P$、射 $\pi\colon P\to Y$、$Y$ の各アフィン開集合 $V$ についての開埋め込み $\iota_V\colon P_V\to P$ の組 $(P,\pi,(\iota_V)_V)$ が $\mathcal{S}$ の相対Proj(relative Proj)であるとは、次の 3 つが成り立つことをいう。
条件 1・2 により、$\pi^{-1}(V)$ は $V$ 上のスキームとして $\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V)$ と同一視される。条件 3 は、その同一視が小さいアフィン開集合への制限と両立することをいう。
$Y$ をスキーム、$\mathcal{S}$ を準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数とする。$\mathcal{S}$ の相対Proj $(P,\pi,(\iota_V)_V)$ が存在する。別の相対Proj $(P',\pi',(\iota'_V)_V)$ があれば、すべての $V$ で $\chi\circ\iota_V=\iota'_V$ をみたす $Y$ 上の同型 $\chi\colon P\to P'$ がただ一つある。
$Y$ のアフィン開集合全体を $\mathcal{V}$ とする。
貼り合わせの写像。 $V,V'\in\mathcal{V}$ について $P_{V,V'}:=\pi_V^{-1}(V\cap V')\subset P_V$ とおく。$V\cap V'$ に含まれるアフィン開集合 $W$ ごとに、$\pi_V^{-1}(W)=\varphi_{V,W}(P_W)$ の上で
$$
\psi_{V'V}:=\varphi_{V',W}\circ\varphi_{V,W}^{-1}\colon\pi_V^{-1}(W)\longrightarrow\pi_{V'}^{-1}(W)
$$
とおく。$W,W'$ が二つあるとき、$W\cap W'$ に含まれるアフィン開集合 $U$ をとると、lem-relative-proj-transitive により $\pi_V^{-1}(U)$ の上で $\varphi_{V,W}^{-1}=\varphi_{W,U}\circ\varphi_{V,U}^{-1}$ なので
$$
\varphi_{V',W}\circ\varphi_{V,W}^{-1}=\varphi_{V',W}\circ\varphi_{W,U}\circ\varphi_{V,U}^{-1}=\varphi_{V',U}\circ\varphi_{V,U}^{-1}
$$
であり、$W'$ から作っても同じ式になる。$U$ は $W\cap W'$ を覆うので定義は重なりで一致し、$V\cap V'$ 上の同型 $\psi_{V'V}\colon P_{V,V'}\to P_{V',V}$ が定まる。逆は $\psi_{VV'}$ で、$W=V$ ととれば $\psi_{VV}=\mathrm{id}$ である($\varphi_{V,V}$ は恒等射)。$V,V',V''\in\mathcal{V}$ の共通部分に含まれるアフィン開集合 $U$ の上では
$$
\psi_{V''V'}\circ\psi_{V'V}=\varphi_{V'',U}\varphi_{V',U}^{-1}\varphi_{V',U}\varphi_{V,U}^{-1}=\psi_{V''V}
$$
なので、貼り合わせの条件がみたされる。
貼り合わせ。 貼り合わせの補題(Har77 II Ex. 2.12)により、スキーム $P$ と開埋め込み $\iota_V\colon P_V\to P$ で、$P$ が $\iota_V(P_V)$ で覆われ、$\iota_V(P_V)\cap\iota_{V'}(P_{V'})=\iota_V(P_{V,V'})$、その上で $\iota_{V'}\circ\psi_{V'V}=\iota_V$ となるものが得られる。$\varphi$ はすべて $Y$ の開集合の上の射なので $\pi_{V'}\circ\psi_{V'V}=\pi_V$ であり、$\pi_V$ は貼り合わさって $\pi\colon P\to Y$ を与える。
条件の確認。 条件 1 は作り方から従う。条件 2:$\iota_V(P_V)\subset\pi^{-1}(V)$ は明らかで、逆に $\iota_{V'}(z)$ の像が $V$ に入れば $z\in P_{V',V}$ なので $\iota_{V'}(z)\in\iota_V(P_{V,V'})$ である。条件 3:$W\subset V$ なら $P_{W,V}=P_W$ で、$W$ 自身を使って $\psi_{VW}=\varphi_{V,W}$ だから、$\iota_V\circ\varphi_{V,W}=\iota_V\circ\psi_{VW}=\iota_W$ である。
一意性。 $\iota_V(P_V)$ の上で $\chi_V:=\iota'_V\circ\iota_V^{-1}$ とおく。$\iota_V(P_V)\cap\iota_{V'}(P_{V'})=\pi^{-1}(V\cap V')$ は $\iota_W(P_W)$($W\subset V\cap V'$ はアフィン)で覆われ、条件 3 から $\iota_V^{-1}\circ\iota_W=\varphi_{V,W}$ なので、その上で $\chi_V=\iota'_V\circ\varphi_{V,W}\circ\iota_W^{-1}=\iota'_W\circ\iota_W^{-1}$ である。$V'$ についても同じなので、$\chi_V$ は貼り合わさって $\chi\circ\iota_V=\iota'_V$ をみたす $Y$ 上の射 $\chi$ になり、役割を入れ替えて作った射が逆射である。$\iota_V(P_V)$ が $P$ を覆うので、この性質をもつ射は $\chi$ に限る。$\square$
この構成は Har77 II §7(pp. 160–161)で、$Y$ が Noetherスキーム、$\mathcal{S}_0=\mathcal{O}_Y$、$\mathcal{S}_1$ が連接層で $\mathcal{S}$ が $\mathcal{S}_1$ で局所的に生成されるという仮定の下に述べられ、貼り合わせの細部は読者に任されている。上の証明はこれらの仮定を使わない。
$P=\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}$、$n\in\mathbb{Z}$ とする。
要点:$\varphi_{V,W}$ の座標近傍の上で、$\mathcal{O}(n)$ の切断の加群が係数の取り替えでそのまま移ることを確かめ、層を貼り合わせる。
$V=\operatorname{Spec}B\supset W=\operatorname{Spec}C$、$f\in\mathcal{S}(V)$ を正の次数の斉次元とし、$\rho(f)$ も $f$ と書く。lem-relative-proj-coefficient により $\mathcal{S}(W)_f\cong\mathcal{S}(V)_f\otimes_BC$ は次数を保つ同型なので、$\mathcal{S}(W)_{(f)}\cong\mathcal{S}(V)_{(f)}\otimes_BC$、$(\mathcal{S}(W)_f)_n\cong(\mathcal{S}(V)_f)_n\otimes_BC$ であり、$(\mathcal{S}(V)_f)_n\otimes_{\mathcal{S}(V)_{(f)}}\mathcal{S}(W)_{(f)}\to(\mathcal{S}(W)_f)_n$、$(a/f^m)\otimes t\mapsto t\,\rho(a)/f^m$ は同型である。左辺は $D_+(f)\subset P_W$ の上の $\varphi_{V,W}^*\mathcal{O}_{P_V}(n)$ の切断、右辺は $\mathcal{O}_{P_W}(n)$ の切断である(Serreのひねり層 の命題「付随する層の茎と座標近傍」の 2 と Har77 II.5.2 (e))。これは $D_+(fg)$ への局所化と両立するので同型 $\gamma_{V,W}$ を与え、$U\subset W\subset V$ では制限の合成が制限であることから $\gamma_{V,U}=\gamma_{W,U}\circ\varphi_{W,U}^*\gamma_{V,W}$ が成り立つ。
thm-relative-proj-existence の証明の $P_{V,V'}$ の上の同型 $\psi_{V'V}^*\mathcal{O}_{P_{V'}}(n)\cong\mathcal{O}_{P_V}(n)$ を、アフィン開集合 $W\subset V\cap V'$ ごとに $\gamma_{V',W}$ と $\gamma_{V,W}$ を合わせて定める。上の推移関係により $W$ の取り方によらず、三つの共通部分で両立するので、層の貼り合わせ(Har77 II Ex. 1.22)により 1 の $\mathcal{O}_P(n)$ を得る。準連接性は局所的な性質である。2 は $\pi^{-1}(V)$ ごとに Serreのひねり層 の定理「ひねり層の可逆性と積」を使えばよい。そこでの同型 $\mathcal{O}_{P_V}(1)^{\otimes n}\cong\mathcal{O}_{P_V}(n)$ は座標近傍の上で積($n< 0$ では $\mathcal{O}_{P_V}(-1)$ の切断の積)で与えられ、$\gamma_{V,W}$ は環準同型 $\rho$ から作られるので積と両立し、局所的な同型は貼り合わさる。$\square$
$\mathcal{L}$ を $Y$ 上の可逆層、$\mathcal{L}^{d}:=\mathcal{L}^{\otimes d}$($\mathcal{L}^0=\mathcal{O}_Y$)とし、次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数
$$
\mathcal{S}_{\mathcal{L}}:=\bigoplus_{d\ge0}\mathcal{S}_d\otimes_{\mathcal{O}_Y}\mathcal{L}^{d},\qquad (s\otimes l)(t\otimes l')=st\otimes(l\otimes l')
$$
を考える(積は標準同型 $\mathcal{L}^d\otimes\mathcal{L}^{d'}\cong\mathcal{L}^{d+d'}$ を通す)。$\mathcal{S}_{\mathcal{L}}$ は準連接である。$P:=\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}$、$P_{\mathcal{L}}:=\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}_{\mathcal{L}}$、構造射を $\pi,\pi_{\mathcal{L}}$ とする。
$\mathcal{L}|_V$ が基底 $e$ をもつアフィン開集合 $V=\operatorname{Spec}B$ では、$\mathcal{L}^d|_V$ は $e^d:=e^{\otimes d}$ を基底とするので、$\theta_e\colon\mathcal{S}(V)\to\mathcal{S}_{\mathcal{L}}(V)$、$s\mapsto s\otimes e^d$($s\in\mathcal{S}_d(V)$)は次数付き $B$ 代数の同型である。斉次素イデアル $\mathfrak{P}$ を $\theta_e^{-1}(\mathfrak{P})$ に送り、$D_+(\theta_e(f))$ を $D_+(f)$ に環の同型 $\mathcal{S}(V)_{(f)}\to\mathcal{S}_{\mathcal{L}}(V)_{(\theta_e(f))}$、$a/f^m\mapsto\theta_e(a)/\theta_e(f)^m$ で写す射として、$V$ 上の同型 $\Theta_e\colon\operatorname{Proj}\mathcal{S}_{\mathcal{L}}(V)\to\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V)$ が定まる。
上の記号で、次が成り立つ。
基底によらないこと。 $e'=ue$($u\in B^\times$)とすると $\theta_{e'}(s)=u^d\theta_e(s)$($s\in\mathcal{S}_d(V)$)なので、$\theta_{e'}=\theta_e\circ w_u$ である。ここで $w_u$ は $\mathcal{S}(V)$ の次数付き自己同型 $s\mapsto u^ds$ である。$w_u$ が $\operatorname{Proj}\mathcal{S}(V)$ に誘導する射は恒等射である。実際、$u$ は単元なので斉次元 $s$ について $s\in\mathfrak{p}\iff u^ds\in\mathfrak{p}$ となり点の対応は恒等写像で、$a\in\mathcal{S}_{mk}(V)$、$f\in\mathcal{S}_k(V)$ について
$$
w_u\Bigl(\frac{a}{f^m}\Bigr)=\frac{u^{mk}a}{(u^kf)^m}=\frac{a}{f^m}
$$
なので座標環の上でも恒等写像である。よって $\Theta_{e'}=\Theta_e$ である。
貼り合わせ。 $\mathcal{L}$ を自明にするアフィン開集合全体を $\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$ とすると、どのアフィン開集合もその元で覆われる。$V\in\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$(基底 $e$)とアフィン開集合 $W\subset V$ について、制限 $\rho,\rho_{\mathcal{L}}$ との関係 $\theta_{e|_W}\circ\rho=\rho_{\mathcal{L}}\circ\theta_e$ から、点の対応も座標環の写像も可換になり、$\varphi_{V,W}\circ\Theta_{e|_W}=\Theta_e\circ\varphi^{\mathcal{L}}_{V,W}$ である($\varphi^{\mathcal{L}}$ は $\mathcal{S}_{\mathcal{L}}$ についての $\varphi$)。$\pi_{\mathcal{L}}^{-1}(V)$ の上で $\Phi_V:=\iota_V\circ\Theta_e\circ(\iota^{\mathcal{L}}_V)^{-1}$ とおく。$V,V'\in\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$ の共通部分は $\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$ の元 $W$ で覆われ、その上では条件 3 により
$$
\Phi_V\circ\iota^{\mathcal{L}}_W=\iota_V\circ\Theta_e\circ\varphi^{\mathcal{L}}_{V,W}=\iota_V\circ\varphi_{V,W}\circ\Theta_{e|_W}=\iota_W\circ\Theta_{e|_W}
$$
となる。前段により右辺は $W$ の基底の取り方によらないので、$\Phi_{V'}\circ\iota^{\mathcal{L}}_W$ も同じ射である。よって $\Phi_V$ は貼り合わさり、局所的に同型な $Y$ 上の射、すなわち同型 $\Phi$ を与える。一意性は $\pi_{\mathcal{L}}^{-1}(V)$($V\in\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$)が $P_{\mathcal{L}}$ を覆うことによる。
ひねり層。 要点:基底を $e$ から $ue$ に替えると、$\theta$ が導く $\mathcal{O}(1)$ の同型が $u$ 倍になる。これは $\mathcal{L}$ の遷移関数そのものである。
$V\in\mathcal{V}_{\mathcal{L}}$ の上で、$\theta_e$ が導く次数付き環の同型 $\mathcal{S}(V)_f\cong\mathcal{S}_{\mathcal{L}}(V)_{\theta_e(f)}$ の次数 $1$ の部分 $a/f^m\mapsto\theta_e(a)/\theta_e(f)^m$ は、座標環の同型を通した座標近傍ごとの同型で、局所化と両立するので、同型 $\alpha_e\colon\Phi^*\mathcal{O}_P(1)\to\mathcal{O}_{P_{\mathcal{L}}}(1)$ を $\pi_{\mathcal{L}}^{-1}(V)$ の上で与える。$e'=ue$ に替えると、$a\in\mathcal{S}_{mk+1}(V)$、$f\in\mathcal{S}_k(V)$ について $\theta_{e'}(a)/\theta_{e'}(f)^m=u^{mk+1}\theta_e(a)/(u^{mk}\theta_e(f)^m)=u\,\theta_e(a)/\theta_e(f)^m$ なので、$\alpha_{e'}=u\,\alpha_e$ である($u$ は $\pi_{\mathcal{L}}$ で引き戻した関数)。そこで $\beta_V\colon\Phi^*\mathcal{O}_P(1)\otimes\pi_{\mathcal{L}}^*\mathcal{L}\to\mathcal{O}_{P_{\mathcal{L}}}(1)$ を $t\otimes g\,\pi_{\mathcal{L}}^*e\mapsto g\,\alpha_e(t)$ で定めると、$t\otimes g\,\pi_{\mathcal{L}}^*e'=t\otimes gu\,\pi_{\mathcal{L}}^*e$ の行き先はどちらの基底で計算しても $gu\,\alpha_e(t)$ なので、$\beta_V$ は $e$ によらない。$\alpha_e$ は小さいアフィン開集合への制限で $\alpha_{e|_W}$ になるので $\beta_V$ は貼り合わさり、局所的に同型な射、すなわち 2 の同型を与える。$\square$
$\mathcal{S}$ が $\mathcal{S}_1$ で生成されるなら $\mathcal{S}_{\mathcal{L}}$ も次数 $1$ の部分で生成され、2 は可逆層の同型になる。これは Har77 II 補題 7.9(p. 161)の主張を、Noether 性と連接性の仮定なしに述べたものである。
$\mathcal{E}$ を $Y$ 上の準連接層、$\mathcal{L}$ を可逆層とし、$\mathbb{P}(\mathcal{E}):=\mathbf{Proj}_Y\operatorname{Sym}\mathcal{E}$ と書く。$Y$ 上の同型 $\Phi\colon\mathbb{P}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})\cong\mathbb{P}(\mathcal{E})$ があり、$\mathcal{O}_{\mathbb{P}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})}(1)\cong\Phi^*\mathcal{O}_{\mathbb{P}(\mathcal{E})}(1)\otimes\pi^*\mathcal{L}$ である。
要点:$\operatorname{Sym}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})\cong(\operatorname{Sym}\mathcal{E})_{\mathcal{L}}$ を示して thm-relative-proj-twist を使う。
$(x_1\otimes l_1)\cdots(x_d\otimes l_d)\mapsto x_1\cdots x_d\otimes(l_1\otimes\cdots\otimes l_d)$ は、$\mathcal{L}$ が基底 $e$ をもつアフィン開集合の上では $\operatorname{Sym}^d$ の普遍性から定まる同型 $\operatorname{Sym}^d(E\otimes Be)\cong\operatorname{Sym}^dE\otimes Be^d$ であり、局所的な定義が一致するので層の同型 $\operatorname{Sym}^d(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})\cong\operatorname{Sym}^d\mathcal{E}\otimes\mathcal{L}^d$ を与える。これは積と両立するので次数付き代数の同型 $\operatorname{Sym}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})\cong(\operatorname{Sym}\mathcal{E})_{\mathcal{L}}$ になる。次数付き代数の同型は各 $P_V$ の同型を導き、それらは $\varphi$ と両立するので $\mathbf{Proj}$ の同型を与える。あとは thm-relative-proj-twist による。$\square$
射影束 の命題「可逆層によるひねりと射影束」は、この系の $\mathcal{E}$ が局所自由な場合である。
$Y$ を Noetherスキーム、$\mathcal{S}$ を準連接な次数付き $\mathcal{O}_Y$ 代数とし、$\mathcal{O}_Y\to\mathcal{S}_0$ は同型、$\mathcal{S}_1$ は連接層、$\mathcal{S}$ は $\mathcal{S}_1$ で生成されるとする。$P=\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}$ とする。
要点:$\mathcal{S}_1(V)$ の有限個の生成元で多項式環からの全射を作り、閉埋め込みを得る。
1:$V=\operatorname{Spec}B$ とする。$\mathcal{S}_1|_V$ は連接なので $\mathcal{S}_1(V)$ は有限生成 $B$ 加群である(Har77 II.5.5)。生成元 $s_0,\dots,s_n$ をとると、$T_i\mapsto s_i$ で定まる $B[T_0,\dots,T_n]\to\mathcal{S}(V)$ は、$\mathcal{S}(V)_0=B$ で $\mathcal{S}(V)$ が $\mathcal{S}_1(V)$ で生成されるので全射な次数付き準同型である。射影射 の命題「次数付き環の全射が誘導する閉埋め込み」により閉埋め込み $P_V\to\mathbb{P}^n_V$ を得て、$\mathcal{O}(1)$ の引き戻しは $\mathcal{O}_{P_V}(1)$ である。実際、$D_+(T_i)$ の逆像は $D_+(s_i)$ で、これらは $P_V$ を覆い($\mathcal{S}(V)_+$ は $s_0,\dots,s_n$ で生成される)、その上で $(B[T]_{T_i})_1\otimes_{B[T]_{(T_i)}}\mathcal{S}(V)_{(s_i)}\to(\mathcal{S}(V)_{s_i})_1$ は基底 $T_i\otimes1$ を基底 $s_i$ に送る階数 $1$ の自由加群の同型であり(Serreのひねり層 の定理「ひねり層の可逆性と積」の 1)、局所化と両立する(Har77 II.5.12 (c)、p. 117)。条件 1・2 と prop-relative-proj-twisting-sheaf により $\pi^{-1}(V)\cong P_V$ で $\mathcal{O}_P(1)$ は $\mathcal{O}_{P_V}(1)$ に対応する。
2:$\mathbb{P}^n_V\to V$ は固有(射影射 の定理「射影射は固有である」)で、閉埋め込みは固有、固有射の合成は固有なので、$\pi^{-1}(V)\to V$ は固有である。$Y$ は有限個のアフィン開集合で覆われ、各 $P_V$ は Noether 環上有限型なので $P$ は Noether スキームである。固有であることは底の上で局所的なので(Har77 II.4.8 (f)、p. 102)、$\pi$ は固有である。$\square$
1 で $V$ をアフィンに限ることは外せない(次節の反例)。prop-relative-proj-projective の仮定の下で $Y$ が豊富な可逆層 $\mathcal{M}$ をもてば、十分大きい $n$ について $\mathcal{O}_P(1)\otimes\pi^*\mathcal{M}^{\otimes n}$ が $Y$ 上非常に豊富になる(Har77 II.7.10 (b)。この記事では証明しない)。
$\mathcal{S}=\mathcal{O}_Y[T_0,\dots,T_n]$(各次数は単項式で添字づけた $\mathcal{O}_Y$ の直和)とすると、アフィン開集合 $V$ の上で $P_V=\mathbb{P}^n_V=\mathbb{P}^n_{\mathbb{Z}}\times_{\operatorname{Spec}\mathbb{Z}}V$ である(Proj(次数付き環の射影スキーム) の定理「係数の取り替えとファイバー積」)。$\mathbb{P}^n_Y=\mathbb{P}^n_{\mathbb{Z}}\times_{\operatorname{Spec}\mathbb{Z}}Y$ の開集合 $\mathbb{P}^n_{\mathbb{Z}}\times V$ との同一視は条件 1〜3 をみたすので、thm-relative-proj-existence の一意性により $\mathbf{Proj}_Y\mathcal{S}\cong\mathbb{P}^n_Y$ である(Har77 II 例 7.8.7)。
有限型の準連接層 $\mathcal{E}$ の対称代数 $\operatorname{Sym}\mathcal{E}$ は $\operatorname{Sym}^0\mathcal{E}=\mathcal{O}_Y$ で次数 $1$ の部分 $\mathcal{E}$ で生成され、$\mathbb{P}(\mathcal{E})=\mathbf{Proj}_Y\operatorname{Sym}\mathcal{E}$ が射影束である。準連接なイデアル層 $\mathcal{I}\subset\mathcal{O}_Y$ について、$\mathcal{I}^0=\mathcal{O}_Y$ とした $\bigoplus_{d\ge0}\mathcal{I}^d$ の相対Proj が $\mathcal{I}$ を中心とするブローアップである。$\mathcal{E}$ が局所自由なら、cor-relative-proj-bundle-twist により $\mathbb{P}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})$ と $\mathbb{P}(\mathcal{E})$ は $Y$ 上同型で、標準可逆層だけが $\pi^*\mathcal{L}$ 倍ずれる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $\mathcal{S}$ が $\mathcal{S}_1$ で生成される | $Y=\operatorname{Spec}k$、$\mathcal{S}=k[x]$、$\deg x=2$($k$ は体) | prop-relative-proj-twisting-sheaf の 2:$\mathcal{O}_P(1)=0$ で可逆層でない |
| $V$ がアフィン | $Y=\mathbb{P}^1_k$、$\mathcal{S}=\operatorname{Sym}(\mathcal{O}_Y(-1)^{\oplus2})$、$V=Y$ | prop-relative-proj-projective の 1:$\mathcal{O}_P(1)$ が $Y$ 上非常に豊富でない |
1 行目:$k[x]$ の斉次素イデアルで $(x)$ を含まないものは $(0)$ だけなので、$P$ は 1 点 $D_+(x)=\operatorname{Spec}(k[x]_x)_0=\operatorname{Spec}k$ である。$k[x]_x=k[x,x^{-1}]$ の元は偶数次の項しかもたないので、$\mathcal{O}_P(1)(D_+(x))=(k[x]_x)_1=0$ であり、$\mathcal{O}_P(1)=0$ は階数 $1$ でない。$\mathcal{S}_1=0$ は連接で $\mathcal{S}_0=\mathcal{O}_Y$ なので、外れているのは生成の条件だけである。
2 行目:$\mathcal{E}=\mathcal{O}_Y^{\oplus2}$、$\mathcal{L}=\mathcal{O}_Y(-1)$ に cor-relative-proj-bundle-twist を使うと、$P=\mathbb{P}(\mathcal{E}\otimes\mathcal{L})$ と $Q:=\mathbb{P}(\mathcal{E})=\mathbb{P}^1_Y$ の $Y$ 上の同型 $\Phi\colon P\to Q$ があり、$\mathcal{O}_P(1)\cong\Phi^*\mathcal{O}_Q(1)\otimes\pi^*\mathcal{O}_Y(-1)$ である。第 1 成分への射影 $\mathcal{E}\to\mathcal{O}_Y$ は可逆層への全射なので、射影束 の定理「射影束の普遍性」により $Y$ 上の射 $\sigma\colon Y\to Q$ で $\sigma^*\mathcal{O}_Q(1)\cong\mathcal{O}_Y$ となるものがある。$\sigma':=\Phi^{-1}\circ\sigma$ は $\pi\circ\sigma'=\mathrm{id}_Y$ をみたし、$\sigma'^*\mathcal{O}_P(1)\cong\mathcal{O}_Y(-1)$ である。もし $Y$ 上のはめ込み $i\colon P\to\mathbb{P}^N_Y$ で $i^*\mathcal{O}(1)\cong\mathcal{O}_P(1)$ となるものがあれば、$\mathcal{O}_{\mathbb{P}^N_Y}(1)$ は $\mathbb{P}^N_{\mathbb{Z}}$ の $\mathcal{O}(1)$ の引き戻しとして大域切断 $T_0,\dots,T_N$ で生成されるので、その引き戻し $(i\circ\sigma')^*\mathcal{O}(1)\cong\mathcal{O}_Y(-1)$ も大域切断で生成される。しかし Serreのひねり層 の定理「大域切断は斉次多項式」により $\Gamma(\mathbb{P}^1_k,\mathcal{O}(-1))=0$ で、$\mathcal{O}(-1)\neq0$ なので矛盾する。$Y$ は Noether、$\mathcal{S}_0=\mathcal{O}_Y$、$\mathcal{S}_1=\mathcal{O}_Y(-1)^{\oplus2}$ は連接で $\mathcal{S}$ は $\mathcal{S}_1$ で生成されるので、外れているのは $V$ がアフィンという条件だけである。これは Har77 II の注意 7.8.8(p. 161)が述べ、Ex. 7.14 (a)(p. 171)が例を求めている現象である。
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