回転・鏡映と行列の群

同義語:回転行列鏡映行列2次の直交行列rotation and reflection matrices

概要

回転・鏡映と行列の群(rotation and reflection matrices)とは、平面の回転と原点を通る直線に関する鏡映という長さを保つ 1 次変換を表す行列の群である。実正方行列 $A$ が長さを保つことは $A^{\mathsf T}A=I$(直交行列)と同値であり、原点を保ち距離を保つ写像は直交行列で表せる。2 次の直交行列は行列式が $1$ なら回転 $R(\theta)$、$-1$ なら鏡映 $S(\theta)$ である。直交行列全体 $O(2)$ と回転全体 $SO(2)$ は群をなし、$SO(2)$ は可換だが $O(2)$ はそうでない。2 つの鏡映の積は、先の軸から後の軸へ測った角の 2 倍の回転である。正 $n$ 角形($n\ge3$)を保つ直交行列は $n$ 個の回転と $n$ 個の鏡映で、二面体群 $\operatorname{Dih}_n$ をなす。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 行列, 1次変換, ベクトルの内積(高校数学), 三角関数の加法定理

高校数学から見た出発点:回転と対称移動の行列

現在の高校の課程(平成30年告示の学習指導要領)では、平面の回転は主に数学Cの複素数平面で、複素数を掛けることの図形的な意味として学ぶ。行列で点を移す見方(対称移動などの点の移動)は、理数科の科目「理数数学特論」の内容にあり、原点を中心とする回転移動もそこで扱うことが考えられるとされている(文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』p. 437、同『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』p. 123、pp. 170–171)。この記事では、回転と対称移動を行列で表すところから始める。
平面の点を列ベクトル $x=\begin{pmatrix}x_1\\ x_2\end{pmatrix}$ で表す。原点のまわりの角 $\theta$ の回転と、原点を通り $x_1$ 軸と角 $\frac\theta2$ をなす直線に関する対称移動(鏡映)は、それぞれ行列
$$ R(\theta):=\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\ \sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix},\qquad S(\theta):=\begin{pmatrix}\cos\theta&\sin\theta\\ \sin\theta&-\cos\theta\end{pmatrix} $$
で表される($S(\theta)$ が本当にその鏡映であることは thm-rrg-o2 で確かめる)。

回転と対称移動の計算

点 $(2,1)$ を $90^\circ$ 回転すると $R(\frac\pi2)\begin{pmatrix}2\\ 1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1\\ 2\end{pmatrix}$ である。直線 $x_2=x_1$ に関する鏡映は $S(\frac\pi2)=\begin{pmatrix}0&1\\ 1&0\end{pmatrix}$ で、成分を入れ替える。

「まず $A$ で移し、次に $B$ で移す」合成は行列の積 $BA$ で表される。回転どうしの合成は、三角関数の加法定理そのものである。

回転の合成と加法定理

行列の積を成分ごとに計算すると
$$ R(\alpha)R(\beta)=\begin{pmatrix}\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta&-(\cos\alpha\sin\beta+\sin\alpha\cos\beta)\\ \sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta&\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta\end{pmatrix} $$
であり、加法定理 $\cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta$, $\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$ により、これは $R(\alpha+\beta)$ に等しい。「$\beta$ 回してから $\alpha$ 回すと $\alpha+\beta$ 回したことになる」。たとえば $R(\frac\pi2)R(\frac\pi2)=R(\pi)=-I$ である。

ところが回転と鏡映を合成すると順序が効いてくる。

合成の順序

$$ S(0)R(\tfrac\pi2)=\begin{pmatrix}0&-1\\-1&0\end{pmatrix},\qquad R(\tfrac\pi2)S(0)=\begin{pmatrix}0&1\\ 1&0\end{pmatrix} $$
は異なる。

この記事では、次の問いに答える。

  1. 長さを保つ 1 次変換は、どんな行列で表されるか。→ thm-rrg-isometry、prop-rrg-linear
  2. 平面で長さを保つ 1 次変換は、回転と鏡映で尽きるか。→ thm-rrg-o2
  3. 合成の順序が効くのはどんなときか。→ prop-rrg-products
  4. 正 $n$ 角形を自身に移す変換はいくつあり、どんな構造をもつか。→ thm-rrg-dihedral
    答の鍵は、回転と鏡映を「長さを保つ 1 次変換」としてまとめ、それらが群をなすと見ることである。具体的な計算と大学の概念は、次のように対応する。
    具体的な計算大学の概念
    回転の行列 $R(\theta)$ と対称移動の行列 $S(\theta)$2 次の直交行列(thm-rrg-o2)
    長さ・角を保つ変換$A^{\mathsf T}A=I$(thm-rrg-isometry)
    加法定理による $R(\alpha)R(\beta)=R(\alpha+\beta)$(ex-rrg-addition)可換群 $SO(2)$(prop-rrg-products)
    2 回の対称移動は回転(向きは順序で決まる)鏡映の積(prop-rrg-products)
    正 $n$ 角形を自身に移す移動二面体群 $\operatorname{Dih}_n$(thm-rrg-dihedral)
    回転の合成から加法定理を導く話は 回転と複素数で三角関数の公式を導く で扱う。

取り出す構造:群と直交行列

群と部分群

集合 $G$ と、$G$ の 2 元 $g,h$ に $G$ の元 $gh$ を対応させる演算の組で、次を満たすものを群という。

  1. 結合法則:$(gh)k=g(hk)$。
  2. 単位元:ある $e\in G$ がすべての $g$ について $eg=ge=g$ を満たす。
  3. 逆元:各 $g$ に対し $gh=hg=e$ となる $h\in G$($g^{-1}$ と書く)がある。
    すべての $g,h$ で $gh=hg$ なら可換、そうでなければ非可換という。$G$ の元の個数を $G$ の位数という。群 $G$ の部分集合 $H$ が単位元を含み、積と逆元をとる操作で閉じているとき、$H$ を部分群という($H$ 自身も群になる)。

行列の積は結合法則を満たすので、単位行列 $I$ を含み、積と逆行列をとる操作で閉じた正則行列の集合は群になる。

4 つの回転からなる群

$G:=\{R(0),R(\frac\pi2),R(\pi),R(\frac{3\pi}2)\}=\Bigl\{I,\ \begin{pmatrix}0&-1\\ 1&0\end{pmatrix},\ -I,\ \begin{pmatrix}0&1\\-1&0\end{pmatrix}\Bigr\}$ は、$R(\alpha)R(\beta)=R(\alpha+\beta)$ と $R(2\pi)=I$ により積で閉じ、$I=R(0)$ を含み、$R(\frac\pi2)^{-1}=R(\frac{3\pi}2)$ のように逆元も含む。よって位数 $4$ の可換な群である。一方、$2$ 次の実正方行列全体は積について群でない(零行列に逆元がない)。

以下、$n$ 次の実正方行列 $A$ の転置を $A^{\mathsf T}$、$\mathbb{R}^n$ の内積を $x\cdot y=x^{\mathsf T}y$、長さを $|x|=\sqrt{x\cdot x}$ とする。$(Ax)\cdot y=x^{\mathsf T}A^{\mathsf T}y=x\cdot(A^{\mathsf T}y)$ である。

直交行列と直交群

$A^{\mathsf T}A=I$ を満たす $n$ 次実正方行列 $A$ を直交行列という。$n$ 次の直交行列全体を $O(n)$、そのうち $\det A=1$ のもの全体を $SO(n)$ と書き、それぞれ直交群、特殊直交群という。

直交群は群である

$O(n)$ は行列の積について群であり、$A\in O(n)$ なら $\det A=\pm1$ である。$SO(n)$ は $O(n)$ の部分群である。

転置と行列式の積の性質

$A\in O(n)$ なら $\det(A^{\mathsf T})\det A=\det I=1$ で、$\det A^{\mathsf T}=\det A$ から $(\det A)^2=1$ である。特に $A$ は正則で、$A^{\mathsf T}A=I$ から $A^{-1}=A^{\mathsf T}$、したがって $AA^{\mathsf T}=I$ でもある。$A,B\in O(n)$ なら $(AB)^{\mathsf T}AB=B^{\mathsf T}A^{\mathsf T}AB=B^{\mathsf T}B=I$、$(A^{-1})^{\mathsf T}A^{-1}=AA^{\mathsf T}=I$ なので、$O(n)$ は積と逆元で閉じ、$I$ を含む。$\det(AB)=\det A\det B$ と $\det A^{-1}=(\det A)^{-1}$ から $SO(n)$ も閉じている。$\square$

主定理 1:長さを保つことと直交行列

長さを保つ 1 次変換

$n$ 次実正方行列 $A$ について、次は同値である。

  1. すべての $x\in\mathbb{R}^n$ で $|Ax|=|x|$(長さを保つ)。
  2. すべての $x,y$ で $Ax\cdot Ay=x\cdot y$(内積を保つ。したがって角も保つ)。
  3. $A^{\mathsf T}A=I$($A$ は直交行列)。
  4. $A$ の列ベクトル $a_1,\dots,a_n$ が $a_i\cdot a_j=\delta_{ij}$ を満たす(長さ $1$ で互いに直交する)。ここで $\delta_{ij}$ は $i=j$ なら $1$、それ以外は $0$ である。
内積を長さで書く

1 ⇒ 2:内積は長さで $x\cdot y=\frac14\bigl(|x+y|^2-|x-y|^2\bigr)$ と書ける(右辺を展開すればよい)。$A(x\pm y)=Ax\pm Ay$ なので
$$ Ax\cdot Ay=\tfrac14\bigl(|A(x+y)|^2-|A(x-y)|^2\bigr)=\tfrac14\bigl(|x+y|^2-|x-y|^2\bigr)=x\cdot y $$
である。
2 ⇒ 3:$Ax\cdot Ay=x\cdot(A^{\mathsf T}Ay)$ なので、$x=e_i$, $y=e_j$(基本ベクトル)とすると $A^{\mathsf T}A$ の $(i,j)$ 成分は $e_i\cdot e_j=\delta_{ij}$ である。
3 ⇔ 4:$A^{\mathsf T}A$ の $(i,j)$ 成分は $a_i^{\mathsf T}a_j=a_i\cdot a_j$ である。
3 ⇒ 1:$|Ax|^2=x\cdot(A^{\mathsf T}Ax)=x\cdot x=|x|^2$ である。$\square$

直交行列の判定

$A=\frac15\begin{pmatrix}3&-4\\ 4&3\end{pmatrix}$ の列 $\frac15(3,4)$, $\frac15(-4,3)$ は長さ $1$ で直交するので、4 により $A$ は直交行列である($\det A=\frac{9+16}{25}=1$)。実際 $x=(1,2)$ について $Ax=(-1,2)$ で、$|Ax|=|x|=\sqrt5$ である。

平行移動 $x\mapsto x+b$($b\ne0$)は 2 点間の距離を保つが原点を動かすので、行列では表せない。一方、原点を動かさなければ、距離を保つというだけで直交行列で表されてしまう。

原点を動かさない等長写像は直交行列

写像 $f\colon\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}^n$ が $f(0)=0$ を満たし、すべての $x,y$ で $|f(x)-f(y)|=|x-y|$ ならば、ある直交行列 $A$ について $f(x)=Ax$ である。したがって、平面や空間の距離を保つ写像はすべて $x\mapsto Ax+b$($A$ は直交行列)の形である。

内積を保つことから行列を作る

$y=0$ として $|f(x)|=|x|$ である。$|f(x)-f(y)|^2=|x-y|^2$ の両辺を展開して比べると $f(x)\cdot f(y)=x\cdot y$ である。特に $a_i:=f(e_i)$ は $a_i\cdot a_j=\delta_{ij}$ を満たすので、$a_1,\dots,a_n$ を列とする行列 $A$ は thm-rrg-isometry の 4 により直交行列である。$Ax=\sum_ix_ia_i$ と $f(x)\cdot a_i=f(x)\cdot f(e_i)=x\cdot e_i=x_i$ から
$$ |f(x)-Ax|^2=|f(x)|^2-2\sum_ix_i\,f(x)\cdot a_i+|Ax|^2=|x|^2-2|x|^2+|x|^2=0 $$
であり、$f(x)=Ax$ である。後半は、距離を保つ $f$ に対し $x\mapsto f(x)-f(0)$ に前半を使えばよい。$\square$

thm-rrg-isometry と同じ同値は、一般の有限次元内積空間でも成り立つ(Axl24 の 7.49)。

主定理 2:2 次の直交行列は回転か鏡映

2 次の直交行列の分類

$A\in O(2)$ ならば、ある実数 $\theta$ について $A=R(\theta)$ または $A=S(\theta)$ であり、前者は $\det A=1$、後者は $\det A=-1$ の場合である。$\theta$ は $2\pi$ の整数倍の差を除いて一意に決まる。さらに、$u:=\begin{pmatrix}\cos\frac\theta2\\ \sin\frac\theta2\end{pmatrix}$, $u^\perp:=\begin{pmatrix}-\sin\frac\theta2\\ \cos\frac\theta2\end{pmatrix}$ とおくと
$$ S(\theta)u=u,\qquad S(\theta)u^\perp=-u^\perp,\qquad S(\theta)^2=I $$
であり、$S(\theta)$ は原点を通り方向 $u$ の直線に関する鏡映である。したがって
$$ SO(2)=\{R(\theta):\theta\in\mathbb{R}\},\qquad O(2)=SO(2)\cup\{S(\theta):\theta\in\mathbb{R}\}. $$

第 1 列で角が決まる

thm-rrg-isometry の 4 により、$A$ の第 1 列 $a_1$ は長さ $1$ なので、ある $\theta$ で $a_1=\begin{pmatrix}\cos\theta\\ \sin\theta\end{pmatrix}$ と書け、$\theta$ は $2\pi$ の整数倍を除いて一意である。第 2 列 $a_2=\begin{pmatrix}p\\ q\end{pmatrix}$ は $a_1$ と直交するので $p\cos\theta+q\sin\theta=0$ であり、$(p,q)=\lambda(-\sin\theta,\cos\theta)$ となる $\lambda$ がある($\lambda:=q\cos\theta-p\sin\theta$ とおけばよい)。$|a_2|=1$ から $\lambda=\pm1$ であり、$\lambda=1$ なら $A=R(\theta)$、$\lambda=-1$ なら $A=S(\theta)$ である。$\det R(\theta)=\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$、$\det S(\theta)=-\cos^2\theta-\sin^2\theta=-1$ なので、どちらになるかは $\det A$ で決まる。
鏡映であること:加法定理から
$$ S(\theta)u=\begin{pmatrix}\cos\theta\cos\frac\theta2+\sin\theta\sin\frac\theta2\\ \sin\theta\cos\frac\theta2-\cos\theta\sin\frac\theta2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\cos\frac\theta2\\ \sin\frac\theta2\end{pmatrix} $$
であり、同様に $S(\theta)u^\perp=\begin{pmatrix}\sin\frac\theta2\\ -\cos\frac\theta2\end{pmatrix}=-u^\perp$ である。$u,u^\perp$ は直交する長さ $1$ のベクトルなので、任意の $x$ は $x=(x\cdot u)u+(x\cdot u^\perp)u^\perp$ と書け、$S(\theta)x=(x\cdot u)u-(x\cdot u^\perp)u^\perp$ である。これは $x$ の $u^\perp$ 方向の成分だけを反転する写像、すなわち方向 $u$ の直線に関する鏡映であり、2 回続ければもとに戻る。$\square$

回転か鏡映かを見分ける

ex-rrg-orth の $A$ は $\det A=1$ なので回転 $R(\theta)$($\cos\theta=\frac35$, $\sin\theta=\frac45$)である。$B=\frac15\begin{pmatrix}3&4\\ 4&-3\end{pmatrix}$ は $\det B=-1$ の直交行列で、同じ $\theta$ の $S(\theta)$ である。$\tan\frac\theta2=\frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}=\frac12$ なので軸は直線 $x_2=\frac12x_1$ であり、実際 $B\begin{pmatrix}2\\ 1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2\\ 1\end{pmatrix}$, $B\begin{pmatrix}-1\\ 2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\\ -2\end{pmatrix}$ である。同じく ex-rrg-rot90 の $S(\frac\pi2)$ は $\theta=\frac\pi2$ なので、軸は偏角 $\frac\pi4$ の直線 $x_2=x_1$ であり、成分の入れ替えになることと合う。

$\det$ の符号は「向き」を表す。回転は時計回り・反時計回りを保ち、鏡映は入れ替える。

回転と鏡映の積

すべての実数 $\alpha,\beta$ について
$$ R(\alpha)R(\beta)=R(\alpha+\beta),\quad R(\alpha)S(\beta)=S(\alpha+\beta),\quad S(\alpha)R(\beta)=S(\alpha-\beta),\quad S(\alpha)S(\beta)=R(\alpha-\beta) $$
が成り立つ。特に

  1. $SO(2)$ は可換群で、$R(\theta)^{-1}=R(-\theta)$ である。
  2. 2 つの鏡映の積 $S(\alpha)S(\beta)$(先に $S(\beta)$、次に $S(\alpha)$ で移す)は回転 $R(\alpha-\beta)$ であり、その角 $\alpha-\beta$ は、$S(\beta)$ の軸から $S(\alpha)$ の軸へ(反時計回りを正として)測った角の 2 倍である。順序を替えた $S(\beta)S(\alpha)=R(\beta-\alpha)$ は逆向きの回転である。
  3. $S(0)R(\beta)S(0)=R(-\beta)$:鏡映ではさむと回転の向きが逆になる。
  4. $O(2)$ は非可換である。
$S(\alpha)=R(\alpha)S(0)$ に帰着する

第 1 式は ex-rrg-addition で計算した。$S(0)=\begin{pmatrix}1&0\\ 0&-1\end{pmatrix}$ であり、直接の計算で $R(\alpha)S(0)=S(\alpha)$、$S(0)R(\beta)S(0)=R(-\beta)$ である。$S(0)^2=I$ なので後者から $S(0)R(\beta)=R(-\beta)S(0)$ である。よって
$$ R(\alpha)S(\beta)=R(\alpha)R(\beta)S(0)=S(\alpha+\beta),\quad S(\alpha)R(\beta)=R(\alpha)R(-\beta)S(0)=S(\alpha-\beta), $$
$$ S(\alpha)S(\beta)=R(\alpha)S(0)R(\beta)S(0)=R(\alpha)R(-\beta)=R(\alpha-\beta) $$
である。1 は第 1 式から、3 は上で示した。2:$S(\alpha)$, $S(\beta)$ の軸の偏角は $\frac\alpha2$, $\frac\beta2$ なので、$S(\beta)$ の軸から $S(\alpha)$ の軸へ測った角は $\frac\alpha2-\frac\beta2$ であり、積の角 $\alpha-\beta$ はその 2 倍である。順序を替えると測る向きが逆になり、角は $\beta-\alpha$ になる。4:$S(\alpha)S(\beta)=R(\alpha-\beta)$ と $S(\beta)S(\alpha)=R(\beta-\alpha)$ は、$\alpha-\beta$ が $\pi$ の整数倍でなければ異なる。$\square$

順序で軸が変わる

4(非可換性)の実例が ex-rrg-order の計算である。$S(0)R(\frac\pi2)=S(-\frac\pi2)$ は直線 $x_2=-x_1$ に関する鏡映、$R(\frac\pi2)S(0)=S(\frac\pi2)$ は直線 $x_2=x_1$ に関する鏡映で、軸が異なる。

正多角形の対称性の群:二面体群

$n\ge3$ とし、単位円に内接する正 $n$ 角形の頂点を
$$ v_k:=\begin{pmatrix}\cos\frac{2\pi k}n\\ \sin\frac{2\pi k}n\end{pmatrix}\qquad(k\in\mathbb{Z}) $$
とする。$v_{k+n}=v_k$ なので、添字は $n$ を法として考え、頂点の集合を $V:=\{v_0,\dots,v_{n-1}\}$ とする。

正 $n$ 角形の二面体群

$\operatorname{Dih}_n:=\{A\in O(2): AV=V\}$($AV:=\{Av:v\in V\}$)を、正 $n$ 角形の二面体群という。

$\operatorname{Dih}_n$ は $O(2)$ の部分群である($AV=V$, $BV=V$ なら $ABV=V$, $A^{-1}V=V$)。

二面体群の記号

この記事では記号 $\operatorname{Dih}_n$(添字は頂点の数 $n$、位数は $2n$)を使う。同じ群を $D_n$ と書く本もあり、位数を添字にして $D_{2n}$ と書く本も多い(KT17 の §15.2)。たとえば正三角形の対称性の群 $\operatorname{Dih}_3$ は、流儀により $D_3$ とも $D_6$ とも書かれる。

二面体群の元と構造

$r:=R(\frac{2\pi}n)$, $s:=S(0)$ とおく。

  1. $\operatorname{Dih}_n=\{R(\tfrac{2\pi k}n):0\le k< n\}\cup\{S(\tfrac{2\pi k}n):0\le k< n\}$ であり、これら $2n$ 個は相異なる。特に $\operatorname{Dih}_n$ の位数は $2n$ である。
  2. $R(\frac{2\pi k}n)=r^k$, $S(\frac{2\pi k}n)=r^ks$ であり、$r^n=s^2=I$, $srs=r^{-1}$ が成り立つ。$\operatorname{Dih}_n$ の各元は $r^k$ または $r^ks$($0\le k< n$)のどちらか一方にただ 1 通りに書ける。
  3. 頂点への作用は $r^kv_j=v_{j+k}$, $r^ksv_j=v_{k-j}$ である。
  4. $n\ge3$ なので $\operatorname{Dih}_n$ は非可換である。
頂点 $v_0$ の行き先で元が決まる

加法定理から、$R(\alpha)$ は偏角 $\varphi$ の単位ベクトルを偏角 $\alpha+\varphi$ のものに、$S(\alpha)$ は偏角 $\alpha-\varphi$ のものに移す。よって $R(\frac{2\pi k}n)v_j=v_{j+k}$, $S(\frac{2\pi k}n)v_j=v_{k-j}$ であり、これらは $V$ を $V$ に移すので $\operatorname{Dih}_n$ に入る。
逆に $A\in \operatorname{Dih}_n$ とする。thm-rrg-o2 により $A=R(\theta)$ または $A=S(\theta)$ であり、どちらの場合も $Av_0$ は偏角 $\theta$ の単位ベクトルである。$Av_0\in V$ なので、ある $k$ で $Av_0=v_k$ となり、$\theta$ は $\frac{2\pi k}n$ と $2\pi$ の整数倍だけ違う。したがって $A$ は 1 の $2n$ 個のどれかである。$\det$ が $1$ か $-1$ かと、$\theta$ が $2\pi$ を法として決まることから、$2n$ 個は相異なる。
2:prop-rrg-products から $r^k=R(\frac{2\pi k}n)$, $r^ks=R(\frac{2\pi k}n)S(0)=S(\frac{2\pi k}n)$, $r^n=R(2\pi)=I$, $s^2=I$, $srs=R(-\frac{2\pi}n)=r^{-1}$ である。一意性は 1 の相異なることによる。3 は 1 の前半で示した。
4:$srs=r^{-1}$ から $sr=r^{-1}s$ である。$rs=sr$ なら $rs=r^{-1}s$ となり $r^2=I$、すなわち $R(\frac{4\pi}n)=I$ となるが、$n\ge3$ では $0<\frac{4\pi}n<2\pi$ なのでそうならない。$\square$

証明が示しているのは、$\operatorname{Dih}_n$ の元が「$v_0$ をどの頂点に送るか($n$ 通り)」と「向きを保つか反転するか(2 通り)」で決まるということであり、$2n=n\times2$ である。回転 $r^k$ は $n$ 個の元からなる可換な部分群をなす。鏡映 $r^ks=S(\frac{2\pi k}n)$ の軸は偏角 $\frac{\pi k}n$ の直線なので、$k$ が偶数なら頂点 $v_{k/2}$ を通り、$k$ が奇数なら辺 $v_{(k-1)/2}v_{(k+1)/2}$ の中点を通る。$n$ が奇数なら各軸は 1 つの頂点と向かいの辺の中点を通り、$n$ が偶数なら向かい合う頂点を結ぶ軸と向かい合う辺の中点を結ぶ軸が $\frac n2$ 本ずつある。

正三角形での非可換性

$n=3$ とする。$s$ は $v_0$ を動かさず $v_1,v_2$ を入れ替え、$r$ は $v_j\mapsto v_{j+1}$ である。$rs$ は $v_0\mapsto v_0\mapsto v_1$、$sr$ は $v_0\mapsto v_1\mapsto v_2$ と移すので、$rs\ne sr$ である。

$O(2)$ の有限部分群

原点を動かさない対称性の群が有限なら、それは回転だけの群か、座標を回せば二面体群と同じ形の群である。

$O(2)$ の有限部分群

$G$ を $O(2)$ の有限部分群とし、$G$ に含まれる回転の個数を $m$ とする。

  1. $G$ に含まれる回転全体は $\{R(\frac{2\pi k}m):0\le k< m\}$ である。
  2. $G$ が鏡映 $S(\beta)$ を含むならば、$G$ に含まれる鏡映全体は $\{S(\beta+\frac{2\pi k}m):0\le k< m\}$ であり、$G$ の位数は $2m$ である。さらに $P:=R(\frac\beta2)$ とおくと $P^{-1}GP=\{R(\frac{2\pi k}m)\}\cup\{S(\frac{2\pi k}m)\}$ であり、$m\ge3$ ならこれは $\operatorname{Dih}_m$ である。
最小の正の角

1:$H:=G\cap SO(2)$ は部分群である。$H=\{I\}$ なら $m=1$ で正しい。そうでなければ、$H$ の元 $R(\theta)$($0<\theta<2\pi$)の角のうち最小のものを $\theta_0$ とする。$R(\theta)\in H$($0\le\theta<2\pi$)について $\theta=q\theta_0+\rho$($q$ は整数、$0\le\rho<\theta_0$)と割ると、$R(\rho)=R(\theta)R(\theta_0)^{-q}\in H$ なので、最小性から $\rho=0$ である。$M\theta_0\ge2\pi$ となる最小の正の整数 $M$ をとると $R(M\theta_0-2\pi)=R(\theta_0)^M\in H$ で $0\le M\theta_0-2\pi<\theta_0$ なので、同様に $M\theta_0=2\pi$ である。よって $H=\{R(\frac{2\pi k}M):0\le k< M\}$ で、$M=m$ である。
2:$A\in G$ が $\det A=-1$ なら $S(\beta)A\in H$ なので($S(\beta)^{-1}=S(\beta)$)、1 によりある $k$ で $S(\beta)A=R(\frac{2\pi k}m)$、したがって $A=S(\beta)R(\frac{2\pi k}m)=S(\beta-\frac{2\pi k}m)$ である(prop-rrg-products)。逆に $S(\beta)R(\frac{2\pi k}m)\in G$ なので、鏡映全体は主張の $m$ 個である。prop-rrg-products により $P^{-1}S(\gamma)P=R(-\frac\beta2)S(\gamma-\frac\beta2)=S(\gamma-\beta)$、回転は $P$ と可換なので、最後の主張を得る。$\square$

$P^{-1}GP$ を考えることは、座標軸を角 $\frac\beta2$ だけ回して、鏡映の軸の 1 本を新しい $x_1$ 軸にとることにあたる。

長方形の対称性の群

$a>b>0$ とし、4 点 $(\pm a,\pm b)$ を頂点とする長方形(正方形でない)を自身に移す直交行列全体を $G$ とする。$G=\{I,\ -I,\ S(0),\ S(\pi)\}$ であり、$-I=R(\pi)$、$S(0)$ は $x_1$ 軸に関する鏡映、$S(\pi)=\begin{pmatrix}-1&0\\ 0&1\end{pmatrix}$ は $x_2$ 軸に関する鏡映である。実際、直交行列は距離を保つので、$(a,b)$ を 4 頂点のどれかに移し、$(a,b)$ から距離 $2b$ にある唯一の頂点 $(a,-b)$ を、像から距離 $2b$ にある頂点に移す。$(a,b)$ と $(a,-b)$ は 1 次独立なので、$G$ の元は $(a,b)$ の行き先で決まり、$G$ は高々 4 個である。上の 4 個は頂点の集合を保つので $G$ はこの 4 個である。回転は $I,R(\pi)$ の $m=2$ 個で、thm-rrg-finite の 1 のとおり $\{R(\frac{2\pi k}2):k=0,1\}$ であり、鏡映は $\beta=0$ として $\{S(0),S(\pi)\}$、位数は $4=2m$ である。ただし $m=2<3$ なので、これは二面体群 $\operatorname{Dih}_m$ の定義(正 $m$ 角形、$m\ge3$)には入らない。$90^\circ$ 回転は $(a,b)$ を長方形の頂点でない点 $(-b,a)$ に移すので $G$ に入らない。

倍角の公式や対称移動の式は特別な場合

  • 倍角の公式:$R(\theta)^2=R(2\theta)$ の成分を比べると $\cos2\theta=\cos^2\theta-\sin^2\theta$, $\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$ である。
  • 直線 $x_2=cx_1$ に関する対称移動:軸の偏角を $\frac\theta2$($-\frac\pi2<\frac\theta2<\frac\pi2$)とすると $c=\tan\frac\theta2$ であり、$\cos\theta=\frac{1-c^2}{1+c^2}$, $\sin\theta=\frac{2c}{1+c^2}$ から、直線の傾き $c$ で書いた対称移動の行列
    $$ \frac1{1+c^2}\begin{pmatrix}1-c^2&2c\\ 2c&c^2-1\end{pmatrix} $$
    は $S(\theta)$ に一致する($c=\frac12$ なら ex-rrg-classify の $B$ になる)。
  • 点 $q$ のまわりの回転:$x\mapsto q+R(\theta)(x-q)$ は、平行移動と原点のまわりの回転の合成である。
  • 2 回の対称移動は回転:prop-rrg-products の 2 そのものである。原点を通る直線 $\ell_1$ に関する対称移動のあとで、原点を通る直線 $\ell_2$ に関する対称移動をすると、原点のまわりに「$\ell_1$ から $\ell_2$ へ測った角」の 2 倍だけ回ることになり、順序を替えると逆向きに回る。

例と反例

外した仮定崩れる主張ボックス
直交行列であること($\det=\pm1$ だけを仮定)長さを保つex-rrg-shear
2 次であること$\det=-1$ の直交行列は鏡映ex-rrg-minus-identity
長さを保つこと(頂点の並べ替えだけを仮定)並べ替えは対称性の群の元から得られるex-rrg-square
反例:行列式が $\pm1$ でも直交行列とは限らない

$A=\begin{pmatrix}1&1\\ 0&1\end{pmatrix}$ は $\det A=1$ で面積を保つが、$A\begin{pmatrix}0\\ 1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\\ 1\end{pmatrix}$ の長さは $\sqrt2$ で、長さを保たない。実際 $A^{\mathsf T}A=\begin{pmatrix}1&1\\ 1&2\end{pmatrix}\ne I$ である。prop-rrg-group の「直交行列なら $\det=\pm1$」の逆は成り立たない。

反例:3 次元では行列式 $-1$ の直交行列が鏡映とは限らない

$-I_3$(3 次の単位行列の $-1$ 倍)は直交行列で $\det(-I_3)=-1$ だが、原点以外に動かない点がないので、平面に関する鏡映(その平面の点をすべて動かさない)ではない。「$\det A=-1$ の直交行列は鏡映」という thm-rrg-o2 の主張は、2 次という条件を外すと成り立たない。

反例:頂点の並べ替えがすべて対称性になるわけではない

正方形($n=4$)の頂点の並べ替えは $4!=24$ 通りあるが、$\operatorname{Dih}_4$ の元は 8 個である。たとえば $v_0,v_1$ だけを入れ替え $v_2,v_3$ を動かさない並べ替えは、辺 $v_1v_2$(長さ $\sqrt2$)を $v_0v_2$(長さ $2$)に移すので、長さを保つ写像からは得られない。一方 $n=3$ では、$\operatorname{Dih}_3$ の元は $v_0,v_1$ の行き先で決まるので異なる元は異なる並べ替えを与え、6 個の元が 3 頂点の並べ替え $3!=6$ 通りをすべて与える。

数学オリンピックの問題から

1999 年第 1 問:垂直二等分線がすべて対称軸

国際数学オリンピック(1999 年)第 1 問

Determine all finite sets $S$ of at least three points in the plane which satisfy the following condition: for any two distinct points $A$ and $B$ in $S$, the perpendicular bisector of the line segment $AB$ is an axis of symmetry for $S$.
和訳(本記事による):平面上の 3 点以上からなる有限集合 $S$ で、「$S$ の相異なる任意の 2 点 $A,B$ について、線分 $AB$ の垂直二等分線が $S$ の対称軸である」という条件を満たすものをすべて求めよ。
— 第 40 回国際数学オリンピック(1999 年、ブカレスト)第 1 問(Oly99)

高校数学で解く

答は「正多角形の頂点の集合」である。
まず、$S$ は円周上にある。$S$ の点の位置ベクトルの平均を $G$(重心)とする。直線に関する対称移動は $x\mapsto Mx+b$ の形($M$ は鏡映の行列。prop-rrg-linear)なので、点の平均を点の平均に移す。$S$ を $S$ に移す対称移動は $G$ を $G$ に移すので、$G$ はすべての対称軸の上にある。特に $G$ は線分 $AB$ の垂直二等分線上にあり $GA=GB$ である。よって $S$ は $G$ を中心とする円周上にある。
次に、隣り合う弧が等しい。$S$ の点を円周に沿って順に $A_1,\dots,A_m$($m\ge3$、添字は $m$ を法とする)とする。$A_{i-1}A_{i+1}$ の垂直二等分線 $\ell$ は中心 $G$ を通り、$\ell$ に関する対称移動は円を円に移し、$A_{i-1}$ と $A_{i+1}$ を入れ替える。$A_{i-1}$ から $A_i$ を経て $A_{i+1}$ に至る弧は $\ell$ に関して対称で、その内部にある $S$ の点は $A_i$ だけなので、$A_i$ は動かず、$\ell$ 上にある。すると弧 $A_{i-1}A_i$ と弧 $A_iA_{i+1}$ は互いに移り合い、長さが等しい。これがすべての $i$ で成り立つので、$S$ は正 $m$ 角形の頂点である。
逆に、正 $m$ 角形の頂点を $v_0,\dots,v_{m-1}$ とする(相似変換で単位円に内接させてよい)。thm-rrg-dihedral の 3 により、$\operatorname{Dih}_m$ の元 $r^{j+k}s$ は $v_j$ と $v_k$ を入れ替える鏡映なので、その軸は線分 $v_jv_k$ の垂直二等分線であり、頂点の集合を自身に移す。$\square$

大学数学で見ると

thm-rrg-dihedral の 3 が示すように、$\operatorname{Dih}_m$ の鏡映 $r^ks$ は $v_j$ と $v_{k-j}$ を入れ替える。どの 2 頂点についても、それを入れ替える鏡映が $\operatorname{Dih}_m$ にあることが、正多角形が条件を満たす理由である。
逆向きの見通しはこうである。$S$ を自身に移す合同変換全体を $\Gamma$ とする。prop-rrg-linear により合同変換は $x\mapsto Ax+b$ の形なので重心 $G$ を動かさず、$G$ を原点にとると $\Gamma$ は $O(2)$ の部分群になる。$S$ は円周上にあって一直線上にないので、$\Gamma$ の元は $S$ の点の行き先で決まり、$\Gamma$ は有限群である。条件から $\Gamma$ は鏡映を含むので、thm-rrg-finite により、座標を回して $\Gamma=\{R(\frac{2\pi k}m)\}\cup\{S(\frac{2\pi k}m)\}$($0\le k< m$)としてよい。条件から $S$ のどの 2 点も $\Gamma$ の元で移り合うので、$S$ は 1 点 $p$(偏角 $\varphi$)を $\Gamma$ の元で移した点の全体(軌道)であり、その偏角は $\varphi+\frac{2\pi k}m$ と $\frac{2\pi k}m-\varphi$ である。

  • $\varphi$ が $\frac\pi m$ の整数倍($p$ が鏡映の軸上にある)なら、2 種類の偏角は一致し、$S$ は等間隔の $m$ 点、すなわち正 $m$ 角形の頂点である($|S|\ge3$ から $m\ge3$)。
  • そうでないとき、$m=1$ なら $S$ は高々 2 点で $|S|\ge3$ に反する。$m\ge2$ なら、偏角 $\varphi$ と $\varphi+\frac{2\pi}m$ の 2 点を入れ替える鏡映は $S(2\varphi+\frac{2\pi}m)$ だけであり、これが $\Gamma$ に入るのは $\varphi$ が $\frac\pi m$ の整数倍のときに限るので、条件に反する。
    こうして、条件を満たすのは正多角形だけであることが、対称性の群の分類から見通せる。

さらに先へ

  • 空間の回転:$SO(3)$ の元はある軸のまわりの回転であることが知られている(この記事では証明しない)。空間では回転の合成も非可換である。
  • 有限な対称性の群:$SO(3)$ の有限部分群は、巡回群・二面体群と正多面体の回転の群に限られることが知られている(証明しない)。
  • Lie 群:$SO(2)$ は絶対値 $1$ の複素数の掛け算の群と同じ構造をもつ。$O(n)$, $SO(n)$ は Lie 群の基本的な例である。

関連項目

参考文献

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